JP3901761B2 - 変形性関節症および炎症性関節疾患治療剤 - Google Patents

変形性関節症および炎症性関節疾患治療剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変形性関節症などの関節軟骨組織の破壊および変性を伴った疾患に対して予防、あるいは治療効果を発揮する薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
変形性関節症とは関節軟骨表面の崩壊と、これに伴う関節辺縁の新たな軟骨の増殖、関節の変形、適合性の破綻をきたし、さらに関節滑膜の炎症へと波及していくものである。これには外傷や感染などの軟骨変性をきたす原疾患を有する二次性関節症と、原疾患を特定できない一次性関節症がある。変形性関節症は関節軟骨の変性を主病変とし、その主な原因としては、関節軟骨の内因的変性と関節にかかる力学的負荷が考えられるが、その発生機序には不明な点が多い。変形性関節症には主に二つの病態が存在する。一つは軟骨下骨の石灰化亢進による関節裂隙の狭小化および骨組織の破壊をみるもの(Bollet A.J.,Arthritis Rheum.12,152−163,1969)、もう一つは滑膜性の炎症により軟骨組織の破壊あるいは変性を引き起こす場合(Huskisson R.C.et al.,Ann.Rheum.Dis.38,423−428,1979,Campion G.V.et al.,Seminarsin Arthritis and Rheumatism 17,232−245,1988)である。
【0003】
炎症性の変形性関節症では、滑膜組織などから産生されたIL−1などの物質による軟骨組織の基質成分(プロテオグリカン)の減少が観察される(Tyler J.A.,Biochem.J.225,493−507,1985)ばかりではなく、軟骨細胞によるプロテオグリカン産生も抑制される(Ratcliffe A.Biochem.J.238,571−580,1986)。従って、軟骨基質が減少して(Pettipher E.R.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,8749−8753,1986)、関節軟骨層が次第に遺失するものと考えられる。
【0004】
関節組織中の軟骨は永久軟骨に分類され、骨格成長に重要な役割を果たす成長軟骨とは厳密に区別される。すなわち、骨端板などに存在する成長軟骨細胞は増殖、分化した後石灰化し骨と置き換わることでその生理的意義が完遂するのに対し、関節軟骨細胞では通常、石灰化は起こらない。これは、関節軟骨細胞では環境的に石灰化は強く抑制されているものと考えられ、関節軟骨は石灰化しないことで弾性を保持し、荷重に対するクッションの役割と関節部での易可動性を保証しているからである。しかし、変形性関節症では、関節軟骨表面の弾性が低下していることが知られている(Myers E.R.et al.,Trans.Orthop.Res.USA 231,1986)。これは軟骨組織におけるコラーゲン繊維の断裂化によるものとされている(Stockwell R.A.et al.,J.Anat.136,425−439,1982)。関節軟骨における石灰化抑制の機序は明かではないが、関節軟骨細胞を単離し培養すると石灰化が起こるようになる。おそらく関節軟骨の石灰化を強く抑制しているものは軟骨細胞を取り巻いている基質中にある可能性が高い。(Iwamoto M.et al.,J.Biol.Chem.266,461−467,1991、Pacifici M.et al.,Exp.Cell Res.192,266−270,1991)。
【0005】
石灰化する軟骨細胞と関節軟骨細胞の相違点は他にもみられる。石灰化する軟骨は高いアルカリホスファターゼ活性を有する(Robinson R.,Biochem.J.17,286−293,1923,Ali S.Y.,in “Cartilage”(B.K.Hall,ed) Vol.1,pp.343−378,Academic Press,New York)のに対し、関節軟骨組織ではその1/100の活性を示すにすぎない(Iwamoto M.et al.,J.Biol.Chem.266,461−467,1991)。また、軟骨基質に含まれるX型のコラーゲンは石灰化軟骨組織中に存在している(Capasso O.et al.,Exp.Cell Res.142,197−206,1982)が、関節軟骨にはその発現が少ない。これらのマーカーは軟骨細胞の石灰化と関連していることが示唆されている。(Kato Y.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,9552−9556,1988,Kwan A.P.L.et al.,J.Cell Biol.109,1849−1856,1989)。一方、変形性関節症において、関節軟骨細胞のアルカリホスファターゼ活性は正常関節軟骨細胞に比較して高く(Mokondjimobe E.et al.,39,759−762,1991)、ヒトの関節軟骨組織を用いた研究でもその活性は変形性関節症の組織が高い活性を示した(Einhorn T.A.et al.,J.Orthop.Res.3,160−169,1985)。同様に、X型コラーゲンの発現も変形性関節症の患者から得られた軟骨組織で高いことが示されている(Hoyland J.A.et al.,Bone Miner.15,151−164,1991)。以上の知見より、変形性関節症における軟骨組織、あるいは軟骨下骨の石灰化は関節軟骨細胞の形質の変化、すなわちアルカリホスファターゼ産生およびX型コラーゲンの発現によるものと推定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在、変形性関節症の治療では、保存的な療法、抗炎症剤やヒアルロン酸の投与、あるいは外科的な処置など、対症療法的あるいは消極的な治療法のみが行われており、原因療法と言えるような治療法はまだない。
【0007】
本発明は、変形性関節症など関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患の予防剤および原因療法的かつ積極的な治療剤を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明はPTH関連ぺプチド(PTHrP)またはPTHrP由来物質を有効成分として含有する、関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患の予防または治療剤に関するものである。
【0009】
本発明における副甲状腺ホルモン関連ぺプチド(PTHrP)とは、天然型のPTHrP、遺伝子工学的手法で作成されたPTHrP、化学的に合成されたPTHrPを包含し、たとえば141個のアミノ酸より成るヒトPTHrpやウシ、ブタなどのPTHrpなどがあげられ、好ましくはヒトPTHrPを示す。またPTHrP由来物質とは、前記のPTHrPの部分ペプチドや、PTHrPそのものあるいはその部分ペプチドの構成アミノ酸の一部を置換、削除、付加したペプチドで同様の活性を有するペプチドを意味する。PTHrPの部分ペプチドとしては、たとえば1−34PTHrP、1−84PTHrP、3−141PTHrp、7−141PTHrp、35−141PTHrp、85−141PTHrp、107−141PTHrp、107−140PTHrp、1−87PTHrp、3−87PTHrp、7−87PTHrp、1−111PTHrp、3−111PTHrp、7−111PTHrpなどがあげられ、好ましくはヒト1−34PTHrP、ヒト1−84PTHrPなどがあげられる。ここで1−34PTHrPとはPTHrPのN末端から34番めのアミノ酸までの34個のアミノ酸からなるPTHrPの部分ペプチドを示す。置換、削除、付加するアミノ酸残基の数は、本発明の活性を保持していれば特に制限はない。関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患とは、例えば変形性関節症や関節リウマチなどがあげられ、好ましくは変形性関節症があげられる。
【0010】
前述したように、X型コラーゲン、アルカリホスファターゼは軟骨、あるいは軟骨下骨の石灰化において重要な発現物質であることが知られており、このX型コラーゲンの発現やアルカリホスファターゼの産生を抑制することは、変形性関節症の改善に有効である。さらに変形性関節症においては関節軟骨細胞の基質合成機能の低下、基質分解による軟骨組織の変形が認められることから、変形性関節症の治療剤としては軟骨基質であるプロテオグリカンの合成を阻害することなくむしろ合成を促進する薬剤が好ましい。また、軟骨細胞の増殖を阻害するなど、軟骨細胞の増殖・分化に好ましくない作用を有さない薬剤が好ましいのは言うまでもない。
【0011】
本発明におけるPTHrPの関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患に対する有効性は次のようにして確認できる。
【0012】
すなわち、PTHrPの増殖に対する作用、軟骨組織変性の重要なマーカーであるX型コラーゲンの発現、アルカリホスファターゼ産生、それに引き続く石灰化に対する作用、および軟骨基質であるII型コラーゲンの発現に対する作用は、若齢ウサギの増殖軟骨細胞を遠心管内で培養する実験(Kato Y.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,9552−9556,1988,Iwamoto M.et al.,Develop.Biol.136,500−506,1989)、および増殖軟骨細胞の平面培養系(Shimomura Y.et al.,Calcif.Tissue Res.19,179−187,1975)により確認できる。特に、遠心管内で軟骨細胞を立体的に培養すると、軟骨細胞は増殖・分化し、おおよそ20日で石灰化する(Kato Y.et al.,Proc.Natl.Sci.Acad.USA 85,9552−9556,1988)。しかも、同様な培養系で関節軟骨細胞を培養すると、高いアルカリホスファターゼ活性の発現と共に石灰化を行うようになる(Pacifici M.et al.,Exp.Cell Res.192,266−270,1991)。このことは、これらの培養系が変形性関節症における関節軟骨細胞の異常な形質発現に対する薬剤の効果の検討に有用な実験系であることを示している。
【0013】
またPTHrPの軟骨細胞の基質に対する作用は、軟骨基質であるプロテオグリカンの合成を指標にして確認できる。この実験系としては、培養軟骨細胞の基質合成時にPTHrPを作用させ、35S−硫酸の基質への取り込みを指標として確認できる。
【0014】
以上のPTHrPの作用を説明するためには、軟骨細胞中にPTHrPの受容体があることが確認される必要がある。実際、PTHの軟骨細胞に対する作用の発現には、軟骨細胞中にPTHの受容体の存在が重要であることが示されている(Lee K.,et al.,Endocrinology,134,441−450,1994).
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の薬剤の剤形としてはペプチドの通常の製剤方法により製造される注射剤の他に、例えばマイクロカプセルへの封入あるいはゲル状のシートに含ませるなど局所化および遅効性を期待した剤形も可能である。液剤の場合には、適当な蛋白質を添加したり、あるいは適当な付着防止剤を添加することが好ましい。
【0016】
本発明の薬剤の投与方法は、たとえば皮下投与、経口投与、経皮投与、直腸内投与、局所投与などがあげられるが、局所投与が好ましい。特に注射による関節腔内あるいは病変部への局所注入が好ましい。
【0017】
本発明のPTHrPの投与量は、適応疾患、症状などにより異なるが、たとえば、組織レベルで10-20から10-5Mであり、好ましくは10-15から10-7Mである。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。実施例で用いたPTHrPはペプチド研究所より購入したヒト1−34PTHrPである。
【0019】
【実施例1】
以下の実施例において増殖軟骨細胞は、生後4週齢のウサギの肋軟骨−骨移行部より下村らの方法(Shimomura Y.et al.,Calcif.Tissue Res.19,179−187,1975)により分離した。遠心管内での軟骨細胞の培養は岩本らの方法(Iwamoto M.et al.,Dev.Biol.136,500−507,1989)および加藤らの方法(Kato Y.et al.,Endocrinology 127,114−118,1990)により行った。すなわち、分離した軟骨細胞を10%の牛胎児血清(FBS)および50μg/mlのアスコルビン酸を含むイーグルの最小必須培地(MEM)に8×104個/mlとなるよう懸濁し、1mlずつ15mlのプラスチック製遠心管(コーニング社製)に播種した。5分間遠心(1,500rpm)した後、37℃に設定した炭酸ガスインキュベータ中で培養した。培地の交換は培養6日め以降、2日毎に行った。軟骨細胞中のPTHrP受容体の確認は、SDSゲル電気泳動法にて行った。すなわち、培養14日目の軟骨細胞をホモジナイズした後、125IでラベルしたPTHrPで5時間インキュベートした。受容体と結合したPTHrPはDSSにて架橋した後、SDS緩衝液で可溶化してSDSゲル電気泳動法にて泳動した。泳動後、常法によりオートラジオグラフィーを行った。対照として過剰量のPTHrPを添加して125I化PTHrPと受容体との結合を阻害したものを同様の手順でSDSゲル電気泳動法にて泳動し、オートラジオグラフィーを行った。
【0020】
図1に結果示す。125I化PTHrPと受容体との結合は、分子量約76kDaの付近に泳動され(図1・左)、その結合は過剰量のPTHrPの添加により完全に阻止された(図1・右)。このことは、軟骨細胞中にPTHrPの受容体が存在し、PTHrPはその受容体を介して以下に示す様々な効果を発現できることを示唆している。
【0021】
【実施例2】
増殖軟骨細胞の分離は実施例1と同様、生後4週齢のウサギの肋軟骨−骨移行部より下村らの方法(Shimomura Y.et al.,Calcif.Tissue Res.19,179−187,1975)により行った。分離した軟骨細胞は10%の牛胎児血清および50μg/mlのアスコルビン酸を含むイーグルの最小必須培地(MEM)に懸濁し、5,000個づつ96穴の培養プレートに播種した。細胞がコンフルエントになってからPTHrPを添加して1日後に1穴あたり1μCiの35S−硫酸を添加して17時間培養した。培養液上清中に産生された軟骨基質の量は加藤らの方法(Kato Y.et al.,Endocrinology,122,1991−1997,1988)により行った。すなわち、プロテオグリカン中に取り込まれた35S−硫酸の量を測定した。
【0022】
結果を図2に示す。図はPTHrPの濃度を10-10から10-6Mとした濃度反応曲線を示している。PTHrPは用量依存的にプロテオグリカン中への35S−硫酸の取り込みを促進し、10-6Mでは対照の約3倍の基質合成能を示した。このことは、PTHrPがプロテオグリカンの産生を促進し、軟骨細胞の正常な分化を促進することを示している。
【0023】
【実施例3】
軟骨細胞の培養は実施例1と同様、遠心管内で行った。培養8日めにPTHrPを10-7添加して28日間培養した。培養後、適宜細胞を可溶化して経時的なDNA量を測定した。また、PTHrPを10-10から10-7Mまで添加して培養21日目のDNA量を測定した。
【0024】
軟骨細胞の経時的なDNA量の変化を図3に、またPTHrPのDNA量に対する用量反応性を図4に示した。対照群のDNA量は経時的に増加して軟骨細胞が遠心管内で良好に増殖していたことを表していた。PTHrPを添加しても軟骨細胞のDNA量には全く影響されなかった。このことは、PTHrPが軟骨細胞の増殖に対してなんら悪影響を与える薬剤ではないことを示している。
【0025】
【実施例4】
軟骨細胞の培養は実施例1と同様、遠心管内で行った。培養8日めにPTHrPを10-7Mになるように添加し、最高28日めまで培養した。培養21日目にPTHrPを除去した群を設定し、PTHrP添加群と比較した。また、PTHrPを10-10から10-7Mまで添加して、アルカリホスファターゼ活性(ALP活性)に対する用量反応性を確認した。ALP活性の測定は、軟骨塊を0.2%トリトンX−100中にてホモジナイズした後、12,000×gにて15分間遠心し、その上清をBesseyらの方法(Bessey O.A.et al.,J.Biol.Chem.164,321−329,1946)により測定した。また、石灰化の検討は適当な時期に45Caを0.5μCiずつ添加し、軟骨細胞への24時間後の取り込みを測定すること、および培養28日目のCa量を測定することにより行った。
【0026】
図5にはPTHrPのALP活性に対する経時的な作用を、図6にはPTHrPを添加して21日目のALP活性に対するPTHrPの用量反応性を示している。PTHrPを添加すると、軟骨細胞のALP活性が抑制され、その効果はPTHrP作用させている間継続することが明らかとなった(図5・PTHrP添加群)。また、その効果は可逆的であり、培養21日目にPTHrPを培養液から抜くことでALP活性は対照群レベルまで回復した(図5・PTHrP除去群)。この効果は濃度依存的であり、10-9M以上の濃度でALP活性を抑制し始め、10-8Mでほぼ完全にALP活性を抑制した(図6)。
【0027】
また、PTHrPはそれに引き続く石灰化も抑制した。すなわち、10-7MのPTHrPは軟骨細胞への45Caの取り込みを抑制し(図7・PTHrP添加群)、その効果はPTHrPを除去することで速やかに解除されることが明らかとなった(図7・PTHrP除去群)。PTHrPの石灰化抑制作用は用量依存的であり、10-8M以上の濃度で軟骨細胞の石灰化を完全に抑制した(図8)。これらの結果より、PTHrPが変形性関節症の治療薬として有効であることを示すものである。
【0028】
【実施例5】
増殖軟骨細胞の分離は実施例1と同様、生後4週齢のウサギの肋軟骨−骨移行部より下村らの方法(Shimomura Y.et al.,Calcif.Tissue Res.19,179−187,1975)により行った。分離した軟骨細胞は10%の牛胎児血清および50μg/mlのアスコルビン酸を含むイーグルの最小必須培地(MEM)に懸濁し、I型コラーゲンをコートした3.5cmのシャーレに5,000個づつ播種した。30日間の培養後、最後の6日間に10-8および10-7MのPTHrPを作用させた。培養細胞よりCsTFA法(Smale and Sasse,Anal.Biochem.,203,352−356,1992)にてRNAを調整し、電気泳動法にて分離、その後メンブレンにトランスファーした。トランスファーしたメンブレンをX型コラーゲンおよびII型コラーゲンの32Pレベル化cDNAプローブにてハイブリダイズした。
【0029】
結果を図9に示す。図左はII型コラーゲンmRNAの発現、図右はX型コラーゲンmRNA発現を示している。その結果、10-8および10-7MのPTHrPはII型コラーゲンの発現に対し何ら影響を及ぼさなかったのに対し、X型コラーゲンmRNAの発現を用量依存的に強く阻害した。このことは、PTHrPが石灰化に強く関与しているX型コラーゲンの発現を特異的に抑制する、すなわち軟骨の石灰化を強く抑制するものの、基質成分であるII型コラーゲンの産生に悪影響を与えないことを意味している。
【0030】
【発明の効果】
本発明のPTHrPを有効成分として含有する薬剤は、変形性関節症など関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患の予防および原因療法的かつ積極的な治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】軟骨細胞中に存在するPTHrPの受容体の存在を示す電気泳動写真である。
【図2】PTHrPの軟骨基質の主成分であるプロテオグリカンの合成促進活性を示す図である。
【図3】PTHrPの軟骨細胞の増殖に対する作用を示す図である。
【図4】軟骨細胞の増殖に対するPTHrPの用量反応性を示す図である。
【図5】軟骨細胞の経時的なALP活性の増加とそれに対するPTHrPの抑制効果を示す図である。
【図6】PTHrPの用量依存的なALP活性抑制効果を示す図である。
【図7】軟骨細胞の経時的な石灰化能とそれに対するPTHrPの抑制効果を示す図である。
【図8】PTHrPの用量依存的な石灰化抑制効果を示す図である。
【図9】PTHrPのII型およびX型コラーゲンのmRNA発現に対する効果を示す電気泳動写真である。

Claims (4)

  1. 遺伝子工学的手法もしくは化学的合成方法で作製された副甲状腺ホルモン関連ぺプチド(PTHrP)であって、1−34PTHrPを有効成分として含有することを特徴とする、関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患の予防用または治療用薬剤。
  2. 副甲状腺ホルモン関連ペプチドがヒト1−34PTHrPであることを特徴とする請求項1記載の薬剤
  3. 関節軟骨組織の破壊および変性を伴う疾患が、変形性関節症であることを特徴とする請求項1または2記載の薬剤
  4. 関節軟骨組織の破壊および変性が、軟骨および軟骨下骨の石灰化を伴うものであることを特徴とする請求項1または2記載の薬剤
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