JP3901521B2 - 製氷用ヒートポンプ装置の性能改善方法 - Google Patents

製氷用ヒートポンプ装置の性能改善方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は、機械式水−蒸気圧縮の原理で作動する製氷用ヒートポンプ装置、特に「硬水」を使用する装置の性能改善方法に関する。
【0002】
本発明により提供される改良は、蒸発器−冷凍機室から水滴分離装置を経て圧縮機室内に至る微小水滴の持込みにより発生する問題を無くすことである。これは、水滴分離装置及び圧縮機室における高速回転設備の氷及び硬い水アカによる被覆を生じ、かつ効率の低下、並びにロータリー圧縮機の摩耗の原因となることがある。水滴の持込みにより発生する可能性のある更なる問題は、通過する蒸気の詰まりを起こす水滴分路装置におけるかかる過冷却水滴の凍結である。
【0003】
【発明の背景】
(脱塩、冷却、運動、娯楽などの目的の)氷は、水をその三重点(0℃、4mmHg)において真空下で同時に沸騰及び冷凍させることにより大量に極めて経済的に作り得ることが原理的に知られ、かつ実際に証明されている。こうして作られた極めて大量の希薄な水蒸気は、次いで、これが、空気冷却又は通常の冷却塔からの水のような容易に利用し得る手段により凝結し得る圧力及び温度に圧縮しなければならない。
【0004】
この形式の大型の設備が、出願人のイスラエル特許106945号及び米国特許5,520,008号に明らかにされ、数年にわたる運転により極めて実用的かつ経済的であることが証明されている。この設備は、基本的に、圧縮機室と連絡している蒸発器−冷凍機室を備え、この圧縮室は、一方では凝縮装置室と連絡している。圧縮機室は、直列運転する1対の軽くて効率的、高生産量かつ高速で比較的高い圧縮比のインペラーを収容する。低圧水滴の効果的な水滴(ミスト)分離装置が、2個のインペラーの間に置かれる。別の水滴分離装置が、蒸発器−冷凍機室と圧縮機室との間に設置される。これら水滴分離装置の役割は、以下説明されるであろうように、蒸気により捕捉された水滴又はその他の粒子により、高速インペラーが侵食され又はその他の害を受けることから保護することである。かかる水滴分離装置は(蒸気の流れの方向を鋭く変える)「ルーバー」形式のもの、又は「ニットメッシュ」(多孔性マットレス)形式のものとすることができ、或いは両形式を組み合わせて使うことができる。
【0005】
理想的に、上の形式の設備が、蒸発器−冷凍機室内に純水が供給されるようにして運転されるときは、水蒸気により捕捉された純水の水滴は、蒸発器−冷凍機室と圧縮機室との間に置かれた水滴分離装置に遭遇したとき、凝集して寸法が大きくなり、その重量が蒸気による牽引力に打ち勝って、水滴は管理可能な方法で滴下し、蒸発器−冷凍機室内に戻る。しかし、純水の水滴が過冷却状態になると、これは、水滴分離装置の表面と接触したときに凍って表面に付着し、蒸気通路を詰まらせる。この問題は、その上に形成された氷を溶かすように、水滴分離装置を周期的に又は連続的に加温する手段を提供することにより克服することができる。かかる解決法は、ルーバー形式の水滴分離装置では効果がありしばしば使用されるが、より効率的なニットメッシュ形式の水滴分離装置には非実用的である。
【0006】
上述のような製氷設備に、「硬水」、即ちカルシウム及びマグネシウムの硫酸塩及び炭酸塩のような可溶性の塩を希薄に含んだ水が供給される場合に、かなり深刻な問題が生ずる。これら不純物は、蒸発及び冷凍の双方のため水が失われるので蒸発器−冷凍機室において濃くなり、その飽和度を越えることがしばしばある。かかる過飽和水滴が固体表面に接触すると、これに含まれている少ない可溶性の塩がかかる表面上で凝結し、付着水アカを形成するであろう。この場合における加温は、水分を蒸発させて塩をより凝結させて状況をより悪化させるだけである。一方で、かかる固形物は、溶解度が小さいため、水で効果的に洗い去ることはできず、強い酸又はその他の腐食性の洗剤の使用が必要である。
【0007】
かかる水アカが、(蒸発器−冷凍機室と圧縮機室との間に置かれた)第1の水滴分離装置において形成されたときは、詰まって水蒸気の通過を妨げ、場合によってはこれを遮断することがあり、更に蒸気流により圧縮機内に運ばれ、インペラーの翼を破損させ危険である。
【0008】
固体表面への種々の塩の付着傾向は、それの水に対する溶解性により変化することが見いだされている。この溶解性は、より可溶性の塩について最小でありそして上述の硫酸塩及び炭酸塩のような溶解し難い塩に対して最高である。後者の塩は、高速回転しているインペラー翼にさえ付着するに十分な粘着性があり、翼の精密な平衡を乱し、振動させ、その軸受を急速に摩耗させる。インペラー翼を覆ったこの水アカは、設備の流体力学的効率を減らす。更に、インペラー翼の大きい遠心力が、最終的には水アカの付着に打ち勝ち、破片にさせ、非常に大きい速度と運動のエネルギーで外向きに飛ばす。かかる「弾丸」は、インペラー翼の先端及びシュラウドベーンの急速な侵食を起こして高度に破壊させる可能性がある。
【0009】
別な深刻な欠点は、この形式の製氷機械では、氷と水アカにより容易に被覆されるため、かかる状況下では、非常に効果的なニットメッシュ形式の水滴分離装置の使用が不可能なことである。
【0010】
【本発明の概要】
本発明の目的は上記問題を克服し、機械的水蒸気圧縮による製氷用ヒートポンプ装置を、それらの重要部品の幾つかが、氷で、及び/又は、それらに供給される水に含まれる不純物から発生する硬い固体で、覆われることにより引き起こされる上記説明の動作上及び保守上の問題から保護するために経済的で実行可能な方法を提供することである。
【0011】
上記目的は本発明により達成されるが、本発明は機械的な水蒸気圧縮の原理で動作し、少なくとも1つの遠心式圧縮機ユニットを有する圧縮機室と連通し、そして凝縮器室と連通する蒸発器−フリーザー室を備える製氷用ヒートポンプ装置の性能改善方法を提供し、前記方法は、
a.より粗い液滴の第1分離用に、該蒸発器−フリーザー室と該圧縮機室との間にルーバー型の第1液滴分離器を提供する過程と、
b.残る微細なスプレーの第2分離用に、該第1液滴分離器の下流にニットメッシュ型の第2液滴分離器を提供する過程と、そして
c.前記第1及び第2液滴分離器間に配置され前記第1液滴分離器に面する複数のスプレーノズルから、該蒸気流れに対し向流式に、高水溶性無機塩の希釈溶液の連続的又は間欠的(intermittent)スプレーを提供する過程を具備する。
【0012】
本発明の方法は該液滴分離器上の氷の形成のみならず該液滴分離器上か又は該インペラーブレード上か何れかへの硬いそして粘性のある堆積物の形成も除去することが見出された。第1に溶解された水溶性無機塩により引き起こされる水の凝固点降下は該液滴分離器の表面上の氷形成を防止する。第2に、該液滴分離器及び該インペラーブレードの両者上に堆積される他の固体は柔らかくそして粉末状であると見出されたので、それらは該蒸気流れにより容易にスイープされる。低溶解性硫酸塩及び炭酸塩の堆積した硬い粒子は、前者と共に堆積される高水溶性無機塩の遙かに多い量により”希釈(diluted)される”と信じられる。
【0013】
更に、該低溶解性塩と該水溶性無機塩との”混合堆積物(mixed deposits)”は該固体機器の表面への接着性に欠け、かくして該インペラーブレード上に普通は蓄積せず、もしこれがいつか必要になるならば、水洗により容易にそして有効に除去され得る。
【0014】
【本発明の説明】
ルーバー型液滴分離器は当該技術で公知であり、一般に、その表面が蒸気流れの方向に傾斜した複数の狭い間隔の”シェブロン(chevron)”形の部材を有しており、かくして該液滴用の衝突面と該部材間の多数の狭い、曲がりくねった通路とを提供する。又該”ニットメッシュ(knitmesh)”滴分離器も当該技術で普通の種類であり、連行した(entrained)ミスト又は液滴を取り込むための高表面積を提供するスクリーニング(screening)、メッシュ、チェーン(chain)又は他の種類のパッキング(packing)の密接してパック(packed)された層を含んでもよい。
【0015】
その溶液が該蒸気流れに対し向流式にスプレーされる該高水溶性無機塩は略して”塩(salt)”としてこの後引用される。本発明の方法で使用され得るこの様な塩の例はアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物(塩化又は臭化ナトリウム及び同カリウムそして塩化マグネシウムの様な)又は、硝酸塩等である。最も好ましい塩は入手可能性及び経済性の理由で塩化ナトリウムである。
【0016】
本発明でスプレーされるべき水溶液での該塩の濃度は重量で約2%から約6%とすることが出来る。塩化ナトリウムの5%水溶液が好ましい。塩化ナトリウムが本発明で使用される時、非常に硬質の水に於いても比較的少量のそれ、すなわち作られる氷の各1トン用に1kgより少ない塩化ナトリウムが必要とされる。これは技術的そして経済的両面で我慢出来るところである。
【0017】
該蒸気流れと共に液滴分離器を過ぎて該圧縮機室内へスイープされる該液滴を除けば、該スプレーされる塩溶液の主な部分は該蒸発器−フリーザー室へ戻され、該蒸発器−フリーザー室から連続的に引き出される氷スラリー製品内に含まれる。この種の多くの製氷装置では、この氷スラリーは更に氷リッチな(ice-rich slurry)スラリー又は脱水済み固体氷(dewatered solid ice)と、”コンセントレート(concentrate)”と呼ばれる溶液とに分離される。該塩のみならず該乏しい水溶性の硫酸塩及び炭酸塩もこのコンセントレート内に蓄積し、それはその名前にも拘わらず、極めて希釈されている。経済的及び環境保護的考慮のために、そして本発明の実施例に依ると、該乏しい水溶性の塩は公知の手段で、例えばナノ−フイルトレーション(nano-filtration)により該コンセントレートから分離され得て、そして該最終希釈塩溶液は次いで、約5%濃度の塩溶液を作るために、例えば逆浸透により、更に濃縮され得て、該塩溶液は次いで該スプレーノズルへリサイクルされる。この実施例に依ると、環境への汚染のリスクは無い。
【0018】
本発明の好ましい実施例に依ると、該第1(ルーバー型)及び第2(ニットメッシュ型)液滴分離器は該蒸発器−フリーザー室の出口に又はそれに隣接して水平にそして相互に平行に配置され、該第2液滴分離器が最も頂部にある。この実施例に依ると、該2つの液滴分離器の間に間挿された該スプレーノズルからのスプレーの方向は下向きである。
【0019】
本発明の方法の更に進んだ実施例に依ると、該第1ルーバー型液滴分離器を連続的又は周期的に加熱する手段も又提供される。
【0020】
【発明の詳細な記述】
図1は、一般に1で示された蒸発器−冷凍機室、及び一般に2で示された圧縮機室の部分図よりなる製氷用ヒートポンプ設備の部分的断面を図式的に示す。蒸発器−冷凍機室1には、給水用の入口3、及び氷スラリーを引き出すための出口4が設けられる。白抜きの矢印は、蒸発器−冷凍機室から圧縮機室への蒸気の流れを表す。圧縮機室への蒸発器−冷凍機室の出口にルーバー形式の水滴分離装置5が、更にこれより下流でかつこれと平行にニットメッシュ形式の水滴分離装置6が設けられる。2個の水滴分離装置の間に、高度に水に可溶性の無機塩の希釈溶液を、蒸気の流れと逆方向に噴霧するようにされたスプレーノズル7のアレイが設けられる。ルーバー形式の水滴分離装置5には、水滴分離装置の外側表面の温度を蒸気温度より高い温度、約4から約10℃に維持するように、加温用媒体、好ましくは水を循環させるためのパイプシステムが設けられる。この加温用媒体システムの入口及び出口は、図面においてそれぞれ8及び9で示され。
【0021】
圧縮機室2内に、外部モーター11により駆動され、そしてシュラウドベーン12により囲まれた高速インペラー10が図式的に示される。
【0022】
本発明の原理から離れることなく、上に図示され説明された特別な実施例に種々の変更をなし得ることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
本発明を理解するため及びこれをいかに実行できるかを見るために、限定するものでない例示のみの方法による以下の説明において、付属図面が参照されるであろう。
【図1】 機械的な水蒸気圧縮の原理で運転する製氷用のヒートポンプの断面の図式的な部分図である。

Claims (4)

  1. 機械的な水蒸気圧縮の原理で動作し、少なくとも1つの遠心式圧縮機ユニットを有する圧縮機室と連通しそして凝縮器室と連通する蒸発器−フリーザー室を備える製氷用ヒートポンプ装置の性能改善方法に於いて、前記方法が
    a.より粗い液滴の第1の分離用に、該蒸発器−フリーザー室と該圧縮機室との間にルーバー型の第1液滴分離器を提供する過程と、
    b.残る微細なスプレーの第2分離用に、該第1液滴分離器の下流にニットメッシュ型の第2液滴分離器を提供する過程と、そして
    c.前記第1及び第2液滴分離器間に配置されそして前記第1液滴分離器に面する複数のスプレーノズルから、該蒸気流れに対し向流式に、高水溶性無機塩の希釈溶液の連続的又は間欠的スプレーを提供する過程とを具備することを特徴とする製氷用ヒートポンプ装置の性能改善方法。
  2. 前記無機塩はNaClであることを特徴とする請求項の方法。
  3. 該蒸発器−フリーザー室から引き出された氷スラリーは氷リッチスラリー又は脱水済み固体氷と”コンセントレート”とに分離され、乏しい溶解性の塩が該コンセントレートから分離されそして最終NaCl溶液は該スプレーノズルへリサイクルされる約5%のNaCl溶液に濃縮されることを特徴とする請求項の方法。
  4. 機械的な水蒸気圧縮の原理で動作し、少なくとも1つの遠心式圧縮機ユニットを有する圧縮機室と連通し、そして凝縮器室と連通する、蒸発器−フリーザー室を基本的に備える製氷用ヒートポンプ装置に於いて、前記装置は、それが更に、
    a.該蒸発器−フリーザー室と該圧縮機室との間に間挿された、ルーバー型の第1液滴分離器と、
    b.該第1液滴分離器の下流のそれに平行な、ニットメッシュ型の第2液滴分離器と、そして
    c.前記第1及び第2液滴分離器の間に配置され、前記第1液滴分離器に面しており、該蒸気流れに対し向流式に、高水溶性無機塩の希釈溶液の連続的又は間欠的スプレーを提供出来る、複数のスプレーノズルとを具備することを特徴とする製氷用ヒートポンプ装置。
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