本発明は、他の機器や外部のネットワークの利用をせず、またネットワークへの負荷も少なく、再開までの時間が短時間で済み、高セキュリティで通信再開が可能なピアツーピア通信装置及びコンピュータ・プログラムに関する。
これまで、携帯電話などにおけるネットワーク利用は、携帯電話通信事業主(以下、携帯キャリアと呼称)が提供するゲートウェイを介したサービスしか利用できず、また、携帯電話端末はグローバルなIPアドレスを取得することができなかったために、携帯電話端末を利用したピアツーピア通信を行うことができなかった。
これに対して、近年携帯キャリアがゲートウェイを利用せずともインターネット接続サービスを利用できるようにし、また、携帯電話端末がグローバルなIPアドレスを取得できるようになった。そのため、現状では、携帯電話端末を利用したピアツーピア通信を行えるようになっている。
ただし、この携帯電話端末が接続している基地局を変更すると、携帯電話端末が保持するIPアドレスは変更されることになる。
また、無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を利用した通信では、端末が接続している基地局を変更すると、端末が保持するIPアドレスは変更されることになる。
従来のピアツーピア通信では、通信を行っているいずれかの端末のIPアドレスが変更された場合、もう片方の端末は変更されたIPアドレスを認識することができず、ピアツーピア通信は中断されてしまう。ピアツーピア通信を再開するためには、通信を終了し、再度、ピアツーピア通信を開始するための手順を実行しなければならない。
このような通信開始実行手順として、ピアツーピア通信を行う端末の検索に、通信する端末のマッチング処理を行うためのサーバSVを利用する場合(例えば、後述する特許文献1参照)を、図29に示す。これからピアツーピア通信を行う端末Eおよび端末Fが、それぞれ自端末のIPアドレスをパケット(1)及びパケット(2)で送信する。サーバSVは、受信した端末のIPアドレスをマッチングして、ピアツーピア通信する端末を決定し、パケット(3)及びパケット(4)で、夫々の端末にピアツーピア通信する相手端末のIPアドレスを送信する。端末Eは、該端末が受信したパケット(3)から端末FのIPアドレスを取得し、端末Fからの接続要求を待つ。他方端末Fは、受信したパケット(4)から端末EのIPアドレスを取得し、端末Eにパケット(5)を送信して接続を要求し、ピアツーピア通信を開始する。以上で、通信が開始されることとなる。
他方、同じく通信開始実行手順として、ピアツーピア通信を行う端末の検索に、UDP(ユーザ・データグラム・プロトコル)のブロードキャストあるいはマルチキャストを利用する場合を、図30に示す。ピアツーピア通信を行おうとする端末Gは、ブロードキャスト或いはマルチキャストを利用して、端末を検索するパケット(6)に、端末GのIPアドレスを付加して、複数の端末に対して送信する。検索パケットを待ち受けていた端末Hは、パケット(6)を受信し、パケット(6)から端末HのIPアドレスを取得する。そして応答パケット(7)に、端末HのIPアドレスを付加して、端末Hに対して送信し、端末Gからの接続を待ち受ける。応答パケット(7)を受信した端末Gは、受信した応答パケット(7)から端末HのIPアドレスを取得し、端末Hに、パケット(8)を送信して接続を要求し、ピアツーピア通信を開始する。
ピアツーピア通信の方法については、この他にも提案がなされている。例えば、後述する特許文献2では、ユニキャスト通信とマルチキャスト通信を組み合わせることで、ピアツーピア通信におけるマルチキャスト通信の信頼性を、向上させる方法が提案されている。
同じく後述する特許文献3では、ピアツーピア通信に必要な端末の情報を、電子メールを利用して送受信する方法が提案されている。
また特許文献4では、通信セッションを管理する中継装置を用いて、通信を切断することなく端末を切り替える方法が提案されている。
さらに、通信が切断された場合の再接続の方法についても、提案がなされている。例えば特許文献5では、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)のような外部に公開されていないネットワークにおいて、端末間の接続が切断された場合に通信を再開する方法が提案されている。
特開2004−096726号公報
特開2002−283559号公報
特開2002−278903号公報
特開2002−176432号公報
特開2001−101109号公報
携帯電話端末や無線LAN接続している端末を利用したピアツーピア通信では、基地局が変更されると端末が保持するIPアドレスも変更され、ピアツーピア通信が切断されてしまう。
すなわち端末のIPアドレスが変更になることで、切断されたピアツーピア通信を再開する必要が生ずる。そのために、ピアツーピア端末のマッチング処理用のサーバSVを用いる図29の例では、ピアツーピア通信それ自体とは直接関係しないサーバSV側との通信および処理、すなわち上記パケット(1)、(2)、(3)、(4)の送受信及び上記マッチング処理が、再び必要となる。そのため多数の端末がサーバSVに対してアクセスした場合、サーバSVおよびネットワークへの負荷が高くなり、サーバSVおよびネットワークのパフォーマンスおよびスループットが低下することになる。従ってピアツーピア通信再開までの時間が長くかかることになる。
端末のIPアドレスが変更になることで、切断されたピアツーピア通信を再開するために、端末の検索にUDPパケットを利用する図30のケースでは、パケット(6)はブロードキャストパケットあるいはマルチキャストパケットであり、パケット送信先のネットワークに多大な負荷を与え、その結果、このピアツーピア通信とは関係しない他端末の通信にも、データ転送速度の低下などの影響を与えることになる。
上述の特許文献2の方法は、ピアツーピア通信の品質を向上することを目的としており、ピアツーピア通信が切断された場合の対応についてのものではない。つまり、ピアツーピア通信が切断された場合に、再接続することは不可能である。また、端末の詐称についての対策も考慮されていないために、セキュリティの点でも問題がある。
また特許文献3の方法では、端末の情報をファイルに変換し、それを電子メールの形式で送受信している。このため、メールサーバによる配送の遅延が発生した場合に、迅速にピアツーピア通信を開始することができない。
さらに特許文献4の方法は、外部ネットワークとLANの間の通信で実施することが前提となっており、外部ネットワークとLANの間に存在する中継装置を利用することが前提となっている。このため、中継装置を設置できないネットワーク上に存在する端末間での通信では実施することができない。
加えて特許文献5の方法は、LANのように閉じたネットワークでの実施が前提となっており、端末の詐称についての対策が考慮されていない。このため、この方法を外部に公開されているネットワークで実施した場合、端末を詐称される可能性があり、セキュリティの点で問題がある。
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、他の機器や外部のネットワークの利用をせず、またネットワークへの負荷も少なく、再開までの時間が短時間で済み、高セキュリティで通信再開が可能なピアツーピア通信装置を提供せんとするものである。
併せてそのような構成をコンピュータ上で実現できるコンピュータ・プログラムについてもその提案を行う。
まず、本発明では、ピアツーピア通信を行う、少なくとも2つの通信装置の構成が必要である。このような通信装置の構成としては、携帯電話やPDA、モバイルコンピュータなどがあるが、それらに限定されるわけではない。
そのうちの一方の通信装置で、自己のIPアドレスが変更されたことが検出手段により検出されると、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置)に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめる。他方、IPアドレスの保たれている側の通信装置では、その検出手段により、通信の相手方のIPアドレスが変更されたことが検出されると共に、その相手方からの接続要求が、通信手段を介して受信されるので、新たな相手方(IPアドレスの変更された側通信装置)のIPアドレス及びその相手方の固有の識別情報を受信し、相手方変更情報格納手段に一時的に格納しておく。そして、IPアドレスが保たれている側の通信装置の比較手段により、相手方情報格納手段に格納された相手方(IPアドレスの変更された側通信装置)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された受信された相手方(IPアドレスの変更された側通信装置)の上記の固有の識別情報とが比較される。その比較処理の実行により、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(所謂相手方の認証ができた場合)には、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置の)制御手段により、相手方情報格納手段における相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)に対し、上記接続要求に応じて、その通信手段を介して、接続許可通知を出力する。この結果、IPアドレスの変更された側の通信装置は、その通信手段により、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置)から、接続許可通知を受信する。そうすると、両通信装置の、夫々の制御手段は、各々の通信手段を介して、互いに相手方との接続を確立させることになる。
このような制御フローを実行できるピアツーピア通信装置の一方の構成として、請求項1に係るピアツーピア通信装置の構成は、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
自己のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
上記検出手段において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合には、上記通信手段を介して、相手方に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめると共に、他方相手方から、上記通信手段を介して接続許可通知が受信された時に、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
を有することを基本的特徴としている。
他方上記構成と対をなす構成(サブコンビネーションをなす構成)として、請求項2の構成は、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の 識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
相手方のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
上記検出手段において、相手方のIPアドレスが変更されたことが検出され、且つ相手方からの接続要求が受信された場合に、上記通信手段を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、相手方情報格納手段における相手方のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、上記接続要求に応じて、上記通信手段を介して接続許可通知を、相手方に出力し、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
を有するピアツーピア通信装置を提案する。
上記2つの対になる構成によれば、IPアドレスが変更された側の通信装置の検出手段が、自己のIPアドレスが変更されたことを検出すると、該装置の制御手段により、その通信手段を介して、相手方(その以前にこの通信装置と通信していた別の通信装置)に、接続要求が送信され、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報が送信される。
これに対して、IPアドレスが保たれている側の通信装置(上記別の通信装置)の検出手段が、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)のIPアドレスが変更されたことを検出し、且つ該相手方からの接続要求を受信することで、IPアドレスが保たれている側の通信装置は、その通信手段を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、相手方変更情報格納手段に、それらを一時的に格納しておく。
そして、IPアドレスが保たれている側の通信装置では、その比較手段において、相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する。
相手方の固有の識別情報の比較結果がその比較手段で一致すると判断された場合には、IPアドレスが保たれている側の通信装置の制御手段により、相手方情報格納手段における相手方のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、上記接続要求に応じて、その通信手段を介して、接続許可通知を、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)に出力し、該通信手段に、相手方との接続を確立させるように作用する。
これに対し、IPアドレスが変更された側の前記通信装置では、相手方(IPアドレスが保たれている側の通信装置)から、その通信手段を介して接続許可通知を受信し、その制御手段により、該通信手段に、相手方との接続を確立させることになる。
以上のように、本発明では、比較手段による、IPアドレスが変更された側の通信装置から受信された相手方の固有の識別情報と、予め相手方情報格納手段に格納されている相手方の固有の識別情報との比較判断で、それまで通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスが変更されていて、通常ではこれまでの相手方か否かが分からない状態になっている)の通信装置であることが認証され、変更されたIPアドレスを新たなものとして正式に相手方のIPアドレスとして、相手方情報格納手段に格納された情報が更新されることになる。その後は、通信再開のための処理が行われることになる。
従って、他の機器の利用や外部のネットワークを必要とせず、またこれらの通信装置が使用しているネットワークへの負荷も少なく、再開までの時間が短時間で済み、高セキュリティで通信再開が可能になる。
ここで、本発明に係るピアツーピア通信装置の検出手段において、自己のIPアドレスが変更されたことを認識する手段として、以下の構成を採用することができる。
(1)OS(オペレーティング・システム)あるいはアプリケーションの実行環境が提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用する。
(2)/procのような、OSが提供するシステムの状態を表示するファイルシステムを監視する。
(3)ifconfigやipconfigのような、ネットワークインタフェースの状態を取得するコマンドを利用する。
(4)定期的にソケットを生成し、ローカル側のIPアドレスを監視する。
などである。ただしこれらに限定されるわけではない。
また、もう一方の通信装置の検出手段において、相手方のIPアドレスが変更されたことを認識する手段として、以下の方法を利用することができる。
(5)ソケット通信のタイムアウトを利用する。
(6)ICMP(インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル)のレスポンスを利用する。
(7)tracerouteコマンドのような経路情報を確認するコマンドを利用する。
などである。ただしこれらに限定されるわけではない。
さらに、一方のIPアドレスが変更されたことを、両方の装置同士で同時に検出処理するように、一方のピアツーピア通信装置が自己のIPアドレスが変更されたことを、その検出手段により認識し、他方のピアツーピア通信装置(IPアドレスの変更のない装置側)がIPアドレスの変更されたピアツーピア通信装置のIPアドレスが変更されたことを認識する検出手段には、互いに定期的にパケットを送信し合うことで、このパケットが一定時間届かなくなった場合に、いずれかの通信装置のIPアドレスが変更されたと判断し、それぞれ自己の通信装置のIPアドレスが変更されているかどうか確認することで判断することもできる。
接続再開のためのピアツーピア通信装置の認証に、ピアツーピア通信装置の固有の識別情報を利用しているが、認証ための該固有識別情報に、以下のような情報を、一つ或いは複数組み合わせることで、ピアツーピア通信装置の詐称を防ぐことができる。
(a)通信セッションに固有の、推測が困難なID(セッションID)を生成し、ピアツーピア通信装置の予め割り振られた固定情報及びIPアドレスの交換時にセッションIDも交換しておき、ピアツーピア通信装置の識別情報として、ピアツーピア通信装置の認証に利用する。
(b)ピアツーピア通信装置の識別情報として、変更される前のIPアドレスをピアツーピア通信装置の認証に利用する。
(c)ピアツーピア通信装置間で通信する信号あるいはパケットに通し番号(シーケンス)を振り、ピアツーピア端末の認証時に、このシーケンスを、夫々の固有の識別情報として照会する。
(d)この他にも、指紋等の生体認証の認証情報を利用する、電子証明書を利用する、という既存の認証方法を利用し、固有の識別情報とすることができる。
他方、請求項3及び4に係るピアツーピア通信装置の構成は、一方の通信装置で、自己のIPアドレスが変更されたことを検出手段により検出し、その変更通知を、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置)の通信装置に送信する。他方、それを受けたIPアドレスの保たれている側の通信装置では、新たな相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置の)相手方変更情報格納手段に一時的に格納しておく。そしてその(IPアドレスの保たれている側の通信装置の)比較手段において、相手方情報格納手段に格納された相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)の固有の識別情報との比較処理を実行し、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(所謂相手方の認証ができた場合)には、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置の)制御手段により、相手方情報格納手段における相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置)に対し接続要求及び自己の固有の識別情報を送信する。IPアドレスが変更された通信装置側では、その接続要求の受信に伴って、上記通信手段を介して、該接続要求及び相手方の固有の識別情報を受信し、相手方変更情報格納手段に一時的に格納しておく。そしてその比較手段において、相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とが比較され、該比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、上記接続要求に応じて、その制御手段により、相手方に接続許可通知を出力する。そうすると、双方の制御手段は、通信手段を介して、互いに相手方との接続を確立させることになる。
このような制御フローを実行できるピアツーピア通信装置の一方の構成として、請求項3に係るピアツーピア通信装置の構成は、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
自己のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
相手方からの接続要求の受信に伴って、上記通信手段を介して、該接続要求及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記検出手段において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合には、上記通信手段を介して、相手方に、自己のIPアドレスの変更通知を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめ、他方上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、上記接続要求に応じて、相手方に接続許可通知を出力すると共に、上記通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
を有することを特徴としている。
他方、上記請求項3の構成と対をなす構成(サブコンビネーションをなす構成)として、請求項4に係るピアツーピア通信装置の構成は、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の 識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
相手方のIPアドレスが変更されたことの通知が受信された場合に、上記通信手段を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、相手方情報格納手段における相手方のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方に対し接続要求及び自己の固有の識別情報を送信し、他方相手方から、上記通信手段を介して接続許可通知が受信された時に、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
を有することを特徴としている。
上記請求項3及び4の構成によれば、ピアツーピア通信装置のIPアドレスが変更された場合(その変更が自己の検出手段により検出された場合)に、その変更通知を、相手方通信装置へ通知することで、請求項1及び2の構成より、迅速にピアツーピア通信を再開することが期待できる。また、ソケット通信のタイムアウトを利用する場合でも、タイムアウト時間の設定如何に拘らず、通信の遅延をタイムアウトと誤判断することがなく、また、タイムアウト時間にも依存しない。
請求項5〜請求項8までの構成は、コンピュータに読み込まれて実行されることで、上記請求項1〜請求項4までに規定されたピアツーピア通信装置の構成を実現できる、該コンピュータで実行可能なプログラムについて規定している。
すなわち、上述した課題を解決するための構成として、上記請求項1〜請求項4までに規定された各機能実行手段を、コンピュータの構成を利用して実現する、該コンピュータで読み込まれて実行可能なコンピュータ・プログラムにつき開示する。もちろんこれらの構成は、コンピュータ・プログラムとしてだけではなく、同様な機能を有するプログラムを格納した記録媒体の構成として提供されても良いことは言うまでもない。この場合、コンピュータとは中央演算処理装置の構成を含んだ汎用的なコンピュータの構成の他、特定の処理に向けられた専用機(携帯電話などの携帯端末)などを含むものであっても良く、中央演算処理装置の構成を伴うものであれば特に限定はない。
上記各機能実行手段により実行される処理をコンピュータに行わせるためのこのようなプログラムが、コンピュータに読み出されると、請求項1〜請求項4までに規定されたいずれかの機能実行手段により行われる処理と同様な処理が実行されることになる。
また既存のハードウェア資源を用いてこのコンピュータ・プログラムを実行することにより、既存のハードウェアで新たなアプリケーションとしての本発明に係るピアツーピア通信装置の構成が容易に実現できるようになる。さらにこのようなコンピュータ・プログラムが前述の記録媒体に記録されることにより、これをソフトウェア商品として容易に配付、販売することができるようになる。加えて記録媒体の構成としては、上述した形式の場合の他、RAMやROMなどの内部記憶装置の構成やハードディスクなどの外部記憶装置の構成であっても良く、そのようなプログラムがそこに記録されれば、本発明に規定された記録媒体に含まれることは言うまでもない。
上記プログラムは、それ自身使用の対象となる他、記録媒体に記録されて配付乃至販売され、また通信などにより送信されて、譲渡の対象とすることもできるようになる。
そのうち、請求項5の構成は、請求項1の構成に対応する構成であり、その具体的構成は、
コンピュータに読み込まれて実行されることで、該コンピュータを、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
自己のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
上記検出手段において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合には、上記通信手段を介して、相手方に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめると共に、他方相手方から、上記通信手段を介して接続許可通知が受信された時に、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
また請求項6の構成は、請求項2の構成に対応する構成であり、その具体的構成は、
コンピュータに読み込まれて実行されることで、該コンピュータを、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
相手方のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
上記検出手段において、相手方のIPアドレスが変更されたことが検出され、且つ相手方からの接続要求が受信された場合に、上記通信手段を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、相手方情報格納手段における相手方のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、上記接続要求に応じて、上記通信手段を介して接続許可通知を、相手方に出力し、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
請求項7の構成は、請求項3の構成に対応する構成であり、その具体的構成は、
コンピュータに読み込まれて実行されることで、該コンピュータを、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
自己のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段と、
相手方からの接続要求の受信に伴って、上記通信手段を介して、該接続要求及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記検出手段において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合には、上記通信手段を介して、相手方に、自己のIPアドレスの変更通知を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめ、他方上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、上記接続要求に応じて、相手方に接続許可通知を出力すると共に、上記通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
さらに請求項8の構成は、請求項4の構成に対応する構成であり、その具体的構成は、
コンピュータに読み込まれて実行されることで、該コンピュータを、
自己の固有識別情報を格納しておく自己識別情報格納手段と、
通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく自己IPアドレス格納手段と、
接続が確立された際通信の相手方より受信した、相手方IPアドレス及び相手方の固有の識別情報を格納しておく相手方情報格納手段と、
通信の相手方と自己とのピアツーピア通信を行う通信手段と、
相手方のIPアドレスが変更されたことの通知が受信された場合に、上記通信手段を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく相手方変更情報格納手段と、
上記相手方情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する比較手段と、
上記比較手段において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、相手方情報格納手段における相手方のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方に対し接続要求及び自己の固有の識別情報を送信し、他方相手方から、上記通信手段を介して接続許可通知が受信された時に、該通信手段に、相手方との接続を確立させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明のピアツーピア通信装置及びコンピュータ・プログラムによれば、ピアツーピア通信の再開に、サーバによるマッチング処理を必要としないので、同様にピアツーピア通信を再開しようとする通信装置が多数存在していても、再開までの時間は影響されず、ネットワークへ負荷を与えることもない。
また、ピアツーピア通信装置の検索に、UDPブロードキャストあるいはマルチキャストを利用しないので、ネットワークへ負荷を与えず、また、他通信装置の通信に影響を与えることもない。
さらに、ピアツーピア通信の再開のために接続を要求してきた通信装置に対しての接続を許可するか否かの判断を、他システムを利用せずにピアツーピア通信を行う通信装置間だけで行うので、通信再開までの時間を短縮することができるようになる。
特に請求項3、4、7及び8の構成では、ピアツーピア通信装置のIPアドレスが変更された場合に、相手方通信装置へ通知しているため、ピアツーピア通信の再開をより迅速にすることが期待できるようになる。また、ソケット通信のタイムアウトを利用する場合は、タイムアウト時間の設定如何に拘らず、通信の遅延をタイムアウトと誤判断することがなく、また、タイムアウト時間にも依存しないことになる。
加えて、IPアドレスが変更されたことを通知するパケット及び接続を要求するパケットに、通信装置の固有の識別情報を保持させることで、通信装置の詐称を防ぐことができ、セキュリティを高めることができるようになる。
通信装置AとBによって、ピアツーピア通信が行われる状態を示す説明図である。
実施例1で通信装置A及びBに備えられた内部構成説明図である。
通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信において、所謂ハンドオーバー処理で、別の基地局において、該通信装置Aに新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置Aにおける作動状態を示す説明図である。
新たなIPアドレスの割り当てられた通信装置A側から、相手方の通信装置Bに、接続要求を出力する状態を示す説明図である。
相手方の通信装置Bとの接続が確立されるときの状態を示す説明図である。
通信装置Bとの通信が再開されて、元のようにピアツーピア通信ができる状態になった時の、通信装置Aの状態を示す説明図である。
通信装置A及びB間のピアツーピア通信が中断される前の通常のピアツーピア通信状態が維持されている状態の時の通信装置Bの状態を示す説明図である。
通信装置A及びB間で一旦通信が中断した後、そのうち通信装置Aに新たなIPアドレスが割り当てられ、且つ検出手段52が、相手方のIPアドレスが変更されたことを検出した場合の、通信装置Bにおける作動状態を示す説明図である。
相手方の通信装置Aから受信した情報のうち該装置Aの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方の固有の識別情報とを比較して、接続要求をしてきた相手方が、中断前の相手方か否かの認証を通信装置B側で行う状態を示す説明図である。
比較手段71による比較結果において、相手方の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
接続許可通知を相手方に出力した後に、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置A側と接続が確立される状態を示す説明図である。
通信装置Aとの通信が再開されて、元のようにピアツーピア通信ができる状態になった時の、通信装置Bの状態を示す説明図である。
実施例1の両通信装置A及びBにおける、夫々の通信セッション処理フローを示すフローチャートである。
通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、該通信装置Aに、新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置AにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、相手方の通信装置AのIPアドレスに変更があったことの検出がなされた場合の、通信装置BにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
実施例2で通信装置C及びDに備えられた内部構成説明図である。
通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信において、所謂ハンドオーバー処理で、別の基地局において、該通信装置Cに新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置Cにおける作動状態を示す説明図である。
新たなIPアドレスの割り当てられた通信装置C側から、相手方の通信装置Dに、自己のIPアドレスが変更されたことを示す通知を出力する状態を示す説明図である。
通信装置C及びD間で一旦通信が中断した後、そのうち通信装置Cに新たなIPアドレスが割り当てられ、且つ該通信装置CからIPアドレスの変更通知が受信された場合の、通信装置Dにおける作動状態を示す説明図である。
相手方の通信装置Cから受信した情報のうち該装置Cの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方Cの固有の識別情報とを比較して、IPアドレスの変更通知をしてきた相手方が、中断前の相手方か否かの認証を通信装置D側で行う状態を示す説明図である。
比較手段73による比較結果において、相手方の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
通信装置C側で、上記接続要求が受信された場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
相手方の通信装置Dから受信した情報のうち該装置Dの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方Dの固有の識別情報とを比較して、接続要求をしてきた相手方Dが、中断前の相手方か否かの確認を通信装置C側で行う状態を示す説明図である。
比較手段72による比較結果において、相手方の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
接続許可通知が受信された後に、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置D側が、通信装置C側と接続が確立される状態を示す説明図である。
実施例2の両通信装置C及びDにおける、夫々の通信セッション処理フローを示すフローチャートである。
通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、該通信装置Cに、新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置CにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、相手方の通信装置CのIPアドレスに変更があり、その変更通知が受信された場合の、通信装置DにおけるIPアドレス変更通知による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
通信開始実行手順として、ピアツーピア通信を行う端末の検索に、通信する端末のマッチング処理を行うためのサーバSVを利用する場合の従来構成の実施手順を示す説明図である。
通信開始実行手順として、ピアツーピア通信を行う端末の検索に、UDPのブロードキャストあるいはマルチキャストを利用する場合の従来構成の実施手順を示す説明図である。
符号の説明
1 自己識別情報格納手段
2 自己IPアドレス格納手段
3 相手方情報格納手段
4 通信手段
51、52、53 検出手段
61、62、63 相手方変更情報格納手段
71、72、73 比較手段
8 制御手段
A、B、C、D ピアツーピア通信装置
E、F、G、H 端末
SV サーバ
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
図1は、請求項1及び2の構成が内部構成として用いられた、携帯電話としての通信装置AとB(後述する実施例2では通信装置CとD)によって、ピアツーピア通信が行われる状態を示している。両通信装置とも、ピアツーピア通信を開始する前に、各携帯キャリアの基地局から、夫々に、IPアドレスが割り当てられる。
最初は両方の通信装置A及びBがソケットを開く。そして一方が接続要求を出す。他方はその接続要求を受信し、その要求方との通信が問題なければ、接続許可を送信する。この接続許可を受け取った側と、接続許可を出力した側の両者で、既にIPアドレスの交換は行われているので、互いの固有の識別情報を送受信すると共に、それらの各情報を格納し、その後、両者間の接続を確立する。そして、両通信装置の情報処理(音声情報処理やデータ送受信のためのパケット通信処理)を行う。
上記のように、通信装置を持った者の移動などの理由により、通信装置が接続している基地局が変更されると、通信装置が保持するIPアドレスは変更されることになる(無線LANを利用した通信でも、端末が接続している基地局を変更すると、端末が保持するIPアドレスは変更されることになる)。それによって、もう片方の通信装置は、変更されたIPアドレスを認識することができず、ピアツーピア通信は中断されてしまう。ピアツーピア通信を再開するためには、通信を終了し、再度、ピアツーピア通信を開始するための手順を実行しなければならない。
そのための構成として、本実施例1では、図2に示すような構成を、これらの通信装置A及びBに備えている。
すなわち、該通信装置A及びBは、自己識別情報格納手段1と、自己IPアドレス格納手段2と、相手方情報格納手段3と、通信手段4と、検出手段51又は52と、相手方変更情報格納手段61と、比較手段71と、制御手段8とを、その装置構成の一部として備えている。
上記通信手段4は、これまでの携帯電話規格(GSM、W−CDMAやFOMAなど)に沿って構成される通信構成(チップで構成していても良い)であると共に、通信の相手方と自己との間でピアツーピア通信を実行する構成である。ここでは、特に上記携帯電話規格構成の上で、ピアツーピア通信が可能な、これまでの公知の構成(TCP/IP及びUDP通信が可能な構成)が用いられている。
また上記検出手段51又は52と、比較手段71と、制御手段8とは、これらの通信装置A及びBに備えられたCPU(図示無し)と、EEP−ROM(図示無し)などに書き込まれ、前記CPUに読み込まれて各機能モジュールの実行を行うプログラムとで構成される。
さらに上記自己識別情報格納手段1は、EEP−ROM(図示無し)で構成されている。また自己IPアドレス格納手段2と、相手方情報格納手段3と、相手方変更情報格納手段61は、同じくこれらの通信装置A及びBに備えられたフラッシュメモリ(図示無し)で構成されている。
そのうち、上記自己識別情報格納手段1は、自己(通信装置A又はB)の固有の識別情報を格納しておく構成である。ここで「固有の」とは、ユニークな、2つとない、と言う意味で、個々の通信装置A、Bに、各別に割り当てられる。普通携帯電話などは、そのような固有の識別情報を既に割り当てられており、本構成でも、それを用いても良い。しかし、万が一その情報が他に遺漏することがあっては困るので、本実施例では、固有の識別情報を発生させる他の装置構成を用いて、その乱数発生回路で任意の桁数の英数字を発生させ、そして、既に出力している識別情報と同じものがないかを検索して、無ければ、既に出力している識別情報の1つとして登録を行ったうえで、それを各通信装置AやBの上記自己識別情報格納手段1に格納する(記憶せしめる)。
本実施例では、この固有の識別情報を、接続再開のためのピアツーピア通信装置の認証に利用しているが、認証ための該固有識別情報に、以下のような情報を、一つ或いは複数組み合わせることで、ピアツーピア通信装置の詐称を防ぐことができる。
(a)通信セッションに固有の、推測が困難なID(セッションID)を生成し、ピアツーピア通信装置の予め割り振られた固定情報及びIPアドレスの交換時にセッションIDも交換しておき、ピアツーピア通信装置の識別情報として、ピアツーピア通信装置の認証に利用する。
(b)ピアツーピア通信装置の識別情報として、変更される前のIPアドレスをピアツーピア通信装置の認証に利用する。
(c)ピアツーピア通信装置間で通信する信号あるいはパケットに通し番号(シーケンス)を振り、ピアツーピア端末の認証時に、このシーケンスを、夫々の固有の識別情報として照会する。
(d)この他にも、指紋等の生体認証の認証情報を利用する、電子証明書を利用する、という既存の認証方法を利用し、固有の識別情報とすることができる。
他方、上記自己IPアドレス格納手段2は、通信用に自己に割り当てられたIPアドレスを格納しておく、上記フラッシュメモリで構成されるメモリである。上述のように、IPアドレスは、通信毎に、基地局から、自動的に割り当てられるので、それを該自己IPアドレス格納手段2に格納しておくのである。もちろん、上記のような理由で、IPアドレスが変更されたら、新しいIPアドレスを格納しておくことになる。
上記相手方情報格納手段3は、接続要求乃至接続許可通知と共に受信された相手方のIPアドレスと、接続が確立されてから受信される相手方の通信装置の固有の識別情報を格納しておく、上記フラッシュメモリで構成されるメモリである。上述のように、普通は、相手方とのセッションが開始されて、上記情報が格納され、通常のセッション終了時にはクリアされる。ただし、ピアツーピア通信が中断された時は、直前の相手方のIPアドレスと固有の識別情報は、そのまま残されることになる。
上記通信手段4は、上述のように、これまでの携帯電話規格に沿って構成されるDSPなどを含む通信構成であると共に、通信の相手方と自己との間でピアツーピア通信を実行する構成である。ここでは、特に上記携帯電話規格構成の上で、ピアツーピア通信が可能な、TCP通信やUDP通信が可能な構成が用いられている。通常、相手方と接続が確立された後は、送信されたパケットを、通常のデータに変換して、通信装置AやBの他の情報処理構成との間で、該データのやり取りを行う。
上記検出手段51又は52は、自己のIPアドレスが変更されたことを検出する(検出手段51)機能、又は相手方のIPアドレスが変更されたことを検出する(検出手段52)機能を有する構成である。
自己のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段51としては、以下の構成を採用することができる。
(1)OS(オペレーティング・システム)あるいはアプリケーションの実行環境が提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用する。
(2)/procのような、OSが提供するシステムの状態を表示するファイルシステムを監視する。
(3)ifconfigやipconfigのような、ネットワークインタフェースの状態を取得するコマンドを利用する。
(4)定期的にソケットを生成し、ローカル側のIPアドレスを監視する。
また、もう一方の通信装置の検出手段52において、相手方のIPアドレスが変更されたことを検出する手段として、以下の構成を用いることができる。
(5)ソケット通信のタイムアウトを利用する。
(6)ICMP(インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル)のレスポンスを利用する。
(7)tracerouteコマンドのような経路情報を確認するコマンドを利用する。
さらに、一方のIPアドレスが変更されたことを、両方の装置同士で同時に検出処理するように、一方のピアツーピア通信装置が自己のIPアドレスが変更されたことを、その検出手段51により検出し、他方のピアツーピア通信装置(IPアドレスの変更のない装置側)がIPアドレスの変更されたピアツーピア通信装置のIPアドレスが変更されたことを検出する検出手段52には、互いに定期的にパケットを送信し合うことで、このパケットが一定時間届かなくなった場合に、いずれかの通信装置のIPアドレスが変更されたと判断し、それぞれ自己の通信装置のIPアドレスが変更されているかどうか確認することで判断することもできる。
上記相手方変更情報格納手段61は、上記検出手段52において、相手方のIPアドレスが変更されたことが検出され、且つ相手方からの接続要求が受信された場合に、上記通信手段4を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておくフラッシュメモリで構成される。
上述のように、普通は、相手方とのセッションが開始されて、相手方情報格納手段3に、上記相手方IPアドレスや固有の識別情報が格納され、通常のセッション終了時にはクリアされる。しかし、ピアツーピア通信が中断された時は、直前の相手方のIPアドレスと固有の識別情報は、そのまま相手方情報格納手段3に残されることになる。他方、上記検出手段52において、相手方のIPアドレスが変更されたことが検出され、且つ相手方からの接続要求が受信された場合に、上記通信手段4は、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信する。その際、本相手方変更情報格納手段61は、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておくことになる。
上記比較手段71は、上記相手方情報格納手段3に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段61に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する構成である。その比較結果は、後述する制御手段8に出力される。ピアツーピア通信が中断された後、通信を再開する際に、上述のように、相手方の認証を行うが、本構成が、この認証を行うことになる。すなわち、比較手段71による、IPアドレスが変更された側の通信装置から受信された相手方の固有の識別情報と、予め相手方情報格納手段3に格納されている相手方の固有の識別情報との比較判断で、それまで通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスが変更されていて、通常ではこれまでの相手方か否かが分からない状態になっている)の通信装置であることが認証されることになる(その後、後述する制御手段8により、変更されたIPアドレスを新たなものとして正式に相手方のIPアドレスとして、相手方情報格納手段3に格納された情報が更新され、さらに通信再開のための処理が行われることになる)。
上記制御手段8は、自己のIPアドレスが変更された側の場合と、反対に相手方のIPアドレスが変更された側の場合とで、その作用・機能が異なる。
そのうち前者の自己のIPアドレスが変更された側の制御手段8は、上記検出手段51において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合に、上記通信手段4を介して、相手方に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめる。それと共に、他方相手方から、上記通信手段4を介して接続許可通知が受信された時には、該通信手段4に、相手方との接続を確立させる機能を奏することになる。
他方後者の相手方のIPアドレスが変更された側の制御手段8は、上記比較手段71において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合に、相手方情報格納手段3における相手方のIPアドレスを新たなものに更新する。それと共に、相手方から出される接続要求に応じて、上記通信手段4を介して接続許可通知を、相手方に出力し、該通信手段4に、相手方との接続を確立させる機能を奏することになる。
図3は、通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信において、該通信装置Aが場所を移動した場合に、最初にIPアドレスを割り当ててくれた基地局から、所謂ハンドオーバー処理で、新たに電波の届く圏内になった別の基地局において、該通信装置Aに新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置Aにおける作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、通信が中断されると、通信手段4は、自動的に、新たな基地局を捜査し、該基地局から新たなIPアドレスの割り当てを受ける。そこで検出手段51により、自己のIPアドレスの変更が検出される。それと共に、通信装置Aでは、制御手段8からの指令で、自己IPアドレス格納手段2に格納された自己のIPアドレスを、新たなIPアドレスに更新する。
図4は、新たなIPアドレスの割り当てられた通信装置A側から、相手方の通信装置Bに、接続要求を出力する状態を示す説明図である。
同図に示すように、検出手段51から、自己のIPアドレスの変更検出結果が、制御手段8に入力されると、該制御手段8は、自己識別情報格納手段1から通信装置Aの自己の固有識別情報を、また自己IPアドレス格納手段2から通信装置Aの新たなIPアドレスを読み出す。そして、該制御手段8は、通信手段4を介して、これまで通信を行っていた通信装置BのIPアドレスに対して、接続要求、自己の新たなIPアドレス及び固有識別情報を送信する。
図5は、相手方の通信装置Bとの接続が確立されるときの状態を示すものであるので、後述するように、通信装置Bにおける図11の通信再開時の接続確立状態と共に説明する。
図6は、後述するように、通信装置Bとの通信が再開されて、元のようにピアツーピア通信ができる状態になった時の、通信装置Aの状態を示す説明図である。ピアツーピア通信が再開されれば、図2の通常の通信状態に戻ることになる。
図7は、通信装置A及びB間のピアツーピア通信が中断される前の通常のピアツーピア通信状態が維持されている状態の時の通信装置Bの状態を示す説明図である。ここでは、図2及び図6と同様に作動している。
図8は、通信装置A及びB間で一旦通信が中断した後、そのうち通信装置Aに新たなIPアドレスが割り当てられ、且つ検出手段52が、相手方(通信装置A)のIPアドレスが変更されたことを検出した場合の、通信装置Bにおける作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、検出手段52により、相手方(通信装置A)のIPアドレスが変更されたことが検出された場合、該検出手段52は、その検出結果を、制御手段8に出力する。そして、通信手段4により、相手方(通信装置A)からの接続要求、新たなIPアドレス及び固有の識別情報が受信されると、制御手段8は、相手方変更情報格納手段61にこれらの情報を一時的に格納せしめる。
図9は、相手方の通信装置Aから受信した情報のうち該装置Aの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方の固有の識別情報とを比較して、接続要求をしてきた相手方が、中断前の相手方か否かの認証を通信装置B側で行う状態を示す説明図である。
同図に示すように、比較手段71により、相手方情報格納手段3に格納された元の相手方(通信装置A)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段61に格納された接続要求を出力してきた相手方の固有の識別情報とが読み出される。そして該比較手段71により、両方の固有の識別情報の比較処理が行われる。
図10は、比較手段71による比較結果において、相手方(通信装置A)の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、上記比較結果が一致した場合、制御手段8により、相手方情報格納手段3における相手方のIPアドレスが、受信された新たな相手方のIPアドレスに更新される。それと共に、上記接続要求に応じて、上記通信手段4を介して、接続許可通知が、相手方に出力される。
図11は、接続許可通知を相手方に出力した後に、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置A側と接続が確立される状態を示している。この時は、相手方通信装置Aも、すでに接続許可通知を受信しているので、前記図5に示すように、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置B側と接続が確立される状態にある。
図12は、図6と同様、通信装置Aとの通信が再開されて、元のようにピアツーピア通信ができる状態になった時の、通信装置Bの状態を示す説明図である。ピアツーピア通信が再開されれば、図2の通常の通信状態に戻ることになる。
図13〜図15は、以上の実施例1における各処理フローを示すフローチャートである。
そのうち図13は、両通信装置A及びBにおける、夫々の通信セッション処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、通信装置A又はBにおいて、装置のスイッチがONになると、夫々の装置のイニシャライズ(初期化)処理が行われる(ステップS100)。
そして、通信のセッションが開始されたか否かがチェックされる(ステップS102)。該セッションが開始されていなければ(ステップS102;N)、再びステップS102の最初に復帰する。
反対に上記セッションが開始されれば(ステップS102;Y)、基地局との間で通信がなされ、その時に該基地局によって割り当てられるIPアドレスが取得される(ステップS104)。それに伴って、ピアツーピア通信を行うためのソケットが開かれる(ステップS106)。
その後、相手方に接続要求を送信するか否かがチェックされ(ステップS108)、接続要求を送信する場合(ステップS108;Y)は、制御手段8により、通信手段4を介して、相手方に接続要求が送信される(ステップS110)。その後相手方から接続許可通知が受信されたか否かがチェックされる(ステップS112)。接続許可通知が受信された場合(ステップS112;Y)は、以下のステップS120に進む。反対に接続許可通知が受信されなかった場合(ステップS112;N)は、上記ステップS108に復帰し、以上の処理を繰り返す。
相手方に接続要求を送信しない場合(ステップS108;N)は、接続要求の受信がなされたか否かがチェックされる(ステップS114)。接続要求が受信された場合(ステップS114;Y)、相手方に接続許可通知を送信するか否かがチェックされ(ステップS116)、接続許可通知を送信する場合(ステップS116;Y)は、制御手段8により、通信手段4を介して、相手方に接続許可通知が送信され(ステップS118)、以下のステップS120に進む。反対に接続許可通知を送信しない場合(ステップS116;N)、上記ステップS108に復帰し、以上の処理を繰り返す。
接続許可通知が受信された後、又は接続許可通知が送信された後、互いに相手方のIPアドレスと固有の識別情報の送受信がなされ、夫々相手方情報格納手段3に格納される(ステップS120)。そして互いの制御手段8により、通信手段4を介して、相互の接続が確立される(ステップS122)。そして任意の情報処理が、ピアツーピア通信により実行される(ステップS124)。
一定のインターバルで互いのIPアドレスのチェックがなされ(ステップS126)、自己の或いは相手方のIPアドレスに変更がないか否かがチェックされる(ステップS128)。IPアドレスに変更がなければ(ステップS128;N)、ステップS124の上記情報処理に復帰し、以上の処理を繰り返す。
反対にIPアドレスに変更があれば(ステップS128;Y)、以下の図14又は図15に示すIPアドレス変更による通信再開処理がなされる(ステップS130)。
その再開処理後、通信のセッションが終了したか否かがチェックされ(ステップS132)、セッションが終了していなければ(ステップS132;N)、ステップS124の上記情報処理に復帰し、以上の処理を繰り返す。
反対にセッションが終了していれば(ステップS132;Y)、上記ステップS102に復帰し、上記処理を繰り返す。
図14は、図3以下の通信装置Aに示すように、通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、該通信装置Aに、新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置AにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、制御手段8により、相手方(通信装置B)に対して接続要求が送信され、且つ変更された自己の新たなIPアドレス及び固有の識別情報が送信される(ステップS200)。
その後相手方から接続許可通知が受信されたか否かがチェックされ(ステップS202)、接続許可通知が受信された場合(ステップS202;Y)、制御手段8により、相手方(通信装置B)との接続を確立する処理が行われる(ステップS204)。
反対に接続許可通知が受信されなかった場合(ステップS202;N)、上記ステップS200に復帰し、以上の処理を繰り返す。
図15は、図7以下の通信装置Bに示すように、通信装置A及びB間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、相手方の通信装置AのIPアドレスに変更があったことの検出がなされた場合の、通信装置BにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、相手方(通信装置A)から接続要求が受信されたか否かがチェックされ(ステップS300)、接続要求が受信されない場合(ステップS300;N)、該通信再開処理は終了する。
反対に、接続要求が受信された場合(ステップS300;Y)、制御手段8により、相手方(通信装置A)から、変更された相手方の新たなIPアドレス及び固有の識別情報が受信される(ステップS302)。そしてそれらの情報は、一旦相手方変更情報格納手段61に格納される(ステップS304)。
次に、上記比較手段71により、相手方情報格納手段3と相手方変更情報格納手段61から、夫々に格納された相手方(通信装置A)の固有の識別情報が読み出され(ステップS306)、両情報が一致するか否かがチェックされる(ステップS308)。
両情報が一致しない場合(ステップS308;N)、そこで該通信再開処理は終了する。反対に両情報が一致すれば(ステップS308;Y)、従前に通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスが変更されていて、通常ではこれまでの相手方か否かが分からない状態になっている)の通信装置Aであることが認証されたことになり、変更されたIPアドレスを新たなものとし正式に相手方のIPアドレスとして、相手方情報格納手段3に格納された相手方IPアドレスの更新がなされる(ステップS310)。
制御手段8により、通信手段4を介して、更新されたIPアドレスの相手方に、接続許可通知が出力され(ステップS312)、相手方(通信装置B)との接続を確立する処理が行われる(ステップS314)。
以上の実施例1の構成によれば、一方の通信装置(例えば通信装置A)で、自己のIPアドレスが変更されたことが検出手段51により検出されると、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置B)に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめる。他方、IPアドレスの保たれている側の通信装置Bでは、その検出手段52により、通信の相手方のIPアドレスが変更されたことが検出されると共に、その相手方からの接続要求が、通信手段4を介して受信されるので、新たな相手方(IPアドレスの変更された側通信装置)のIPアドレス及びその相手方の固有の識別情報を受信し、相手方変更情報格納手段61に一時的に格納しておく。そして、IPアドレスが保たれている側の通信装置Bの比較手段71により、相手方情報格納手段3に格納された相手方(IPアドレスの変更された側通信装置A)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段61に格納された受信された相手方(IPアドレスの変更された側通信装置A)の上記の固有の識別情報とが比較される。その比較処理の実行により、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置A)の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(所謂相手方の認証ができた場合)には、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置Bの)制御手段8により、相手方情報格納手段3における相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置A)のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置A)に対し、上記接続要求に応じて、その通信手段4を介して、接続許可通知を出力する。この結果、IPアドレスの変更された側の通信装置Aは、その通信手段4により、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置B)から、接続許可通知を受信する。そうすると、両通信装置の、夫々の制御手段8は、各々の通信手段4を介して、互いに相手方との接続を確立させることになる。
図16〜図28までは、請求項3及び4の構成に相当するピアツーピア通信装置C及びDの間で、ピアツーピア通信処理が行われ、途中一旦その通信が中断されて、通信が再開されるまでの各通信装置における処理の状態が示されている。
そのための構成として、本実施例2では、上記実施例1の図2と同様に、図16に示すような構成を、これらの通信装置C及びDに備えている。
すなわち、該通信装置C及びDは、自己識別情報格納手段1と、自己IPアドレス格納手段2と、相手方情報格納手段3と、通信手段4と、検出手段53と、相手方変更情報格納手段62又は63と、比較手段72又は73と、制御手段8とを、その装置構成の一部として備えている。
上記自己識別情報格納手段1、自己IPアドレス格納手段2、相手方情報格納手段3及び通信手段4は、上記実施例1と同じ構成であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
上記検出手段53と、比較手段72又は73と、制御手段8とは、これらの通信装置C及びDに備えられたCPU(図示無し)と、EEP−ROM(図示無し)などに書き込まれ、前記CPUに読み込まれて各機能モジュールの実行を行うプログラムとで構成される。
本実施例でも、自己識別情報格納手段1及び相手方情報格納手段3に格納される固有の識別情報を、接続再開のためのピアツーピア通信装置の認証に利用しているが、認証ための該固有識別情報については、実施例1で説明したと同じような情報を用いている。
上記検出手段53は、自己のIPアドレスが変更されたことを検出する構成であり、実施例1の検出手段51と同じ機能を有している。そのため、該検出手段53としては、上記実施例1と同様な、上記(1)〜(7)に示した検出構成を採用することができる。
上記相手方変更情報格納手段62又は63は、相手方からの接続要求の受信に伴って、上記通信手段4を介して、該接続要求及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく構成(62)と、相手方のIPアドレスが変更されたことの通知が受信された場合に、上記通信手段4を介して、新たな相手方のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、一時的に格納しておく構成(63)との機能を夫々備えており、これらの情報を格納しておくことが可能なフラッシュメモリで構成される。
上述のように、普通は、相手方とのセッションが開始されて、相手方情報格納手段3に、上記相手方IPアドレスや固有の識別情報が格納され、通常のセッション終了時にはクリアされる。しかし、ピアツーピア通信が中断された時は、直前の相手方のIPアドレスと固有の識別情報は、そのまま相手方情報格納手段3に残されることになる。他方、IPアドレスが変更された側の通信装置(本実施例では説明の都合上通信装置CをIPアドレスが変更された側の通信装置とする)の上記検出手段53において、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合、そのIPアドレスが変更された通信装置C側の上記通信手段4により、その変更通知が相手方に送信される(通信装置Dからすれば、通信装置CからIPアドレスの変更通知が受信される)。この変更通知を受信したIPアドレスの変更のない通信装置D側の上記通信手段4により、その変更通知は制御手段8に伝達され、他方この変更通知と共に、IPアドレスが変更された通信装置C側の上記通信手段4によって、送信されてくる、新たなIPアドレス及びその固有の識別情報は、通信装置D側で相手方変更情報格納手段63に、一時的に格納されることになる。
上記比較手段72及び73は、両装置C又はDとも、後述する図20及び図23に示すように、上記相手方情報格納手段3に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段62又は63に格納された相手方の固有の識別情報とを比較する構成である。
その比較結果は、後述する制御手段8に出力される。ピアツーピア通信が中断された後、通信を再開する際に、上述のように、相手方の認証と確認を行うが、これらの構成が、該認証と確認を行うことになる。
すなわち、図20に示すように、通信装置D側の比較手段73により、IPアドレスが変更された側の通信装置Cから受信された相手方の固有の識別情報と、予め相手方情報格納手段3に格納されている相手方の固有の識別情報との比較判断で、それまで通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスが変更されていて、通常ではこれまでの相手方か否かが分からない状態になっている)の通信装置Cであることが認証されることになる(その後、後述する制御手段8により、変更されたIPアドレスを新たなものとして正式に相手方のIPアドレスとして、相手方情報格納手段3に格納された情報が更新され、さらに通信再開のための処理が行われることになる)。
他方、図21〜図23に示されるように、通信装置D側での上記認証が行われると、該通信装置D側からは、制御手段8により、通信装置C側に対して接続要求と通信装置D側の固有の識別情報が送信されるので、これらの情報は、相手方変更情報格納手段62に格納され、その後通信装置C側の比較手段72により、IPアドレスの変更のない側の通信装置Dから受信された固有の識別情報と、通信装置C側で予め相手方情報格納手段3に格納されている固有の識別情報とが、比較判断され、通信を再開しようとするIPアドレスの変更のない側の通信装置Dであることが確認されることになる(その後、後述する制御手段8により、通信再開のための処理が行われることになる)。
上記制御手段8は、自己のIPアドレスが変更された側の場合と、反対にIPアドレスの変更通知を受信した側の場合とで、その作用・機能が異なる。
そのうち前者の自己のIPアドレスが変更された側の制御手段8は、上記検出手段53において、図18に示すように、自己のIPアドレスが変更されたことが検出された場合に、上記通信手段4を介して、相手方に、接続要求を送信し、併せて新たな自己のIPアドレス及び自己の固有の識別情報を送信せしめる。他方、図23〜図25に示すように、上記比較手段72において、IPアドレスの変更のない側の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(固有の識別情報の確認がなされた場合)には、IPアドレスの変更のない側から出力された接続要求に応じて、相手方(IPアドレスの変更のない側)に接続許可通知を出力すると共に、上記通信手段4に、相手方との接続を確立させる機能を奏することになる。
他方後者のIPアドレスの変更通知を受信した通信装置D側の制御手段8は、上記比較手段73において、相手方(IPアドレスが変更された側)の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(固有の識別情報により相手方の認証ができた場合)に、図21に示すように、相手方情報格納手段3における相手方のIPアドレスを新たなものに更新する。それと共に、相手方に対して、接続要求と、相手方における本通信装置Dの確認のため(自己)の固有の識別情報を送信する。他方、図25に示すように、IPアドレスが変更された側の相手方から、上記通信手段4を介して接続許可通知が受信された時に、該通信手段4に、IPアドレスが変更された側の相手方との接続を確立させる機能を奏することになる。
図17は、通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信において、該通信装置Cが場所を移動した場合に、最初にIPアドレスを割り当ててくれた基地局から、所謂ハンドオーバー処理で、新たに電波の届く圏内になった別の基地局において、該通信装置Cに新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置Cにおける作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、通信が中断されると、通信手段4は、自動的に、新たな基地局を捜査し、該基地局から新たなIPアドレスの割り当てを受ける。そこで検出手段53により、自己のIPアドレスの変更が検出される。それと共に、通信装置Cでは、制御手段8からの指令で、自己IPアドレス格納手段2に格納された自己のIPアドレスを、新たなIPアドレスに更新する。
図18は、新たなIPアドレスの割り当てられた通信装置C側から、相手方(IPアドレスの変更の無かった方)の通信装置Dに、自己のIPアドレスが変更されたことを示す通知を出力する状態を示す説明図である。
同図に示すように、検出手段53から、自己のIPアドレスの変更検出結果が、制御手段8に入力されると、該制御手段8は、自己識別情報格納手段1から通信装置Cの自己の固有識別情報を、また自己IPアドレス格納手段2から通信装置Cの新たなIPアドレスを読み出す。そして、該制御手段8は、通信手段4を介して、これまで通信を行っていた通信装置DのIPアドレスに対して、自己のIPアドレスの上記変更通知と共に、自己の新たなIPアドレス及び固有識別情報を送信する。
図19は、通信装置C及びD間で一旦通信が中断した後、そのうち通信装置Cに新たなIPアドレスが割り当てられ、且つ該通信装置CからIPアドレスの変更通知が受信された場合の、通信装置Dにおける作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、通信装置CからIPアドレスの変更通知が受信された場合、通信装置D側の通信手段4は、その変更通知の受信信号を、制御手段8に出力する。そして、通信手段4により、相手方(通信装置A)から送信されてくる、新たなIPアドレス及び固有の識別情報が受信されると、制御手段8は、相手方変更情報格納手段63にこれらの情報を一時的に格納せしめる。
図20は、相手方の通信装置Cから受信した情報のうち該装置Cの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方Cの固有の識別情報とを比較して、IPアドレスの変更通知をしてきた相手方が、中断前の相手方か否かの認証を通信装置D側で行う状態を示す説明図である。
同図に示すように、比較手段73により、相手方情報格納手段3に格納された元の相手方(通信装置C)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段63に格納されたIPアドレス変更通知を送信してきた相手方の固有の識別情報とが読み出される。そして該比較手段73により、両方の固有の識別情報の比較処理が行われる。
図21は、比較手段73による比較結果において、相手方(通信装置C)の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、上記比較結果が一致した場合、制御手段8により、相手方情報格納手段3における相手方のIPアドレスが、受信された新たな相手方のIPアドレスに更新される。それと共に、上記通信手段4を介して、相手方に、接続要求と自己Dの固有の識別情報が、出力される。
図22は、通信装置C側で、上記接続要求が受信された場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、その信号を受けた制御手段8により、一緒に送られてくる相手方Dの固有の識別情報が、相手方変更情報格納手段62に格納されることになる。
図23は、相手方の通信装置Dから受信した情報のうち該装置Dの固有の識別情報と、通信中断前に記憶されていた相手方Dの固有の識別情報とを比較して、接続要求をしてきた相手方Dが、中断前の相手方か否かの確認を通信装置C側で行う状態を示す説明図である。
同図に示すように、比較手段72により、相手方情報格納手段3に格納された相手方(通信装置D)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段62に格納された、接続要求を送信してきた相手方の固有の識別情報とが読み出される。そして該比較手段72により、両方の固有の識別情報の比較処理が行われる。
図24は、比較手段72による比較結果において、相手方(通信装置D)の2つの固有の識別情報が一致した場合の制御手段8による作動状態を示す説明図である。
同図に示すように、上記比較結果が一致した場合、制御手段8により、上記通信手段4を介して、相手方に、接続許可通知が出力され、且つ通信装置D側との接続が確立される。
図25は、接続許可通知が受信された後に、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置D側が、通信装置C側と接続が確立される状態を示している。この時は、相手方通信装置Cも、すでに接続許可通知を送信しているので、図24及び図25に示すように、互いの制御手段8により、通信手段4を介して、双方の通信接続が確立される状態にある。
その後、通信装置CとDとの通信が再開されて、元のようにピアツーピア通信ができる状態になる。ピアツーピア通信が再開されれば、図16の通常の通信状態に戻ることになる。
図26〜図28は、以上の実施例2における各処理フローを示すフローチャートである。
そのうち図26は、両通信装置C及びDにおける、夫々の通信セッション処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、通信装置C又はDにおいて、装置のスイッチがONになると、夫々の装置のイニシャライズ(初期化)処理が行われる(ステップS400)。
そして、通信のセッションが開始されたか否かがチェックされる(ステップS402)。該セッションが開始されていなければ(ステップS402;N)、再びステップS402の最初に復帰する。
反対に上記セッションが開始されれば(ステップS402;Y)、基地局との間で通信がなされ、その時に該基地局によって割り当てられるIPアドレスが取得される(ステップS404)。それに伴って、ピアツーピア通信を行うためのソケットが開かれる(ステップS406)。
その後、相手方に接続要求を送信するか否かがチェックされ(ステップS408)、接続要求を送信する場合(ステップS408;Y)は、制御手段8により、通信手段4を介して、相手方に接続要求が送信される(ステップS410)。その後相手方から接続許可通知が受信されたか否かがチェックされる(ステップS412)。接続許可通知が受信された場合(ステップS412;Y)は、以下のステップS420に進む。反対に接続許可通知が受信されなかった場合(ステップS412;N)は、上記ステップS408に復帰し、以上の処理を繰り返す。
相手方に接続要求を送信しない場合(ステップS408;N)は、接続要求の受信がなされたか否かがチェックされる(ステップS414)。接続要求が受信された場合(ステップS414;Y)、相手方に接続許可通知を送信するか否かがチェックされ(ステップS416)、接続許可通知を送信する場合(ステップS416;Y)は、制御手段8により、通信手段4を介して、相手方に接続許可通知が送信され(ステップS418)、以下のステップS420に進む。反対に接続許可通知を送信しない場合(ステップS416;N)、上記ステップS408に復帰し、以上の処理を繰り返す。
接続許可通知が受信された後、又は接続許可通知が送信された後、互いに相手方のIPアドレスと固有の識別情報の送受信がなされ、夫々相手方情報格納手段3に格納される(ステップS420)。そして互いの制御手段8により、通信手段4を介して、相互の接続が確立される(ステップS422)。そして任意の情報処理が、ピアツーピア通信により実行される(ステップS424)。
一定のインターバルで、互いに自己のIPアドレスのチェック及び相手方からのIPアドレスの変更通知のチェックがなされ(ステップS426)、自己のIPアドレスに変更があるか否か、及び相手方からのIPアドレスの変更通知があったか否かがチェックされる(ステップS428)。自己のIPアドレスに変更がない、又は相手方からのIPアドレスの変更通知がなければ(ステップS428;N)、ステップS424の上記情報処理に復帰し、以上の処理を繰り返す。
反対に自己のIPアドレスに変更がある、又は相手方からのIPアドレスの変更通知があれば(ステップS428;Y)、以下の図27又は図28に示す自己のIPアドレス変更による通信再開処理又は相手方からのIPアドレスの変更通知による通信再開処理がなされる(ステップS430)。
その再開処理後、通信のセッションが終了したか否かがチェックされ(ステップS432)、セッションが終了していなければ(ステップS432;N)、ステップS424の上記情報処理に復帰し、以上の処理を繰り返す。
反対にセッションが終了していれば(ステップS432;Y)、上記ステップS402に復帰し、上記処理を繰り返す。
図27は、図17以下の通信装置Cに示すように、通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、該通信装置Cに、新たなIPアドレスが割り当てられた場合の、通信装置CにおけるIPアドレス変更による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、制御手段8により、相手方(通信装置D)に対して、自己のIPアドレスの変更通知が送信され、且つ変更された自己の新たなIPアドレス及び固有の識別情報が送信される(ステップS500)。
その後相手方から接続要求が受信されたか否かがチェックされ(ステップS502)、接続要求が受信された場合(ステップS502;Y)、制御手段8により、相手方(通信装置D)から、固有の識別情報が受信され、一旦相手方変更情報格納手段62に格納される(ステップS504)。
次に、上記比較手段72により、相手方情報格納手段3と相手方変更情報格納手段62から、夫々に格納された相手方(通信装置D)の固有の識別情報が読み出され(ステップS506)、両情報が一致するか否かがチェックされる(ステップS508)。
両情報が一致しない場合(ステップS508;N)、そこで該通信再開処理は終了する。反対に両情報が一致すれば(ステップS508;Y)、従前に通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスの変更のない相手方)の通信装置Dであることが確認されたことになり、制御手段8により、通信手段4を介して、通信装置Dの元々のIPアドレスに、接続許可通知が出力され(ステップS510)、相手方(通信装置D)との接続を確立する処理が行われる(ステップS512)。
図28は、図19以下の通信装置Dに示すように、通信装置C及びD間で行われていたピアツーピア通信が一旦中断した後、相手方の通信装置CのIPアドレスに変更があり、その変更通知が受信された場合の、通信装置DにおけるIPアドレス変更通知による通信再開処理の処理フローを示すフローチャートである。
同図に示すように、相手方(通信装置C)からIPアドレスの変更通知が受信され、且つ相手方の新たなIPアドレスと固有の識別情報が受信され(ステップS600)、一旦相手方変更情報格納手段63に格納される(ステップS602)。
次に、上記比較手段73により、相手方情報格納手段3と相手方変更情報格納手段63から、夫々に格納された相手方(通信装置C)の固有の識別情報が読み出され(ステップS604)、両情報が一致するか否かがチェックされる(ステップS606)。
両情報が一致しない場合(ステップS606;N)、そこで該通信再開処理は終了する。反対に両情報が一致すれば(ステップS606;Y)、従前に通信を行っていた相手方(この時点では既にIPアドレスが変更されていて、通常ではこれまでの相手方か否かが分からない状態になっている)の通信装置Cであることが認証されたことになり、変更されたIPアドレスを新たなものとし、正式に相手方のIPアドレスとして、相手方情報格納手段3に格納された相手方IPアドレスの更新がなされる(ステップS608)。
制御手段8により、通信手段4を介して、更新されたIPアドレスの相手方に、接続要求と自己の固有の識別情報が送信される(ステップS610)。
そして、相手方から接続許可通知が受信されたか否かがチェックされ(ステップS612)、接続許可通知が受信されていなければ(ステップS612;N)、通信再開処理は終了する。
しかし、接続許可通知が受信されていれば(ステップS612;Y)、相手方(通信装置C)との接続を確立する処理が行われる(ステップS614)。
本実施例2の構成では、一方の通信装置Cで、自己のIPアドレスが変更されたことを検出手段53により検出し、その変更通知を、相手方(IPアドレスの保たれている側の通信装置)の通信装置Dに送信する。他方、それを受けたIPアドレスの保たれている側の通信装置Dでは、新たな相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)のIPアドレス及び相手方の固有の識別情報を受信し、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置Dの)相手方変更情報格納手段63に一時的に格納しておく。そしてその(IPアドレスの保たれている側の通信装置Dの)比較手段73において、相手方情報格納手段3に格納された相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段63に格納された相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)の固有の識別情報との比較処理を実行し、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合(所謂相手方の認証ができた場合)には、その(IPアドレスの保たれている側の通信装置Dの)制御手段8により、相手方情報格納手段3における相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)のIPアドレスを新たなものに更新すると共に、相手方(IPアドレスが変更された側の通信装置C)に対し接続要求及び自己の固有の識別情報を送信する。IPアドレスが変更された通信装置C側では、その接続要求の受信に伴って、上記通信手段4を介して、該接続要求及び相手方の固有の識別情報を受信し、相手方変更情報格納手段62に一時的に格納しておく。そしてその比較手段72において、相手方情報格納手段3に格納された相手方の固有の識別情報と、相手方変更情報格納手段62に格納された相手方の固有の識別情報とが比較され、該比較手段72において、相手方の固有の識別情報の比較結果が一致すると判断された場合には、上記接続要求に応じて、その制御手段8により、相手方に接続許可通知を出力する。そうすると、双方の制御手段8は、通信手段4を介して、互いに相手方との接続を確立させることになる。
尚、本発明のピアツーピア通信装置は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のピアツーピア通信装置では、他の機器や外部のネットワークの利用をせず、またネットワークへの負荷も少なく、再開までの時間が短時間で済み、高セキュリティで通信再開が可能なピアツーピア通信を実施できるため、携帯電話やPDAなどの携帯端末、モバイルコンピュータなど、或いはその他の持ち運び可能な通信手段に有効に活用できるようになる。例えば、自動車、船舶、飛行機などの通信装置として利用することも可能である。