JP3892624B2 - 調量装置及び薬剤散布機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯留タンクから流下せしめられる粉粒体又は液体の、流体状送給物の流下量を調節するための調量装置に係り、特に、薬剤散布機等において薬剤タンクと送風機との間に介装するのに好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、背負式薬剤散布機においては、実公平4−923号公報等にも見られるように、内燃エンジンにより回転駆動される遠心式送風機のボリュートケース上方に、粉粒体又は液体の薬剤を貯留する薬剤タンクが配備され、該薬剤タンクの出口と前記ボリュートケースとの間に調量装置が介装されており、前記薬剤タンク内の薬剤は、前記調量装置によりその流下量が調節されつつ、前記ボリュートケース内に吸い込まれるとともに、そこを流れる空気に乗って、その一側部に斜め下に向けて突設されている空気噴出口から、曲り管、蛇腹状のフレキシブル管、直噴管等を通じて、外部に噴出せしめられるようになっている。
前記の如き薬剤散布機等に使用される調量装置は、通常、薬剤が流下せしめられる通路部を開閉する、金属板等の板状体の蝶弁或いは絞り弁等からなるシャッターを備え、該シャッターの回動角度等に応じて、前記薬剤の流下量を調節するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した如くに、従来の調量装置においては、シャッターとして、板状体の蝶弁或いは絞り弁等が用いられているので、粉粒体の薬剤が使用される場合は、前記通路部と前記シャッターとの間で、前記薬剤がブリッジを形成して詰まることが多く、薬剤が円滑に流下しないという問題が生じていた。また、液体の薬剤が使用される場合には、前記シャッターが全閉状態であっても前記薬剤が漏れ出るおそれがあった。
【0004】
上記のような問題を解消すべく、使用する薬剤の性状に応じて、前記シャッターを取り替えることが考えられるが、従来の調量装置では、前記シャッターの交換作業時には、前記調量装置全体を取り外す等の手間のかかる作業が必要となる。また、前記薬剤タンクと前記調量装置とは別体であるので、それらの組み付け作業にも手間がかかるとともに、部品点数が多くなり、装置コストが高くなる嫌いがあった。
さらに、前記シャッターとして、金属板等の硬い材料が使用されることから、各部材の寸法、形状等を厳密に規定しなければならず、それによっても、装置コストが高くなる傾向があった。
【0005】
本発明は、前記のような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、流体状送給物である薬剤等を円滑に流下させることができるとともに、該薬剤等が不所望に漏れ出ることを防止でき、かつ、シャッターの交換、組み付け及び組み立て作業を容易に行うことができ、装置コストを可及的に抑えることができるようにされた調量装置、及び、それを備えた薬剤散布機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成すべく、本発明に係る調量装置は、流体状送給物が貯留される貯留タンクの出口下方に配設されるもので、前記貯留タンクからの前記送給物が流下せしめられる通路部を塞ぐように挿入されて固定される、ゴム等の弾力性を有する材料からなる筒状の内装部材及び該内装部材に回動可能に圧接挿入される回動シャッターからなるシャッターユニットを備え、前記内装部材は、前記送給物を流下させるべく、前記回動シャッターを介して連通せしめられる流入口及び流出口が形成されており、前記回動シャッターの回動角度に応じて前記通路部を流下する前記送給物の流下量を調節できるようにされていることを特徴としている。
【0007】
前記回動シャッターは、好ましくは、円柱状又は円筒状であり、その外周面部に、回動方向に沿って幅又は深さが連続的又は段階的に増大する調量凹部が形成される。
好ましい態様では、前記通路部の下方に、前記シャッターユニットを介して流下して来る前記送給物を所定方向に誘導案内する案内部材が配設され、また、前記通路部の前面側及び後面側の壁面部に挟まれるように前記内装部材が圧接挿入される。
【0008】
他の好ましい態様では、前記内装部材の回動及び変形を、前記案内部材に設けられた係止部により阻止するようにされる。
前記流入口、前記流出口、及び、前記調量凹部は、好ましくは、それぞれ前記内装部材及び前記回動シャッターの長さ方向に沿って同数個ずつ同一間隔で並設される。
【0009】
また、別の好ましい態様では、前記回動シャッターは、前記通路部の一側方に形成された装着口から前記通路部を横断するように挿入されるとともに、該装着口を塞ぐように取り付けられる蓋部材により、前記通路部に脱着可能に装着される。
【0010】
一方、本発明に係る薬剤散布機は、遠心式の送風機と、該送風機におけるボリュートケースの上方に配設された前記貯留タンクと、前記送風機を回転駆動するための原動機とを備え、前記ボリュートケースと前記貯留タンクとの間に、前記した如くの構成の調量装置が介装されてなる。
【0011】
前記した如くの構成とされた本発明に係る調量装置の好ましい態様においては、シャッターユニットが、弾力性のある材料からなる筒状の内装部材と、その中に回動自在に圧接挿入される回動シャッターと、からなっており、流体状送給物が流下せしめられる通路部に、前記内装部材(の外周部)が弾発的に圧接せしめられて固定されるとともに、前記内装部材の内周部に前記回動シャッターが回動自在に圧接して密着せしめられるので、前記回動シャッターが全閉のときは、前記シャッターユニットが前記通路部を液密的に密閉するシール部材として機能して前記通路部が完全に閉塞され、流体状送給物が粉粒体である場合は勿論、たとえ液体であっても、漏出を確実に抑えることができる。
【0012】
また、前記回動シャッターが回動せしめられると、その回動時において、前記回動シャッターと前記内装部材との間に挟まっている薬剤等の流体状送給物が押し出されるようにして容易に流下せしめられるので、流体状送給物をブリッジ等の詰まりを生じさせることなく円滑に流下させることができ、かつ、その後も、前記内装部材に設けられている流入口と流出口とが、前記回動シャッターに設けられている調量凹部を介して連通せしめられるので、前記回動シャッターの回動角度、言い換えれば、前記調量凹部の有効開口量(開口幅、開口深さ)に応じた量の流体状送給物が流下せしめられることになる。
また、前記シャッターユニットを流下した前記送給物は、その下方に配設された案内部材により所定の方向に誘導案内されるので、前記送給物の送給が安定する。
【0013】
さらに、前記シャッターユニットが、前記通路部の一側方に形成された装着口から前記通路部を横断するように挿入されるとともに、前記装着口を塞ぐように取り付けられる蓋部材により、前記通路部に脱着可能に装着されることにより、保守点検作業を容易に行えるとともに、使用する薬剤の性状に応じて回動シャッターを別のものに容易に交換することができる。
前記に加え、前記シャッターユニットは、内装部材がゴム等の弾力性のある材料で作製されるので、寸法精度等をさほど厳密に設定しなくて済み、かつ、組み付け、組立て作業が容易となり、装置コストを低減できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1、図2は、本発明に係る調量装置の一実施形態が採用された背負式薬剤散布機の一例を示している。図示実施形態の背負式薬剤散布機1は、ボリュートケース22及び羽根車24を有する遠心式送風機20が立てた姿勢で配備されている。該送風機20の前記ボリュートケース22は、渦巻室21を形成する裏面部22Aと表面部22Bとからなっており、このボリュートケース22における前記表面部22B側に、支持連結部材30を介して、前記送風機20を回転駆動するための原動機としての小型空冷2サイクル内燃エンジン50が搭載保持されている。
【0015】
また、前記ボリュートケース22の上方には、流体状送給物(ここでは粉粒体)としての散布薬剤Mが貯留される薬剤タンク2が設けられている。この薬剤タンク2は、一体成形構造となっており、合成樹脂材料を素材としてブロー成形により、前記ボリュートケース22の裏面部22A及び表面部22Bと一体成形されており、前記裏面部22A及び前記表面部22Bは、変形防止のために所定個所で所定本数のボルトナット類73(図3、図7参照)により締結されている。
【0016】
前記薬剤タンク2は、下部出口9側が窄められた漏斗状をしており、その上部には、蓋部材4が蓋装される薬剤投入口3が設けられている。前記ボリュートケース22の底面左右には、接地用クッションパッド43、43が取着されている。
【0017】
前記薬剤タンク2と前記ボリュートケース22との間には、後述する調量装置10が介装されている。この調量装置10は、前記薬剤タンク2の前記下部出口9に連なる通路部7に配設されている。該通路部7は、図2の左右方向を長さとする有底円筒状とされている。前記通路部7の前面側及び裏面側の壁面部7a、7bは、それぞれ前記裏面部22A及び表面部22Bに含まれている。
【0018】
前記内燃エンジン50は、例えば草刈り機等にも使用可能な、排気量が35mL程度の空冷2サイクル内燃エンジンであり、ピストン53が嵌挿されたシリンダ51には、周知の態様で排気ポート、掃気ポート等が設けられるとともに、そのクランク軸55の一端側(図1の右側)には、リコイルスターター56が設けられ、他端側にはマグネット58が鋳ぐるまれた冷却ファン兼用フライホイール57が一体回転可能に取り付けられている。また、前記マグネット58に対面するように、その上方位置に点火コイル59が配設されている。なお、図1中の二点鎖線矢印は、エンジン冷却用空気の流れを示している。また、前記内燃エンジン50の下方には、クッションゴム61、62を介して燃料タンク46が配設されている。
【0019】
前記冷却ファン兼用フライホイール57には、遠心クラッチ70のクラッチシュー等が連結され、前記遠心クラッチ70のクラッチドラム70aには、前記遠心式送風機20における羽根車24の回転軸23が一体に連結されている。言い換えれば、前記エンジン50の前記クランク軸55に、前記羽根車24の前記回転軸23が前記遠心クラッチ70を介して断接可能に連結されている。
【0020】
一方、前記ボリュートケース22に前記内燃エンジン50を取着せしめる前記支持連結部材30は、前記クランク軸55を中心とする概略短筒状をなしており、その前記送風機20側の外周端縁がボルト類により前記ボリュートケース22の前記表面部22B側に取付固定され、その下面部にはスタンド34が設けられている。この支持連結部材30の前記送風機20側には、前記羽根車24の前記回転軸23を軸支する軸受部37を有する内周支持部35が設けられている。この内周支持部35の内周、言い換えれば、前記ボリュートケース22から見て前記エンジン50側には、前記送風機20の空気吸込口26が形成されるとともに、所定枚数の外部空気案内板36が等角度間隔で設けられている。
【0021】
そして、前記支持連結部材30の外周、つまり、前記送風機20と前記エンジン50との間の部分には、前記送風機20の前記空気吸込口26に外部空気を導入するための空気取入口25が形成されており、前記エンジン50により前記羽根車24が回転駆動せしめられると、外部の空気は、図1において一点鎖線矢印で示される如くに、前記支持連結部材30に設けられた前記空気取入口25、前記空気吸込口26を介して、前記ボリュートケース22により画成された前記渦巻室21に吸入され、そこで加圧・加速されて右斜め下向きに突設されている噴出口29から外部に吹き出される(図2参照)。
【0022】
また、前記送風機20の前記ボリュートケース22における反エンジン側に位置する前記裏面部22Aが背負架台として機能するようになっており、前記裏面部22Aには、連結金具45等を介して背負バンドが取着されるようになっている。また、前記裏面部22Aには、クッション性を有する合成樹脂製の内部が中空の背当て40が接着等の手法により一体的に接合されている。この背当て40は、前記裏面部22Aから比較的大きく突出する、作業者の腰付近に当てられる下半部41と、作業者の背中に当てられる上半部42と、からなっている。
【0023】
一方、前記調量装置10は、図3〜図7を参照すればよくわかるように、流体状の送給物Mが貯留される前記貯留タンク2の前記下部出口9下方に配設されており、前記貯留タンク2からの前記送給物Mが流下せしめられる前記通路部7を塞ぐように挿入されて固定される、ゴム、樹脂発泡体等の、適宜の弾力性を有する材料からなる円筒状の内装部材12と、該内装部材12の中央貫通穴12Bに回動可能に圧接挿入される、樹脂、金属等の硬質材料からなる回動シャッター13と、で構成されたシャッターユニット11を備えている。該シャッターユニット11は、前記回動シャッター13の回動角度に応じて、前記通路部7を流下する前記送給物の流下量を調節できるようになっている。
【0024】
前記内装部材12は、前記通路部7を形成する前記両壁部7a、7bに挟まれるようにしてその中に圧接挿入されており、前記通路部7の内径より若干大なる外径を有する円筒状となっている。前記内装部材12には、図3、図4、図7を参照すればよくわかるように、前記送給物Mを流下させるべく、前記回動シャッター13を介して連通せしめられる流入口12A及び流出口12Cが、径方向上下に対向し、かつ、長さ方向に沿って所定間隔をあけて図示例では計6個ずつ並設され、さらに、その外周部には、径方向の膨縮性、柔軟性を増大させるべく、長さ方向に沿って長溝12aが前後三本ずつ周方向に略180°間隔をあけて形成されている。
【0025】
また、前記回動シャッター13は、内部に穴13Cが設けられた有底円筒状であり、その外周面部に、回動方向に沿って幅又は深さが段階的に増大するように、所定本の溝状の凹凸部14Aを有する調量凹部14が、前記内装部材12の前記流入口12Aと前記流出口12Cとの間に位置するように形成されている。すなわち、前記流入口12A、前記流出口12C、及び、前記調量凹部14は、それぞれ前記内装部材12及び前記回動シャッター13の長さ方向に沿って同数個ずつ同一間隔で並設されている。
【0026】
前記シャッターユニット11の一端部側(図3、図4の右側)は、前記通路部7に突設された有底円筒状の支持部7Bに嵌挿されており、その他端部(左)側は、前記内装部材12から前記回動シャッター13の他端部が突出せしめられており、その回動シャッター13の他端部には、抜け止め用鍔状部13Aが設けられるとともに、該抜け止め用鍔状部13Aより先側(左側)が、前記通路部7に突設された雄ねじ部付きの円筒状の装着口7Aに螺着せしめられる蓋部材15の軸受穴15aに嵌挿されるている。
前記シャッターユニット11は、その右端部を先頭にして前記装着口7Aから前記通路部7を左右方向に横断するように挿入されるとともに、左端部側において前記蓋部材15により、前記通路部7に脱着可能に装着される。
【0027】
前記回動シャッター13の他端には、非円形断面(平行面取り形)の軸端部13Bが突設されており、該軸端部13Bには、円形回動部材16が外嵌される。該円形回動部材16は、前記蓋部材15の外面側に位置せしめられる円形基体部16Aと、該円形基体部16Aに同軸で連設された、前記回動シャッター13が回り止め嵌挿される嵌合穴(図示せず)が設けられた連結部16Cと、からなっており、前記円形基体部16Aには、後述する調量用ボーデンケーブルを構成する第一のボーデンケーブル91及び第二のボーデンケーブル92のインナーケーブル91a、92aの後端部をなす端金具19c、19dが装着される装着穴16a、16bが180°間隔をあけて形成されるとともに、その外周部に前記インナーケーブル91a、92aの外れ止め用の円弧溝16dが形成されている。
【0028】
前記円形回動部材16は、その外側から座金18を介して前記回動シャッター13の左端部中央に形成された雌ねじ部13bにねじ込まれる止めねじ17により、前記回動シャッター13に一体回転可能に連結されている。
そして、前記円形回動部材16は、図2に示される如くに、前記ボリュートケース22の一側部(左側部)22Cに取り付けられた手動操作装置80の上部側に配設されている調量操作部81に配備されている薬剤調量レバー(図示せず)を回動操作することにより、前記第一及び第二のボーデンケーブル91、92を介して回動せしめられるようになっている。また、前記手動操作装置80の下部側に配設されているスロットル操作部82に配備されているスロットルレバー(図示せず)を回動操作することにより、第三のボーデンケーブル99を介して前記内燃エンジン50の気化器スロットル弁(図示せず)の開度が調節されるようになっている。さらに、前記調量操作部81と前記スロットル操作部82との間には、前記内燃エンジンを停止させる(点火系を非作動状態にする)停止スイッチ83が配備されている。
【0029】
なお、前記第一のボーデンケーブル91及び第二のボーデンケーブル92の後端側は、図3、図4に示される如くに、前記ボリュートケース22の左肩部付近に、く字状のステー90がボルト類95により取付け固定されている。このステー90の上端側に二つのの挿通穴90b、90aが形成されており、それらの挿通穴90b、90aにそれぞれ、前記第一のボーデンケーブル91及び前記第二のボーデンケーブル92のアウターチューブ91b、92bの一端部に設けられた雌ねじ付き調節金具91A、92Aが挿入されており、前記雌ねじ付き調節金具91A、92Aにはそれぞれ前記ステー90を挟むように一対のロックナット93、94が螺合せしめられている。そして、前記第一のボーデンケーブル91及び前記第二のボーデンケーブル92の前記インナーケーブル91a、92aの一端に取着された前記端金具19c、19dが、前記円形回動部材16に形成されている前記装着穴16b、16aが装着されている。
【0030】
一方、前記通路部7及び前記シャッターユニット11の下方には、該シャッターユニット11を介して流下して来る前記送給物Mを所定方向に誘導案内する案内部材75が、前記両壁部7a、7b間を締め付けるように螺合せしめられた二組のボルトナット類73、73により取り付けられている。
【0031】
この案内部材75は、前記内装部材12の前記流出口12Cからの送給物Mを漏らさず受け取って前記噴出口29側に送出(吸入)させるべく、前記渦巻室21を流れる搬送空気の流れ方向(前記噴出口29側)に向けて傾斜せしめられた断面コ字状の傾斜案内通路部76を有し、この傾斜案内通路部76の導出口(下流端)76a側が、前記渦巻室21内に若干入り込むように配在されれている。前記傾斜案内通路部76の前記導出口76aとは反対側の下面には、前記搬送空気の吹き上げを防止する吹き上げ防止板部78が設けられ、前記傾斜案内通路部76における中央部近くの下面には、当該案内部材75の組み付け等の便宜に供するための撮み部79が設けられている。
【0032】
また、図7に示される如くに、前記傾斜案内通路部76の一側(裏面側)壁部には、前記内装部材12の回動及び変形を阻止すべく、その内装部材12の外周部の長さ方向に沿って形成された係止溝12bに嵌入される係止部77が設けられている。
【0033】
かかる構成の調量装置10においては、非作動時(散布作業を行わないとき)には、前記回動シャッター13は、図7に示される如くに、その調量凹部(溝状凹凸部14Aを含む)14全体が上側に位置せしめられており、該調量凹部14が形成されていない部分が、前記内装部材12に弾発的に圧接して前記流入口12Aと前記流出口12Cとの連通を遮断し、前記通路部7を完全に密閉する全閉状態をとるようにされ、このときには、前記薬剤タンク2内の薬剤は、前記回動シャッター13により完全に止められて、下方に流下しない。
【0034】
それに対し、作動時(散布作業を行うとき)には、前記円形回動部材16が回動せしめられることに伴って、前記回動シャッター13が図7の全閉状態から時計回りの方向に回動せしめられる。これにより、前記調量凹部14と前記内装部材12の内周部との間に、前記回動シャッター13の回動角度に応じた、前記調量凹部14の幅及び深さ(有効開口面積)に相当する隙間が生じ、該隙間を通じて前記薬剤タンク2内の前記送給物である散布薬剤Mが、下方に流下せしめられる。この場合、前記調量凹部14は、前記回動シャッター11の円周方向に沿ってその幅が漸増するようになっているので、前記薬剤Mの流下量は、前記回動シャッター11の回動角度が増えるに従って増加し、前記隙間が最大となる図8に示される如くの回動位置で、薬剤流下量が最大となる。
【0035】
前記調量装置10の前記シャッターユニット11を通過した前記薬剤タンク2内の薬剤Mは、前記案内部材75の前記傾斜案内通路部76を通じて前記ボリュートケース22内に吸い込まれるとともに、そこを流れる搬送空気に乗って、その一側部に斜め下に向けて突設されている前記空気噴出口29(図2)から、図示していない曲り管、蛇腹状のフレキシブル管、直噴管等を通じて、外部に噴出せしめられて散布される。
【0036】
前記の如くに、本実施形態の調量装置10は、シャッターユニット11が、弾力性のある材料からなる筒状の内装部材12と、その中に回動自在に圧接挿入される回動シャッター13と、からなっており、流体状送給物Mが流下せしめられる通路部7に前記内装部材(の外周部)12が弾発的に圧接せしめられて固定されるとともに、前記内装部材12の内周部に前記回動シャッター13が回動自在に圧接して密着せしめられるので、前記回動シャッター13が全閉のときは、前記シャッターユニット11が、前記通路部7を液密的に密閉するシール部材として機能して、前記通路部7が完全に閉塞され、前記流体状送給物Mが粉粒体である場合は勿論、たとえ液体であっても、漏出を確実に抑えることができる。
【0037】
また、前記回動シャッター13が回動せしめられると、その回動時において、前記回動シャッター13と前記内装部材12との間に挟まっている薬剤等の流体状送給物Mが、押し出されるようにして容易に流下せしめられるので、流体状送給物Mを、ブリッジ等の詰まりを生じさせることなく円滑に流下させることができ、かつ、その後も、前記内装部材12に設けられている流入口12Aと流出口12Cとが、前記回動シャッター13に設けられている調量凹部14を介して連通せしめられるので、前記回動シャッター13の回動角度、言い換えれば、前記調量凹部14の有効開口量(開口幅、開口深さ)に応じた量の流体状送給物が、流下せしめられることになる。
【0038】
また、前記シャッターユニット11を流下した前記送給物Mは、その下方に配設された案内部材75により所定の方向に誘導案内されるので、前記送給物Mの送給が安定する。
さらに、前記シャッターユニット11が、前記通路部7の一側方に形成された装着口7Aから前記通路部7を横断するように挿入されるとともに、前記装着口7Aを塞ぐように取り付けられる蓋部材15により、前記通路部7に脱着可能に装着されることにより、保守点検作業を容易に行えるとともに、使用する薬剤の性状に応じて回動シャッターを別のものに容易に交換することができる。
前記に加え、前記シャッターユニット11は、前記内装部材12がゴム等の弾力性のある材料で作製されるので、寸法精度等をさほど厳密に設定しなくて済み、かつ、組み付け、組立て作業が容易となり、装置コストを低減できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において適宜変更できるものである。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、流体状送給物である薬剤等を円滑に流下させることができるとともに、該薬剤等が不所望に漏れ出ることを防止でき、かつ、シャッターの交換、組み付け及び組み立て作業を容易に行うことができ、装置コストを可及的に抑えることができるようにされた調量装置、及び、それを備えた薬剤散布機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る調量装置の一実施形態が備えられた背負式薬剤散布機の一例を示す部分切欠左側面図。
【図2】図1のII矢視線に従うエンジンを取り外した部分切欠正面図。
【図3】図1に示される薬剤散布機における調量装置周辺部を部分的に切り欠いて示す要部拡大正面図。
【図4】図3に示される調量装置を示す分解斜視図。
【図5】図3に示される調量装置の回動シャッターをを示す斜視図。
【図6】図3に示される調量装置のシャッターユニット示す部分切欠拡大斜視図。
【図7】図3に示される調量装置の全閉状態を示す部分拡大縦断面図。
【図8】図3に示される調量装置の全開状態を示す部分拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 背負式薬剤散布機
2 薬剤タンク(貯留タンク)
7 通路部
7A 装着口
7a、7b 壁面部
9 出口
10 調量装置
11 シャッターユニット
12 内装部材
12A 流入口
12C 流出口
13 回動シャッター
14 調量凹部
15 蓋部材
20 遠心式送風機
22 ボリュートケース
50 空冷2サイクルガソリンエンジン(原動機)
75 案内部材
77 係止部
M 送給物(散布薬剤)

Claims (9)

  1. 流体状の送給物(M)が貯留される貯留タンク(2)の出口(9)下方に配設される調量装置(10)であって、
    前記貯留タンク(2)からの前記送給物(M)が流下せしめられる通路部(7)を塞ぐように挿入されて固定される、ゴム等の弾力性を有する材料からなる筒状の内装部材(12)及び該内装部材(12)に回動可能に圧接挿入される回動シャッター(13)からなるシャッターユニット(11)を備え、前記内装部材(12)は、前記送給物(M)を流下させるべく、前記回動シャッター(13)を介して連通せしめられる流入口(12A)及び流出口(12C)が形成されており、前記回動シャッター(13)の回動角度に応じて前記通路部(7)を流下する前記送給物(M)の流下量を調節できるようにされてなる調量装置。
  2. 前記回動シャッター(13)は、円柱状又は円筒状であり、その外周面部に、回動方向に沿って幅又は深さが連続的又は段階的に増大する調量凹部(14)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調量装置。
  3. 前記通路部(7)の下方に、前記シャッターユニット(11)を介して流下して来る前記送給物(M)を所定方向に誘導案内する案内部材(75)が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の調量装置。
  4. 前記通路部(7)の前面側及び裏面側の壁面部(7a、7b)に挟まれるように前記内装部材(12)が圧接挿入されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調量装置。
  5. 前記内装部材(12)の回動及び変形を、前記案内部材(75)に設けられた係止部(77)により阻止するようにされていることを特徴とする請求項3又は4に記載の調量装置。
  6. 前記流入口(12A)、前記流出口(12C)、及び、前記調量凹部(14)は、それぞれ前記内装部材(12)及び前記回動シャッター(13)の長さ方向に沿って同数個ずつ同一間隔で並設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の調量装置。
  7. 前記シャッターユニット(11)は、前記通路部(7)を液密的に密閉するシール部材としても機能するようにされていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の調量装置。
  8. 前記シャッターユニット(11)は、前記通路部(7)の一側方に形成された装着口(7A)から前記通路部(7)を横断するように挿入されるとともに、前記装着口(7A)を塞ぐように取り付けられる蓋部材(15)により、前記通路部(7)に脱着可能に装着されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の調量装置。
  9. 遠心式の送風機(20)と、該送風機(20)におけるボリュートケース(22)の上方に配設された前記貯留タンク(2)と、前記送風機(20)を回転駆動するための原動機(50)と、を備え、前記ボリュートケース(22)と前記貯留タンク(2)との間に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の調量装置(10)が介装されていることを特徴とする薬剤散布機。
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