JP3896897B2 - ルータ設定方法およびルータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワーク間を接続するルータに関し、特に、複数のルータ間で負荷分散を行うルータおよび通信端末設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
TCP/IPに基づくインターネットは、IPパケットを中継するルータでネットワークを接続することによって構成されている。インターネットにおいては、負荷分散および冗長構成によるバックアップを行うことを目的として、二つのネットワーク間を複数のルータで接続することがある。これらの複数のルータを用いた負荷分散および冗長構成によるバックアップに関する従来技術には、以下の技術がある。
【0003】
(1)負荷分散
TCP/IPを用いるネットワークに属する通信端末は、ネットワーク間を接続するルータを介して他のネットワークと通信する。このとき、他のネットワークへの中継ルータとして用いるルータをデフォルトルータまたはデフォルトゲートウェイと呼ぶ。
【0004】
複数の通信端末が接続されているネットワークが、他のネットワークと複数のルータで接続されている構成のネットワークにおいては、他のネットワークと通信する通信端末において、デフォルトルータと成り得るルータが複数あることになる。したがって、デフォルトルータとして選択するルータを、通信端末毎に分散させることによって負荷分散を行うことが出来る。例えば、ルータAとルータBがデフォルトルータと成り得る構成において、通信端末1のデフォルトルータをルータA、通信端末2のデフォルトルータをルータBとすればよい。
【0005】
従来は、デフォルトルータの選択を手動またはDHCP(RFC2131,Dynamic Host Configuration Protocol)による自動設定によって行っていた。これらの場合、ルータの負荷とは独立にそれぞれの通信端末にデフォルトルータが割当てられることになり、効果的な負荷分散を行うとが困難であった。また、OSPF(RFC2328,OSPF Version 2)などのダイナミックルーティングプロトコルによって、通信端末においてデフォルトルータを選択することも可能であるが、全ての通信端末にルーティングプロトコルを実装することは現実的でない。
【0006】
(2)冗長構成によるバックアップ
二つのネットワークを複数のルータで接続し、そのルータ間で冗長構成を取る方法に関しては、多くの提案が行われており、その結果は、IETF(The Internet Engineering Task Force)で、VRRP(RFC2338,Virtual Router Redundancy Protocol)として標準化されている。VRRPでは、実際にルータとして機能し、パケットの転送を行う役割を持つ一つのマスタールータと、マスタールータのバックアップとなる一つまたは複数のルータを、仮想的に一つのルータとみなし、それを仮想ルータと呼ぶ。マスタールータは仮想ルータに属する全てのバックアップルータにADVERTISEメッセージを定期的に送信することによって、バックアップルータに装置の状態を通知する。これによって、バックアップルータはマスタールータの状態を認識し、マスタールータの障害時のバックアップを行う。
【0007】
複数の仮想ルータを構成し、それぞれの仮想ルータが、他の仮想ルータでバックアップルータとして用いられているルータをマスタールータとする構成を取ることによって、冗長構成によるバックアップと(1)の負荷分散を同時に行うことも出来る。例えば、二つのネットワークをルータAとルータBで接続する構成のネットワークにおいて、仮想ルータ1が、ルータAをマスタールータ、ルータBをバックアップルータとし、仮想ルータ2が、ルータAをバックアップルータ、ルータBをマスタールータとする。そして、通信端末において、デフォルトルータとするルータを、仮想ルータ1と仮想ルータ2に分散することによって負荷分散ができる。
【0008】
VRRPを用いた冗長構成によるバックアップと負荷分散の両立方法を用いたネットワーク構成においては、各ルータが常にマスタールータとして機能するため、アイドル状態となるルータが無く、さらに、障害時においてもバックアップ機能によって、通信端末間の可到達性を保証することができる。したがって、可到達性を保証するが、通信品質はベストエフォートとして通信コストを最小化するインターネットにおいて好まれるネットワーク構築方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
通信端末が使用するデフォルトルータを、複数の通信端末間で分散することによって実現する負荷分散を効果的に行うためには、ルータの負荷を反映して、通信端末にデフォルトルータを割当てなければならない。また、通信端末におけるデフォルトルータの設定は、自動設定であることが望ましい。特に、TCP/IPに関する知識を持たないエンドユーザが通信端末を所有するようなオフィス環境やインターネットアクセスサービスにおいては、自動設定が必須である。
【0010】
通信端末に自アドレスおよびデフォルトルータのアドレスなどの設定パラメータを自動設定する標準プロトコルとしてDHCPが現在、広く用いられている。しかしながら、DHCPは、ルータの負荷を反映したデフォルトルータの割当機能を持たない。DHCPは、既に広く用いられているため、ルータの負荷を反映したデフォルトルータの割当を行う場合においても、通信端末のDHCPクライアントおよびDHCPサーバに変更を加えることは望ましくない。
【0011】
また、本発明が適用される二つのネットワークを複数のルータで接続する構成のネットワークにおいては、VRRPによって、ルータの冗長設置構成によるバックアップが用いられることが多い。したがって、本発明は、VRRPを用いた環境においてもVRRPと同時に適用できるものでなくてはならない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、通信端末を使用するエンドユーザの利便性を考慮し、既存のDHCPを変更することなく、通信端末において、ルータの負荷を反映したデフォルトルータの設定を可能とする。
【0013】
本発明によるルータは、現在のパケット転送機能の負荷状態を複数のルータ間で交換する機能を持ち、二つのネットワークを接続する複数のルータ間で、最も負荷の低いルータを認識する手段を持つ。
【0014】
通信端末が、自アドレスやデフォルトルータのアドレスなどの設定パラメータ獲得のために送信するDHCPメッセージは、通信端末が接続されているネットワークに対するブロードキャストであり、通常、ルータに位置するリレーエージェントによってDHCPサーバに転送される。また、DHCPサーバからのDHCPメッセージもリレーエージェントを介して通信端末に送信される。
【0015】
本発明のルータは、二つのネットワークを接続する複数のルータの中から一つのルータを選択し、そのルータに位置するリレーエージェントのみによって通信端末とDHCPサーバ間のメッセージ交換を中継することによって、DHCPサーバでの複製メッセージ受信を防止する。
【0016】
また、本発明のルータは、通信端末の送信するDHCPメッセージをDHCPサーバへ転送する際に、DHCPサーバにおいて、最も負荷の低いルータを、DHCPサーバにおいて認識するための付加情報を添付することによって、DHCPサーバにおけるデフォルトルータ選択を可能とする。付加情報としては、RFC3046(DHCP Relay Agent Information Option)で規定されているAgent Circuit IDなどを用いる。
【0017】
Agent Circuit IDは、本来、リレーエージェントの位置するルータにおいて、DHCPメッセージを受信した回線を示す識別子であり、これによって、DHCPサーバでの通信端末に割当てるパラメータ選択を補助する情報である。本発明では、このAgent Circuit IDを最も負荷の軽いルータの回線を示す識別子として拡張して用いる。この方法によって、通信端末のDHCPクライアントと、DHCPサーバに特別な拡張を加える必要がなく、本発明の実施においては、既存のソフトウェアおよび装置を使うことができる。
【0018】
本発明が適用される二つのネットワークを複数のルータで接続する構成のネットワークにおいては、VRRPによる冗長構成によるバックアップが用いられることが多いが、本発明は、VRRPと独立に用いることが可能である。さらに、VRRPでマスタールータがバックアップルータに定期的に送信するADVERTISEメッセージを用いてパケット転送機能の負荷状態を複数のルータ間で交換することによって、ルータ間で交換するメッセージ数を削減することもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態が適用されるネットワークの概略図である。本実施の形態では、ネットワークとしてIPネットワークを想定している。図1において、ネットワーク1とネットワーク2は、複数のルータ31とルータ32によって接続されている。ルータ31は、回線11によってネットワーク1と接続され、回線21によってネットワーク2と接続されている。ルータ32は、回線12によってネットワーク1と接続され、回線22によってネットワーク2に接続されている。図1では2つのルータを図示しているが、本実施形態において、ルータの台数に制限はない。
【0021】
ネットワーク1に接続されている複数の通信端末41〜44は、ルータ31またはルータ32を介して、ネットワーク2に属する通信端末と通信する。DHCPサーバ5は、ルータ31およびルータ32との通信が可能なネットワーク2に接続されており、ネットワーク1に接続されている通信端末41〜44に、それらの通信端末が使用する自アドレスおよびネットワーク1からネットワーク2への中継ルータとなるデフォルトルータのアドレスなどの設定パラメータを割当てる機能を持つ。DHCPサーバ5は、アドレス割当データベース51を持つ。図1では、DHCPサーバ5をネットワーク2に接続する構成としているが、DHCPサーバ5は、ルータ31およびルータ32との通信が可能であれば、どこに設置されても良い。
【0022】
通信端末41〜44は、DHCPクライアント機能を持っており、起動時にDHCPサーバから自アドレスおよびデフォルトルータのアドレスなどの設定パラメータを獲得することによって、ネットワーク1に参加する。通信端末41〜44は、DHCPの規約にしたがって、起動時または再設定時に、端末のアドレスおよびデフォルトルータのアドレスなどの設定パラメータの割当要求メッセージをネットワーク1へ送信する。この割当要求メッセージは、ネットワーク1内の全通信端末およびルータが宛先となるブロードキャストのため、ルータ31およびルータ32が割当要求メッセージを受信することになる。ルータ31およびルータ32は、この割当要求メッセージを一旦受信し、必要に応じて付加情報を追加して、DHCPサーバ5に転送する。この割当要求メッセージなどのDHCPメッセージを通信端末とDHCPサーバの間で中継する機能をDHCPリレーエージェント機能とよぶ。
【0023】
図9は、ネットワーク1の具体的な構成例を示す図である。ここでは、ネットワーク1がLANスイッチ11とLANスイッチ12によって構成され、端末41〜42は、これらのLANスイッチによって、ルータ31とルータ32に接続されている。LANスイッチは、ブロードキャストネットワークを構成するため、この構成によって、通信端末41〜44およびルータ31、ルータ32がブロードキャストネットワークに属することになる。
【0024】
なお、LANスイッチによって構成されるネットワークでは、IEEE802.3Qによって規定されるVLAN(Virtual LAN)機能によって、論理的にブロードキャストネットワークを分割することも可能である。この機能によって、各通信端末毎に論理的にブロードキャストネットワークを分割したネットワークを構成することがある。ここでは、通信端末41が、VLAN13によって、他の端末とは論理的に分離されてルータ31とルータ32に接続されている例を示している。
【0025】
図2に通信端末とルータとDHCPサーバ間での設定パラメータ割当時のメッセージ交換シーケンスを示している。図4は、DHCPメッセージのフォーマットを示している。DHCPに関しては、IETFのRFC2131で詳細に記述されている。
【0026】
以下、図2にしたがって、通信端末の設定パラメータ割当に関するDHCPメッセージの交換シーケンスを説明する。まず、通信端末がDHCPサーバを探すためのDHCPDISCOVERメッセージをネットワークにブロードキャストする。ルータは、そのDHCPDISCOVERメッセージを受信し、DHCPサーバへ転送する。DHCPサーバのアドレスは、ルータに固定的に設定されている。DHCPサーバは、通信端末に割当可能なアドレスとデフォルトルータアドレスなどの設定パラメータをDHCPOFFERメッセージによってルータへ送信する。ルータは、DHCPOFFERメッセージを、DHCPDISCOVERメッセージを送信した通信端末に送信する。DHCPOFFERメッセージを受信した通信端末は、DHCPOFFERメッセージで示されるアドレスおよびデフォルトルータアドレスなどの設定パラメータを使用するならば、それらを使用することをDHCPサーバへ通知するために、DHCPREQUESTメッセージをネットワークにブロードキャストする。ルータは、そのDHCPREQUESTメッセージを受信し、DHCPサーバへ転送する。DHCPサーバは、DHCPREQUESTメッセージを受信すると、それらの使用を許可するDHCPACKメッセージをルータへ送信し、ルータがそのDHCPACKメッセージを、DHCPREQESTメッセージを送信した通信端末に転送する。
【0027】
DHCPサーバ5は、図3に示すアドレス割当データベース51を持ち、端末に割当てるアドレス、ネットワークマスクおよびデフォルトルータのアドレスを決定する。なお、本例では示していないが、DHCPにおいてはその他の設定パラメータの割当も可能である。
【0028】
アドレス割当データベース51は、DHCPリレーエージェントのアドレス(リレーエージェントの位置するルータのアドレス)を含むエージェントアドレスフィールド511、DHCPメッセージを受信したエージェントの回線識別子を含むエージェント回線IDフィールド512、端末に通知するデフォルトルータのアドレスを含むデフォルトルータアドレスフィールド513、端末に割当てるアドレスのプールを含むアドレスプールフィールド514、ネットワークマスク長を含むネットワークマスク長フィールド515、および、端末に割当てたIPアドレスを含む割当済アドレスフィールド516から成る。ここでは、リレーエージェントのアドレスがx.x.x.x、エージェント回線IDが1の場合、通信端末に割当てるデフォルトルータのアドレスがx.x.x.xであり、通信端末に割当てるIPアドレスは、x.x.x.2からx.x.x.244の中から選択され、ネットワークマスク長は24であり、さらに、x.x.x.2とx.x.x.3は既に割当済であることを示している。
【0029】
通信端末が、ネットワーク1においてDHCPDISCOVERメッセージをブロードキャストで送信するため、図1のようにネットワーク1に接続されているルータが複数存在する場合、これらのメッセージは、ルータ31とルータ32の両方で受信され、それらのルータの両方が通常のDHCPリレーエージェント機能を有する場合、DHCPサーバ5に対して二つのDHCPDISCOVERメッセージが送信されることになる。つまり、通常のDHCPリレーエージェントを用いた場合、DHCPサーバ5において、DHCODISCOVERメッセージの送信者を識別し、同一の送信者からの複数のDHCPDISCOVERメッセージに対しては、DHCPOFFERメッセージを一つのみ送信するか、または、二つのDHCPOFFERメッセージを送信し、端末側でどちらかのDHCPOFFERメッセージに対するDHCPREQUESTメッセージを一つのみ送信する必要がある。
【0030】
本実施形態では、通信端末がブロードキャストで送信するDHCPDISCOVERメッセージおよびDHCPREQUESTメッセージを中継するDHCPリレーエージェントをネットワーク内で一つ選択し、さらに、選択したDHCPリレーエージェントによって、DHCPサーバにおいて適切なルータをデフォルトゲートウェイとする設定パラメータを選択可能とする付加情報をDHCPメッセージに追加する機能を提供する。適切なデフォルトゲートウェイとは、例えば、複数のルータの中で、最も負荷の軽い状態のルータであり、負荷とは、パケット転送負荷やそのルータをデフォルトゲートウェイとする端末数などによって規定することが考えられる。これによって、ネットワーク1とネットワーク2間の通信を複数のルータによって負荷分散できる。以下で本実施形態のDHCPリレーエージェントの動作を説明する。
【0031】
図1において、ネットワーク1とネットワーク2を接続する全ルータで、DHCPリレーエージェントが機能している。本実施形態のDHCPリレーエージェントは、通常のDHCPリレーエージェントの機能に加えて、DHCPリレーエージェント間でルータの負荷情報を交換する機能を持つ。さらに、DHCPリレーエージェントとしてDHCPメッセージを中継する状態であるマスター状態とDHCPメッセージを中継しない状態であるスレーブ状態を持つ。以下では、本実施形態のDHCPリレーエージェントをリレーエージェントと呼び、マスター状態のリレーエージェントをマスターリレーエージェント、スレーブ状態のリレーエージェントをスレーブリレーエージェントと呼ぶ。
【0032】
図5は、ルータが、ルータ31とルータ32の二台の場合を用いて、リレーエージェントの動作を説明するシーケンス図である。本例では、ルータ31のリレーエージェントがマスター状態となり、ルータ2のリレーエージェントがスレーブ状態となっている。初期化後の状態がどちらになるかは、例えば、初期設定によって決めればよい。ただし、マスター状態となるリレーエージェントは唯一であり、その他のリレーエージェントは全てスレーブ状態にならなければならない。そして、マスターリレーエージェントのみが、通信端末とDHCPサーバ間のDHCPメッセージを中継する。
【0033】
マスターリレーエージェントは、図6に示すリレーエージェント状態管理テーブルを持つ。リレーエージェント状態管理テーブルは、ルータを識別するルータIDフィールド521、および、そのルータIDで識別されるルータに関して、デフォルトルータとなるインタフェースを示す回線識別子を含むエージェント回線IDフィールド522、パケット転送に関する負荷状態を含むパケット転送負荷フィールド523、DHCPによる新規登録要求に対して、デフォルトルータとなるかどうかの状態を示すデフォルトルータフラグフィールド524から成る。デフォルトルータフラグがセットされるルータは、常に一つである。図6では、ルータIDが1のルータがその時点の新規要求に対するデフォルトルータとなっている。
【0034】
スレーブリレーエージェントは、図5のシーケンス図に示すように、マスターリレーエージェントに対して定期的にINFORMメッセージを送信する。デフォルトルータの初期設定値は、任意のルータで良いが、ここでは、マスターリレーエージェントの位置するルータをデフォルトルータとしている(553)。図7にINFORMメッセージを示す。INFORMメッセージは、マスターエージェントの位置するルータを宛先とするアドレスを含み、メッセージをそのルータへ届けるためのメッセージヘッダ530と、送信したスレーブリレーエージェントの位置するルータを示すルータID531と、そのルータに関して、デフォルトルータとなるときに使用する回線を収容するインタフェースを示すエージェント回線ID532と、パケット転送に関する負荷状態を含むパケット転送負荷533を含む。マスターリレーエージェントは、このINFORMメッセージを受信することによって、図5に示すようにルータ間の負荷状態を比較し、デフォルトルータを決定する(554と555、および、556と557)。また、図6に示すリレーエージェント状態管理テーブルを作成する。この処理の詳細を、図8のフローチャートを用いて以下で説明する。
【0035】
図8は、デフォルトルータ決定手順のフローチャートである。マスターリレーエージェントは、INFORMメッセージを受信すると、INFORMメッセージに含まれるルータID531とパケット転送負荷533によって、リレーエージェント状態管理テーブルのパケット転送負荷フィールド523を更新する。また、INFORMメッセージに含まれるエージェント回線IDフィールド532の値とリレーエージェント状態管理テーブルのエージェント回線IDフィールド522の値が異なる場合、エージェント回線IDフィールド522の値をエージェント回線IDフィールド532の値で更新する(541)。
【0036】
続いて、リレーエージェント状態管理テーブルを参照し、デフォルトルータフラグの立っているルータのパケット転送負荷値をその他のルータのパケット転送負荷値によって減算する(542)。減算結果の判定には、マージン値Xを使用する。マージン値Xの値は、任意の整数値であり、負荷のわずかな違いによるデフォルトルータの変更によって、デフォルトルータが過度に変更されることを防止するものである。例えば、パケット転送負荷値をそのルータのパケット転送能力に対する使用率で示す場合、マージン値Xは、10%のように規定できる。ここで、減算結果が、全ルータに関してマージン値Xよりも小さい場合、つまり、現在のデフォルトルータの負荷に対して、マージン値Xを超えて負荷の低いルータが無い場合、そのまま終了する。一つでも演算結果がマージン値Xよりも大きいものがあれば、最も大きな値のルータ、つまり、最も負荷の低いルータをデフォルトルータとし、リレーエージェント状態管理テーブルのそのルータのデフォルトルータフラグをセットする(543)。
【0037】
次に、本実施形態のマスターリレーエージェントによるDHCPメッセージの中継と、DHCPサーバによる端末のアドレス、ネットマスク長、デフォルトルータのアドレスの割当方法を説明する。なお、マスターリレーエージェントの動作に関しては、通常のDHCPリレーエージェントの動作と異なる部分のみを説明する。通常のDHCPリレーエージェントの動作に関しては、IETFのRFC2131に詳しい記述がある。
【0038】
図2は、通信端末、ルータ、DHCPサーバ間のDHCPメッセージ交換シーケンスを示した図であった。ここで、ルータにおいてDHCPメッセージを中継する機能が本実施形態のマスターリレーエージェントである。図4は、DHCPメッセージのフォーマットを示した図である。図中の数字はフィールドサイズ(バイト数)である。メッセージの種類は、op値561によって識別される。
【0039】
通信端末は、起動時または再設定時に、ブロードキャストによってDHCPDISCOVERメッセージをネットワークに送信する。マスターリレーエージェントは、そのDHCPDISCOVERメッセージを受信し、DHCPDISCOVERメッセージのgiaddrフィールド562にリレーエージェントのアドレスを設定する。リレーエージェントのアドレスは、そのリレーエージェントが位置するルータの持つアドレスであり、DHCPサーバによってリレーエージェントを識別するアドレスである。このgiaddr値の設定は、通常のDHCPリレーエージェントにおいても行われる処理である。続いて、本実施形態のリレーエージェントでは、リレーエージェント状態管理テーブルを参照し、デフォルトルータフラグがセットされているルータのエージェント回線IDフィールド値522を、DHCPDISCOVERメッセージのoptionフィールド562にAgent Circuit ID値として設定し、DHCPサーバに転送する。
【0040】
Agent Circuit IDは、RFC3046によって規定されているDHCPメッセージのオプション情報である。本来は、DHCPリレーエージェントにおいて、DHCPDISCOVERメッセージなどを受信したインタフェースを示す情報であり、DHCPサーバにおいて、通信端末に割当てるパラメータの細かい選択に用いるものである。例えば、図3に示したアドレス割当てデータベースでは、エージェント回線IDフィールドを持つことによって、DHCPリレーエージェントを示すエージェントアドレス511に加えて、AgentCircuit IDによる割当てパラメータの選択を可能にしている。本実施形態のリレーエージェントでは、このAgent Circuit IDをデフォルトルータの識別情報として用いることによって、Agent Circuit IDに対応している標準的なDHCPサーバによるネットワーク構築を可能にしている。つまり、本実施の形態では、Agent Circuit IDをマスターリレーエージェントの位置するルータの回線識別子のみでなく、その他のルータの回線識別子としても利用している。
【0041】
なお、Optionフィールド562に独自の情報を付加することによって、DHCPサーバにおける通信端末の設定パラメータの選択を行うことも可能である。ただし、その場合には、DHCPサーバにおいても、その独自情報への対応が必要である。
【0042】
DHCPサーバは、DHCPDISCOVERメッセージを受信すると、アドレス割当データベース51のリレーエージェント回線IDフィールド512を参照し、DHCPDISCOVERメッセージのoptionフィールド562のAgent Circuit ID値に示された値と一致するエントリを選択する。そして、選択したエントリのアドレスプールフィールド514と割当済アドレスフィールド516により端末に割当て可能なアドレスを決定し、ネットマスク長フィールド515によりネットマスクを決定し、デフォルトルータアドレスフィールド513により、通信端末のデフォルトルータのアドレスを決定する。
【0043】
DHCPサーバは、決定した端末のIPアドレスをyiaddrフィールド563に設定し、ネットマスクとデフォルトルータのIPアドレスをoptionsフィールド564に設定したDHCPOFFERメッセージを作成し、マスターリレーエージェントへ送信する。マスターリレーエージェントは、そのDHCPOFFERメッセージを端末に転送し、さらに、端末から送信されるDHCPREQUESTメッセージをDHCPサーバに転送し、DHCPサーバの送信するDHCPACKメッセージを端末に転送する。
【0044】
以上、DHCPによって割当てられる通信端末の設定パラメータを、ルータの負荷に応じて変更することによる負荷分散方法の一実施例を説明した。以下では、さらに、複数のルータがお互いにバックアップとなることで、ルータ間での負荷分散とルータ間でのバックアップを同時に行う実施例を説明する。
【0045】
図1に示したネットワークのように、二つのネットワークを複数のルータで接続したネットワークにおいて、複数のルータ間での負荷分散とバックアップを行うことを目的としたプロトコルにIETFで規定されたVRRPがある。ただし、VRRPでは、通信端末によるデフォルトルータの選択方法は規定されておらず、一般的には、通信端末に手動で設定することとなり、効果的な負荷分散を行うことが困難である。また、多くの通信端末の手動設定は、設定負荷が大きく、また、不正設定の可能性があるなど管理上も好ましくない。
【0046】
負荷に対応してデフォルトルータを切替える本実施形態をVRRPと同時に用いることにより、VRRPを用いたネットワークにおける負荷分散を効率良く、かつ、自動的に行えるようになる。以下では、VRRPを用いた環境における本実施形態の実施の形態を説明する。
【0047】
まず、VRRPの概要を説明する。図10は、VRRPを用いたネットワーク構成を説明する図である。ネットワーク1とネットワーク2は、ルータ33とルータ34によって接続されている。VRRPでは、これら二つのルータを、仮想的に一つの仮想ルータA35とみなす。ここで、ルータ33は、仮想ルータA35のマスタールータであり、仮想ルータA35として実際に動作するルータである。ルータ34は、仮想ルータA35のバックアップルータであり、マスタールータの障害に対するバックアップとなる。同様に、ルータ33とルータ34を、仮想的に一つの仮想ルータB36とみなし、ルータ34を仮想ルータB36のマスタールータ、ルータ33を仮想ルータB36のバックアップルータとしている。ここで、仮想ルータB36として実際に動作するのはルータ34である。したがって、このネットワークにおいては、仮想ルータA35として実際にパケット転送を行うルータ33と、仮想ルータB36として実際にパケット転送を行うルータ34によって負荷分散が行われている。さらに、ルータ33とルータ34が相互にバックアップルータとなっている。
【0048】
図11は、図10に示した二台のルータによるネットワーク構成を例として、VRRPのメッセージ交換シーケンスを示している。VRRPでは、マスタールータが、マルチキャストによって、ADVERTISEメッセージを全てのバックアップルータへ定期的に送信する。これによって、バックアップルータがマスタールータの状態を監視し、マスタールータの障害発生時にバックアップルータがマスタールータとなり、仮想ルータの処理を引継ぐ。
【0049】
図11では、仮想ルータAのマスタールータであるルータ33と仮想ルータBのマスタールータであるルータ34が、それぞれのバックアップルータであるルータ34とルータ33にADVERTISEメッセージを送信している。そして、ルータ33の障害発生(571)によって、仮想ルータAのマスタールータからのADVERTISEメッセージの送信が停止し、ルータ34で動作している仮想ルータAのバックアップルータのマスターダウンタイマがタイムアウトし、ルータ34が仮想ルータAのマスタールータとなる状況(572)を示している。さらに、ルータ33が障害から復帰し(573)、仮想ルータAのマスタールータとしての動作を再開し、ADVERTISEメッセージを送信することで、ルータ34が、仮想ルータAのバックアップルータとなる状況(574)を示している。
【0050】
図12は、VRRPと本実施形態の負荷分散方法を組み合わせた場合のメッセージ交換シーケンスの一例を示している。本実施形態のリレーエージェントは、各仮想ルータのマスタールータで動作する。本例では、仮想ルータAがマスターリレーエージェントとなり、仮想ルータBがスレーブリレーエージェントとなっている。したがって、マスターリレーエージェントは、仮想ルータAのマスタールータであるルータ33で動作している。また、スレーブリレーエージェントは、仮想ルータBのマスタールータであるルータ34で動作し、仮想ルータAのマスタールータであるルータ33にINFORMメッセージを定期的に送信している。INFORMメッセージは、図中の破線で示している(575)。なお、同図では、VRRPのADVERTISEメッセージの送信間隔とINFORMメッセージの送信間隔を同じとしているが、本実施形態とVRRPは独立であり、異なる送信間隔であってもよい。
【0051】
本実施形態のリレーエージェントは、各仮想ルータのマスタールータで動作している。マスターリレーエージェントは唯一であるため、一つの仮想ルータのマスタールータで動作し、その他の仮想ルータのマスタールータで、スレーブリレーエージェントが動作することになる。したがって、全てのルータが、どれかの仮想ルータのマスタールータとなり、その他全てのルータをその仮想ルータのバックアップルータとするネットワーク構成においては、マスターリレーエージェントの位置するルータに対して、その他のルータには全てスレーブリレーエージェントが位置しており、それら全てのルータからVRRPのADVERTISEメッセージが定期的に送信されることになる。
【0052】
このADVERTISEメッセージに本実施形態のINFORMメッセージで伝達する情報を含ませることによって、ルータ間で交換するメッセージ数を削減することができる。図13は、VRRPで規定されているADVERISEメッセージに、図7に示した本実施形態で用いるINFORMメッセージで伝達する情報を加えたメッセージを示している。図中の数値はフィールドサイズ(バイト数)である。エージェント回線ID534とパケット転送負荷535がオリジナルのADVERTISEメッセージに対して加えられたフィールドであり、その他のフィールドは、VRRPで規定されているものである。なお、図7で示したINFORMメッセージのルータID531は、ルータを識別する情報であり、ここでは、仮想ルータを識別するIDであるVR ID536が使用できる。
【0053】
なお、VRRPによるマスタールータとバックアップルータの切替時には、リレーエージェント状態管理テーブルの情報が失われる。しかしながら、新しいマスタールータにおいて、マスターリレーエージェントが初期化状態より起動することによって、マスターリレーエージェントの機能を再開することが出来る。ただし、一時的に最適でないデフォルトルータが選択される可能性がある。この一時的な、最適でないデフォルトルータの選択を防止するためには、マスターリレーエージェントの位置する仮想ルータのスレーブエージェントにおいても、INFORMメッセージまたはINFORMメッセージに含まれる情報を持つADVERTISEメッセージを受信し、リレーエージェント管理テーブルを作成しておけばよい。
【0054】
図14は、本実施形態のリレーエージェント機能を持ったルータの一構成例の概略図である。例として、図1に示したルータ31を用いている。ルータ31は、インターフェース311で回線11を介してネットワーク1と接続し、インタフェース312で回線21を介してネットワーク2に接続している。パケット転送部313は、インタフェース部と接続されており、インタフェース間でのパケット転送を行う。パケット転送部は、受信したパケットが、DHCPメッセージまたは本実施形態のINFROMメッセージの場合、それをリレーエージェント315へ転送する。またVRRPメッセージも一旦リレーエージェント315へ転送し、本実施形態の付加情報であるエージェント回線IDとパケット転送負荷情報を用いた処理を行い、これらの情報を削除して、VRRP機能部317へ転送する。
【0055】
リレーエージェント315は、リレーエージェント状態管理テーブル316を持ち、上記のように、INFORMメッセージやADVERTISEメッセージを用いてリレーエージェント状態管理テーブル316を作成する。そして、リレーエージェント状態管理テーブル316にしたがって、通信端末から受信するDHCP DISCOVERメッセージに情報を付加し、DHCPサーバへ転送する。また、その他のDHCPメッセージを通信端末のDHCPクライアントとDHCPサーバで中継する。これらのリレーエージェント機能315およびVRRP機能317は、例えば、CPU314において処理されるソフトウェアによって実現する。
【0056】
以上の例では、リレーエージェントが常に特定のルータまたは仮想ルータで動作している。そして、リレーエージェント状態管理テーブルでデフォルトルータフラグとエージェント回線IDを管理することによって、他のルータまたは仮想ルータをデフォルトルータとして選択する設定パラメータをDHCPサーバにおいて選択するための情報をDHCP DISCOVERメッセージへ付加している。以下では、マスターリレーエージェントの位置するルータまたは仮想ルータが、常にその時点での新規加入者に対するデフォルトルータとなる実施の形態を示す。
【0057】
図15は、本実施の形態におけるルータ間でのメッセージ交換シーケンス図である。ネットワーク構成は、図1で示した構成を例としている。ここでは、初期状態において、ルータ31がマスターリレーエージェント。ルータ32がスレーブリレーエージェントとなっている。どのルータがマスターリレーエージェントとなるかの選択は、例えば、初期設定値決定してよい。ただし、マスターリレーエージェントは唯一でなければならず、その他のリレーエージェントは全てスレーブ状態にならなければならない。そして、マスターリレーエージェントのみが、通信端末とDHCPサーバ間のDHCPメッセージを中継する。
【0058】
図15に示すように、スレーブリレーエージェントとなったルータ32は、マスターリレーエージェントとなったルータ31に定期的にINFORMメッセージを送信する。INFORMメッセージのフォーマットは、図7と同様であるが、エージェント回線ID582は含まなくとも良い。なぜなら、マスターリレーエージェントが常にその時点での新規設定に関するデフォルトルータとなるため、常に自己の位置するルータの回線IDをエージェント回線IDとして用いるからである。
【0059】
マスターリレーエージェントは、このINFORMメッセージを受信することによって、図15に示すようにルータ間の負荷状態を比較し(581、584)、自ルータの負荷とINFORMメッセージを送信したルータの負荷の差分がマージン値Xを超えた場合、状態をマスターからスレーブに変更し、INFORMメッセージを送信したルータにINDICATEメッセージを送信する(582、585)。INDICATEメッセージを受け取ったスレーブリレーエージェントは、状態をマスターに変更し、マスターリレーエージェントとなる。INDICATEメッセージのフォーマットは、マスターエージェントの位置するルータを宛先とするアドレスを含み、メッセージをそのルータへ届けるためのメッセージヘッダと負荷情報の比較に用いるマージン値を含む。マージン値は、全リレーエージェントに対する初期設定値とすることも出来るが、マスターリレーエージェントにおいて、動的に変更される可能性を考慮して、INDICATEメッセージによって、新規のマスターリレーエージェントへの通知を可能とする。
【0060】
本実施の形態におけるデフォルトルータの選択とリレーエージェントの状態変更処理手順を図16のフローチャートを用いて以下で説明する。マスターリレーエージェントは、INFORMメッセージを受信すると、自ルータの現在の負荷とINFORMメッセージに含まれるINFORMメッセージを送信したルータの負荷を比較する(591)。自ルータの負荷から情報通知ルータの負荷を減算した値が、マージン値Xよりも大きい場合、自己の状態をスレーブとしてスレーブリレーエージェントとなり(592)、INFORMメッセージを送信したルータへINDICATEメッセージを送信する(593)。減算結果がマージンXよりも小さい場合、そのまま終了する(594)。INDICATEメッセージを受信するスレーブリレーエージェントは、自己の状態をマスター状態として、マスターリレーエージェントになる。また、負荷値の比較には、INDICATEメッセージで通知されたマージン値を用いることができる。
【0061】
本実施の形態も、前出の実施の形態と同様に、VRRPと共に用いることができる。これによって、VRRPを用いたネットワークにおける負荷分散を効率良く、かつ、自動的に実現できる。前出の実施の形態と異なる点は、前出の実施の形態におけるマスターリレーエージェントの位置する仮想ルータが、一つの仮想ルータに固定されていたことに対して、本実施の形態においては、起動または再設定を行う通信端末の設定要求に対して、デフォルトルータとなる仮想ルータになることである。また、マスターリレーエージェントの位置するルータが、常に現在のデフォルトルータであるため、リレーエージェント状態管理テーブルによって、デフォルトルータの選択状態を示すデフォルトルータフラグ、現在のデフォルトルータを初めとする各ルータの負荷状態を管理する必要がないことも異なる点である。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、既存の通信端末とDHCPサーバに変更を加えることなく、ルータの負荷を考慮したデフォルトルータの分散による負荷分散が可能になる。
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態におけるネットワークの一構成例である。
【図2】DHCPによるメッセージ交換を示したシーケンス図である。
【図3】DHCPサーバのアドレス割当データベースの登録内容を説明する図である。
【図4】DHCPメッセージのフォーマットを示した図である。
【図5】実施形態におけるリレーエージェントのメッセージ交換を示すシーケンス図である。
【図6】リレーエージェント状態管理テーブルの登録内容を説明する図である。
【図7】実施形態におけるリレーエージェントが用いるINFORMメッセージのフォーマットを示した図である。
【図8】実施形態におけるリレーエージェントにおけるデフォルトルータ選択手順を説明するフローチャートである。
【図9】実施形態が適用されるネットワークの一構成例である。
【図10】VRRPが適用されるネットワークの一構成例である。
【図11】VRRPによるルータ間のメッセージ交換とマスター/バックアップ切替を示すシーケンス図である。
【図12】VRRPで交換するADVERTISEメッセージと一実施形態におけるリレーエージェントが用いるINFORMメッセージの関係を説明するシーケンス図である。
【図13】一実施形態において拡張を加えたADVERTISEメッセージのフォーマットを示した図である。
【図14】一実施形態におけるルータの一構成例を示す図である。
【図15】一実施形態におけるリレーエージェントのメッセージ交換を示すシーケンス図である。
【図16】一実施形態におけるリレーエージェントにおけるデフォルトルータ選択手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…通信端末を収容するネットワーク、31〜34…ルータ、41〜44…通信端末、5…DHCPサーバ、51…アドレス割当データベース、35〜36…仮想ルータ、311〜312…インタフェース、313…パケット転送部、314…CPU、315…リレーエージェント、316…リレーエージェント状態管理テーブル、317…VRRP機能
Claims (8)
- 通信端末が接続されたネットワークとその他のネットワークを、複数のルータによって接続する構成のネットワークで用いられるルータ設定方法であって、
前記複数のルータは互いに負荷情報を交換することによって前記複数のルータから最も負荷の低いルータを検出し、
前記通信端末が、起動時または再設定時に、自アドレス及びデフォルトルータのアドレスを含む設定パラメータを獲得するためのDHCPメッセージを、当該通信端末が接続されたネットワークへブロードキャストし、
前記複数のルータのうちの所定のルータが、前記DHCPメッセージに、前記負荷情報の交換によって検出された最も負荷の低い前記ルータを識別する情報を付加してDHCPサーバへ転送し、
前記DHCPサーバは、前記DHCPメッセージに付加された前記最も負荷の低いルータを識別する情報に基づいて、該最も負荷の低いルータをデフォルトルータとする設定パラメータを、前記DHCPメッセージを送信した通信端末に割当てることを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項1記載のルータ設定方法において、
前記ルータは、前記通信端末と前記DHCPサーバ間で前記DHCPメッセージを中継するリレーエージェント手段において、DHCPメッセージを中継する状態であるマスター状態、または、DHCPメッセージを中継しない状態であるスレーブ状態のどちらかの状態を持ち、
前記複数のルータの一つはマスター状態にあり、その他の前記ルータはスレーブ状態にあり、
スレーブ状態にある前記ルータは、そのリレーエージェント機能が位置するルータの識別子、当該ルータをデフォルトルータとする場合に用いるインタフェース識別子、および、当該ルータの負荷状態を、マスター状態のリレーエージェント機能に定期的に通知し、
マスター状態にある前記ルータは、前記ルータの識別子、インタフェース識別子、および、負荷状態を記録することによって、最も負荷の低いルータを認識し、
前記マスター状態にある前記ルータは、前記通信端末の送信した前記DHCPメッセージを前記DHCPサーバに転送する際に、前記DHCPメッセージに、最も負荷の低いルータをデフォルトルータとして用いる場合のインタフェース識別子を付加し、
前記DHCPサーバは、前記インタフェース識別子に基づいて、前記通信端末に対して割り当てるべき、最も負荷の低いルータをデフォルトルータとして使用する設定パラメータを選択することを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項1記載のルータ設定方法において、
前記ルータが備える前記通信端末と前記DHCPサーバ間で前記DHCPメッセージを中継するリレーエージェント手段においてDHCPメッセージを中継する状態であるマスター状態、または、DHCPメッセージを中継しない状態であるスレーブ状態のどちらかの状態を持ち、
前記複数のルータの一つはマスター状態にあり、その他の前記ルータはスレーブ状態にあり、
スレーブ状態にある前記ルータは、そのリレーエージェント機能が位置するルータの識別子、および、当該ルータの負荷状態を、マスター状態のリレーエージェント機能に定期的に通知し、
マスター状態にある前記ルータは、そのリレーエージェント機能の位置するルータの負荷と前記スレーブ状態のリレーエージェント機能が通知する負荷情報を比較し、自ルータよりも負荷の低いルータを認識すると、自らはスレーブ状態となり、負荷の低いルータに対して、マスター状態となる指示を送り、
前記マスター状態となる指示を受信したスレーブ状態にある前記ルータはマスター状態となり、
前記マスター状態にある前記ルータは、前記通信端末の送信した前記DHCPメッセージを前記DHCPサーバに転送する際に、当該リレーエージェント機能が位置するルータをデフォルトルータとして用いる場合のインタフェース識別子を付加し、
前記DHCPサーバは、前記インタフェース識別子に基づいて、前記通信端末に対して割り当てるべき、最も負荷の低いルータをデフォルトルータとして使用する設定パラメータを選択することを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項2記載のルータ設定方法において、
前記ルータのそれぞれが、VRRPによって一つのマスタールータと一つまたは複数のバックアップルータで構成される仮想ルータであることを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項3記載のルータ設定方法において、
前記ルータのそれぞれを、VRRPによって一つのマスタールータと一つまたは複数のバックアップルータで構成される仮想ルータであることを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項4記載のルータ設定方法において、
前記複数のルータは、全てのルータの数と仮想ルータの数が同一であり、すべてのルータがいずれかの仮想ルータのマスタールータとなり、その他のルータをその仮想ルータのバックアップルータとする構成であり、
仮想ルータのマスタールータは、VRRPで規定するADVERTISEメッセージを、当該仮想ルータの他のバックアップルータに定期的に送信し、
スレーブ状態にある仮想ルータのマスタールータが、そのリレーエージェント機能が位置する仮想ルータの識別子、当該仮想ルータをデフォルトルータとして用いる場合のインタフェースの識別子、および、当該仮想ルータの負荷状態を、前記ADVERTISEメッセージに含ませることによって、マスター状態のリレーエージェントが位置する仮想ルータのマスタールータに通知することを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項5記載のルータ設定方法において、
前記複数のルータは、全てのルータの数と仮想ルータの数が同一であり、すべてのルータがいずれかの仮想ルータのマスタールータとなり、その他のルータをその仮想ルータのバックアップルータとする構成であり、
仮想ルータのマスタールータは、VRRPで規定するADVERTISEメッセージを、当該仮想ルータの他のバックアップルータに定期的に送信し、
スレーブ状態にある仮想ルータのマスタールータが、そのリレーエージェント機能が位置する仮想ルータの識別子、当該仮想ルータをデフォルトルータとして用いる場合のインタフェースの識別子、および、当該仮想ルータの負荷状態を、前記ADVERTISEメッセージに含ませることによって、マスター状態のリレーエージェントが位置する仮想ルータのマスタールータに通知することを特徴とするルータ設定方法。 - 請求項1記載のルータ設定方法において前記複数のルータのうち前記所定のルータの機能を備えたルータ。
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