JP3895397B2 - Sawフィルタの基板実装方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板上に実装可能な弾性表面波(SAW)フィルタに関し、特にその基板実装方法の改良による特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、通信機器等において各種のSAWデバイスが用いられている。SAWデバイスは、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等圧電性を有する素材の基板の表面に、この基板を励振するための電極を配置形成したデバイスである。例えばSAWフィルタにおいては、一般に、入力電極及びこれと対を成すGND電極と、出力電極及びこれと対を成すGND電極とが、圧電性基板の同一の面上に、かつSAW伝搬方向に沿って並んで、配置される。入力電極及びこれと対を成すGND電極の間に電気信号が印加されると、この電気信号のうち電極構造にて定まるある特定の周波数成分が機械振動に変換される(電気音響変換)。電気音響変換にて発生した振動のうち、出力電極及びこれと対を成すGND電極まで顕著な減衰なしで到達できるのは、使用する基板の材質及びそのカットの選択や基板表面の電極被覆状況等により定まるある特定のモードの波のみであり、SAWフィルタでは基板の表面又は比較的浅い部位を伝搬するモードの波(これらを総称してSAWと呼ぶ)を利用する。出力電極及びこれと対を成すGND電極においては、伝搬してきた波のうちその電極構造にて定まるある特定の周波数成分が、電気信号に変換される(音響電気変換)。SAWフィルタは、上に例示した素材の基板を用いその基板の上で上述の電気音響変換、SAW伝搬及び音響電気変換を実行することを特徴とするフィルタであり、単一面上における電極配置・電極構造のみによってその特性が原理上概ね定まること、電極設計・製造に半導体関連技術を応用できること、マイクロプロセスの利用によりその通過帯域をVHF〜UHFといった高周波域に設定できるため無線通信機器のRF回路等を含め広い用途に対応できること等の利点を有している。
【0003】
図11に、SAWフィルタの一例としていわゆる多電極型SAWフィルタを示す。この図のフィルタは、上述の素材から形成されたSAW基板10の同一面上に、入力電極14TとGND電極14Gの対(以下これを入力電極対12Tと呼ぶ)及び出力電極14RとGND電極14Gの対(以下これを出力電極対12Rと呼ぶ)を、SAW伝搬方向に沿って複数個交互にかつほぼ平行に並設した構成を有している。電極14T、14R及び14Gはいずれも櫛歯状の電極構成、すなわち所定幅所定長の指状電極を所定間隔で並べ各指状電極の一端を互いに接続した構成を有している。入力電極14T又は出力電極14Rとこれに対応するGND電極14Gは、等間隔で指交叉状に、即ち指状電極がちょうど両手の指を組んだのと同じような形をなすよう配置されている(インターディジタル配置)。電極対12T及び12Rは、大まかには、構造、形状、寸法等を含め互いに同一の構成を有しているが、厳密には、要求特性を実現する必要上両者の構成を若干異なる構成としたり、指状電極の幅、長さ、間隔に不均一さを導入したり、指状電極を間引くことがある。また、図示の簡略化のため、指状電極の本数を実際より極めて少なく(従って間隔は非常に広めに)表していることにも留意されたい。更に、複数個の入力電極対12Tに同一の電気信号を供給しまた複数個の出力電極対12Rからの電気信号を合成結合する必要上、入力電極14Tを共通接続導体16Tにて、出力電極14Rを共通接続導体16Rにて、GND電極14Gを共通接続導体16Gにて、互いに接続している。共通接続導体16T、16R及び16GはいずれもSAW基板10の表面に被着形成する。
【0004】
図11に示されるSAWフィルタを実際に回路上で使用するためには、これを、回路基板上に実装可能なパッケージに収納する必要がある。図12に、パッケージ20に収納されたSAWフィルタの外観の一例を示す。この図に示されているパッケージ20は表面実装型の方形パッケージ即ち回路基板の表面にピン等なしで実装可能な方形のパッケージであり、その下面(フットプリント)の隅部には導電部材からなる入力端子22T、出力端子22R及びGND端子22Gが設けられている。図11に示されるSAW基板10は、このパッケージ20の内部に収納かつ固定されており、また、入力電極14T、出力電極14R及びGND電極14Gはパッケージ内部の配線(図示せず)を介してそれぞれ端子22T、22R又は22Gに接続されている。
【0005】
この接続を実現する手法としては、“パッケージ20内部に設けられた収納孔にSAW基板10を収納かつ固定した後、収納孔近傍に設けられている入力、出力及びGNDの各パッドに電極14T、14R及び14G(又はこれら各々に係る共通接続導体)をワイヤボンディング等の方法で接続し、更にこれらのパッドをパッケージ20を貫通する配線を介し端子22T、22R又は22Gのうち対応するものに接続する”、という方法を用いることができる。あるいは、“パッケージ20内部に設けられた収納孔の底面に入力、出力及びGNDの各パッドを特定のパターンで設けておき、電極14T、14R及び14G(又はこれら各々に係る共通接続導体)がこれら収納孔底面上のパッドのうち対応するものと対向するよう位置決めしながらSAW基板10を当該底面に向けフェースダウンボンディングし、収納孔底面上のパッドを更にパッケージ20を貫通する配線を介し端子22T、22R又は22Gのうち対応するものに接続する”、という方法を用いることができる。後者の方法を使用した場合、収納孔底面のパッドのパターンによっては、共通接続導体16Gを省略できる。
【0006】
図13に、図12のSAWフィルタを回路基板30特にそのGND面上に実装する方法の一例を示す。回路基板30の図中上側の面(この場合GND面)には入力端子22T及び出力端子22Rに対応する導電性のランドとして入力ランド32T及び出力ランド32Rが被着形成されている。この面のそれ以外の部位は、導電性のGNDパターン34Gによって被覆されている。SAWフィルタを実装するに際しては、端子22T及び22Rがそれぞれランド32T又は32Rに対向するよう位置決めした上で、端子22T及び22Rを32T又は32Rに、また端子22GをGNDパターン34Gに、いずれも半田、導電性接着剤等を用いて電気的に接続する。なお、ランド32T及び32RとGNDパターン34Gとの間には、両者の電気絶縁を維持すべく、導電部材の存在しないギャップ36T及び36Gが形成されている。ランド32T及び32Rやギャップ36T及び36Gの形状・寸法は、端子22T及び22Rが対応するランド(32T又は32R)以外の部位と接触乃至結合しないよう設定する。また、回路基板30の図中下側の面(この場合部品実装面)には、他の回路部品(例えばRF増幅器や整合回路等)が実装されており、更にこれらの回路部品とSAWフィルタとを接続するための導電パターンが形成されている(図示せず)。ランド32T及び32Rには、この導電パターンと端子22T及び22Rとを接続するため、その内部に導電材料が充填乃至配置されたスルーホール38が形成されている。
【0007】
実装方法としては、図13とは逆に、部品実装面にSAWフィルタを実装する方法がある。即ち、“回路基板30の部品実装面に、他の回路部品との接続用の導電パターンの他にGNDランドを設けておき、実装に当たっては他の回路部品との接続用の導電パターンにランド32T及び32Rをまた当該GNDランドに端子22Gをそれぞれ接続し、GND面のGNDパターン34Gと当該GNDランドの間はスルーホール等で接続する”、という方法も考えられる。しかし、この方法は、GND間共通インピーダンスの発生の点で、図13の方法より劣っている。即ち、部品実装面上のGNDランドとGND面上のGNDパターン34Gとを接続するために使用するスルーホールによって意図しないインピーダンスが発生し、このインピーダンスを介しSAWフィルタの入出力間が不正常に結合してしまうため、意図した特性を得にくくなる。
【0008】
図13の方法によれば、端子22GとGNDパターン34Gとがスルーホールを介さずに接続されるためこのような意図しないインピーダンスは発生しにくい。しかし、この方法によっても、GND間共通インピーダンスを完全には排除できず、従って、従来は、しばしば、要求特性からはずれた特性しか実現できない状況が存していた。
【0009】
【発明の概要】
本発明の発明者は、GND間共通インピーダンス等の入出力間二次結合が、SAWフィルタの実際の特性にどのような影響を与えるのか、即ち設計時に等価回路シミュレーション等により予測した特性から実際の特性をどの様にずらしてしまうのか、に関し、定量的な検討を行った。
【0010】
この検討の第1段階として、発明者は、800MHz帯に通過帯域を有するSAWフィルタに関し、その通過帯域を測定すると共に、その設計情報に基づく等価回路シミュレーションを実施した。等価回路シミュレーションの際には、従来周知の等価回路モデルを用いた。実測の結果を図1に、数値シミュレーションの結果を図2に、それぞれ示す。一見して明らかなように、両者の間には、特に通過帯域外に関し、大きな相違が生じている。
【0011】
検討の第2段階として、発明者は、GND間共通インピーダンス以外に入出力間二次結合につながる要素はないか、またこれを含め入出力間二次結合につながる要素を等価回路表現したときどの様な回路となるか、に関して検討を行った。その結果得られた等価回路モデルを図3に示す。この図中の“SAW”は、図2の等価回路シミュレーションの基礎となった従来の等価回路モデル(即ち入出力間二次結合を考慮していないときのSAWフィルタの伝達関数)を示すブロックである。インダクタンスLgは上述のGND間共通インピーダンスを表すものであり、容量Ccは入力電極14T・出力電極14R間の容量結合を表すものである。ここでは、端子22G、GNDパターン34G及び両者を接続する半田等の抵抗値が十分小さいという実際的な仮定の下に、GND間共通インピーダンスをGND間共通インダクタンスLgにて表している。
【0012】
検討の第3段階として、発明者は、図3の等価回路モデルを用いて数値シミュレーションを実行し、その結果(図4)を図1の実測結果と比較した。更に、この比較の結果を、図1と図2の比較の結果と、比較した。その結果、第1に、図3の等価回路モデルのほうが従来の等価回路モデルより正確に、実際の特性を模擬・再現できることが判明した。例えば、阻止帯域のうち通過帯域のすぐ上下の帯域(750MHz以下の帯域や、900MHz〜1.5GHz程度までの帯域)に関しては、明らかに、図4のほうが図2よりも図1に似ている。第2に、図1の実測特性に現れている1.8GHzのトラップが図2では現れていないのに対し図4では現れていることや、このトラップがなぜ1.8GHzに現れるのかも判明した。
【0013】
発明者が明らかにした事項のうちトラップが1.8GHzに現れる理由は、以下の通りである。まず、前述のようにSAWフィルタは圧電性のSAW基板10上に電極14T、14R及び14Gを被着形成した構成を有しているから、その通過帯域に比べ十分高い周波数帯域では、一群の入力電極対12T及び一群の出力電極対12Rがそれぞれ容量Cti又はCtoと等価であると見なせる(図5(a))。但し、ここでは入力電極14T(又は出力電極14R)とGND電極14Gとの容量結合は無視している。高い周波数帯域にて有効な図5(a)の等価回路は、周知の回路変形規則により、図5(b)の形に変形できる。図5(b)に現れている容量Cx及びCyは、それぞれ次の式
【数1】
Cx=Ct+2Cc
Cy=Ct/Cc・(Ct+2Cc)
にて表すことができる。但し、ここでは、計算の便宜のためCti及びCtoがいずれも等しいと仮定しこれをCtと表している。上式にて表される容量のうちCyはLgと直列共振し、SAWフィルタの通過特性上でトラップを発生させる。このトラップの周波数Fpは、次の式
【数2】
Figure 0003895397
にて表すことができる(Ct>>Cc)。発明者は、他方で、題材としたSAWフィルタに関しCc及びLgを変化させながら、Fp=1.8GHzが概ね成立するCc及びLgを推定し、これらがそれぞれ0.08pF、0.05nHであるというデータを得た。その際、Ctとしては3.2pFの値を用いた。このCt,Cc及びLgを上のFpの式に代入すると、Fp=1.94GHzが得られる。
【0014】
このように、発明者による検討により、電極対の等価容量を示すCtや入出力間二次結合を示すCc及びLgが既知であればトラップの周波数Fpを予測できることが明らかになった。これは、逆にいえば、CcやLgを適宜調整することができれば、図1の特性上1.8GHz近傍に現れているトラップを他の帯域例えば通過帯域のすぐ上側に移動させられること、ひいては通過帯域のすぐ上側における阻止帯域減衰量を増大させることができることを、表している。
【0015】
本発明の第1の特徴は、図6中実線で示されているように従来のLgに意図的な増減Lgを付し及び/又は同図中破線で示されているように従来のCcに意図的な増減ΔCcを付す手段を提供することにより、トラップの周波数Fpを任意の周波数に移動可能にすることである。かかる手段例えばLgの増大手段の提供により、従来例えば1.8GHzに現れていたトラップを例えば800MHz帯にある通過帯域の近傍まで移動させることが可能になり、従って通過帯域近傍における阻止域減衰量を増大させることができる。
【0016】
本発明の第2の特徴は、増減ΔLg又はΔCcを提供する手段として実装先の回路基板の導電パターンやスルーホールを利用しているため、SAWフィルタ自体の構成の変更、部品の追加、大規模な設計変更等を伴うことがなく、安価かつ簡便に実施できることである。即ち、本発明で利用している入出力間二次結合Lg及びCcは、SAWフィルタの製造乃至実装に際してはほぼ必須的に生じ、これまで要求特性の実現の支障としてとらえられてきた現象であるから、これを増減調整する本発明の構成は、本質的に、比較的小規模な変形のみで実施できる。また、SAWフィルタユーザ(例えば通信機器セット等の設計者)から見れば、設計発注時にSAWフィルタ設計者に対し要求した特性と若干異なる特性を実現しようとするときに、改めてSAWフィルタ設計者に対し発注し直す又は要求特性に係る仕様を訂正する必要がなくなり、従ってより安価かつ迅速に作業を進めることが可能になる。更に、上述のように入出力間二次結合を逆用する本発明においては、要求特性を満たすことができる範囲内であれば、SAWフィルタ実装面を回路基板のGND面及び部品実装面のいずれとしてもよくなる。即ち、従来は“Lgをできるだけ小さくする”ことが求められていたのに対し本発明の実施に際しては例えば“Lgを必要な値まで大きくする”ことが求められるのであるから、SAWフィルタの実装面を、Lgを比較的小さくできるGND面に限定する必要がなくなる。
【0017】
これらの特徴は、より具体的には、次のような構成を有する基板実装方法にて実現できる。まず、本発明の第1の構成においては、入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、上記回路基板の一方の面に少なくともGNDランドを、他方の面にGNDパターンをそれぞれ設けておき、その後、上記GNDランドに上記GND端子が導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装し、上記GND電極と上記GNDパターンとの間に生じる二次的かつ寄生的なインダクタンスLgの値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう、予めその個数、形状、寸法又は位置を設定したスルーホールを介し、かつ上記実装に前後して、上記GNDランドを上記GNDパターンに導電接続する。
【0018】
本発明の第2の構成においては、入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、上記回路基板の一方の面に少なくともGNDランド、GND導体及びこれらを導電接続する接続導体を予め設けておき、かつ、これらGNDランド、GND導体及び接続導体のうちいずれかの形状又は寸法を、下記実装後に上記GND電極と上記GND導体との間に生じる二次的かつ寄生的なインダクタンスLgの値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう設定しておき、その後、上記GNDランドに上記GND端子が導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装する。
【0019】
そして、本発明の第3の構成においては、入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、上記回路基板の一方の面に少なくとも入力ランド及び出力ランドを予め設けておき、かつ、これら入力ランド及び出力ランドの形状、寸法又は間隔を、下記実装後に上記入力電極と上記出力電極との間に生じる二次的かつ寄生的な容量Ccの値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう設定しておき、その後、上記入力ランド及び出力ランドに上記入力端子及び出力端子のうち対応するものが導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装する。
【0020】
これらの構成の作用効果に関しては、既に述べた本発明の原理及びその特徴事項に関する説明から、当業者にとり一意に解釈できかつ自明である。更に、本発明は、基板実装方法という表現形式にて限定されるべきものではなく、例えば、「SAWフィルタを実装するのに適する回路基板の構造」「SAWフィルタの特性調整方法」等として表現することもできる。この種の表現形式の変更に関しても、これまでの説明から、当業者にとり一意に解釈できかつ自明である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態に関して図面に基づき説明する。なお、図11〜13に示す従来技術と同一の又は対応する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。また、図1〜図6を用いた本発明の原理説明に使用した符号を、実施形態の説明においても引き続き使用する。
【0022】
図7に、本発明の第1実施形態に係る基板実装方法が示されている。この実施形態においては、回路基板30の図中上側の面に、入力ランド32T、出力ランド32R及びGNDランド32Gが被着形成されている。これらのランド32T、32R及び32Gは、実装すべきSAWフィルタの端子22T、22R及び22Gに対応して設けられており、このSAWフィルタを回路基板30上に実装する際には、これらの端子22T、22R及び22Gをランド32T、32R及び32Gのうち対応するものと半田等により導電接続できるよう、SAWフィルタを回路基板30に対し位置決めし、その後半田付等を行う。
【0023】
また、図示しないが、回路基板30の図中下側の面には、他の回路部品との接続のための導電パターンが被着形成されており、ランド32T、32R及び32Gはいずれもスルーホール38を介して裏側の対応する導電パターンに導電接続される。また、本実施形態においては、特にGNDランド32Gにかかるスルーホール38の個数が、実現すべきLgの値に応じて、設定されている。このように、本実施形態においては、スルーホール38の個数の設定によって任意のLgを実現可能とし、通過帯域近傍における阻止帯域減衰量の改善等、特性改善の効果を達成している。
【0024】
この効果をより具体的に説明するため、発明の原理説明において題材としたSAWフィルタ、すなわち800MHz帯を通過帯域とするSAWフィルタを考える。前述の従来技術においては、Lgの値をできるだけ小さくすることを前提として基板実装が行われていたため、Lgは0.05nHという小さな値になっており、そのため1.8GHzにトラップが現れていた(図1参照)。これに対して本実施形態の構成を使用しLgを例えば0.2nHにすることにより、トラップの周波数を1.8GHzからより低い周波数例えば通過帯域のすぐ上側の周波数まで低めることができる。本発明の発明者は、本実施形態においてLg=0.2nHとなるようGNDランド32Gに係るスルーホール38の個数を設定した例に関し、その通過特性の実測を行なった(図8)。この図からも明らかなように、本実施形態においては、図1に示す従来技術のそれに比べ、特に通過帯域近傍の阻止域減衰量という限られた範囲ではあるが、特性の改善が現れている。
【0025】
なお、図7にはGNDランド32Gにかかるスルーホール38の個数を実現すべきLgの値に応じて設定する例のみを示したが、GNDランド32Gにかかるスルーホール38の形状、寸法、位置等を目標とすべきLgの値に応じて設定ないし調整する構成によっても、同様の作用効果を実現することができる。
【0026】
図9に、本発明の第2実施形態に係る基板実装方法を示す。この実施形態においては、回路基板30の図中上側の面に入力ランド32T、出力ランド32R及びGNDランド32Gが、前述の第1実施形態と同様被着形成されている。また、回路基板30の図中下側の面には、図示しないが、入力ランド32T及び出力ランド32Rとスルーホール38を介し導電接続される導電パターンが被着形成されている。本実施形態が前述の第1実施形態と相違しているのは、GNDランド32Gの形成面と同一の面にGND導体40を設け、GNDランド32GとGND導体40との間をやはり同じ面に被着形成されているストリップライン42にて導電接続している点である。なお、図中、2個設けられているGNDランド32Gのうち一方のみをGND導体40に導電接続しているが、これは、端子22Gがパッケージ20内において互いに導電接続されているため一方のみでよいことによる(従来技術の欄を参照)。
【0027】
本実施形態においても、特にストリップライン42においてインダクタンスが発生するため、このインダクタンスを以て、Lgに増減ΔLgを復することができる。従って、この実施形態においても、前述の第1実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、厳密には、インダクタンスはストリップライン42のみならずGND導体40及びGNDランド32Gにおいても発生するから、GNDランド32G、ストリップライン42及びGND導体40のいずれの形状、寸法等を調整することによっても、同様の作用効果を達成できる。
【0028】
図10に、本発明の第3実施形態に係る基板実装方法を示す。この実施形態においては、おおむね、前述の従来技術と同様の基板構造が採用されている。但し、この実施形態においては、入力ランド32Tにかかるギャップ36Tと出力ランド32Rにかかるギャップ36Rとが分離しておらず、一体のギャップ36を構成している。従って、入力ランド32Tと出力ランド32Rの間はGNDパターン34Gによって遮蔽されておらず、両者の間には容量性の結合が発生する。この容量性の結合は前述のCcの増減ΔCcとして寄与する。この構成によれば、ギャップ36の形状、寸法、或いは入力ランド32T又は出力ランド32Rの形状、寸法、間隔等を調整することにより、Ccを適宜目標値に設定ないし調整することができ、ひいては高周波域にあるトラップを通過帯域近傍に移すといった特性調整がやはり可能である。
【0029】
以上の各実施形態では、概ね、図11に示すように入力電極対12TのGND電極14と出力電極対12RのGND電極14GとをSAW基板10上で接続する構成を、前提としていた。しかし、この接続を、SAW基板10上の導体16Gではなく、パッケージ20内部又は表面の配線又はパターン導体や、回路基板30上の配線又はパターンで、実現してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のSAWフィルタ(基板実装後)の実測通過特性を示す図である。
【図2】 従来の等価回路モデルに基づく通過特性の数値シミュレーション結果を示す図である。
【図3】 入出力間2次結合を考慮した等価回路モデルを示す回路図である。
【図4】 図3の等価回路モデルに基づく通過特性の数値シミュレーションの結果を示す図である。
【図5】 図3に示す等価回路モデルの変形を示す図であり、特に(a)は通過帯域に比べ十分高い周波数帯域における等価回路を、(b)はこれを変形した等価回路を、それぞれ示す図である。
【図6】 本発明の基本原理を示す等価回路図である。
【図7】 本発明の第1実施形態に係る基板実装方法を示す分解斜視図である。
【図8】 この実施形態における通過特性の測定結果を示す図である。
【図9】 本発明の第2実施形態に係る基板実装方法を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明の第3実施形態に係る基板実装方法を示す分解斜視図である。
【図11】 多電極型SAWフィルタにおける電極配置の一例を示す概略平面図である。
【図12】 表面実装型パッケージの一例構成を示す斜視図である。
【図13】 一従来技術に係る基板実装方法を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
12T 入力電極対、12R 出力電極対、14T 入力電極、14R 出力電極、14G GND電極、20 パッケージ、22T 入力端子、22R 出力端子、22G GND端子、30 回路基板、32T 入力ランド、32R 出力ランド、32G GNDランド、34G GNDパターン、36 ギャップ、38 スルーホール、40 GND導体、42 ストリップライン、Lg GND間共通インダクタンス、Cc 入出力間結合容量、ΔLg Lgの増減分、ΔCc Ccの増減分。

Claims (3)

  1. 入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、
    上記回路基板の一方の面に少なくともGNDランドを、他方の面にGNDパターンをそれぞれ設けておき、
    その後、上記GNDランドに上記GND端子が導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装し、
    上記GND電極と上記GNDパターンとの間に生じる二次的かつ寄生的なインダクタンスの値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう、予めその個数、形状、寸法又は位置を設定したスルーホールを介し、かつ上記実装に前後して、上記GNDランドを上記GNDパターンに導電接続することを特徴とする基板実装方法。
  2. 入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、
    上記回路基板の一方の面に少なくともGNDランド、GND導体及びこれらを導電接続する接続導体を予め設けておき、かつ、これらGNDランド、GND導体及び接続導体のうちいずれかの形状又は寸法を、下記実装後に上記GND電極と上記GND導体との間に生じる二次的かつ寄生的なインダクタンスの値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう設定しておき、
    その後、上記GNDランドに上記GND端子が導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装することを特徴とする基板実装方法。
  3. 入力電極、出力電極及びGND電極がその表面に形成されたSAW基板と、その内部に上記SAW基板を収納しかつその一の外表面に各々上記入力電極、出力電極又はGND電極と導電接続された入力端子、出力端子及びGND端子が設けられたパッケージとを備えるSAWフィルタを、回路基板上に実装するに際し、
    上記回路基板の一方の面に少なくとも入力ランド及び出力ランドを予め設けておき、かつ、これら入力ランド及び出力ランドの形状、寸法又は間隔を、下記実装後に上記入力電極と上記出力電極との間に生じる二次的かつ寄生的な容量の値がSAWフィルタのトラップの周波数をその通過帯域の近傍にするための目標値となるよう設定しておき、
    その後、上記入力ランド及び出力ランドに上記入力端子及び出力端子のうち対応するものが導電接続されるよう上記SAWフィルタを上記一方の面に実装することを特徴とする基板実装方法。
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