JP3893228B6 - 超臨界二酸化炭素中でのヒドロカルボニル化方法 - Google Patents

超臨界二酸化炭素中でのヒドロカルボニル化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特異的反応媒体として環境に優しく且つ不燃性である超臨界二酸化炭素を用いた、新規なカルボニル化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
日用化学薬品及び専用化学薬品の工業的製造方法では、遷移金属触媒反応がしばしば使用され、これらは有機溶媒中で実施される。しかしながら、最近では、これらの有機溶媒は、本質的に毒性があるだけでなく易燃性による安全上の問題があることから、環境規制制限を増すことに関して綿密な検討がなされている。水を溶媒として使用することが、一つの解決策であるが、ほとんどの遷移金属触媒は、水に対する溶解度だけでなく、水に対する感受性の面からも、水は適合する溶媒ではない。このようなことから、超臨界流体、とりわけ超臨界二酸化炭素を反応媒体として使用することは、興味深い方法である。
【0003】
超臨界流体は、学術研究所だけでなく工業プロセスにおける抽出及びクロマトグラフィー用媒体として有用であることが報告されている[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Science、269、1065−1069(1995)]。また、超臨界流体には、反応媒体として独特の利点があり、例えば、超臨界流体の密度、極性、粘度、拡散率及び溶媒和能は、圧力及び/又は温度が少しでも変動すると大きく変化するとされている[L.Boock、B.Wu、C.LaMarca、M.Klein及びS.Paspek、CHEMTECH、719−723(1992);G.Kaupp、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,33、1452−1455(1994)]。最近、反応速度の増加及び選択率の変化は、通常の有機溶媒を、超臨界二酸化炭素(scCO2)及び超臨界水(scH2O)等の超臨界流体に置き換えることにより達成できることが明らかとなった[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Science、269、1065−1069(1995);J.A.Banister、P.D.Lee及びM.Poliakoff、Organometallics、14、3876−3885(1995);S.Kainz、D.Koch、W.Baumann及びW.Leitner、Angew、Chem.,Int.Ed.Engl.,36、1628−1630(1997);J.W.Rathke、R.J.Klingler及びT.R.Krause、Organometallics、11、585(1992)]。
【0004】
有機合成反応及び均一触媒用媒体としては、臨界点がマイルド(即ち、Tc=31℃、Pc=72.9気圧)であることから、超臨界二酸化炭素(scCO2)が最も適当であると思われる。実際、ラジカル反応、重合、水素添加、ヒドロホルミル化及びカルボキシル化反応が、scCO2中で進行することが報告されている[S.Kainz、D.Koch、W.Baumann及びW.Leitner、Angew、Chem.,Int.Ed.Engl.,36、1628−1630(1997);J.W.Rathke、R.J.Klingler及びT.R.Krause、Organometallics、11、585(1992);Y.Guo及びA.Akgerman、Ind.Eng.Chem.Res.,36、4581−4585(1997);P.G.Jessop、Y.Hsiao、T.Ikariya及びR.Noyori、J.Am.Chem.Soc.,118、344−355(1996);P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Organometallics、14、1510−1513(1995);P.G.Jessop、Y.Hsiao、T.Ikariya及びR.Noyori、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,707−708(1995);P.G.Jessop、Y.Hsiao、T.Ikariya及びR.Noyori、J.Am.Chem.Soc.,116、8851−8852(1994);P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Nature、368、231−233(1994);J.W.Rathke及びR.J.Klingler、U.S.Patent、5,198,589(1993);J.W.Rathke、R.J.Klingler及びT.R.Krause、Organometallics、10、1350−1355(1991);M.T.Reetz、W.Konen及びT.Strack、Chimia、47、493(1993);J.M.DeSimone、E.E.Maury、Y.Z.Menceloglu、J.B.McClain、T.J.Romack及びJ.R.Combes、Science、265、356−359(1994);J.M.DeSimone、Z.Guan及びC.S.Elsbernd、Science、257、945−947(1992);M.J.Burk、S.Feng、M.F.Gross及びW.Tumas、J.Am.Chem.Soc.,117、8277−8278(1995)]。
【0005】
均一系触媒反応をscCO2中で行うことにより反応速度の向上と選択率の向上が期待されるが、これは次の特徴によると考えられる。(i)臨界点付近で反応剤が局部的にクラスター化すること及び活性化容積が極めて大きいこと、(ii)反応種周囲の溶媒和が弱いこと、(iii)溶質分子の拡散が迅速であること、(iv)気体の溶解度が大きいこと、(v)ラジカルプロセスにおけるケージ効果を阻止すること[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Science、269、1065−1069(1995)]。これらの特性の他に、scCO2は、通常の有機溶媒に由来する溶媒残留物及び廃棄物を生じないことから、環境に優しく不燃性な特性を有する反応媒体である。生成物(単一又は複数)、触媒及び反応剤(単一又は複数)の分離は、選択沈殿により容易に行うことができる[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Science、269、1065−1069(1995)]。
【0006】
最近、scCO2のこれらの極めて有用な特徴が認識されたにもかかわらず、研究されたscCO2を媒体として用いた均一触媒反応の数は、極めて限られている[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Science、269、1065−1069(1995);J.W.Rathke、R.J.Klingler及びT.R.Krause、Organometallics、10、1350−1355(1991);M.T.Reetz、W.Konen及びT.Strack、Chimia、47、493(1993);M.J.Burk、S.Feng、M.F.Gross及びW.Tumas、J.Am.Chem.Soc.,117、8277−8278(1995)]。
【0007】
scCO2中におけるCO2(CO)8により触媒したプロペンのヒドロホルミル化が、検討された[J.W.Rathke、R.J.Klingler及びT.R.Krause、Organometallics、10、1350−1355(1991);Y.Guo及びA.Akgerman、Ind.Eng.Chem.Res.,36、4581−4585(1997)]。また、scCO2中における、ホスフィン配位子と錯化してもよい第VIII族金属触媒により触媒したオレフィンのヒドロホルミル化が、特許された[J.W.Rathke及びR.J.Klingler、U.S.Patent 5,198,589(1993)]。また、HMn(CO)5により触媒されたアルケンのヒドロホルミル化も、検討された[P.G.Jessop、T.Ikariya及びR.Noyori、Organometallics、14、1510−1513(1995)]。さらに、ロジウムのトリス(m−パーフルオロアルキル置換フェニル)ホスフィンとの錯体(通常の非フッ素化ホスフィン配位子を用いるよりも超臨界二酸化炭素に実質的によりよく溶解する触媒が得られる)触媒を用いた1−オクテンのヒドロホルミル化が報告された[S.Kainz、D.Koch、W.Baumann及びW.Leitner、Angew.Chem.、Int.Ed.Engl.、36、1628−1630(1997)]。
【0008】
コバルト共触媒法では、有機溶媒中での通常のコバルト触媒ヒドロホルミル化法と類似の方法において高圧及び高温が必要である。マンガン触媒法は、効果の面で実用的でない。トリス(m−パーフルオロアルキル置換フェニル)ホスフィンを用いたロジウム触媒法では、まだかなり高圧である全圧220気圧、水素圧:一酸化炭素圧比=1:1(60気圧)(周囲温度)で実施されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、従来技術とは異種及び/又は従来技術よりも向上したscCO2中での第VIII族遷移金属錯体により触媒した官能化及び非官能化アルケン、アルカジエン及びアルキンのヒドロホルミル化及びシクロヒドロカルボニル化を含むカルボニル化反応法を提供することである。
本発明の別の目的は、従来技術よりも低圧で実施できるような方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、超臨界二酸化炭素に対する触媒の溶解度を十分なものとするためにパーフルオロアルキル基を導入する等の特別な変性を必要としない配位子を用いるような方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ホスファイト配位子を第VIII族遷移金属触媒又は触媒前駆体と組み合わせて使用することによりこれらの目的を達成できることを見いだした。
即ち、本発明によれば、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合又は少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含有する少なくとも一種の化合物と、水素と、一酸化炭素とを、超臨界二酸化炭素中、第VIII族遷移金属触媒前駆体とホスファイト配位子との存在下、ヒドロカルボニル化反応に付する工程を含んでなることを特徴とするヒドロカルボニル化方法が提供される。
超臨界二酸化炭素中で第VIII族遷移金属とホスファイト配位子との錯体を用いた本発明の方法では、水素と一酸化炭素との混合物の圧力は低圧しか必要とせず、本方法の全圧は100気圧未満でよい。また、官能化不飽和化合物基質を、本発明の方法に使用でき、この場合、ヒドロカルボニル化により医薬及農薬に有用な中間体が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、超臨界二酸化炭素(scCO2)中での、第VIII族遷移金属とホスファイト配位子との錯体により触媒された、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合又は少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含有する少なくとも一種の化合物(不飽和化合物)(好ましくはアルケン、アルキン及びジエン)のヒドロカルボニル化、例えばヒドロホルミル化及びシクロヒドロカルボニル化、を含む。
【0012】
カルボニル化反応を受けることができる限りは、不飽和化合物は限定されない。好ましい不飽和化合物は、アルケン、アルキン、ジエン及びそれらの混合物であり、特にはアルケンであるのが好ましい。これらの化合物は、未置換体であっても、官能基又は置換基で置換されていてもよい。官能基又は置換基は、限定されず、カルボニル化反応でそのまま残るような全ての基を含む。以下の開示及び請求の範囲において、これらの官能基又は置換基は、カルボニル化反応に関与しないので、「非反応性」として開示及び記載してある。
【0013】
前記アルケンは、1−アルケン及び分子内アルケンからなる群から選択される。前記アルキンは、1−アルキン及び分子内アルキンからなる群から選択される。前記アルケン、前記アルキン及び前記ジエンは、非環状又は環状であって、前記アルケン、アルキン及びジエンが直鎖又は分岐鎖であり、前記アルケン、アルキン及びジエンが未置換体であるか、一つ以上の非反応性置換基で置換されている。
【0014】
前記非反応性置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ホルミル基、オキソ基、ヒドロキシカルボニル基及び/又はその誘導体、アミノ基、アミド基、イミド基、カルバモイル基、ウレイド基及び/又はその誘導体、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオキソ基、ヒドロキシ(チオカルボニル)基及び/又はその誘導体、メルカプトカルボニル基及び/又はその誘導体、メルカプト(チオカルボオニル)基及び/又はその誘導体、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、(ホスフィノ)オキシ基、ホスホリル基、ホスホンアミド基、ホスホンチオアミド基、三置換シリル基、三置換シロキシ基、三置換スタニル基及び二置換ボリル基が挙げられる。
【0015】
好ましいアルケンには、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖1−アルケン、炭素数4〜20の直鎖又は分岐鎖分子内アルケン、炭素数3〜20のシクロアルケン、炭素数8〜30の未置換又は置換アルケニルアレーン、炭素数5から30の未置換又は置換アルケニル複素芳香族化合物、炭素数5〜30の未置換又は置換アルケニルシクロアルカン、1つ以上の窒素原子を含む炭素数4〜30の未置換又は置換アルケニル環状化合物、1つ以上の酸素原子を含む炭素数4〜30の未置換又は置換アルケニル環状化合物、1つ以上のイオウ原子を含む炭素数4〜30の未置換又は置換アルケニル環状化合物並びに1つ以上のリン原子を含む炭素数4〜30の未置換又は置換アルケニル環状化合物などがある。
【0016】
好ましい置換アルケンには、未置換及び置換アリルアミン、未置換及び置換アリルアミド、未置換及び置換アリルカルバメート、未置換及び置換アリルスルホンアミド、未置換及び置換アリルホスホンアミド、未置換及び置換3−ブテニルアミン、未置換及び置換3−ブテニルアミド、未置換及び置換3−ブテニルカルバメート、未置換及び置換3−ブテニルスルホンアミド、未置換及び置換3−ブテニルホスホンアミド、未置換及び置換4−ペンテニルアミン、未置換及び置換4−ペンテニルアミド、未置換及び置換4−ペンテニルカルバメート、未置換及び置換4−ペンテニルスルホンアミド並びに未置換及び置換4−ペンテニルホスホンアミドなどがある。
【0017】
好ましい置換ジエンには、未置換及び置換3−アミノ−1,4−ペンタジエン、未置換及び置換3−アミノ−1,5−ヘキサジエン、未置換及び置換3−アミノ−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−アミノ−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−アミノ−1,7−オクタジエン、5−アミノ−1,8−ノナジエン、未置換及び置換3−ヒドロキシ−1,4−ペンタジエン、未置換及び置換3−ヒドロキシ−1,5−ヘキサジエン、未置換及び置換3−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−ヒドロキシ−1,7−オクジエン、5−ヒドロキシ−1,8−ノナジエン、未置換及び置換3−メルカプト−1,4−ペンタジエン、未置換及び置換3−メルカプト−1,5−ヘキサジエン、未置換及び置換3−メルカプト−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−メルカプト−1,6−ヘプタジエン、未置換及び置換4−メルカプト−1,7−オクタジエン並びに未置換及び置換5−メルカプト−1,8−ノナジエンなどがある。
【0018】
本発明で使用する第VIII族遷移金属触媒前駆体は、特に限定されず、ヒドロホルミル化について公知の多種多様な第VIII族遷移金属触媒前駆体を、単独又はそれらの混合物として、これらの方法に使用できる。ヒドロカルボニル化反応触媒又はその前駆体としての第VIII族遷移金属化合物は、例えば、ヒドリド、ハライド、有機塩、無機塩、オキシド、カルボニル化合物、アミン化合物、オレフィン配位化合物、ホスフィン配位化合物又はホスファイト配位化合物等が挙げられる。
第VIII族遷移金属には、ロジウム、白金、ルテニウム、コバルト、イリジウム、オスミウム及びパラジウムなどがあり、中でも、ロジウムが特に好ましい。
【0019】
第VIII族金属化合物としては、例えば、ルテニウム化合物、例えばRu3(CO)12、Ru(NO33、RuCl3(Ph3P)3及びRu(acac)3;パラジウム化合物、例えばPdCl2、Pd(OAc)2、Pd(acac)2、PdCl2(COD)及びPdCl2(Ph3P)2;オスミウム化合物、例えばOs3(CO)12及びOsCl3;イリジウム化合物、例えばIr4(CO)12及びIrSO4;白金化合物、例えばK2PtC4、PtCl2(PhCN)2及びNa2PtCl6・6H2O;コバルト化合物、例えばCoCl2、Co(NO32、Co(OAc)2及びCo2(CO)3;並びにロジウム化合物、例えばRhCl3、Rh(NO33、Rh2(OAc)4、Rh(OAc)3、Rh23、Rh(acac)(CO)2、[Rh(OAc)(COD)]2、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、HRh(CO)(PPh33、Rh(PPh33Cl、[Rh(OAc)(CO)22、[Rh(μ−S(t−Bu)(CO)22、[RhCl(COD)]2、[Rh(CH2=CH22Cl]2、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2、[Rh(CO)2Cl]2、[RhCl(シクロヘキサジエン)]2(式中、acacはアセチルアセトナート基を表し、Acはアセチル基を表し、CODは1,5−シクロオクタジエンを表し、Phはフェニル基を表し、t−Buはt−ブチル基を表す。上述した金属化合物の中でも、ロジウム化合物が特に好ましい。しかしながら、第VIII族遷移金属化合物は、このような特定の具体例には限定されない。
【0020】
本発明の方法において、ホスファイト化合物を使用して、上記したような第VIII族遷移金属化合物と錯体を形成してもよい。ホスファイト化合物を含有する第VIII族遷移金属錯体は、金属化合物とホスファイト化合物から錯体を形成するための通常の方法により容易に調製できる。場合によっては、金属化合物とホスファイト化合物を反応容器に供給して、錯体を反応容器内で形成してもよい。
第VIII族遷移金属化合物の量は、特に限定されないが、触媒活性及び経済的な実現可能性の面での制限がある。通常、第VIII族遷移金属化合物の量は、反応容器中の濃度が、金属換算で1×10-9M〜1×10-3M、好ましくは1×10-8M〜1×10-4Mであるようにして選択される。
【0021】
本発明で使用するホスファイト配位子は、特に限定されない。本発明のホスファイト化合物は、好ましくは下式(I)〜(IV)から選択される。これらの配位子は、一般的に公知であり、及び/又は当業者により常法に準じて調製できる。これらの配位子の一部はヒドロホルミル化反応について開示されたが、超臨界二酸化炭素媒体とともに使用することについては開示されていない。式(I)についてはR.L.Pruett及びJ.A.Smith、J.Org.Chem.,34,327(1969);式(I−1)については米国特許第4,599,206号明細書及び米国特許第4,737,588号明細書;式(II)についてはDE19717359−A1;式(II−1)については米国特許第4,748,261号明細書及び米国特許第4,885,401号明細書;式(II−2)については米国特許第4,668,651号明細書並びにJ.R.Johnson、G.D.Cuny及びS.L.Buchwald,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、34、1760(1995);式(III−1)及び式(IV−1)については、N.Sakai、S.Mano、K.Nozaki及びH.Takaya、J.Am.Chem.Soc.115,7033−7034(1993)を参照されたい。また、米国特許第5,491,266号明細書、米国特許第5,360,938号明細書、米国特許第5,312,996号明細書及び米国特許第5,235,113号明細書も参照されたい。
【0022】
【化2】
Figure 0003893228
【0023】
(式中、各R1、R2又はR3は、同一又は異なって、C1〜C20の直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、オクチル基及びシクロヘキシル基)、C6〜C20のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフタレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基及びベンゾピレニル基)又はC3〜C20の複素芳香族基(例えば、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、インドリル基及びジベンゾピロリル基)を表し、これらの基は一つ以上の置換基を有していてもよい)。
【0024】
置換基としては、C1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基及びノニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びシクロヘキシルオキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基及びナフチルオキシ基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、トリルメチル基、1−フェニルエチル基及びナフチルメチル基)、ニトロ基、シアノ基、エステル基、パーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基及びヘプタデカフルオロオクチル基)、アミド基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基又はハロゲン原子が例示される。
【0025】
式(I)で表されるホスファイトは、例えば、(BuO)3P及び以下に示すものである:
【0026】
【化3】
Figure 0003893228
【0027】
式(I−1)において、Ar1又はAr2は、未置換又は置換のアリーレン基(例えば、1,2−フェニレン基及び1,2−ナフチレン基)を表し、ここでの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、アセチル基、ベンゾイル基、シアノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基及びハロゲン原子が例示され;
Qは、リンカー基としての−CR56基、−O−基、−S−基、−NR7基、−SiR89基又は−CO−基(式中、R5〜R6は、同一又は異なって、水素原子、Cl〜C12アルキル基又はアリール基を表し、nは0又は1を表す)を表す。
【0028】
式(I−1)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下に示すものがある(但し、この式及びこれ以降の式におけるPhは、フェニル基を表す):
【0029】
【化4】
Figure 0003893228
【0030】
【化5】
Figure 0003893228
【0031】
式(II)において、Aは、C2〜C12の直鎖、分岐鎖又は環状アルキレン基、C6〜C10のアリーレン基又はC12〜C20のビスアリーレン基を表し、これらの基は、一つ以上の置換基を有していてもよい。
【0032】
置換基としては、C1〜C20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基及びノニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びシクロヘキシルオキシ基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基及びナフチルオキシ基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、トリルメチル基、1−フェニルエチル基及びナフチルメチル基)、ニトロ基、シアノ基、エステル基、パーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基及びヘプタデカフルオロオクチル基)、アミド基、トリアルキルシリル基及びハロゲン原子が例示される。
【0033】
アルキレン基としては、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2,4−ペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基及び4−メチル−1,3−シクロヘキシレン基が例示される。
アリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、6,8−ジ−t−ブチル−1,4−ナフチレン基及び5,6,7,8−テトラヒドロ−1,4−ナフチレン基が例示される。
【0034】
ビスアリーレン基としては、1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'5,5'−テトラ−t−ブチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'5,5'−テトラ−t−ブチル−6,6'−ジメチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'5,5'−テトラ−t−ペンチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'5,5'−テトラ−t−ヘキシル−1,1'ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエトキシ−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジ−t−ブトキシ−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、3,3'5,5'−テトラ−シクロヘキシル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル基、1,1'−ビナフチル−2,2'ジイル基、3,3',6,6'−テトラ−t−ブチル−1,1'−ビナフチル−2,2'ジイル基、3,3'−ビナフチル−2,2'ジイル基及び1,1',7,7'−テトラ−t−ブチル−3,3'−ビナフチル−2,2'−ジイル基が例示される。
【0035】
式(II)において、R4は、各R1、R2又はR3について上記で定義したものと同じである。式(II)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下のものがある:
【0036】
【化6】
Figure 0003893228
【0037】
【化7】
Figure 0003893228
【0038】
【化8】
Figure 0003893228
【0039】
【化9】
Figure 0003893228
【0040】
【化10】
Figure 0003893228
【0041】
式(II−1)及び式(II−2)において、Ar1、Ar2、Q及びnは、上記で定義した通りである。式(II−1)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下に示すものがある:
【0042】
【化11】
Figure 0003893228
【0043】
【化12】
Figure 0003893228
【0044】
式(II−2)において、各Ar3又はAr4は、各Ar1又はAr2について上記で定義した通りである。Q*及びn*は、それぞれQ及びnについて上記で定義した通りである。
式(II−2)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下に示すものがある:
【0045】
【化13】
Figure 0003893228
【0046】
【化14】
Figure 0003893228
【0047】
【化15】
Figure 0003893228
【0048】
【化16】
Figure 0003893228
【0049】
【化17】
Figure 0003893228
【0050】
式(III)において、A及びR1〜R4は、上記で定義した通りである。
式(III)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0051】
【化18】
Figure 0003893228
【0052】
【化19】
Figure 0003893228
【0053】
【化20】
Figure 0003893228
【0054】
式(III−1)及び(III−2)において、A、Ar1〜Ar4,Q、Q*、n及びn*は、上記で定義した通りである。
式(III−1)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0055】
【化21】
Figure 0003893228
【0056】
式(III−2)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0057】
【化22】
Figure 0003893228
【0058】
式(IV)において、A及びR1〜R4は、上記で定義した通りである。式(IV)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0059】
【化23】
Figure 0003893228
【0060】
【化24】
Figure 0003893228
【0061】
式(IV−1)及び(IV−2)において、A、Ar1〜Ar4,Q、Q*、n及びn*は、上記で定義した通りである。
式(IV−1)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0062】
【化25】
Figure 0003893228
【0063】
式(IV−2)で表されるホスファイトとしては、例えば、以下で示すものがある:
【0064】
【化26】
Figure 0003893228
【0065】
上記ホスファイト配位子は、単独で使用しても、それらの混合物として使用してもよい。
【0066】
本発明のホスファイト化合物の量は、特に限定されず、触媒活性及び生成物の選択率について所望の結果が得られるように設定するのが適当である。通常は、第VIII族遷移金属1モル当たり、0.001〜500モル、好ましくは0.1〜100モルの範囲で選択される。
【0067】
二酸化炭素の超臨界相を維持する広範囲の温度及び圧力を使用できる。scCO2の臨界点は、31℃、72.9気圧であることが知られている。したがって、31℃以上の温度(例えば、31〜150℃)を、これらの方法で使用できる。典型的には、反応は、35〜80℃で好ましく実施される。一酸化炭素の分圧は、1〜100気圧、好ましくは1〜50気圧であることができ、水素の分圧は、1〜100気圧、好ましくは1〜50気圧であることができる。これらの方法では、72.9気圧以上、好ましくは75〜200気圧の範囲の全圧を使用できる。水素の一酸化炭素に対する比(H2/CO)は、1/10〜10/1、好ましくは1/5〜5/1である。
【0068】
典型的には、サファイア窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブ中で、Rh(acac)(CO2)(6.67x10-5M)とホスファイト配位子(1.33x10-4M)を用いて、典型的にはscCO2(85気圧)中CO/H2(1/1)14気圧下、1−アルケン(例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、3−フェニル−1−プロペン及びスチレン)をヒドロホルミル化すると、60〜65℃で円滑に進行して対応の直鎖及び分岐鎖アルデヒドの混合物が得られる(式1)。直鎖及び分岐鎖アルデヒドの比は、使用する1−アルケンの構造だけでなく用いるホスファイト配位子に依存する。酢酸ビニルのヒドロホルミル化は、同様の反応条件下で円滑に進行して、主生成物として分岐鎖アルデヒドが得られる。
【0069】
【化27】
Figure 0003893228
【0070】
不斉ホスファイト配位子を使用すると、1−アルケン(1)の不斉ヒドロホルミル化反応が進行して、対応する光学異性体である分岐鎖アルデヒド(3*)が、少量のアキラル直鎖アルデヒド(2)とともに得られる(式2)。
【0071】
【化28】
Figure 0003893228
【0072】
上記した標準条件下で1−アルキンのヒドロホルミル化をすると、式3で示すように、飽和アルデヒド(2及び3)(主生成物)と不飽和アルデヒド(5及び6)(少量生成物)との混合物が得られる。対応の1−アルケン(1)及び場合によっては異性化分子内アルケンが形成される。しかしながら、反応を長時間すると、飽和直鎖アルデヒド(2)及び分岐鎖アルデヒド(3)だけが形成する。得られた結果から、ヒドロホルミル化後水素添加するか、水素添加後ヒドロホルミル化することにより、飽和アルデヒドを形成できることが明かである。
【0073】
【化29】
Figure 0003893228
【0074】
1,3−ジエンのヒドロホルミル化は、円滑に進行させるには高温が必要である。例えば、超臨界二酸化炭素中、水素圧14気圧(室温での初期圧)、一酸化炭素圧7気圧(室温での初期圧)、120℃、100気圧(全圧)の条件下で、ロジウム−ホスファイト錯体により触媒されたイソプレン(7)のヒドロホルミル化を行うと、高位置選択性で、主生成物としての1,4−共役ヒドロホルミル化生成物(8)が、少量の1,2−ヒドロホルミル化生成物(9)とともに得られる(式4)。
【0075】
【化30】
Figure 0003893228
【0076】
上記した標準条件下で(S)−N−t−Boc−アリルグリシナート(10)をシクロヒドロカルボニル化をすると、単一生成物として(S)−2−メトキシカルボニル−5,6−ジデヒドロピペコラート(11)が定量的に進行した(式5)。このプロセス中、ラセミ化反応は進行しない。反応は、THF、トルエン、エチルアセテート、クロロホルム又はヘキサン中で実施すると、同様の結果が得られた。このように、scCO2を、この反応に従来から使用されている有機溶媒の代わりに使用しても、良好な結果が得られることが明かである。このように得られた5,6−ジデヒドロピペコラート(11)は、医薬品及び農薬用中間体として有用である。
【0077】
【化31】
Figure 0003893228
【0078】
分子内シクロヒドロカルボニル化についての最も可能性の高い機構を、スキーム1に示す。この方法の第一工程では、極めて位置選択的なN−t−Boc−アリルグリシナート(10)のヒドロホルミル化により直鎖アルデヒド(12)を得た後、環化して化合物13を得る。ヘミアミダール(13)は、ヒドロキシル基を除去して反応性アシルイミニウムイオン中間体14を生じ、この二重結合移行により、5,6−デヒドロピペリジン(11)が得られる。
【0079】
【化32】
Figure 0003893228
【0080】
標準条件下での4−(t−Boc−アミノ)−1,6−ヘプタジエン(15)の反応により、定量的収率で1−t−BOC−2−(3−ホルミルプロピル)−5,6−ジデヒドロピペリジン(16)だけが得られた(式6)。したがって、scCO2は、この反応の優れた反応媒体であることが明かである。4−アミノ成分の保護基として、他の一般的な保護基(例えば、p−トルエンスルホニル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、メトキシルカルボニル)を使用できる。化合物16は、種々の窒素複素環並びに医薬及び農薬としてのアルカロイド用中間体として有用である。
【0081】
【化33】
Figure 0003893228
【0082】
化合物16の形成についての最も可能性の高い機構を、スキーム2に示す。第一工程では、二つの二重結合のうちの一つを直鎖選択性ヒドロホルミル化して化合物17を得た後、環化してアルケニル−ヘミアミダール18を得る。残りの二重結合のヒドロホルミル化により、ヘミアミダール−アルデヒド19が得られる。次ぎに、化合物19を、イミニウムイオン中間体20を介して脱水することにより、化合物16が得られる。
【0083】
【化34】
Figure 0003893228
【0084】
同様の方法で、scCO2中、標準条件下で1,6−ヘプタジエン−4−オール(21)を反応させると、ラクトール−アルデヒド(22)が定量収率で得られた(式7)。ラクトール−アルデヒド(22)は、医薬及び農薬の中間体として有用である。
【0085】
【化35】
Figure 0003893228
【0086】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。上記実施例及び方法において、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更がなされることは、理解されるべきである。したがって、本願の実施態様は、説明のためであり、いずれの意味においても限定しないものとして解釈されるべきものと意図される。
【0087】
実施例1〜17
実施例では、ホスファイト配位子のうちのいくつかの名称を、以下のように略称する:BIPHEPHOSはo,o'−[[3,3'−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビスジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[E.Billig、A.G.Abatjoglou、及びD.R.Bryant、米国特許第4,769,498号(1988)];MCP−1は、3,3',5,5'−テトラ−(1,1−ジメチルエチル)−2,2'−ビス[ビス[(2−ナフチルオキシ)ホスフィノ]オキシ]ビフェニルを意味する[H.Urata、H.Itagaki、E.Takahashi、Y.Wada、Y.Tanaka及びY.Ogino、特開平10−45776号公報];MCP−2は、3,3',5,5'−テトラ−(1,1−ジメチルエチル)−6,6'−ジメチル−2,2'−ビス[ビス[(1−ナフチルオキシ)ホスフィノ]オキシ]ビフェニル[H.Urata、H.Itagaki、E.Takahashi、Y.Wada、Y.Tanaka及びY.Ogino、特開平10−45776号公報];BINAPHOSは、4−[[2'−(ジフェニルホスフィノ)[1,1'−ビナフタレン]−2−イル]オキシ]ジナフト[2,1−d:1',2'−f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[N.Sakai、S.Mano、K.Nozaki、H.Takaya、J.Am.Chem.Soc.115,7033−7034(1993)]。
【0088】
1−アルケンのscCO2中でのヒドロホルミル化の一般的手順
Rh(acac)(CO)2(5.2mg、2x10-2mmol)とホスファイト配位子(4x10-2mmol)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、アルケン2.0ミリモルとn−オクタン(内部標準)2.0ミリモルとを添加した。加圧(2〜3気圧)及び開放を2〜3回して、空気をCOで置換した。CO(7気圧)を導入後、H2(7気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(85気圧)を導入した。混合物を、60〜65℃、100気圧の条件下で、一晩攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。反応の転化率及び収率は、アルデヒドの基準試料及び内部標準としてのn−オクタンを用いたGC分析により決定した。また、各反応の生成物を、1H NMR分析により同定した。
【0089】
【表1】
Figure 0003893228
【0090】
実施例18
Rh(acac)(CO)2(10.4mg、4x10-2ミリモル)と(R,S)−BINAPHOS(60mg、8x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、スチレン(2.08g、2.0ミリモル)とn−ウンデカン(156mg、1.0ミリモル)(GC分析用内部標準)とを添加した。加圧(2〜3気圧)及び開放を2〜3回して、空気をCOで置換した。CO(7気圧)を導入後、H2(14気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(78気圧)を導入した。混合物を、65℃、100気圧の条件下で、一晩攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。GC分析から、反応転化率が91%であり、3−フェニルプロパナール:(R)−2−フェニルプロパナール比が1:12.5であることが分かった。このように形成した2−フェニルプロパナールの光学純度を、それを(R)−2−フェニルプロパノールに転化後、CH2Cl2中トリエチルアミンの存在下で(S)−メトキシ(トリフルオロメチル)フェニルアセチルクロリドでエステル化し、得られたキラルエステルを1H NMR分析に付することにより求めたところ、鏡像体過剰率85%であった。
【0091】
実施例19
scCO2中でのフェニルアセチレンのヒドロホルミル化
Rh(acac)(CO)2(10.4mg、4x10-2ミリモル)とMCP−1(83.5mg、8x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、フェニルアセチレン(409mg、4.0ミリモル)を添加した。加圧(2〜3気圧)及び開放を2〜3回して、空気をCOで置換した。CO(7気圧)を導入後、H2(7気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(85気圧)を導入した。混合物を、67℃、100気圧の条件下で、38時間攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。反応混合物をGC分析及び1H NMR分析を行ったところ、完全に転化し、3−フェニルプロパナール(43%)及び2−フェニルプロパナール(57%)が形成したことが分かった。生成物の構造を、GC分析で基準試料との比較と1H NMR分析の両方により同定した。
MCP−2(85.7mg、8x10-2ミリモル)をホスファイト配位子として用い、フェニルアセチレンのヒドロホルミル化を上記と同様の条件下で実施したところ、主生成物としての3−フェニルプロパナール(62%)が、2−フェニルプロパナール(18%)及びスチレン(20%)とともに、転化率80%で形成された。
【0092】
実施例20
Rh(acac)(CO)2(10.4mg、4x10-2ミリモル)とホスファイト配位子MCP−1(8x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、フェニルアセチレン(204mg、2.0ミリモル)及びn−ウンデカン(156mg、1.0ミリモル)(GC分析用内部標準)を添加した。加圧(2〜3気圧)及び開放を2〜3回して、空気をCOで置換した。CO(7気圧)を導入後、H2(14気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(78気圧)を導入した。混合物を、60℃、100気圧の条件下で、20時間攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。反応転化率を、1H NMR分析により推定し、生成物比及び収率を、各アルデヒドの基準試料を用いたGLC分析により求めた。また、生成物を、1H NMR分析により同定した。これらの条件下で、フェニルアセチレンの水素化により形成したスチレンの相当量は、転化率80%で、未反応のままであった(20%)。飽和アルデヒドと不飽和アルデヒドとの混合物が、収率60%で形成した。この混合物は、3−フェニルプロパナール(46%)、2−フェニルプロパナール(48%)、3−フェニルプロペナール(0.4%)及び2−フェニルプロペナール(5.6%)からなっていた。
【0093】
実施例21
scCO2中でのイソプレンのヒドロホルミル化
Rh(acac)(CO)2(20.8mg、0.08ミリモル)とMCP−1(0.12ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた125mLステンレス製オートクレーブに、イソプレン10.0ミリモル(1.0mL、10.0ミリモル)及びn−ヘプタン(0.73mL、5.0ミリモル)(GC分析用内部標準)を添加した。加圧(2〜3気圧)及び開放を2〜3回して、空気をCOで置換した。CO(7気圧)を導入後、H2(14気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(78気圧)を導入した。混合物を、120℃、100気圧の条件下で、48時間攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。GC及びNMR分析から、イソプレンが完全に転化し、3−メチルペンタ−3−エン−1−アール(90%)及び4−メチルペンタ−4−エン−1−アール(10%)が形成したことが分かった。
【0094】
実施例22
scCO2中でのメチルN−(t−ブトキシカルボニル)アリルグリシナートのヒドロシクロカルボニル化
Rh(acac)(CO)2(1.5mg、6x10-3ミリモル)とジホスファイト配位子、BIPHEPHOS又はMCP−1(1.2x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、メチルN−(t−ブトキシカルボニル)アリルグリシナート(138mg、0.6ミリモル)を添加した。空気をCOで置換し、CO(7気圧)を導入後、H2(7気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(85気圧)を導入した。混合物を、65℃、100気圧の条件下で、24時間攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。次ぎに、反応混合物を、真空濃縮した。残留物を、溶離剤としてヘキサン/AcOEtを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して、ほぼ定量的な収率でメチル1−(t−ブトキシカルボニル)−5,6−デヒドロピペコラートを得た:無色油状物;[α]D20−20.22(c1.83,CHCl3);1H NMR(CDCl3)(2種の回転異性体)δ[1.43(s),1.48(s)](9H)、1.85−1.97(m,3H)、2.28−2.34(m,1H)、[3.70(s),3.71(s)](3H)、[4.72(br s),4.76−4.80(m),4.89(br s)](2H)、[6.77(d,J=8.6Hz]、6.89(d,J−8.3Hz)](1H);13C NMR(CDCl3)δ[18.26,18.51]、[23.44,23.60]、[28.12,28.20]、[52.19,52.28]、[53.07,54.31]、[81.11,81.30]、[104.14,104.57]、[124.37,124.85]、[152.21,152.37]、[171.52,171.95];IR(neat,cm-1)2977、2846、1753、1712、1655、1371、1313、1168。HRMS C1219NO4についての計算値:241.1314。実測値:241.1311。
【0095】
実施例23
4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1,6−ヘプタジエンの調製
1,6−ヘプタジエン−4−オール(6.00g、53.5ミリモル)をCH2Cl2(60mL)及びピリジン(9.5mL、0.12mol)に溶解して調製した溶液に、メタンスルホニルクロリド(6.2mL,80ミリモル)をCH2Cl2(60mL)に溶解して調製した溶液を、N2下0℃で添加した。添加完了後、反応混合物を、徐々に室温まで温め、20時間攪拌した。次ぎに、水を添加し、得られた2相を分離した。水相をエーテルで抽出した。有機抽出物を、合わせ、水、2規定HCl、水、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ロータリエバポレータで濃縮した。残留淡黄色油状物を、溶離剤としてペンタン/Et2O(3/2)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、1,6−ヘプタジエン−4−オール(10.1g、100%)のメシラートを無色油状物として得た。
【0096】
このメシラート(10.5g、55ミリモル)をDMF(100mL)に溶解して調製した溶液にアジ化ナトリウム(17.5g、0.27モル)を添加し、反応混合物を、65〜75℃で3時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、エーテル(100mL)を添加した。エーテル溶液を、水で5回洗浄してDMFを除去した。有機相を、分離し、MgSO4で乾燥した。溶媒をロータリエバポレータで除去することにより、4−アジド−1,6−ヘプタジエンを黄色油状物(7.4g、98%)として得た:1H NMR(CDCl3)δ2.27−2.34(m、4H)、3.43(dddd,J=13.2,7.05,7.05,5.7Hz,1H)、5.11−5.19(m,4H)、5.82(ddt,J=17.1,10.2,7.2Hz,2H)。
【0097】
このようにして得られた4−アジド−1,6−ヘプタジエン(3.28g、23.9ミリモル)をTHF(50mL)に溶解して得た溶液に、窒素下、室温で、トリフェニルホスフィン(7.97g、30.4ミリモル)を少しずつ添加した。反応混合物を、室温で2時間攪拌した。水(4.5mL)を添加し、混合物を6時間加熱還流した。反応混合物を、室温まで徐々に冷却し、濃縮した。エチルアセテート(50mL)を添加後、NaHCO3(45mL)及びジ(t−ブチル)ジカーボネート(7.8g、36ミリモル)の飽和水溶液を添加した。反応混合物を、室温で14時間攪拌した。得られた2相を分離し、有機相を、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空濃縮して、油状残留物を得た。この残留物を、ヘキサン/AcOEt(10/1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1,6−ヘプタジエン(3.24g、64%)を淡黄色油状物として得た:1H NMR(CDCl3)δ1.34(s、9H)、2.03−2.22(m,4H)、3.62(brs,1H)、4.43(br s,1H)、4.98(d,J=11.6Hz,2H)、4.99(d,J=15.4Hz,2H)、5.60−5.77(m,2H);13C NMR(CDCl3)δ27.30、27.97、38.65、49.49、117.55、134.37;IR(neat,cm-1)3300、2979、2933.56、1811.05、1701.12、1516.92、1369.38、1213.15、1173.62、1072.36。HRMS(CI)C1221NO2([MH+])についての計算値:212.1650。実測値:212.1648。
【0098】
実施例24
scCO2中での4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1,6−ヘプタジエンのヒドロシクロカルボニル化
Rh(acac)(CO)2(1.5mg、6x10-3ミリモル)とジホスファイト配位子、BIPHEPHOS、MCP−1又はMCP−2(1.2x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1,6−ヘプタジエン(127mg、0.6ミリモル)を添加した。空気をCOで置換し、CO(7気圧)を導入後、H2(7気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(85気圧)を導入した。混合物を、65℃、100気圧の条件下で、一晩攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。次ぎに、反応混合物を、真空濃縮した。残留物を、溶離剤としてヘキサン/AcOEtを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して、ほぼ定量的な収率で1−t−ブトキシカルボニル−2−(3−ホルミルプロピル)−5,6−ジデヒドロピペリジンを得た:無色油状物;1H NMR(CDCl3)(二種の回転異性体)δ1.39−1.77(m,17H)、1.89−2.06(m,2H)、2.47(br s,2H)、[4.15(br s)、4.29(br s)](1H)、[4.77(br s),4.86(br s)](1H)、[6.64(br d,J=7.8Hz)、6.78(br s)]、(1H)、9.76(s,1H);13C NMR(CDCl3)δ17.51、29.97−30.52、43.67、[48.91,50.29]、80.49、[104.73,105.20]、[124.06,124.08]、202.51;IR(neat,cm-1]2931、1723、1697、1651、1409、1361、1171、1116。HRMS(CI)C1423NO4([MH+])についての計算値:254.1756。実測値:254.1760。
【0099】
実施例25
scCO2中での1,6−ヘプタジエン−4−オールのヒドロシクロカルボニル化
Rh(acac)(CO)2(1.5mg、6x10-3ミリモル)とジホスファイト配位子、BIPHEPHOS又はMCP−1(1.2x10-2ミリモル)とを入れた、サファイア製窓を2つ備えた300mLステンレス製オートクレーブに、1,6−ヘプタジエン−4−オール(112mg、1.0ミリモル)を添加した。空気をCOで置換し、CO(7気圧)を導入後、H2 (7気圧)を導入した。反応容器を−60℃に冷却し、CO2(85気圧)を導入した。混合物を、65℃、100気圧の条件下で、一晩攪拌した。オートクレーブを0℃に冷却し、全てのガスを慎重に放出した。次ぎに、反応混合物を、真空濃縮した。残留物を、溶離剤としてヘキサン/AcOEtを用いてシリカゲルクロマトグラフィーに付して、ほぼ定量的な収率で6−(3−ホルミルプロピル)−2−ヒドロキシテトラヒドロピランを得た:1H NMR(CDCl3)(2種のジアステレオマー)δ1.14−2.02(m,10H)、2.43(t,J=6.8Hz,2H)、3.16(br s,1H)、[3.36−3.44(m),3.88−3.96(m)](1H)、[4.66(d,J=9.1Hz),5.26(br s)](1H)、9.74(s,1H);13C NMR(CDCl3)δ[17.50,18.04]、21.95、[30.26,30.99]、[32.55,32.03]、[35.01,35.18]、[43.13,43.52]、[72.96,75.64]、[91.36,96.21]、[201.90,202.74];IR(neat、cm-1)3420、2942、2867、2723、1724、1458、1440、1412、1390、1352、1184、1116、1066、1035、977。
【0100】
25mL丸底フラスコに、6−(3−ホルミルプロピル)−2−ヒドロキシテトラヒドロピラン(153mg、0.89ミリモル)、DMAP(5mg)及びEt3N(0.4mL)をCH2Cl2(10mL)に溶解して調製した溶液を入れた。この溶液を0℃に冷却し、t−ブチルジメチルシリルクロリド(205mg、1.34ミリモル)をCH2Cl2(3mL)に溶解して調製した溶液を滴下した。反応混合物を、室温で一晩暖めた後、溶媒を減圧下で除去した。エーテルを添加し、有機層を飽和NH4Clで二回洗浄した後塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、それから真空濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、6−(3−ホルミルプロピル)−2−(t−ブチルジメチルシロキシ)テトラヒドロピランを透明黄色油状物(206mg、収率90%)として得た:1H NMR(CDCl3)δ0.09(s,3H)、0.10(s,3H)、0.89(s,9H)、1.19−1.73(m,10H)、2.43(m,2H),3.34(t,1H,J=5.7Hz)、4.63(d,1H,J=9Hz)、9.74(s,1H);13C NMR(CDCl3)δ−4.0、18.14、18.41、22.21、25.81、30.61、33.83、35.25、43.70、75.70、97.26、202.63。HRMS[Cl(CH4)]C15293Si(M−H)+についての計算値:285.1886。実測値:285.1890(△−1.4ppm)。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば、従来技術とは異種及び/又は従来技術よりも向上したscCO2中での第VIII族遷移金属錯体触媒による官能化及び非官能化アルケン、アルカジエン及びアルキンのヒドロホルミル化及びシクロヒドロカルボニル化を含むカルボニル化反応法、従来技術よりも低圧で実施できる方法、さらには、超臨界二酸化炭素に対する触媒の溶解度を十分なものとするためにパーフルオロアルキル基を導入する等の特別な変性を必要としない配位子を用いる方法が提供される。

Claims (21)

  1. 少なくとも一つの炭素−炭素二重結合又は少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含有する少なくとも一種の化合物と、水素と、一酸化炭素とを、超臨界二酸化炭素中、ロジウム金属触媒前駆体とホスファイト配位子との存在下、ヒドロカルボニル化反応に付する工程を含んでなることを特徴とするヒドロカルボニル化方法。
  2. 前記ロジウム金属触媒前駆体が、ロジウム金属のヒドリド、ハライド、有機塩、無機塩、オキシド、カルボニル化合物、アミン化合物、オレフィン配位化合物、又はホスフィン配位化合物である請求項1に記載の方法。
  3. 前記ホスファイト配位子が、下式(I)〜(IV)からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法:
    Figure 0003893228
    (式中、R1、R2、R3又はR4は、同一又は異なって、C1〜C20直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基、C6〜C20アリール基又はC3〜C20複素芳香族基を表し、前記アルキル基、アリール基又は複素芳香族基は未置換体であるか、C1〜C20直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、パーフルオロアルキル基、アミド基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選択される一つ以上の基により置換されており;各Ar1、Ar2、Ar3又はAr4は、同一又は異なって、未置換又は置換アリーレン基を表し;各Q又はQ*は、同一又は異なって、リンカー基としての−CR56基、−O−基、−S−基、−NR7基、−SiR89基又は−CO−基(式中、各R5〜R9は、同一又は異なって、水素原子、C1〜C12アルキル基又はアリール基を表す)を表し;各n又はn*は、各々、0又は1を表し;Aは、C2〜C12直鎖、分岐鎖又は環状アルキレン基、C6〜C10アリーレン基又はC12〜C20ビスアリーレン基を表し、前記アルキレン基、アリーレン基又はビスアリーレン基が未置換体であるか、C1〜C20直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、パーフルオロアルキル基、アミド基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基及びハロゲン元素からなる群から選択される一つ以上の基で置換されている)。
  4. 前記化合物が、炭素数2〜20の直鎖又は分岐鎖1−アルケン、炭素数4〜20の直鎖又は分岐鎖分子内アルケン、炭素数3〜20のシクロアルケン、炭素数8〜30の未置換及び置換アルケニルアレーン、炭素数5から30の未置換及び置換アルケニル複素芳香族化合物、炭素数5〜30の未置換及び置換アルケニルシクロアルカン、1つ以上の窒素原子を含む炭素数4〜30の未置換及び置換アルケニル環状化合物、1つ以上の酸素原子を含む炭素数4〜30の未置換及び置換アルケニル環状化合物、1つ以上のイオウ原子を含む炭素数4〜30の未置換及び置換アルケニル環状化合物並びに1つ以上のリン原子を含む炭素数4〜30の未置換及び置換アルケニル環状化合物からなる群から選択されるアルケンである請求項1〜3のいづれか1項に記載の方法。
  5. 前記ホスファイト配位子が、3,3',5,5'−テトラ−(1,1−ジメチルエチル)−2,2'-ビス[ビス[(2-ナフチルオキシ)ホスフィノ]オキシ]ビフェニル(MCP−1)、3,3',5,5'−テトラ−(1,1−ジメチルエチル)−6,6'−ジメチル−2,2'−ビス [ビス[(1-ナフチルオキシ)ホスフィノ]オキシ]ビフェニル(MCP−2)、O,O'−[[3,3'−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビスジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(BIPHEPHOS)及び4−[[2'−(ジフェニルフォスフィノ)[1,1'−ビナフタレン]−2−イル]オキシ]ジナフト[2,1−d:1',2'−f[1,3,2]ジオキサホスフェピン(BINAPHOS)からなる群から選択される請求項3に記載の方法。
  6. 前記反応温度が、1〜150℃である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記反応を、5〜200気圧の範囲の全圧で実施する請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記触媒前駆体の濃度が、金属換算で1×10-9M〜1×10-3Mの範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記触媒前駆体の濃度が、ロジウム金属換算で1×10-9M〜1×10-3Mの範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. 一酸化炭素分圧が〜100気圧であり、水素分圧が〜100気圧である請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. 水素:一酸化炭素比が、:10〜10:1である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記ホスファイト配位子が、式(I)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記ホスファイト配位子が、式(I−1)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記ホスファイト配位子が、式(II)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記ホスファイト配位子が、式(II−1)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ホスファイト配位子が、式(II−2)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記ホスファイト配位子が、式(III)で表される請求項3〜1 1のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ホスファイト配位子が、式(III−1)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記ホスファイト配位子が、式(III−2)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記ホスファイト配位子が、式(IV−1)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記ホスファイト配位子が、式(IV−2)で表される請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
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