JP3893331B2 - き電回路の保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はき電回路の保護装置に関し、詳しくは、電気鉄道の交流または直流き電回路に発生した短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力するき電回路の保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉄道にはいわゆる電気鉄道の他、ディーゼル機関車などの自動車式鉄道、蒸気鉄道などがあり、電気鉄道は、車両がレール上を走行する狭義の電気鉄道と特殊な電気鉄道とに大別される。そして、特殊な電気鉄道としては、トロリーバス等の無軌条電車、モノレールとも呼ばれる懸垂鉄道、ディーゼル電気機関車に代表される自動車式電気鉄道などがある。また、狭義の電気鉄道は、導レールから車両に給電(集電)する地下鉄も含む。ここで、車両はレール等で走行が規制される種々の車両を含み、いわゆる公共輸送機関としての前記各種の鉄道車両の他、例えば工場、農場の作業車両や遊園地の遊具車両や観光車両なども該当する。
【0003】
このき電回路に短絡事故などが発生して故障電流が流れた場合、これを確実に検出して回路を遮断することにより事故の拡大を防止し、車両や地上設備を保護しなければならない。この短絡事故対策として、従来では、過電流継電器などの保護継電器を設置し、この保護継電器によりき電回路に発生した短絡事故を過電流から検出し、その検出信号に基づいてき電回路を遮断するようにして保護動作を実行している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように短絡事故の発生によりき電回路に流れる過電流を検出し、その検出信号に基づいて保護動作を実行する手法では、例えば車両本数の増加や車両の発進または加速によりき電回路における負荷電流が増加すると、その大きな負荷電流が保護継電器の過電流検出レベルまで達することがあり、その場合、短絡事故ではないにもかかわらず、重負荷による負荷電流の増加を短絡事故と誤判断する可能性があり、短絡事故の見極めが難しくなっている。また一方で、この重負荷による負荷電流の増加を短絡事故と誤判断することがないようにするためには、過電流検出レベルを大きく設定すればよいが、そのようにすると、実際に短絡事故が発生した場合にき電回路を即座に遮断することが困難になるという問題がある。
【0005】
また、他の手法としては、き電回路の電圧および電流を検出することにより電力供給系統電源の基本波成分のインピーダンスを計測し、そのインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱した場合に保護動作を実行する手法がある。この手法では、サイリスタ位相制御車両の場合、加速力行時に電力供給系統電源の基本周波数の整数倍の高調波電流を発生させるため、その高調波電流を検出して高調波レベルがある程度以上であれば、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であると判断することができ、これにより、短絡事故と重負荷による負荷電流の増加とを区別することができて短絡事故を確実に検出して保護動作へ移行するようにしている。
【0006】
しかしながら、近年では、サイリスタ位相制御車両に代わって、インバータ制御方式によるPWM(パルス幅変調)制御車両が登場してきており、このPWM制御車両の場合、前記サイリスタ位相制御車両のように加速力行時に高調波電流を発生させるようなことが極端に少ない。そのため、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷と短絡事故とを区別することが困難となり、短絡事故を確実に検出して保護動作へ移行するが難しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得るき電回路の保護装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る保護装置を交流き電回路に適用した場合、その保護装置は、電気鉄道に設置された交流き電回路に発生した短絡事故を検出し、その短絡事故から交流き電回路を保護する装置であって、前記交流き電回路のき電線と帰線路との間、トロリー線と帰線路との間または導レールと走行レールとの間あるいは複線式のトロリー線間または導レール間を一対の計測ライン間とし、前記計測ライン間に次数間高調波を重畳注入し、計測ライン間の次数間高調波の電圧または電流の少なくとも一方を計測し、その計測結果に基づいて算出された計測ライン間の次数間高調波のインピーダンスと共に基本周波数のインピーダンスを監視し、両者のインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱することにより交流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力することを特徴とする。
【0009】
この場合、次数間高調波(インターハーモニクス)は、レールが敷設された地域の電力供給系統基本波に同期した系統基本波の非整数倍の周波数(次数)であり、系統に本来は存在しないため、この次数間高調波を変調などすることなく、そのまま計測ライン間に供給しても誘導障害などを受けることはない。
【0010】
この発明では、次数間高調波を交流き電回路の系統基本波に重畳注入し、その次数間高調波電流の注入によって交流き電回路に生じた電圧電流歪みにより、交流き電回路の電気的特性値、例えば計測ライン間の次数間高調波のインピーダンス(またはその逆数のアドミタンス)を算出して監視する。なお、交流き電回路の電気的特性値には、次数間高調波のインピーダンス以外に基本波周波数のインピーダンスを含めることが可能である。
【0011】
交流き電回路に短絡事故が発生した場合には、前記インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができる。これに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することはないので、その重負荷状態を判断することができる。このようにして、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得る。
【0012】
前記次数間高調波の注入信号と計測取り込みのサンプリングはPLLにより電力供給系統電源の基本波周波数と同期させることが望ましい。このように次数間高調波の注入信号と計測取り込みのサンプリングをPLLにより電力供給系統電源の基本波周波数と同期させれば、同期ずれによる基本波、ならびに基本波周波数の整数倍の高調波、つまり、整数次数高調波のサイドバンド成分の発生を防止することができて、次数間高調波の注入による計測精度を向上させることができる。
【0013】
前記次数間高調波の計測取り込みのサンプリング期間を電力供給系統電源の基本波周期よりも長周期とすることが望ましい。このように次数間高調波の計測取り込みのサンプリング期間を電力供給系統電源の基本波周期よりも長周期としたことにより、周波数分解能を高め、次数間高調波周波数での計測ノイズを分散させ、計測精度を向上させることができる。
【0014】
前記次数間高調波を注入する注入回路をLC共振回路で構成することが望ましい。このように注入回路をLC共振回路で構成すれば、前記次数間高調波の注入量を充分に確保することができる。
【0015】
本発明に係る保護装置を直流き電回路に適用した場合、その保護装置は、電気鉄道に設置された直流き電回路に発生した短絡事故を検出し、その短絡事故から直流き電回路を保護する装置であって、前記直流き電回路のき電線とレール間あるいはき電線と大地間に、微少量の高周波電流を重畳注入し、前記直流き電回路における電圧または電流の少なくとも一方を計測し、その計測結果に基づいて算出された直流き電回路のインピーダンスと共に直流電流を監視し、それらインピーダンスと直流電流の両者が所定の整定値範囲を逸脱することにより直流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力することを特徴とする。
【0016】
この発明では、微少量の高周波電流を直流き電回路の直流電流に重畳注入し、その高周波電流の注入によって直流き電回路に生じた電圧電流歪みにより、直流き電回路における電気的特性値、例えばインピーダンス(またはその逆数のアドミタンス)を算出して監視する。ここで、「微少量」とは、高周波電流の注入により車両の走行に支障を来たさない程度の量を意味する。また、直流き電回路の電気的特性値には、その直流き電回路のインピーダンス以外に直流き電回路に流れる直流電流を含めることが可能である。
【0017】
直流き電回路に短絡事故が発生した場合には、前記インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができる。これに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することはないので、その重負荷状態を判断することができる。このようにして、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得る。
【0018】
前記高周波電流を注入する注入回路をコンデンサ結合型とすることが望ましい。このようにコンデンサ結合型の注入回路とすれば、保護装置への直流成分の侵入を未然に防止することができる。
【0019】
ここで、前述したように短絡事故が発生した場合には、インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができるのに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することがないのは、以下の理由に基づく。
【0020】
一般的に変電所から見たインピーダンスを車両(PWM制御車両)ZTと短絡事故による高抵抗地絡ZGで比較すると、
▲1▼ ZT=l(jωLF+RF)+j{ωLT−(1/ωCT)}+RT
▲2▼ ZG=l(jωLF+RF)+RG
となる。但し、RFはき電線抵抗、LFはき電線インダクタンス、lはき電距離、RGは地絡抵抗、RTは車両主回路抵抗、LTは車両インダクタンス、CTは車両フィルタコンデンサ容量である。
【0021】
車両と地絡回路の回路定数の変化により高抵抗地絡(短絡事故)を検出する場合、回路定数の変化を表す一つの指標としてインピーダンスがある。車両のインピーダンスについては、前述した▲1▼式より比較的高い周波数でインダクタンス成分が支配的となる。一方、高抵抗地絡(短絡事故)が発生した場合の地絡回路のインダクタンスは、車両のインダクタンスに比べて相対的に小さくなる。
【0022】
従って、車両と高抵抗地絡(短絡事故)のインピーダンスに含まれる抵抗成分とインダクタンス成分の割合が異なる。このように変電所から見たインピーダンスは、車両が存在する場合と高抵抗地絡(短絡事故)が発生した場合とで異なる特性を持つことから、このインピーダンス特性の違いを利用して高抵抗地絡(短絡事故)のみを検出することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る保護装置を電気鉄道の交流き電回路に適用した実施形態を図1に示す。この実施形態における交流き電回路は、電車線路から通信線への誘導障害を軽減する対策として吸上変圧器(BT)を用いたBTき電方式または単巻変圧器(AT)を用いたATき電方式により、変電所の電力供給系統電源1がき電用変圧器2を介してき電線3と帰線路4(レール)に接続され、そのき電線3と帰線路4との間に給電される。
【0024】
前記き電用変圧器2は、三相電力系統から受電した電力を90°位相差の二組の単相電力に変換し、方面別あるいは上下線別にき電する、例えばスコット結線変圧器などの三相二相変圧器が使用されている。
【0025】
この交流き電回路によるき電区間に車両が進入すると、き電線3、き電分岐線5、トロリー線6、車両7(車両負荷)、帰線路4のループを負荷電流が流れる。なお、車両7としては、インバータ制御方式によるPWM(パルス幅変調)制御車両に適用されるのが好適である。
【0026】
この実施形態では、交流き電回路によるき電区間のき電線3と帰線路4との間を計測ライン間とし、この間に次数間高調波を注入することにより短絡事故を保護装置8で検出する。つまり、保護装置8は、次数間高調波を交流き電回路の系統基本波に重畳注入し、計測ライン間の次数間高調波の電圧および電流を計測し、その計測結果に基づく交流き電回路の電気的特性値、例えば計測ライン間の次数間高調波のインピーダンス(またはその逆数のアドミタンス)を算出して監視し、そのインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱することにより交流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力する。
【0027】
ここで、次数間高調波(インターハーモニクス)は、レールが敷設された地域の電力供給系統基本波に同期した系統基本波の非整数倍の周波数(次数)であり、系統に本来は存在しないため、この次数間高調波を変調などすることなく、そのままレール間に供給しても誘導障害などを受けることはない。
【0028】
保護装置8の回路構成は、計測ライン間に次数間高調波を重畳注入する注入回路13と、計測ライン間の次数間高調波の電圧および電流を計測し、その計測結果に基づく計測ライン間の次数間高調波のインピーダンスを算出して監視し、そのインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱することにより交流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力する信号処理部18とで構成される。
【0029】
具体的には、図2に示すようにPLL回路構成の同期信号生成部9により電力供給系統電源1の基本波電圧に同期した系統基本波周波数の非整数倍の周波数の同期制御信号を生成し、この同期制御信号と制御部(CPU)10の制御信号とに基づいて、注入信号生成部11が注入次数の次数間高調波(インターハーモニクス)の注入信号を生成する。さらに、この注入信号を増幅器12を介して注入回路13に供給し、そのインバータ等を駆動制御して注入回路13から設定次数の次数間高調波を出力させる。なお、前記注入回路13をLC共振回路で構成すれば、前記次数間高調波の注入量を充分に確保することができる。
【0030】
前述のように、次数間高調波の注入信号を同期信号生成部9により電力供給系統電源1の基本波周波数と同期させれば、同期ずれによる基本波、ならびに基本波周波数の整数倍の高調波、つまり、整数次数高調波のサイドバンド成分の発生を防止することができて、次数間高調波の注入による計測精度を向上させることができる。
【0031】
一方、変圧器14(PT)による電圧計測信号および変流器15(CT)による電流計測信号をA/D変換部16に供給し、この変換部16により同期信号生成部9の同期制御信号に基づくサンプリングタイミング生成部17のタイミング制御に従って両計測信号をサンプリングし、電圧および電流の計測データにA/D変換する。
【0032】
ここで、次数間高調波の計測取り込みのサンプリング期間を電力供給系統電源1の基本波周期よりも長周期(例えば電源周波数が60Hzの場合、サンプリング期間を32周期)とすれば、周波数分解能を高め、次数間高調波周波数での計測ノイズを分散させ、計測精度を向上させることができる。
【0033】
そして、前述したA/D変換部16の電圧および電流の計測データを制御部10に供給し、この制御部10により両計測データに高速フーリエ解析(FFT)、デジタルフーリエ解析(DFT)等の周波数解析を施し、両計測データに含まれた注入次数の成分、つまり、注入次数の次数間高調波の電圧および電流の計測データを求める。この計測データに基づいて前記次数間高調波の注入によって生じた電圧電流歪みにより、計測ライン間のインピーダンスを計測してそのインピーダンス値を監視する。
【0034】
交流き電回路に短絡事故が発生した場合には、前記インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができ、前記制御部10から短絡保護指令を出力する。これに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することはないので、その重負荷状態を判断することができる。このようにして、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得る。
【0035】
なお、前述した次数間高調波のインピーダンスだけでなく、基本波周波数のインピーダンスも同時に計測しておき、そのインピーダンスが所定の整定値以下になっているか否かについても監視する。このようにすれば、短絡事故が発生した場合、基本波周波数のインピーダンスも低下することから、次数間高調波の注入によるインピーダンスが低下すると共に、基本波周波数のインピーダンスも所定の整定値以下となった時には、短絡事故の発生として異常を判定することができる。
【0036】
一方、次数間高調波の注入によるインピーダンスが低下するのみで、基本波周波数のインピーダンスが正常であれば、注入回路を含む保護装置の故障であると判定することができ、逆に、基本波周波数のインピーダンスのみが所定の整定値以下となり、次数間高調波の注入によるインピーダンスが正常であれば、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であると判定することができる。
【0037】
なお、前記実施形態では、き電線と帰線路との間を計測ライン間とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、トロリー線と帰線路との間またはき電線を兼ねるトロリー線と帰線路との間を一対の計測ライン間として、この間に次数間高調波を注入してもよく、また、トロリー線の代わりに導レールを用いる地下鉄などの場合は、導レールと走行レールとの間を計測ライン間とし、この間に次数間高調波を注入すればよく、レールがなく一対のトロリー線に給電する無軌条電車または一対の導レールにより車両に給電する電車の場合は、トロリー線間または導レール間を計測ライン間とし、この間に次数間高調波を注入すればよい。
【0038】
次に、本発明に係る保護装置を電気鉄道の直流き電回路に適用した他の実施形態を図3に示す。この実施形態における保護装置は、直流き電回路における短いき電区間のき電線とレール(大地)間に、微少量の高周波電流を重畳注入することにより短絡事故を保護装置21で検出する。つまり、保護装置21は、前記き電線とレール間に微少量の高周波電流を重畳注入し、直流き電回路における電圧および電流を計測し、その計測結果に基づく直流き電回路の電気的特性値、例えばインピーダンス(またはその逆数のアドミタンス)を算出して監視し、そのインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱することにより直流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力する。
【0039】
保護装置21は、例えばAC200Vの電源電圧を整流して直流電圧を生成する直流回路22と、その直流回路22の出力をハーフブリッジ構成のスイッチング素子で交流変換して高周波電流を生成するインバータ回路23と、そのインバータ回路23の出力側にトランスを介して設けられ、直流き電回路のき電線とレール(大地)間に高周波電流を重畳注入する注入回路24とで主要部が回路構成されている。なお、前記インバータ回路23は、ハーフブリッジ構成のスイッチング素子を制御部25によりオンオフ制御することによって微少量の高周波電流を出力する。
【0040】
制御部25の制御指令に基づいて、インバータ回路23を駆動して注入回路24から高周波電流を直流き電回路の直流電流に重畳注入する。このとき、高周波電流の注入は、車両の走行に支障を来たさない程度に微少量とする。なお、前記注入回路24をコンデンサ結合型とすることにより、トランスを介して保護装置へ直流電流が流入することを未然に防止できる。
【0041】
例えばホール素子からなる直流用変圧器26(DCPT)により直流き電回路における電圧を検出すると共に、たとえばロゴスキーCTと称されるクランプ式変流器27により電流を検出し、これら電圧信号と電流信号をA/D変換部28に供給し、このA/D変換部28で計測データにA/D変換する。そして、A/D変換部28により得られた電圧および電流の計測データをCPU29に供給し、このCPU29で高周波電流の注入により生じた電圧電流歪みにより、直流き電回路のインピーダンスを計測してそのインピーダンス値を監視する。
【0042】
直流き電回路に短絡事故が発生した場合には、前記インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができ、前記CPU29から短絡保護指令を出力する。これに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することはないので、その重負荷状態を判断することができる。このようにして、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得る。
【0043】
なお、前述した直流き電回路のインピーダンスだけでなく、その直流き電回路に流れる直流電流も同時に計測しておき、その直流電流が所定の整定値以上になっているか否かについても監視する。このようにすれば、短絡事故が発生した場合、直流電流も上昇することから、高周波電流の注入によるインピーダンスが低下すると共に直流電流も所定の整定値以上となった時には、短絡事故の発生として異常を判定することができる。
【0044】
一方、高周波電流の注入によるインピーダンスが低下するのみで、直流電流が正常であれば、注入回路を含む保護装置の故障であると判定することができ、逆に、直流電流のみが所定の整定値以上となり、高周波電流の注入によるインピーダンスが正常であれば、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であると判定することができる。
【0045】
本発明は、電気鉄道はもちろん、電車線や導レールがない自動車式鉄道、蒸気鉄道などの種々の鉄道の短絡事故検出に適用することができ、さらに、工場や農場などの作業車両や遊園地の車両などの短絡事故検出にも適用可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、交流き電回路の場合、次数間高調波電流を交流き電回路の系統基本波に重畳注入し、直流き電回路の場合、微少量の高周波電流を直流き電回路の直流電流に重畳注入することで、次数間高調波電流あるいは高周波電流の注入によってき電回路に生じた電圧電流歪みにより、き電回路における電気的特性値、例えばインピーダンスを計測して監視することにより、き電回路に短絡事故が発生した場合には、前記インピーダンスが急激に低下するためにその短絡事故を検出することができる。これに対して、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態であれば、前記インピーダンスが急激に低下することはないので、その重負荷状態を判断することができる。このようにして、車両本数の増加や車両の発進または加速による重負荷状態があっても、短絡事故を確実に検出して保護動作に速やかに移行し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で、交流き電回路の保護装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の実施形態における保護装置の具体的回路構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態で、直流き電回路の保護装置を示す具体的回路構成図である。
【符号の説明】
1 電力供給系統電源
3 き電線(計測ライン)
4 帰線路(計測ライン)
8 保護装置
13 注入回路
21 保護装置
24 注入回路

Claims (6)

  1. 電気鉄道に設置された交流き電回路に発生した短絡事故を検出し、その短絡事故から交流き電回路を保護する装置であって、前記交流き電回路のき電線と帰線路との間を一対の計測ライン間とし、前記計測ライン間に次数間高調波電流を重畳注入し、計測ライン間の次数間高調波の電圧または電流の少なくとも一方を計測し、その計測結果に基づいて算出された計測ライン間の次数間高調波のインピーダンスと共に基本周波数のインピーダンスを監視し、両者のインピーダンスが所定の整定値範囲を逸脱することにより交流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力することを特徴とするき電回路の保護装置。
  2. 前記次数間高調波の注入信号と計測取り込みのサンプリングをPLLにより電力供給系統電源の基本波周波数と同期させたことを特徴とする請求項に記載のき電回路の保護装置。
  3. 前記次数間高調波の計測取り込みのサンプリング期間を電力供給系統電源の基本波周期よりも長周期としたことを特徴とする請求項1または2に記載のき電回路の保護装置。
  4. 前記次数間高調波を注入する注入回路をLC共振回路で構成したことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のき電回路の保護装置。
  5. 電気鉄道に設置された直流き電回路に発生した短絡事故を検出し、その短絡事故から直流き電回路を保護する装置であって、前記直流き電回路のき電線とレール間あるいはき電線と大地間に、微少量の高周波電流を重畳注入し、前記直流き電回路における電圧または電流の少なくとも一方を計測し、その計測結果に基づいて算出された直流き電回路のインピーダンスと共に直流電流を監視し、それらインピーダンスと直流電流の両者が所定の整定値範囲を逸脱することにより直流き電回路の短絡事故を検出し、その検出信号に基づいて保護動作指令を出力することを特徴とするき電回路の保護装置。
  6. 前記高周波電流を注入する注入回路をコンデンサ結合型としたことを特徴とする請求項に記載のき電回路の保護装置。
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