JP3896979B2 - ごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置 - Google Patents

ごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はごみ焼却炉の燃焼制御方法、特に大型のごみ焼却炉に好適なごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉は、日々の生活において排出される様々な廃棄物を処理するという重要な役割を担っている。近年では、廃棄物であるごみの焼却処理によって発生する膨大な熱エネルギーの回収への関心が集まり、ボイラ発電設備のついたものが増加している。
【0003】
このようなごみ焼却炉では、ごみはごみクレーンによって数十分間隔で間欠的にごみホッパへ投入され、ごみホッパの下部にある給塵装置によってごみは炉内に送り込まれる。炉内に送り込まれたごみは火格子の往復運動により、火格子上を移動しながら乾燥・燃焼され、最終的には灰となって炉外に排出される。
【0004】
炉内の燃焼状態を安定に維持するため、50〜200℃程度に加熱された空気(以下「燃焼用空気」と呼ぶ。)がごみ搬送方向に対し複数に分割された火格子下の領域(風箱)から、乾燥段、燃焼段、後燃焼段それぞれの火格子に吹き込まれる。乾燥段、燃焼段、後燃焼段のそれぞれの火格子に吹き込まれる燃焼用空気量は、供給される燃焼用空気の総流量及び各段の火格子に燃焼用空気を供給する供給配管に設けられた火格子下ダンパのダンパ開度によって調整される。
【0005】
また、炉壁に設けられた冷却用空気吹き込み口からは、冷却用空気ブロアにより冷却用空気が吹き込まれ、燃焼ガス中の可燃焼成分を完全燃焼させると共に、炉壁の温度が過度に上昇することを防止する。
【0006】
ごみの燃焼によって発生した排ガスは、炉出口に設けられた熱交換機でボイラ水に熱を与えた後、排気される。
【0007】
このようなごみ焼却炉では、多様な発熱量を持つごみを完全燃焼させながらボイラの蒸気発生量は一定に維持し、さらに、炉内で発生した燃焼ガスの2次燃焼を行うガス混合室の温度を所定の温度以上に維持してCOやダイオキシン類などの有害物質の発生抑制を図るような運転が求められている。このような要求に対して現在のごみ焼却炉では、自動燃焼制御を行うことにより燃焼用空気量、冷却用空気量、給じん速度、火格子速度などが制御される。
【0008】
なお、現状ではダイオキシン類の濃度を連続的に計測することは困難であるが、連続計測が可能なCO濃度とダイオキシン類の濃度の相関が強いことから、CO濃度の計測値を指標として炉の燃焼制御を行い、COと共にダイオキシン類の発生の抑制を図っている。
【0009】
また、近年のごみ焼却炉においては、ダイオキシン類などの有害物質の排出問題が注目されている。処理量が多い大型炉ほど燃焼状態が安定し、ダイオキシン類などの有害物質の排出濃度も低くなる傾向が見られるため、焼却処理能力が200ton/day以上の大型炉の需要が大都市を中心に増加している。
【0010】
しかし、焼却炉の大型化に伴い炉床が大きくなるにつれ、
1)ごみホッパが炉幅方向に広くなり、投入回が異なるごみがホッパ内の左右に分布する。
2)プッシャにより炉内に押し出されるごみの左右方向でのほぐれ方に違いが生じやすい。
などが原因で、ごみの炉幅方向の左右においてごみの質や厚さが一定でなくなる。そのため、ごみの乾燥・燃焼速度が左右方向で異なり、燃焼開始位置や主燃焼位置、燃えきり点の左右方向における分布の違いが生じる。このような場合、炉幅方向左右に分割された領域毎に同じ制御を行うと、火格子上でのごみの燃焼が不均一となり、炉内での燃焼の安定化を図ることが困難となる。
【0011】
また、大型のごみ焼却炉の場合、従来の焼却炉のように炉幅方向に対して左右の一方の温度のみを参照して制御する方法では、例えば、部分的に燃焼状態が悪化している部分が温度計設置位置と反対方向の場合、温度低下が検知できず、CO発生の原因が分からないといった問題がある。
【0012】
このような問題に対し、特開平8−35630号公報(特許文献1)には、火格子上の燃料の三次元分布や火格子上の燃料の温度分布に基づいて、炉幅方向の左右に分割された火格子の掻き混ぜ速度、火格子下から導入する一次空気量を調節して燃焼を安定化させる方法が記載されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−35630号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1には、火格子上の燃料の三次元分布や火格子上の燃料の温度分布に基づいて、炉幅方向の左右に分割された火格子の掻き混ぜ速度、火格子下から導入する一次空気量を調節するとの記載はあるが、それらの具体的な制御方法は記載されていない。
【0015】
また、特許文献1においては、レーダー或いは多数のビデオカメラを用いた測定及び画像処理により火格子上の燃料の三次元分布を検出し、さらに、赤外線カメラを用いた測定及び画像処理により火格子上の温度分布を測定することにより、火格子上の燃焼状態の把握を行っている。そのため、高価な設備を用いた複雑な処理が必要となっていた。
【0016】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもので、設備費を増大させることなく、且つ、迅速に、大型炉における火格子上のごみの燃焼状態を正確に把握して、火格子下より炉内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することにより、火格子上でのごみの燃焼の均一化を図り、炉内燃焼の安定化を図ることにより、排ガス中の有害物質の発生を効果的に抑制することが可能なごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するための手段について検討を行った。その結果、ガス混合室内でのごみ搬送方向に対する左右の温度差が大きい場合、混合室内での2次燃焼が充分に行われず、排ガス中の有害物質の発生を効果的に抑制できないことがわかった。
【0018】
ガス混合室内の温度を均一化させるためには、ガス混合室内でのガスの攪拌を充分に行うようにすれば良いが、大型のごみ焼却炉では炉幅方向が広いため、ガス混合室において何らかの攪拌手段等を用いて、ガス混合室内のガスを充分に攪拌し、ガス混合室内における温度分布の左右差を小さくすることは困難である。
【0019】
図1は、実際のごみ焼却炉の実データより、乾燥段上方を通過するガスが二次燃焼用空気により攪拌されていない場合の乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差(右−左)とガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度差(右−左)の関係を調べた結果を示した図である。これより、乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差とガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度差は負の相関が強いことがわかる。
【0020】
つまり、乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差が発生したとき、発生したガスが左右方向で攪拌を受けないとすると、図1に示した温度関係が炉幅方向に分割した左右の領域毎に発生する。例えば、乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左側温度が適温より高く、右側温度が適温の場合、ガス混合室内のごみ搬送方向に対して左側温度が適温より低く、右側温度が適温になる。この場合、乾燥段上方温度のごみ搬送方向に対する左右の温度差(左−右)は正、ガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度差(左−右)は負である。この関係は左右の温度の高低が入れ替わっても同様に成り立ち、また乾燥段上方温度の左右の差が大きいと、ガス混合室内の左右の温度差も大きくなる。よって、乾燥段上方温度のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差分値とガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度差分値の間には負の相関が生じる。
【0021】
この負の相関を利用することにより、乾燥段上方でのごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差、及び、炉幅方向に分割された左右火格子の主燃焼位置の左右における差を小さくするよう制御を行うことで、ガス混合室内の温度にごみ搬送方向に対する左右の温度差が発生する要因の一つを取り除くことができ、ガス混合室内の左右温度分布を均一化することが可能となる。
【0022】
燃焼用空気吹き込み手段や火格子駆動装置が炉幅方向に分割されているごみ焼却炉では、この相関を利用して、火格子下より炉内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することにより、ガス混合室内の温度のごみ搬送方向に対する左右の温度差を小さくすることが可能となる。
【0023】
本発明は以上のような検討に基づきなされたもので、以下のような特徴を有するごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置である。
[1]火格子を備え、前記火格子が炉長手方向上流側から乾燥段、燃焼段、後燃焼段に区分されているごみ焼却炉における燃焼制御方法であって、燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値、及び、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とするごみ焼却炉の燃焼制御方法。
[2]上記[1]において、さらに、燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とするごみ焼却炉の燃焼制御方法。
[3]上記[2]において、さらに、燃焼室内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とするごみ焼却炉の燃焼制御方法。
[4]火格子を備え、前記火格子が炉長手方向上流側から乾燥段、燃焼段、後燃焼段に区分されているごみ焼却炉の燃焼制御を行う制御装置であって、燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値を取り込む温度取込手段Aと、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差を算出する温度差算出手段Bと、前記温度取込手段Aにより取り込んだ燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値と前記温度差算出手段Bで算出した乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差とに基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定する判定手段Cと、前記判定手段Cによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Dとを有することを特徴とする制御装置。
[5]上記[4]において、さらに、燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値を取り込む温度取込手段Eと、前記温度取込手段Eで取り込んだ燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定する判定手段Fと、前記判定手段Fによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Gとを有することを特徴とする制御装置。
[6]上記[5]において、さらに、燃焼室内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差を算出する温度差算出手段Hと、前記温度差算出手段Hで算出した炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定する判定手段Iと、前記判定手段Iによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Jとを有することを特徴とする制御装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明が適用されるごみ焼却炉の一実施形態を示す概略構成図である。
【0025】
図2に示すごみ焼却炉は火格子4を有する火格子式の焼却炉であり、ごみ投入口2、ごみの燃焼が行われる燃焼室1、燃焼室1の出口側に設けられたガス混合室7、ガス混合室7の下流側に設置された熱交換器9a及び蒸気ドラム9bを備えたボイラ9を有している。
【0026】
ごみ投入口2から投入されたごみは、給塵装置3によって火格子4上へ送り込まれる。火格子4は火格子駆動装置4aにより往復運動し、その往復運動によってごみの撹拌および移動が行われる。火格子4上のごみは、燃焼用空気ブロア6により火格子4の下から供給される燃焼用空気の吹き込みにより乾燥が行われた後に燃焼が行われ、排ガスと灰に分解される。灰は、灰落下口5から落下して炉外に排出される。
【0027】
前記火格子4の下は、炉幅方向に2つ(ごみ搬送方向に対し左右)の領域に分割され、さらに、炉長手方向に4つ(上流側から乾燥段、燃焼上段、燃焼下段、後燃焼段)の領域に分割されている。なお、炉幅方向及び炉長手方向の分割数は炉の大きさ及び形状により適宜変更され得る。
【0028】
前記分割された8つの領域を通して火格子4の下から炉内に燃焼用空気が供給される。前記火格子4の下から炉内に供給される燃焼用空気は、燃焼用空気ブロワ6の出口側に設けられたダンパ6aによりその総吹き込み量が調整された後、各領域毎に燃焼用空気を供給するために分岐された燃焼用空気供給管のそれぞれに設けられた火格子下ダンパ16a-1,16b-1,16c-1,16d-1(ごみ搬送方向に対し左側:図中点線部)、16a-2,16b-2,16c-2,16d-2(ごみ搬送方向に対し右側:図中実線部)により各領域に吹き込まれる燃焼用空気流量の配分が調整される。
【0029】
前記火格子4は、火格子下の炉幅方向に分割された2つの領域に対応して分割されており、ごみ搬送方向に対し左右別々にそれぞれ火格子速度が制御される。ここで、ごみ搬送方向に対し左側の火格子は火格子駆動装置4a-1により駆動され、ごみ搬送方向に対し右側の火格子は火格子駆動装置4a-2により駆動される。
【0030】
また、燃焼室1の炉壁に設けられた冷却用空気吹き込み口10からは、冷却用空気ブロア11により冷却用空気が吹き込まれ、燃焼ガス中の可燃焼成分を完全燃焼させると共に、炉壁の温度が過度に上昇することを防止する。
【0031】
一方、火格子4の上流側のごみ乾燥過程で発生した可燃性ガスと下流側の後燃焼過程で発生した燃焼排ガスは、燃焼室1の出口側に設けられたガス混合室7で合流し再度攪拌混合され二次燃焼が行われる。ガス混合室7の下流側には熱交換器9a及び蒸気ドラム9bを備えたボイラ9が設置されており、二次燃焼ガスはここで熱エネルギーを回収された後に煙突8から外部に排気される。
【0032】
ここで、燃焼室1内には図2に示すような中間天井18を設けることが好ましい。中間天井18を燃焼室内に設けることにより、燃焼室内のガスを火格子4の上流側のごみ乾燥過程で発生した可燃性ガスと下流側の後燃焼過程で発生した燃焼排ガスに2分して排出することができる。この2分して排出したガスをガス混合室7で再合流させることにより、ガス混合室でのガスの攪拌混合がさらに促進され、混合室7内での燃焼がより安定化し、燃焼過程におけるダイオキシン類の発生のさらなる抑制、ごみ未燃の発生防止を図ることができる。
【0033】
自動燃焼制御装置17では、ごみ焼却炉内での安定した燃焼を維持するため、例えば、燃焼排ガスの燃焼室出口での温度を測る温度計12の計測値、蒸気ドラム9bからの蒸発量を測る流量計9cの計測値等の炉内の各状態量に基づき、火格子速度、燃焼用空気量、冷却用空気量等の各操作端の操作量を自動的に調整する。なお、自動燃焼制御装置17には例えばコンピュータが使用できる。
【0034】
このような構成のごみ焼却炉において、本発明に係るごみ焼却炉の燃焼制御方法の第一の実施形態は、燃焼室1内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値、及び、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子4上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいて炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より炉内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御するものである。
【0035】
前記乾燥段上方の温度とは、乾燥段および燃焼段の乾燥段側から発生するガス温度となる。また、前記燃焼室1内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値は、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右に設置された温度計13−1(左側),13−2(右側)により計測される。
【0036】
前記温度計13−1及び13−2により計測された温度が、予め設定される炉内燃焼の安定した状態(適正な状態)の温度と比較して高い場合には、乾燥段および燃焼段の乾燥段側におけるごみの燃焼が活発であり主燃焼領域の位置やごみの燃えきり点位置が適正位置より乾燥段側にあると判定される。この場合、乾燥段および燃焼段の乾燥段側より発生するCOなどの可燃ガスは、乾燥段上方付近において大部分が燃焼し、消費されている。ガス混合室7では、二次燃焼用空気を吹き込み、可燃ガス分を燃焼させているが、このケースでは、二次燃焼に必要な可燃ガスが充分にガス混合室7へ供給されないため、ガス混合室7における二次燃焼が充分に行われず、逆に二次燃焼用空気により冷却されるため、ガス混合室7内のガス温度が低下する。
【0037】
逆に、乾燥段上方の温度が炉内燃焼の安定した状態(適正な状態)と比べ低い場合には、乾燥段および燃焼段の乾燥段側におけるごみの燃焼はあまり活発ではなく、主燃焼領域の位置やごみの燃えきり点位置は適正位置より後燃焼段側にあると判定される。
【0038】
また、乾燥段および燃焼段の乾燥段側のごみ質或いはごみ厚がごみ搬送方向に対して炉幅方向左右で異なる場合、主燃焼領域の位置やごみの燃えきり点位置がごみ搬送方向に対して炉幅方向左右で異なるため、乾燥段上方温度のごみ搬送方向に対して炉幅方向左右で温度の違いが発生する。
【0039】
なお、前記主燃焼領域とは、ごみの熱分解と燃焼が行われ、CO等の可燃性ガスやごみ中の固定炭素分が火炎を伴って燃焼している領域であり、火炎を伴う燃焼が完了する点(燃え切り点)までの領域をいう。
【0040】
以下、本実施形態における火格子上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置の判定方法、及び、火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度の制御方法についてその一例を説明する。
【0041】
[乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差による判定]:判定A
乾燥段上方左側温度をtk_1、右側温度をtk_2、温度差しきい値(温度差許容範囲)をTkSとすると、以下のような判定ができる。
|tk_1−tk_2|≦TkS :主燃焼位置炉幅方向の偏り小
|tk_1−tk_2|≧TkS :主燃焼位置炉幅方向の偏り大
【0042】
[乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値による判定]:判定B
乾燥段上方の適正温度範囲をTKl〜TKhとする。
TKl≦tk_i≦TKh (i=1,2):適(燃えきり点位置適)
TKh<tk_i (i=1,2) :高(燃えきり点位置乾燥段寄り)
tk_i<TKl (i=1,2) :低(燃えきり点位置後燃焼段寄り)
上記判定A及び判定Bの結果を共に考慮し、総合的に燃焼状態を判断し、以下のように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する。
【0043】
Case1
判定A:偏り大
判定B:炉幅方向左右温度の一方が低、他方が高
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り非常に大、部分的に温度が低]が非常に生じやすい状態にあるので、燃焼状態が非常に悪い
制御方法:温度低側の燃焼用空気量と火格子速度を増、温度高側の燃焼用空気量と火格子速度を減
【0044】
Case2
判定A:偏り大
判定B:炉幅方向左右温度の一方が適、他方が高
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り大、部分的に温度が低]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が悪い
制御方法:温度高側の燃焼用空気量と火格子速度を減
【0045】
Case3
判定A:偏り大
判定B:炉幅方向左右温度の一方が低、他方が適
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り大]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態がやや悪い
制御方法:温度低側の燃焼用空気量と火格子速度を増
【0046】
Case4
判定A:偏り大
判定B:炉幅方向左右温度の両方が低
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り大]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態がやや悪い
制御方法:温度がより低い側の燃焼用空気量と火格子速度を大増、他方の燃焼用空気量と火格子速度を増
【0047】
Case5
判定A:偏り大
判定B:炉幅方向左右温度の両方が高
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り大、全体的に温度が低]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が非常に悪い
制御方法:温度がより高い側の燃焼用空気量と火格子速度を大減、他方の燃焼用空気量と火格子速度を減
【0048】
Case6
判定A:偏り小
判定B:炉幅方向左右温度の両方が低
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り小、全体的に温度がやや高]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が良い
制御方法:炉幅方向左右の燃焼用空気量と火格子速度をやや増
【0049】
Case7
判定A:偏り小
判定B:炉幅方向左右温度の両方が適
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り小、全体的に温度が適]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が非常に良い
制御方法:現状維持
【0050】
Case8
判定A:偏り小
判定B:炉幅方向左右温度の両方が高
判定結果:[ガス混合室内温度:偏り小、全体的に温度が低]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が悪い
制御方法:炉幅方向左右の燃焼用空気量と火格子速度をやや減
【0051】
このように、ごみ搬送方向に対し左右のそれぞれの火格子上における主燃焼領域の位置及び燃えきり点の位置を過去の操業実績等から予め定めた適切な範囲に維持することにより火格子4上でのごみの燃焼の均一化が図れ、ガス混合室7内におけるごみ搬送方向に対し左右の温度差を少なくすることができ、その結果として、炉内燃焼の安定化が図れ、排ガス中の有害物質の発生を抑制することが可能となる。
【0052】
また、同時に乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度とガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度の関係を燃焼データより把握して、乾燥段温度の目標値を設定し、それに追従するよう制御することで、ガス混合室温度を適温に維持(850〜950℃)することが可能となる。
【0053】
また、本発明に係るごみ焼却炉の燃焼制御方法の第二の実施形態は、前記第一の実施形態に対し、さらに、燃焼室1内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子4下より炉内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御するものである。
【0054】
前記後燃焼段上方の温度とは、主に燃焼段の後燃焼側および後燃焼段から発生するガスの温度となる。また、前記燃焼室1内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値は、後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右に設置された温度計14−1(左側),14−2(右側)により計測される。
【0055】
ごみの燃えきり点位置が灰落下口5側に近づくと、この後燃焼段上方温度は上昇し、逆にごみの燃えきり点位置が灰落下口5側から遠ざかると、後燃焼段上方温度は低下する。よって、後燃焼段上方温度に基づき、燃えきり点の位置が判定可能である。
【0056】
後燃焼段上方を通過した燃焼排ガスはガス混合室7に入る。乾燥段上方を通過した燃焼排ガスに含まれるCO等の可燃ガスがガス混合室7内で十分に再燃焼するには、ガス混合室7入口において850℃以上の温度雰囲気とする必要がある。後燃焼段上方での温度が低いと、ガス混合室7内での再燃焼が不活発になる恐れがあり、ガス混合室温度の低下の要因となる。そのため、後燃焼段上方温度を適温に維持することで、より安定した再燃焼が可能となる。
【0057】
大型炉においては、炉幅左右方向でのごみ分布の違いにより、ごみの燃えきり点位置が炉幅方向左右で異なる。これを後燃焼段上方の炉幅方向左右に設置された温度計の計測値に基づいて、ごみ搬送方向に対し炉幅方向左右それぞれのごみの燃えきり点位置を判定することで、燃え残りが発生しない運転をより正確に行うことが可能となる。また、後燃焼段上方温度の炉幅方向左右の分布を均一にし、且つ、適温を保つことにより、ガス混合室7内の温度を適温に維持(850〜950℃)し、且つ、左右温度差を小さくすることが可能となる。
【0058】
前記後燃焼段上方における炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判断することにより、前記第一の制御方法と比較して、より正確に火格子上のごみの燃えきり点位置を判定することができ、より正確な燃焼制御を行うことが可能となる。
【0059】
以下、本実施形態における火格子上のごみの燃えきり点位置の判定方法、及び、火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度の制御方法についてその一例を説明する。
【0060】
[後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値による判定]後燃焼段上方左側温度をta_1、右側温度をta_2、後燃焼段上方の適正温度範囲をTAl〜TAhとすると、以下のような判定ができる。
【0061】
Case1
TAl≦ta_i≦TAh (i=1,2)
判定:適(火格子上のごみの燃えきり点位置適)
制御方法:現状維持
【0062】
Case2
TAh<ta_i (i=1,2)
判定:高(火格子上のごみの燃えきり点位置灰落下口側)
制御方法:温度高側の燃焼用空気量と火格子速度を減
【0063】
Case3
ta_i<TAl (i=1,2)
判定:低(火格子上のごみの燃えきり点位置上流側)
制御方法:温度低側の燃焼用空気量と火格子速度を増
【0064】
このように、ごみ搬送方向に対し左右のそれぞれの火格子上におけるごみの燃えきり点の位置を過去の操業実績等から予め定めた適切な範囲に維持することにより火格子4上でのごみの燃焼の均一化をより図ることができ、ガス混合室7内におけるごみ搬送方向に対し左右の温度差をより少なくすることができる。その結果として、炉内燃焼の安定化が図れ、排ガス中の有害物質の発生を抑制することが可能となる。
【0065】
また、本発明に係るごみ焼却炉の燃焼制御方法の第三の実施形態は、前記第二の実施形態に対し、さらに、燃焼室1内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度(tk_1)と後燃焼段上方温度(ta_1)との差(td_1)、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度(tk_2)と後燃焼段上方温度(ta_2)との差(td_2)に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室1内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御するものである。
【0066】
乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度の温度差を考慮することで、主燃焼領域の幅を判定できる。例えば、乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度が適切な温度と比べて共に高い場合は主燃焼領域の幅が広く、逆に共に低い場合には狭いと判定することができる。さらに、ごみ搬送方向に対し炉幅方向左右毎に乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との温度差を比較することにより、大型炉において生じやすい炉幅方向左右の主燃焼領域幅の違いを判定することが可能となる。
【0067】
これにより、火格子4上でのごみの燃焼の均一化をより図ることができ、ガス混合室7内におけるごみ搬送方向に対し左右の温度差をより少なくすることができる。その結果として、炉内燃焼の安定化が図れ、排ガス中の有害物質の発生を抑制することが可能となる。
【0068】
以下、本実施形態における火格子上の主燃焼領域幅の判定方法、及び、火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度の制御方法についてその一例を説明する。
【0069】
ごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度をtk_1、同右側の乾燥段上方温度をtk_2、ごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の後燃焼段上方温度をta_1、同右側の後燃焼段上方温度をta_2とおく。この場合、炉幅方向左側の乾燥段上方温度(tk_1)と後燃焼段上方温度(ta_1)との差(td_1)、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度(tk_2)と後燃焼段上方温度(ta_2)との差(td_2)は以下で表される。
td_1=tk_1−ta_1
td_2=tk_2−ta_2
【0070】
炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅の大きさは、上記で定義されるtd_1およびtd_2の温度差分値にそれぞれ比例すると考えられる。そして、この温度差分値td_1とtd_2の大小関係により、炉幅方向左右の主燃焼領域幅の違いは以下のように判定し、制御するものとする。ここで、炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅の適正な領域幅差をあらわす、左右の温度差分値の差(しきい値)をHl(>0)とおく。
【0071】
Case1
td_1−td_2>Hl
判定:炉幅方向左側の主燃焼領域幅が広い
制御方法:左側の火格子速度を減、左側の燃焼用空気量を増
【0072】
Case2
|td_1−td_2|≦Hl
判定:炉幅方向左右の主燃焼領域幅は等しい
制御方法:現状維持
【0073】
Case3
td_1−td_2< −Hl
判定:炉幅方向右側の主燃焼領域幅が広い
制御方法:右側の火格子速度を減、右側の燃焼用空気量を増
【0074】
このように燃焼状態に応じて火格子速度や燃焼用空気量を制御することで、炉幅方向左右の火格子上における主燃焼領域幅を揃えることができ、炉幅方向左右の燃焼の均一化を寄り図ることが可能となる。
【0075】
以下、実炉のデータより、実際の燃焼状態の判断の一例を示す。
【0076】
図3は、実炉におけるガス混合室内のごみ搬送方向に対して左右の温度と排ガス中のCO濃度との関係を時系列で示した図である。図3の時刻0:12において、燃焼状態が悪化し、COが約80ppm発生している。この時刻における各部の温度計測値を表1に示す。このデータより燃焼状態の判断を行う。
【0077】
【表1】
Figure 0003896979
【0078】
温度しきい値TkS=30℃とすると、
|tk_1−tk_2|=|902−970|=68℃>TkS
また、乾燥段上方の適正温度範囲TKl〜TKhを850〜950℃とすると、
850℃<tk_1=902℃<950℃
950℃<tk_2=970℃
となり、右側の温度が適正温度範囲を外れている。
【0079】
上記結果より、上述の第一の実施形態におけるCase2[ガス混合室内温度:偏り大、部分的に温度が低]が生じやすい状態にあるので、燃焼状態が悪いと判定できる。実際、ガス混合室内の左右の温度差は88℃で偏りが大きく、またガス混合室右側の温度が818℃と温度低下が生じている。このとき、炉幅方向右側の燃焼用空気量と火格子速度を減の制御操作を行うことで燃焼状態の回復が可能である。
【0080】
次に炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅の判定例を以下に示す。
【0081】
乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度の温度差を考慮することで、主燃焼領域の幅を判定できる。例えば、乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度が適切な温度と比べて共に高い場合は主燃焼領域の幅が広く、逆に共に低い場合には狭いと判定することができる。さらに、ごみ搬送方向に対し炉幅方向左右毎に乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との温度差を比較することにより、大型炉において生じやすい炉幅方向左右の主燃焼領域幅の違いを判定することが可能となる。
【0082】
これより炉幅方向左右の主燃焼領域幅の違いを小さくするように制御を行うことで、より炉幅方向左右の燃焼の均一化が実現できる。
【0083】
上記表1における炉幅方向左右の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度の各々左右の温度差は、具体的には以下となる。
td_1=tk_1−ta_1=902−853=49℃
td_2=tk_2−ta_2=970−877=93℃
しきい値Hl=30℃とすると、td_1−td_2=−44℃ <−30℃、であるので、このときは炉幅方向右側の主燃焼領域幅が広いと判断できる(上述の第三の実施形態におけるCase3)。
【0084】
このとき、炉幅方向右側の火格子速度を減、炉幅方向右側の燃焼用空気量を増の制御操作を行うことで炉幅方向左右の主燃焼領域幅の違いを少なくすることが可能である。
【0085】
図4は、上述のごみ焼却炉の燃焼制御方法を実施するための制御装置についての構成の一例を示す図である。なお、図4に示す制御装置50は、コンピュータ等を用いた単独の装置としてごみ焼却炉に備えてもよく、また、ごみ焼却炉に備える自動燃焼制御装置の一部の機能として前記自動燃焼制御装置内に組み込むようにしてもよい。単独の装置として設置した場合、火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御するための信号が、この制御装置50から自動燃焼制御装置17に送られる。
【0086】
図4に示す制御装置50は、前記燃焼制御方法の第一の実施形態に対応して、燃焼室1内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値(tk_1,tk_2)を取り込む手段51と、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差(|tk_1−tk_2|)を算出する手段52と、前記手段51により取り込んだ燃焼室1内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値と前記手段52で算出した乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差とに基づいてごごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子4上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定する手段53と、前記手段53による判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する手段54とを有する。
【0087】
さらに、前記制御装置50は、前記燃焼制御方法の第二の実施形態に対応して、燃焼室1内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値(ta_1,ta_2)を取り込む手段55と、前記手段55で取り込んだ燃焼室1内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定する手段56と、前記手段56による判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する手段57とを有する。
【0088】
さらに、前記制御装置50は、前記燃焼制御方法の第三の実施形態に対応して、燃焼室1内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度(tk_1)と後燃焼段上方温度(ta_1)との差(td_1)、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度(tk_2)と後燃焼段上方温度(ta_2)との差(td_2)を算出する手段58と、前記手段58で算出した炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定する手段59と、前記手段59による判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する手段60とを有する。
【0089】
なお、前記制御装置50の各手段での機能は、上述の実施形態の説明における機能と同様である。
【0090】
以上、各実施形態について説明したが、本願発明は上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わされた効果が得られる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、設備費を増大させることなく、且つ、迅速に、大型炉における火格子上のごみの燃焼状態を正確に把握して、火格子下より炉内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することにより、火格子上でのごみの燃焼の均一化を図り、炉内燃焼の安定化を図ることにより、排ガス中の有害物質の発生を効果的に抑制することが可能なごみ焼却炉の燃焼制御方法及び制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実際のごみ焼却炉の実データより、乾燥段上方を通過するガスが二次燃焼用空気により攪拌されていない場合の乾燥段上方のごみ搬送方向に対する炉幅方向左右の温度差(右−左)とガス混合室内のごみ搬送方向に対する左右の温度差(右−左)の関係を調べた結果を示した図である。
【図2】本発明が適用されるごみ焼却炉の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】実炉におけるガス混合室内のごみ搬送方向に対して左右の温度と排ガス中のCO濃度との関係を時系列で示した図である。
【図4】本発明にかかるごみ焼却炉の燃焼制御方法を実施するための制御装置についての構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼室
2 ごみ投入口
3 給塵装置
4 火格子
4a 火格子駆動装置
5 灰落下口
6 燃焼用空気ブロア
6a ダンパ
7 ガス混合室
8 煙突
9 ボイラ
9a 熱交換器
9b 蒸気ドラ
9c 流量計
10 冷却用空気吹き込み口
11 冷却用空気ブロア
12,13,14 温度計
16 火格子下ダンパ
17 自動燃焼制御装置
18 中間天井
50 制御装置

Claims (6)

  1. 火格子を備え、前記火格子が炉長手方向上流側から乾燥段、燃焼段、後燃焼段に区分されているごみ焼却炉における燃焼制御方法であって、
    燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値、及び、乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とするごみ焼却炉の燃焼制御方法。
  2. さらに、燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却炉の燃焼制御方法。
  3. さらに、燃焼室内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定し、該判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御することを特徴とする請求項2に記載のごみ焼却炉の燃焼制御方法。
  4. 火格子を備え、前記火格子が炉長手方向上流側から乾燥段、燃焼段、後燃焼段に区分されているごみ焼却炉の燃焼制御を行う制御装置であって、
    燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値を取り込む温度取込手段Aと、
    乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差を算出する温度差算出手段Bと、
    前記温度取込手段Aにより取り込んだ燃焼室内における乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値と前記温度差算出手段Bで算出した乾燥段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度差とに基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右における火格子上の主燃焼領域の位置及びごみの燃えきり点位置を判定する判定手段Cと、
    前記判定手段Cによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Dとを有することを特徴とする制御装置。
  5. さらに、燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値を取り込む温度取込手段Eと、
    前記温度取込手段Eで取り込んだ燃焼室内における後燃焼段上方のごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の温度計測値に基づいて炉幅方向左右における火格子上のごみの燃えきり点位置を判定する判定手段Fと、
    前記判定手段Fによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Gとを有することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
  6. さらに、燃焼室内におけるごみ搬送方向に対し炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差を算出する温度差算出手段Hと、
    前記温度差算出手段Hで算出した炉幅方向左側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差、及び、ごみ搬送方向に対し炉幅方向右側の乾燥段上方温度と後燃焼段上方温度との差に基づいて炉幅方向左右のそれぞれにおける火格子上の主燃焼領域幅を判定する判定手段Iと、
    前記判定手段Iによる判定結果に基づいてごみ搬送方向に対し炉幅方向左右の燃焼の均一化を図るように火格子下より燃焼室内に供給する燃焼用空気量及び火格子速度を制御する制御手段Jとを有することを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
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