JP3898880B2 - 冷間加工性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は切削、及び鍛造や引抜き、あるいは転造等の冷間加工で成形し、自動車や産業機械などの部品として使用する冷間加工性に優れた機械構造用鋼に関わり、特にセメンタイトを黒鉛化することで冷間加工性を向上した黒鉛鋼に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
中炭素鋼の組織をフェライトと黒鉛の組織にすることにより冷間鍛造性及び切削性が向上することは従来から知られているが、黒鉛の粒径が粗大であることと黒鉛の不均一分散が原因となり、歪みの高い冷間鍛造を行うと黒鉛を起点に割れが発生したり、更に焼入れ後の組織がマルテンサイトとフェライトの混在した組織になったり、あるいは黒鉛の存在していた箇所が空孔となり疲労特性が劣化するという問題が残されている。これらの欠点を解決するには黒鉛を微細にかつ均一に分散させることが有効である。
【0003】
黒鉛の微細化手段として特開平2−111842号公報では、BNを黒鉛の析出核として利用することが有効であると開示されている。しかし、本発明者らの調査によると、この方法では黒鉛粒径は約5〜10μm程度と微細化されているものの黒鉛間の最大距離は100μm程度あり黒鉛分散は不均一である。この原因は、BNはγ粒界やMnS上に析出するため、熱間圧延方向に伸長化したMnS上にBNが列状に析出したり、旧γ粒界に沿って編み目状にBNが析出した結果、黒鉛も列状や網目状に析出し不均一分散になると推定できる。更に、BNを黒鉛析出核に利用するにはBN析出のための熱処理が必要となり熱処理工程が増加し製造コストが上昇する。制御圧延によりBNの析出処理を圧延中に行うことも想定できるが、精密な温度管理が必要となる等、製造工程が制約される課題が残されている。このようにBNの利用では黒鉛粒径が微細化しても不均一分散が原因で高周波焼入れ性などの熱処理特性が劣化する問題が残されている。
【0004】
また特開平7−3390号公報ではZrの添加によりZrNが黒鉛化を阻害する固溶Nを低減するとともに黒鉛析出核として機能し黒鉛が微細化することが開示されている。
【0005】
更に、特開平10−140281号公報ではCaとZrの複合添加によりこれらの複合硫化物を生成し、BNの析出核として機能した結果、黒鉛が微細化し5〜10hの焼鈍で黒鉛化率が70%になることが開示されている。しかし、これらの従来方法ではZrの炭窒化物あるいはZrの硫化物を生成するために、約0.01〜0.2mass%のZrの多量添加が必要である。このため10μmを超える粗大なZr(CN)やZrS等の析出物が生成し、疲労強度や靭性などの機械的特性を劣化させる問題が残されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は機械的特性を劣化させる粗大な炭窒化物の析出を抑制し、かつ高周波焼入れ性などの熱処理特性にも優れた黒鉛鋼を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは黒鉛の均一微細分散化と機械的特性を劣化させる粗大な炭窒化物の生成を抑制するためには、特定成分の鋼にZrを特定の量添加することにより、粗大なZr系介在物の生成を抑制しつつ、酸化物が微細分散し、それらを析出核にして黒鉛が均一に、かつ微細に分散することを見出した。Zrの添加による酸化物の微細化効果はとりわけCaOやTi2O3等の酸化物で顕著に認められ、またこれらの酸化物を核に析出するMnSも顕著な微細化が認められる。CaOやTi2O3、あるいはMnSなどは黒鉛の析出サイトとして機能するため、Zr添加によりこれらの酸化物や硫化物を微細分散させた鋼材は、焼鈍処理を行うことでこれらの酸化物や硫化物を核として黒鉛が微細析出する。また酸化物や硫化物はBNなどの炭窒化物と異なり溶鋼中あるいはγ単相域で析出するため組織の影響を受けずに均一分散させることができる。更に黒鉛の析出サイトが多量分散することにより黒鉛化速度が増加し黒鉛化に要する焼鈍時間も短縮化できる。
【0008】
従来からZrを含有した黒鉛鋼は知られていたが、本発明はZrの添加量を0.0042mass%以下にすることでZrS、ZrN、ZrCの生成を抑制したことがポイントである。従来技術によるZrを利用した硫化物の形態制御は硫化物の組成をMnSから変形能が小さい(Zr、X)Sとしたことによる。このためZrの添加最は0.01mass%以上とする必要があった。しかし、Zrの多量添加は粗大な(Zr、X)SあるいはZr(NC)を生成させ、機械的特性を劣化させる。本発明では逆にZrの添加最を0.0005〜0.0042%の範囲にすることで、(Zr、X)S及びZr(CN)の析出を抑制し、即ち、含有Zrのうち、ZrSあるいはZr(CN)として析出するZr量を21%以下に抑制し機械的特性を劣化させる粗大な介在物の生成を防止した。この際、添加Zrは酸化物Ti2O3やCaOに固溶することで、酸化物のサイズが微細化し、更に酸化物を核に析出するMnSの微細分散をなし得た。この結果、酸化物やMnSを核に析出する黒鉛の微細化と短時間黒鉛化を達成するに至った。
【0009】
本発明は、上記の技術的事項に基づいて完成したもので、その発明の要旨は以下の通りである。
【0010】
(1) 質量%で、
C:0.1〜0.8%、
Si:0.5〜1.5%、
Mn:0.1〜1.5%、
P:0.2%以下、
S:0.001〜0.3%、
N:0.0005〜0.01%
Zr:0.0005〜0.0042%
を含有し、更に
Al:0.005〜0.04%、
Ti:0.005〜0.05%、
Ca:0.0005〜0.005%、
Mg:0.0005〜0.005%
の1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であり、{(ZrS中のZr量+Zr(CN)中のZr量)/鋼の全含有Zr量×100(%)}が21%以下であり、Zrを含む酸化物を103個/mm2以上含有し、含有Cの10%以上が黒鉛の形態で析出し、黒鉛の最大粒径が15μm以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた機械構造用鋼。
【0013】
(2) 質量%で、
Mo:0.01〜0.5%、
Cr:0.01〜0.4%、
Ni:0.05〜3%、
Co:0.05〜3%、
Cu:0.05〜3%、
B:0.0005〜0.005%
の1種または2種以上を更に含有することを特徴とする上記(1)に記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。
【0014】
(3) 質量%で、
Nb:0.005〜0.08%、
V:0.005〜0.2%
の1種または2種を更に含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。
【0015】
(4) 質量%で、
Pb:0.05〜0.35%、
Bi:0.05〜0.35%、
Te:0.002〜0.02%、
Se:0.002〜0.02%
の1種または2種以上を更に含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、本発明鋼の化学成分の限定理由について説明する。
【0017】
Cは黒鉛を生成し切削工具寿命や、鍛造や転造の型寿命を向上させるとともに、焼入れ後の強度を確保するため必要不可欠の元素である。工具寿命改善に必要な黒鉛量、あるいは焼入れ後の強度を十分確保するためその下限値を0.1%とした。上限は連続鋳造の際の熱間延性を確保するために0.8%とした。
【0018】
Siは黒鉛化を促進する有力な元素の1つである。短時間の焼鈍処理により十分な黒鉛を析出させて高い黒鉛化率とするためにはSiを添加することが必要であり、その下限値は0.5%である。ただしSi含有量が増大するとフェライト相が固溶硬化し冷間加工性の劣化を招くので、上限値を1.5%とした。
【0019】
MnはSと結合してMnS介在物、あるいはマトリックス中に固溶Mnとして存在する。固溶Mnは焼入れ性の向上に有効であり、またMnSは単独あるいは複合介在物を形成し黒鉛の生成サイトとなる。十分な生成サイトを確保するためその下限値を0.1%とした。ただしMn量が大きくなると黒鉛化を著しく阻害するので上限値は1.5%とした。
【0020】
Pは鋼中で粒界偏析や中心偏析を起こし靭性劣化の原因となるので少ないほど望ましいが、一方で切削面の粗さを改善するため、その上限値を0.2%とした。
【0021】
SはMn、MgあるいはCu等の合金元素と反応して硫化物として存在する。これらの硫化物は黒鉛の核生成サイトとして機能する。ただし0.001%未満では十分な数の黒鉛の核生成サイトが確保できず、またS量が多すぎると熱間延性を劣化させるため上限値を0.3%とした。
【0022】
NはAlやTiと結合してAlNやTiNを生成し、結晶粒の細粒化に有効であり、焼入れ焼戻し後の靭性を向上させる。0.0005%未満では効果がなく、0.01%を超えて添加しても効果が飽和するばかりでなく黒鉛化を著しく阻害する。
【0023】
ZrはCaOやTi2O3などの酸化物やMnSなどの硫化物を微細分散化させる。これらの酸化物や硫化物は黒鉛の析出サイトとして有効に機能し黒鉛の微細分散化及び短時間黒鉛化に有効である。ただし、Zrの添加量が0.0005%未満ではこれらの効果が認められず、0.0042%を超えて添加すると粗大な(Zr、X)SやZr(CN)を形成し、Zrによる酸化物の微細化効果が減少するだけでなく破壊特性を劣化させる。
【0024】
AlはOと結合して酸化物、あるいはNと結合してAlNを形成する。AlNは結晶粒の細粒化に有効であり、焼入れ焼戻し後の靭性を向上させる。0.005%未満ではAlNの量が不十分で細粒化効果が現れず、0.04%を超えるとAl脱酸が支配的になりZrの効果が飽和する。
【0025】
Tiは酸化物Ti2O3や炭窒化物TiN、TiCあるいはTi(N,C)を形成する。Zrとの複合析出した酸化物は単独あるいはMnSとの複合体を形成し黒鉛の析出サイトとして機能する。一方、炭窒化物はピンニング粒子として機能しγ粒の成長を抑制する効果があり破壊靭性値を向上させる。0.005%未満では黒鉛微細化あるいは結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.05%を超えて添加すると逆に靭性が劣化する。
【0026】
Caは酸化物CaOを形成する。Zrと複合析出したCaOは単独あるいはMnSとの複合体を形成し黒鉛の析出サイトとして機能する。0.0005%未満では効果は少なく、0.005%を超えて添加するとCa脱酸が支配的となり粗大なCaOが形成され破壊特性を劣化させる。
【0027】
Mgは酸化物MgOやMgAl2O4を形成し、これらの単独あるいはZrとの複合介在物は黒鉛の析出サイトとして機能する。0.0005%未満では効果が少なく、0.005%超含有させるには製鋼コストが増加する。
【0028】
Moは焼入性を確保するために添加される。焼入性の効果を十分得るために、添加量の下限値を0.01%とした。また0.5%を超えて添加するとフェライト地の硬さが上昇し冷間加工性が損なわれるとともに黒鉛化を阻害する。
【0029】
Crは焼入性を確保するために添加される。焼入性の効果を十分得るために添加量の下限値を0.01%とした。また0.4%を超えて添加すると著しく黒鉛化を阻害する。
【0030】
Ni、Co、Cuはセメンタイトを不安定化させ黒鉛化を促進させるとともに、焼入性を高め強度を確保するのに効果的である。0.05%未満では効果が不十分であり、また3%を超えて添加しても効果は飽和するともに経済的に極めて不利となる。
【0031】
Bは焼入れ性の向上を目的に添加する。効果を得るには0.0005%以上を添加しなければならない。ただし0.005%超添加すると黒鉛化を阻害するとともに、B化合物が粒界に析出し破壊靭性を劣化させる。
【0032】
NbはNbCあるいはNbNを形成し、ピンニング粒子として機能しγ粒の成長を抑制する効果があり破壊靭性値を向上させる。0.005%未満では結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.08%を超えて添加すると逆に靭性が劣化する。
【0033】
VはVCあるいはVNを形成し、ピンニング粒子として機能しγ粒の成長を抑制する効果があり破壊靭性値を向上させる。0.005%未満では結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.2%を超えて添加すると逆に鞍性が劣化する。
【0034】
Pb、Biは工具と被削材の界面において凝着を抑制する作用があるので、切削仕上げ面粗さを顕著に改善する。0.05%未満では効果が小さく、0.35%を超えると熱間加工性が低下するとともに黒鉛化を著しく阻害する。
【0035】
Te、SeもPb、Biと同様に切削仕上げ面を改善する効果がある。0.002%未満では効果が小さく、0.02%を超えると熱間加工性が低下する。
【0036】
次に、Zrを含む酸化物の個数を限定した理由を説明する。
【0037】
本発明ではZrを含有する酸化物を特定の個数含有する。Zrを含有する酸化物とはTi2O3やCaOなどの酸化物中にZrを含有した酸化物である。このようにZrが酸化物中に固溶することで酸化物のサイズは微細化し、個数が増加する。これらの酸化物は直接あるいはMnSを媒介にして黒鉛の析出サイトとして機能し、黒鉛を微細分散化させる。Zrを含む酸化物の個数が103個/mm2未満であれば析出サイトが不足し黒鉛は均一に分散することなく、焼入れ焼戻し後の機械的特性を劣化させる。このため、本発明ではZrを含む酸化物を103個/mm2以上とした。
【0038】
更に本発明では含有炭素の一部を黒鉛化させる。セメンタイトの黒鉛化率が10%未満では強度が高く、冷間鍛造での変形抵抗及び切削での切削抵抗が高くなり過ぎて加工性が劣化するため、黒鉛化率の下限を10%とした。なお黒鉛化率は次式で表す。
黒鉛化率(%)=(鋼中黒鉛含有量/鋼の炭素含有量)×100
【0039】
高周波焼入れ性の向上には黒鉛のサイズは微細なほど望ましい。黒鉛の最大粒径がl5μmを超えると高周波焼入れ後に硬さむらが発生し機械的特性が劣化する原因となる。このため、黒鉛の最大粒径を15μmとした。
【0040】
【実施例】
表1に示す成分の鋼を転炉溶製し、連続鋳造後の分塊圧廷によりビレットを製造した。次いでビレットを再加熱してφ20〜φ50のサイズに熱間圧延した。黒鉛化処理は700℃の焼鈍炉で行った。表2に次式で表される硫化物または炭窒化物として析出する次式で示すZrの分率、
(ZrS中のZr量+Zr(CN)中のZr量)/鋼の全Zr含有量×100
及び主たる酸化物の種類、Zrを含有する酸化物の個数、粗大Zr介在物の有無を示す。更に、黒鉛化率90%までの焼鈍時間、黒鉛化焼鈍後の黒鉛平均粒径、黒鉛最大粒径、及び高周波焼入れ性を示す。
【0041】
Zrの分率の測定は化学分析により求めた。ここで鋼中Zrの分析方法であるが、JIS G 1237−1997付属書3と同様の方法でサンプルを処理した後、鋼中Nb量の分析と同様に鋼中Zr量をICP(誘導結合プラズマ発光分光分析法)によって測定した。ただし本発明での実施例の測定に供したサンプルは2g/鋼種で、ICPにおける検量線も微量Zrに適するように設定して測定した。即ちZr濃度が1〜200ppmとなるようにZr標準液を希釈して異なるZr濃度の溶液を作成し、そのZr量を測定することで検量線を作成した。なおこれらのICPに関する共通的な方法についてはJ1S K 0116−1995(発光分光分析方法通則)及びJIS Z 8002−1991(分析、試験の許容差通則)による。
【0042】
主たる酸化物の組成とZrを含有する酸化物の個数は、熱間圧延後の棒鋼を1200℃に60分間加熱し水焼入れしたサンプルの1/2R部より抽出レプリカ試料を作製し、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて50000倍の倍率で1000μm2の面積を観察することで評価した。介在物の同定はエネルギー分散型X線検出器(EDS)と、TEM電子線回折で行った。
【0043】
粗大Zr介在物は黒鉛化焼鈍後の棒鋼の1/2R部より採取したサンプルを用いSEM(走査型電子顕微鏡)により総視野1mm2を観察することで評価した。黒鉛化率90%までの焼鈍時問は、熱間圧延材を700℃の焼鈍炉に種々の時間保持し、次式で示される黒鉛化率を求め、黒鉛化率が90%に達する焼鈍時問とした。
黒鉛化率(%)=(鋼中黒鉛含有量/鋼の炭素含有量)×100
ここで、炭素含有量及び黒鉛含有量は化学分析により定量した。
【0044】
黒鉛の平均粒径及び最大粒径はSEMの反射電子線を利用した画像解析システムを利用して総視野0.25mm2を測定することで評価した。
【0045】
高周波焼入れ性は黒鉛化焼鈍後に直径l0mmに旋削した丸棒を高周波加熱装置で1000℃まで1秒間で昇温して、1000℃到達直後に水焼き入れした。丸棒表層からlmmの位置で円周方向に硬さ試験と光学顕微鏡観察を行った。円周方向の硬度差がHVで100以上となる場合、もしくはマルテンサイトとフェライトの混在組織が存在する場合は高周波焼入れ性が不良と判定した。
【0046】
なお、表1中の本発明の鋼種1〜12は、請求項1に規定した成分を含む鋼を基本とし、これに請求項2乃至4に規定した成分を組み合わせて成分調整を行った鋼である。
【0047】
表2に示すように、本発明鋼の請求範囲を満足する鋼1〜12は含有ZrのうちZrSあるいはZr(CN)の形態で析出している割合はいずれも21%以下である。また主な酸化物はZrを含有したTi2O3やCaOあるいはMgOなどである。黒鉛粒径は平均粒径、最大粒径ともに微細化効果が認められるが、特に最大粒径で顕著に微細化効果が認められる。黒鉛の最大粒径は比較例がいずれもl5μmを超えているのに対し本発明鋼の黒鉛の最大粒径は7μm以下であり著しく微細化している。この結果、本発明鋼は熱処理特性が向上し高周波焼入れ性が良好である。更に機械的特性を劣化させるl0μmを超えるZrSやZr(CN)の生成が顕著に抑制されている。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように本発明によれば、黒鉛が微細分散し、加工性や熱処理特性に優れた黒鉛鋼を低コストで提供することが可能であり、産業上の効果は極めて顕著なるものがある。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.1〜0.8%、
Si:0.5〜1.5%、
Mn:0.1〜1.5%、
P:0.2%以下、
S:0.001〜0.3%、
N:0.0005〜0.01%
Zr:0.0005〜0.0042%
を含有し、更に
Al:0.005〜0.04%、
Ti:0.005〜0.05%、
Ca:0.0005〜0.005%、
Mg:0.0005〜0.005%
の1種あるいは2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であり、{(ZrS中のZr量+Zr(CN)中のZr量)/鋼の全含有Zr量×100(%)}が21%以下であり、Zrを含む酸化物を103個/mm2以上含有し、含有Cの10%以上が黒鉛の形態で析出し、黒鉛の最大粒径が15μm以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた機械構造用鋼。 - 質量%で、
Mo:0.01〜0.5%、
Cr:0.01〜0.4%、
Ni:0.05〜3%、
Co:0.05〜3%、
Cu:0.05〜3%、
B:0.0005〜0.005%
の1種または2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。 - 質量%で、
Nb:0.005〜0.08%、
V:0.005〜0.2%
の1種または2種を更に含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。 - 質量%で、
Pb:0.05〜0.35%、
Bi:0.05〜0.35%、
Te:0.002〜0.02%、
Se:0.002〜0.02%
の1種または2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の冷間加工性に優れた機械構造用鋼。
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