JP3894257B2 - 改質赤リン及びその製造方法ならびに消色化赤リン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質赤リン及びその製造方法、消色化赤リン組成物に関し、さらに詳細には、赤リン特有の暗赤色の着色を消色させ、且つホスフィン発生量が少ない赤リン系難燃剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、赤リンが合成樹脂に対して優れた難燃効果を付与することは周知のことであり、実際にも難燃剤として使用されている。しかしながら、赤リンはそのまま使用する場合、水分と接触してホスフィンガスの発生を伴う加水分解反応を生ずるので、従来より赤リンを有機又は無機の材料により被覆して安定化した多くの改質赤リンが提案され、また使用されている。
【0003】
例えば、赤リンを熱硬化性樹脂で被覆した改質赤リン(特開昭51−105996号公報)、赤リン表面を金属リン化物とした後に熱硬化性樹脂で被覆した改質赤リン(特開昭52−125489号公報)、あるいは赤リンを水酸化アルミニウム、その他の金属水酸化物等及び無機又は有機の被覆剤で三重層に被覆した改質赤リン(特開昭55−10462号公報)、赤リン粒子表面を無電解めっき皮膜で被覆した改質赤リン(特開昭63−69704号公報)等が知られている。しかし、このような改質赤リンも安定化が不充分なため使用態様によっては自ずと制限され場合がある。
【0004】
一方、赤リン単独、あるいは上記の方法により安定化された赤リンは、いずれも一般には固有の濃い暗赤色を呈するため、樹脂の難燃剤として使用する場合、樹脂を不適当な色彩に着色するために、色調を問題とする樹脂部材への使用も制限されている。
その消色方法として、赤リンに無機顔料、及び熱硬化性樹脂で被覆し、次いで粉末状の無機顔料と混合させる方法が、特開平2−209991号公報に報告されている。
【0005】
本出願人は、赤リン固有の濃い暗赤色を隠ぺいまたは消色すると共に、安定化した改質赤リンを用いて、難燃化される樹脂の自由な着色を可能にする方法として、既に特開昭59−195512号公報に示す改質赤リンを提案した。この改質赤リンは、赤リンを酸化チタン、有機ポリマーで被覆したものであり、赤リンの暗赤色の隠ぺい、消色はかなりの程度まで改善されるが、ホスフィン発生の抑制に関しては用途によってなお不十分な点があった。
また、最近、球状熱硬化性樹脂粒子のマトリクス中に赤リン粒子又は赤リン粒子及びTiO2 等の微細無機粒子を10〜80wt%含有させて多核カプセル化してなる方法として、特開平9−67467号公報に示す赤リン含有球状樹脂粒子を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な従来技術の問題点を改善するために、赤リンの分解に伴うホスフィンガスの発生を実質的完全に抑制し、かつ赤リン固有の濃い暗赤色を隠ぺい、消色する方法を探索して鋭意研究を行ってきたところ、赤リン粒子表面に無機顔料をカチオン性水溶性樹脂又はカチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との反応又は結合による方法で赤リン粒子表面に被覆することにより赤リンを改質化させることができ、かつ該改質赤リンに無機顔料粉末を添加混合することにより、従来にない赤リン固有の濃い暗赤色を隠ぺいさせた消色化赤リンを得ること見出し、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、赤リン粒子表面に無機顔料をカチオン性水溶性樹脂とアニオン性界面活性剤との反応又はイオン対による結合方法で被覆させたものであることを特徴とする改質赤リンを提供するものであり、
また本発明は、赤リン粒子を水溶液に分散させた後、ノニオン性界面活性剤が含有していてもよいカチオン性水溶性樹脂水溶液とアニオン性界面活性剤水溶液の何れかに顔料を分散させ、次いで赤リン粒子水溶液に該ノニオン性界面活性剤が含有していてもよいカチオン性水溶性樹脂水溶液及びアニオン性界面活性剤水溶液を添加することにより赤リン粒子表面に無機顔料を被覆することを特徴とする上記の改質赤リンの製造方法を提供するものである。
さらにまた本発明は、前記の改質赤リンに無機顔料粉末を添加混合してなることを特徴とする消色化赤リン組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する赤リン原料は、工業的に入手できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば破砕赤リンや球状赤リンなどであり、粒子径は大きくとも100μm以下であり、平均粒子径として1〜30μm、好ましくは5〜20μmの範囲のものが挙げられる。
係る赤リン粒子は、予め無機粉体又は熱硬化性樹脂により被覆された赤リン粒子であるものでもよい。無機粉体はMg、Ca、Ti、Al、Co、Zrの水酸化物又は酸化物から選ばれる1種以上などが好ましく挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。熱硬化性樹脂は、フェノール−ホルマリン系、尿素−ホルマリン系、メラミンーホルマリン系、フルフリルアルコール−ホルマリン系などが挙げられる。
【0009】
具体的には、特開昭51-105996号公報、特開昭52-125489号公報、特開昭55-10462号公報、特開昭59-13612号公報、特開昭59-102807号公報、特開昭59-195512号公報、特開昭60-141609号公報、特開昭63-346号公報、特開昭63-69704号公報、特開昭63-134507号公報、特開昭63-230510号公報、特開平1-24008号公報、特開平1-286909号公報、特開平2-111609号公報、特開平2-209991号公報などに提案されている安定化又は改質赤リンが挙げられる。
【0010】
本発明で使用するカチオン性水溶性樹脂は、例えばポリアミドエポキシ樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンポリエーテルエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンポリエステルポリエーテルエピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン重合体、ポリビニルアミンポリアクリルアミドエピクロロヒドリン樹脂などが挙げられる。これらは水溶性の樹脂である。
【0011】
また、上記の他のカチオン性界面活性剤も使用することができ、例えばオクタデシル・アミン酢酸塩、アルキルトリメチル・アンモニウムハライド、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高分子アミンなどが挙げられる。
【0012】
また、カチオン性水溶性樹脂又はカチオン性界面活性剤は、無機顔料の分散させて性を向上させるためにノニオン性界面活性剤を併用して分散性を向上させるのがよい。なお、顔料の分散性又は被覆性はカチオン性水溶性樹脂の方がよく、実際の使用はカチオン性水溶性樹脂の方が好ましい。
【0013】
また、アニオン性界面活性剤としては、同様に市販されているものであればよく、例えば脂肪酸ソーダ石ケン、脂肪酸カリ石ケン、ステアリン酸石ケン、アルキルエーテルサルフェート(Na塩)、スルホン酸ナトリウム、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル(牛酸)メチルタウリン酸ナトリウム、オレイルメチルタウリン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリカルボン酸、ナフタリンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリオキシサルフェート塩などが挙げられる。アニオン性界面活性剤には、必要に応じてノニオン性界面活性剤を使用してもよい。
【0014】
使用されるノニオン性界面活性剤は、一般的に市販されているものでよく、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリエチレングリコール牛脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが挙げられる。
【0015】
本発明は、赤リンの表面でカチオン性水溶性樹脂とノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とが接触反応してイオン対が形成され、同時に水溶液中に存在する無機顔料がその表面を被覆し赤リンの表面を改質する。
無機顔料は、主に赤リンの分解に伴うホスフィンガスを吸着したり、加水分解により生成するリン酸、亜リン酸等のリンのオキシ酸を固定する或いは赤リンによる暗赤色の着色を消色させるため等の機能をもつものであるが、例えば、Zn、A1、Mg、Ti等の酸化物又は水酸化物、リン酸塩等の微粉末である。なお、ここでは微細粒子というのは一次粒子が赤リン粒子よりも少なくとも小さいものをいう。具体的には、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、アパタイト等が挙げられるが、なかでも酸化チタンがより赤リンの濃い暗赤色を隠蔽し、白色にするので好ましい。
また、無機顔料が赤リン表面に被覆される量は、1〜30wt%、好ましくは10〜20wt%である。
【0016】
本発明の被覆による改質は、単に四塩化チタンと苛性ソーダとの沈殿反応で水酸化チタンを被覆する場合よりも赤リン粒子表面に均一に又被覆量を多く被覆することができる。これは、改質前の赤リンと改質後の赤リンの粒度分布により明らかとなる。
【0017】
(粒径比較)
本発明の改質赤リンの製造方法は、赤リンの水性スラリーにカチオン性水溶性樹脂とアニオン性界面活性剤の何れかに無機顔料分散させた溶液をそれぞれ添加して反応させればよい。
ノニオン性界面活性剤は、カチオン性水溶性樹脂又はアニオン性界面活性剤何れにも添加することができるが、目的は無機顔料の分散性の向上のためである。また、無機顔料は、カチオン性水溶性樹脂又はアニオン性界面活性剤何れにも添加してもよい。
【0018】
本発明において、顔料の赤リンへの被覆は、カチオン性水溶性樹脂及びアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の種類の組み合わせにより影響を受ける場合が多い。
組み合わせは、カチオン性水溶性樹脂と無機顔料分散させたアニオン性界面活性剤との組み合わせが、被覆効果が大きい。その添加順序は、特に制限されないが同時添加又は別別に添加してもよい。
赤リンへの無機顔料の被覆による改質量は、赤リンに対して1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0019】
本発明の製造方法は、被覆前の赤リンに対して被覆後の赤リン粒子の粒子径が殆ど変化が無い程度に被覆することができることである。
具体的には、赤リンの水性スラリーは、特に限定する必要はないが50g/l〜700g/l、好ましくは100g/l〜500g/lである。
係る赤リン水性スラリーに、カチオン性水溶性樹脂を添加し、よく攪拌させる。攪拌は、通常攪拌から高速攪拌、あるいはボールミル、ディスパールミル、コロイドミル、ホモジナイザー、振動ミル、サンドグラインドミル、ナウターミキサー及びリボンブレンダー等を使用することができる。
【0020】
ついで、該溶液にノニオン性界面活性剤添加のアニオン性界面活性剤に無機顔料を分散せた溶液を添加させて反応させる。無機顔料の分散は、ペイントシェーカ、ボールミル、ディスパールミル、コロイドミル、ホモジナイザー、振動ミル、サンドグラインドミル、ナウターミキサー及びリボンブレンダー等を使用することができる。
【0021】
無機顔料分散液の添加時間は、比較的ゆっくりと添加させ添加時間は特に制限されない。添加後0.1〜12時間、好ましくは0.5〜2時間攪拌反応させればよい。反応温度は、特に加温させる必要はないが、例えば0〜90℃、好ましくは20〜40℃の範囲である。
反応終了後、ろ過洗浄後、乾燥させる。この乾燥時にカチオンとアニオンのイオン対が強固に結合して赤リン表面に無機顔料を固定することができる。乾燥温度は80〜110℃程度で0.5〜12時間程度である。乾燥後、本発明の改質赤リンが得られる。
【0022】
本発明で得られる改質赤リンは、改質前の赤リンと改質後の改質赤リンとの平均粒子径を比べてみると、被覆する無機顔料の量に影響なく均一に、しかも添加した量が殆ど赤リン表面に付着される。これは、粒度分布を測定することにより確認することができる。
改質前の赤リンの平均粒子径Xn、改質後の改質赤リンの平均粒子径Ynとすると、その比Zn(Zn=Yn/Xn)が1〜1.1、好ましくは1〜1.05の範囲であり、無機顔料を赤リンに対して多く被覆してもその平均粒子径は大きく変化しない。これは、単に赤リン表面に水酸化チタン等を被覆する場合などと比べると優れた被覆処理となる。
【0023】
本発明の改質赤リンに、無機顔料粉末を添加することにより消色化赤リンを得ることができる。無機質顔料粉末は、 Zn、A1、Mg、Ti等の酸化物又は水酸化物、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種または2種以上が挙げられる。改質する無機顔料と同様に、なかでも酸化チタンがより赤リンの濃い暗赤色を隠蔽し、白色にするので好ましい。
係る消色化赤リンは、改質赤リンと無機顔料粉末とを90〜50重量部:10〜50重量部配合することが好ましい。
また、消色化赤リンに、更に酸化クロム粉末を添加することにより、より消色化させることができる。酸化クロムの添加量は、消色化赤リンに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%程度である。特に無機顔料粉末が酸化チタンの場合、より白色化する。
【0024】
本発明の改質赤リン及び消色化赤リンは、安定で取扱い易く且つ優れた難燃効果を有し、各種高分子材料に対して難燃剤として使用することができる。難燃性を付与する高分子材料としては、特に制限はなく熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の種類を問わない。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、フタル酸ジアクリル樹脂またはポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0025】
一方、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリα−オレフィン、α−オレフィンを少なくとも含む他のモノマーとの共重合体、ポリスチレン、メタアクリル樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル、酢酸セルロース(セルロース樹脂)、ポリスルホン熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンアイオノマー樹脂等が挙げられる。 各種難燃剤として使用することができる。これらは、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、トリアリルシヌレート樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのホルムアルデヒド樹脂、アクロレイン系樹脂、ホスホニトリルジハロゲン化物系重合体誘導体、シクロペンタジエンからの熱硬化性樹脂、環状尿素樹脂による架橋反応、トリアジン系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記樹脂に対する本発明の改質赤リン又は消色化赤リンの配合量は、1〜30重量%であり、上限は経済的な範囲で自ずと制限される。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。
(実施例1)
予め水酸化チタン10%で被覆されている赤リン[ヒシガードTP−10(日本化学工業(株))]100g(原料A)を水500gに分散させた。この水溶液にカチオン性水溶性ポリアミドエポキシ樹脂[Sumirez Resins650住友化学工業(株)社製]を樹脂分で3.4gを添加し30分間攪拌した。(A液)
ついで、アニオン性界面活性剤[デモールN(花王(株)社製)]1gを水50gに溶解させ、二酸化チタン[タイペークCR−50(石原産業(株)社製)]20gを分散させ、ペイントシェーカーによりよく分散させた。(B液)
A液にB液を、ゆっくりと約1分で添加させ、添加後室温で60分間攪拌反応させた。反応終了後、ろ過、洗浄し、110℃で6時間乾燥させた。得られた改質赤リンは、Pとして75重量%のものであった。(試料A)
改質赤リンに酸化チタン粉末を150g添加し、ミキサーで混合し消色化赤リンを得た。消色化赤リンのP含有量は33.3%(試料B)
次いで補色剤として酸化クロム[クロメックスX−10(日本化学工業(株)社製)]を2.7g添加し、同様にミキサーで混合し、消色化赤リンを272.7g得た。この消色化赤リンのP含有量は33%であった。(試料C)
粒度分布測定は、試料スラリーを分散剤レーザー法粒度測定機(マイクロトラック9220FRA型、日機装(株)製)を使用して測定した。その結果を表1に記載した。
また、試料A、試料B、試料Cのそれぞれの白色度を測定した結果を以下の表に示す。
さらに原料A及び試料AのSEM写真を図1、図2に示す。
【0027】
(実施例2)
実施例1の原料の赤リンを水酸化アルミニウム10wt%被覆赤リン[CP−A15(日本化学工業(株)社製)](原料B)とした他は、実施例1と同様に行った結果、実施例1の改質赤リン(試料A)と同様な改質赤リン(試料D)を得た。
また、実施例1と同様に酸化チタン150gを入れ消色化赤リン(試料E)を得た。
さらに、実施例1と同様に酸化クロム2.7gを入れ消色化赤リン(試料F)を得た。
【0028】
【表1】
【0029】
(白色度の測定)
原料A、原料B、試料A、試料Cおよび試料Fを粉体用白色度計C−100(株式会社 ケット科学研究所)で測定を行った結果を下記表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
比較例は、原料A及び原料Bである。
(白色度の測定)
試料を色差計(全自動色差計カラーエース TC−8600A 東京電色株式会社製)で測定した結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
(ホスフィンの発生量の測定)
試料を0.5gアルミナボートに原料採取し、試験管に入れてN2ガス中で250℃、1時間加熱する。発生したPH3量をテドラーバックに補集して検知管で測定した。その結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、赤リンの表面改質を無機顔料を含むカチオン性水溶性樹脂とアニオン性界面活性剤とのイオン対や結合により被覆するため、従来の金属水和物による沈殿被覆よりも被覆量が多く、シャープな粒度分布を有し、しかも緻密に被覆することができる。また、更に酸化チタン等の隠蔽力の優れた無機顔料粉末を添加混合することにより、赤リン固有の赤褐色を白色化することができる。また、補色剤として酸化クロムを添加することによりより白色度を向上させることがきる。このため、色の問題等で使用されていなかった樹脂成型体などの使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における(原料A)の粒子構造を表す電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1における改質赤リン(試料A)の粒子構造を表す電子顕微鏡写真である。
Claims (10)
- 赤リン粒子表面に無機顔料をカチオン性水溶性樹脂とアニオン性界面活性剤との反応又はイオン対による結合方法で被覆させたものであることを特徴とする改質赤リン。
- 無機顔料は、 Zn、A1、Mg、Tiの酸化物又は水酸化物、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種または2種以上である請求項1記載の改質赤リン。
- 赤リン粒子は、予め無機粉体又は熱硬化性樹脂により被覆された赤リン粒子である請求項1または2記載の改質赤リン。
- 請求項3記載の無機粉体はMg、Ca、Ti、Al、Co、Zrの水酸化物又は酸化物から選ばれる1種以上である請求項1ないし3のいずれか1項記載の改質赤リン。
- 赤リン粒子を水溶液に分散させた後、ノニオン性界面活性剤が含有していてもよいカチオン性水溶性樹脂水溶液とアニオン性界面活性剤水溶液の何れかに顔料を分散させ、次いで赤リン粒子水溶液に該ノニオン性界面活性剤が含有していてもよいカチオン性水溶性樹脂水溶液及びアニオン性界面活性剤水溶液を添加することにより赤リン粒子表面に無機顔料を被覆することを特徴とする請求項1記載の改質赤リンの製造方法。
- 改質前の赤リンの平均粒子径Xnと改質後の改質赤リンの平均粒子径Ynとの比Zn(Zn=Yn/Xn)が1〜1.1の範囲である請求項5記載の改質赤リンの製造方法。
- 請求項1記載の改質赤リンに無機顔料粉末を添加混合してなることを特徴とする消色化赤リン組成物。
- 無機顔料粉末は、 Zn、A1、Mg、Ti等の酸化物又は水酸化物、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種または2種以上である請求項7記載の消色化赤リン組成物。
- 改質赤リンと無機顔料粉末とは、90〜50重量部:10〜50重量部配合してなる請求項6〜8項に記載の消色化赤リン組成物。
- 請求項1記載の改質赤リンに酸化クロム粉末を添加する請求項7ないし9のいずれか1項記載の消色化赤リン組成物。
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