JP3892320B2 - 光ディスク再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を記録媒体である光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる強度、位相、偏波面、周波数などの変化から、前記光ディスクに記録されている情報を再生する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記光ディスクには、再生に使用するレーザ光に対して、回折効果が大きくなる深さである波長の4分の1の深さの凹凸状のピット、部分的に透過率や反射率が異なるビット、または磁気的な性質が変化しているビットなどによって情報が記録され、これらは総じてマークと称される。これらのマークは、予め記録データである「0」,「1」のデジタル信号をある規則に従って変換したレーザ光を前記光ディスクに照射することで記録され、該マークを再生するときは、前記の変換規則を利用して、再生信号の中から再生の時間基準のクロックを作り出すことで、該マークから容易に情報を再生できるようになっている。また、前記記録データを変換せずに直接光ディスクに記録する場合は、該光ディスク上に予め再生の時間的基準となるマークを一定間隔で記録しておき、この基準のマークから再生に必要な時間基準のクロックを作り出すことで、同様に容易に情報を再生できるようになっている。
【0003】
上述のような光ディスクの再生装置において、たとえば特許第2839783号公報のように、室温で面内磁化、高温で垂直磁化を示す再生層を用いる光記録媒体や、たとえば特開平1−143041号、特開平6−259823号、特開平6−290496号の各公報のように、磁気的超解像型の光磁気記録媒体を用い、記録層に記録されたビット(記録磁区)を再生時に拡大させて再生を行う磁区拡大再生型光磁気記録媒体のように、再生用のレーザ強度に対して再生信号強度が比例しない非線形な応答をする光ディスクを再生する装置では、記録された情報を正しく再生するためには、予め最適なレーザ強度に設定して情報を再生する必要がる。この理由を、図6および図7を用いて以下に説明する。
【0004】
図6は、前記非線形応答の光ディスクにおける再生用のレーザ強度と再生信号強度との関係を示すグラフである。図6において、◆は図7(a)で示すような孤立マークの再生信号を示し、■は図7(b)で示すような連続マークの再生信号を示す。図6から明らかなように、孤立マークを再生する場合には、レーザ強度が大きくなる程、再生信号強度も大きくなる略線形な応答をしている。しかしながら、連続マークを再生する場合には、レーザ強度はピーク値を有し、そのピーク値以上に該レーザ強度を大きくしても、再生信号強度は逆に小さくなってゆく非線形な応答をしている。
【0005】
これは、適当なレーザ強度では、記録媒体上の光ビームスポット中心部は高温になって垂直磁化となり、記録層の情報を再生層を通じて読取ることができ、また前記光ビームスポットの周縁部は低温で、再生層は面内磁化のままであり、その周縁部の記録層の情報は該面内磁化でマスクされ、前記中心部の信号に漏れ込むことはないのに対して、前記レーザ強度が低いと、中心部の高温領域が狭くなり、該高温領域からの主信号の強度が低下して情報を正しく再生することができず、また逆にレーザ強度が高いと、中心部の高温領域が広がり、前記周縁部のマスク領域が狭くなり、結果的に該周縁部の信号が主信号に混ざってしまい、同様に情報を正しく再生することができなくなってしまうためである。
【0006】
また、上述のように再生用光ビームスポット内の媒体の温度分布を利用して、情報を保持する役割を有する記録磁性層から、高分解能再生機能または磁区拡大機能を有する再生磁性層への磁化方向転写を行うので、媒体の温度分布も再生信号品質に影響する。前記温度分布を乱す要因としては、周辺環境温度の変化による媒体温度の変化やレーザ強度の変動、深さや幅等のグルーブの形状の不均一から生じる局所的な温度プロファイルの変化などがある。
【0007】
これに加えて、記録および再生磁性層(TbFeCoやGdFeCo合金薄膜から成る)の局所組成ずれ、あるいは経時的な特性変化による再生時の磁化転写動作温度そのものの変化も外乱要因となる。さらにまた、高密度化のためにトラックピッチが狭められた際に特に顕著となる隣接トラックの温度上昇による磁化転写動作の不安定化、すなわち隣接トラックの磁性層の温度が上昇することによって、再生すべきトラックにおける磁化転写や磁区拡大動作を助長もしくは阻害する磁気的な力が発生することなどによる再生信号品質の再生パワー依存性の変化も生じる。
【0008】
一方、前記温度分布以外にも、光学系の対物レンズをフォーカシングやトラッキングのために駆動するアクチュエータコイルが発生する磁界が再生動作に影響を及ぼすこともある。
【0009】
以上のような諸外乱によって、実際の再生実験においては、隣接トラックの磁化状態の違い(記録されているか否か、または記録されていてもその記録パターンの違い)によって再生すべきトラックの再生信号品質が変化することが確認されている。たとえば、記録マークがあるところ(たとえば上向きの磁化方向とする)では低いレーザ強度で信号が現れるのに対し、レーザ強度が高くなると、記録マークが無いところ(磁化方向が下向きのところ)でも擬似信号が現れてしまうというような現象である。
【0010】
このため、前記デジタルデータを、たとえば512バイトから64Kバイトまでに分割したブロック単位で記録するにあたって、従来では、ブロックの先頭に記録されるアドレス等のデータを識別する情報や、データ再生の際の基準となる前述のクロックの位相を調整する情報の中に、前記レーザ強度を調整するのに便利な長短マークのパターンを挿入しておき、光ディスク再生装置は、再生された信号を常に監視しながら、前記レーザ強度を最適な一定レベルに保つように構成されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来技術では、前述の非線形応答の光ディスクを使用し、図7(a)に対する図7(c)の孤立マークや、図7(b)に対する図7(d)の連続マークのように、記録密度を高くしてゆくと、図8に示すように、最適なレーザ強度の範囲が狭くなってしまうという問題がある。すなわち、図7(a)および図7(b)の相対的に大きいマークでは、図6で示すように1〜2.5mWの範囲で記録マークを検出できるのに対して、図7(c)および図7(d)の相対的に小さいマークでは、図8で示すように1.5〜2mWの範囲でしか記録マークを検出できない。
【0012】
したがって、前記の範囲外では、光ディスクの温度が低くて信号が検出されず、または光ビームが照射されている殆どの領域で垂直磁化のままで前記磁気的超解像動作を行わず、大きなマークサイズしか信号を検出できなくなるとともに、再生信号が変化の少ないべったりとした信号となり、再生用のレーザ強度を調整するための前記クロックなどの信号自体も抽出することができないという問題がある。このため、光ディスクやその再生装置にばらつきがあると、高密度化に伴ってその影響が大きくなるので、該高密度化に際しては、更に精密に、標準となる再生用のレーザ強度を設定しておき、光ディスクやその再生装置を厳密に管理する必要が生じる。
【0013】
本発明の目的は、光ディスクやその再生装置のばらつきを吸収することができる光ディスク再生方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク再生方法は、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生する方法において、光ディスクの再生時のタイミング信号に用いるクロックに一致する、光ディスク上のピット周期で、周期的に前記レーザ光の強度を連続的に変化させ、前記反射光または透過光の検出信号を予め定めたレベルで弁別してデジタル信号を生成し、前記デジタル信号の出力が変化した立下りの時点から、前記デジタル信号が前記予め定めたレベルを超えて現れる、立上りの時点までの時間を、前記レーザ光が周期的に変化するごとに測定し、前記レーザ光が周期的に変化するごとに測定した前記時間に基づき、光ディスク上のマークの有無を判別する閾値時間を求め、当該閾値時間を情報再生条件として決定することを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる強度、位相、偏波面、周波数などの変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生するにあたって、先ず前記情報の最短記録マーク長以下の周期で、周期的に前記レーザ光の強度を、たとえば鋸歯状や三角波状に変化させる。これによって、レーザ強度に対する再生信号強度の非線形性によって、記録マークが有るところでは、低いレーザ強度で信号が現れるのに対して、記録マークが無いところでは、レーザ強度が高くなると擬似的に信号が現れてしまう。
【0016】
したがって、この変化点を検出し、次にその変化点間の時間情報から、マーク有りと無しとを判別する閾値時間などの情報再生条件を決定することで、以後に再生された変化点間の時間情報から、その変化点間の情報がマーク有りと判定すべき情報か、マーク無しと判定すべき情報かを判別することができる。
【0017】
こうして、記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に連続的に変化させることで、幅広い条件の中から、非線形応答の光ディスクの動作条件を決定することができ、光ディスクの多少のばらつきや、再生装置の個体差を吸収することができる。したがって、それらの製造管理や経時変化に対して余裕を持たせ、安定した動作を期待することができる。また、光ディスクの動作環境も広がり、光ディスク装置の応用範囲を広げることもできる。
【0018】
また、本発明の光ディスク再生方法は、バイアス磁界を印加しつつ、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生する方法において、光ディスクの再生時のタイミング信号に用いるクロックに一致する、光ディスク上のピット周期で、周期的に前記バイアス磁界の強度を連続的に変化させ、前記反射光または透過光の検出信号を予め定めたレベルで弁別してデジタル信号を生成し、前記デジタル信号の出力が変化した立下りの時点から、前記デジタル信号が前記予め定めたレベルを超えて現れる、立上りの時点までの時間を、前記バイアス磁界が周期的に変化するごとに測定し、前記バイアス磁界が周期的に変化するごとに測定した前記時間に基づき、光ディスク上のマークの有無を判別する閾値時間を求め、当該閾値時間を情報再生条件として決定することを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる強度、位相、偏波面、周波数などの変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生するにあたって、前記光ディスクの種類によっては、再生時にバイアス磁界が必要なものがあり、この場合は、先ず前記情報の最短記録マーク長以下の周期で、周期的に前記バイアス磁界の強度を、たとえば鋸歯状や三角波状に変化させる。これによって、磁界強度に対する再生信号強度の非線形性によって、記録マークが有るところでは、低い磁界強度で信号が現れるのに対して、記録マークが無いところでは、磁界強度が高くなると擬似的に信号が現れてしまう。
【0020】
したがって、この変化点を検出し、次にその変化点間の時間情報から、マーク有りと無しとを判別する閾値時間などの情報再生条件を決定することで、以後に再生された変化点間の時間情報から、その変化点間の情報がマーク有りと判定すべき情報か、マーク無しと判定すべき情報かを判別することができる。
【0021】
こうして、記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に連続的に変化させることで、幅広い条件の中から、非線形応答の光ディスクの動作条件を決定することができ、光ディスクの多少のばらつきや、再生装置の個体差を吸収することができる。したがって、それらの製造管理や経時変化に対して余裕を持たせ、安定した動作を期待することができる。また、光ディスクの動作環境も広がり、光ディスク装置の応用範囲を広げることもできる。
【0022】
さらにまた、本発明の光ディスク再生方法は、各データブロックのヘッダ領域に固定パターンを設け、その固定パターンを対象に前記閾値時間を求め、当該閾値時間を前記情報再生条件として決定し、決定された情報再生条件によって、前記ヘッダ領域に続くデータ領域の再生を行うことを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、ブロック単位で記録されるデータのヘッダ領域に前記情報再生条件を決定するための固定パターンを設け、その固定パターンに基づいて決定された情報再生条件に従って、前記ヘッダ領域に続くデータ領域の再生を行うので、ブロック単位で前記情報再生条件を確認および/または設定できるので、同じ1枚の光ディスク上での再生特性の不均一性による該情報再生条件の変動を吸収することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図1〜図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0025】
図1は、本発明の実施の一形態の光ディスク再生装置1の電気的構成を示すブロック図である。スピンドルモータ2に支持され、予め定める回転速度に制御されて回転駆動されている光ディスク10に対して、光学ヘッド3の半導体レーザ4から再生用のレーザ光が照射され、その反射光が前記光学ヘッド3のフォトディテクタ5によって再生信号に光電変換されて、再生信号処理回路6に入力される。再生信号処理回路6は、入力された再生信号に対する同期・復調処理などを行い、再生情報データを復元し、マイクロコンピュータなどの図示しない信号処理回路へ出力する。
【0026】
また、前記再生信号処理回路6に入力された再生信号の一部は、クロック生成回路7に与えられる。クロック生成回路7は、供給された再生信号を基に、たとえば固定パターンにおいて再生を行い、その信号の立ち下がりのタイミングから、ピット周波数に一致したクロックを生成する。注目すべきは、この光ディスク再生装置1では、生成されたクロックはレーザ駆動回路8に与えられ、該レーザ駆動回路8は、入力されたクロックを再生時のタイミング信号として用いて前記半導体レーザ4を制御し、以下に詳述するように再生用のレーザ強度を変化させることである。
【0027】
図2は、上述のように構成される光ディスク再生装置1の動作を説明するための波形図である。前記レーザ駆動回路8は、たとえば100MHzの図2(d)で示すクロックに応答して、図2(a)で示すように、半導体レーザ4からの再生用のレーザ光の強度を、鋸歯状に連続的に変化させる。これによって、たとえば前記固定パターンのような図2(b)で示す記録マークから、再生信号処理回路6では、前記フォトディテクタ5からの再生信号を予め定めるレベルで弁別して、図2(c)で示すようなデジタル信号が得られる。
【0028】
前記図2(c)のデジタル信号において、レーザ強度の変化に対して、記録マークが有るところでは、時刻t1で示すように、低いレーザ強度で前記予め定めるレベルを超えて信号が現れるのに対して、レーザ強度が高くなると、時刻t2で示すように、記録マークが無くても前記予め定めるレベル超える擬似信号が現れてしまう。
【0029】
したがって、前記デジタル信号の出力が変化した時刻t0から前記時刻t1,t2までの時間T1,T2をレーザ強度の変化のたび毎に測定することによって、そのデータが記録マーク有りのデータであるか、無しのデータであるのかを判断することができ、その判定結果を図2(d)で示すクロックに同期して出力することで、記録マークに対応したデータを再生することができる。前記の判定は、たとえば前記固定パターン再生時において、Tth=(T1+T2)/2を求めてそのTthを閾値とし、以降のデータ再生時に測定された時間Tが、T>Tthならマーク無し、T≦Tthならマーク有りとすることで実現することができる。
【0030】
前述のように従来では一定であった再生用のレーザ強度を、このように記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に連続的に変化させることで、幅広い条件の中から、非線形応答の光ディスク10の動作条件を決定することができ、該光ディスク10の多少のばらつきや、光ディスク再生装置1の個体差を吸収可能であることが理解される。これによって、それらの製造管理や経時変化に対して余裕を持たせ、安定した動作を期待することができる。また、光ディスク10の動作環境も広がり、該光ディスク再生装置1の応用範囲を広げることもできる。また、前記レーザ強度を変化させる範囲を大きくすることで、幅広い範囲の信号を検出でき、前記ばらつきや個体差に対応できる範囲を広くすることができる。
【0031】
なお、光ディスク10としてこのような再生方法が特に有効な媒体は、前述のように再生用のレーザ強度に対して非線形な応答をする特許第2839783号および特開平1−143041号、特開平6−259823号、特開平6−290496号などである。
【0032】
図3は、前記光ディスク10に記録されるデータの一構成例を示す図である。データは、たとえば前述のように、512バイトから64Kバイトまでに分割したブロック単位で記録される。各ブロックは、アドレスやデータブロックの識別子を含むヘッダ領域と、それに続くデータ領域とから構成されている。前記ヘッダ領域の一部分には、予め定められた前記固定パターンが記録されている。この固定パターンの記録マークを再生することで、これに続くデータ領域での記録マークの有無を判定するための前記閾値Tthが事前に設定される。
【0033】
すなわち、前記図2(c)で示すこの固定パターンでの時間T1と時間T2との中間の時間間隔が前記閾値Tthとなり、以降の残余の領域の再生信号に対して、この閾値Tthより時間が短いものがマーク有り、長いものがマーク無しと判定される。前記データブロックは、通常、トラック1本(ディスク1周)に数十個、総てのトラック(内周〜外周)に存在する。
【0034】
したがって、このようにデータブロックの先頭のヘッダ領域に固定パターンを記録しておくことで、ブロック単位で閾値Tthを確認および/または設定できるので、同じ1枚の光ディスク10上での再生特性の不均一性による該閾値Tthの変動を吸収し、制御精度を非常に高くすることができるので、極めて実用的である。
【0035】
なお、前記固定パターンの周期、すなわち図2におけるレーザ強度を変化させる周期(時間)は、少なくとも最短記録マークの周期以下とする必要があり、データ領域のクロックまたは前記最短記録マークの周期と同一であることが好ましい。
【0036】
また、上述の説明では、データブロックの先頭のヘッダ領域に固定パターンを記録する方法を述べたけれども、本発明はこれに限定されるものではなく、データ本体の再生前に、光ディスク10上のいずれかに設けられた固定パターンを再生して、前記閾値Tthを作成しておけばよい。たとえば、光ディスク10の特性分布が非常に小さく、すなわち前記再生特性が均一でデータブロック毎に固定パターンを設ける必要が無い場合には、たとえば内周のみ、または外周のみの限られた領域だけに固定パターンを設けておいてもよく、もしくは半径方向に区切った数箇所に固定パターンを設けるようにしてもよい。
【0037】
本発明の実施の他の形態について、図4および図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0038】
図4は、本発明の実施の他の形態の光磁気ディスク再生装置11の電気的構成を示すブロック図である。この光磁気ディスク再生装置11は、前述の光ディスク再生装置1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この光磁気ディスク再生装置11では、クロック生成回路7で生成されたクロックは磁気ヘッド駆動回路12に与えられ、該磁気ヘッド駆動回路12は、入力されたクロックを再生時のタイミング信号として用いて磁気ヘッド13を制御し、以下に詳述するように再生用のバイアス磁界強度を変化させることである。前記光学ヘッド3の半導体レーザ4は、レーザ駆動回路8aによって、出力レーザ光が一定の強度となるように制御される。
【0039】
この光磁気ディスク再生装置11に適応する光磁気ディスク20としては、バイアス磁界を印加しつつ、レーザ光を照射することで信号再生を行う磁区拡大再生型光磁気ディスクである前記特開平1−143041号および特開平6−259823号などである。このような媒体に対しては、従来では、極性のみが異なる一定のバイアス磁界を印加して再生を行うのに対して、本発明では、上述のようにバイアス磁界の強度を変化させる。
【0040】
図5は、上述のように構成される光磁気ディスク再生装置11の動作を説明するための波形図である。この図5(b)〜(d)は、図2(b)〜(d)にそれぞれ対応している。注目すべきは、この光磁気ディスク再生装置11では、前記磁気ヘッド駆動回路12は、図5(d)で示すクロックに応答して、図5(a)で示すように三角波状に連続的に変化する再生用のバイアス磁界を磁気ヘッド13から発生させることである。
【0041】
これによって、たとえば前記固定パターンのような図5(b)で示す記録マークから、再生信号処理回路6では、前記フォトディテクタ5からの再生信号を予め定めるレベルで弁別して、図5(c)で示すようなデジタル信号が得られる。そのデジタル信号において、バイアス磁界の変化に対して、記録マークが有るところでは、前記時刻t1で示すように、低い磁界強度で前記予め定めるレベルの信号が現れるのに対して、磁界強度が高くなると、前記時刻t2で示すように、記録マークが無くても前記予め定めるレベルの擬似信号が現れてしまう。
【0042】
したがって、前記デジタル信号の出力が変化した時刻t0から前記時刻t1,t2までの時間T1,T2を磁界強度の変化のたび毎に測定することによって、そのデータが記録マーク有りのデータであるか、無しのデータであるのかを判断することができ、その判定結果を図5(d)で示すクロックに同期して出力することで、記録マークに対応したデータを再生することができる。
【0043】
このように再生用のバイアス磁界の強度を、記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に変化させ、磁区の有無による信号出現の時間差を検出して正確な再生情報データを得ることでも、多少の記録媒体のばらつきや、該光磁気ディスク再生装置11の個体差を吸収することができる。
【0044】
なお、前記固定パターンの周期、すなわち図5におけるバイアス磁界強度を変化させる周期(時間)は、少なくとも最短記録マークの周期以下とする必要があり、データ領域のクロックまたは前記最短記録マークの周期と同一であることが好ましい。
【0045】
【発明の効果】
本発明の光ディスク再生方法は、以上のように、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生するにあたって、前記情報の最短記録マーク長以下の周期で、周期的に前記レーザ光の強度を変化させ、レーザ強度に対する再生信号強度の非線形性の変化点を検出し、前記変化点間の時間情報から情報再生条件を決定する。
【0046】
それゆえ、記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に連続的に変化させることで、幅広い条件の中から、非線形応答の光ディスクの動作条件を決定することができ、光ディスクの多少のばらつきや、再生装置の個体差を吸収することができる。したがって、それらの製造管理や経時変化に対して余裕を持たせ、安定した動作を期待することができる。また、光ディスクの動作環境も広がり、光ディスク装置の応用範囲を広げることもできる。
【0047】
また、本発明の光ディスク再生方法は、バイアス磁界を印加しつつ、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生するにあたって、前記情報の最短記録マーク長以下の周期で、周期的に前記バイアス磁界の強度を変化させ、磁界強度に対する再生信号強度の非線形性の変化点を検出し、前記変化点間の時間情報から情報再生条件を決定する。
【0048】
それゆえ、記録マークがあっても信号が現れない範囲から、記録マークが無くても信号が現れる範囲に連続的に変化させることで、幅広い条件の中から、非線形応答の光ディスクの動作条件を決定することができ、光ディスクの多少のばらつきや、再生装置の個体差を吸収することができる。したがって、それらの製造管理や経時変化に対して余裕を持たせ、安定した動作を期待することができる。また、光ディスクの動作環境も広がり、光ディスク装置の応用範囲を広げることもできる。
【0049】
さらにまた、本発明の光ディスク再生方法は、以上のように、ブロック単位で記録されるデータのヘッダ領域に前記情報再生条件を決定するための固定パターンを設け、その固定パターンに基づいて決定された情報再生条件に従って、前記ヘッダ領域に続くデータ領域の再生を行う。
【0050】
それゆえ、ブロック単位で前記情報再生条件を確認および/または設定できるので、同じ1枚の光ディスク上での再生特性の不均一性による該情報再生条件の変動を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態の光ディスク再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】 図1で示す光ディスク再生装置の動作を説明するための波形図である。
【図3】 光ディスクに記録されるデータの一構成例を示す図である。
【図4】 本発明の実施の他の形態の光磁気ディスク再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】 図1で示す光磁気ディスク再生装置の動作を説明するための波形図である。
【図6】 再生用のレーザ強度に対して再生信号強度が比例しない非線形応答の光ディスクにおける再生用のレーザ強度と再生信号強度との関係を示すグラフである。
【図7】 前記光ディスクの記録マークの例を示す図である。
【図8】 前記非線形応答の光ディスクの記録密度を高くした場合における再生用のレーザ強度と再生信号強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光ディスク再生装置
2 スピンドルモータ
3 光学ヘッド
4 半導体レーザ
5 フォトディテクタ
6 再生信号処理回路
7 クロック生成回路
8 レーザ駆動回路
10 光ディスク
11 光磁気ディスク再生装置
12 磁気ヘッド駆動回路
13 磁気ヘッド
20 光磁気ディスク
Claims (3)
- レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生する方法において、
光ディスクの再生時のタイミング信号に用いるクロックに一致する、光ディスク上のピット周期で、周期的に前記レーザ光の強度を連続的に変化させ、
前記反射光または透過光の検出信号を予め定めたレベルで弁別してデジタル信号を生成し、
前記デジタル信号の出力が変化した立下りの時点から、前記デジタル信号が前記予め定めたレベルを超えて現れる、立上りの時点までの時間を、前記レーザ光が周期的に変化するごとに測定し、
前記レーザ光が周期的に変化するごとに測定した前記時間に基づき、光ディスク上のマークの有無を判別する閾値時間を求め、当該閾値時間を情報再生条件として決定することを特徴とする光ディスク再生方法。 - バイアス磁界を印加しつつ、レーザ光を光ディスク上に照射し、反射光または透過光に生じる変化から前記光ディスクに記録されている情報を再生する方法において、
光ディスクの再生時のタイミング信号に用いるクロックに一致する、光ディスク上のピット周期で、周期的に前記バイアス磁界の強度を連続的に変化させ、
前記反射光または透過光の検出信号を予め定めたレベルで弁別してデジタル信号を生成し、
前記デジタル信号の出力が変化した立下りの時点から、前記デジタル信号が前記予め定めたレベルを超えて現れる、立上りの時点までの時間を、前記バイアス磁界が周期的に変化するごとに測定し、
前記バイアス磁界が周期的に変化するごとに測定した前記時間に基づき、光ディスク上のマークの有無を判別する閾値時間を求め、当該閾値時間を情報再生条件として決定することを特徴とする光ディスク再生方法。 - 各データブロックのヘッダ領域に固定パターンを設け、その固定パターンを対象に前記閾値時間を求め、当該閾値時間を前記情報再生条件として決定し、決定された情報再生条件によって、前記ヘッダ領域に続くデータ領域の再生を行うことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク再生方法。
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