JP3898580B2 - 蛍光検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川、湖沼、ダム、浄水場等において水面上に浮遊する油等の物質を検出する蛍光検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上水道の水源となる河川、湖沼、ダム等では、化学物質や油等が流出する事故が発生することがあり、取水の水質監視は安全な水の供給のために重要である。特に、油の流出による水源の汚染が水道事故の大半を占めている。
【0003】
油が浄水に混入した場合、油臭障害が発生すると共に、浄水場内の施設が油によって汚染され、その清掃作業に多大な費用と時間が必要となる。浄水場への油の流入を防ぐためには、水源において油の汚染を事前に検知する必要がある。油は水面に油膜として存在することから、油膜を検出することで油の存在を確認することができる。
【0004】
従来、水面上の油膜の監視は、一般市民からの通報や監視員による観察等、人手に多く依存しており、検出精度が不十分であったり、監視員の負担が大きい等の問題があった。このため、人の目視によることなく連続的に油膜を監視し、検出できる装置が必要とされていた。
【0005】
連続監視可能な油膜の検出方法として、水面と油との光学的な性質の差を測定することにより油の検知を行なう光学的な手法が検討され、一部実用化されている。現在実用化されている光学的手法は、主に水面の反射率を測定する方法である。
【0006】
この手法は、水よりも油の反射率が高いことを利用して油膜の検出を行なうもので、反射率法と呼ばれている。反射率法では、比較的簡易に装置を構成できるが、受光器に入る反射光の強度は水面の波立ちの影響を受けるため、適用できる場所は静水面に限られてしまう。このため、浄水場や取水場内の着水井や水路等、波立ちの少ない一定水位となる水面でしか適用することができない。
【0007】
この場合、油の存在を検知できる場所は上水施設内となり、既に油が上水施設に流入した後でなければ油を検出することができない。したがって、油混入後の迅速な対処を行なう上で不利である。
【0008】
このような問題を解決するために、屋外取水施設の上流側での適用が可能な手法の開発が進められている。屋外取水設備の上流側は波立ちや風雨にさらされるので、耐外乱性に優れた手法が望ましく、偏光比解析法や蛍光分光法等の適用が検討されている。
【0009】
ここで、油は紫外領域の光を吸収して励起され、蛍光を発する特性を持っている。そこで、励起光として紫外線を水面に照射し、油に特有な蛍光波長の光強度を測定することにより、油を検出することが可能である。このように、ある波長の励起光を水面に照射し、水面に浮遊する物質からの蛍光発光を測定する、いわゆる蛍光分光法により物質の有無を検出する技術が知られており、例えば特開平11−64222号公報によって提案されている。この場合、蛍光発光は水面の物質の存在に依存し、水面の物理的形状に影響を受けないことから、波立ちのある水面でも適用可能である。
【0010】
ところで、励起光は励起光照射手段から発っせられ、水面に到達するまでに減衰する。同様に油等の物質から発した蛍光も受光手段に到達するまでに減衰する。このことから、水面と検出器との距離が変動すると蛍光強度が変動し、検知できないレベルまで減衰する可能性がある。通常、検出器は設置箇所に固定されており、水位が大きく変動するような場所では蛍光強度が変動するため安定した検出が困難である。
【0011】
また、従来の光学的手法による油膜監視では、レーザ光や発光ダイオード光等の収束光を光源として使用することが多かった。しかし、これらの光源では、励起光の照射面積が著しく小さいため、監視対象となる水面がごく限られた領域となる。油は種類によっては粘度が高く、この場合は、水面上で一様に広がらずに円状や斑状、帯状等に分散した形態で流下してくる。このように分散した状態の油膜に対しては、上述のように検出対象面積が小さいと、検出にかからず見逃してしまうことになる。
【0012】
さらに、取水施設は屋外に設置されている場合が多く、油膜検出装置は、太陽光に曝される場所に設置されることが想定される。このため、太陽光存在下でも安定した計測が行なえる必要がある。このような場合、検出装置に対して上部からの光はカバーを設置することによって太陽光を遮断することは容易である。しかし、検出装置下部からの光(水底等からの反射光)に対しては、これを遮断すると測定面を遮断することにもなるため構造上困難であった。このため、水底面等からの太陽光の反射光が蛍光受光手段に入射することとなり、蛍光強度が著しく増加し、測定に障害を及ぼす場合がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、物質が励起光を受けて蛍光発光する現象を利用し、物質の存在を検出する装置では、波立ちによる影響を受けない等、優れた特性を有するものの、水面高さが変動する場合は減衰により蛍光強度が変動し安定した検出が困難になる。また、光源として多く用いられる収束光を励起光とした場合、円状、斑状、帯状等に分散した物質を検出することが難しい。さらに、水中からの反射光を遮蔽することが構造上難しく、正確な蛍光強度の測定が困難である。
【0014】
本発明の目的は、水面変動や水中からの反射光等の外乱状況に影響を受けることなく、励起光に基づく蛍光発光により、正確かつ確実に水面上に浮遊する物質を検出する蛍光検出装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による蛍光検出装置は、水面に浮遊する物質に励起光を照射し、前記物質からの蛍光発光を受光して物質の有無を検出するもので、水面上に浮遊状態で設けられるフロートと、フロート上にて、支持体により前記水面から一定間隔を保って支持固定された前記励起光の照射手段および蛍光受光手段と、前記蛍光受光手段と対向する水面下に設けられ、水面下からの受光手段に対する外乱光の入射を防止する外乱光入射防止体とを有することを特徴とする。
【0019】
上記外乱光入射防止体は、検出対象物質の流通を許容する孔を有するものでもよい。
【0021】
また、本発明では、外乱光入射防止体の蛍光受光手段との対向面を反射面として反射体を兼ねるように構成してもよい。
【0023】
これらの発明では、水面上に浮遊状態でフロートを設け、このフロート上に、支持体によって励起光の照射手段および蛍光受光手段を支持固定したので、検出対象の水面との間は、水面水位が変化しても常に一定間隔を保つと共に、水面下に外乱光入射防止体を設けたので、水底からの反射光等による水面下からの受光手段に対する外乱光の入射を防止できる。
【0026】
この外乱光入射防止体に孔を設ければ、検出対象物質の水面への浮上を阻害することはなく確実な検出が可能となる。
【0028】
さらに、外乱光入射防止体の上面を反射面とすれば反射体を兼ねるので、部品共用により、構成が簡素化される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による蛍光検出装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1は水面に励起光を照射し、水面上に浮遊する物質から蛍光を発光させ、その蛍光強度を測定することにより物質の有無を検出する蛍光検出装置の一実施の形態を示しており、具体的には水中への油の混入を検出する油膜検出装置とする。
【0032】
図1において、11はフロートで、検査対象の水面12上に浮遊した状態で設けられる。このフロート11は左右一対設けられており、その上部には支持体13が掛け渡されている。支持体13は、水面12に対して一定間隔を成す支持面13aを有する。この支持面13aには、蛍光分光法により水面上の物質を検出するため、励起光照射手段14及び蛍光受光手段15が、それらの発光面及び受光面が下向きの状態で、透明板16と対向するように取り付けられている。
【0033】
励起光照射手段14は、光源となる発光素子及び特定の波長の光を選択的に透過する光学フィルタ等により構成されている。この構成により、励起光照射手段14は、検出対象物質である油を励起させるため、200〜300nmの波長の励起光14aを水面の検査対象部12aに照射する。
【0034】
蛍光受光手段15は、特定の波長の光を選択的に透過させる光学フィルタ及び水面12からの蛍光発光15aを受光する受光素子により構成されている。この構成により、蛍光受光手段15は、水面の検査対象部分12aからの光のうち、検査対象物質(ここでは油)が発光する300〜400nmの波長の蛍光15aを受光する。
【0035】
17は発光制御計測回路で、ケーブル18により図示しない地上の電源部や変換器、伝送装置と接続されており、励起光発光手段15を発光させたり、蛍光受光手段16を受光動作させて、蛍光強度を測定する。
【0036】
この発光制御計測手段17や励起光照射手段14及び蛍光受光手段15からなる検出装置本体部分は、遮光カバー19によって覆われている。この遮光カバー19は、装置本体が屋外に設置されることから、直射日光による各種機器の温度上昇を防止し、誤動作を防止するものである。
【0037】
上記構成による蛍光分光法による検出装置において、水面に浮遊する油を検出する場合、油を励起する波長域の光を励起光照射手段14によって水面12に照射し、油から発せられる蛍光を蛍光受光手段15によって検出する。このとき、水面12に油が存在すると蛍光強度が増大することから、蛍光強度が所定の値以上になった場合は油膜が存在していると判断する。これに対して水面に油膜が存在しない場合は、蛍光が発しないため蛍光受光手段15で受光される光の強度は非常に小さくなる。このため、S/N比が高いという特徴がある。
【0038】
すなわち、従来の反射光測定方式では、水面からの一定の反射光強度がバックグラウンドになる。油膜の存在は、このバックグラウンド下での反射強度の増加分で検出するため、S/N比は高くならず、蛍光測定に比べ劣ることになる。
【0039】
したがって、本実施の形態のように、蛍光分光法を適用することにより、従来の反射光測定方式に比べ高感度に油膜検出を行なうことができる。また、波立ちの影響を受け難いため、波立ちのある水面の監視も可能である。
【0040】
一般に、蛍光分光法では、蛍光強度は、励起光照射手段14及び蛍光受光手段15等の光学機器と水面との距離の変化に伴って変動する。このため、安定した検出動作(蛍光強度測定)を可能とするには、光学機器と水面12との距離を一定にする必要がある。
【0041】
この実施の形態では、蛍光測定に必要な励起光照射手段14及び蛍光受光手段15を、水面上に浮かせたフロート11上に支持体13を介して搭載し、水面12上に浮遊させた状態で油膜検知を行なう。このため、励起光照射手段14及び蛍光受光手段15は水面との距離をほぼ一定に保つことができ、安定した検出動作が可能になる。すなわち、設置場所の水位が変動した場合でも、水位の変動に合わせて検出装置本体も上下動することから、常に検出装置本体と水面12との距離を一定に保持することができる。
【0042】
ここで、蛍光分光法では、照射する励起波長および受光する蛍光波長の範囲が重要である。油は前述のように、紫外領域である波長200〜300nmの光によって励起され、300〜400nmの波長領域の蛍光を発する。したがって、上記波長領域の励起光を照射する励起光照射手段14及び上記波長領域の蛍光を受光する蛍光受光手段15を用いることにより油を選択的に検出することができる。
【0043】
図2は紫外領域の波長260nmの励起光を照射したときの、機械油(0.2g/lヘキサン溶媒)の蛍光スペクトルを示している。図示のように、300〜400nmの波長領域で蛍光強度の増大が見られる。特に320nm付近に強い蛍光ピークがある。したがって、300nm以下の紫外領域の光を励起光とし、300〜400nmの蛍光を受光することにより、油の検出を行なうことができる。
【0044】
図3は励起光波長260nm±5nm、蛍光受光波長320nm±5nmの波長領域で、油膜厚さを変えたA重油をサンプルとして、昼間に測定を実施した際のセンサー出力を示している。この例では、油膜厚さを変えたA重油を異なるタイミングで検出地点に流して測定したものであり、横軸は検査タイミングである時間を表し縦軸はセンサー出力を表している。
【0045】
すなわち、検査開始から約200秒の時点で油膜厚さ0.03μmのA重油が検査地点に達し、励起光照射による検査の結果、蛍光受光により4V前後のセンサー出力が得られた。また、約380秒の時点で油膜厚さ0.05μmのA重油が検査地点に達し、励起光照射による検査の結果、蛍光受光により5V前後のセンサー出力が得られた。さらに、約600秒の時点で油膜厚さ0.1μmのA重油が検査地点に達し、励起光照射による検査の結果、蛍光受光により6〜7V前後のセンサー出力が得られた。
【0046】
これらの結果、水面にA重油が存在していると、センサー出力が増加することが判る。また、蛍光発光は油量が多いほど強くなることから、油膜厚さが厚くなるに連れてセンサー出力は増加する傾向にある。図3の例では、警報閾値を4Vとすることにより、昼間の太陽光存在下においてもA重油0.03μmの極微量の油膜を検出することができる。
【0047】
次に、図4を用いて図1で示した励起光照射手段14及び蛍光受光手段15の光学系を詳細に説明する。
【0048】
励起光照射手段14は本体ケース内に、キセノンランプ等による励起光源21、励起光光学フィルタ22、拡大レンズ23を設けている。励起光源21は、発光制御計測手段17により発光制御され、励起光光学フィルタ22により、油を励起可能な波長域の光として選択的に透過される。さらに、拡大レンズ23により、励起光14aとして水面12上に広角に照射され、広範囲な検査対象部12aを形成する。この検査対象部12aに帯状油膜24や斑状油膜25が流入した場合、広角に照射された励起光によりこれら分散された油膜24や25から蛍光が発せられる。
【0049】
蛍光受光手段15は本体ケース内に、フォトマル(光電子増倍管)等の光電変換機器26、蛍光光学フィルタ27、集光レンズ28を設けている。このため、水面の検査対象部12aから発する蛍光15aは集光レンズ28により集光され、蛍光光学フィルタ27に導かれる。蛍光光学フィルタ27は油から発する蛍光波長域の光を透過させる。このようにして水面12の油膜から発せられた蛍光は光電変換機器26により電気信号に変換され、発光制御計測手段17によって蛍光強度が測定される。
【0050】
一般に、帯状や斑状に分散した油を検出するためには、広範囲の水面を検出対象とする必要がある。上記構成では励起光照射手段14に拡大レンズ23を設け、この拡大レンズ23を通して励起光を水面12に照射しているので、検査対象部12aとして広範囲の水面に励起光を照射することができる。このように照射された水面のいずれかに油膜が存在する場合、油から蛍光が発せられる。蛍光受光手段15は集光レンズ28を備えているので、励起光照射範囲内の水面12aからであれば何処から発せられる蛍光であっても集光して受光することができる。したがって、図4で示したように帯状油膜24や斑状油膜25についても見逃すことなく検出することができる。
【0051】
次に、太陽光等、外乱光の影響を防止する構成を図5を用いて説明する。
【0052】
この種の検出装置は屋外設置され、光学手法を用いることから、太陽光等の外乱光による影響を排除する必要がある。通常、太陽光やその他の光源による外乱光は、蛍光受光手段15に直接入射しなければ蛍光測定に与える影響は僅かである。しかし、水の透明度が高く、水深条件が合致した場合、太陽光が水底で反射し、この反射光が蛍光受光手段15に直接入射して蛍光強度を増大させ、誤検出の原因となる場合がある。
【0053】
そこで、図5に示す如く、蛍光受光手段15と対向する水面下に外乱光入射防止体31を設け、水面下からの蛍光受光手段15に対する外乱光の入射を防止する。
【0054】
例えば、太陽光線32が水底33で反射すると、その反射光が検出装置の蛍光受光手段15に直接入射することがある。太陽光には蛍光検出波長である300〜400nmの波長域の光線も含まれていることから蛍光強度の増大を招き、誤検出の原因となる。
【0055】
このような現象を防止するため、板状の外乱光入射防止体31を、支持棒34によって支持体13の下部に一体に取り付け、検出対象部12a直下の水中に設置する。このように、外乱防止体31を、太陽光線32の反射光等、検出装置下部からの外乱光の入射光路上に設置することにより、外乱光の蛍光受光手段15に対する入射を防止できる。この結果、水底からの反射光等、外乱光による影響を排除でき、誤検出がなくなる。また、検出装置は設置場所の制限を受けることなく運用できる。
【0056】
外乱光入射防止体31は水面の検出対象部12a直下に設置されることから、検出装置直下の水中から油が上昇して水面で油膜を形成しようとした場合、この油が外乱光入射防止体31によって遮断され、水面に油膜が形成されないことがある。このような現象を防止するため、図6で示すように外乱光入射防止体31Aに複数の小孔35を開けたものを用いる。この場合、小孔35を通って下方からの外乱光が入射する恐れがあるので、図示のようにそれぞれ小孔35をあけた複数の外乱光入射防止体31A,31Bを重ねて設置する。
【0057】
このような構成によると、検出装置直下に水の噴出口があり、油が検出装置直下から供給される場合であっても、油を含んだ水は、矢印36示すように、小孔35を通って検出対象部12aの水面まで上昇する。そして、検出対象部12aの水面に油膜を形成するので、励起光の照射と、これに伴って油膜から発せられる蛍光の検出により、水面上の油膜を検出することができる。
【0058】
また、水底で反射した外乱光32aは下部の外乱光入射防止体31Bで遮断されるか、或いはその小孔35を通過したとしても、上部の外乱光入射防止体31Aで遮断される。したがって外乱光が蛍光受光手段15に入射されることはない。
【0059】
このように、小孔35を明けた複数の外乱光入射防止体31A,31Bを重ねて設置することにより、油の上昇経路を確保しつつ、水底からの反射光等、水中からの外乱光の光路を遮断し、入射を防止することができる。
【0060】
なお、外乱光入射防止体31A,31Bに設けた小孔35が、検出対象物質である油の流通を許容するが、蛍光受光手段15に対して外乱光としての影響を生じない程度に充分小さい場合は、複数枚重ねて使用する必要はなく、一枚の外乱光入射防止体を設ければよい。
【0061】
蛍光分光法は高感度な検出法であるが、光学系を改良して水面12上の油膜に対する励起光の通過回数を増やすことで、さらに高感度化を図ることができる。例えば、図7で示すように、検出装置直下の水面下に高反射率の反射体38を設置することにより、上方から照射され油膜39を通過して励起した励起光14aを水面下で上方に反射させる。この反射された励起光は再び油膜39を通過して励起することにより、蛍光強度の増幅が可能になる。
【0062】
一般に、励起光は上方から水面に照射され、一部が水面上の油膜を励起し、一部が水面で反射され、残りは水中に侵入して減衰する。上述の構成によると、水中に侵入した励起光14aは反射体38によって反射し、再び水面12上の油膜39を励起する。この結果、油膜39に対する励起回数が増え、蛍光発光強度が増幅されることになる。
【0063】
この場合、反射体38で反射された励起光も、蛍光受光手段15に入射されることになるが、蛍光受光手段15に設けた蛍光光学フィルタ27により励起光の波長は透過されないため蛍光測定強度への影響はない。
【0064】
この反射体38としては、図5や図6で示した外乱光入射防止体31,31Aの上面を高反射率の物質で覆い、これを反射体として兼用してもよい。
【0065】
次に、図8によって固形物流入防止柵41の設置例を説明する。
【0066】
蛍光分光法による検出装置を水道取水施設に適用する場合、水面に浮遊する固形物が検出対象部12aに流入する場合がある。これらの固形物の中には、油と同様な蛍光特性を有するものがある。このような蛍光性の固形物によっても蛍光強度が増加することから、蛍光強度の増加を指標として油膜を行なう場合、固形物を油膜と誤認識する可能性がある。また、固形物が非蛍光性であっても、これが検出範囲に停滞することにより、油が流入した場合に、励起光を遮断して測定を妨害する可能性がある。
【0067】
そこで、このような固形物の検出対象部12aへの流入を防止するため、図8で示すように、固形物流入防止柵41を設置する。図8において、固形物流入防止柵41は、支持体13の外周端部に固定され、柵41の下端部が水中に浸漬した状態で使用される。
【0068】
このように構成すると、水面12を浮遊する図示しない固形物は、支持体13の外周に到達すると柵41で止められ、検出対象部12aへの流入は防止される。これに対し、水面上の油膜は柵41の隙間の水面を通過して検出対象部12aに到達することから、蛍光分光法により確実に検出される。
【0069】
上記実施の形態では、蛍光検出装置によって検出される物質として油を例示したが、これ以外でも、例えば藻類や水中に溶解している有機成分等の物質を測定することができる。この場合、励起光波長及び蛍光受光波長は、もちろん検出対象物質に対応して設定する。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、励起光照射手段や蛍光受光手段等の検出用機器をフロート上に取り付けて、水面に対して常に一定の距離を保つと共に、水中からの反射光の入射を防止するようにしたので、水位の変動や波立ち、さらには、水中からの反射光などの外乱による影響を受けることなく高感度に水中の物質検出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蛍光検出装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】同上一実施の形態に用いる励起光波長と相対蛍光強度との関係を示す特性図である。
【図3】同上一実施の形態における検出対象物質である油膜厚さと蛍光強度との関係を示す特性図である。
【図4】同上一実施の形態における光学系の詳細を説明する構成図である。
【図5】同上一実施の形態における外乱光入射防止体の取付け例を示す構成図である。
【図6】同上一実施の形態における孔付き外乱光入射防止体の取付け例を示す構成図である。
【図7】同上一実施の形態における励起光反射体の取付けによる励起回数増加を説明する模式図である。
【図8】同上一実施の形態における固形物流入防止柵の取付け例を示す構成図である。
【符号の説明】
11 フロート
12 水面
12a 検出対象部
13 支持体
14 励起光照射手段
14a 励起光
15 蛍光受光手段
15a 蛍光
23 拡大レンズ
28 集光レンズ
31 外乱光入射防止体
38 励起光反射体
41 固形物流入防止柵
Claims (3)
- 水面に浮遊する物質に励起光を照射し、前記物質からの蛍光発光を受光して物質の有無を検出する蛍光検出装置であって、
水面上に浮遊状態で設けられるフロートと、
フロート上にて、支持体により前記水面から一定間隔を保って支持固定された前記励起光の照射手段および蛍光受光手段と、
前記蛍光受光手段と対向する水面下に設けられ、水面下からの受光手段に対する外乱光の入射を防止する外乱光入射防止体と、
を有することを特徴とする蛍光検出装置。 - 外乱光入射防止体が、検出対象物質の流通を許容する孔を有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出装置。
- 外乱光入射防止体の蛍光受光手段との対向面を反射面として反射体を兼ねるように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光検出装置。
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