JP3897521B2 - 光情報記録方法および光情報記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光情報記録方法および光情報記録装置に関し、特に、光情報記録媒体上に精度の良いピット−ランド列を形成して再生信号の品質の向上を図った光情報記録方法および光情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CD−R(Compact Disc Recordable)等の光ディスクにおいては、スパイラル状の記録トラックを設けた透明基板上に有機色素膜からなる記録層を設け、さらにその上に反射層を設けた基本構造を有する。
【0003】
そして、この種の光ディスクは線速度一定で回転し、レーザビームを透明基板側から記録層の記録トラックに沿って照射し、記録層の記録トラック上に所定長のピットを形成することで、該光ディスクへの情報記録が行われる。
【0004】
情報記録時におけるレーザビームは、記録情報に基づいた記録パルスに対応して照射され、例えば、記録パルスがハイレベルであるときは高強度で照射して光ディスクの記録層を変質させて記録トラック上にピットを形成し、記録パルスがローレベルであるときには低強度で照射して光ディスクの記録層を変質させずに記録トラックのトラッキングだけを行う。
【0005】
ここで、ピット形成時に発生する熱の影響が、先行して記録されたピットおよび次に記録されるピットの記録状態に影響を与える熱干渉と呼ばれる現象が発生する。
【0006】
これは、
1)先行して記録されたピットの形成に供されなかった余熱が記録面を移動して次に形成されるピットに影響する
2)ピットの形成に供されなかった余熱が記録面を移動して先行して記録されるピットに影響する
現象によって生じると考えられており、これにより、ピットの形に歪みを生じたり、ピットエッジに位置ずれを生じたりするものである。
【0007】
このように、熱が記録面を移動する熱伝導による熱干渉においては、形成ピットのピット長が短いほど、また、先行して記録されたピットと次に記録されるピットとの間隔が狭いほど、その影響は大きく、結果的にRF信号のジッタが悪化して再生信号の品質が悪くなる。
【0008】
ところで、近年、光ディスクの回転速度を増加しこれに対応させて記録情報に基づく基準記録パルスの周期を早めることによって、光ディスクへの高速記録を可能にする技術が普及している。
【0009】
また、最近の光ディスクにおいては、さらなる記憶容量の増大が要求され、これに伴って高密度化した光ディスクの検討が行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、光ディスクの高速記録においては、光ディスクの回転速度が増加し記録パルスの周期が早まることで、光ディスクに供する熱の制御が難しくなり、通常記録時と比較して記録面に発生する余熱の量が大きくなりやすい。
【0011】
また、光ディスクの高密度化にともない、ピットの大きさやピット間隔が小さくなれば、この余熱が熱干渉の大きな原因になりうる。
【0012】
すなわち、光ディスクへの記録速度が高速になればなるほど、また、光ディスクの記録密度が上がるほど、光ディスクに形成されるピットの形状に大きなばらつきを生じ、短いランド(記録トラックのピット以外の部分)が消失する等の問題が発生するため、RF信号に歪み(以下、RF歪という。)を生じやすくなる。
【0013】
そこで、この発明は、記録パルスを制御してレーザビームの出力を調整することにより精度の良いピット−ランド列を形成し、RF歪みを軽減することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、所望の情報に対応した記録パルスに基づき出力が制御されるレーザビームを光情報記録媒体に照射して、該記録パルスのパルス幅に対応する長さのピットと該記録パルスのパルス間隔に対応する長さのランドとからなる一連のピット−ランド列を前記光情報記録媒体の記録トラックに沿って形成する光情報記録方法において、前記記録パルスのパルス幅およびパルス間隔を計測するとともに、該計測に基づき前記レーザビームにより前記光情報記録媒体上に形成されるビームスポット径より短い特定長のランドに対応するパルス間隔を検出し、該検出したパルス間隔におけるレーザビームの出力を前記特定長のランドよりも長い他のパルス間隔におけるレーザビームの出力よりも低く制御することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記特定長のランドに対応するパルス間隔とは、好ましくは最小長のパルス間隔である。
【0016】
つまり、熱移動による熱干渉を起こしやすいと考えられる短いランドに対応するパルス間隔の信号レベルを低くすることによって、この短いランドを照射するレーザビームの出力を抑え、熱干渉を防ぐ。
【0017】
このとき、全てのランドに対応するレーザビームの出力を抑えるわけではないので、光情報記録装置の安定性に問題を生じることはない。
【0018】
また、この発明は、所望の情報に対応した記録パルスに基づき出力が制御されるレーザビームを光情報記録媒体に照射して、該記録パルスのパルス幅に応じた長さのピットと該記録パルスのパルス間隔に応じた長さのランドとからなる一連のピット−ランド列を前記光情報記録媒体の記録トラックに沿って形成する光情報記録装置において、前記記録パルスのパルス幅およびパルス間隔を計測する計測手段と、前記計測手段の計測出力に基づき前記レーザビームにより前記光情報記録媒体上に形成されるビームスポット径より短い特定長のランドに対応するパルス間隔を検出する検出手段と、前記検出手段で検出したパルス間隔におけるレーザビームの出力を前記特定長のランドよりも長い他のパルス間隔におけるレーザビームの出力よりも低く制御するレーザ出力強度制御手段とを有することを特徴とする。
【0019】
ここで、前記検出手段は、最小長のランドに対応するパルス間隔を検出するように構成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる光情報記録方法および光情報記録装置の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
この実施の形態においては、光情報記録媒体が光ディスクから構成される場合について説明する。
【0022】
一般に、光ディスク記録装置では、ピットを形成するために光ディスクにレーザビームを照射するだけでなく、ピットを形成していないときにもトラッキングのためにピット形成時よりも低強度のレーザビームを照射している。
【0023】
このピットを形成していないとき、つまりトラッキングのためにランドとなる部分を照射するレーザビームが、先行して形成されたピット若しくは後行して形成されたピットからの熱伝導を助長する働きをし、熱干渉を起こしやすくしていると考えられる。
【0024】
このため、このランドとなる部分を照射するレーザビームの出力をできるだけ抑えることがRF歪みを低減する上で有効であるが、このランドとなる部分を照射するレーザビームの出力を完全にゼロとすると、トラッキングがとれなくなり、ドライブの安定性の面で問題を生じる。
【0025】
そこで、この発明では、最も熱伝導を起こしやすくRF信号歪の原因となりやすいと考えられる長さのランドに対応したレーザビームを照射するのときにのみ、レーザビームの出力を他の長さのランドを照射するときよりも低強度にする、もしくは完全にゼロにすることによって、ドライブの安定性を保ちつつ、熱伝導による熱干渉を低減する。
【0026】
ここで、最も熱伝導を起こしやすくRF信号歪の原因となりやすいと考えられる長さのランドとして、レーザビームの照射によって光ディスク上に形成されるレーザスポットのスポット径よりも短いランド、特に最少長のランドが挙げられる。この、最小長のランドとは、例えばCD−R、DVD−Rにおいては3Tの長さをもつランド(以下、3Tランドという)である。
【0027】
すなわち、この発明の主旨は、図1に示すように、ピット形成期に対応するハイレベル(H)とピットを形成しないトラッキング期間に対応する(つまり、ランドに対応する)ローレベル(L1)の少なくとも2値を有する記録信号(a)から、最小長(3T)のパルス間隔の信号レベル(つまり、3Tランドに対応する信号の信号レベル)をL1よりさらに低いL2に設定したレーザ駆動信号(b)を生成し、このレーザ駆動信号(b)に基づいてレーザビームの出力を制御するところにある。
【0028】
図2は、この発明に係る光情報記録装置の第1の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図2において、光ディスク記録装置は、記録基準クロック10、エンコーダ11、パルス間隔計測回路15、遅延回路16、ストラテジ回路12、光ピックアップ13、光ピックアップ13が具備する図示しないレーザダイオード(LD)を駆動するLDドライバ14を少なくとも具備して構成される。
【0030】
また、図3は、図2の各部が出力する信号の波形を示す図である。
【0031】
図3において、(a)は記録情報に基づいてエンコーダ11から出力される記録信号、(b)は遅延回路16からストラテジ回路12に入力される記録信号、(c)はパルス間隔計測回路15において3Tのパルス間隔を検出したときに出力される最小長パルス間隔検出信号、(d)はストラテジ回路12からLDドライバ14に入力されるレーザ出力制御信号、(e)はLDドライバにおけるレーザ駆動信号の波形の一例を示したものである。
【0032】
記録基準クロック10は、図2に示す光情報記録装置における各部の同期をとるためのクロック信号(CK)を出力する。
【0033】
エンコーダ11は、入力された所望の記録情報を符号化した後、符号化された記録情報をEFM(Eight to Fourteen Modulation)信号等の記録信号(a)に変調して出力する。
【0034】
パルス間隔計測回路15は、入力された記録信号(a)のパルス幅およびパルス間隔を計測するとともに、記録信号(a)から3Tランドに対応する信号、すなわち3Tの長さのパルス間隔を検出する機能を持ち、記録信号(a)から3Tの長さのパルス間隔を検出すると、最小長パルス間隔検出信号(c)を出力する。
【0035】
ストラテジ回路12には、パルス間隔計測回路15が出力する最小長パルス間隔検出信号(c)との同期をとるため、エンコーダ11から出力された記録信号(a)を遅延回路16で所定の時間ΔTだけ遅延した記録信号(b)が入力され、この記録信号(b)に、例えば公知のパルストレイン法、パワード法、矩形法等に基づいた補正が加えられ、光ディスクの種類、記録速度等に応じてレーザビームの出力を最適に制御するレーザ出力制御信号(d)が生成される。
【0036】
LDドライバ14は、レーザビームの出力を少なくとも3値に制御できるように構成されており、ストラテジ回路12から入力されたレーザ出力制御信号(d)に基づいて光ピックアップ13が具備する図示しないレーザダイオードを駆動し、光ディスク20に照射するレーザビームの出力強度をH、L1の2段階に制御するとともに、パルス間隔計測回路15から最小長パルス間隔検出信号(c)が入力されたときには、この最小長パルス間隔検出信号(c)と同期して入力されたレーザ出力制御信号(d)のパルス間隔に対応するレーザビームを、L1よりもさらに低い強度のL2で出力する(図3(e)参照)。
【0037】
このような構成により、記録トラックの3Tランドに対応する部分を照射するレーザビームの出力を抑えることができる。
【0038】
図4は、この発明に係る光情報記録装置の第2の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
図4において、図2と同じ参照数字を付したものは図2と同じ構成要素を示すので説明を省略する。
【0040】
また、図5は、図4の各部が出力する信号の波形を示す図である。
【0041】
この実施例では、エンコーダ11から出力される記録信号(a)は、ストラテジ回路12に直接入力され、公知のパルストレイン法、パワード法、矩形法等に基づいて、光ディスクの種類、記録速度等に応じた最適なレーザビームを照射するための補正が加えられ、記録信号(b)として出力される。
【0042】
パルス間隔計測回路15は、ストラテジ回路12において具体的にどのような補正が記録信号に加えられるかの情報を記憶しており、入力された記録信号(b)のパルス幅およびパルス間隔を計測するとともに、記録信号(b)から補正前の記録信号(a)における3Tランドに対応する信号を検出する機能を持つ。
【0043】
したがって、パルス間隔計測回路15にストラテジ回路12において補正された記録信号(b)が入力されると、パルス間隔計測回路15では、記録信号(b)から補正前の記録信号(a)における3Tランドに対応する信号を検出し、この3Tランドに対応する信号の信号レベルをL1からL2に引下げ、レーザ駆動信号(c)として出力する。
【0044】
LDドライバ14は、レーザビームの出力を少なくとも3値に制御できるように構成されており、光ピックアップ13が具備する図示しないレーザダイオードを制御してパルス間隔計測回路15から入力されたレーザ駆動信号(c)に対応したレーザビームを光ディスク20に照射し、所望の情報の記録を行なう。
【0045】
なお、上記では、パルス間隔計測回路15において検出するパルス間隔を3Tランドに対応するものとして説明したが、光情報記録媒体によっては最少長ランドが3Tではないものもあり、検出する最少長パルス間隔は光情報記録媒体によって異なる。
【0046】
また、パルス間隔計測回路15において、レーザビームのスポット径よりも短い複数のランドに対応するパルス間隔を検出するようにしても良い。
【0047】
また、この発明の主旨は、光情報記録媒体における最少長のランド、もしくはレーザビームが光情報記録媒体上に形成するビームスポットのスポット径よりも短いランドに対応して照射するレーザビームの出力を、他のランドを照射するときよりも低強度に設定するところにあり、そのための方法は上記の実施例に限定されない。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、短いランドに対応するレーザビームの出力だけを抑えるので、ドライブの安定性を欠くことなく熱伝導による熱干渉を抑制することができ、精度の良いピット−ランド列を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原理を説明する図である。
【図2】この発明の光情報記録装置の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す各部から出力される信号の波形図である。
【図4】この発明の光情報記録装置の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す各部から出力される信号の波形図である。
【符号の説明】
10 記録基準クロック
11 エンコーダ
12 ストラテジ回路
13 光ピックアップ
14 ドライバ
15 パルス間隔計測回路
16 遅延回路
20 光ディスク

Claims (4)

  1. 所望の情報に対応した記録パルスに基づき出力が制御されるレーザビームを光情報記録媒体に照射して、該記録パルスのパルス幅に対応する長さのピットと該記録パルスのパルス間隔に対応する長さのランドとからなる一連のピット−ランド列を前記光情報記録媒体の記録トラックに沿って形成する光情報記録方法において、
    前記記録パルスのパルス幅およびパルス間隔を計測するとともに、
    該計測に基づき前記レーザビームにより前記光情報記録媒体上に形成されるビームスポット径より短い特定長のランドに対応するパルス間隔を検出し、
    該検出したパルス間隔におけるレーザビームの出力を前記特定長のランドよりも長い他のパルス間隔におけるレーザビームの出力よりも低く制御する
    ことを特徴とする光情報記録方法。
  2. 前記特定長のランドに対応するパルス間隔は、
    最小長のランドに対応するパルス間隔である
    ことを特徴とする請求項1記載の光情報記録方法。
  3. 所望の情報に対応した記録パルスに基づき出力が制御されるレーザビームを光情報記録媒体に照射して、該記録パルスのパルス幅に応じた長さのピットと該記録パルスのパルス間隔に応じた長さのランドとからなる一連のピット−ランド列を前記光情報記録媒体の記録トラックに沿って形成する光情報記録装置において、
    前記記録パルスのパルス幅およびパルス間隔を計測する計測手段と、
    前記計測手段の計測出力に基づき前記レーザビームにより前記光情報記録媒体上に形成されるビームスポット径より短い特定長のランドに対応するパルス間隔を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出したパルス間隔におけるレーザビームの出力を前記特定長のランドよりも長い他のパルス間隔におけるレーザビームの出力よりも低く制御するレーザ出力強度制御手段と
    を有することを特徴とする光情報記録装置。
  4. 前記検出手段は、
    最小長のランドに対応するパルス間隔を検出する
    ことを特徴とする請求項記載の光情報記録装置。
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