JP3899265B2 - 大変位走査機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡等に用いられる走査機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型プローブ顕微鏡は、例えば、探針と試料とを相対的にXY方向にラスター走査(XY走査)しながら、Z方向についても試料と探針との相互作用が一定になるようフィードバック制御(Z走査)することにより、試料の所望の領域の表面情報を得る装置である。
【0003】
その走査機構は、探針あるいは試料を移動(XY走査およびZ走査)させるためのアクチュエーターを有しており、それには一般に圧電アクチュエーターが利用されている。走査機構は、例えば、一軸に沿って変位し得る複数の積層型圧電アクチュエーターを組み合わせて構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
走査型プローブ顕微鏡の走査機構は、例えば長いストロークすなわち広い走査範囲を有していることが望まれている。また、その一方で、高速走査のために高い共振周波数を有していることが望まれている。
【0005】
広い走査範囲を得るには、変位軸に沿った寸法が長いアクチュエータを用いればよい。しかし、長いアクチュエーターは曲げ方向の剛性が低く、振動し易く、共振周波数が低いため、高速で駆動することができない。従って、長いアクチュエーターを用いた走査機構は高速走査に適さない。
【0006】
本発明の目的は、広い走査範囲を有しながらも、高速走査に適した走査機構を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はひとつには、走査対象物を一本の軸に沿って走査するための大変位走査機構であり、走査される移動部材と、複数のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの中間部材とからなり、一本の軸に沿って変位し得るアクチュエーターと、アクチュエーターを支持する支持部材と、アクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、中間部材の不所望な動きを規制するアクチュエーター用直動案内とを有し、移動部材はアクチュエーターの一方の端に固定され、アクチュエーターの他方の端は支持部材に固定されている。
【0008】
本発明はひとつには、走査対象物を二本の軸に沿って走査するための大変位走査機構であり、走査される移動部材と、複数の第一のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの第一の中間部材とからなり、第一の軸に沿って変位し得る第一のアクチュエーターと、第一のアクチュエーターを支持する第一の支持部材と、複数の第二のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの第二の中間部材とからなり、第一の軸と異なる第二の軸に沿って変位し得る第二のアクチュエーターと、第二のアクチュエーターを支持する第二の支持部材と、第一のアクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、第一の中間部材の不所望な動きを規制する第一のアクチュエーター用直動案内と、第二のアクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、第二の中間部材の不所望な動きを規制する第二のアクチュエーター用直動案内とを有しており、移動部材は第一のアクチュエーターの一方の端に固定され、第一のアクチュエーターの他方の端は第一の支持部材に固定され、第一の支持部材は第二のアクチュエーターの一方の端に固定され、第二のアクチュエーターの他方の端は第二の支持部材に固定されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の大変位走査機構の第一の実施の形態が図1と図2に示される。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態の大変位走査機構100は、走査される移動部材110と、一本の軸すなわちZ軸に沿って変位し得るアクチュエーター120と、アクチュエーター120を支持する支持部材130とを有している。
【0012】
図1と図2から分かるように、支持部材130は有底円筒形状をしている。つまり、支持部材130は円柱の外観形状を有し、その中央にZ軸に沿って延びる孔132を有している。
【0013】
アクチュエーター120は、図1に示されるように、支持部材130の孔132の中に配置され、下側の端部が支持部材130(の孔132の底面)に例えば接着により固定されている。移動部材110は、アクチュエーター120の上側の端部に例えば接着により固定されている。
【0014】
アクチュエーター120は、例えば、複数の(例えば三つの)アクチュエーター要素122と、それらを互いに連結している少なくとも一つの(例えば二つの)中間部材124とで構成されている。しかしながら、アクチュエーター120は、比較的長い一つのアクチュエーター要素で構成されてもよい。
【0015】
アクチュエーター要素は例えば積層型圧電アクチュエーターであるが、これに限定されることはなく、チューブ型圧電アクチュエーターや磁歪アクチュエーターなどであってもよい。
【0016】
大変位走査機構100は更に、アクチュエーター120の不所望な曲がりを規制するためのアクチュエーター用直動案内を有している。
【0017】
アクチュエーター用直動案内は、図1と図2から分かるように、中間部材124の各々に接して配置される複数の(例えば三つの)鋼球142と、鋼球142をZ軸に垂直に中間部材124に押し付ける中間部材押圧機構とで構成されている。
【0018】
中間部材押圧機構は、支持部材130に設けられた三つのねじ孔134と、これらのねじ孔134に係合された三本のねじ144とで構成されている。三つのねじ孔134は共にZ軸に直交し、Z軸周りに120°の間隔に配置されている。
【0019】
アクチュエーター用直動案内は、Z軸に平行な中間部材124の移動を妨げることなく、Z軸に非平行な中間部材124の移動を抑える。中間部材124は、変位量が小さいときは、鋼球142の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球142との間のすべりにより、あるいは鋼球142のころがりにより変位すると考えられる。
【0020】
大変位走査機構100は更に、移動部材の不所望な動きを規制するための移動部材用直動案内を有している。
【0021】
移動部材用直動案内は、アクチュエーター用直動案内と同様に、移動部材110に接して配置される三つの鋼球152と、鋼球152をZ軸に垂直に移動部材110に押し付ける移動部材押圧機構とで構成されている。移動部材押圧機構は、支持部材130にZ軸周りに等間隔で形成されたZ軸に直交する三つのねじ孔136と、これらのねじ孔136に係合された三本のねじ154とで構成される。
【0022】
この移動部材用直動案内は、Z軸に平行な移動部材110の移動を妨げることなく、Z軸に非平行な移動部材110の移動を抑える。移動部材110は、変位量が小さいときは、鋼球152の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球152との間のすべりにより、あるいは鋼球152のころがりにより変位すると考えられる。
【0023】
アクチュエーター120は、その変位軸すなわちZ軸に沿って並べて配置された複数のアクチュエーター要素122を有しているので、大変位走査機構100は長いストロークすなわち走査範囲を有する。
【0024】
アクチュエーター120の曲げ方向の剛性は当然ながらアクチュエーター要素122の曲げ方向の剛性よりも低い。しかし、アクチュエーター要素122を連結している中間部材124はアクチュエーター用直動案内によってZ軸に非平行な移動が規制されているので、アクチュエーター120の曲げ方向の剛性は、それ単体の曲げ方向の剛性よりも高い。
【0025】
つまり、大変位走査機構100のアクチュエーター120の曲げ方向の剛性は、アクチュエーター用直動案内によって、アクチュエーター要素122を単に連結した構造体(すなわちアクチュエーター120単体)の曲げ方向の剛性よりも高められている。
【0026】
曲げ方向の共振周波数(横振動)は伸縮方向の共振周波数(縦振動)よりも低いので、横振動の共振周波数を上げることで、制御系からみたメカ系の一次共振周波数を上げることができる。制御対象であるメカ系の共振周波数が高くなれば、制御系の周波数を上げることができ、応答の速い制御が可能になる。
【0027】
従って、大変位走査機構100は、アクチュエーター120の曲げ方向の剛性が高められていることにより、共振周波数が高く、高い周波数で駆動することができる。
【0028】
また、大変位走査機構100は、アクチュエーター120の曲げ方向の剛性が高められているので、曲げ方向の振動変位が小さく、正確な駆動ができる。これに加えて、移動部材110は移動部材用直動案内によってZ軸に非平行な移動が規制されているので、大変位走査機構100は移動部材110の振動が少ない。
【0029】
アクチュエーター要素122である圧電アクチュエータは焼結材なので破損しやすい。また薄い圧電体を積層した積層型圧電アクチュエータは接着面が多く、接着面は引っ張り応力に弱い。しかし、アクチュエーター120の曲げ方向の剛性が高められているので、大変位走査機構100は圧電アクチュエータのせん断応力や曲げ応力による破損を効果的に防止できる。
【0030】
本発明の大変位走査機構は上述した実施の形態に限定されない。従って、本実施形態の大変位走査機構100は様々な変形されてもよい。
【0031】
例えば、アクチュエーター用直動案内は、図3に示されるように、中間部材124の各々に接して配置される四つの鋼球142と、鋼球142をZ軸に垂直に中間部材124に押し付けるために、支持部材130にZ軸周りに等間隔で形成されたZ軸に直交する四つのねじ孔134と、これらのねじ孔134に係合された四本のねじ144とで構成されてもよい。
【0032】
また、アクチュエーター用直動案内は、鋼球を用いた案内の他に、ローラーすなわちころを用いた案内や、線材の曲げを利用した案内、板材の曲げを利用した案内、O−リング等の弾性部材を用いた案内であってもよい。
【0033】
本発明の大変位走査機構の第二の実施の形態が図4と図5に示される。
【0034】
図4と図5に示されるように、本実施形態の大変位走査機構200は、走査される移動部材210と、一本の軸すなわちX軸に沿って変位し得るアクチュエーター220と、アクチュエーターを支持する支持部材230とを有している。
【0035】
支持部材230は、板状のベース部232と、ベース部232から突出した側壁部234とを有してる。ベース部232はXY平面に沿って広がり、側壁部234はZX平面に沿って広がっている。
【0036】
移動部材210はアクチュエーター220の一方の端に例えば接着により固定され、アクチュエーター220の他方の端は支持部材230の側壁部234に例えば接着により固定されている、
アクチュエーター220は、複数の(例えば三つの)アクチュエーター要素212と、それらを互いに連結している少なくとも一つの(例えば二つの)中間部材224とで構成されている。しかし、アクチュエーター220は一つの長いアクチュエーター要素で構成されてもよい。
【0037】
アクチュエーター要素は例えば積層型圧電アクチュエーターであるが、これに限定されることはなく、チューブ型圧電アクチュエーターや磁歪アクチュエーターなどであってもよい。
【0038】
大変位走査機構200は更に、アクチュエーター220の不所望な曲がりを規制するためのアクチュエーター用直動案内と、移動部材210の不所望な動きを規制するための移動部材用直動案内を有している。
【0039】
アクチュエーター用直動案内と移動部材用直動案内は、与圧板262と、これを支持部材230のベース部232に固定するためのねじ264とを共有しており、アクチュエーター用直動案内はアクチュエーター220の中間部材224と支持部材230のベース部232の間にこれらに接して配置される複数の鋼球242と、中間部材224と与圧板262の間にこれらに接して配置される複数の鋼球244とを有し、移動部材用直動案内は移動部材210とベース部232の間にこれらに接して配置される複数の鋼球252と、移動部材210と与圧板262の間にこれらに接して配置される複数の鋼球254とを有している。
【0040】
与圧板262とねじ264は、鋼球242と244をアクチュエーター220の中間部材224にX軸に垂直に押し付ける移動部材押圧機構と、鋼球252と254を移動部材210にX軸に垂直に押し付ける移動部材押圧機構を兼ねている。
【0041】
アクチュエーター用直動案内は、X軸に平行な中間部材224の移動を妨げることなく、X軸に非平行な中間部材224の移動を抑える。中間部材224は、変位量が小さいときは、鋼球242と鋼球244の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球242と鋼球244との間のすべりにより、あるいは鋼球242と鋼球244のころがりにより変位すると考えられる。
【0042】
また、移動部材用直動案内は、X軸に平行な移動部材210の移動を妨げることなく、X軸に非平行な移動部材210の移動を抑える。移動部材210は、変位量が小さいときは、鋼球252と鋼球254の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球252と鋼球254との間のすべりにより、あるいは鋼球252と鋼球254のころがりにより変位すると考えられる。
【0043】
アクチュエーター220はX軸に沿って配置された複数のアクチュエーター要素222を有しているので、大変位走査機構200は長いストロークすなわち走査範囲を有している。
【0044】
アクチュエーター220の曲げ方向の剛性はアクチュエーター要素222の曲げ方向の剛性よりも低い。しかし、アクチュエーター要素222を連結している中間部材224はアクチュエーター用直動案内によってX軸に非平行な移動が規制されているので、アクチュエーター220の曲げ方向の剛性は、それ単体の曲げ方向の剛性よりも高い。
【0045】
つまり、大変位走査機構200のアクチュエーター220の曲げ方向の剛性は、そのアクチュエーター要素222を単に連結した構造体(すなわちアクチュエーター220単体)の曲げ方向の剛性よりも高められている。
【0046】
従って、大変位走査機構200は、共振周波数が高く、高い周波数で駆動することができる。また、曲げ方向の振動変位が小さく、正確な駆動ができる。さらに、圧電アクチュエータのせん断応力や曲げ応力による破損を効果的に防止できる。
【0047】
アクチュエーター220の曲げ方向の剛性が高められていることに加えて、移動部材210は移動部材用直動案内によってX軸に非平行な移動が規制されているので、大変位走査機構200は移動部材210の振動が少ない。
【0048】
本発明の大変位走査機構は上述した実施の形態に限定されない。従って、本実施形態の大変位走査機構200は様々な変形されてもよい。
【0049】
例えば、アクチュエーター用直動案内と移動部材用直動案内は、鋼球を用いた案内に限定されるものではなく、他の適当な案内、例えば、ローラーすなわちころを用いた案内や、線材の曲げを利用した案内、板材の曲げを利用した案内、弾性部材を用いた案内であってもよい。
【0050】
本発明の大変位走査機構の第三の実施の形態が図6と図7に示される。
【0051】
図6と図7に示されるように、大変位走査機構300は、走査される移動部材310と、第一の軸すなわちX軸に沿って変位し得る第一のアクチュエーターすなわちX走査用アクチュエーター320と、X走査用アクチュエーター320を支持する第一の支持部材330と、X軸と異なる第二の軸すなわちY軸に沿って変位し得る第二のアクチュエーターすなわちY走査用アクチュエーター370と、Y走査用アクチュエーター370を支持する第二の支持部材380とを有している。
【0052】
移動部材310は、四角柱状のベース部312と、そこからZ軸に沿って突出した突出部314とを有している。突出部314の上面は、試料が載せられるステージとして機能する。
【0053】
第一の支持部材330は、板状のベース部332と、そこからZ軸に沿って突出した壁部334とを有してる。ベース部332はXY平面に沿って広がり、壁部334はYZ平面に沿って広がっている。
【0054】
第二の支持部材380は、板状のベース部382と、そこからZ軸に沿って突出した側壁部384とを有してる。ベース部382はXY平面に沿って広がり、側壁部384はZX平面に沿って広がっている。
【0055】
移動部材310のベース部312はX走査用アクチュエーター320の一方の端に例えば接着により固定され、X走査用アクチュエーター320の他方の端は第一の支持部材330の壁部334に例えば接着により固定されている。第一の支持部材330のベース部332はY走査用アクチュエーター370の一方の端に例えば接着により固定され、Y走査用アクチュエーター370の他方の端は第二の支持部材380の側壁部384に例えば接着により固定されている。
【0056】
X走査用アクチュエーター320は、複数の(例えば三つの)第一のアクチュエーター要素322と、それらを互いに連結している少なくとも一つの(例えば二つの)中間部材324とで構成されている。しかし、X走査用アクチュエーター320は一つの長いアクチュエーター要素で構成されてもよい。
【0057】
同様に、Y走査用アクチュエーター370は、複数の(例えば三つの)第二のアクチュエーター要素372と、それらを互いに連結している少なくとも一つの(例えば二つの)中間部材374とで構成されている。しかし、Y走査用アクチュエーター370は一つの長いアクチュエーター要素で構成されてもよい。
【0058】
アクチュエーター要素は例えば積層型圧電アクチュエーターであるが、これに限定されることはなく、チューブ型圧電アクチュエーターや磁歪アクチュエーターなどであってもよい。
【0059】
大変位走査機構300は更に、X走査用アクチュエーター320の不所望な曲がりを規制するための第一のアクチュエーター用直動案内すなわちX走査用アクチュエーター用直動案内と、移動部材310の不所望な動きを規制するための移動部材用直動案内とを有している。
【0060】
X走査用アクチュエーター用直動案内と移動部材用直動案内は、与圧板362と、これを第一の支持部材330のベース部332に固定するための複数のねじ364とを共有しており、アクチュエーター用直動案内はX走査用アクチュエーター320の第一の中間部材324の各々と第一の支持部材330のベース部332の間にこれらに接して配置される複数の鋼球342と、第一の中間部材324の各々と与圧板362の間にこれらに接して配置される図示されていない複数の鋼球とを有し、移動部材用直動案内は移動部材310とベース部332の間にこれらに接して配置される複数の鋼球352と、移動部材310と与圧板362の間にこれらに接して配置される複数の鋼球354とを有している。
【0061】
与圧板362は開口366を有しており、移動部材310の突出部314は与圧板362の開口366を通って露出している。
【0062】
与圧板362とねじ364は、鋼球342と図示されていない鋼球をX走査用アクチュエーター320の第一の中間部材324にX軸に垂直に押し付ける移動部材押圧機構と、鋼球352と鋼球354を移動部材310にX軸に垂直に押し付ける移動部材押圧機構を兼ねている。
【0063】
X走査用アクチュエーター用直動案内は、X走査用アクチュエーター320の中間部材324のX軸に平行な移動を妨げることなく、中間部材324のX軸に非平行な移動を抑える。中間部材324は、変位量が小さいときは、鋼球342と図示されていない鋼球の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球342と図示されていない鋼球との間のすべりにより、あるいは鋼球342と図示されていない鋼球のころがりにより変位すると考えられる。
【0064】
また、移動部材用直動案内は、移動部材310のX軸に平行な移動を妨げることなく、移動部材310のX軸に非平行な移動を抑える。移動部材310は、変位量が小さいときは、鋼球352と鋼球354の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球352と鋼球354との間のすべりにより、あるいは鋼球352と鋼球354のころがりにより変位すると考えられる。
【0065】
大変位走査機構300は更に、Y走査用アクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための第二のアクチュエーター用直動案内すなわちY走査用アクチュエーター用直動案内と、第一の支持部材330の不所望な動きを規制するための支持部材用直動案内とを有している。
【0066】
Y走査用アクチュエーター用直動案内は、与圧板396と、これを第二の支持部材380のベース部382に固定するための複数のねじ398と、Y走査用アクチュエーター370の第二の中間部材374の各々と第二の支持部材380のベース部382の間にこれらに接して配置される複数の鋼球392と、第二の中間部材374の各々と与圧板396の間にこれらに接して配置される複数の鋼球394とを有している。
【0067】
支持部材用直動案内は、一対の与圧板406と、これを第二の支持部材380のベース部382に固定するための複数のねじ408と、第一の支持部材330のベース部332と第二の支持部材380のベース部382の間にこれらに接して配置される複数の鋼球402と、第一の支持部材330のベース部332と与圧板396の間にこれらに接して配置される複数の鋼球404とを有している。
【0068】
与圧板396とねじ398は、鋼球392と鋼球394をY走査用アクチュエーター370の第二の中間部材374にY軸に垂直に押し付ける移動部材押圧機構を構成し、与圧板406とねじ408は、鋼球402と鋼球404を第一の支持部材330にY軸に垂直に押し付ける支持部材押圧機構を構成している。
【0069】
Y走査用アクチュエーター用直動案内は、Y走査用アクチュエーター370の第二の中間部材374のY軸に平行な移動を妨げることなく、中間部材374のY軸に非平行な移動を抑える。中間部材374は、変位量が小さいときは、鋼球392と鋼球394の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球392と鋼球394との間のすべりにより、あるいは鋼球392と鋼球394のころがりにより変位すると考えられる。
【0070】
また、支持部材用直動案内は、第一の支持部材330のY軸に平行な移動を妨げることなく、第一の支持部材330のY軸に非平行な移動を抑える。第一の支持部材330は、変位量が小さいときは、鋼球402と鋼球404の弾性変形により変位し、変位量が大きいときは、鋼球402と鋼球404との間のすべりにより、あるいは鋼球402と鋼球404のころがりにより変位すると考えられる。
【0071】
X走査用アクチュエーター320はX軸に沿って配置された複数のアクチュエーター要素322を有しており、Y走査用アクチュエーター370はY軸に沿って配置された複数のアクチュエーター要素372を有しているので、大変位走査機構300はX軸に沿ってもY軸に沿っても長いストロークを有している、つまり広い走査範囲を有している。
【0072】
X走査用アクチュエーター320の第一の中間部材324はX走査用アクチュエーター用直動案内によってX軸に非平行な移動が規制されており、その結果、X走査用アクチュエーター320の曲げ方向の剛性が高められている。同様に、Y走査用アクチュエーター370の第二の中間部材374はY走査用アクチュエーター用直動案内によってX軸に非平行な移動が規制されており、その結果、Y走査用アクチュエーター370の曲げ方向の剛性が高められている。従って、大変位走査機構300は、共振周波数が高く、高い周波数で駆動することができる。また、曲げ方向の振動変位が小さく、正確な駆動ができる。さらに、圧電アクチュエータのせん断応力や曲げ応力による破損を効果的に防止できる。
【0073】
さらに、移動部材310は移動部材用直動案内によってX軸に非平行な移動が規制されており、第一の支持部材330は支持部材用直動案内によってY軸に非平行な移動が規制されている。このため、大変位走査機構300は移動部材310と第一の支持部材330の振動が少ない。
【0074】
本発明の大変位走査機構は上述した実施の形態に限定されない。従って、本実施形態の大変位走査機構300は様々な変形されてもよい。
【0075】
例えば、X走査用アクチュエーター用直動案内とY走査用アクチュエーター用直動案内と移動部材用直動案内と支持部材用直動案内は、鋼球を用いた案内に限定されるものではなく、他の適当な案内、例えば、ローラーすなわちころを用いた案内や、線材の曲げを利用した案内、板材の曲げを利用した案内、弾性部材を用いた案内であってもよい。
【0076】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、広い走査範囲を有しながらも高速走査に適した走査機構が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大変位走査機構の第一の実施の形態を示しており、図2のI-I線に沿った断面で示されている。
【図2】図1の大変位走査機構のII-II線に沿った断面を示している。
【図3】図1の大変位走査機構の変形例を示しており、図2と同様の断面で示されている。
【図4】本発明の大変位走査機構の第二の実施の形態を示している。
【図5】図4の大変位走査機構の右側側面を示している。
【図6】本発明の大変位走査機構の第三の実施の形態の斜視図である。
【図7】図6の大変位走査機構の手前側側面を示している。
【符号の説明】
100 大変位走査機構
110 移動部材
120 アクチュエーター
122 アクチュエーター要素
124 中間部材
130 支持部材
134 ねじ孔
142 鋼球
154 ねじ
Claims (11)
- 走査対象物を一本の軸に沿って走査するための大変位走査機構であり、
走査される移動部材と、
複数のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの中間部材とからなり、一本の軸に沿って変位し得るアクチュエーターと、
アクチュエーターを支持する支持部材と、
アクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、中間部材の不所望な動きを規制するアクチュエーター用直動案内とを有し、
移動部材はアクチュエーターの一方の端に固定され、アクチュエーターの他方の端は支持部材に固定されている、大変位走査機構。 - 請求項1において、移動部材の不所望な動きを規制するための移動部材用直動案内を更に有している、大変位走査機構。
- 請求項1において、アクチュエーター用直動案内は、中間部材の各々に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を軸に垂直に中間部材に押し付ける中間部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
- 請求項2において、移動部材用直動案内は、移動部材に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を軸に垂直に移動部材に押し付ける移動部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
- 走査対象物を二本の軸に沿って走査するための大変位走査機構であり、
走査される移動部材と、
複数の第一のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの第一の中間部材とからなり、第一の軸に沿って変位し得る第一のアクチュエーターと、
第一のアクチュエーターを支持する第一の支持部材と、
複数の第二のアクチュエーター要素と、それらを互いに連結している少なくとも一つの第二の中間部材とからなり、第一の軸と異なる第二の軸に沿って変位し得る第二のアクチュエーターと、
第二のアクチュエーターを支持する第二の支持部材と、
第一のアクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、第一の中間部材の不所望な動きを規制する第一のアクチュエーター用直動案内と、
第二のアクチュエーターの不所望な曲がりを規制するための、第二の中間部材の不所望な動きを規制する第二のアクチュエーター用直動案内とを有しており、
移動部材は第一のアクチュエーターの一方の端に固定され、第一のアクチュエーターの他方の端は第一の支持部材に固定され、第一の支持部材は第二のアクチュエーターの一方の端に固定され、第二のアクチュエーターの他方の端は第二の支持部材に固定されている、大変位走査機構。 - 請求項5において、移動部材の不所望な動きを規制するための移動部材用直動案内を更に有している、大変位走査機構。
- 請求項5において、第一の支持部材の不所望な動きを規制するための支持部材用直動案内を更に有している、大変位走査機構。
- 請求項5において、第一のアクチュエーター用直動案内は、第一の中間部材の各々に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を第一の軸に垂直に中間部材に押し付ける第一の中間部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
- 請求項6において、移動部材用直動案内は、移動部材に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を第一の軸に垂直に移動部材に押し付ける移動部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
- 請求項5において、第二のアクチュエーター用直動案内は、第二の中間部材の各々に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を第二の軸に垂直に中間部材に押し付ける第二の中間部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
- 請求項10において、支持部材用直動案内は、支持部材に接して配置される複数の鋼球と、鋼球を第二の軸に垂直に第二の支持部材に押し付ける支持部材押圧機構とを有している、大変位走査機構。
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