JP3891808B2 - 省エネ型除湿システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿った空気から水蒸気を除き湿度の低い空気へと変化させることによって空気を再利用する省エネ型除湿システム技術に関する。さらには、その除湿の際、水蒸気の持つ蒸気潜熱を回収しつつ、且つ空気の再利用に伴うエネルギを殆ど必要としない省エネ型除湿システムに関する。また本発明技術で得られる空気の再利用は、水あるいは分子状で空気中に分散している物質(炭酸ガス、酸素、窒素など)では出入り自由な開放系でそれら以外の特定径以上の粒子(アレルゲン、ウイルス、細菌、浮遊性微粒子など)については閉鎖系で実施される技術分野でもある。
【0002】
【従来の技術】
熱回収の観点については多くの技術が開発されている。比較的高温の廃熱は熱交換器により有効利用することが可能である。また低温の廃熱ではヒートポンプの活用により有効利用できる。しかしこれらの方式では湿熱空気を温度を下げずに湿度の低い空気に換えることはできず、実質的に湿熱空気は排気ガスとして外気に放出され環境に悪影響を与える可能性があり、また蒸発潜熱を回収することはない。
一方、湿度を低下させる方法として冷却器を用いて空気中の水蒸気の飽和点を低下させて水分を除去し、再び加熱する方法がある。この方法では湿熱空気の湿度のみを低下させることは可能で空気として水分以外は閉鎖系をつくることも可能である。しかしこの方法では熱回収はまったく行われず、冷却/加熱のためのエネルギを消費する。
【0003】
特公昭54−152679号公報では湿度の高い気体より水蒸気を分離除去する方法が示されている。この方法では水蒸気を膜濾過させる。一部の空気も水蒸気と同時に除去される。この膜濾過法では分離速度が小さく実用上多大の膜面積と圧力差が必要であり熱回収も十分ではない。特開昭47−19990号公報では障子紙などを熱交換媒体に利用して水蒸気の潜熱の一部が回収され同時に顕熱も熱交換により回収される。しかし潜熱回収率は低く湿熱空気は外気と交換される。即ち湿熱空気は排気ガスとして外気に放出される。空気中の成分にとっては完全に開放系である。
【0004】
特公平4−13006号公報では閉鎖系で潜熱と顕熱とを回収する技術の原理が示されている。その技術では親水性物質よりなるシート状物または膜の片側に湿熱空気を流し、もう一方の側にも乾燥空気を流す。この際気体を流す条件は膜を介した濾過による気体流れの寄与が無視できるように設定されている。この方法では湿熱空気と乾燥空気との両者の流れが不可欠である。実際にこの方法で熱回収を実施する際、乾燥空気の流れ速度は湿熱空気のそれの3倍以上が必要になり、この空気流れのために要するエネルギは熱回収で得られる回収エネルギに匹敵するという問題がある。また工場等の大型乾燥機から排出される空気に該技術を適用すると短時間で除湿能力が低下する問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術(特公平4−13006号)を、平均孔径10〜80nmの銅安法再生セルロース中空糸膜を円筒状モジュールに成型した構造物に適用し清浄な湿熱空気の除湿効果を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。
▲1▼乾燥空気の供給速度と湿熱空気の供給速度の比が大きいほど除湿速度は大きくなる。
▲2▼湿熱空気および乾燥空気の温度が低いほど除湿速度が大きくなる。
▲3▼上記速度比を一定にした際に湿熱空気の相対温度が増加すると除湿速度は増加するが、ある湿度で最大値をとりその後低下する。この低下が起こった条件下で膜間差圧を従来技術で禁じられている値以上に加えると除湿速度は再び増加する。
▲4▼平均孔径15nm以上にすると膜表面に吸着した水の表面拡散流れの寄与が大きくなり同時に湿潤状態での微生物の拡散による膜透過が防止できる。
【0006】
上記のように従来技術(特公平4−13006号)では湿熱空気側での吸湿速度は十分であるが乾燥空気側の除湿速度が不足しがちになる。この検討結果から、本発明者らは、乾燥空気と接触する側の組織を最適に特定すれば乾燥空気を強制的に流さなくても除湿が可能であることを見いだした。即ち、乾燥空気に接する側の組織の凹凸の程度を表示するのに以下の3種のパラメータを用いる。即ち(a)凸部の組織の平均長さ(凹凸の振幅)h、(b)凸部間の平均距離D、(c)凹凸組織の空隙率Prである。ただし凹凸部の振幅は少なくとも5μmでなければ凹凸とは定義しない。この3種のパラメータを用いて乾燥空気に接する側の組織を特徴づけることが可能である。凹凸が激しい粗面とは4Prh/D≧1を定義し、空隙率が大きい組織とはPr≧0.5を定義する。本発明の最大の特徴は乾燥空気と接触する側の組織が凹凸が激しく空隙部が大きい点にある。この組織全体が均質である場合の乾燥空気と接触する表面積は次式で与えられる。
【0007】
(乾燥空気側接触表面積/親水性表面の面積)
=〔(1+(h/D)(2Pr+0.78(1−Pr)1/2 )〕
【0008】
上式で左辺の比を接触表面積比と定義する。この比が10以上であれば乾燥空気の強制的な流れがなくとも除湿速度は親水性表面の1平方メートル当たり8g/時間の除湿が可能である。即ちPr・h/Dがおおきければ大きいほど除湿速度が大きくなる。ただし乾燥空気の強制的な流れ速度を効果的に減らすには接触表面積比が10以上であることが望ましい。この比が20以上になると乾燥空気の強制的な流れがなくとも親水性表面の1平方メートル当たり15g/時間以上の除湿が可能となる。除湿装置としては軽量となるため自動車等の移動空間用除湿システムとして利用できる。凸部を構成する組織としては不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれでも良い。特に多数のフィラメントが撚り合わされた糸状物で構成されたものが適する。
【0009】
湿熱空気と乾燥空気との間に温度差がある場合、乾燥空気側に拡散する水分子は液体状(水)となる場合が多い。この水は毛細管現象によって凸部の末端まで達することができる。水が蒸気となり乾燥空気中へ蒸発したりあるいは水滴として外系へ落下することにより本発明構造体全体としては一定の吸収水分率として保持される。水滴とし系外へ除去できるように本発明構造体の乾燥空気と接触する側の組織の形状を設定するとエネルギ回収率がより高まる。例えば凸部が吹き流しのように外気中を漂いつつ、その流れの方向の急変が可能であれば重力と遠心力とが水に働き、液体の水として外気中へ放出することができる。このような吹き流しは一般的に水分脱着用フィンの一種とみなせる。この場合の接触表面積比はその形状に対応して上式で算出される値に吹き流しの表面積分を加えることで算出される。
【0010】
本発明では、熱回収と除湿の原理として特公平4−13006号を使用し、さらに上記知見を基に、前記特許での問題点である乾燥空気の早い流れの必要性をなくし、かつ、長時間での除湿能力を維持させることができる新規な省エネ型除湿システムを提供し、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
また同時に本発明で対象とする湿熱空気が占める空間が微生物等の微粒子に対して閉鎖系を構成する省エネ型除湿システムを提供する。
上記本除湿システムでは、乾燥空気を強制的に流すのに必要とするエネルギが不要となりエネルギ回収効率が大幅に上昇する。また乾燥空気を流すのに必要な装置も不要となり除湿機として小型化し軽量化される。そのため本発明装置を単に空間部(移動空間あるいは固定化された空間部)に設置するのみで省エネルギ下で除湿される。また固定化された空間での長期間の使用が可能となり本発明構造体の取替え頻度を著しく減少できる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
絶対湿度の高い気体に接する面は親水性物質で構成された多孔性の親水性表面であり、絶対湿度の低い空気に接する裏部分は該親水性表面に比べて凹凸の激しい粗い形態で空隙率の大きな組織体で構成された構造体であり前記絶対温度の高い気体に接する面が湿熱空気に接し、前記凹凸の激しい構造体が湿熱空気よりも絶対湿度が低い空気に接することにより、湿熱空気から水蒸気を除去するとともに水蒸気の持つ蒸発潜熱の一部を回収することを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、前記親水性表面は空孔率30%以上で平均孔径15nm以上で構成されていることを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、前記親水性表面の平均孔径が15nm以上で0.45μm以下であり、且つ、前記裏部分の構造体の表面積が前記親水性表面の表面積の10倍以上であることを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、前記凹凸の激しい粗い形態を持つ裏部分の構造体は、不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかと連結し、該不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかの一部を引き出して外部空気に接するように作製された水分脱着用フィンによって構成されていることを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、前記裏部分の構造体は中空糸膜外壁と、不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかと連結し、該不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれの一部を引き出して外部空気に接するように作製された水分脱着用フィンによって構成されていることを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、湿熱空気が占める空間が微生物等の微粒子に対して外部へ流出したり外部から流入することがない閉鎖系を構成することを特徴とする省エネ型除湿システムである。
また、絶対湿度の高い気体に接する面は親水性物質で構成された多孔性の親水性表面であり、絶対湿度の低い空気に接する裏部分は該親水性表面に比べて凹凸の激しい粗い形態で空隙率の大きな組織体で構成された構造体である。
また、前記に記載の構造体と、前記構造体へ湿熱空気を導入する前部側に配置したオイルミスト吸着部とを備え、前記構造体による処理後の湿熱空気の導出部に脱臭部を連結したことを特徴とする定置型除湿システムである。
また、前記に記載の構造体を備え、前記構造体で乾燥空気に接する裏部分の構造体が繊維組織で構成され、該裏部分の構造体の接触表面積比が20以上であることを特徴とした移動空間用除湿システムである。
【0012】
【実施の形態】
以下本発明の除湿構造体に係る実施形態について図面を参照して説明すると、図1は湿熱空気側が中空糸膜で構成され乾燥空気側が水分脱着用フィンの組織を持つ本発明の除湿システムの模式図、図2は図3中のA−A断面図、図3は図1中の縦断面図である。
図において、1は湿熱空気の流入方向、2は構造体の中空糸膜の内壁へ通じるモジュール入口パイプ、2Aは中空糸を束ねて構成した中空糸膜、3は中空糸膜2Aの中空部の空間と中空糸膜2Aの外壁部の空間を隔てる外套キャップ、4は乾燥空気流入口、5は中空糸膜2Aの外壁部空間に充填された織布あるいは不織布の一部を抜き出して作製された水分脱着用フィン、6は中空糸の外壁部空間に充填された織布あるいは不織布であって、これらは中空糸膜2Aの外壁部と密着し両者に水分の移動を可能としている。7は除湿後の湿熱空気の流出方向、8は乾燥空気の流入方向 、9は乾燥空気の流出方向、10は円筒部材である。
【0013】
図2の中空糸膜2Aの外壁部に連結した水分脱着用フィン5の作成方法を例示する。中空糸膜2Aの外壁部にフィン5が接着または密着し事実上一体化されて外壁部とフィンの両者を相互に水分輸送が可能な構造をもつ。本発明裏部分の構造体のフィンの作製には先ず複数の中空糸膜2Aに不織布あるいは織布を接着し、多数の隙間(図2の外筒10の欠落部)を有するような円筒モジュール10中に該中空糸膜を常法で成型する。かくして円筒モジュール内に不織布や織布6が埋め込まれ該布の一部を円筒状モジュール10の欠落部から引き出して吹き流し形状にすればこれが水分脱着用のフィン5である。ただしフィン5用の布(不織布または織布)は中空糸膜の成型前に中空糸膜の外壁部に接着させて中空糸膜の間に予め混入させておく方式の方がより容易である。湿熱空気と接する側(表面)を平面状の親水性表面で構成され、脱着側をフィンとして繊維状あるいは糸状の組織とすることは平膜の成膜の技術を用いれば容易である。上記円筒状の構造体を平面状の構造体とした場合には定置型空間用として適する。
【0014】
湿熱空気に接する側は親水性物質で構成され且つ空孔率が30%以上で平均孔径が15nm以上である多孔質膜である点も本発明の第2の特徴である。湿熱空気と親水性表面とが接することにより、湿熱空気中の水蒸気が該表面に吸着され凝集する。この際に吸着熱と蒸発潜熱とを発熱する。この吸着による湿度低下と発熱による温度上昇の2種の効果により湿熱空気の持つ潜熱を回収し、得られた湿度の低下した空気の温度を回収した熱で高めることができる。ここで多孔性の表面とは、該表面を走査型顕微鏡で観察した際、明瞭に孔または空間部が認められる表面である。その際、孔または空間部の占める面積比率(これを空孔率という)が30%以上であれば水蒸気中の水分が吸着し、脱着側へ水を輸送する速度が大きくなり効率的な除湿が可能となる。この孔の平均孔径が15nm以上であれば孔壁表面での吸着水の表面拡散流れが顕著となり、除湿速度の上昇がおこる。また平均孔径が0.45μm以下であれば、親水性表面は微生物の微粒子に対して閉鎖系を形成するための障壁面となる。
【0015】
湿熱空気中の微粒子はほとんど電荷を帯びずそのため静電的な作用での微粒子除去は一般には難しいが本発明ではこれらの微粒子を系外へ放出させたり取り入れたりすることはない。微粒子に対するこの閉鎖系を完全にするには膜表面付近の構造が多層構造をなす多孔体を利用すればよい。本発明のシステムを構成する構造体は親水性表面を持つ。この表面は水蒸気に対して吸着剤として作用する。吸着の際に発生する微分吸着熱は湿熱空気を加熱する熱源となる。ここで親水性物質とはセルロース、アルギン酸等の多糖類高分子、あるいはポリビニールアルコールやポリエチレングリコール等の水酸基を有する親水性高分子である。ポリ4フッ化エチレンのような疎水性物質では本発明のような潜熱回収と除湿は起こらない。
【0016】
本発明のもう一つの特徴は、本発明の親水性表面に接する湿熱空気の絶対湿度が他の側と接する乾燥空気の絶対湿度よりも常に大きい点である。ここで絶対湿度の差が重要であり相対湿度とは関係ない。例えば外気の相対湿度が高くとも外気温度が低ければ水分子の拡散速度は湿熱空気側の方が大きく水の拡散は進行する。したがってそのような場合でも本発明技術で除湿は可能である。
【0017】
本発明構造体は下記の2種に大別される方法で作製される。
(1)予め親水性の織布、あるいは不織布等、あるいはテープ状物や糸状物などを平面状に敷き詰めた後、この表面上に多孔性膜を生成する原液を流延コーティングする。成膜後裏面をサンドペーパ等でこすり、布状、糸状物を毛羽だたせたり、一部は細い短冊状の布を引き出すことによって作製される。
(2)まず特定された孔特性を持つ膜(中空糸膜あるいは平面状膜)を作製する。次にこの膜の一面(中空糸膜では外壁面)を、メッシュ上に敷き詰めた不織布、編織り布テープ状物や糸状物等の上に密着あるいは接着させる。中空糸膜の場合中空糸膜を一方向に引き揃え且つ不織布等で上下に挟まれた形態としその後適当な形のモジュールに成型する。メッシュの大きさはおよそ1cm角である。密着後メッシュを通して不織布等を糸状またはテープ状に引き出すことにより本発明の構造体が作製される。
【0018】
本発明の構造体を実際の乾燥機からの排気ガスに適用した場合、その初期には除湿機能は十分予想通りであっても、使用経過にともなってその能力が低下する場合がある。その場合新規な構造体に取り替えれば機能は回復する。しかし短時間での取替えは除湿システムのコスト増大をもたらす。このような能力低下の原因が主として排気ガス内部に存在するオイル(ミスト)にあることが明らかになった。そのため定置型除湿システムとして本発明を適用する際、予め湿熱空気をオイルミスト吸着部を通し、次に本発明構造体で除湿とエネルギ回収をし、除湿後の空気を脱臭部へ連結すると長期に本発明物が使用可能となる。この際、オイルミスト吸着部にはポリプロピレン製不織布で作られたフィルタや充填物が用いられる。脱臭部には活性炭などの非極性の吸着剤が適する。
【0019】
ここで後述する実験例に先立ち測定方法をまとめて示す。
空孔率Pe:膜厚をd、膜面積をS、膜の重量をW、膜を構成する成分の密度をρとすると親水性表面の膜の空孔率Peは(1)式で与えられる。
Pe=1−W/(d・S・ρ) (1)
空隙率Pr:試料体積をV、試料重量をWで、試料体積中の繊維フィラメントの密度をρfとすると乾燥空気に接する組織体の空隙率Prは(2)式で与えられる。
Pr=1−W/(V・ρf) (2)
平均孔径:試料面積をS(cm2 )、試料厚さをd(cm)、空孔率をPeの膜に対して純水(粘度:η(c.p))を濾過する。濾過の際の膜間差圧をΔP(単位:cmHg)の時の濾過速度をJ(ml/sec)とすると、
平均孔径=0・046(J・d・η/S・Pe・ΔP)1/2 (3)
相対湿度:(株)テスト社製testo625を用いて空気中の相対湿度と温度とを同時に測定した。
【0020】
実験例1銅安法再生セルロー中空糸(平均孔径15nm、空孔率0・06、中空糸膜厚20μm)を束ね有効濾過面積が100平方センチメートルになるようにポリカーボネート製の円筒状モジュール内に充填成型した。中空部内を流出入する回路(湿熱空気用)と中空糸膜の外壁部に流出入するための回路(乾燥空気用)、それぞれ流出入口4個がモジュールに予め準備されている。この円筒状モジュールを比較例1とする。このモジュールでは乾燥空気と接触する表面では凹凸がなくそのためh=0であり、そのため接触面積比は1.0である。比較例1の円筒状モジュールの外筒の大部分に穴を開け、この穴より円筒内に脱脂綿と再生セルロース不織布とを充填した。充填後、再生セルロース不織布の端を穴より引出しモジュールの外部に長さ約2cmの吹き流しにした。この方法で図1に類似した構造物が得られた。吹き流しのない構造物を実施例1で吹き流しのある構造物を実施例2とする。脱脂綿と再生セルロース不織布との充填量を変化させることにより空隙率Prを変化させた。構造体の接触表面積比を下記の数値を代入して算出した。Pr=0.70、h=4.0mm、D=0.40mm。実施例1では接触表面積比は約10で実施例2では20になっている。中空糸膜の内部に流す湿熱空気は25°C、相対湿度が90%で流入速度は200ml/分の一定とした。乾燥空気は25°Cで相対湿度は30%で一定であり、流す方向は湿熱空気と同一方向であった。流す速度として、0、200、600、1200ml/分の4種であった。湿熱空気の出口側の温度および湿度を測定し、膜面積を1平方メートル当たりの除湿速度を算出した。実験開始後、約10分で定常状態での運転となり、この定常状態での結果をまとめて表1に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003891808
【0022】
表1から明らかなように本発明構造体を使用すれば除湿速度は乾燥空気速度が1000ml/分以下(1平方メートルの膜面積当たり100リットル/分以下)では比較例に比べて3倍以上となる。また接触表面積比が20以上となれば乾燥空気の強制的な流れがなくとも15g/m2 ・hr以上の除湿が可能である。湿熱空気側では除湿によりその温度は0.5〜1.0°C上昇している。これは吸湿時の吸着・凝集エネルギの一部が湿熱側に放出されたためである。接触表面積比が20以上では中空糸膜モジュールの形態で本発明構造体を作製すると除湿部としては小型で軽量である。そのため本発明構造体を自動車等への設置が可能となり、停車時および走行時のいずれの場合でも乾燥空気を送るためのエネルギを必要としない。移動空間ではオイルミストの発生は殆どないため長期にわたって性能低下が起こらない。
【0023】
また本実施例では平均孔径15nmの中空糸膜を介して湿熱空気(内部空気)と乾燥空気(外気)との間に分子の移動が行われている。しかしウイルス等の微生物あるいは微小粒子に関してはこれらの拡散輸送は阻止されており、その意味で微粒子に関しては閉鎖系となっている。水、酸素、窒素、炭酸ガス等に対しては常に窓は開かれて状態で微粒子のみに対して閉められた状態となっている。平均孔径が大きくなるほど除湿速度は大きくなる。閉鎖系とすべき微粒子の大きさによって平均孔径が大きくなるほど除湿速度大きくなる。閉鎖系とすべき微粒子の大きさによって平均孔径は決定される。物質の輸送が拡散を中心に行われるため、濾過のような膜への目詰まりは殆ど起こらない。
【0024】
本発明の実施形態について説明したが、本発明に係る構造体は円筒状、平板状の他種々の形態として作製することができ、また構造体を構成する材料も、上記の形態に限定されることなく、同様な機能を達成できる種々の材料を使用して実施することができる。また中空糸膜からなるモジュールを複数組み合わせたり、あるいは中空糸膜以外にも同様な機能を奏する材料を使用して本発明を実施することができる。さらに水分脱着用フィンの形状も図1に示す形状(吹き流し形状)に限定することなく、その大きさ、形状、引出し方など設計時において種々に変更することができる。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0025】
【発明の効果】
以上の詳細に説明した如く、本発明によれば、
(1)省エネルギにの運転条件下で湿熱回収と顕熱回収の除湿が可能である。
(2)ウイルス等の微生物に対しては外気からの混入もなく外気への排出もない。
(3)炭酸ガス、酸素、水分にたいしては換気される。
(4)定置型として長時間の運転が可能である。
(5)軽量で動力が殆ど必要ないため移動空間用の除湿システムに利用される。
(6)乾燥工程から排出されてくる高温多湿の排気ガスの排出がなく湿熱空気のリサイクル化が可能である。
(7)湿熱空気の水分が親水性表面に吸着される際に発生する吸着熱(気体から液体への凝集熱+水の親水性物質への付着熱)を回収することにより湿熱空気の温度低下を防止したり上昇させたりできる。
(8)湿熱空気をいわば乾燥空気に近い状態に温度をほとんど変換でき、乾燥工程で必要とする加熱空気として、そのままあるいは僅かに加熱して使用できる。
(9)乾燥工程で排出される湿熱空気の持つエネルギを回収することで省エネルギ化が可能となり、乾燥のコストダウンと排気ガスによる大気汚染対策が計られる。
(10)除湿工程として小型軽量化が達成され、移動空間用や家庭用の除湿システムとして適用できる。
等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒状中空糸膜モジュール型の本発明除湿部の構造体の模式図を示す。
【図2】図3中のA−A断面図である。
【図3】図1中の縦断面図である。
【符号の説明】
1 湿熱空気の流入方向
2 構造体の中空糸の内壁へ通じるモジュール入口パイプ
2A 親水性物質で構成された多孔性の親水性表面を持つ組織体(中空糸膜)
3 中空部の空間と中空糸膜の外壁部の空間を隔てる外套キャップ
4 乾燥空気流入口
5 凹凸の激しい粗い形態で空隙率の大きな組織体(中空糸の外壁部空間に充填された織布あるいは不織布の一部を抜き出して作製された水分脱着用フィン)
6 中空糸の外壁部空間に充填された織布あるいは不織布
7 除湿後の湿熱空気の流出方向
8 乾燥空気の流入方向
9 乾燥空気の流出方向。

Claims (9)

  1. 絶対湿度の高い気体に接する面は親水性物質で構成された多孔性の親水性表面であり、絶対湿度の低い空気に接する裏部分は該親水性表面に比べて凹凸の激しい粗い形態で空隙率の大きな組織体で構成された構造体であり前記絶対温度の高い気体に接する面が湿熱空気に接し、前記凹凸の激しい構造体が湿熱空気よりも絶対湿度が低い空気に接することにより、湿熱空気から水蒸気を除去するとともに水蒸気の持つ蒸発潜熱の一部を回収することを特徴とする省エネ型除湿システム。
  2. 前記親水性表面は空孔率30%以上で平均孔径15nm以上で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の省エネ型除湿システム。
  3. 前記親水性表面の平均孔径が15nm以上で0.45μm以下であり、且つ、前記裏部分の構造体の表面積が前記親水性表面の表面積の10倍以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の省エネ型除湿システム。
  4. 前記凹凸の激しい粗い形態を持つ裏部分の構造体は、不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかと連結し、該不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかの一部を引き出して外部空気に接するように作製された水分脱着用フィンによって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の省エネ型除湿システム。
  5. 前記裏部分の構造体は中空糸膜外壁と、不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれかと連結し、該不織布、織・編物、テープ状、紐状、繊維状物のいずれの一部を引き出して外部空気に接するように作製された水分脱着用フィンによって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の省エネ型除湿システム。
  6. 湿熱空気が占める空間が微生物等の微粒子に対して外部へ流出したり外部から流入することがない閉鎖系を構成することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の省エネ型除湿システム。
  7. 絶対湿度の高い気体に接する面は親水性物質で構成された多孔性の親水性表面であり、絶対湿度の低い空気に接する裏部分は該親水性表面に比べて凹凸の激しい粗い形態で空隙率の大きな組織体で構成された構造体。
  8. 請求項7に記載の構造体と、前記構造体へ湿熱空気を導入する前部側に配置したオイルミスト吸着部とを備え、前記構造体による処理後の湿熱空気の導出部に脱臭部を連結したことを特徴とする定置型除湿システム。
  9. 請求項7に記載の構造体を備え、前記構造体で乾燥空気に接する裏部分の構造体が繊維組織で構成され、該裏部分の構造体の接触表面積比が20以上であることを特徴とした移動空間用除湿システム。
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