JP3892734B2 - 油中フルフラール類の抽出方法及び抽出装置 - Google Patents

油中フルフラール類の抽出方法及び抽出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油の中に含まれるフルフラール類を抽出する油中フルフラール類の抽出方法及び抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、油入変圧器、油入リアクトル等の油入電気機器の寿命を診断するために、絶縁油中のフルフラール類を検出することが行われている。すなわち、これらの油入電気機器の寿命は一般に絶縁紙の劣化程度で推定される。そして、この絶縁紙の劣化程度は、その絶縁紙の劣化によって生成する生成物であるフルフラール類の、絶縁油への溶解量を検出することで判定することができる。そこで、上記絶縁油からフルフラール類を抽出する方法がこれまでに種々提案されている。なお、フルフラール類とは、フルフラール(フルアルデヒドともいう)を始め、ヒドロキシメチルフルフラール等のフルフラール誘導体を含む概念を表している。
【0003】
絶縁油からフルフラール類を抽出する方法としては、例えば、鉱油等の絶縁油と抽出液体とを接触させる液−液抽出法や絶縁油とシリカなどの固体とを接触させる固−液抽出法が知られている(IEC(International Electrotechnical Commission )、1198、1993年)。また、液−液抽出法には、抽出液体である有機溶媒としてメタノール、アセトニトリル、水/メタノール、水/アセトニトリルなどが用いられている。抽出されたフルフラール類の分離、分析方法としては、高速液体クロマトグラフを用い、検出器としては紫外線光度計が使用されている。このような分離、分析装置により、絶縁油中のフルフラール類が定量され、油入電気機器の寿命の診断が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような油入電気機器の寿命診断方法では、液−液抽出法の場合、抽出液体である有機溶媒中に絶縁油が残留する。これを、静置によって有機溶媒層と絶縁油層とに分離しようとすると、2層に完全に分離させるためには8時間から20時間程度と長時間を必要とする。また、有機溶媒層に絶縁油が残留していると、分析機器に損傷を与えるなどしてフルフラール類の分析の障害となるという課題がある。また、固−液抽出法の場合には、抽出液中に残留する絶縁油は殆どないものの、操作が煩雑であるという問題点がある。
【0005】
そこで、液−液抽出法において遠心分離装置を利用することにより、2層への分離に要する時間を短縮しようという提案もなされている(特開平7−263243号公報)。しかしながら、この方法でも、サンプルの油と有機溶媒とを混合して攪拌したものを一つずつ遠心分離容器に移し、しかる後に一つずつ遠心分離を行ってフルフラール類の抽出を行わなければならない。このため、多数のサンプルに対して個々にフルフラール類の抽出を行う場合には作業が煩雑となった。
【0006】
そこで、本発明は、サンプルの油が多数存在する場合にも、簡単な操作で油中のフルフラール類を個々に抽出することのできるフルフラール類の抽出方法及び抽出装置を提供することを目的としてなされた。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、油の中に含まれるフルフラール類を抽出する油中フルフラール類の抽出方法であって、
フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌し、
該攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させ、
該分離後の液に攪拌に至らない程度の渦流を発生させることにより、上記有機溶媒中に浮遊または容器壁面に付着した油滴を凝集または合一させ、
続いて、上記渦流を消滅させた後、上記有機溶媒を採取してフルフラール類を抽出することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明の方法では、先ず、フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌する。この攪拌によって、油の中に含まれていたフルフラール類は、分配向流によって有機溶媒側に移行する。続いて、その攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させる。この分離は完全でなくてもよく、次のように有機溶媒中に油滴が浮遊していてもよい。従って、この静置は1分程度の短時間でも充分である。続いて、その分離後の液に攪拌に至らない程度の渦流を発生させる。すると、有機溶媒中に浮遊または容器壁面に付着した油滴は、この渦流によって凝集または合一する。そこで、渦流を消滅させた後、有機溶媒を採取すれば、油を含むことなくフルフラール類を良好に抽出することができる。
【0009】
このように、本発明では、渦流を発生させることによって有機溶媒と油とをほぼ完全に分離している。しかも、渦流を発生させる工程とそれに先立つ攪拌の工程とでは、油及び有機溶媒を収容した容器を移し替える必要がなく、極めて操作が簡単である。例えば、上記渦流の強さを強くまたは弱く制御することにより、上記攪拌または油滴の凝集/合一を同様の手法で行うことができる。また、上記渦流の発生や攪拌は、装置を適切に構成すれば多数のサンプルに対して同時に実行することもできる。
【0010】
従って、本発明では、サンプルの油が多数存在する場合にも、簡単な操作で油中のフルフラール類を個々に抽出することができる。よって、本発明の方法を利用すれば、多数の油入電気機器に対する寿命診断を迅速かつ容易に行うことができる。なお、本発明における油が、油入電気機器の絶縁油に限定されないことは言うまでもない。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、上記攪拌及び上記渦流の発生のために、同一のマグネチックスターラを使用することを特徴としている。マグネチックスターラでは、攪拌子の回転速度を自由に設定できるため、その回転速度を高速に設定することによって上記攪拌が、低速に設定することによって上記渦流の発生が、それぞれ実行できる。すなわち、油及び有機溶媒を収容した容器を移し替える必要もなければ、その容器を移動させる必要もなく、上記攪拌,静置,渦流の発生の工程を連続して実行することができる。しかも、多数のマグネチックスターラに対して同様の制御を行うことは極めて容易である。従って、本発明では、請求項1記載の発明の効果に加えて、サンプルの油が多数存在する場合にも、油中のフルフラール類を個々に抽出することが一層迅速かつ容易に実行できるといった効果が生じる。
【0012】
請求項3記載の発明は、油の中に含まれるフルフラール類を抽出する油中フルフラール類の抽出装置であって、
フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌する攪拌手段と、
該攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させたものに、攪拌に至らない程度の渦流を発生させる渦流発生手段と、
上記渦流の消滅後に上記有機溶媒を採取してフルフラール類を抽出する抽出手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0013】
このように構成された本発明では、先ず、攪拌手段が、フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌する。この攪拌によって、油の中に含まれていたフルフラール類は、分配向流によって有機溶媒側に移行する。続いて、その攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とをほぼ2層に分離させた後(この分離は請求項1と同様に完全でなくてもよい)、渦流発生手段によって攪拌に至らない程度の渦流を発生させれば、請求項1記載の発明と同様に、有機溶媒中に浮遊または容器壁面に付着した油滴を凝集または合一させることができる。
【0014】
続いて、渦流の消滅後に、抽出手段は上記有機溶媒を採取することによってフルフラール類を抽出する。この結果、請求項1記載の発明と同様に、油の中に含まれていたフルフラール類を、油を含むことなく良好に抽出することができる。このため、本発明でも、請求項1記載の発明と同様に、サンプルの油が多数存在する場合にも、簡単な操作で油中のフルフラール類を個々に抽出することができる。よって、本発明によって抽出したフルフラール類を分析すれば、多数の油入電気機器に対する寿命診断を迅速かつ容易に行うことができる。なお、本発明でも、上記油が油入電気機器の絶縁油に限定されないことは言うまでもない。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成に加え、上記攪拌手段及び上記渦流発生手段が、同一のマグネチックスターラであることを特徴としている。
このため、本発明でも、請求項2記載の発明と同様に、油及び有機溶媒を収容した容器を移し替える必要もなければ、その容器を移動させる必要もなくして、上記攪拌手段及び渦流発生手段の動作を実行させることができる。しかも、多数のマグネチックスターラに対して同様の制御を行うことは極めて容易である。従って、本発明では、請求項3記載の発明の効果に加えて、サンプルの油が多数存在する場合にも、油中のフルフラール類を個々に抽出することが一層迅速かつ容易に実行できるといった効果が生じる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の構成に加え、上記有機溶媒と上記油とを混合して攪拌するに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動し、該攪拌後の混合液を上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させるに足る時間上記マグネチックスターラを停止し、続いて、上記渦流を発生させるに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動するマグネチックスターラ制御手段を、更に備えたことを特徴としている。
【0017】
本発明のマグネチックスターラ制御手段は、先ず、上記有機溶媒と上記油とを混合して攪拌するに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動する。これによって、マグネチックスターラを上記攪拌手段として動作させることができる。その後、マグネチックスターラ制御手段は、上記攪拌後の混合液を有機溶媒と油とを2層に分離させるに足る時間上記マグネチックスターラを停止する。これによって、上記有機溶媒と上記油とが2層に分離する。なお、前述のように、この分離は完全でなくてもよい。
【0018】
続いて、マグネチックスターラ制御手段は、上記渦流を発生させるに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動する。これによって、マグネチックスターラを上記渦流発生手段として動作させることができる。このように、本発明では、上記攪拌から渦流の発生に到るまでの動作を、全自動で実行することができる。従って、本発明では、請求項4記載の発明の効果に加えて、油中のフルフラール類を抽出することが一層容易に実行できるといった効果が生じる。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項3〜5のいずれかに記載の構成に加え、上記抽出手段が、上記渦流消滅後の上記有機溶媒に針を挿入してその有機溶媒を吸引する吸引手段と、有機溶媒中のフルフラール類を定量分析する分析装置の近傍まで上記針を移動させる針移動手段と、上記吸引手段によって吸引された有機溶媒を、上記針を介して上記分析装置へ向けて吐出する吐出手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
このように、本発明の抽出手段では、吸引手段が上記渦流消滅後の上記有機溶媒に針を挿入してその有機溶媒を吸引し、有機溶媒中のフルフラール類を定量分析する分析装置の近傍まで、針移動手段が上記針を移動させる。更に、吐出手段は、上記吸引手段によって吸引された有機溶媒を、上記針を介して上記分析装置へ向けて吐出する。
【0021】
このため、本発明では、渦流消滅後の有機溶媒を採取して分析装置による分析にかけるまでの動作を、吸引手段,針移動手段,吐出手段を順次動作させることによって自動的に実行することができる。従って、本発明では、請求項3〜5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、油中のフルフラール類を抽出して分析することが一層容易に実行できるといった効果が生じる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された油中フルフラール類の抽出装置(以下、単に抽出装置という)1の構成を表す正面図で、図2は、その抽出装置1の構成を表す右側面図である。なお、図1に示すように、本実施の形態の抽出装置1は分析装置としての液体クロマトグラフ装置70(一般的なものでよい)に隣接配置され、後述の濾過部53を液体クロマトグラフ装置70のカラム(図示せず)に接続して使用される。
【0023】
この抽出装置1は、以下に説明するように、油入電気機器の絶縁油80(図6参照)を容器本体3に収容すると共に蓋5で封止された容器7を装着可能に構成され、その容器7に収容された絶縁油80に含まれるフルフラール類を抽出して液体クロマトグラフ装置70に送るものである。なお、この抽出装置1で使用する容器7の蓋5には、図3の平面図に示すように十字の切り込み9aが形成されたパッキン9が設けられ、その切り込み9aを介して後述の注射針43,45が容器7内に挿入可能となっている。
【0024】
図1,図2に示すように、抽出装置1は、容器7を30個まで装着可能なターンテーブル11を下部に備えており、そのターンテーブル11の容器装着部下方には、容器7内の液体を攪拌するためのマグネチックスターラ13が上記各容器装着部毎に設けられている。マグネチックスターラ13は、ターンテーブル11と一体に回転する円盤状のスターラ基板15上に固定されており、更に、ターンテーブル11及びスターラ基板15の下方には、それらと一体に回転するプーリ17が設けられている。
【0025】
また、抽出装置1は、ターンテーブル11が上面に露出するように構成された箱形のテーブル部21の他、そのテーブル部21に隣接して縦長の箱型に形成され、後述の各種駆動機構を支持する機構部23、及び、機構部23の上端にテーブル部21と平行に突出形成され、操作パネル25や回転ボリューム27が設けられたコントロール部29を備えている。テーブル部21の筐体の正面及び左右側面には角穴21aが形成され、この部分には通常はサイドカバーが装着されるが、図1,図2では説明の便宜上、上記サイドカバーを省略した。また、機構部23の上端面には、ボトルラック31が設けられ、ここには、有機溶媒としてのアセト二トリル90を貯留した2lのガラス瓶33が3本装着できる。
【0026】
前述のターンテーブル11と一体に回転するプーリ17は、図2に示すように機構部23に設けられたテーブル回転用モータ35とベルト37を介して接続されている。このため、テーブル回転用モータ35の回転に応じてターンテーブル11及びスターラ基板15が回転する。
【0027】
図1に示すように、機構部23の正面にはサンプル保持バルブ41、注射針43,45、及び三方バルブ47が設けられている。注射針43は、アームを水平方向に揺動させる形式の針水平移動機構51によって、ターンテーブル11に装着された容器7の直上から濾過部53の直上まで水平方向に移動可能に構成され、針昇降移動機構55によって容器7へ垂直方向に挿入・抜去されるように構成されている。また、注射針43は2重に構成され、内側にはサンプル保持バルブ41を介して真空ポンプ57(図2)からの負圧を印加し、外側にはエアポンプ59(図2)から空気Air(図6参照)を送れるように構成されている。
【0028】
注射針45にも、同様に針水平移動機構61及び針昇降移動機構63が設けられ、この注射針45には、ガラス瓶33に貯留されたアセト二トリル90を三方バルブ47を介して送ることができるように構成されている。更に、図2に示すように、機構部23の内部には、上記各機構を制御するための電子制御回路65と、その電子制御回路65を冷却するためのファン67とが設けられている。
【0029】
図4に示すように、電子制御回路65は、CPU65a,ROM65b,RAM65cを備えたマイクロコンピュータとして構成され、操作パネル25から指令が入力されると共に、針水平移動機構51,61、針昇降移動機構55,63三方バルブ47、真空ポンプ57、エアポンプ59、サンプル保持バルブ41,テーブル回転用モータ35、及び各マグネチックスターラ13へ駆動信号を出力する。
【0030】
次に、電子制御回路65によるフルフラール抽出処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5に示すように、処理を開始すると電子制御回路65は、先ず、S1(Sはステップを表す:以下同様)にて、操作パネル25によって指示された番号の容器7に対して溶媒注入処理を行う。すなわち、ターンテーブル11の容器装着部には1〜30の番号が割り振られている。
【0031】
そこで、この溶媒注入処理では、テーブル回転用モータ35及び針水平移動機構61を駆動して注射針45を指示に対応する容器7の直上に配設し、続いて針昇降移動機構63を駆動して注射針45を切り込み9aを介して容器7内に挿入する。更に、三方バルブ47を駆動して容器7内に2mlのアセト二トリル90を注入した後、針昇降移動機構63を駆動して注射針45を容器7から抜去する。なお、S1では、操作パネル25によって指示された全ての容器7に対して、このような処理を順次実行する。
【0032】
続くS2では、S1でアセト二トリル90を注入した各容器7の下方に配設されたマグネチックスターラ13を高速で回転させ、容器7内の絶縁油80及びアセト二トリル90を混合して攪拌する。なお、このときの回転速度は、回転ボリューム27によってマグネチックスターラ13毎に設定でき、ここでは750rpmとする。また、このステップでは、容器7が装着されていないものも含めた全てのマグネチックスターラ13に対して一斉に同様の処理を行っても支障はない(後述のS4も同様)。
【0033】
続くS3では、全てのマグネチックスターラ13を1分間静置し、S4では、S2で駆動したマグネチックスターラ13を今度は低速で回転させ、容器7内の混合液に、攪拌に至らない程度の渦流を発生させる。このときの回転速度も回転ボリューム27によってマグネチックスターラ13毎に設定でき、ここでは250rpmとする。
【0034】
そして、S5にて容器7内のアセト二トリル90を抽出する溶媒抽出処理を行って処理を終了する。この溶媒抽出処理では、テーブル回転用モータ35及び針水平移動機構51を駆動して注射針43を対応する容器7の直上に配設し、続いて針昇降移動機構55を駆動して注射針43を切り込み9aを介して容器7内に挿入する。なお、この挿入時には、少なくとも注射針43の先端がパッキン9を通過してからアセト二トリル90の層に挿入されるまでの間、送風手段としてのエアポンプ59を駆動して注射針43の周囲から空気Air(図6参照)を噴射する。
【0035】
更に、続いて、真空ポンプ57及びサンプル保持バルブ41を駆動してアセト二トリル90を採取し、針昇降移動機構55を駆動して注射針43を容器7から抜去する。その後、針水平移動機構51を駆動して注射針43を濾過部53の直上に配設し、サンプル保持バルブ41を大気圧に連通することによって上記採取したアセト二トリル90を濾過部53に滴下する。すると、濾過部53ではアセト二トリル90に混入した微量の絶縁油80を濾過し、液体クロマトグラフ装置70にてフルフラール類の定量分析がなされる。電子制御回路65は、このS5の処理を、S1と同様に操作パネル25によって指示された全ての容器7に対して順次実行し終えると、一旦処理を終了する。
【0036】
次に、上記処理が実行される間の絶縁油80及びアセト二トリル90の挙動を、図6を用いて説明する。S1にてアセト二トリル90が注入された時点では、図6(A)に示すように絶縁油80は容器本体3の底に沈殿し、その上にアセト二トリル90が配設される。この時点では、フルフラール類はそのほぼ全量が絶縁油80に溶け込んだままである。
【0037】
S2にて、マグネチックスターラ13の攪拌子13aを750rpmで回転させると、図6(B)に示すように、絶縁油80とアセト二トリル90とが混合・攪拌される。この攪拌によって、絶縁油80の中に含まれていたフルフラール類は分配向流によってアセト二トリル90側に移行する。
【0038】
続いて、その攪拌後の混合液を1分間静置すると(S3)、アセト二トリル90と絶縁油80とが2層に分離する。この分離は、図6(C)に示すように完全ではなく、アセト二トリル90中に油滴80aが浮遊していたり、容器本体3の内壁面に油滴80aが付着していたりする場合がある。
【0039】
続くS4で、攪拌子13aを250rpmで回転させると、図6(D)に示すように、分離後の液に攪拌に至らない程度の渦流を発生させることができる。すると、アセト二トリル90中に浮遊または容器本体3の壁面に付着していた油滴80aは、この渦流によって渦流の中心で合一する。また、油滴80aの一部は容器本体3の底に沈殿した絶縁油80に合一する。そして、渦流の消滅後には、図6(E)に示すように、アセト二トリル90の液面中央に球状の油滴80aが形成される。
【0040】
S5では、注射針43を容器7に挿入してその周囲から空気Airを噴射することにより、図6(F)に示すように油滴80aを注射針43の直下から退けた上で、注射針43を介してアセト二トリル90を採取する。以上の動作によって、絶縁油80を殆ど含むことなく、アセト二トリル90に溶解したフルフラール類を良好に抽出することができる。そして、この採取されたアセト二トリル90を濾過部53を介して更に確実に絶縁油80を除去した上で、液体クロマトグラフ装置70によるフルフラール類の定量分析を行うことによって、油入電気機器の寿命を診断することができる。
【0041】
なお、前述の空気Airの噴射は、必ずしも必要ではない。注射針43が仮に油滴80aを貫通したとしても、図6(E)の段階で絶縁油80(油滴80aを含む)とアセト二トリル90とは完全に分離されているので、注射針43をアセト二トリル90の層に確実に挿入すれば絶縁油80の混入を防止することができる。すなわち、注射針43が油滴80aを貫通する際にその注射針43内に絶縁油80が進入することは殆どない。また、注射針43によってアセト二トリル90を採取した段階で既にほぼ完全に絶縁油80が排除されているので、濾過部53は極めて簡単なものでもよい。絶縁油80の品質や液体クロマトグラフ装置70の性能によっては、濾過部53を省略することも充分に可能である。
【0042】
このように、本実施の形態では、マグネチックスターラ13で渦流を発生させることによってアセト二トリル90と絶縁油80とを分離している。このため、渦流を発生させる工程とそれに先立つ攪拌の工程とでは、絶縁油80等を収容した容器を移し替えたり移動させたりする必要がなく、上記攪拌,静置,渦流の発生の工程を連続して実行することができる。
【0043】
また、渦流の発生や攪拌は多数の容器7に対して同時に実行できるので、サンプルの絶縁油80が多数存在する場合にも、簡単な操作で油中のフルフラール類を個々に抽出することができる。よって、本実施の形態では、多数の油入電気機器に対する寿命診断を迅速かつ容易に行うことができる。しかも、上記抽出に関る各工程は、アセト二トリル90の注入から液体クロマトグラフ装置70へ送るまで全自動で行われるので、上記寿命診断が極めて容易になる。すなわち、一級の科学者が行うような分析作業を自動化することができるのである。
【0044】
なお、上記実施の形態において、マグネチックスターラ13が攪拌手段及び渦流発生手段に、注射針43,真空ポンプ57,サンプル保持バルブ41,針水平移動機構51,及び針昇降移動機構55が抽出手段に、電子制御回路65がマグネチックスターラ制御手段に、針水平移動機構51,針昇降移動機構55,真空ポンプ57及びサンプル保持バルブ41が吸引手段に、針水平移動機構51及び針昇降移動機構55が針移動手段に、サンプル保持バルブ41が吐出手段に、それぞれ相当する。
【0045】
また、本発明は上記実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、マグネチックスターラ13による攪拌,静置,渦流の発生は、操作者がスイッチをON/OFFすることによってマニュアルで行ってもよい。
【0046】
また、攪拌手段及び渦流発生手段としてはマグネチックスターラ13以外の種々の構成を採用することができ、それぞれ別の手段を用いてもよい。但し、上記攪拌手段及び渦流発生手段として同一の手段を用いた場合、一層作業が容易になる。更に、本発明は、絶縁油80以外の油に対するフルフラール類の検出にも適用することができ、有機溶媒としても種々のものが使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された抽出装置の構成を表す正面図である。
【図2】 その抽出装置の構成を表す右側面図である。
【図3】 その抽出装置で使用される容器の構成を表す平面図である。
【図4】 その抽出装置の制御系の構成を表すブロック図である。
【図5】 その制御系でのフルフラール抽出処理を表すフローチャートである。
【図6】 その処理による絶縁油等の挙動を表す説明図である。
【符号の説明】
1…抽出装置 7…容器 9…パッキン 11…ターンテーブル
13…マグネチックスターラ 13a…攪拌子 15…スターラ基板
35…テーブル回転用モータ 41…サンプル保持バルブ
43,45…注射針 47…三方バルブ 51,61…針水平移動機構
53…濾過部 55,63…針昇降移動機構 57…真空ポンプ
59…エアポンプ 65…電子制御回路 70…液体クロマトグラフ装置
80…絶縁油 80a…油滴 90…アセト二トリル

Claims (6)

  1. 油の中に含まれるフルフラール類を抽出する油中フルフラール類の抽出方法であって、
    フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌し、
    該攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させ、
    該分離後の液に攪拌に至らない程度の渦流を発生させることにより、上記有機溶媒中に浮遊または容器壁面に付着した油滴を凝集または合一させ、
    続いて、上記渦流を消滅させた後、上記有機溶媒を採取してフルフラール類を抽出することを特徴とする油中フルフラール類の抽出方法。
  2. 上記攪拌及び上記渦流の発生のために、同一のマグネチックスターラを使用することを特徴とする請求項1記載の油中フルフラール類の抽出方法。
  3. 油の中に含まれるフルフラール類を抽出する油中フルフラール類の抽出装置であって、
    フルフラール類を溶解させる有機溶媒と上記油とを混合して攪拌する攪拌手段と、
    該攪拌後の混合液を静置して上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させたものに、攪拌に至らない程度の渦流を発生させる渦流発生手段と、
    上記渦流の消滅後に上記有機溶媒を採取してフルフラール類を抽出する抽出手段と、
    を備えたことを特徴とする油中フルフラール類の抽出装置。
  4. 上記攪拌手段及び上記渦流発生手段が、同一のマグネチックスターラであることを特徴とする請求項3記載の油中フルフラールの抽出装置。
  5. 上記有機溶媒と上記油とを混合して攪拌するに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動し、該攪拌後の混合液を上記有機溶媒と上記油とを2層に分離させるに足る時間上記マグネチックスターラを停止し、続いて、上記渦流を発生させるに足る速度で上記マグネチックスターラを駆動するマグネチックスターラ制御手段を、
    更に備えたことを特徴とする請求項4記載の油中フルフラール類の抽出装置。
  6. 上記抽出手段が、
    上記渦流消滅後の上記有機溶媒に針を挿入してその有機溶媒を吸引する吸引手段と、
    有機溶媒中のフルフラール類を定量分析する分析装置の近傍まで上記針を移動させる針移動手段と、
    上記吸引手段によって吸引された有機溶媒を、上記針を介して上記分析装置へ向けて吐出する吐出手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の油中フルフラール類の抽出装置。
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