JP3898622B2 - 炭素膜形成方法及びその装置、並びに炭素膜及びその炭素膜を被覆された製造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素膜の形成方法並びにその方法を用いて得られる炭素膜に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば工具、摺動部品、精密・電子機器部品、赤外線透過用の光学部品等のみならず、柔軟性のある有機材料系基材等の種々の基材を表面処理して、基材に対して高い密着性を有する炭素膜を形成する方法並びその装置、そしてこの方法を用いて得られる炭素膜及びその炭素膜を被覆された製造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
DLC膜に代表される硬質炭素膜の応用分野は多岐にわたっており、それぞれの応用分野に応じて、様々な物性、特に膜硬度を有する硬質炭素膜形成の開発が進められている。例えば、比較的軟質の炭素膜は、飲料水容器であるペットボトルにコーティングされ、ペットボトルの酸素透過性抑制技術に応用されている。また超硬質の炭素膜は、WC−Coなどの超硬工具先端にコーティングされており、工具先端の耐摩耗性を向上させるための技術に応用されている。
【0003】
しかしながら、炭素膜の硬度は、成膜方法(イオンプレーティング法、ECRプラズマ法、スパッタリング法等)、成膜条件(真空減圧度、基材温度等)及び炭素質材料(メタン等のアルカン系材料やベンゼンを含めたフェニル基系材料、または水素を含まないグラファイト、フラーレン等)の組み合わせにより決定されるため、炭素膜の硬度を変えるためには、これらの組み合わせを変更する必要がある。よって、多岐にわたる応用分野での要求を満たすような、種々の硬度を有する炭素膜を一つの手段で形成することはこれまで不可能であった。
【0004】
また優れた硬質膜形成技術であるためには、形成される膜と基材との密着性が高いことが必須である。しかしながら一般的に硬質炭素膜は膜内部の応力が非常に高いため、タングステンカーバイト(WC)系などの超硬工具表面をはじめとした金属系材料にコーティングする場合には、高い密着性が得られず剥離する等の問題が生じる。また、プラズマCVD法は、DLC膜を直接基材表面に厚く形成できない場合があり、基材とDLC膜の間に中間層を設けることが必須となっている。しかしながら、中間層を設けた場合でも、中間層とその上に形成されるDLC膜との密着性が不充分であると、形成されたDLC膜がすぐに剥離してしまい、基材と中間層のみならず中間層とDLC層の間の密着性をも向上させる必要がある。
【0005】
この様な問題の解決手段の一つとして、硬質炭素膜よりも硬度の低い炭素化合物(SiC、TiCなど)からなり、膜厚方向にその炭素化合物の混合比を傾斜的に変化させた中間層を、基材と硬質炭素膜の間に作成する方法がある(例えば特許文献1、2及び3参照)。この技術により、硬質炭素膜と基材との界面での膜応力が緩和され、密着性を向上させることができる。しかしながらこの方法では、SiCやTiC膜を作成するための蒸着源が別途必要となってしまう。また硬質炭素膜作成用の真空槽と同一の槽内でSiCやTiC膜を作成した後に、硬質炭素膜形成をプラズマ等を用いて形成する場合には、既に槽壁に付着したSiやTiが不純物として硬質炭素膜に取り込まれる恐れがある。
【0006】
また硬質炭素膜形成方法としては、これまでイオンプレーティング法、ECRプラズマ法、スパッタリング法等の様々な技術が知られているが、近年ガスクラスターイオンビームアシスト(援用)照射法を用いる蒸着方法が注目されている。
ガスクラスターイオンアシスト照射法を用いる蒸着方法とは、蒸発炭素質材料を基材に付着させて硬質炭素膜を気相生成させる際に、常温・常圧下で気体状の物質の原子または分子の集合体としてのガスクラスターをイオン化して生成させたガスクラスターイオンを、基材表面の蒸発炭素質材料の付着層に照射する技術である(例えば特許文献4参照)。この技術は、ガスクラスターイオンと基材表面との多体衝突の際に、基材表面を局所的・瞬間的に高温・高圧状態にできることから、従来の成膜方法では達成することのできないsp3のダイヤモンド結合を多く含んだ高硬度、耐摩擦性、耐摩耗性を有する炭素系硬質膜を提供することができ、しかも従来のプラズマCVD法等のように基材を加熱する必要が無いため、基材と形成される硬質炭素膜との熱膨張係数との差による膜の剥離を生じず、かつ基材の種類が制限されないという点で優れている。しかしながら、本技術においても、現在の多岐にわたる応用分野にて要求される、あらゆる硬度を有する炭素膜を同一装置内で、しかも連続的に作成することは不可能であった。
【0007】
よって本発明の如く、ガスクラスターイオンビームアシスト照射法における、ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を連続的又は断続的に変化させることにより、形成される炭素膜の硬度を任意に変えることができる技術はこれまでに知られていなかった。よって、本発明に係る方法並びにその装置を用いれば、応用する技術分野に応じた様々な硬度の炭素膜を作成できるのみならず、一つの膜内で、その膜厚方向に硬度を傾斜的又は段階的に変化させた硬度勾配を有する膜を作成することができる。しかも本発明は、それらの技術が一つの装置内で、かつ連続的に行えるようになるため、成膜工程が簡潔で、コスト面でも実用的な技術といえる。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−203896号公報 (第3−8頁、第2図)
【特許文献2】
特開2000−256850号公報 (第2−4頁)
【特許文献3】
特開2001−026873号公報 (第3−5頁)
【特許文献4】
特開2001−192807号公報 (第4−6頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、例えば工具、摺動部品、精密・電子機器部品、赤外線透過用の光学部品等のみならず、柔軟性のある有機材料系基材等の種々の基材に対して高い密着性を有する炭素膜の形成方法並びその装置、そしてこの方法を用いて得られる炭素膜及びその炭素膜を被覆された製造物の提供を目的とする。より詳しくは、炭素膜を応用する技術分野に応じた様々な硬度の炭素膜、更には、一つの膜内で、その膜厚方向に硬度を傾斜的又は段階的に変化させた硬度勾配を有する炭素膜の形成方法並びその装置、そしてこの方法を用いて得られる炭素膜及びその炭素膜を被覆された製造物の提供を目的とする。
【0010】
【発明を解決するための手段】
発明者らはクラスターイオン及びモノマーイオンが炭素膜に与える効果に関して鋭意研究を重ねた結果、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に援用するガスクラスターイオンビーム中にモノマーイオンを一定の割合で含有させることによって、形成される炭素膜の硬度を変化させることができることを見出した。更に発明者らは、ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの比率を連続的又は断続的に変化させることにより、膜厚方向に硬度を傾斜的又は段階的に変化させた硬度勾配を有する膜を形成することができることを見出し、鋭意研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、
(1) 真空減圧下で実質的に水素を含有していない炭素膜を基材上に気相成長させる方法であって、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的又は断続的に照射することを特徴とする炭素膜形成方法、
(2) ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を連続的又は断続的に変化させることを特徴とする前記(1)に記載の炭素膜形成方法、
(3) 蒸発炭素質材料の基材表面への付着と同時に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを照射することを特徴とする前記(1)に記載の炭素膜形成方法、
(4) ガスクラスターイオンとモノマーイオンを連続的又は断続的に照射した後に、ガスクラスターイオンビームを照射することにより、形成される膜表面をさらに平坦化することを特徴とする前記(1)に記載の炭素膜形成方法、
(5) ガスクラスターイオン又はモノマーイオンが、希ガス、酸素、炭素酸化物、窒素、窒化物、ハロゲン及びハロゲン化物から選ばれる一種類又は二種類以上の混合物より得られることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の炭素膜形成方法、
(6) 蒸発炭素質材料をイオン化せずに基材表面に付着させることを特徴とする前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の炭素膜形成方法、
(7) 蒸発炭素質材料の少なくとも一部をイオン化して基材表面に付着させることを特徴とする前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の炭素膜形成方法、
(8) 蒸発炭素質材料がフラーレン、グラファイト及び無定形炭素のうちから選ばれる一種類又は二種類以上の混合物であることを特徴とする前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の炭素膜形成方法、
(9) ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的又は断続的に照射する際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率を連続的又は断続的に変化させることによって、形成される炭素膜の硬度を任意に変えることを特徴とする前記(2)に記載の炭素膜形成方法、
(10) 炭素膜の硬度が15GPaから50GPaの範囲内であることを特徴とする前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の炭素膜形成方法、
に関する。
【0012】
更に本発明は、
(11) 蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームをガスクラスターイオンとモノマーイオンとの比率を連続的に変化させて連続的に照射することにより得られ、炭素膜厚方向に硬度勾配を有し、硬度が15GPaから50GPaの範囲内であり、水素を実質的に含有しないことを特徴とする炭素膜、
(12) ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的に照射した後、ガスクラスターイオンビームを照射することにより膜表面がさらに平坦化されていることを特徴とする前記(11)に記載の炭素膜、
(13) 蒸発炭素質材料がフラーレン、グラファイト及び無定形炭素のうちから選ばれる一種類又は二種類以上の混合物であることを特徴とする前記(11)または(12)に記載の炭素膜、
(14) 真空減圧下で水素を実質的に含有していない炭素膜を基材上に気相成長させる装置であって、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に照射するガスクラスター・モノマー混合イオンビームのガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率を変化させる機能を有することを特徴とする炭素膜形成装置、
(15) 前記(11)ないし(13)のいずれかに記載される炭素膜を被覆された製造物、
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る炭素膜の形成方法は、ガスクラスター・モノマー混合イオンビームアシスト照射を用いる気相成膜という特徴のある方法によって構成される。すなわち真空減圧下にて、基材上に炭素膜を気相成膜する方法であって、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させると同時に、または付着後に、常温・常圧下では気体状の物質の原子または分子の集合体としてのガスクラスターをイオン化して生成させたガスクラスターイオンおよびそのガスクラスターを構成する単原子又は単分子であるモノマーから生成されたモノマーイオンとの混合ビームを、基材表面上の蒸発炭素質材料の付着層に照射して硬質炭素膜を成膜することを特徴としている。尚、炭素膜の成膜条件には、成膜時の真空減圧度、成膜時の基材温度、炭素質材料の蒸発粒子もしくはそのイオン化粒子の原子数または分子数とガスクラスター・モノマー混合イオン数との比、さらにはガスクラスター・モノマー混合イオンの加速電圧等が挙げられるが、これらは、炭素質材料の種類や炭素膜の特性、成膜速度等を考慮して適宜に定めることができる。
【0014】
本発明に用いられる炭素質材料としては、通常はダイヤモンドを除いた各種の炭素質材料、例えばフラーレン、グラファイト、無定形炭素のうちから選ばれる1種類または二種類以上の混合物が挙げられる。これらの炭素質材料は、不純物以外に水素を含有していないことが好ましい。なかでも、近年新しい炭素材料の観点より注目されるフラーレン、あるいはそれらの同族体が好適なものとして例示される。これらの炭素質材料は、蒸発気化されて、あるいはイオン化されて、基材表面に直接付着される。炭素質材料の蒸発気化のための手段は、スパッタリング、レーザーアブレーション、イオンビーム、電子ビーム、るつぼ加熱等、適宜な公知の手段であってよい。炭素質材料をイオン化して付着させる場合には、イオン化した粒子を高電圧で加速し、基材表面上に衝突させて付着させてもよい。これも公知の手段に従ってよい。
【0015】
ガスクラスターおよびモノマーを構成する原子または分子は、通常、常温・常圧の条件下において気体状であり、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の希ガス、酸素、CO2等の炭素酸化物、窒素、窒素化物、ハロゲンおよびSF6等のハロゲン化物のうちから選ばれる1種類又は2種類以上の混合ガスからなる原子または分子を挙げることができる。
【0016】
本発明においてクラスターを構成する原子又は分子の数(クラスターサイズ)は限定されることはないが、例えば10〜200,000であることが好ましい。ガスクラスターは、供給されたクラスター用ガスから生成される。まず、クラスター用ガスがクラスター生成用ノズルから放出されるが、その際に断熱膨張作用により冷却されることによって分子が凝集し、ガスクラスターが生成される。クラスターサイズの分布は、ガス圧力や温度、ノズルの大きさや形状によって制御されてよい。
【0017】
所要の原子(分子)数から構成される集合体としてのガスクラスターとそのガスクラスターを構成する単原子または単分子であるモノマーとが、任意の比率で混合された後、イオン化され、高電圧により加速エネルギーがイオン化された粒子に付与されてガスクラスター・モノマー混合イオンビームとなり基材表面上の炭素質材料付着層に照射される。ガスクラスター・モノマーの混合物のイオン化は、公知の手段、例えば電子線照射等のエネルギーを付与することにより行われて良い。
【0018】
基材表面上の炭素質材料付着層へのイオンビームを照射する際、ガスクラスターイオンと、ガスクラスターイオンに混合されるモノマーイオンの混合比率を変化させることにより、イオンビームが基材に衝突する際に基材表面上に生じる局所的な高温高圧の状態を制御することができ、形成される炭素膜の硬度を変化させることができる。
【0019】
ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率は、ガスクラスターイオンが混合イオン全体に対して100%〜0%まで、すなわちモノマーイオンが0%〜100%までの範囲で任意に設定することができ、しかもその比率を連続的又は断続的に変化させることができる。一般的に混合イオン中のガスクラスターイオンの比率が高いほど、得られる炭素膜の硬度は高くなる傾向にあり、モノマーイオンの比率が高いほど形成される炭素膜の硬度は低くなる傾向にある。よって、ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を任意に設定することによって、目的とする硬度を有する炭素膜を形成することができるのみならず、ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を連続的又は断続的に変化させることによって、形成される炭素膜の硬度を膜厚方向に傾斜的又は段階的に変化させることができる。
【0020】
尚、上記におけるガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を連続的又は断続的に変化させるとは、ガスクラスターイオン又はモノマーイオンの比率の変化を傾斜的又は段階的に行わせることをいう。
【0021】
また、硬質炭素膜形成過程において、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させると同時に、または付着後に、ガスクラスター・モノマー混合イオンビームが蒸発炭素質材料付着層に照射されて硬質炭素膜が形成されるが、この過程の終了後に、形成された炭素膜に更にガスクラスターイオンビームのみが照射されてもよい。これは、ガスクラスターイオンに特有なラテラルスパッタリング効果による更なる炭素膜の表面平坦化を図るものである。
【0022】
炭素質材料の蒸発粒子もしくはそのイオン化粒子の原子数または分子数とガスクラスター・モノマー混合イオン数との比は、例えば炭素質材料を構成する分子数1〜5,000に対して、ガスクラスター・モノマー混合イオン数1〜10とすることが好ましい。また、ガスクラスター・モノマー混合イオンを加速する電圧についても特に限定されることはなく、所望の硬度を持つ炭素質膜を形成する範囲において設定される。例えば本発明においては、ガスクラスター・モノマー混合イオン加速電圧は1kV〜100kVの範囲とすることが好ましい。
【0023】
本発明は、炭素膜形成の際に、ガスクラスター・モノマー混合イオンをアシスト照射することから、従来のプラズマCVD法等の場合のように基材を加熱する必要は全くない。これは、ガスクラスター・モノマー混合イオンが基材表面と多体衝突する際に、局所的・瞬間的な高温高圧状態を生成することができるため、基材を加熱することなく常温において任意の硬度を持った炭素膜を形成できるからである。もちろん、この発明の方法を阻害しない範囲において所望により加熱してもよいことは言うまでもない。また、本発明においては、従来のプラズマ成膜法等とは異なって、成膜過程において基材温度が上昇することもない。よって、基材と炭素膜との界面において膜応力が発生しにくく、結果的に密着性の高い炭素膜が得られるのみならず、基材の種類についても特に制限されないため、低温での成膜が必要とされる精密機器や有機材料系基材への適用が可能である。
【0024】
炭素膜とは、炭素質の膜を意味するが、ここでいう「炭素質」とは、主に炭素から構成されており、気相成膜のための原料物質より不可逆的に混入する不純物としての原子又は分子を除いては、炭素のみによって構成されていることを意味する。
【0025】
本発明により得られる炭素膜には、その成膜プロセスにおいて水素を用いる必要がないことから水素が含有されない。よって、本発明により得られる炭素膜は、高いグラファイト化耐性及び構造安定性を有する。
また、本発明により得られる炭素膜の膜厚ついては、基材への密着性が高い等、優れた被覆膜としての機能を有していれば特に制限はないが、例えば1〜5μmであることが好ましい。また平坦性については特に限定されないが、精密機器等に炭素膜を被覆する時など、膜の摩擦特性及び膜厚の誤差が被覆される機器の性能に悪影響を与える場合は、Ra1nm以下であることが好ましい。Ra1nmの炭素膜を実現するには、ガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のガスクラスターの混合比率を上げるか、また混合イオンビームを照射後、更にガスクラスターイオンビームを照射して、炭素膜を平坦化することができる。
【0026】
本発明を更に例示説明する。図1は、この発明を実施するためのガスクラスター・モノマー混合イオンビームアシスト成膜装置の概要を示したものである。
図1に例示したように、この発明に用いられる装置は、真空減圧槽内に、ガスクラスター生成部と成膜部とを備えている。ガスクラスター生成部は、クラスター用ガス供給手段と、ノズルと、真空排気手段を有し、ガスクラスター中からクラスター化していないガスを分離するスキマーが成膜部への入口に設けられている。
【0027】
成膜部には、ガスクラスターをイオン化して加速するための第1のイオン化部と第1の加速部、並びに偏向部が配置されている。また、成膜部には、炭素質材料の蒸発粒子をイオン化し、加速するための第2のイオン化部と第2の加速部、並びにるつぼが配置されている。また、ガスクラスター・モノマー混合イオンビームを生成するために、成膜部にはモノマー導入口が設けてあり、該導入口からモノマーを導入し、第1イオン化部及び第1加速部でクラスターおよびモノマーを同時にイオン化して加速した後、基材に照射する。また、必要に応じて偏向部で同イオンビームを走査し、基材に均一なイオンビーム照射を行う。さらにこの成膜部は、真空排気手段及び基材を支持するホルダーを有している。
【0028】
例えば図1に例示した装置では、クラスター用ガス供給手段により供給されるクラスター用ガスと、モノマー導入口より導入されるモノマーガスとの供給比率を任意に設定することにより、ガスクラスター・モノマー混合イオンビームのイオン混合比率を変化させることができる。更に、上記のクラスター用ガスとモノマーガスの供給比率をイオンビーム照射中に連続的又は断続的に変化させることにより、これと連動させて、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率を連続的又は断続的に変化させることができる。つまり、クラスター用ガスとモノマーガスの供給比率を100:0〜0:100の範囲内で変化させると、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率は、供給比率に連動して100:0〜0:100の範囲内で変化することになる。この混合イオンビームを成膜中に連続的又は断続的に基材上の炭素質材料付着層に照射することにより、膜厚方向に硬度勾配を有する炭素膜を形成することができる。
【0029】
例えば、成膜初期には混合イオンビーム中のモノマーイオン粒子数の比率を高めることによって、基材と炭素膜との界面に膜応力の小さい低硬度な炭素膜を形成し、目標膜厚に近づくにつれて傾斜的に混合イオンビーム中のクラスターイオン粒子数の比率を高めていくことにより、膜硬度が傾斜的に高まる炭素膜を形成することができる。本方法により、基材と炭素膜の界面における膜応力を緩和することができ、一般的に膜内部応力が高いとされる高硬度な炭素膜を、密着性良く基材に付着させることができる。また、柔軟性のある有機系材料等の種々の基材にも効率よく硬質炭素膜を密着させることができる。
【0030】
また本発明におけるガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率は、クラスター用ガス供給手段から供給されるクラスター用ガスと、モノマーガス導入手段から導入されるモノマーガスとの供給比率により設定されるが、その供給比率を100:0又は0:100と設定した場合、ガスクラスター・モノマー混合イオンビームは、通常のガスクラスターイオンビーム又はモノマーイオンビームとなりうる。
また、本発明によれば、クラスター用ガスとモノマーガスの供給比率を、100:0〜0:100の範囲内の任意の値に設定することができ、またその供給比率を連続的又は断続的に変化させることもできる。
【0031】
一方炭素質材料は、図1の例では、炭素質材料の蒸発粒子の生成部であるるつぼから加熱によって蒸発され、必要に応じて部分的にイオン化され、イオン化された粒子がさらに加速される。次いでイオン化された蒸発粒子、またはイオン化されていない蒸発粒子は基材表面に付着され、炭素質材料付着層が形成される。その付着層形成時又は形成後において前記のガスクラスター・モノマー混合イオンビームがアシスト照射されることになる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、様々な実施の形態をさらに具体的にとりうることは言うまでもない。
【0033】
シリコン、SUS304、Cr、Ni又は有機基材からなる基材に対して、ガスクラスター・モノマー混合ビームを援用しつつ、炭素質材料を蒸着する方法を用いて炭素膜をそれぞれ形成した。炭素質材料には純炭素材料のフラーレン(C60を主としている)を用い、クラスター用ガス及びモノマーガスにはアルゴンを用いた。図1のように、フラーレンは、るつぼを加熱することによって気化させて基材に蒸着させた。アルゴンクラスター・モノマー混合ビームをイオン化し、5kVの電圧で加速させた後、室温に保った基材に照射した。
【0034】
基材に到達するフラーレン分子数1〜5,000に対してアルゴンクラスター・モノマー混合イオン粒子数を1〜10の割合で照射し、炭素膜を形成した。図2に、ガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のクラスターイオンの割合と、その割合で混合された混合イオンビームを援用して形成された炭素膜の硬度との関係を示す。5kVの電圧で加速したクラスター・モノマー混合イオンビームを照射した際に、混合イオンビーム中のクラスターイオンの割合を0から100%の範囲で変化させて炭素膜を作製した。その炭素膜の硬度をナノインデンテーション法による硬度試験によって評価したところ、炭素膜硬度が15GPaから50GPaの範囲で制御されていることが判明した。またクラスターイオンの割合を100%に設定して作成した炭素膜は、Ra1nm以下の高い平坦性を有することも分かった。これらの結果は、シリコン、SUS304、Cr、Ni又は有機基材からなる基材の全てにおいて同じであった。また、成膜中の基材温度はいずれも室温と同じで変化がなく、有機物系の基材に対しても基材の構造を劣化させることなく炭素膜を付着させることができた。
【0035】
ガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のクラスターイオンの割合を変化させて作製された炭素膜における、吸収端近傍X線吸収微細構造(Near Edge Xray Absorption Fine Structure: NEXAFS)のスペクトルを図3に示す。モノマーイオンを50%又は100%の比率で含有するガスクラスター・モノマー混合イオンビームを援用して形成された炭素膜のスペクトルには、イオン照射をされていないC60において特有に表れる2つのピーク(286eV:吸収端から2つ目のピーク、288eV:吸収端から3つ目のピーク)が若干残っており、該炭素膜中にC60構造が残っていることが明らかとなった。一方、クラスターイオンの割合が100%であるビームを用いて形成された炭素膜には、上記に見られた様なC60特有のピークは見られなかった。従って、形成された炭素膜に見られる硬度変化は、付着炭素質材料の構造が、混合イオンビームの照射により変化したことが要因となってもたらされたことが明らかとなった。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、15〜50GPaの範囲で任意の硬度を持つ炭素膜を一つの成膜用真空槽内で、しかも連続的に形成することができる。これにより多岐に渡る炭素膜の応用分野に対してそれぞれに必要とされる硬度を有する炭素膜を作製することができる。さらに基材との界面では低硬度で、膜表面に近づくにつれて高硬度となるような硬度勾配を有する炭素膜を形成することができるため、比較的密着性が低いとされる50GPa程度の硬度を持つ高硬度炭素膜の基材表面における応力を緩和することができ、その結果、より効率よく高硬度炭素膜を基材に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のための装置を例示した概要図である。
【図2】 ガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のクラスターイオンの割合と、その割合で混合された混合イオンビームを援用して形成された炭素膜の硬度との関係を示す図である。
【図3】 ガスクラスター・モノマー混合イオンビーム中のクラスターイオンの割合を変化させて作製された炭素膜における、吸収端近傍X線吸収微細構造(Near Edge Xray Absorption Fine Structure: NEXAFS)のスペクトル図である。
Claims (15)
- 真空減圧下で実質的に水素を含有していない炭素膜を基材上に気相成長させる方法であって、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的又は断続的に照射することを特徴とする炭素膜形成方法。
- ガスクラスターイオンとモノマーイオンとの混合比率を連続的又は断続的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の炭素膜形成方法。
- 蒸発炭素質材料の基材表面への付着と同時に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを照射することを特徴とする請求項1に記載の炭素膜形成方法。
- ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的又は断続的に照射した後に、ガスクラスターイオンビームを照射することにより、形成される膜表面をさらに平坦化することを特徴とする請求項1に記載の炭素膜形成方法。
- ガスクラスターイオン又はモノマーイオンが、希ガス、酸素、炭素酸化物、窒素、窒化物、ハロゲン及びハロゲン化物から選ばれる一種類又は二種類以上の混合物より得られることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素膜形成方法。
- 蒸発炭素質材料をイオン化せずに基材表面に付着させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素膜形成方法。
- 蒸発炭素質材料の少なくとも一部をイオン化して基材表面に付着させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素膜形成方法。
- 蒸発炭素質材料がフラーレン、グラファイト及び無定形炭素のうちから選ばれる一種類又は二種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の炭素膜形成方法。
- ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的又は断続的に照射する際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率を連続的又は断続的に変化させることによって、形成される炭素膜の硬度を任意に変えることを特徴とする請求項2に記載の炭素膜形成方法。
- 炭素膜の硬度が15GPaから50GPaの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の炭素膜形成方法。
- 蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に、ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームをガスクラスターイオンとモノマーイオンとの比率を連続的に変化させて連続的に照射することにより得られ、炭素膜厚方向に硬度勾配を有し、硬度が15GPaから50GPaの範囲内であり、水素を実質的に含有しないことを特徴とする炭素膜。
- ガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合イオンビームを連続的に照射した後、ガスクラスターイオンビームを照射することにより膜表面がさらに平坦化されていることを特徴とする請求項11に記載の炭素膜。
- 蒸発炭素質材料がフラーレン、グラファイト及び無定形炭素のうちから選ばれる一種類又は二種類以上の混合物であることを特徴とする請求項11または12に記載の炭素膜。
- 真空減圧下で水素を実質的に含有していない炭素膜を基材上に気相成長させる装置であって、蒸発炭素質材料を基材表面に付着させる際に照射するガスクラスター・モノマー混合イオンビームのガスクラスターイオンとモノマーイオンの混合比率を変化させる機能を有することを特徴とする炭素膜形成装置。
- 請求項11ないし13のいずれかに記載される炭素膜を被覆された製造物。
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