JP3893166B2 - ベンゾフラン誘導体およびそれを含んでなる医薬組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血糖および血中脂質低下作用を有する新規ベンゾフラン誘導体およびそれを含んでなる糖尿病治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の治療剤としては、従来から種々のビグアナイド系化合物およびスルホニルウレア系化合物が用いられてきた。しかし、ビグアナイド系化合物は乳酸アシドーシスを引き起こすため、現在ほとんど用いられておらず、またスルホニルウレア系化合物は強力な血糖低下作用を有するが、しばしば重篤な低血糖を引き起こし、使用上の注意が必要である。また、このような欠点のない血糖および脂質低下作用を有するテトラゾール、2,4−オキサゾリジンジオンおよび2,4−チアゾリジンジオン誘導体が知られている。
テトラゾール誘導体は、例えば、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、35巻、944頁(1992年)、米国特許第4,845,213号(1989)、EP604,983−A1(1993)などに、2,4−オキサゾリジンジオン誘導体は、例えば、特開平3−170478号、WO9202520−A1などに、2,4−チアゾリジンジオン誘導体は、特開昭61−85372号、特開昭64−13088号、特開平1−272573号、特開平1−272574号、特開平2−167225号、特開平3−90078号、特開平5−157522号、特開平6−80667号、特開平5−213913号、特開平6−9629号、WO9422857、EP604,983−A1、特開平3−2173号、特開平4−66579号、特開平4−69383号などに記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、テトラゾール、2,4−オキサゾリジンジオンあるいは2,4−チアゾリジンジオンなど各種5員複素環誘導体について種々検討を加えた結果、各々、5位置換基上にベンゾフラン環を有する新規誘導体が血糖および脂質低下作用を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式
【化9】
[式中、
【化10】
はカチオンを放出しうる基(ただし、
【化11】
は単結合または二重結合を示す。)を、R1は炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基を、R2は水素、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭化水素残基、保護されていてよい水酸基または保護されていてよいアミノ基を、Yは炭素数1〜8の2価または3価の脂肪族炭化水素残基をそれぞれ示し、ベンゼン環はさらに置換されていてもよい。]で表される化合物またはその塩、および、
一般式(I)で表される化合物(ベンゾフラン誘導体)またはその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有してなる医薬組成物を提供するものである。
【0005】
上記一般式(I)中、部分構造式
【化12】
で示されるカチオンを放出しうる基は、化学的に(例えば、酸化、還元あるいは加水分解などの化学反応など)または生物学的に、すなわち生理的条件下(例えば、生体内酵素による酸化、還元あるいは加水分解などの生体内反応など)で、カチオンを放出しうる基またはそれに変じ得る基であってもよい。
カチオンを放出しうる基としては、例えば
(1)カチオンを放出しうる5員の複素環基、
(2)シアノ基、
(3)カルボキシル基、
(4)C2-7アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エトキシカルボニル等)、
(5)C7-11アリールオキシカルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル,ナフチルオキシカルボニル等)、
(6)炭素原子以外に例えば窒素原子,硫黄原子,酸素原子等のヘテロ原子を1ないし4個含む5または6員複素環−オキシカルボニル基(例、ピリジルオキシカルボニル,チエニルオキシカルボニル等)、
(7)スルホン酸基、
(8)C1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなど)でモノ置換されていてもよいスルファモイル基、
(9)ホスホン酸基、
(10)ジ−C1-4アルコキシホスホリル基(例、ジメトキシホスホリル,ジエトキシホスホリル,ジプロポキシホスホリル等)、
(11)C1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなど)でモノ置換されていてもよいカルバモイル基、
(12)C2-7アルキルスルホニルチオカルバモイル基(例、メチルスルホニルチオカルバモイル,エチルスルホニルチオカルバモイル等)および
(13)トリフルオロメタンスルホン酸アミド基(−NHSO2CF3)等が挙げられる。
【0006】
上記カチオンを放出しうる5員の複素環基としては、N、O、Sから選ばれた1ないし4個を環構成原子とする5員の複素環基、例えば、
【化13】
などが挙げられる。
【0007】
カチオンを放出しうる基は、好ましくは、カチオンを放出しうる5員の複素環基である。なかでも、式
【化14】
で表される基がさらに好ましい。
カチオンを放出しうる基は、特に好ましくは、式
【化15】
で表される基である。
【0008】
R1で示される、炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基は、直接−O−に結合しているものでもよく、炭素鎖を介して−O−に結合しているものでもよいが、炭素鎖を介して結合しているものが好ましい。炭素鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。炭素鎖は、好ましくは炭素数1〜8の2価の炭化水素基であり、炭素数1〜4のものがさらに好ましい。
複素環残基としては、環構成原子として少なくとも1個の窒素原子を含む5または6員環または縮合環が挙げられる。該複素環残基は、不飽和結合を有する芳香環であるものが好ましく、環構成原子として2個以上の窒素原子を有していてもよく、また、窒素原子の他に酸素原子,イオウ原子などの異項原子を有していてもよい。
該複素環残基の具体例としては、例えば、ピロリル(2−ピロリル)、ピラゾリル(3−ピラゾリル)、イミダゾリル(2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、テトラゾリル、オキサゾリル(2−オキサゾリル、4−オキサゾリル)、チアゾリル(2−チアゾリル、4−チアゾリル)などが挙げられる。これらの複素環残基は、環の任意の位置に1個以上の置換基を有していてもよく、該置換基としては炭化水素残基、複素環基またはアミノ基が挙げられ、これらはさらに置換基を有していてもよい。
【0009】
該炭化水素残基としては、脂肪族炭化水素残基、脂環族炭化水素残基、脂環族−脂肪族炭化水素残基、芳香脂肪族炭化水素残基、芳香族炭化水素残基が挙げられる。
脂肪族炭化水素残基としては、例えば炭素数1〜8の脂肪族炭化水素残基が挙げられる。このような脂肪族炭化水素残基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチルなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族炭化水素残基(例、アルキル基)、好ましくは炭素数1〜4のもの、および、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2ーペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2,4−ヘキサジエニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、2,4−ヘキサジイニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニルなど炭素数2〜8の不飽和脂肪族炭化水素残基(例、アルケニル基、アルカジエニル基、アルキニル基、アルカジイニル基)、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。
【0010】
脂環族炭化水素残基としては、例えば炭素数3〜7の脂環族炭化水素残基が挙げられる。このような脂環族炭化水素残基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど炭素数3〜7の飽和脂環族炭化水素残基(例、シクロアルキル基)、好ましくは炭素数5または6のもの、および 1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、1−シクロヘプテニル、2−シクロヘプテニル、3−シクロヘプテニル、2,4−シクロヘプタジエニルなどの炭素数5〜7の不飽和脂環族炭化水素残基(例、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基)、好ましくは炭素数5または6のものが挙げられる。
脂環族−脂肪族炭化水素残基としては、上記脂環族炭化水素残基と脂肪族炭化水素残基とが結合したもののうち、炭素数4〜9のものが挙げられる。このような脂環族−脂肪族炭化水素残基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンテニルメチル、3−シクロペンテニルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキセニルメチル、3−シクロヘキセニルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチルなどが挙げられる。
芳香脂肪族炭化水素残基としては、例えば炭素数7〜13の芳香脂肪族炭化水素残基が挙げられる。このような芳香脂肪族炭化水素残基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、1−フェニルプロピルなど炭素数7〜9のフェニルアルキル、α−ナフチルメチル、α−ナフチルエチル、β−ナフチルメチル、β−ナフチルエチルなど炭素数11〜13のナフチルアルキルが挙げられる。
芳香族炭化水素残基としては、例えば、炭素数6〜14の芳香族炭化水素残基が挙げられる。このような芳香族炭化水素残基としては、例えば、フェニル、ナフチル(α−ナフチル、β−ナフチル)などが挙げられる。
【0011】
該複素環基は、環構成原子として炭素以外にN、OおよびSから選ばれた1ないし3個の原子を含む5または6員環であって、炭素を介して結合する基であり、その具体例としては、例えば、チエニル(2−チエニル、3−チエニル)、フリル(2−フリル、3−フリル)、ピリジル(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、チアゾリル(2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、オキサゾリル(2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イミダゾリル(2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピリミジニル(2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニルなどの不飽和のもの、ピペリジニル(2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、ピロリジニル(2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、モルホリニル(2−モルホリニル、3−モルホリニル)、テトラヒドロフリル(2−テトラヒドロフリル、3−テトラヒドロフリル)などの飽和のものが挙げられる。
【0012】
該アミノ基は置換されていてもよく、置換されたアミノ基としては、N−モノ置換アミノ基およびN,N−ジ置換アミノ基が挙げられる。
「N−モノ置換アミノ基」とは、置換基1個を有するアミノ基を意味し、該置換基の例としては、例えば、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなど炭素数1〜4のもの)、シクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシルなど炭素数3〜7のもの)、アリール基(例、フェニル、ナフチルなど炭素数6〜14のもの)、芳香族複素環基(例、ピリジル、チエニル、フリル、オキサゾリル、チアゾリルなど)、非芳香族複素環基(例、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルなど)、アラルキル基(例、ベンジル、フェネチルなど炭素数7〜13のもの)、アシル基(例、アセチル、プロピオニル等のアルカノイル基などの炭素数1〜6のもの)、カルバモイル基、N−モノ置換カルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイルなど)、N,N−ジ置換カルバモイル基(例、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイルなど)、低級アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニルなど炭素数2〜5のもの)、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど炭素数1〜4のもの)、アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシなど炭素数7〜13のもの)などが挙げられる。
【0013】
「N,N−ジ置換アミノ基」とは、置換基2個を有するアミノ基を意味し、該置換基の一方の例としては、上記「N−モノ置換アミノ基」における置換基と同様のものが挙げられ、他方の例としては、例えば、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなど炭素数1〜4のもの)、シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど炭素数3〜7のもの)、アリール基(例、フェニル、ナフチルなど炭素数6〜14のもの)、アラルキル基(例、ベンジル、フェネチルなど炭素数7〜13のもの)などが挙げられる。また、2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成する場合もあり、この様な環状アミノ基の例としては、例えば、1−アゼチジニル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノおよび4位に低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピルなど炭素数1〜4のもの)、アラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルなど炭素数7〜13のもの)、アリール基(例、フェニル、4−メチルフェニル、ナフチルなど炭素数6〜14のもの)などを有するピペラジノなどが挙げられる。
【0014】
上記R1で示される、炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基上の置換基としての炭化水素残基、複素環基は、その任意の位置に置換基を有していてもよい。
すなわち、該炭化水素残基が脂環族基を含む場合(すなわち、炭化水素残基が脂肪族炭化水素残基、脂環族−脂肪族炭化水素残基または芳香脂肪族炭化水素残基である場合)または該複素環基が飽和のものである場合、その環上(N原子を含む)には炭素数1〜3の低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)を1〜3個有していてもよい。
また、該炭化水素残基が芳香族炭化水素残基を含む場合(すなわち、炭化水素残基が芳香脂肪族炭化水素残基または芳香族炭化水素残基である場合)または複素環基が不飽和のものである場合、その環上には同一または異なって1〜4個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えばハロゲン(例、フッ素、塩素、ヨウ素等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなど炭素数1〜4のもの)、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど炭素数1〜4のもの)、低級アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなど炭素数2〜4のもの)、低級アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなど炭素数1〜3のもの)、低級アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノなど炭素数1〜4のもの)などが挙げられる。
【0015】
R1で示される、炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基が、その置換基として2個以上の炭化水素残基を有し、かつこれらの炭化水素残基が互いに複素環上の隣接する位置に置換しているとき、これらは互いに結合して縮合環を形成していてもよい。この場合、該2個の炭化水素残基が互いに連結して炭素数3〜5の飽和または不飽和の2価の鎖状炭化水素残基を形成していることを意味する。該鎖状炭化水素残基の具体例としては、例えば −CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −、−CH=CHCH2 −、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−CH2 −、−CH=CH−CH2 CH2 CH2 −などが挙げられる。
【0016】
R1で示される、炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基における複素環残基は、好ましくは一般式
【化16】
〔式中、B1はイオウ原子、酸素原子またはNR4〔ただし、R4は水素原子、低級アルキル基またはアラルキル基を示す。〕で示される基を、B2は窒素原子またはC−R5(R5は水素原子またはそれぞれ置換されていてもよい炭化水素残基または複素環基を示す。)を、R3は水素原子またはそれぞれ置換されていてもよい炭化水素残基もしくは複素環基を示し、R3とR5が隣接する炭素原子にそれぞれ結合しているとき、R3とR5は互いに結合して縮合環を形成していてもよい。〕で表されるものである。
【0017】
ここにおいて、R4で示される低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチルなどの炭素数1〜3のものが挙げられる。また、R4で示されるアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチルなどの炭素数7〜13のものが挙げられる。
R3およびR5で示される置換されていてもよい炭化水素残基または複素環基において、炭化水素残基、複素環基およびこれらの置換基としては、R1における複素環残基の置換基として上記した炭化水素残基、複素環基およびそれらの置換基と同様のものが挙げられる。
R3とR5が結合して縮合環を形成するとき、R1における複素環基がその置換基として2個の炭化水素残基を互いに隣り合った位置に有するときに形成する縮合環として上記したものと同様のものが挙げられる。
この複素環残基は、環上の可能な原子を介して結合するが、窒素原子に隣接する炭素原子を介して結合する基であるのが望ましい。例えば、B1がNR4でB2がC−R5である場合はB2を介して結合する基も好ましい例である。
【0018】
上記式で示される複素環基の中でも特に一般式
【化17】
〔式中、R5は上記と同意義であり、R6、R7およびR8は同一または異なって水素またはそれぞれ置換されていてもよい炭化水素残基あるいは複素環基を示し、R7とR8が結合して縮合環を形成していてもよい。Bは酸素原子またはイオウ原子を示す。〕で示されるチアゾリルまたはオキサゾリルが好ましい。
【0019】
R6、R7、R8で示される置換されていてもよい炭化水素残基または複素環基において、炭化水素残基、複素環基およびこれらの置換基としては、R1における複素環残基の置換基として上記した炭化水素残基、複素環基およびそれらの置換基と同様のものが挙げられる。R7およびR8は縮合環を形成していてもよく、該縮合環としては、R1における複素環残基がその置換基として2個の炭化水素残基を互いに隣り合った位置に有するときに形成する縮合環として上記したものと同様のものが挙げられる。
【0020】
一般式(I)中、R2は、水素、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭化水素残基、保護されていてもよい水酸基または保護されていてもよいアミノ基を示す。
ここにおいて、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素またはヨウ素等が挙げられる。
置換されていてもよい炭化水素残基における炭化水素残基およびその置換基としては、R1における複素環残基の置換基として上記した炭化水素残基およびその置換基と同様のものが挙げられる。
保護されていてもよい水酸基における保護基としては、例えば、
(1)炭素数1ないし6のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル等)、
(2)炭素数6ないし14のアリール基(例、フェニル,ナフチル等)、
(3)炭素数7ないし13のアラルキル基(例、ベンジル,フェネチル,ナフチルメチル等)、
(4)ホルミル、
(5)炭素数2ないし7のアルキルカルボニル基(例、アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル等)、
(6)炭素数7ないし11のアリールオキシカルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル,ナフチルオキシカルボニル等)、
(7)炭素数7ないし11のアリールカルボニル基(例、ベンゾイル,ナフトイル等)、
(8)炭素数8ないし14のアラルキルカルボニル基(例、ベンジルカルボニル,フェネチルカルボニル等)、
(9)ピラニルまたはフラニル、および
(10)トリ−C1-4アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)等が挙げられる。
これらの保護基は、置換可能な位置に、例えばハロゲン原子(例、塩素,臭素,フッ素等)、炭素数1ないし6のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル等)、炭素数6ないし14のアリール(例、フェニル,ナフチル等)、炭素数7ないし13のアラルキル(例、ベンジル,フェネチル,ナフチルメチル等)およびニトロ基から選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい。
【0021】
保護されていてもよいアミノ基における保護基としては、例えば
(1)ホルミル、
(2)炭素数2ないし7のアルキルカルボニル基(例、アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル等)、
(3)炭素数7ないし11のアリールカルボニル基(例、ベンゾイル,ナフトイル等)、
(4)炭素数2ないし7のアルキルオキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル,エトキシカルボニル等)、
(5)炭素数7ないし11のアリールオキシカルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル,ナフチルオキシカルボニル等)、
(6)炭素数8ないし14のアラルキルカルボニル基(例、ベンジルカルボニル,フェネチルカルボニル等)、
(7)トリチル基、および
(8)フタロイル基等が挙げられる。
これらの保護基は、置換可能な位置に、例えばハロゲン原子(例、塩素,臭素,フッ素等)、炭素数2ないし7のアルキルカルボニル基(例、アセチル,プロピオニル,ブチリル,バレリル等)およびニトロ基から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよい。
一般式(I)中、R2は、特に好ましくは水素である。
【0022】
Yで示される炭素数1〜8の2価または3価の脂肪族炭化水素残基としては直鎖状、分枝状のいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれでもよいが、炭素数1〜7のものが好ましい。2価の脂肪族炭化水素残基の具体例としては、例えば、−CH2−、−CH(CH3)−、−(CH2)2−、−CH(C2H5)−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)7−などの飽和のもの、例えば、−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=CH−CH2−、−C(C2H5)=CH−、−CH2−CH=CH−CH2−、−CH2−CH2−CH=CH−CH2−、−CH=CH−CH=CH−CH2−、−CH=CH−CH=CH−CH=CH−CH2−などの不飽和のものでもよい。3価の脂肪族炭化水素残基の具体例としては、例えば、−CH=、−C(CH3)=、−CH2CH=、−C(C2H5)=、−(CH2)2−CH=、−(CH2)3−CH=、−(CH2)4CH=、−(CH2)5−CH=、−(CH2)6−CH=などの飽和のもの、例えば、−CH=CH−CH=、−CH(C2H5)−CH=、−CH2−CH=CH−CH=、−CH2−CH2−CH=CH−CH=、−CH=CH−CH=CH−CH=、−CH=CH−CH=CH−CH=CH−CH=などの不飽和のものでもよい。なかでも、炭素数2〜5の飽和のものがより好ましく、−CH2CH2CH2−が最も好ましい。
【0023】
一般式(I)中、ベンゾフラン環におけるベンゼン環は、1ないし3個の置換基により置換されていてもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン(例、フッ素、塩素、ヨウ素等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなど炭素数1〜4のもの)、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど炭素数1〜4のもの)、低級アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなど炭素数2〜4のもの)、低級アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなど炭素数1〜3のもの)、低級アルキルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノなど炭素数1〜4のもの)などが挙げられる。
ベンゾフラン環におけるベンゼン環は、無置換であることが好ましい。
【0024】
一般式(I)中、YおよびR2はベンゾフラン環の2または3位に、R1−Oはベンゾフラン環の4,5,6または7位にそれぞれ結合することを示す。
R1−Oはベンゾフラン環の6位に結合することが好ましく、Yはベンゾフラン環の2位に結合することが好ましい。
【0025】
一般式(I)で表される化合物の好ましい例としては、例えばR1がメチレン基を介して結合し、フェニルまたは/およびメチルで置換されていてもよいオキサゾール基を、部分構造式
【化18】
R2が水素を、Yが炭素数1〜4の2価または3価の脂肪族炭化水素残基を示し、R1−Oがベンゾフラン環の6位に、Yがベンゾフラン環の2位にそれぞれ結合する化合物が挙げられる。
【0026】
一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、
5−[2−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]エチル]−1H−テトラゾール、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾール、
5−[4−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]ブチル]−1H−テトラゾール、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチリデン]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−オキサゾリジンジオン、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−オキサゾリジンジオンまたは
5−[3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾール等が挙げられ、なかでも、5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾールが特に好ましい。
【0027】
本発明の一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という)の塩としては薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。これらの塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩が最も好ましい。
【0028】
本発明の化合物(I)またはその薬理学的に許容しうる塩は、毒性が低く血糖および血中脂質低下作用およびインスリン感受性増強作用を有し、そのまま、または自体公知の薬理学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合して、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して、糖尿病治療剤、インスリン感受性増強剤、高脂血症治療剤または血圧降下剤として用いることができる。
本発明の化合物(I)は低毒性で、例えば、実施例7の化合物を1日当たり15mg/kgの割合で4日間マウスに経口投与した場合、体重および肝臓重量には、コントロールに対し何等変化は認められなかった。
投与方法は通常、例えば、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤などとして経口的に用いられるが、場合によっては注射剤、坐剤、ペレットなどとして非経口的に投与できる。投与量は成人に経口投与する場合1日0.05〜10mg/kgであり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
本発明の化合物(I)は、薬学的に許容しうる担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;またはシロップ剤、注射剤などの液状製剤として経口または非経口的に投与することができる。
【0029】
薬学的に許容しうる担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。溶剤の好適な例としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
【0030】
溶解補助剤の好適な例としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えば、ベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0031】
以下、本発明の化合物(I)の製造法について説明する。化合物(I)は、自体公知の方法、例えば以下に示す方法あるいはこれに準ずる方法により製造することができる。
(1)カチオンを放出しうる基がテトラゾールである化合物(I−A)の合成法
【化19】
[式中の各記号は上記と同意義である。]
【0032】
カチオンを放出しうる基がテトラゾールである化合物(I−A)は、ニトリル誘導体(II)とアジド化合物との反応により製造される。化合物(II)から化合物(I−A)への反応は、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of American Chemical Society)、80巻、3908頁(1958年)記載の方法に従い、N,N−ジメチルホルムアミド中、塩化アンモニウムおよびナトリウムアジドとの反応で行われる。塩化アンモニウムおよびナトリウムアジドの使用量は、化合物(II)1モルにつき1〜7モル、好ましくは1〜5モルであり、50℃〜180℃で1〜50時間で行われる。また、化合物(II)から化合物(I−A)への反応は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、56巻、2395頁(1991年)記載の方法に従い、化合物(II)をアジ化トリメチル錫またはアジ化トリブチル錫との反応後、酸で処理することによっても行われる。
このようにして得られる化合物(I−A)およびその塩は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0033】
(2)カチオンを放出しうる基が2,4−オキサゾリジンジオンである化合物(I−B)の合成法
【化20】
[式中、Y1は結合手または2価の脂肪族炭化水素残基を示し、他の各記号は上記と同意義である。]
【0034】
Y1で示される脂肪族炭化水素残基は、Yで示される炭素数1〜8の2価または3価の脂肪族炭化水素残基のうち、炭素数1〜7の2価のものである。
化合物(I−B1)は、アルデヒド化合物(III)と2,4−オキサゾリジンジオンの縮合により製造される。この反応は、塩基の存在下溶媒中で行われる。該溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸およびこれらの混合溶媒が挙げられる。該塩基としては、ナトリウムアルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなど);炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;水素化ナトリウム等の金属水素化物;ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどの2級アミン類が用いられる。2,4−オキサゾリジンジオンの使用量は、化合物(III)に対して1〜10モル当量、好ましくは1〜5モル当量である。塩基の使用量は、化合物(III)に対して0.01〜5モル当量、好ましくは0.05〜2モル当量である。本反応は0〜180℃、好ましくは50〜130℃で0.5〜30時間かけて行われる。
このようにして得られる化合物(I−B1)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができ、また、2,4−オキサゾリジンジオン環5位の二重結合に関し、(E)体および(Z)体の混合物として得られることもある。
【0035】
【化21】
[式中、R1’は飽和の炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基を、Y2は結合手または2価の飽和脂肪族炭化水素残基を示し、他の各記号は上記と同意義である。]
【0036】
Y2で示される飽和脂肪族炭化水素残基は、前記したY1で示される炭素数1〜7の2価の脂肪族炭化水素残基のうち飽和のものである。
R1’で示される飽和の炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基としては、R1で示される炭素鎖を介して結合していてもよく、置換されていてもよい複素環残基のうち炭素鎖が飽和のものである。
化合物(I−B1)を還元反応に付すことにより化合物(I−B2)を製造することができる。本還元反応は、常法に従い溶媒中、触媒の存在下、1〜150気圧の水素雰囲気中で行われる。該溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミドおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。触媒としては、ニッケル化合物等の金属、パラジウム,白金,ロジウムなどの遷移金属触媒等を用いることにより有利に行われる。反応温度は、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、反応時間は0.5〜50時間である。
このようにして得られる化合物(I−B2)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0037】
(3)カチオンを放出しうる基が2,4−チアゾリジンジオンである化合物(I−C)の合成法
【化22】
[式中の各記号は上記と同意義である。]
【0038】
化合物(I−C1)は、アルデヒド化合物(III)と2,4−チアゾリジンジオンの縮合により製造される。本反応はB法と同様にして行われる。。
このようにして得られる化合物(I−C1)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。化合物(I−C1)は、2,4−チアゾリジンジオン環5位の二重結合に関し、(E)体および(Z)体の混合物として得られることもある。
【0039】
【化23】
[式中の各記号は上記と同意義である。]
【0040】
本法は、C法と同様にして行われる。
このようにして得られる化合物(I−C2)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0041】
(4)カチオンを放出しうる基が2−チオキソチアゾリジン−4−オンである化合物(I−D)の合成法
【化24】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0042】
本法では、アルデヒド化合物(III)とローダニンの縮合により2−チオキソチアゾリジン−4−オン誘導体(I−D1)を製造する。本反応はB法と同様にして行われる。
このようにして得られる化合物(I−D1)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。化合物(I−D1)は、2−チオキソチアゾリジン−4−オン環5位の二重結合に関し、(E)体および(Z)体の混合物として得られることもある。
【0043】
【化25】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0044】
本法ではF法で得られた化合物(I−D1)を還元することにより化合物(I−D2)を製造する。本反応はC法と同様にして行われる。
このようにして得られる化合物(I−D2)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0045】
(5)カチオンを放出しうる基が2,4−イミダゾリジンジオンである化合物(I−E)の合成法
【化26】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0046】
本法では、アルデヒド化合物(III)とヒダントインの縮合により2,4−イミダゾリジンジオン誘導体(I−E1)を製造する。本反応はB法と同様にして行われる。
このようにして得られる化合物(I−E1)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。化合物(I−E1)は、2,4−イミダゾリジンジオン環5位の二重結合に関し、(E)体および(Z)体の混合物として得られることもある。
【0047】
【化27】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0048】
本法ではH法で得られた化合物(I−E1)を還元することにより化合物(I−E2)を製造する。本反応はC法と同様にして行われる。
このようにして得られる化合物(I−E2)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0049】
(6)カチオンを放出しうる基が1,2,4−オキサジアゾール−5−オンである化合物(I−F)の合成法
【化28】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0050】
本法は、ニトリル誘導体(II)をアミドキシム体(IV)とした後、閉環することによりオキサジアゾール−5−オン体(I−F)を得るものである。
化合物(II)からアミドキシム体(IV)への反応は、化合物(II)1モルに対してヒドロキシルアミンを2〜10モル程度使用して、通常の有機溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシドなど)、アルコール類(例、メタノール、エタノールなど)、エーテル類(例、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルムなど)などが挙げられる。かかるヒドロキシルアミンとして、無機酸塩(例、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミンなど)や有機酸塩(例、シュウ酸ヒドロキシルアミンなど)を用いる時は、適当な塩基(例、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水素化ナトリウムなど)を当量程度共存させ、20〜120℃で1〜24時間程度反応を行う。
このようにして得られたアミドキシム体(IV)は、クロル炭酸エステル(例、クロル炭酸メチル、クロル炭酸エチルなど)と塩基共存下(例、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなど)、通常の溶媒中(例、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ピリジンなど)で反応させることによりO−アシル体を得る。反応は、通常アミドキシム体(IV)1モルに対して2〜5モルのクロル炭酸エステルおよび2〜5モルの塩基存在下溶媒中で行われる。反応温度は0℃〜50℃、反応時間は1〜10時間程度である。
【0051】
このようにして得られたO−アシルアミドキシム体から閉環体(I−F)への反応は、通常の溶媒中加熱することにより行われる。かかる溶媒としては、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エーテル類(例、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなど)などが挙げられる。反応は、O−アシルアミドキシム体を溶媒中1〜10時間加熱することにより行われる。
このようにして得られる化合物(I−F)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0052】
(7)カチオンを放出しうる基が1,2,4−オキサジアゾール−5−チオンである化合物(I−G)の合成法
【化29】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0053】
本法は、前記I法において化合物(I−F)の合成中間体として得られるアミドキシム体(IV)を閉環することによりチオケトン体(I−G)を製造するものである。
アミドキシム体(IV)からチオケトン体(I−G)への反応は、アミドキシム体(IV)1モルに対して1,1'−チオカルボニルジイミダゾールを1〜10モル程度使用して、有機溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、エーテル類(例、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなど)、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。また該塩基としては、アミン類(例、ピリジン、トリエチルアミン、2,6−ジメチルピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなど)などが挙げられる。本反応は、溶媒中−30℃〜30℃で0.5〜10時間程度で行うのが望ましい。
このようにして得られる化合物(I−G)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0054】
(8)カチオンを放出しうる基が1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシドである化合物(I−H)の合成法
【化30】
[式中の各記号は前記と同意義である。]
【0055】
本法は、前記I法における化合物(I−F)の合成中間体として得られるアミドキシム体(IV)を閉環することにより1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド体(I−H)を得るものである。
アミドキシム体(IV)から1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド体(I−H)への反応は、アミドキシム体(IV)を有機溶媒中(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、塩基(例、ピリジン、トリエチルアミンなど)の存在下、塩化チオニルと反応させて化合物(I−H)を製造する。
本反応は、アミドキシム体(IV)1モルに対して、1〜3モル程度の塩基存在下、溶媒中−30℃〜30℃で2〜10モル程度の塩化チオニルを加え、0.5〜10時間で行うのが望ましい。
このようにして得られる化合物(I−H)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0056】
(9)カチオンを放出しうる基が1,2,4−オキサジアゾリジン−3,5−ジオンである化合物(I−I)の合成法
【化31】
[式(VII)中、A1、A2は同一または異なって、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基を、他の記号は前記と同意義を示す。]
【0057】
A1,A2で表されるハロゲン原子としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、アルコキシ基としては、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等炭素数1〜4のもの)が、アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基等炭素数7〜13のものが、アリールオキシ基としては、フェノキシ基等炭素数6〜14のものが挙げられる。
本法では、アルデヒド(III)を、メタノール,エタノールなどのアルコール類、ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素類などの有機溶媒または水あるいはこれらの混合溶媒など反応に不活性な溶媒中、必要により酢酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸などの触媒の存在下に、必要により共沸脱水装置や脱水剤を用いて、ヒドロキシルアミンまたはその塩とを反応させ、生成するシッフ塩基をボラン−ピリジン錯体、水素化ホウ素ナトリウム等還元的アミノ化に常用される還元剤により還元することによって化合物(V)を製造する。ついで、化合物(V)を、メタノール,エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類など反応に不活性な有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中、必要により塩酸など酸触媒の存在下に、シアン酸アルカリ金属を反応させ化合物(VI)を製造する。ついで化合物(VI)に、一般式(VII)で表されるカルボニル化合物と反応させることにより化合物(I−I)を製造することができる。本反応は、有機溶媒中(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エーテル、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、ジメチルスルホキシド等)、化合物(VI)1モルに対して1〜3モル程度の化合物(VII)を用い、好ましくは塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の存在下、0℃〜150℃で行うのが望ましい。
このようにして得られる化合物(I−I)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0058】
(10)カチオンを放出しうる基がシアノ基である化合物(II)の合成法
【化32】
[式中、R9は低級アルキル基を、qは0、1または2を表し、他の記号は上記と同意義である。]
【0059】
R9で表される低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等炭素数1〜4のものが挙げられる。
本法では、まずアルデヒド誘導体(III−1)をシアノメチルホスホン酸エステル誘導体(VIII)と反応させて不飽和ニトリル誘導体(II−1)を製造する。化合物(III−1)と化合物(VIII)との反応は、常法に従い塩基の存在下適宜の溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。該塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩;ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物;ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、これらの塩基の使用量は、化合物(III−1)1モルに対して1〜5モル程度が好ましい。化合物(VIII)の使用量は、化合物(III−1)1モルに対し1〜5モル、好ましくは1〜3モル程度である。本反応は通常−50℃〜150℃、好ましくは−10〜100℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
ついで、化合物(II−1)を接触還元に付すことにより、化合物(II−2)を製造する。本還元反応はC法と同様にして行われる。
このようにして製造されたニトリル化合物(II−1)および(II−2)は公知の分離精製手段、例えば、濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0060】
【化33】
[式中、nは1〜6の整数を、Wはハロゲン原子を表し、他の記号は上記と同意義である。]
【0061】
Wで表されるハロゲン原子としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
本法では、まず、アルデヒド誘導体(III−2)とホスホニウム塩(IX)を縮合して化合物(II−3)を製造する。本反応は、常法に従い塩基の存在下適宜の溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。該塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩;ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、これらの塩基の使用量は化合物(III−2)に対して1〜5モル程度が好ましい。化合物(IX)の使用量は、化合物(III−2)1モルに対し1〜5モル、好ましくは1〜3モル程度である。本反応は、通常、−50℃〜150℃、好ましくは−10〜100℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
ついで、化合物(II−3)を接触還元に付すことにより、化合物(II−4)を製造する。本還元反応はC法と同様にして行われる。
このようにして製造されたニトリル化合物(II−3)および(II−4)は公知の分離精製手段、例えば、濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0062】
【化34】
[式中、R10は低級アルキル基を、pは0、1または2を、Qは脱離基を表し、他の記号は上記と同意義である。]
【0063】
R10 で表される低級アルキル基としては、R9で表される低級アルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Qで表される脱離基としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子の他、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等が挙げられる。
本法では、まず、アルデヒド誘導体(III−2)と化合物(X)を縮合して不飽和エステル誘導体(XI)を製造する。本反応は、N法の化合物(III−1)と化合物(VIII)の反応と同様にして行われる。ついで、化合物(XI)を接触還元して飽和エステル誘導体(XII)を製造する。本還元反応はC法と同様にして行われる。
ついで、化合物(XII)を還元反応に付し、アルコール誘導体(XIII)を製造する。本還元反応は、自体公知の方法で行うことができる。例えば、金属水素化物による還元、金属水素錯化合物による還元、ジボランおよび置換ボランによる還元等が用いられる。すなわち、この反応は化合物(XII)を還元剤で処理することにより行われる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等の水素化ホウ素アルカリ金属、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素錯化合物およびボラン化合物等が挙げられる。この反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒が還元剤の種類により適宜選択して用いられる。反応温度は通常−50℃〜150℃、好ましくは−10〜100℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
【0064】
ついで、化合物(XIII)をハロゲン化剤あるいはスルホニル化剤と反応させて(XIV)を製造する。
ハロゲン化剤としては、塩酸、塩化チオニル、三臭化リンなどが好んで用いられ、この場合、Qが塩素または臭素である化合物(XIV)が生成する。本反応は、適宜の不活性溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン等)中、あるいは過剰のハロゲン化剤を溶媒として−10〜80℃で行われる。ハロゲン化剤の使用量は、化合物(XIII)1モルに対して1〜20モルである。
スルホニル化剤としてはメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド等が好んで用いられ、Qがそれぞれメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシで示される化合物(XIV)が生成する。本反応は適宜の不活性溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン等)中、塩基(たとえばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)の存在下に−10〜30℃で行われる。スルホニル化剤および塩基の使用量は、化合物(XIII)1モルに対してそれぞれ1〜2モルである。
以上のようにして生成したQが塩素、臭素あるいはスルホニルオキシである化合物(XIV)1モルに対して、ヨウ化ナトリウムあるいはヨウ化カリウムを1〜2モル反応させてQがヨウ素である化合物(XIV)を製造することもできる。この場合反応はアセトン、2−ブタノン、メタノール、エタノール等の溶媒中、20〜80℃で行われる。
【0065】
ついで、化合物(XIV)をシアン化カリウム、またはシアン化ナトリウムと反応させることにより化合物(II−5)を製造する。反応は、通常溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、2−ブタノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)中、0〜100℃で行われ、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの使用量は、化合物(XIV)1モルに対して1〜5モルである。
このようにして製造されたニトリル化合物(II−5)は公知の分離精製手段、たとえば濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
上記した化合物(II)は、前記したA法およびJ法における原料化合物としても用いられる。
【0066】
(11)カチオンを放出しうる基がアルコキシカルボニル基である化合物(XI)および(XII)の合成法
化合物(XI)および(XII)は、前記したP法にしたがって製造することができる。
このようにして製造された化合物(XI)および(XII)は公知の分離精製手段、たとえば濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0067】
(12)カチオンを放出しうる基がカルボキシル基である化合物の合成法
上記した化合物(II),(XI)または(XII)を加水分解することにより、カチオンを放出しうる基がカルボキシル基である化合物を製造することができる。
加水分解は、通常反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で、塩基あるいは酸と接触することにより行われる。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩等が用いられる。塩基の使用量は、原料化合物1モルに対して、1〜3モル程度である。
酸としては、塩酸,臭化水素酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が用いられる。酸の使用量は、原料化合物1モルに対して1モル〜大過剰量である。酸を用いる場合、大過剰量の酸を溶媒として用いてもよい。
反応温度は、通常−50℃〜150℃、好ましくは−10℃〜100℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間程度である。
このようにして製造された化合物は公知の分離精製手段、たとえば濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0068】
前記したB法、D法、F法、H法、M法、N法、O法およびP法の原料化合物として用いられるアルデヒド誘導体(III)は、例えば、つぎのQ法またはR法によって製造することができる。
【化35】
[式中の各記号は上記と同意義である。]
【0069】
本法では、まず、不飽和エステル誘導体(XI)を還元反応に付し、アルコール誘導体(XV)を製造する。本還元反応は、P法における化合物(XII)の還元反応と同様にして行われるが、還元剤としては水素化ジイソブチルアルミニウムを用いることにより有利に行われる。ついで、化合物(XV)を酸化反応に付し、不飽和アルデヒド誘導体(III−3)を製造する。本酸化反応は、自体公知の方法で行うことができる。例えば、二酸化マンガンによる酸化、クロム酸による酸化、ジメチルスルホキシドによる酸化等が用いられる。すなわち、この反応は化合物(XV)を酸化剤で処理することにより行われる。酸化剤としては、二酸化マンガン、無水クロム酸等が用いられるが、二酸化マンガンを用いることにより有利に行われる。この反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒が酸化剤の種類により適宜選択して用いられる。反応温度は通常−50℃〜150℃、好ましくは−10〜100℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
このようにして得られるアルデヒド誘導体(III−3)は公知の分離精製手段、たとえば濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0070】
【化36】
[式中の各記号は上記と同意義である。]
【0071】
本法は、Q法と同様にして行われる。すなわち、化合物(XVI)の還元反応はQ法における化合物(XI)の還元反応と同様に、また化合物(XVII)の酸化反応はQ法における化合物(XV)の酸化反応と同様にして化合物(III−1)とすることができる。
このようにして得られるアルデヒド誘導体(III−1)は公知の分離精製手段、たとえば濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0072】
R法の原料化合物(XVI)は、例えば、つぎの方法によって製造することができる。
【化37】
[式中、Tは低級アルキル基、アラルキル基およびアシル基を、他の記号は上記と同意義である。]
【0073】
Tで表される低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等炭素数1〜4のものが、アラルキル基としては、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル等炭素数7〜19のものが、また、アシル基としては、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル等、炭素数1〜4の低級アルキルあるいは炭素数6〜14の芳香族炭化水素にカルボニル基が結合したものが挙げられる。
本法では、まず、保護基Tで置換した水酸基を有する化合物(XVIII)と化合物(XIX)を縮合して化合物(XX)を製造する。本反応は、常法に従い塩基の存在下適宜の溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。該塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩;ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、これらの塩基の使用量は、化合物(XVIII)1モルに対して1〜5モル程度が好ましい。化合物(XIX)の使用量は、化合物(XVIII)1モルに対し1〜5モル、好ましくは1〜3モル程度である。本反応は通常−20℃〜180℃、好ましくは0〜120℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
【0074】
ついで、化合物(XX)を分子内縮合することにより、化合物(XXI)を製造する。本反応は、常法に従い塩基の存在下適宜の溶媒中で行われる。該溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、ピリジン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、無水酢酸およびこれらの混合溶媒が挙げられる。該塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩;ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等のアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、これらの塩基の使用量は、化合物(XX)1モルに対して1〜5モル程度が好ましい。本反応は、通常−20℃〜180℃、好ましくは0〜120℃で行われる。反応時間は0.5〜30時間である。
【0075】
ついで、化合物(XXI)を脱保護して化合物(XXII)を製造する。本反応は、保護基Tの種類により常法どおり適宜行われる。ついで、化合物(XXII)と化合物(XXIII)を縮合して化合物(XVI)を製造する。本反応は、化合物(XXIII)と化合物(XIX)の反応と同様にして行われる。
このようにして製造された化合物(XVI)は公知の分離精製手段、例えば、濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0076】
【発明の実施の形態】
以下に実験例、実施例および参考例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
実験例
マウスにおける血糖および血中脂質低下作用
被検化合物を粉末飼料(CE−2、日本クレア)に0.005%混合し、KKAy−マウス(9〜14週令)に自由に4日間与えた。この間、水は自由に与えた。血液を眼窩静脈そうから採取し、血漿を用いてグルコースとトリグリセライドを酵素法によりそれぞれイアトロケム−GLU(A)キット(ヤトロン社)およびイアトロ−MA701TGキット(ヤトロン社)を用いて定量した。それぞれの薬物投与群の値は、薬物非投与群に対する低下率(%)で表し、表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
このように、本発明の化合物(I)およびその塩は、優れた血糖および血中脂質低下作用を有し、糖尿病治療剤、インスリン感受性増強剤、高脂血症治療剤、高血圧治療剤など医薬品として有用である。
【0079】
実施例1
2−(2−シアノエチル)−6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン(1.20g)、アジ化ナトリウム(1.09g)、塩化アンモニウム(0.90g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)の混合物を130〜140℃で16時間かきまぜた。反応混合物を水に注いで酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。メタノール−クロロホルム(5:95、v/v)で溶出する部分から、5−[2−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]エチル]−1H−テトラゾール(1.05g、78%)を得た。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。無色プリズム晶。融点 177〜178℃。
元素分析値 C22H19N5O3として
計算値:C,65.83; H,4.77; N,17.45
実測値:C,65.57; H,4.97; N,17.44
【0080】
実施例2
実施例1と同様にして、5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾールを得た。収率 58%。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。無色プリズム晶。融点 139〜140℃。
【0081】
実施例3
実施例1と同様にして、5−[4−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]ブチル]−1H−テトラゾールを得た。収率 55%。ジクロロメタン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 114〜115℃。
【0082】
実施例4
6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフランカルボアルデヒド(1.20g)、2,4−チアゾリジンジオン(0.465g)、ピペリジン(0.12g)およびエタノール(40ml)の混合物を還流下に2時間加熱した。冷後、析出した5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチリデン]−2,4−チアゾリジンジオンの結晶(1.46g、94%)を得た。クロロホルム−エタノールから再結晶した。黄色プリズム晶。融点 272〜273℃。
元素分析値 C23H16N2O5S・1/4H2Oとして
計算値:C,63.22; H,3.81; N,6.41
実測値:C,63.16; H,3.62; N,6.31
【0083】
実施例5
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチリデン]−2,4−チアゾリジンジオン(0.80g)、パラジウム−炭素(5%、1.60g)およびテトラヒドロフラン(250ml)の混合物を、室温、3.2kgf/cm2の水素圧で8時間接触還元した。触媒を濾別し、濾液をさらに同条件下16時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を減圧下に濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(1:5、v/v)で溶出する部分から、5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−チアゾリジンジオンの結晶(0.305g、38%)を得た。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。黄色針状晶。融点 179〜180℃。
元素分析値 C23H18N2O5Sとして
計算値:C,63.58; H,4.18; N,6.45
実測値:C,63.51; H,3.96; N,6.52
【0084】
実施例6
(E)−3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクロレイン(1.00g)、2,4−チアゾリジンジオン(0.49g)、ピペリジン(0.24g)および酢酸(20ml)の混合物を還流下に2時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、析出した結晶(0.79g)を濾取した。その結晶をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解し、パラジウム−炭素(5%、1.60g)を加え、3.2kgf/cm2の水素圧で8時間接触還元した。触媒を濾別し、濾液をさらに同条件下8時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を減圧下に濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(1:9、v/v)で溶出する部分から、5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−チアゾリジンジオンの結晶(0.34g、26%)を得た。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。黄色プリズム晶。融点 167〜168℃。
元素分析値 C25H22N2O5Sとして
計算値:C,64.92; H,4.79; N,6.06
実測値:C,64.63; H,4.85; N,5.95
【0085】
実施例7
6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフランカルボアルデヒド(1.70g)、2,4−オキサゾリジンジオン(1.55g)、ピロリジン(0.365g)およびエタノール(40ml)の混合物を還流下に3時間加熱した。反応混合物を水に注いで析出した結晶を濾取した。その結晶をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、パラジウム−炭素(0.40g)を加え、室温、1気圧で接触還元した。触媒を濾別後、濾液を減圧下に濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。メタノール−クロロホルム(2:98、v/v)で溶出する部分から、5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−オキサゾリジンジオンの結晶(0.14g、6.6%)を得た。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。無色プリズム晶。融点 172〜173℃。
元素分析値 C23H18N2O6として
計算値:C,66.03; H,4.34; N,6.70
実測値:C,65.95; H,4.31; N,6.71
【0086】
実施例8
実施例7と同様にして、5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−オキサゾリジンジオンの結晶を得た。収率 25%。ジクロロメタン−メタノールから再結晶した。淡黄色プリズム晶。融点 159〜160℃。
【0087】
実施例9
実施例1と同様にして、5−[3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾールを得た。収率 82%。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 136〜137℃。
【0088】
実施例10
水素化ナトリウム(60%,油性,0.20g)を6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒド(1.50g)とジエチル シアノメチルホスホネート(0.88g)のN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)溶液に0℃で徐々に加え、室温で1時間かきまぜた。反応混合物を氷水に注ぎ、2N塩酸で中和後、酢酸エチル(200ml)で抽出した。酢酸エチル層を水洗、乾燥(MgSO4)後、パラジウム−炭素(5%、0.70g)を加え、室温、1気圧で接触還元した。触媒を濾別し、濾液を濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(2:98、v/v)で溶出する部分から、2−(2−シアノエチル)−6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフランの結晶(1.34g、83%)を得た。ジクロロメタン−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点 92〜93℃。
【0089】
実施例11
水素化ナトリウム(60%、油性、0.20g)を3−シアノプロピルトリフェニルホスホニウム ブロミド(2.07g)のN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)溶液に室温で徐々に加え、1時間かきまぜた。6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒド(1.40g)を加え、70〜80℃で2時間かきまぜた。反応混合物を氷水に注ぎ、2N塩酸で中和後、酢酸エチル(200ml)で抽出した。酢酸エチル層を水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−ヘキサン(1:2、v/v)で溶出する部分から油状物を得た。これをテトラヒドロフラン(40ml)に溶解し、パラジウム−炭素(5%、0.70g)を加え、室温、1気圧で接触還元した。触媒を濾別し、濾液を濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−ヘキサン(1:3、v/v)で溶出する部分から、2−(4−シアノブチル)−6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフランの結晶(0.97g、60%)を得た。ジエチルエーテル−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点 87〜88℃。
【0090】
実施例12
水素化ナトリウム(60%、油性、0.72g)を6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒド(6.00g)とトリエチル ホスホノアセテート(4.04g)のN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)溶液に0℃で徐々に加え、室温で1時間かきまぜた。反応混合物を氷水に注ぎ、析出した(E)−エチル 3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクリレートの結晶を得た。ジクロロメタン−エタノールから再結晶し、無色プリズム晶(7.03g、97%)を得た。融点 141〜142℃。
【0091】
実施例13
3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロパノール(0.88g)、塩化メタンスルホニル(0.335g)、トリエチルアミン(0.295g)およびジクロロメタン(30ml)の混合物を室温で14時間かきまぜた。反応混合物を2N塩酸で洗浄、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去した。残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、シアン化カリウム(0.24g)を加え、90〜100℃で4時間かきまぜた。反応混合物を水に注ぎ、2N塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−ヘキサン(1:4、v/v)で溶出する部分から、2−(3−シアノプロピル)−6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフランの結晶を得た。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶し、無色プリズム晶(0.65g、72%)を得た。融点 94〜95℃。
【0092】
実施例14
実施例12と同様にして、5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒドとトリエチル ホスホノアセテートを反応させて、(E)−エチル 3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクリレートを得た。収率 93%。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色針状晶。融点 120〜121℃。
【0093】
実施例15
実施例13と同様にして、3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロパノールをメシル化後、シアン化ナトリウムを反応させ、2−(3−シアノプロピル)−5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフランを得た。収率 80%。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 114〜115℃。
【0094】
製剤例1
(1)、(2)、(3)の全量および30gの(4)を水で練合し、真空乾燥後、製粒を行う。この製粒末に14gの(4)および1gの(5)を混合し、打錠機で錠剤とすることにより、一錠あたり(1)10mgを含有する錠剤1000錠を製造する。
【0095】
製剤例2
(1)、(2)、(3)の全量および30gの(4)を水で練合し、真空乾燥後、製粒を行う。この製粒末に14gの(4)および1gの(5)を混合し、打錠機で錠剤とすることにより、一錠あたり(1)30mgを含有する錠剤1000錠を製造する。
【0096】
参考例1
4−メトキシサリチルアルデヒド(21.0g)、ブロモ酢酸メチル(22.2g)、炭酸カリウム(22.9g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(150ml)の混合物を90〜100℃で1時間かきまぜた。反応混合物を氷水に注いで、析出したメチル 2−ホルミル−5−メトキシフェノキシアセテートの結晶(27.7g、90%)を濾取した。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 109〜110℃。
【0097】
参考例2
メチル 2−ホルミル−5−メトキシフェノキシアセテート(27.7g)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(40.8g)およびトルエン(200ml)の混合物を還流下に4時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物に6N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は、水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物に10%塩酸−メタノール(30ml)を加え、70〜80℃で4時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水を加え酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム−ヘキサン(1:2、v/v)で溶出する部分から、メチル 6−メトキシベンゾフラン−2−カルボキシレート(14.3g、57%)を得た。ジクロロメタン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点97〜98℃。
【0098】
参考例3
三臭化ホウ素(24.9g)をメチル 6−メトキシベンゾフラン−2−カルボキシレート(18.6g)のジクロロメタン(200ml)溶液に0℃で滴下後、室温で1日かきまぜた。反応混合物を氷水に注いで、酢酸エチル(300ml)を加えた。有機層を水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物に10%塩酸−メタノール(60ml)を加え、70〜80℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下に濃縮し、析出したメチル 6−ヒドロキシベンゾフラン−2−カルボキシレートの結晶(10.75g)をジエチルエーテル−イソプロピルエーテル(2:1、v/v)を用いて濾取した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。ジエチルエーテル−ヘキサン(1:2、v/v)で溶出する部分から、メチル 6−ヒドロキシベンゾフラン−2−カルボキシレート(1.75g)を得た。全収率 73%。ジエチルエーテル−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 176〜177℃。
【0099】
参考例4
メチル 6−ヒドロキシベンゾフラン−2−カルボキシレート(1.75g)、4−クロロメチル−5−メチル−2−フェニルオキサゾール(2.00g)、炭酸カリウム(1.51g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(40ml)の混合物を80〜90℃で1時間かきまぜた。反応混合物を氷水に注ぎ、2N塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(1:99、v/v)で溶出する部分から、メチル 6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボキシレートの結晶(3.00g、91%)を得た。ジクロロメタン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 125〜126℃。
【0100】
参考例5
水素化リチウムアルミニウム(0.285g)をメチル 6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボキシレート(2.70g)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に0℃で徐々に加え、1時間かきまぜた。反応混合物に1N塩酸を注意深く加えた後、さらに水(300ml)を加え析出した6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−メタノールの結晶をろ取した。クロロホルム−メタノールから再結晶した。無色プリズム晶(2.17g、87%)を得た。融点 202〜203℃。
【0101】
参考例6
6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−メタノール(21.0g)、活性二酸化マンガン(52.0g)およびテトラヒドロフラン(800ml)の混合物を60〜65℃で6時間かきまぜた。不溶物を濾別後、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(2:98、v/v)で溶出する部分から、6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒドの結晶(14.3g、69%)を得た。ジクロロメタン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 137〜138℃。
【0102】
参考例7
(E)−エチル 3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクリレート(1.30g)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液にパラジウム−炭素(5%、0.70g)を加え、室温、1気圧で接触還元した。触媒を濾別し、濾液に水素化ホウ素ナトリウム(0.61g)を加え、還流下にメタノール(10ml)を滴下した。1時間還流下に加熱後、反応混合物を水に注ぎ、2N塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、乾燥(MgSO4)後、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(1:5、v/v)で溶出する部分から、3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロパノールを油状物(0.90g、77%)として得た。
NMR(δppm,CDCl3): 1.42(1H,brs), 1.9−2.1(2H,m), 2.44(3H,s), 2.86(2H,t,J=7.5Hz), 3.74(2H,t,J=6.5Hz), 5.02(2H,s), 6.34(1H,s), 6.92(1H,dd,J=8.5,2Hz), 7.11(1H,d,J=2Hz), 7.35(1H,d,J=8.5Hz), 7.4−7.5(3H,m), 7.95−8.1(2H,m)
【0103】
参考例8
水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1M、39ml)を(E)−エチル 3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクリレート(5.23g)のジクロロメタン(200ml)溶液に0℃で滴下した。5時間かきまぜた後、反応混合物にメタノール(3ml)−水(10ml)を注意深く加えた。不溶物を濾別後、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル−クロロホルム(1:5、v/v)で溶出する部分から、(E)−3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]−2−プロペン−1−オールの結晶(3.90g、83%)を得た。アセトン−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点 143〜144℃。
【0104】
参考例9
(E)−3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]−2−プロペン−1−オール(3.85g)、活性二酸化マンガン(8.00g)およびジクロロメタン(150ml)の混合物を室温で2時間かきまぜた。不溶物を濾別後、濾液を濃縮して、(E)−3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクロレインの結晶(3.40g、89%)を得た。ジクロロメタン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 132〜133℃。
【0105】
参考例10
参考例1と同様にして、5−メトキシサリチルアルデヒドとブロモ酢酸メチルとの反応により、メチル 2−ホルミル−4−メトキシフェノキシアセテートを得た。収率 86%。アセトン−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点 74〜75℃。
【0106】
参考例11
参考例2と同様にして、メチル 2−ホルミル−4−メトキシフェノキシアセテートから、メチル 5−メトキシベンゾフラン−2−カルボキシレートを得た。収率 71%。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点78〜79℃。
【0107】
参考例12
参考例3と同様にして、メチル 5−メトキシベンゾフラン−2−カルボキシレートからメチル 5−ヒドロキシベンゾフラン−2−カルボキシレートを得た。収率 89%。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 172〜173℃。
【0108】
参考例13
参考例4と同様にして、メチル 5−ヒドロキシベンゾフラン−2−カルボキシレートと4−クロロメチル−5−メチル−2−フェニルオキサゾールを反応させて、メチル 5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボキシレートを得た。収率 87%。アセトン−酢酸エチルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 177〜178℃。
【0109】
参考例14
参考例5と同様にして、メチル 5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボキシレートを還元して、5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−メタノールを得た。収率 79%。アセトン−メタノールから再結晶した。無色プリズム晶。融点 162〜163℃。
【0110】
参考例15
参考例6と同様にして、5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−メタノールを酸化して、5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンゾフラン−2−カルボアルデヒドを得た。収率 42%。アセトン−メタノールから再結晶した。淡黄色プリズム晶。融点 137〜138℃。
【0111】
参考例16
実施例11と同様にして、(E)−エチル 3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]アクリレートを水素化ジイソブチルアルミニウムで還元して、(E)−3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]−2−プロペン−1−オールを得た。収率 90%。酢酸エチル−ヘキサンから再結晶した。無色プリズム晶。融点 145〜146℃。
【0112】
参考例17
(E)−3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]−2−プロペン−1−オール(2.00g)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液にパラジウム−炭素(5%、0.30g)を加え、室温、1気圧で接触還元した。触媒をろ別し、ろ液を濃縮して3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロパノールを得た。収率 93%。アセトン−イソプロピルエーテルから再結晶した。無色プリズム晶。融点 101〜102℃。
【0113】
【発明の効果】
本発明の化合物(I)またはその塩は、すぐれた血糖および血中脂質低下作用を有する。
Claims (17)
- R1が炭素鎖を介して結合する置換されていてもよい複素環残基である請求項1記載の化合物またはその塩。
- 炭素鎖が1〜8個の炭素原子を有するものである請求項5記載の化合物またはその塩。
- 複素環残基が、環構成原子として少なくとも1個の窒素原子を含む5または6員環または縮合環である請求項1記載の化合物またはその塩。
- R3またはR5で示される複素環基が、環構成原子として炭素以外にN,O,Sから選ばれた1ないし3個の原子を含む5または6員環である請求項8記載の化合物またはその塩。
- R2が水素である請求項1記載の化合物またはその塩。
- Yが−CH2CH2CH2−である請求項1記載の化合物またはその塩。
- R1がメチレン基を介して結合し、フェニルまたは/およびメチルで置換されていてもよいオキサゾール基を、R 2が水素を、Yが炭素数1〜4の2価または3価の脂肪族炭化水素残基を示し、R1−Oがベンゾフラン環の6位に、Yがベンゾフラン環の2位にそれぞれ結合する請求項1記載の化合物またはその塩。
- 5−[2−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]エチル]−1H−テトラゾール、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾール、
5−[4−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]ブチル]−1H−テトラゾール、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチリデン]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−チアゾリジンジオン、
5−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニルメチル]−2,4−オキサゾリジンジオン、
5−[3−[6−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−2,4−オキサゾリジンジオンまたは
5−[3−[5−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)−2−ベンゾフラニル]プロピル]−1H−テトラゾールである請求項1記載の化合物またはその塩。 - 請求項1記載の化合物またはその薬理学的に許容し得る塩を含有してなる医薬組成物。
- 糖尿病治療剤である請求項14記載の医薬組成物。
- インスリン感受性増強剤である請求項14記載の医薬組成物。
- 高脂血症治療剤である請求項14記載の医薬組成物。
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