JP3892515B2 - 線状光源装置およびこの線状光源装置を用いた画像読み取り装置 - Google Patents

線状光源装置およびこの線状光源装置を用いた画像読み取り装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本願発明は、線状光源装置およびこの線状光源装置を用いた画像読み取り装置に関する。たとえば、本願発明の線状光源装置は、読み取り面に密着させながら搬送される原稿をラインごとに読み取るように構成された画像読み取り装置、すなわち密着型イメージセンサの原稿照明に好適に採用しうるものである。
【0002】
密着型イメージセンサの従来の一般的な構成を図10に示す。このイメージセンサaは、ケーシングbの上面に透明ガラス板からなる原稿読み取り面を備え、その原稿読み取り面cに密着させるようにしてプラテンdによってバックアップされながら搬送される原稿eの画像を、1ライン毎に読み取るように構成されている。
【0003】
ケーシングbの下面には、基板fが取付けられ、この基板fには、所定数の受光素子が造りこまれたイメージセンサチップgが、複数個一列に取付けられている。たとえば、A4幅の原稿を8ドット/mmの読み取り密度で読み取るためには、受光素子は、125μmピッチで1728個配置される。1個のイメージセンサチップgには、たとえば96個の受光素子が一体に造りこまれ、したがってこの場合、18個のイメージセンサチップgのが基板f上に一列の搭載されることになる。
【0004】
原稿読み取り面cに設定された読み取りラインLの鉛直方向下方位置には、上記イメージセンサチップgが配列され、かつ、読み取りラインLとイメージセンサチップgとの間には、レンズアレイhが配置される。このレンズアレイhは、読み取りラインL上の画像を正立等倍に上記複数個のイメージセンサチップg上に配列された1728個の受光素子上に集束させるためのものである。
【0005】
ケーシングb内の上記読み取り面cの下方に形成された空間には、読み取りラインL上の原稿を照明するために光源が設けられる。従来、この光源としては、LEDチップjが採用されることが多く、そして、原稿の幅と対応する長さの読み取りラインLの全長の領域を照明するために、複数個のLEDチップjが等間隔に基板f上に搭載された恰好で配置される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の構成を備える従来の密着型イメージセンサaにおいては、特に、その原稿照明のための構成に関連して、次のような種々な問題がある。
【0007】
第1に、点的な光源であるLEDチップjが離散的に配置されていることから、光源から所定距離における明るさが照明領域の長手方向について周期的に強弱変化するため、受光素子の出力が読み取りラインLの長手方向に一定しない。すなわち、たとえば、読み取りラインLに沿って同じ明度の原稿を読み取ったとしても、イメージセンサとしての出力においては、ラインLの長手方向に周期的な強弱変化が出てしまう。このことは、読み取り品質の悪化につながり、このような読み取り品質の悪化を補償しようとすれば、複雑な補正回路を必要とし、この種の密着型イメージセンサのコストアップにつながる。
【0008】
第2に、複数個のLEDチップjを光源として使用するため、LEDチップjごとの光度のバラツキに起因して、読み取り品質の悪化が起こる。白黒画像を読み取る場合には、このような各LEDチップの光度のバラツキがそれほど問題とはならないが、カラー画像を読み取るように密着型イメージセンサを構成する場合には、読み取り画像品質の著しい悪化につながる。読み取り素子を共通使用して、カラー画像読み取り用のイメージセンサを構成する場合、R、G、Bの3色の光源を配置し、光源の発光色を切り換えながら1ラインごとに各色の画像を読み取ることになるが、上記のようにLEDチップの光度のバラツキがある場合、各色ごとの画像データを合成してカラー画像を再現した段階において、画像の幅方向に色調のバラツキがを生じる。このような色調のバラツキは、見た目には、想像以上に強調されたものとなるので、再現カラー画像の品質が著しく低下してしまう。このような色調の補正は、各LEDチップの光度や色のバラツキを精密に測定しつつ、複雑な調整を経て行わねばならず、この種の密着型イメージセンサの低価格大量生産に到底たよるものではない。
【0009】
第3に、1つのイメージセンサを構成する場合、照明用光源として複数個のLEDチップjを必要とするため、その分製造コストが高くなる。特に、原稿読み取り面cでの照明の明るさの変化をできるだけ少なくするためには、原稿読み取り面からLEDチップまでの距離を比較的長く設定する必要がある。しかし、その場合には、光源から出た光のわずかしか実質的に照明光として利用することができず、多くの光が無駄になる。したがって、照明エネルギ効率が著しく悪い。
【0010】
本願発明はこのような事情のもとで考え出されたものであって、上記のような従来例の各問題を解決し、線的な領域を照明する機構を構成する場合において、照明領域の全長にわたる明るさのバラツキを簡単な構成によってできるだけなくし、光源の数を減らして照明装置のコストダウンを図ることができるとともに、照明エネルギ効率を著しく向上させることをその課題としている。
【0011】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の各技術的手段を採用した
【0012】
本願発明の第1の側面によって提供される線状光源装置は、長尺状の透明部材の厚み方向一側の、長手方向に一定幅で延びる第1側面の略全域を鏡面仕上げされた光出射面とするとともに、上記光出射面と厚み方向に対向し、長手方向端部に向うほど上記光出射面との距離が縮小し、長手方向全長にわたって上記第1側面よりも幅広の第2側面の長手方向中間部に光入射部が形成され、かつ上記第1側面と第2側面とをつなぎ、幅方向に対向する第3側面および第4側面を備えた導光部材と、この導光部材の上記光入射部に配置した光源とを備え、上記光入射部から導光部材内に入射させた光を上記導光部材の内部においてその長手方向に進行させ、上記光出射面の全域または略全域から出射させるようにした線状光源装置であって、上記第2側面における上記光入射部以外の領域は、幅方向に延びる凹溝が複数形成されるとともに、鏡面仕上げされた凹凸面とされており、上記導光部材における上記第2側面に沿って、反射面が配置されていることを特徴としている。
【0013】
導光部材の鏡面仕上げされた面にその内部から入射する光は、この導光部材の屈折率によって規定される臨界入射角(入射角は境界面の法線に対する角度)よりも大きな入射角の場合は境界面で全反射して導光部材の内部に戻り、上記臨界入射角よりも小さな入射角の場合は、境界面を突き抜けて外部に出射する。上記構成の導光部材においては、その光入射部から導入された光が、鏡面仕上げされた境界面において全反射しながら導光部材の長手方向に進行する。そして、こうして導光部材の長手方向に光が進行していくうちに、光出射面である第1側面への入射角が上記臨界入射角よりも小さい場合に、光は光出射面から外部に照射される。このようにして、たとえば、上記導光部材の長手方向中間部に1箇所の光入射部を設け、この光入射部に単一光源からの光を導入させることにより、上記導光部材の第1側面において長手方向に線状に形成される光の出射面の全域から満遍なく光を出射させることができる。
【0014】
そして、上記好ましい実施形態においては、光入射部が設けられた第1側面における上記光入射部以外の領域には、導光部材の幅方向に延びる凹溝が複数形成されている。このような凹溝によって形成された凹凸面は、導光部材の内部からこの凹凸状の境界面に入射した光をあたかも乱反射のごとく様々な方向に反射させる作用をする。これによって、光出射面(第1側面)に臨界入射角よりも小さな角度で入射する光を確保し、このような凹凸の密度や大きさを調整することにより、線状に延びる光出射面の全域から出射する光の量を長手方向に均一化することができる。
【0015】
ところで、前述のように、上記第2側面に形成される凹凸面は、導光部材の幅方向に延びる凹溝によって形成されている。したがって、導光部材の内部からこの凹凸状の境界面に入射した光が導光部材の幅方向に広がりながら反射することを抑制し、仮に導光部材の幅方向の側面を鏡面仕上げ面とした場合においても、この幅方向の側面から外部に漏れ出る光を極力抑制して、照明効率の向上を図ることができる。
【0016】
そして、本願発明においては特に、上記導光部材における、光入射部が形成された側面に沿って、反射面が配置されている。前述したように、好ましい実施形態においては、光入射部が形成された側面には、凹凸面が形成されており、しかもその凹凸面は、好ましくは鏡面仕上げされた凹凸面とされる。したがって、導光部材の内部からこの凹凸面に入射する光の一部が、その境界面で全反射することなく外部に放射されることがあるが、本願発明においては、このように凹凸面から外部に漏れ出た光を上記反射面によって反射させ、再度上記凹凸面から導光部材の内部に導入することができる。したがって、光源からの光が無駄になることを、さらに抑制し、全体として、この線状光源装置の照明効率を著しく向上させることができる。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記第1側面における上記光入射部と対向する部位には、表面仕上げ面または全反射面、あるいはそれらの複合面とされた2つの傾斜面をもつV字状または略V字状の凹入部が形成されており、上記光入射部から入射した光を上記傾斜面で全反射させて導光部材の長手方向端部方向に進行させるように構成されている。このような凹入部の構成は、光入射部から導光部材内に導入された光の多くが導光部材を貫通してそのまま外部に出射することを有効に回避するための構成である。すなわち、上記凹入部を形成しない場合、光第1側面における光入射部に近い部位での入射角が臨界入射角より小さくなり、第1側面の内側から到達した光の多くがそのまま第1側面の境界面で反射することなく外部に出射してしまう。このような場合、外部から見た場合、導光部材の光出射面の長手方向中間部に輝点が表れ、線状光源装置として、その光出射面からの満遍のない光の出射が阻害される。上記構成においては、V字状の凹入部を形成することにより、その傾斜面に対する導光部材内部からの光の入射角を大きくして光の全反射を促し、上記のような輝点の出現を効果的に回避することができるのである。この凹入部は、その全てを鏡面仕上げ面としてもよいが、部分的に光沢金属を蒸着するなどして形成される全反射面としてもよい。この全反射面の形成領域を選択することにより、第1側面の光出射面から出射される光の量のバラツキを調整して、線状の光出射面からの光の量を極力均一化することができる。
【0018】
好ましい実施形態において、第2側面の凹凸面は、平面または略平面状の第1側面に複数の断面半円弧状の凹溝を形成することによって達成することができる。
【0019】
断面半円弧状の凹溝によって境界を形成する場合、ほぼ一定方向から入射した光の反射方向を放射状の広がりをもったものとすることができる。
【0020】
他の実施形態において、上記第2側面の凹凸面は、平面または略平面状の第1側面に複数の断面鋸刃状の凹溝を形成することによって達成されている。このような段面鋸刃状の凹溝による境界面においては、ほぼ一定方向から入射した光をほぼ一定の方向に反射させることができる。
【0021】
凹溝の断面形態を選択することにより、反射効率や反射方向を勘案しつつ、線状の出射面からの出射光を均一化することができる。
【0022】
好ましい実施形態においてはさらに、上記導光部材の長手方向端面は、鏡面仕上げ面とされており、かつ上記反射面は、上記導光部材の長手方向端面に沿うように延長されている。
【0023】
このように構成すれば、導光部材の長手方向端面を第1側面や第2側面あるいはそれ以外の面と同様に鏡面仕上げ面とした場合においても、この端面に臨界入射角よりも小さい角度で入射するためにこの端面を透過して外部に漏れ出る光を反射によって再び導光部材内に導入させることにより、光源からの光が無駄になることを抑制し、全体として、線状光源装置としての効率をさらに高めることができる。
【0024】
好ましい実施形態においては、光入射部に配置される光源として、R、G、Bの3色のLEDが、上記導光部材の幅方向に配列されている。
【0025】
すなわち、この実施形態に係る光源装置は、カラー画像を読み取るために構成される密着型イメージセンサの光源装置として好適に利用できるものである。各色において、読み取り領域の長手方向に照明強度の偏在がなくなることに加え、各色のLEDが導光部材の幅方向に配列されているため、線状照明領域に対する各色の光源装置の位置が長手方向に同位置となり、各色間の照明強度の偏在も回避することができる。
【0026】
また、青色(B)発色および緑色(Pure Green)発色のLEDは、実用化されているとはいえ、黄緑色発光あるいは赤色(R)発光のLEDの数倍ないし数十倍の価格であることに鑑みると、本願発明によれば、R、G、B各色のLEDは各1個用いることによって、カラー画像の読み取りのための光源装置を構成することができる。このことは、この光源装置の著しいコストダウンを期待することができることを意味する。
【0031】
本願発明の第の側面によって提供される画像読み取り装置は、ケーシングの一面に形成された原稿読み取り面上を接触搬送される原稿に上記ケーシング内に設けられた光源装置からの光を照射し、上記原稿読み取り面上の設定された読み取りラインにおける原稿からの反射光を上記ケーシング内に上記読み取りライン方向に配列された複数の受光素子に受光させるようにした画像読み取り装置であって、上記光源装置として、上記本願発明の第1の側面に係るいずれかの線状光源装置を用い、その光出射面から出射させた光が上記読み取りライン上の原稿を照明するようにしたことを特徴としている。
【0032】
このような画像読み取り装置の利点は、本願発明の第1の側面によって提供される線状光源装置についての前述の説明から、明らかであろう。
【0033】
そして、この画像読み取り装置の好ましい実施形態においては、上記導光部材の第2側面に沿って配置される反射面を、上記ケーシングの内面を利用して形成することができる。
【0034】
すなわち、上記反射面は、光沢金属板、あるいは樹脂板などの板材の表面に光沢金属を蒸着するなどして光沢面を形成した部材を用いて形成することができるが、このような別部材を用いることなく、ケーシングの内面の選択した領域を光沢面とすることにより、部材点数を削減しつつ、前述したような本願発明に係る線状光源装置の構成による作用効果を期待することができるのである。
【0035】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して、以下に行う詳細な説明からより明らかとなろう。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は本願発明に係る線状光源装置10の第1の実施形態の部分断面側面図、図2は平面図、図3は長手方向中央部の部分拡大側面図、図4は図1のIV−IV線に沿う拡大断面図、図5は図1のV−V線に沿う拡大断面図である。
【0037】
本願発明に係る線状光源装置10は、たとえば、PMMA等のアクリル系透明樹脂を成形して得られる導光部材20がその主要部を占めている。この導光部材20は、所定の長手方向寸法を有する長尺状の部材であり、上下厚み方向の第1側面20Aと、この第1側面20Aと厚み方向に対向する第2側面20Bと、左右幅方向に相互に対向する第3側面20Cおよび第4側面20Dと、長手方向端面20E,20Eとを有している。
【0038】
上記第1側面20Aは、好ましくは、鏡面仕上げされた平坦面とされ、後述するように、この第1側面20Aは、所定幅をもった線状の光出射面21として機能する。第2側面20Bは、その長手方向中央部から端部方向に向かうにつれ、上記第1側面20Aとの間の距離が次第に縮小する傾斜面となっており、その表面は、導光部材20の幅方向に延びる断面円弧状の凹溝22を全長にわたって複数形成した凹凸面となっている。そして、この実施形態においては、上記第2側面20Bの長手方向中央部が、光入射部23として設定されている。さらに、図4および図5によく表れているように、幅方向の第3側面20Cおよび第4側面20Dは、光出射面21である第1側面20Aに向かうほどそれらの間隔が縮小されており、その結果、この導光部材20は、光入射部23が形成された第2側面20Bから光出射面21である第1側面20Aに向かうほど横幅が縮小された、横断面台形状をなしている。
【0039】
そして、上記導光部材20の第1側面20Aにおける長手方向中央部、すなわち、上記第2側面20Bに設定された光入射部23と上下厚み方向に対向する部位には、略V字状の凹入部24が形成されている。すなわち、この凹入部24は、二つの傾斜面24a,24bによって形成されている。
【0040】
上記構成の導光部材20は、その全ての外表面を鏡面仕上げ面とすることができる。なおこの鏡面仕上げ面とは、研磨加工によって鏡面とするほか、金型による成形によって滑らかな表面を得ることも含む概念である。しかしながら、この導光部材20の外表面の選択された領域は、たとえば光沢金属を蒸着するなどして、全反射面25とすることができる。図に示す実施形態においては、上記第1側面20Aの略V字状凹入部24の選択された領域、すなわち、このV字状の凹入部24の谷底部、および、傾斜面24a,24bと平坦状の第1側面20Aとを繋ぐ部分を、上記のような全反射面としている。
【0041】
上記第2側面20Bの長手方向中央部に形成される光入射部23には、図3によく表れているように、導光部材20の幅方向に延びる凹溝23aを形成している。この光入射部23には、光源としてのLEDが配置される。図に示す実施形態においては、図4によく表れているように、基板31上に担持されたR、G、Bの3個のLED30R,30G,30Bが、導光部材20の幅方向に配列されている。上記したように、光入射部23の凹溝23aは、上記LED30R,30G,30Bが適切に嵌合しうる幅を有しており、この凹溝23aが、LED30R,30G,30Bの導光板長手方向の位置決め作用をなしている。
【0042】
上記線状光源装置10においてはさらに、上記のような凹凸面が形成された導光板20の第2側面20Bに沿うようにして、反射面40が配置されている。この反射面40としては、たとえばアルミニウムなどの光沢金属板を折曲形成することによって得られた部材を採用することができる。さらに、本実施形態においては、上記反射面40を形成するべき部材41の両端部を折り曲げ、この折り曲げ部40aが上記導光部材20の長手方向端面20Eに沿うように延長されている。
【0043】
反射面40を形成するためには、上記のような光沢金属板を用いるほか、たとえば樹脂板の表面に光沢金属箔を蒸着するなどして達成することもできる。
【0044】
以下、上記構成の線状光源装置10の作用について具体的に説明する。
【0045】
まず、上記透明部材からなる導光部材20は、その外表面のほとんどがいわゆる鏡面仕上げ面とされている。この鏡面仕上げ面に導光部材の内部から到達した光は、その入射角によって次のように進む。すなわち、境界面にいわゆる臨界入射角よりも大きな角度で入射した光は、外部に出射されることなく、その全てが全反射する。そして、上記臨界入射角よりも小さな角度で入射した光は、境界面を透過して外部に出射される。このような鏡面仕上げ面での全反射は、100%の全反射であり、ほとんど損失がない。また、光沢金属の蒸着などによって形成された全反射面25に内部から到達した光は、その入射角度にかかわりなく全反射させられる。ただし、このような全反射面による反射には、やや損失が生じる。
【0046】
図3を参照して、光源30であるLED30R,30G,30Bからの光は、側面視においてほぼ180°の放射角をもって導光部材20の内部に入射される。本実施形態においては、上記光入射部23と導光部材20の厚み方向に対向する部位に、2つの傾斜面24a,24bを有する略V字状の凹入部24が形成されている。したがって、上記光源30から導光部材20の上下厚み方向に進行する光の上記傾斜面24a,24bに対する入射角度を臨界入射角よりも大きくすることができ、したがって、上記のようにして光源30から導光部材20の上下厚み方向に進行する光の多くが、上記V字状の凹入部24を形成する傾斜面24a,24bにおいて、全反射によって方向変換され、導光部材20の長手方向両端部に向けて進行させられる。本実施形態においては特に、上記凹入部24の谷底部近傍ならびに凹入部24を形成する傾斜面24a,24bと第1側面20Aとの境界部に光沢金属の蒸着等によって得られる全反射面25を形成しているので、これらの部位から光が透過して輝点が出現することを有効に回避している。
【0047】
上記のようにして導光部材20の長手方向に進行する光は、導光部材20の各側面で全反射を繰り返しながらさらにその長手方向端部に向けて進行し、光出射面21である第1側面20Aにおいて、これに対して臨界入射角よりも小さな角度で入射した光が外部に出射される。理想的には、長手方向に一定の寸法を有する線状の光出射面21の全域から均等に光が出射されることが望ましいが、このように光出射面21からの均等な光の出射を実現するために、本実施形態では次のような手段が講じられている。
【0048】
すなわち前述したように、第2側面20Bに、導光部材20の幅方向に延びる断面円弧状の凹溝22を、長手方向にわたって複数形成することにより、凹凸面を形成している。この凹凸面もまた、成形によって達成される鏡面仕上げ面としておいてよい。この凹溝22の表面に導光部材20の内部からほぼ同一方向で入射する光は、放射状に分散反射させられる。ただし、この場合も、入射角が臨界入射角よりも大きい場合という条件の下においてである。このようにして、導光部材20の厚み方向へ方向転換させられた光の一部が出射面21である第1側面20Aから外部に出射させられることになる。
【0049】
なお、導光部材20の長手方向中央部に光源30が配置されているこの実施形態においては、上記光源30から近い場合には光の密度が高く、端部に向かうにつれて光の密度が小さくなると考えられる。したがって、上記第2側面20Bに形成される凹溝22は、相互の間隔が導光部材20の端部に向かうほど小さくすることが望まれる。このようにすれば、導光部材20の端部に向かうほど、上記凹溝22の内面によって導光部材20の上下厚み方向に方向転換される光の量が増大し、導光部材20の端部に向かうほど光の密度が小さくなることを補償して、光出射面21からの出射光の均一化を達成することができる。
【0050】
また、本実施形態においては、上記導光部材20の上下方向厚みが、長手方向中央部から両端部に向かうにつれて縮小させられている。このこともまた、光源30から遠ざかるにしたがって導光部材20内の光の密度が減少することを補償して、長手方向に一定の長さを有する線状の光出射面から均一な発光を達成することに大きく寄与している。
【0051】
なお、この実施形態においては、第2側面20Bに形成するべき凹凸を、断面円弧状の凹溝22によって達成したが、このような凹溝の断面形態はこれに限らず、たとえば、図8に示すように、断面鋸刃状の凹溝を形成してもよい。ただし、この場合においても、これらの凹溝22は、導光部材20の幅方向に延びる凹溝とするべきことが重要である。前述したように、このように凹溝を導光部材の幅方向に延びるようにすることにより、この凹溝の内面によって反射する光が導光部材の幅方向に広がることを抑制することができるからである。
【0052】
そして、本実施形態では、上記凹凸面は、特に、導光部材20の幅方向に延びる凹溝22によって形成している。したがって、この凹溝22の内面によって反射する光が導光部材20の幅方向に広がるのを抑制し、導光部材20の幅方向の第3側面20Cおよび第4側面20Dから無駄な光が外部に出射されるのを防止し、光源装置10としての効率を高めることができる。
【0053】
上記第2側面20Bに形成された凹凸面に導光板内部から入射する光の一部は、この第2側面20Bから外部に出射されてしまうが、このように外部に出射された光は、上記反射面40によって反射させられて再び第2側面20Bから導光部材20の内部に戻される。したがって、このことによっても、光源装置10としての高い効率を維持することができる。
【0054】
本実施形態においては、さらに、図1に表れているように、導光部材20の端面20Eに沿うように、上記反射面40が延長させられている。したがって、上記端面20Eから外部に出射される光もまた、この反射面40によって導光部材20の内部に戻される。したがって、このことによっても、光源装置10としての効率を高めることができる。
【0055】
このように、本実施形態に係る線状光源装置10の導光部材20は、そのほとんど全ての外表面を鏡面仕上げ面とした、単純な成形品として構成しても、線状の光出射面21から長手方向に均一な光出射をさせることができるとともに、光が無駄になることを極力防止した、きわめて効率の高いものとすることができる。図に示す実施形態においては、第1側面20Aに形成した略V字状の凹入部24の一部に全反射面25を形成したが、この全反射面もまた、金属蒸着によるのではなく、光沢金属ピースを添着させるようにすれば、導光部材20として、全くの樹脂成形品を採用し、工程が複雑でコスト上昇を招く金属蒸着等の手法を用いてわざわざ全反射面を形成することなく、効率的な光源装置が達成できるのである。
【0056】
さらに、本実施形態においては、導光部材20は、図4および図5に表れているように、第2側面20Bから光出射面21である第1側面20Aに向かうにつれて次第に幅が縮小されている。したがって、光源30からの光を適正に導光部材20の全域に行きわたらせながら、一定の密度に高められた光を線状出射面21から効率よく出射させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態においては、光源30として、R、G、Bの3色のLED30R,30G,30Bを導光部材20の幅方向に配列している。各色のLED30R,30G,30Bの導光部材20の長手方向の位置が同一となっているので、各色のLEDの点灯状態での光出射面からの発光量の分布を、各色について同様とすることができる。
【0058】
また、各色のLED30R,30G,30Bの出力を調整することにより、フルカラーの発色が可能となる。また、後述するように、各色のLED30R,30G,30Bを順次切り換えて発光させることにより、受光素子を共通使用する形態の密着型カラーイメージセンサの光源装置として機能させることができる。
【0059】
図6および図7は、図1ないし図5に示した線状光源装置10を利用した密着型カラーイメージセンサ50を示している。このイメージセンサ50は、ケーシング51の上面に透明ガラス板からなる画像読み取り面52を備え、この画像読み取り面52に密着させるようにしてプラテン53によってバックアップしながら搬送される原稿Dの画像を、1ラインごとに読み取るように構成されている。ケーシング51の下面には、基板54が取付けられ、この基板54には、所定数の受光素子が造りこまれれたイメージセンサチップ55が複数個一列に取付けられている。たとえばA4幅の原稿を8ドット/mmの読み取り密度で読み取るためには、上記受光素子が125μmピッチで1728個配置される。1個のイメージセンサチップ55には、たとえば96個の受光素子が一体に造りこまれ、したがって、この場合、18個のイメージセンサチップ55が基板状に配列されることになる。
【0060】
画像読み取り面52に設定された読み取りラインLaの鉛直方向下方位置には、上記複数個のイメージセンサチップ55が配列され、かつ読み取りラインLaとイメージセンサチップ55との間には、レンズアレイ56が配置される。このレンズアレイ56は、読み取りラインLa上の画像を、正立等倍に上記複数個のイメージセンサチップ55上の1728個の受光素子上に集束させる。ケーシング51内の上記画像読み取り面52の下方において、上記レンズアレイ56の側方に設定された空間には、図1ないし図5に示した形態をもつ線状光源装置10が配置される。この場合、導光部材20の左右幅方向中心線Lbが、上記画像読み取り面52の読み取りラインLaを向くように配置される。
【0061】
そして、上記導光部材20の第2側面20Bにおける光入射部23に隣接させるようにして、基板31上に搭載されたR、G、B各色発光の3個のLED30R,30G,30Bが導光部材20の左右幅方向に配列されるとともに、上記第2側面20Bに沿うように配置される反射面40を形成する部材41もまた、所定のようにケーシング51内に組み込まれる。
【0062】
なお、この場合、上記反射面40を光沢金属板あるいは樹脂板に光沢表面を施した部材41を用いるほか、ケーシング51の内面の選択された領域に光沢性のテープを貼着したり、光沢性の金属を蒸着したりすることによって形成することができる。このように、ケーシング51の内面を利用して上記反射面40を形成することにより、イメージセンサ50としての部材点数が削減され、その組み立て性が向上するとともに、コストダウンが達成できる。
【0063】
上記導光部材20の光出射面21から発した光は、読み取りラインLa上の原稿Dを効率よく照射する。そして、原稿Dを所定ピッチずつ送りながら読み取りラインLa上の原稿の画像のR、G、B各色ごとの画像データは、各色のLED30R,30G,30Bを切り換え点灯させながら、イメージセンサチップ55によって順次読み取られる。
【0064】
上記密着型カラーイメージセンサ50においては、線状光源装置10は、各色1個のLED30R,30G,30Bから発した光を所定長さの照明領域に均等に広げて照射するように構成しているので、複数個のLEDを使用する場合に想定される、読み取り幅方向の光の偏在、各LEDの発光色の微妙な相違等に起因した読み取り画像の色調の変化等の画像読み取り品質の低下要因を効果的に解消することができる。また、各色のLED30R,30G,30Bを、導光部材20の長手方向同位置に配置しているので、各色のLEDが読み取り幅方向に配列される場合に想定される読み取り画像の色調の変化をも効果的に回避することができる。さらに、導光部材20内を進行させた光は、導光部材20の第1側面20Aにおける細幅線状の光出射面21から集中的に出射させられるので、照明効率が非常に良く、各色1個のLED30R,30G,30Bを用いてるにもかかわらず、充分な照明光量を確保することができる。さらに、導光部材20の長手方向中間部に光源であるLED30R,30G,30Bを配置しているので、たとえば、導光部材20の端部に光源であるLED等を配置することに比較し、ケーシング51の長手方向寸法が節約され、この種の密着型イメージセンサ50の小型化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の線状光源装置の一実施形態を示す部分断面側面図である。
【図2】 図1に示す線状光源装置の平面図である。
【図3】 図1に示す線状光源装置の部分拡大側面図である。
【図4】 図1のIV−IV線に沿う拡大断面図である。
【図5】 図1のV−V線に沿う拡大断面図である。
【図6】 本願発明の画像読み取り装置の一実施形態を示す断面図である。
【図7】 図6のVII −VII 線に沿う断面図である。
【図8】 本願発明の線状光源装置の他の実施形態を示す部分断面側面図である。
【図9】 従来の画像読み取り装置を示す断面図である。
【符号の説明】
10 線状光源装置
20 導光部材
20A 第1側面
20B 第2側面
21 光出射面
22 凹溝
23 光入射部
24 凹入部
24a,24b 傾斜面
30 光源
30R 赤色(R)発光LED
30G 緑色(G)発光LED
30B 青色(B)発光LED
40 反射面
50 密着型カラーイメージセンサ
51 ケーシング
52 画像読み取り面
53 プラテン
55 イメージセンサチップ
56 レンズアレイ
La 読み取りライン
D 原稿

Claims (9)

  1. 長尺状の透明部材の厚み方向一側の、長手方向に一定幅で延びる第1側面の略全域を鏡面仕上げされた光出射面とするとともに、上記光出射面と厚み方向に対向し、長手方向端部に向うほど上記光出射面との距離が縮小し、長手方向全長にわたって上記第1側面よりも幅広の第2側面の長手方向中間部に光入射部が形成され、かつ上記第1側面と第2側面とをつなぎ、幅方向に対向する第3側面および第4側面を備えた導光部材と、この導光部材の上記光入射部に配置した光源とを備え、上記光入射部から導光部材内に入射させた光を上記導光部材の内部においてその長手方向に進行させ、上記光出射面の全域または略全域から出射させるようにした線状光源装置であって、
    上記第2側面における上記光入射部以外の領域は、幅方向に延びる凹溝が複数形成されるとともに、鏡面仕上げされた凹凸面とされており、
    上記導光部材における上記第2側面に沿って、反射面が配置されていることを特徴とする、線状光源装置。
  2. 上記導光部材の上記第1側面と第2側面以外の側面は、鏡面仕上げ面または全反射面とされている、請求項1に記載の線状光源装置。
  3. 上記第1側面における上記光入射部と対向する部位には、鏡面仕上げ面または全反射面、あるいはそれらの複合面とされた2つの傾斜面をもつV字状または略V字状の凹入部が形成されており、上記光入射部から入射した光を上記傾斜面で全反射させて導光部材の長手方向端部方向に進行させるように構成されている、請求項1または請求項2に記載の線状光源装置。
  4. 上記第2側面の凹凸面は、平面または略平面状の第2側面に複数の断面半円弧状の凹溝を形成することによって形成されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の線状光源装置。
  5. 上記第2側面の凹凸面は、平面または略平面状の第2側面に複数の断面鋸刃状の凹溝を形成することによって形成されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の線状光源装置。
  6. 上記導光部材の長手方向端面は鏡面仕上げ面とされており、かつ、上記反射面は、上記導光部材の長手方向端面に沿うように延長されている、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の線状光源装置。
  7. 上記導光部材の光入射部に配置される光源は、導光部材の幅方向に配列されたR、G、Bの3色のLEDである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の線状光源装置。
  8. ケーシングの一面に形成された原稿読み取り面上を接触搬送される原稿に上記ケーシング内に設けられた光源装置からの光を照射し、上記原稿読み取り面上に設定された読み取りラインにおける原稿からの反射光を上記ケーシング内に上記読み取りライン方向に配列された複数の受光素子に受光させるようにした画像読み取り装置であって、上記光源装置として、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の線状光源装置を用い、その光出射面から出射させた光が上記読み取りライン上の原稿を照明するように構成したことを特徴とする、画像読み取り装置。
  9. 上記反射面は、上記ケーシングの内面を利用して形成されている、請求項に記載の画像読み取り装置。
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