JP3901222B2 - 細胞への抗体結合の検出のための組成物および方法 - Google Patents
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Description
本発明の分野は細胞凝集である。
発明の背景
毎年、数千万単位の血液が世界中で収集され、そして等く多数の患者がこれらの血液単位を輸血として受領している。収集された血液の全ての単位および全ての患者は、輸血に先立ち適合を確実にするためRh抗原について型別されなければならない。米国特許第5,338,689号(オルト ディアグノスティクス インク(Ortho Diagnostics, Inc.))に開示されるID−マイクロ タイピング システム インク(ID-Micro Typing System, Inc.)は、赤血球の抗原の型別の単純化された方法を提供する。他の微小型別(typing)カード系もまた当該技術分野で既知である。例えば、ディアメッド AG(DiaMed AG)カード系はスイスのクレシエール(Cressier)から入手可能であり、ディアメッド−IDマイクロタイピングシステム(DiaMed-ID Micro Typing System)として知られる。加えて、バイオ ヴュー(Bio Vue)カードがオルト ディアグノスティクス(Ortho Diagnostics)から入手可能である。
慣習的な血液型別試験では、型別血清およびドナーもしくはレシピエントの赤血球の滴を試験管に入れ、そして一緒にインキュベーションする。過剰の未反応血清を洗い去り、そして1滴のウサギ抗−IgG抗体(クームス(Coomb's)試薬)を混合物に添加して、型別試薬を結合していることができる細胞の間で凝集を誘発させる。この試験は間接的凝集試験すなわち間接的クームス試験として知られる。凝集を、細胞を遠心分離しそしてチューブを1本ずつ凹面鏡上で穏やかに振とうし、かつ、細胞が懸濁液に戻る際に赤血球凝集の存在を観察して簡潔に評価する。マイクロプレート中の微小ウェルの列を試験管の代わりに使用してよい。
マイクロタイピングシステム(Micro Typing System)では、赤血球を、デキストラン−アクリルアミドゲルを通して制御された様式で遠心分離し、また、クームス試薬を特別に設計された微小チューブに予め分注する。測定された体積の血清もしくは血漿および/または赤血球を微小チューブの反応室中に分注する。必要な場合はカードをインキュベーションしそしてその後遠心分離する。凝集された赤血球はゲルの中もしくはその上で捕捉されたようになり、また、凝集されない赤血球はゲル粒子を通って移動しそして微小チューブの底でペレットを形成する。
WO 9531731 Aに記述された第二の型の血液型検出系では血液型抗原の検出方法が開示される。当該方法は、赤血球のサンプルを、プロテインA、プロテインG、プロテインA/Gもしくは普遍的κL鎖結合タンパク質から選択された免疫グロブリン結合リガンドを有するいくつかの粒子から成る反応媒体を含有する、縦軸を有する反応チューブに添加することを含んで成り、このリガンドは、粒子表面、および粒子上のリガンドに結合された抗原に特異的な抗体、場合によっては架橋抗体に結合される。反応チューブを、チューブの底のペレットの形態にある、抗体に付着していない赤血球を除去するのに十分である時間の間遠心分離する。赤血球の付着、もしくは赤血球の付着の欠如が検出され、そして付着は抗原の存在と相互に関連付けられる。
これらの方法のそれぞれは、モノクローナルもしくはポリクローナルのいずれかの抗体として真核生物細胞で産生された抗体を使用して赤血球抗原を検出するよう設計される。これらの方法は、ウイルス粒子の表面上に発現される抗体を検出するのに使用され得ない。
モノクローナル抗体を産生する能力は診断薬および治療薬に大変革を起こした。モノクローナル抗体は、典型的には抗体産生マウスリンパ球の不死化により産生され、従ってマウス抗体を産生する細胞の永久に続く供給を確実にする。しかしながら、多くのヒトの応用のためにはヒト抗体を産生することが望ましい。例えば、診断もしくは治療のいずれかの目的上ヒトに投与される抗体がヒト抗体であることが好ましい。なぜなら、ヒトへのヒト抗体の投与は投与された抗体に対する潜在的免疫反応を逃れるからである。この反応はその抗体が投与された目的を無効にしうる。
加えて、診断の目的上、ヒト抗体が使用されることが不可欠であるある状況が存在する。なぜなら、他の動物は当該診断法で検出されるべき抗原に対する抗体を作成することが不可能であるからである。例えば、ヒト赤血球のRh表現型を決定するためには抗Rh抗体を含有するヒト血清が使用されなければならない。なぜなら他の動物はヒトRh抗原を検出することが可能な抗体を作成し得ないからである。
エプスタイン−バーウイルス(EBV)仲介性の形質転換もしくは細胞融合を使用する不死化されたヒトBリンパ球によるインビトロでのヒト抗体の産生は、マウスの系と比較した場合に、EBV誘導性の形質転換および細胞融合双方の比較的低い効率のため技術的困難を伴っている。これらの問題を克服するためにM13バクテリオファージ展示を使用するヒト抗体の産生の方法が開発されている(バートン(Burton)ら、1994、Adv. Immunol. 57:191-280)。本質的には、cDNAライブラリーを抗体産生細胞の集団から得られたmRNAから生じさせる。このmRNAは再編成された(rearranged)免疫グロブリン(Ig)遺伝子をコードし、そして従ってこのcDNAはそれをコードする。増幅されたcDNAをM13発現ベクターにクローニングしてファージのライブラリーを創製する。これはそれらの表面上にヒトFab断片を発現する。目的の抗体を展示するファージを抗原結合により選択し、そして細菌中で増殖させて可溶性ヒトFab Igを産生する。かように、慣習的なモノクローナル抗体合成と対照的に、この処置はヒトIgを発現する細胞よりもむしろヒトIgをコードするDNAを不死化する。
バクテリオファージを使用する抗体の発生に関連するいくつかの困難が存在する。例えば、多くのタンパク質は非変性状態で精製され得ず、それでは精製処置がタンパク質の可溶化を必ず必要とし、これは、いくつかのタンパク質を、その上に存在する抗原部位の付随する破壊を伴い永続的に変性させうる。こうしたタンパク質は従って固相に結合され得ず、そして従ってそれらに結合する抗体をもつファージについてパニングするのに使用され得ない。こうしたタンパク質の一例がヒトRh抗原である。
この問題を解決するため、無傷の赤血球をパニング抗原として使用した方法が開発された(ジーゲル(Siegel)ら、1994、Blood 83:2334-2344)。しかしながら、ファージは生来「付着性」でありかつ赤血球は細胞表面に多数の抗原を発現するため、表面上に適切な抗体を発現しない十分な量のファージもまた赤血球に接着し、従って当該方法を所望の特異性の抗体を発現するファージの単離に非実用的にすることが発見された。
デクルイフ(De Kruif)ら(1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:3938-3942)は抗体をコードするファージの単離方法を開示し、ここでは、抗体発現ファージを抗原発現細胞および抗原を発現しない細胞の混合物とともにインキュベーションする。抗体発現ファージは抗原発現細胞に結合する。ファージでの結合の後に、蛍光的に標識された抗体を抗原発現細胞に特異的に添加する。この細胞をそれに結合された抗体発現ファージを有する混合物から除去する。蛍光的に標識された細胞の単離は、高価かつ時間のかかる処置である蛍光的に活性化された細胞選別(FACS)の技術を使用して成し遂げられる。
迅速かつ経済的であり、また、ヒトでの診断および治療の応用に有用なおびただしい数のタンパク質結合タンパク質を提供することができる組換えタンパク質、好ましくは抗体の単離方法に対する必要性が存在する。
ウイルス表面上で発現される組換えタンパク質を使用する赤血球の型別のための迅速かつ正確なアッセイに対する必要性もまた存在する。本発明はこれらの必要性を満足する。
発明の要約
本発明は、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(第一抗体は当該細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原をもつ部分に特異的であり、ここで第一抗体はバクテリオファージもまた細胞のその部分に結合させる細胞の部分に結合する)、この混合物にバクテリオファージに特異的な第二抗体を添加すること(ここで細胞のその部分に結合されたバクテリオファージへの第二抗体の結合は細胞のその部分を凝集させる)を含む細胞の凝集方法に関する。
細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(第一抗体は当該細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原に特異的であり、ここで第一抗体はバクテリオファージもまた細胞のその部分に結合させる細胞の部分に結合する)、この混合物を不活性粒子およびバクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること、そして細胞のその部分の位置を観察すること(ここで細胞のその部分の強い凝集が不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、かつ、細胞の弱い凝集が不活性粒子の下層内に配置されている細胞により示され、また、凝集のないことは微小チューブの底に配置されている細胞により示される)を含む細胞凝集の検出方法もまた本発明に包含される。
一局面において、沈降段階は遠心分離により達成される。
本発明は、さらに、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(第一抗体は当該細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原に特異的であり、ここで第一抗体はバクテリオファージもまた細胞のその部分に結合させる細胞の部分に結合する)、この混合物を、バクテリオファージに特異的な第二抗体をそれに結合している不活性粒子を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること(ここで捕捉された細胞が不活性粒子の上層の上もしくは内に配置される)を含む細胞の捕捉方法に関する。
一局面において沈降段階は遠心分離により達成される。
加えて、本発明は、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(第一抗体は当該細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原に特異的であり、ここで第一抗体はバクテリオファージもまた細胞のその部分に結合させる細胞の部分に結合する)、この混合物を、バクテリオファージに特異的な第二抗体をそれに結合している不活性粒子を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること、そして細胞のその部分の位置を観察すること(ここで、細胞のその部分の捕捉がゲル粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、また、細胞の捕捉の非存在が微小チューブの底に配置されている細胞により示される)を含む細胞捕捉の検出方法に関する。
本発明の本方法では、沈降段階は遠心分離によってもまた達成されうる。
本発明はまた、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供することを含む、細胞上での抗原をもつ部分の存在の検出方法にも関し、ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在がバクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示され、ここでバクテリオファージに特異的である第二抗体が混合物に添加される場合に、第二抗体が、細胞を凝集させる細胞の最低2個に結合されたバクテリオファージに結合し、凝集は細胞上での抗原をもつ部分の存在の指標であり、この抗原をもつ部分は第一抗体に特異的である。
細胞上の抗原をもつ部分の同定方法もまた本発明に包含される。本方法は、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供することを含んで成り、ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在がバクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示され、ここで、バクテリオファージに特異的である第二抗体が混合物に添加される場合に、第二抗体が、細胞を凝集させる細胞の最低2個に結合されたバクテリオファージに結合し、ここで凝集が抗原をもつ部分を第一抗体に特異的な抗原をもつ部分であると同定する。
本発明は、さらに、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在がバクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示される)、この混合物を不活性粒子およびバクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること、そして微小チューブ中の細胞の位置を観察すること(ここで、細胞の強い凝集が不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、この強い凝集は細胞上での抗原をもつ部分の存在の指標であり、この抗原をもつ部分は第一抗体に特異的である)を含む、細胞上での抗原をもつ部分の存在の検出方法に関する。
本発明はまた、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在が、バクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示される)、この混合物を不活性粒子およびバクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること、そして微小チューブ中の細胞の位置を観察すること(ここで、細胞の強い凝集が不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、この強い凝集が抗原を持つ部分を第一抗体に特異的な抗原をもつ部分であると同定する)を含む、細胞上の抗原をもつ部分の同定方法も包含する。
細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在が、バクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示される)、この混合物をバクテリオファージに特異的な第二抗体をそれに結合している不活性粒子を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること(ここで、捕捉された細胞は不活性粒子の上層の上もしくは内に配置され、捕捉された細胞の存在は細胞上での抗原をもつ部分の存在の指標であり、この抗原をもつ部分は第一抗体に特異的である)を含む、細胞上での抗原をもつ部分の存在の検出方法もまた提供される。
加えて、本発明は、細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現するバクテリオファージの集団を含む混合物を提供すること(ここで、細胞上での抗原をもつ部分の存在が、バクテリオファージもまた細胞の最低2個に結合させる細胞の最低2個への第一抗体の結合により示される)、この混合物をバクテリオファージに特異的な第二抗体をそれに結合している不活性粒子を含有する微小チューブに添加すること、混合物を重力下に沈降させること(ここで、捕捉された細胞は不活性粒子の上層の上もしくは内に配置され、捕捉された細胞の存在が細胞上の抗原をもつ部分を第一抗体に特異的であると同定する)を含む、細胞上での抗原を持つ部分の同定方法を包含する。
本発明の方法の一局面において、細胞は赤血球および白血球から成る群から選択される。好ましくは、細胞は赤血球である。
別の局面において、バクテリオファージはM13であり、また、第二抗体は抗M13抗体である。
なお別の局面において、第一抗体は抗赤血球抗体、好ましくは抗Rh抗体である。
さらなる局面において、抗原をもつ部分は赤血球抗原もしくはHLA抗原である。
図面の簡単な記述
図1は、磁気的に活性化された細胞選別を使用する細胞表面のFab−ファージのパニングのための戦略図である。
図2はヒト赤血球の細胞表面のビオチニル化を描くグラフである。
図3は、本発明の抗原陽性、抗原陰性の細胞分離処置を確認する一連のグラフである。
図4は、抗Rh(D)Fab/ファージ凝集の力価を測定したマイクロプレート凝集アッセイの像である。
図5は、選択された抗Rh(D)Fab/ファージクローンについてのRh(D)結合エピトープの決定を示すマイクロプレート凝集アッセイの像である。
図6はゲルカードアッセイでのFab/ファージ抗体の使用を描く像である。
詳細な記述
本発明に従えば、その上に発現された抗原に関して細胞を型別する迅速な方法が提供され、この方法はウイルスの表面上に発現される抗体の使用を基礎とする。ファージが発現する抗体を使用する細胞の型別は凝集反応での抗ファージ抗体の使用を基礎とする。
典型的には、型別されるべき細胞は本明細書で論考されるように赤血球であるとは言え、本発明は単に赤血球の型別に制限されない。
とりわけ赤血球を型別する場合に、ファージ系を使用する細胞の型別に対する有意の利点が存在する。例えば、およそ10%の血液のドナーおよびレシピエントがそれら自身のIgG抗体のいくつかで被覆される赤血球を有する。それによりこれが起こる機構は重要でない一方、赤血球上でのこれらの抗体の存在は、細胞を、IgG抗Rh型別血清を使用する慣習的方法により型別不可能にする。例えば、慣習的アッセイではIgG抗Rh型別血清を赤血球に添加する。結合されない型別血清を洗浄し、そしてクームス試薬を添加して凝集を誘発する。クームス試薬はウサギ抗ヒトIgGである。IgGで既に被覆される赤血球はいずれにしてもそれらに結合された抗Rh血清を凝集することができる。すなわち、凝集は細胞がRh陽性であろうとRh陰性であろうと起こることができる。これは難局を呈示する。なぜなら、被験者のRh表現型を決定することが可能でないからである。しかしながら、ファージ抗体をこのアッセイで使用する場合、凝集する抗体(架橋抗体)は抗ファージ抗体である。従って、細胞が既にIgGで被覆されていることはこのアッセイの結果に無関係となる。従って、ファージ抗体を使用する赤血球の型別は、偽陽性の直接クームス試験の結果を有する細胞の型別を可能にする。
ファージの型別系の使用の別の利点は、慣習的な系を上回る当該ファージ型別系の優れた感受性で見出される。標準的な間接クームス試験は、陽性の結果を生じるために赤血球あたりおよそ150ないし3000個のIgG分子を必要とする。抗Rh(D)ファージ抗体を本明細書で記述されるアッセイで使用した場合は約10〜20個の抗体のみが陽性の結果に必要とされた。いかなる特定の論理に拘束されることを願わない一方、感受性のこのおよそ10ないし100倍の増大は、細胞を結合しかつ架橋する第二抗体(すなわち抗ファージ抗体)の増大された表面を提供するこのファージの長い長さ(およそ0.5ミクロン)によるとみられる。
ウイルスの表面上に発現される抗体の産生方法が最初に、次いでウイルスに発現された抗体および抗ファージ抗体を使用する赤血球の型別方法の記述が本明細書に記述される。
タンパク質をコードするDNAおよびそれによりコードされるタンパク質の単離の新規方法が発見されている。ここで、タンパク質は好ましくは抗体であり、このタンパク質は、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、ならびにタンパク質、脂質、炭水化物および核酸の最低1種の複合体のような抗原をもつ部分に特異的に結合することが可能である。抗原をもつ部分は、抗原およびレセプターから成る群から選択される膜結合タンパク質でありうる。別の局面において、膜結合タンパク質はRh抗原のような赤血球抗原のような抗原である。抗原をもつ部分が炭水化物である場合、それは糖脂質上に発現された炭水化物、例えばP血液型抗原もしくは他の抗原でありうる。
本明細書に例示されるように、しかしそれらに制限されずに、当該方法はヒト抗体をコードするバクテリオファージを生じさせることを含んで成る。とりわけ、M13糸状ファージライブラリーによりコードされる抗Rh(D)赤血球Fab/ファージ抗体が得られる。このライブラリーは、抗体産生細胞で発現されるmRNA由来のcDNAを最初に得ることにより、高度免疫されたドナーから得られる抗体産生細胞から生じうる。IgをコードするcDNA断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびDNAのこうした断片に特異的なプライマーを使用して得られる。そのように得られるIg特異的DNAをバクテリオファージにクローニングする。Ig断片をコードするバクテリオファージを、抗原陽性の、ストレプトアビジンを結合された磁性マイクロビーズで予め被覆されたビオチニル化赤血球標的細胞および過剰の未標識赤血球の混合物に対しパニングする。ファージ表面上に抗体を発現し、この抗体は標的細胞抗原に特異的であるバクテリオファージは、標識された細胞に結合する。これらのファージを、未標識細胞に結合されるファージおよび細胞に結合されないファージから磁性カラムを使用して分離する。そのように分離されたファージは標的細胞上の抗原に特異的な抗体をコードしかつ表示する。
ファージ抗体ライブラリーを生じさせるため、cDNAライブラリーを、最初に、ファージ表面上に発現されるべき所望のタンパク質、例えば所望の抗体を発現する細胞から単離されるmRNAから得る。mRNAのcDNAコピーを逆転写酵素を使用して産生させる。Ig断片を特定するcDNAをPCRにより得、そして生じるDNAを適するバクテリオファージベクターにクローニングしてIg遺伝子を特定するDNAを含むバクテリオファージDNAライブラリーを生じさせる。異種DNAを含むバクテリオファージライブラリーを作成するための処置は当該技術分野で公知であり、かつ、例えばサンブルック(Sambrook)ら(1989、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)に記述される。
バクテリオファージライブラリーはまた、PCRで増幅されるIgをコードするcDNA断片よりむしろcDNAを使用しても得られうる。cDNAライブラリーの発生はリガンドなどのような抗体でないタンパク質の単離に有用である。
所望のタンパク質、例えば抗体をコードするバクテリオファージは、そのタンパク質が、その対応する結合タンパク質、例えばそれに対し抗体が向けられる抗原への結合にそれが利用可能であるような様式でその表面上に表示されるように工作されうる。従って、特異的抗体を発現するバクテリオファージを対応する抗原を発現する細胞の存在下にインキュベーションする場合にバクテリオファージが細胞に結合することができる。抗体を発現しないバクテリオファージは細胞に結合することができない。
バクテリオファージのパニング、すなわち所望の抗体を発現するファージの選択のために、対応する抗原を発現する細胞をビオチンのような検出可能な標識で標識する。ストレプトアビジンを結合された磁性ビーズをその後細胞に添加する。細胞を、抗原を発現しない過剰の未標識細胞と混合する。この細胞混合物をその後ファージライブラリーとともにインキュベーションし、ここで抗体を発現するファージは抗原を発現する細胞に結合する。混合物中の過剰の未標識細胞の存在は、抗体を発現しないがしかし抗原発現細胞に非特異的に別の方法で結合しうるバクテリオファージを除去する手段としてはたらく。この実験処置の詳細は実験の詳細の節で本明細書に提供される。
それに結合される抗体発現ファージを有する抗原発現細胞は混合物から磁性的に除去される。磁性除去の一例は、磁性および非磁性の細胞の混合物を、カラムを取り巻く磁場の選択的存在もしくは非存在下にカラムに注ぐことを必要とする。あるいは、磁性細胞は、単に磁石を試験管の側に対して保持すること、そして細胞を内壁に引きつけること、そしてその後非磁性細胞を溶液から慎重に除去することにより、溶液中の非磁性細胞から分離されうる。
従って、まさしく記述された当該方法は、磁性的に標識されたレセプター陽性の粒子(すなわち細胞)および未標識のレセプター陰性の粒子の混合物に対する陰性および陽性の選択を同時に実施することにより、天然もしくは合成のファージDNAライブラリー由来の、特異的な、ファージに表示されるリガンドを発現するものについて組換えファージの集団を濃縮するための処置を必要とする。
「バクテリオファージ」および「ファージ」という用語は本明細書で互換的に使用され、そして細菌を感染させるウイルスを指す。本明細書で使用されるところの「バクテリオファージライブラリー」もしくは「ファージライブラリー」という用語の使用により、異種DNA、すなわち細菌のウイルスにより本来コードされないDNAを含む細菌のウイルスの集団が意味される。
「ウイルスベクター」という用語は、それに異種DNAが挿入されているウイルスを包含する。ウイルスベクターはバクテリオファージでありうるか、もしくは真核生物のウイルスでありうる。
本明細書で使用されるところの「標的細胞」という用語により、それに対して所望の抗体が追求される抗原を発現する細胞を意味する。
本明細書で使用されるところの「パニング」もしくは「パニングされた(panned)」という用語では、所望の抗体をコードするファージの選択方法を意味する。
本明細書で使用されるところの「Fab/ファージ」という用語では、抗体のFab部分を発現するファージ粒子を意味する。
本明細書で使用されるところの「scFv/ファージ」という用語では、抗体のFv部分を一本鎖として発現するファージ粒子を意味する。
「過剰の未標識細胞」では、標識された細胞の数を超える未標識細胞の量を意味する。好ましくは、未標識細胞に対する標識された細胞の比は約1:2である。より好ましくは、未標識細胞に対する標識された細胞の比は約1:4以上である。なおより好ましくは、未標識細胞に対する標識された細胞の比は約1:10以上である。
本明細書に例示されるような方法は抗体分子のFab部分をコードするファージの発生を記述する一方、当該方法はFab抗体をコードするファージの発生に単に制限されると解釈されるべきでない。むしろ、一本鎖抗体をコードするファージ(scFv/ファージ抗体ライブラリー)もまた当該方法に包含される。Fab分子はIgL鎖全体を含んで成る、すなわち、それらはL鎖の可変および定常双方の領域を含んで成るが、しかしH鎖の可変領域および第一定常領域ドメイン(CH1)のみを包含する。一本鎖抗体分子はIgのFv断片を含む一本鎖のタンパク質を含んで成る。IgのFv断片は抗体のHおよびL鎖の可変領域のみを包含し、その中に含有される定常領域を有しない。scFvのDNAを含むファージライブラリーは、マークス(Marks)ら、1991、J. Mol. Biol. 222:581-597に記述される処置に従って生じうる。そのように生じたファージの所望の抗体の単離のためのパニングは、FabのDNAを含むファージライブラリーについて本明細書に記述されるように実施される。
当該方法はまた、その中でHおよびL鎖の可変領域がそれらがほぼ全ての可能な特異性を包含するように合成されうる合成ファージ表示ライブラリーを包含するとも解釈されるべきである。従って、抗体表示ライブラリーは「天然」もしくは「合成」であり得る(バルバス(Barbas)、1995、Nature Medicine 1:837-839;デクルイフ(de Kruif)ら、1995、J. Mol. Biol. 248:97-105)。「天然の」抗体を含む抗体表示ライブラリーは実験実施例の節に記述されるように生じうる。「合成」抗体を含む抗体表示ライブラリーはバルバス(Barbas)(1995、上記)およびその中に引用される参考文献に記述された処置に従って生じうる。
当該方法は、本明細書で例示されるようなM13以外のバクテリオファージを含むファージ表示ライブラリーの発生を包含するとさらに解釈されるべきである。λファージのような他のバクテリオファージもまたまさしく記述された方法で有用でありうる。それらの表面上に異種DNAによりコードされるペプチドを表示するλファージ表示ライブラリーが生じられている(シュテルンベルク(Sternberg)ら、1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:1609-1613)。さらに、本明細書に記述される方法が真核生物のウイルスのようなバクテリオファージ以外のウイルスを包含するよう拡大されうることが企図される。実際、哺乳動物への送達に適する遺伝子をコードし、また、その中に遺伝子が送達されるはずである特定の細胞型もしくは組織に標的を定めることが可能な抗体をコードしかつ表示する、真核生物のウイルスが生じられうる。例えば、機能性の抗体断片を表示するレトロウイルスベクターが生じている(ラッセル(Russell)ら、1993、Nucl. Acids Res. 21:1081-1085)。
それに対し抗体が生じられうる赤血球抗原は、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)を包含するRh抗原、および、ケル(Kell)、ダフィ(Duffy)、ルセラン(Lutheran)およびキッド(Kidd)血液型の赤血球抗原を包含する他の非Rh抗原を包含するがしかしこれらに制限されない。
従って、抗体を発現するファージを生じさせる方法は、単に抗Rh(D)抗体をコードするDNAの単離に制限されないが、しかしむしろ、いずれかの赤血球抗原もしくは腫瘍特異的抗原、細菌抗原などのようなしかしこれらに制限されない他の細胞抗原に対し向けられる抗体をコードするDNAの単離に使用されうる。本発明の方法は、多数の臨床上重要な血小板抗原、とくにP1A1/P1A2、Baka/Bakb、PENA/PENBなどに特異的なファージ抗体を生じさせることにより血小板を型別するのにもまた有用である。
本発明は、さらに、固形(例えば、腎、心、肝、肺)および非固形(例えば骨髄)双方の器官もしくは組織移植の場合での潜在的な移植臓器適合のためドナーおよびレシピエントを適合させる目的上、HLA抗原についてドナーの白血球を型別するのに有用である。
これらの非赤血球抗原の一に対し向けられる抗体を発現するファージの結合を検出するため、非赤血球が赤血球の凝集もしくは捕捉について本明細書に記述される処置に従って凝集もしくは捕捉されうる。凝集もしくは捕捉に先立ち、細胞は、凝集もしくは捕捉が肉眼もしくはスキャナーに明らかであるために、染色もしくは他の標識技術により「目に見える」ようにされうる。
当該方法は、抗原をもつ部分に結合するタンパク質の発生に最も有用であり、ここでは抗原をもつ部分が可溶性の形態で容易に精製されない。従って、抗原をもつ部分は、他の構造、通常は細胞膜もしくはオルガネラ膜のような細胞中の膜に関連するものを包含する。
当該方法は、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)に関与するもののような自己免疫抗体の発生にもまた有用である(ジーゲル(Siegel)ら、1994、Structural analysis of red cell autoantibodies、ガラッティ(Garratty)(編)Immunobiology of Transfusion Medicine、デッカー(Dekker)、ニューヨーク州ニューヨーク)。細胞表面の膜に関連するもしくは細胞のオルガネラ膜に関連する細胞抗原に対し向けられる自己免疫抗体は、本明細書に記述される技術を使用して単離されうる。自己免疫疾患およびそれに対し抗体が単離されうるそれらの関連する抗原は以下を包含するがしかしこれらに制限されない。すなわち、重症筋無力症(アセチルコリンレセプター;ニューロン)、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー(ミエリン;ニューロン)、自己免疫性甲状腺疾患(甲状腺刺激ホルモンレセプター;甲状腺細胞)、原発性胆汁性肝硬変(ミトコンドリア自己抗原;肝ミトコンドリア)、特発性血小板減少性紫斑病(血小板膜インテグリン;血小板)、尋常性天疱瘡(表皮抗原;表皮)、およびグッドパスチャー症候群(基底膜抗原;腎もしくは肺細胞)。
実際、本明細書に記述される方法は、細胞上で発現される抗原に対し向けられるいずれかの抗体をコードするDNAクローンの単離に有用であり、この細胞は磁性標識を用いて標識され得、また、この細胞は、アッセイで必要とされるような過剰の未標識細胞を提供するように未標識の形態で十分な量で得られることができる。
さらに、当該方法は抗体をコードするDNAの単離に制限されないが、しかしむしろ、例えば細胞レセプタータンパク質に結合するリガンド、ペプチドホルモンなどのようなしかしこれらに制限されない細胞タンパク質に対する特異性を有する他のペプチドもしくはタンパク質をコードするDNAの単離にもまた使用されうる。
当該方法はまた、細胞標識剤としてのビオチンの使用に制限されるとして解釈されるべきでもない。他の標識が使用されうるが、ただし、細胞へのそれらの添加はその上に発現されるいかなる表面タンパク質の構造上の完全性も妨害せず、また、ただし、こうした標識がそれへの常磁性マイクロビーズもしくは他の磁性物質の添加を可能にする。他のこうした標識は、活性化されたアミン、カルボキシルもしくはチオール基を保有する磁性ビーズで直接誘導体化され得る(derivitized)細胞表面のタンパク質もしくは炭水化物を包含するがしかしこれらに制限されない。加えて、フルオレセインもしくはローダミンのような色素もまた、ビオチンに類似の様式で細胞に共有結合されることができ、そして、抗色素抗体で被覆された磁性ビーズがそれに付着されうる。
本発明は、本明細書に記述される方法を使用して生じられるタンパク質およびそれをコードするDNAを包含する。例えば抗体をコードするDNAを単離するためには、DNAを本発明の方法に従って得られる抗体発現ファージから抽出する。こうした抽出技術は当該技術分野で公知であり、そして例えばサンブルック(Sambrook)ら(上記)に記述される。
本明細書で使用されるところの「単離されたDNA」は、天然に存在する状態でそれに隣接する配列から精製されているDNAの配列、セグメントもしくは断片、例えば通常はその断片に隣接する配列、例えばその中にそれが天然に存在するゲノム中の断片に隣接する配列から取り出されているDNA断片を指す。この用語はまた、本来DNAに随伴する他の成分、例えば細胞中でそれに本来随伴するRNAもしくはDNAまたはタンパク質から本質的に精製されているDNAにも当てはまる。
本発明はまた、本発明の方法に従って単離されたDNAに本質的に相同であるDNAを包含するとも解釈されるべきである。好ましくは、本質的に相同であるDNAは、本発明の方法を使用して得られるDNAに約50%相同、より好ましくは約70%相同、なおより好ましくは約80%相同、そして最も好ましくは約90%相同である。
本明細書で使用されるところの「相同な」は、2個のポリマー分子間、例えば2個の核酸分子、例えば2個のDNA分子もしくは2個のRNA分子の間、または2個のポリペプチド分子の間のサブユニット配列の類似性を指す。2個の分子の双方でのサブユニットの位置が同一のモノマーサブユニットにより占められる場合、例えば、2個のDNA分子のそれぞれの中のある位置がアデニンにより占められる場合は、それらはその位置で相同である。2個の配列間の相同性は、合致すなわち相同な位置の数の関数であり、例えば、2個の化合物の配列中の位置の半分(例えば長さ10サブユニットのポリマーで5個の位置)が相同である場合はその2配列は50%相同であり、位置の90%、例えば10のうち9が合致されるすなわち相同である場合はこの2配列は90%相同性を共有する。例として、DNA配列3’ATTGCC5’および3’TATGCG5’は50%相同性を共有する。
本発明の方法を使用して生じられる例えば抗体を含むタンパク質の本質的に純粋な調製物を得るために、タンパク質がその上でそれが発現されるファージの表面から抽出されうる。こうした抽出の処置はタンパク質精製の当業者に公知である。あるいは、例えば抗体を含むタンパク質の本質的に純粋な調製物が、その抗体をコードする単離されたDNAを発現ベクターにクローニングすること、そしてそのタンパク質をそれから発現させることにより得られうる。そのように発現されたタンパク質は、当該技術分野で公知の通常のタンパク質精製処置を使用して得られうる。
本明細書で使用されるところの「本質的に純粋な」という用語は、本来それに随伴する成分から分離されている化合物、例えばタンパク質もしくはポリペプチドを記述する。典型的には、化合物は、サンプル中の全物質の最低10%、より好ましくは最低20%、より好ましくは最低50%、より好ましくは最低60%、より好ましくは最低75%、より好ましくは最低90%、そして最も好ましくは最低99%(体積、湿潤もしくは乾燥重量、またはモルパーセントもしくはモル画分)が目的の化合物である場合に本質的に純粋である。純度はいずれかの適切な方法、例えば、ポリペプチドの場合はカラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動もしくはHPLC分析により測定され得る。ある化合物、例えばタンパク質はまた、それが本来関連する成分を本質的に含まない場合、もしくはそれがその本来の状態でそれに随伴する本来の汚染物質から分離される場合にも本質的に精製される。
本発明はまた、本発明の方法に従って得られるタンパク質もしくはペプチドの類似物も提供する。類似物は、保存的なアミノ酸配列の差異もしくは配列に影響を及ぼさない改変またはその双方により、天然に存在するタンパク質もしくはペプチドと異なり得る。
例えば、それらがそのタンパク質もしくはペプチドの一次配列を変えるとは言えその機能を通常は変えない保存的アミノ酸変更がなされうる。保存的アミノ酸置換は、典型的には、以下の群すなわち
グリシン、アラニン;
バリン、イソロイシン、ロイシン;
アスパラギン酸、グルタミン酸;
アスパラギン、グルタミン;
セリン、トレオニン;
シリン、アルギニン;
フェニルアラニン、チロシン
内の置換を包含する。(通常は一次配列を変えない)改変は、ポリペプチドのインビボもしくはインビトロの化学的誘導体化、例えばアセチル化もしくはカルボキシル化を包含する。グリコシル化の改変、例えばその合成およびプロセシングの間、もしくはさらなるプロセシング段階においてポリペプチドのグリコシル化パターンを改変すること;例えばポリペプチドをグリコシル化に影響を及ぼす酵素、例えば哺乳動物のグリコシル化もしくは脱グリコシル化酵素に曝露することにより作成されるものもまた包含される。ホスホリル化されたアミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリンもしくはホスホトレオニンを有する配列もまた包含される。
タンパク質分解性の分解に対するそれらの抵抗性を向上させるために、もしくは可溶性の特性を至適化するために、通常の分子生物学的技術を使用して改変されているポリペプチドもまた包含される。こうしたポリペプチドの類似物は、天然に存在するL−アミノ酸以外の残基、例えばD−アミノ酸もしくは天然に存在しない合成アミノ酸を含有するものを包含する。本発明のペプチドは本明細書に列挙される特定の例示的方法のいずれかの産物に制限されない。
本質的に完全長のポリペプチドに加え、本発明はそのポリペプチドの活性の断片を提供する。特異的ポリペプチドは、それが抗原をもつ部分に結合する場合、例えばある抗体の断片が完全長のタンパク質と同一の様式でその対応する抗原に結合する場合に活性であると考えられる。
本明細書で使用されるところの、ポリペプチドに適用されるような「断片」という用語は、通常は、長さが最低約50の連続するアミノ酸、典型的には最低約100の連続するアミノ酸、より典型的には最低約200の連続するアミノ酸、そして通常は最低約300の連続するアミノ酸であることができる。
ウイルスが発現する抗体を使用する赤血球の型別
本発明はその上に発現される抗原に関して細胞を型別する手段に関する。
本明細書に記述される方法を使用して生じられる、ファージが発現するタンパク質は、赤血球の型別に有用である。赤血球の迅速な試験、とりわけ、Rh抗原発現に関する赤血球の型別のためのアッセイの欠乏が存在する。慣習的(標準的クームス間接アッセイ)および非慣習的(米国特許第5,338,689号に記述されたマイクロ タイピング システムズ インク(Micro Typing Systems, Inc.)、およびWO 9531731 Aに記述されたプロテインAを基礎とするアッセイ)双方のアッセイは、そのアッセイで、モノクローナルもしくはポリクローナルのいずれかの抗体として真核生物細胞で発現される抗体の使用を信頼する。
本発明に従えば、ウイルス、好ましくはバクテリオファージの表面上に発現される抗体が記述され、これはその上に発現される抗原、好ましくはRh抗原に関して赤血球を迅速に型別するのに使用されうる。すなわち、本発明のこの方法は血液を型別するためのファージで生じられた抗体の使用を伴う。
本発明の細胞型別法は、本明細書に記述された抗体発現バクテリオファージの単離のための特定のパニング法の使用(すなわち、ファージをパニングするための磁性ビーズの使用)に制限されないが、しかしむしろ、デクルイフ(De Kruif)ら(上記)に記述された蛍光パニング法を包含するがしかしこれに制限されない他の既知のファージパニング法を使用して得られる抗体発現ファージにもまた応用可能であり、そして、将来利用可能になりうるこれまでのところ未知のファージパニング法を使用して得られるファージにもまた応用可能である。従って、本発明の赤血球型別法は、それによりバクテリオファージが得られる様式に無関係に、抗体を発現するいかなるバクテリオファージでも使用されうることが企図される。
本発明の細胞型別法は、スクリーニングのためのパニングを必要とするファージ表示ライブラリーに制限さえされない。むしろ、モノクローナル抗体系を以下のようにファージ系に変換することができ、それにより産生される抗体はパニングを必要としないとみられる。この型の系はジーゲル(Siegel)ら(1994、Blood 83:2334-2344)に記述される。簡潔には、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞のmRNAをcDNAに変換する。このDNAをPCR技術を使用して多数回増幅して複数のコピーライブラリーを生じさせ、これを本明細書に記述されるバクテリオファージ系にパッケージングする。そのように生じらたライブラリーがパニングそれ自体を必要とせず;むしろ、数個のコロニーが拾い上げられ、そして適切な抗体の産生についてスクリーニングされる。現在、多くの血液銀行は、血液の型別にABO血液型のAおよびBに対し向けられたマウスモノクローナル抗体を使用する。培養物中の細胞で産生されるモノクローナル抗体を生じさせかつ使用することであるより、細菌中で増殖されうるファージに表示される抗体を生じさせかつ使用することが最終的により安価であるため、本発明の方法は現在使用される方法を上回る有意の利点を提供する。
本発明の方法は赤血球上の抗原の検出に関し、そして、赤血球、バクテリオファージの表面上にそれにより発現された抗体を有するバクテリオファージ(ここでその抗体は赤血球抗原に特異的である)および抗バクテリオファージ抗体の混合物をインキュベーションすること、そして混合物中の赤血球がファージを結合しているかどうかを決定することを含んで成り、ここで赤血球のファージへの結合は、赤血球がバクテリオファージにより発現された抗体に結合する抗原を含有するという指標である。
ファージへの赤血球結合の検出は凝集アッセイで成し遂げられうる。凝集は慣習的凝集アッセイを使用して検出されることができ、ここで、赤血球は遠心分離されるかまたはチューブもしくはウェルの底に沈殿されるかのいずれかであり、また、凝集体の形成は沈殿された細胞を凹面鏡で検査することにより評価される。あるいは、凝集は、マイクロタイピングシステム(Micro Typing System)カードを使用して評価されることができ、ここで、抗ファージ抗体がクームス試薬の代わりに使用される。いくつかの利用可能な微小型別系が商業的に入手可能であり、これらは本発明での使用に適合されうる。
カード型別アッセイ、例えばマイクロシステムタイピング(Micro System Typing)アッセイ(しかしこれに制限されない)では、赤血球および抗体発現ファージの混合物をインキュベーションし、そして不活性粒子および抗ファージ抗体を含有する微小チューブに適用する。抗ファージ抗体はその上に結合された抗体発現ファージを有する赤血球にのみ結合することができ、この赤血球それら自身は従ってファージにより発現された抗体が結合する抗原を発現する。微小チューブを制御された様式で遠心分離し、ここで強い凝集(チューブ中での細胞/ファージに表示された抗体および抗ファージ抗体の架橋)は、チューブ全体で赤血球/ファージに表示された抗体/抗ファージ抗体の凝集体の動きを本質的に引き起こさない。凝集が起こっていない場合は、赤血球は微小チューブの底で目に見えるペレットを形成することができる。弱い凝集反応が起こった場合は、チューブ全体での赤血球の若干の分散が明らかであることができる。
微小チューブが遠心分離されることは必ずしも必要ではない。アッセイの成分の沈降は、容器をもとのままとさせそして重力を利用させることにより成し遂げられうる。しかしながら、チューブを遠心分離することがより有利である。
細胞凝集を検出するのに使用される微小チューブは、上部分および下部分を有する透明な微小チューブであり、上部分は下部分より幅広い。この微小チューブはまた、開放可能な上端部および閉鎖された底端部も有し、かつ、細胞集団をペレットにするのに十分な遠心力に抵抗することが可能である。
それが微小チューブ中に存在する粒子を指すのに使用されるような「不活性な」という用語は、それらがチューブに添加された特定の抗原もしくは抗体とのいかなる非特異的反応にも進入することができないことが理解されるためそのように命名される。不活性粒子はガスもしくは液体クロマトグラフィーのために商業で(in commerce)入手可能である不活性多孔性粒子を含みうる。これらの製品は、スウェーデンのウプサラのファルマシア AB(Pharmacia AB)により販売されるセファデックス、セファロースもしくはセファクリルのようなアガロース、ポリアクリルアミド、ポリデキストランもしくはスチレン−ジビニルベンゼンポリマーのような架橋ポリマーを基礎とする。多孔質ガラスもしくはシリカゲル粒子もまた適する。粒子径は好ましくは10〜200ミクロンである。
その中でアッセイが実施される微小チューブは米国特許第5,338,689号に記述されるもののような試験カードの形態に配置されうる。チューブはカードに固着されうるか、もしくはその中に含有されるブリスターの形態でカードの一体部分を形成しうる。
抗体発現ファージの赤血球への結合は凝集アッセイでないアッセイでもまた検出されうる。このアッセイは本明細書で「捕捉」アッセイと称される。例えば、あるいアッセイは、ゲルビーズのようなしかしこれに制限されない不活性粒子を含有する微小チューブ中で実施されることができ、ここでこのビーズは抗ファージ抗体で被覆される。抗ファージ抗体で被覆されるビーズを生じさせるためには、ビーズは最初にアビジンもしくはストレプトアビジンで被覆されうる。これは、こうした化合物を、アミノ反応性基(例えば、N−ヒドロキシスクシドイミジルエステルもしくは臭化シアン)、アミノもしくはチオール反応性基(例えばエポキシ活性化ゲル)、またはチオール反応性基(例えばチオプロピル活性化ゲル)で活性化されるゲルを使用してビーズに化学的に付着させることにより成し遂げられる。多くの活性化ゲル支持体が、例えばピアース ケミカル カンパニー(Pierce Chemical Co.)(イリノイ州ロックフォード)およびファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)(スウェーデン、ウプサラ)から商業的に入手可能である。加えて、アビジンもしくはストレプトアビジンで既に化学的に誘導体化されるゲル支持体が多くの売り主から入手可能である。
加えて、抗ファージ抗体で被覆されるビーズは、ヤギ抗ヒツジ抗体およびヒツジで作成される抗M13抗体(5−プライム 3−プライム(5-Prime 3-Prime)から入手可能)を使用することにより生じられうる。あるいは、ビーズは、ヤギ抗ウサギ抗体およびウサギで作成される抗M13抗体で被覆されうる。同様に、ビーズは、ヤギ抗マウス抗体およびマウスポリクローナルもしくはモノクローナル抗M13抗体で被覆されうる。
ビーズはまた、抗M13抗体をフルオレセインもしくは他の化合物と結合させること、そしてビーズを抗M13抗体に結合される化合物に依存して抗フルオレセイン抗体もしくは他の適切な抗体と結合させることによっても被覆されうる。
ビオチニル化抗ファージ抗体をそのように被覆されたビーズに添加して抗ファージ抗体でのビーズの被覆を達成する。赤血球およびファージが発現する抗体の混合物を抗ファージ抗体で被覆されたビーズを含有する微小チューブに適用し、インキュベーションをある時間の期間可能にし、そしてチューブを遠心分離する。その上に結合された抗体発現ファージを有する赤血球は抗ファージで被覆されたビーズにより「捕捉される」ことができ、そして従ってチューブの底に沈降することができない一方、その上に結合されたファージが発現する抗体を有しない赤血球は「捕捉される」ことができず、そしてチューブの底に沈降することができる。
本発明の好ましい一態様において、赤血球上の抗原はRh(D)抗原であり、抗体発現バクテリオファージはM13であり、そして抗ファージ抗体は抗M13抗体である。
本発明は、以下の実験実施例への言及により詳細にさらに記述される。これらの実施例は具体的な説明のみの目的上提供され、また、別の方法で明記されない限り制限することを意図されない。従って、本発明は以下の実施例に制限されると決して解釈されるべきでなく、しかしむしろ本明細書に提供される教示の結果として明らかになるいずれかのかつ全ての変動を包含すると解釈されるべきである。
精製不可能な(unpurifiable)細胞表面に発現された分子に特異的な、糸状ファージに表示されたヒトモノクローナル抗体の単離の方法が図1に記述される。抗原特異的ファージの捕捉を至適化しかつ無関係なファージ抗体の結合を最小限にするために同時の陽性および陰性選択戦略を使用した。目的の抗原をもつ細胞を磁性ビーズで予め被覆し、そして過剰の未改変の抗原陰性細胞中に希釈する。Fab/ファージライブラリーとの細胞混合物のインキュベーションの後、抗原陽性細胞集団を磁性的に活性化された細胞選別を使用して回収し、そして抗原特異的なFab/ファージを溶出しかつ細菌培養物中で増殖させる。このプロトコールを、磁性的に標識されたRh(D)陽性および過剰の未標識Rh(D)陰性のヒト赤血球ならびにヒト末梢血リンパ球から構築されたFab/ファージライブラリーとともに使用した場合、多数の独特の臨床的に有用なγ1κおよびγ1λ抗Rh(D)抗体が単一のアロ免疫感作された(alloimmunized)個人から単離された。
本発明の細胞表面選択法は推定の腫瘍特異的抗原の同定のような他の系での使用に容易に適合可能であり、また、新規のもしくはコンホメーション的に依存性の細胞表面エピトープに向けられた自己複製性の抗体試薬を単離するための迅速な(1ヶ月未満)高収量のアプローチを提供する。
本明細書に記述される実験実施例は、Fab/ファージの表示を使用する抗Rh(D)赤血球抗体の単離および産生についての処置および結果を提供する。これらの実施例はまた、抗ファージ抗体を使用する赤血球の凝集のための処置も提供する。
Fab/ファージ表示ライブラリーの創製
別個のγ1κおよびγ1λファージライブラリーを、以前にRh(D)陽性赤血球で高度免疫されたRh(D)陰性の個人からの末梢血由来の2×107個の単核細胞から構築した。ファージミドベクターpComb3(バルバス(Barbas)、1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982)を、以前に発表された方法(バルバス(Barbas)ら、1991、Combinatorial immunoglobulin libraries on the surface of phage(Phabs): Rapid selection of antigen-specific Fabs. Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:119-124;ジーゲル(Siegel)ら、1994、Blood 83:2334-2344)を利用してライブラリーを創製するのに使用した。
簡潔には、cDNAをドナー細胞のmRNAから調製し、そしてH鎖およびL鎖の免疫グロブリン(Ig)のcDNAセグメントを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、およびシルバーマン(Silverman)ら、(1995、J. Clin. Invest. 96:417-426)のものにより補充された、カング(Kang)ら(1991、”Combinatorial Immunoglobulin Libraries on the Surface of Phage(Phabs): Rapid Selection of Antigen-Specific Fabs. Methods: A Companion to Methods” in Enzymology 2:111-118)により記述された一組のヒトIgプライマーを使用して増幅した。HおよびL鎖のPCR産物をpComb3にクローニングし、そして大腸菌(E. coli)中に電気穿孔した。VCSM13ヘルパーファージ(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラホヤ)での共感染に際して、IgのDNAを、遺伝子IIIバクテリオファージコートタンパク質に融合されたヒトFab分子を発現する糸状ファージ粒子中にパッケージングした。
抗Rh(D)クローンについてのFabファージ表示ライブラリーのパニング
Rh(D)陽性赤血球を、500μg/mlのスルホ−NHS−LC−ビオチン(ピアース ケミカル(Pierce Chemical)、イリノイ州ロックフォード)とともに10%のヘマトクリットの細胞を室温(RT)で40分間インキュベーションすることにより細胞表面をビオチニル化した。リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)での5回の洗浄の後、8×106個のビオチニル化Rh(D)陽性赤血球を、100μlのPBSの総体積中で10μlのストレプトアビジン被覆された常磁性マイクロビーズ(MACSストレプトアビジンマイクロビーズ(MACS Streptavidin Microbeads)、マイテニイ バイオテック(Mitenyi Biotec)、カリフォルニア州サニーヴェイル)とともにRTで1時間インキュベーションした。未反応のビーズを洗浄により除去し、そしてその後、磁性ビーズで被覆されたRh(D)陽性赤血球を、2%脱脂粉乳を含有するPBS(MPBS、カーネーション(Carnation)、ネスレ フード プロダクツ(Nestle Food Products)、カリフォルニア州グレンデイル)40μlの最終体積中で、10倍過剰(8×107個)のRh(D)陰性(未改変)赤血球および約3×1011コロニー形成単位(cfu)のγ1κおよびγ1κλのいずれかのFab/ファージライブラリー(上述されたように調製される)と混合した。
37℃での2時間のインキュベーションの後、赤血球/ファージ懸濁液を、2%MPBSで予め平衡化されたミニMACS(MiniMACS)磁性型MSカラム(マイテニイ バイオテック(Mitenyi Biotec)、カリフォルニア州サニーヴェイル)上に10μl/分の流速で負荷した。この負荷段階は、磁性ビーズで被覆された赤血球がカラムの最上部に即座に接着すること、それを詰まらせること、そしてRh(D)陰性の非ビオチニル化赤血球の捕らえること(trapping)を引き起こすことを予防するように、カラム周辺に磁場を伴わずに実施した。磁場の非存在下での赤血球/ファージのインキュベーション混合物の負荷は、抗原陰性および抗原陽性の赤血球を流出(running off)なしでカラム全体に均一に分布させる。なぜならカラムの排除体積は40μlよりわずかに大きいからである。負荷されれば、カラムを磁場(ミニMACS磁性分離ユニット、マイテニイ バイオテック(Mitenyi Biotec)、カリフォルニア州サニーヴェイル)に2分間置いてRh(D)陽性赤血球を接着させ、そして一連の500μlの洗浄を氷冷MPBS、次いでPBSでの最終洗浄を用いて実施した。全体で3回の洗浄を最初の2回のパニングについて実施し、また、全体で6回の洗浄を全てのその後のパニングについて実施した。各パニングについて第一の洗浄を10μl/分の流速で実施し、その時間の間に大部分のRh(D)陰性赤血球がカラムを洗って落ちた。全てのその後の洗浄を200μl/分で実施した。最後の洗浄の後にカラムを磁場から取り出し、そしてビーズ被覆/ファージ被覆Rh(D)陽性赤血球を、5ccのシリンジ(ベクトン・ディッキンソン(Becton-Dickinson)、ニュージャージー州フランクリンレイクス)からのプランジャーを使用して500μlのPBSでカラムから洗い流した。
赤血球を直ちに13,000×gで5秒間遠心分離し、そしてその後200μlの76mMクエン酸、pH2.4中に再懸濁してRh(D)抗原を変性させ、そして結合されたファージを溶出した。間歇的ボルテックス攪拌を伴うRTでの10分のインキュベーション期間の後、ファージ溶出物および細胞破片を18μlの2Mトリス塩基で中和し、そして、10μg/mlのテトラサイクリンで補充されたスーパー培地(super broth)(SB)(バルバス(Barbas)ら、1991、上記)中で成長された10mlのO.D.=1.0の大腸菌(E. coli)のXL1−Blue株(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア州ラホヤ)に添加した。その時間の間にRh(D)結合体(binder)について濃縮されたファージライブラリーが細菌培養物を感染させることを可能にされた、RTでの15分間のインキュベーション後、40μg/mlのカルベニシリン/10μg/mlのテトラサイクリンを含有する予め加温された37℃のSB10mlを添加してそれぞれ20μg/mlおよび10μg/mlの最終抗生物質濃度を与えた。培養物の少量のアリコート(約100μl)を直ちに取り出し、そしてLB/カルベニシリンプレート上で力価測定して(titer)溶出物全体に含有されるファージ数を決定した。培養物の残余を300PRMで37℃で1時間振とうした。追加の抗生物質、追加のSBおよびVCSM13ヘルパーファージをその後添加し、そして培養物を記述されたように(ジーゲル(Siegel)ら、1994、上記)30℃で一夜成長させた。
ファージミド粒子を、ポリエチレングリコール8000(PEG)沈殿(バルバス(Barbas)ら、1991、上記)により培養上清から精製し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)/PBS中に再懸濁し、そして一夜透析してその後のパニングの回の間に赤血球を溶解しうる残余のPEGを除去した。従って、結果として生じるファージ調製物は、次の回のパニングの入力としてはたらく。γ1κおよびγ1λファージライブラリーを、おそらく細菌の増幅により導入されるL鎖のアイソタイプ複製でのいかなる偏りも予防するために別個にパニングした。
抗Rh(D)反応性についてのポリクローナルFab/ファージライブラリーおよび個々のファージコロニーのスクリーニング
Rh(D)抗原に対するFab/ファージの特異的を、抗Rh(D)Fab/ファージを結合している赤血球の間の凝集を誘発する架橋抗体として抗M13抗体を使用して評価した。パニングの回からのポリクローナルFab/ファージ、もしくは個々のFab/ファージ溶出物クローン由来のモノクローナルFab/ファージの100μlのアリコートを、定義された表現型(すなわちRh(D)陰性もしくは陽性)の赤血球の3%懸濁液50μlとともにインキュベーションした。
37℃での1時間のインキュベーションの後、赤血球を2mlの冷PBSで3回洗浄して未結合のFab/ファージを除去した。結果として生じる赤血球ペレットをヒツジ抗M13抗体(5−プライム 3−プライム(5-Prime 3-Prime)、コロラド州ボルダー)の10μg/ml溶液100μl中に再懸濁し、そして丸底ウェルの96穴マイクロタイタープレートに移した。プレートを平穏に(undisturbed)放置し(約2時間)そしてその後読み取った。陰性の反応を有するウェルは鋭い直径約2mmの赤血球の点を表す一方、陽性の反応すなわち凝集を有するウェルでは、凝集されたウェルでの赤血球がウェルの床全体を被覆する薄いじゅうたんを形成する。
ミニカラムゲルカード(ID−マイクロタイピングシステム(ID-Micro Typing System)、オルト ディアグノスティクス(Ortho Diagnostics)、ニュージャージー州ラリタン)(ラピエール(Lapierre)ら、1990、Transfusion 30:109-113)を利用する赤血球凝集アッセイのため、25μlのFab/ファージクローンを赤血球の50μlのアリコート(マイクロタイピングシステム(Micro Typing System)緩衝液、オルト ディアグノスティクス(Ortho Diagnostics)中の0.8%懸濁液)と混合した。この混合物を、100μl/mlの抗M13抗体中に以前に懸濁されたデキストラン−アクリルアミドビーズを含有するミニカラム上の溜め(reservoir)に入れた。37℃でのインキュベーション後、このゲルカードを70×gで10分間遠心分離し、そして読み取った。
種々雑多な方法
フローサイトメトリーのための蛍光で標識された赤血球の調製を本明細書に記述されたように実施し、そしてサンプルをライシス(Lysis)II(バージョン1.1)ソフトウエアを装備されたFACScan微小蛍光計(ベクトン・ディッキンソン(Becton-Dickinson)、カリフォルニア州マウンテンヴュー)を使用して分析した。プラスミドDNAを細菌クローンから調製した(キアウェル プラス(Qiawell Plus)、キアジェン(Qiagen)、カリフォルニア州チャッツワース)。二本鎖DNAを、L鎖もしくはH鎖のIg定常領域の逆プライマー、またはそれぞれのIg鎖に対し5’側をアニーリングする独特のpComb3ベクタープライマー(バルバス(Barbas)ら、1991、上記;ローベン(Roben)ら、1995、J. Immunol. 154:6437-6445)および自動化蛍光配列決定(アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)、カリフォルニア州フォスターシティ)を使用して配列決定した。配列を、マックベクター(MacVector)バージョン5.0配列決定ソフトウェア(オックスオード モレキュラー グループ(Oxford Molecular Group)、英国オックスフォード)およびIg生殖系列遺伝子のトムリンソン(Tomlinson)データベース(トムリンソン(Tomlinson)ら、1996、V Base Sequence Directory. MRCタンパク質工学センター(MRC Centre for Protein Engineering)、英国ケンブリッヂ)を使用して分析した。
細胞のインキュベーションおよび分離のプロトコールの実験的設計
抗赤血球反応性ファージについてFab/ファージライブラリーをパニングするための上述された実験条件は、細胞分離法および抗原特異的Fab/ファージの最終的収量を至適化することを目標とされた一連の初期研究を実施した後に決定した。検討された主なパラメータは以下を包含した。すなわち、
ビオチニル化 十分な数のストレプトアビジン被覆された磁性ビーズが赤血球を磁性カラムにより保持させる細胞に結合することができたような様式で赤血球表面をビオチニル化することができた条件を追求した。この場合、Rh(D)抗原の抗原性を破壊しうる、もしくは細胞に非特異的に抗体を吸収させうる過剰ビオチニル化が避けられるはずである。この問題点を取り扱うため、Rh(D)陽性/ケル陰性の赤血球(ケルは赤血球抗原である)(ウォーカー(Walker)ら、1993、Technical Manual、第11版、ベセスダ:アメリカ血液銀行協会(American Association of Blood Bank))を、ある範囲のスルホ−NHS−LC−ビオチン濃度とともにインキュベーションし、そしてビオチニル化の程度をフルオレセインに結合されたストレプトアビジンを利用するフローサイトメトリーにより評価した。
細胞表面のビオチニル化の程度を評価するため、変動するビオチン試薬濃度でビオチニル化されたRh(D)陽性/ケル陰性の赤血球の3%懸濁液の5μlのアリコートを、200μlのFITC−ストレプトアビジン(ジャクソン イムノリサーチ(Jackson ImmunoResearch)、メーン州バーハーバー)の100倍希釈物とともに4℃で30分間インキュベーションした(図2)。混合物をリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)で洗浄し、そして流動微小蛍光測定(−□−)により分析した。細胞のアリコートを、細胞をそれぞれ100μlの抗Rh(D)もしくは抗ケルのいずれかの型別血清とともにインキュベーションすること、細胞を洗浄すること、そしてその後それらをFITC−ヤギ抗ヒトIgG(ジャクソン イムノリサーチ(Jackson ImmunoResearch))の100倍希釈物で染色することにより、Rh(D)抗原性の保持(−△−)(すなわち特異的染色)もしくは非特異的染色の欠如(−○−)についてもまた分析した。
直線的な非飽和応答が観察された(図2)。Rh(D)抗原性の保持を抗Rh(D)型別血清を使用して評価し、そして試験された全てのビオチン濃度でビオチンでの細胞表面タンパク質の誘導体化により影響されないことが見出された(図2)。さらに、ケル陰性赤血球は非特異的に抗ケル抗体を吸着しなかった。
各ビオチニル化赤血球サンプルをその後、過剰のストレプトアビジン被覆された磁性マイクロビーズとともにインキュベーションし、そして磁性分離カラムに適用した。約108個の赤血球が、500μg/ml以上もしくはこれに等しいビオチン試薬でビオチニル化された赤血球サンプルのためのカラムにより保持され得たことが決定された。実際の赤血球/ファージのパニング実験はわずか約107個のRh(D)陽性細胞のみを使用するよう設計されたため(下を参照)、500μg/mlでの赤血球のビオチニル化は十分であることが決定された。
インキュベーション混合物中のRh(D)陽性およびRh(D)陰性RBCの濃度
Fab/ファージのパニング実験を実施するのに先立ち、磁性的に活性化された細胞分離技術のRh(D)陽性およびRh(D)陰性細胞を分離する能力を、抗Rh(D)型別血清およびフローサイトメトリーを使用して評価した(図3)。ストレプトアビジンマイクロビーズで被覆されたビオチニル化Rh(D)陽性赤血球(細胞8×106個)を、2%脱脂粉乳を含有する40μl体積のPBS(MPBS)中の10倍過剰のRh(D)陰性の被覆されない赤血球(細胞8×107個)と混合し、そしてこの混合物をミニMACSカラムに適用した。カラムを洗浄し、そして結合された細胞を本明細書に記述されるように溶出した。最初の混合物に含有された赤血球(パネルa)、カラム洗浄物(パネルb)およびカラム溶出物(パネルc)のアリコートを抗Rh(D)型別血清およびFITC−ヤギ抗ヒトIgGを用いて図2に記述されるように染色した。フローサイトメトリー図(flow cytogram)は、カラム負荷中の約90%の細胞がRh(D)陰性であったとは言え(パネルa)、それらのほぼ全部がカラムから洗い流され(パネルb)、ほぼ完全にRh(D)陽性細胞であったカラム溶出物を生じた(パネルc)ことを示す。最終溶出物の約6%のみがRh(D)陰性細胞を含んで成り(パネルc)、また、Rh(D)陰性細胞は最初にRh(D)陽性細胞に対し10倍過剰で存在したため、最初の抗原陰性免疫吸着剤(immunosorbent)細胞の約6%のみが最終的な抗原陽性調製物を汚染した。細胞分離のこの効率はFab/ファージを用いるその後のパニング実験に十分と考えられた。
上述された実験において、磁性分離カラムを詰まらせることを避けるために磁場の非存在下にカラムを負荷することが必要であった。これは、物質のどれもカラムを流出することができないように40μl未満のもしくはこれと等しい反応体積を必要とした。理論的根拠(クレッツシマー(Kretzschmar)ら、1995、Anal. Biochem. 224:413-419)に基づけば、所定の細胞表面抗原に特異的なFab/ファージの50%以上を捕捉するために40μlの体積中に必要とされる細胞の適切な濃度を算出し得る。こうした算出は、細胞あたりの抗原部位の数および結合されたFab/ファージの解離定数(KD)の関数である。赤血球(表現型「−D−/−D−」)あたり約100,000個のRh(D)抗原部位の値(モリソン(Mollison)ら、1993、Blood Transfusion in Clinical Medicine、オックスフォード(Oxford)、ブラックウェル サイエンティフィク パブリケーションズ(Blackwell Scientific Publications))およびKD=10-8ないし10-9M範囲の所望のFab/ファージの親和性を使用すれば、その場合、40μlの反応体積中の8×106個のRh(D)陽性赤血球が必要とされるとみられる。Rh(D)陽性細胞のこの数を考えれば、10倍過剰のRh(D)陰性赤血球は、磁性カラムにより抗原陽性赤血球から効果的に分離され得た抗原陰性細胞の最大量であることが見出された(図3)。
Fab/ファージライブラリーの構築およびパニング
γ1κおよびγ1λファージライブラリーを本明細書に記述されたように調製し、そしてそれぞれ7×107個および3×108個の独立の形質転換体を含有することが見出された。表1はライブラリーのパニング結果を要約する。
架橋抗体として抗M13二次抗体を利用する赤血球凝集アッセイを使用して、パニングされたポリクローナルライブラリーおよび個々の無作為に拾われたFab/ファージクローンでの抗Rh(D)Fab/ファージ活性を検出した(図4)。示される結果は、2048倍希釈までのγ1κライブラリー(パニング2)についてのRh(D)陰性赤血球に対する陰性の反応性およびRh(D)陽性赤血球に対する強く陽性の反応性を描くアッセイの代表的一例である。
γ1κライブラリーの場合には結合するファージについての有意の濃縮が1回のパニングのみの後に起こるようである一方、γ1λライブラリーについての有意の濃縮は第二の回の間に起こる。これは、パニングの所定の回の間に結合されたファージのパーセントの鋭い増加、ならびに、ポリクローナルのγ1κおよびγ1λFab/ファージライブラリーのそれぞれ1および2回のパニングの後にRh(D)陽性赤血球を凝集させる能力の双方により反映される(表1、図4)。
モノクローナルFab/ファージを、各回のパニングの間に得られた無作為に拾われた個々の細菌コロニーから調製した。第三の回のパニングにより全てのクローンが抗Rh(D)特異性を有することが明白であった(表1)。これらのFab/ファージが抗Rh(D)特異性を有し、また、特定のRh(D)陽性赤血球上に偶然存在しかつ凝集アッセイで使用された特定のRh(D)陰性赤血球上に非存在でありうる他の関連のない抗原に結合していないことを確認するため、クローンを、一団の変動する血液型特異性の11種のRh(D)陰性および陽性の赤血球に対してスクリーニングしてそれらの抗Rh(D)特異性を確認した(ウォーカー(Walker)、1993、上記)。
遺伝子レベルでのクローン分析
無作為に拾われた抗Rh(D)クローンのなかでの遺伝子の多様性を検討するため、プラスミドDNAをクローンのそれぞれから調製し、そして対応するHおよびL鎖のIgのヌクレオチド配列を同定した。表2には、最も密接に関連する生殖系列のHもしくはL鎖のIg遺伝子の名称を包含する各クローンの多数の属性が列挙される。ヌクレオチドレベルでのより詳述される分析は、抗Rh(D)結合クローンの全部のなかに多数の独特のHおよびL鎖のDNA配列が存在したことを示した(表3)。Fab/ファージ表示ライブラリーの創製の間に起こるHおよびL鎖の遺伝子セグメントの無作為的組替え(random shuffling)のため(バルバス(Barbas)ら、1991、上記)、これらのH鎖およびL鎖がほぼ50種の異なる抗Rh(D)抗体を形成するよう結合したことが明らかである。
予測されたアミノ酸配列の詳述された多数の整列分析は、全部で25種の独特のH鎖、18種の独特のκL鎖および23種の独特のλL鎖タンパク質を示した。ライブラリー構築の間の連結効果により、これらのHおよびL鎖遺伝子セグメントが対になって50種の独特のFab抗体(20種のγ1κおよび30種のγ1λ)を産生した。目的の、全25種の独特のH鎖および18種の独特のκL鎖のほぼ全部は、それぞれわずか5種のVHIIIもしくは4種のVκIの生殖系列遺伝子由来であった一方、λL鎖は生殖系列遺伝子のより多様な組由来であった。パニングされないライブラリーからの60種を越える陰性クローンからのHおよびL鎖のヌクレオチド配列の分析を実施して、選択の前に可変領域ファミリーの表示での不均一性を確認した。VHファミリーI(13%)、III(36%)、IV(31%)、V(15%)およびVI(5%);VκファミリーI(43%)、II(14%)、III(29%)およびIV(14%);ならびにVγファミリーI(48%)、II(4%)、III(9%)、IV(4%)、V(9%)、VI(17%)およびVII(9%)を表すクローンが存在した。
タンパク質レベルでのクローン分析
抗Rh(D)クローンのなかでの精密な特異性(Rh(D)抗原エピトープ特異性)での多様性を検討するため、凝集実験を、選択されたクローン、およびその赤血球があるエピトープを欠くRh(D)抗原を産生する個人から得られた希な(rare)Rh(D)陽性赤血球の組を用いて実施した。突然変異体の赤血球のこうした組での特定の抗Rh(D)抗体の凝集のパターンの検査は、それに抗体が向けられるRh(D)上の特異的エピトープの同定を可能にする(モリソン(Mollison)ら、1993、上記)。こうした実験の代表的一例が図5に示され、また、選択された抗Rh(D)Fab/ファージクローンのRh(D)エピトープが表2に要約される。
凝集実験を、抗Rh(D)陰性赤血球(rr)、Rh(D)陽性赤血球(R2R2)および「部分的」Rh(D)陽性赤血球(モザイクIIIa、IVa、Va、VI、VII)を用いて実施した。示される結果は、5個の無作為に拾われた抗Rh(D)Fab/ファージクローンについてのアッセイの代表的一例である(図5)。
血液銀行の型別試薬としてのFab/ファージ抗体の使用
マイクロプレート赤血球凝集アッセイ(図4および5)でのRh(D)陰性をRh(D)陽性赤血球と正確に区別する抗Rh(D)Fab/ファージ調製物の能力は、慣習的血清を使用して赤血球を表現型で分類する(phenotype)ために血液銀行により使用されるゲル試験(ラピエール(Lapierre)ら、1990、Transfusion 30:109-113)がFab/ファージでの使用に適合され得たという証拠を提供した。
ゲル試験は、それぞれ抗ヒトグロブリン(クームス試薬)中に懸濁された約20μlのデキストラン−アクリルアミドビーズで満たされた6個のミニカラムを含有するおよそ5×7cmのプラスチックカードを含んで成る。型別されるべき赤血球を所望のヒト抗血清とともにインキュベーションし、そしてゲルを通して遠心分離する。それに抗血清が向けられる抗原について陽性である赤血球は、それらが抗ヒトグロブリンに遭遇する際に凝集し、そしてゲルマトリックス中もしくはその上に捕えられたようになる。非反応性赤血球はゲル粒子を通って沈降し、そして微小チューブの底にペレットを形成する。ゲル試験は、減少された試薬量、細胞洗浄段階の除外および結果のより客観的な解釈を包含する、赤血球の表現型分類の伝統的血液堆積(banking)法を上回る多数の利点を提供するため、多くの血液銀行施設がこの新技術を適合している。図6に示されるように、抗Rh(D)Fab/ファージは、抗M13抗体を含有するよう改変されるゲルカードとともに使用され得る。
アッセイを実施するため、Rh(D)陰性もしくは陽性の赤血球を抗Rh(D)Fab/ファージ(γ1κライブラリー、パニング2)の希釈物とともにインキュベーションし、そして抗M13抗体中に懸濁されたビーズを含有する微小カラム中に遠心分離した。未希釈のFab/ファージのストックは、マイクロプレート沈殿アッセイ(図4)でのものに類似の5×1012cfu/mlの力価を有した。このアッセイで使用されたFab/ファージの量はマイクロプレートアッセイでのものの1/4であるため、625倍希釈物中に存在するFab/ファージの量は図4の2048倍希釈物中に存在するものとほぼ等しい。従って、陽性の結果を生じるのに必要とされるFab/ファージの数は双方のアッセイで本質的に同等である。
まさしく記述されたように実施された他のアッセイでは、抗M13抗体がアッセイから除外された場合に赤血球の凝集が観察されなかった。加えて、抗IgG抗体はバクテリオファージの表面上に発現された組換えFabと反応しない。抗Rhファージと反応したRh陽性細胞のみが、抗M13抗体がアッセイで存在した場合に凝集した。高濃度の抗M13抗体を使用した場合に、Rh陰性の細胞さえ凝集されたようであったことに注目すべきである。これは、大量の抗M13抗体の存在下に架橋されたようになりそしてそれを通って全てのRh陰性細胞が横断し得るわけでない半非貫通性のマット(mat)を形成する、未結合の(すなわち未反応の)ファージの架橋から生じる人工産物である。本明細書に記述される実験において、また、約100μg/mlの抗M13濃度は凝集および偽陽性の結果の予防に至適であると考えられた。アッセイで使用された試薬および細胞の正確な濃度に依存して、抗M13の濃度はこの数から逸脱しうる。
抗M13で改変されたマイクロタイピングシステム(Micro Typing System)の相対的感受性を評価するため、マイクロタイピングシステム(Micro Typing System)カードのカラムはそれらに100μg/mlの抗M13抗体を添加していた。Rh陰性もしくはRh陽性の赤血球を、未希釈もしくは5倍の連続的希釈物(5倍、25倍、125倍、625倍および3125倍)の抗Rhファージ抗体とともにインキュベーションした。カードを遠心分離し、そしてサンプルを凝集について評価した。改変されたマイクロタイピングシステムカードアッセイは、625倍と3125倍との間の希釈物で抗Rh凝集を検出することが可能であった。
腫瘍特異的抗体の単離のための処置
腫瘍細胞に特異的なFab/ファージは、インビトロ診断(生検、液体もしくは血液サンプルの検査室アッセイ)、腫瘍/転位のインビボでの標識(画像形成プローブへの抗体の結合)または悪性病変の治療(化学的もしくは放射活性のトキシンへの抗体の結合)に有用である。腫瘍特異的抗体はまた、抗腫瘍ワクチンの基礎を形成しうる腫瘍細胞上の新規の抗原もしくはマーカーの同定にも有用である。さらに、抗イディオタイプ抗体の発生に有用な腫瘍特異的抗体もまた抗腫瘍ワクチンの基礎を形成しうる。
抗腫瘍抗体は、本質的に抗Rh抗体の発生に関して本明細書に記述されたように生じられる。腫瘍細胞、例えば悪性黒色腫細胞(しかしこれに制限されない)を、細胞表面をビオチニル化し、ストレプトアビジン磁性マイクロビーズで標識し、そしてその後過剰の正常のメラノサイトと混合する。Fab/ファージライブラリーを、治療上有用な抗腫瘍抗体を保有する黒色腫患者の末梢血リンパ球から生じさせる。彼ら自身を「治療」した多数の黒色腫患者は、明らかに体液性(すなわち抗体)免疫応答を装備することによりそうした。これらのFab/ファージライブラリーを細胞の混合物とともにインキュベーションする。悪性細胞に特異的なエピトープに対し向けられるFab/ファージは悪性細胞に結合することができ、また、その後、磁性カラムパニングのアプローチを利用して単離されうる。
細菌の毒性因子を同定するFab/ファージの単離
本明細書に記述されるアプローチは悪性の細菌とそれらの非病原性の同等物(counterpart)との間の差異を検出することが可能なFab/ファージを単離するのに使用されうる。この場合、毒性株の細菌を磁性的に標識し、非病原性の同等物で希釈し、そして、毒性株に感染した個人から得られたリンパ球から生じられるab/ファージライブラリーを添加する。この様式で単離されるFab/ファージは、それに対し抗菌化合物および/もしくはワクチンが開発されうる新規細菌抗原の同定に有用でありうる。
本明細書で引用されるそれぞれのかつ全ての特許、特許出願および出版物の開示はこれによりそっくりそのまま引用により本明細書に組み込まれる。
本発明は特定の態様に関して開示された一方、本発明の他の態様および変動が本発明の技術思想および範囲から離れることなく当業者により案出されうることが明らかである。付属として付けられる請求の範囲は、全てのこうした態様および同等の変動を包含すると解釈されることを意図される。
Claims (21)
- 細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現する前記バクテリオファージの集団を含む混合物を提供し、前記第一抗体は前記細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原をもつ部分に特異的なものであり、かつ前記第一抗体は前記バクテリオファージもまた前記細胞の前記部分に結合させる前記細胞の前記部分に結合するものであり、そして前記混合物に前記バクテリオファージに特異的な第二抗体を添加することを含んでなり、ここで前記細胞の前記部分に結合されたバクテリオファージへの前記第二抗体の結合は前記細胞の前記部分を凝集させるものである、細胞の凝集方法。
- 前記細胞が赤血球および白血球から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
- 前記細胞が赤血球である、請求項2記載の方法。
- 前記バクテリオファージがM13である、請求項1記載の方法。
- 前記第二抗体が抗M13抗体である、請求項1記載の方法。
- 前記第一抗体が抗赤血球抗体である、請求項1記載の方法。
- 前記第一抗体が抗Rh抗体である、請求項6記載の方法。
- 前記抗原をもつ部分が赤血球抗原である、請求項1記載の方法。
- 前記抗原をもつ部分がHLA抗原である、請求項1記載の方法。
- 細胞集団およびバクテリオファージの表面上に第一抗体を発現する前記バクテリオファージの集団を含む混合物を提供し、前記第一抗体は前記細胞集団中の細胞の少なくとも一部分により発現される抗原に特異的なものであり、かつ前記第一抗体は前記バクテリオファージもまた前記細胞の前記部分に結合させる前記細胞の前記部分に結合するものであり、そして前記混合物を不活性粒子および前記バクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、前記混合物を重力下に沈降させること、そして前記細胞の前記部分の位置を観察することを含んでなり、ここで、前記細胞の前記部分の強い凝集が前記不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、かつ、前記細胞の弱い凝集が前記不活性粒子の下層内に配置されている細胞により示され、また、凝集のないことは前記微小チューブの底に配置されている細胞により示されるものである、細胞凝集の検出方法。
- 沈降段階が遠心分離により達成される、請求項10記載の方法。
- 前記細胞が赤血球および白血球から成る群から選択される、請求項10記載の方法。
- 前記細胞が赤血球である、請求項12記載の方法。
- 前記バクテリオファージがM13である、請求項10記載の方法。
- 前記第二抗体が抗M13抗体である、請求項14記載の方法。
- 前記第一抗体が抗赤血球抗体である、請求項13記載の方法。
- 前記第一抗体が抗Rh抗体である、請求項16記載の方法。
- 前記抗原をもつ部分が赤血球抗原である、請求項10記載の方法。
- 前記抗原をもつ部分がHLA抗原である、請求項10記載の方法。
- 細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現する前記バクテリオファージの集団を含む混合物を提供し、前記細胞上での前記抗原をもつ部分の存在が前記バクテリオファージもまた前記細胞の最低2個に結合させる前記細胞の前記最低2個への前記第一抗体の結合により示されるものであり、前記混合物を不活性粒子および前記バクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、前記混合物を重力下に沈降させること、そして前記微小チューブ中の細胞の位置を観察することを含んでなり、ここで、細胞の強い凝集が前記不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、この強い凝集は前記細胞上での前記抗原をもつ部分の存在の指標であり、この抗原をもつ部分は前記第一抗体に特異的なものである、細胞上での抗原をもつ部分の存在の検出方法。
- 細胞集団およびバクテリオファージの表面上に既知の第一抗体を発現する前記バクテリオファージの集団を含む混合物を提供し、前記細胞上での前記抗原をもつ部分の存在が、前記バクテリオファージもまた前記細胞の最低2個に結合させる前記細胞の前記最低2個への前記第一抗体の結合により示されるものであり、前記混合物を不活性粒子および前記バクテリオファージに特異的な第二抗体を含有する微小チューブに添加すること、前記混合物を重力下に沈降させること、そして前記微小チューブ中の細胞の位置を観察することを含んでなり、ここで、細胞の強い凝集が前記不活性粒子の上層の上もしくは内に配置されている細胞により示され、この強い凝集が前記抗原を持つ部分を前記第一抗体に特異的な抗原をもつ部分であると同定する、細胞上の抗原をもつ部分の同定方法。
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