JP3890981B2 - アルカリエッチング液及びこのエッチング液を用いたシリコンウェーハのエッチング方法並びにこの方法を用いたシリコンウェーハの表裏面差別化方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハの製造工程において、発生するウェーハ表面の加工変質層をエッチング除去する方法の改善に関する。更に詳しくは、エッチングされたウェーハの表面のみを鏡面研磨してウェーハ表裏面の差別化を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体シリコンウェーハの製造工程は、引上げたシリコン単結晶インゴットから切出し(ブロック切断)、外径研削、スライスして得られたウェーハを、面取り、機械研磨(ラッピング)、エッチング、鏡面研磨(ポリッシング)及び洗浄する工程から構成され、高精度の平坦度を有するウェーハとして生産される。これらの工程は目的により、その一部の工程が入替えられたり、複数回繰返されたり、或いは熱処理、研削等他の工程が付加、置換されたりして種々の工程が行われる。
ブロック切断、外径研削、スライシング、ラッピング等の機械加工プロセスを経たシリコンウェーハは表面にダメージ層即ち加工変質層を有している。加工変質層はデバイス製造プロセスにおいてスリップ転位等の結晶欠陥を誘発したり、ウェーハの機械的強度を低下させ、また電気的特性に悪影響を及ぼすので完全に除去しなければならない。
【0003】
この加工変質層を取除くため、エッチング処理が行われる。エッチング処理には、混酸等の酸エッチング液を用いる酸エッチングと、NaOH等のアルカリエッチング液を用いるアルカリエッチングとがある。
酸エッチングは、そのエッチングレートがエッチング溶液中のウェーハ面上での反応種や反応生成物の濃度勾配に大きく依存し、エッチング溶液の不均一な流れなどの原因による拡散層厚さの不均一によって、エッチングレートが面内でばらつき、ラッピングで得られた平坦度が損なわれ、エッチング表面にmmオーダーのうねりやピールと呼ばれる凹凸が発生する。
【0004】
一方、アルカリエッチングは、そのエッチングレートがエッチング溶液の反応種や生成物の濃度勾配等に依存せず、エッチング後のウェーハの平坦度は高レベルのまま保持される。従って、高平坦度を得るためには、酸エッチングよりもアルカリエッチングの方が優れている。
【0005】
しかし、アルカリエッチングでは、ウェーハの結晶方位に依存して出現する局所的な深さが数μmで、大きさが数〜数十μm程度のピット(以下、これをファセットという。)が発生する。ファセットとは、ウェーハ表面にアルカリエッチングを施す場合に、結晶方位<100>と<111>とでエッチングレートが極端に異なることに起因して発生する凹みである。これは、どのような面状態でも発生するものであり、アルカリエッチングを施す限り、その凹みの大きさを変えることはできるが発生自体を回避することはできないとされている。
アルカリエッチングでも、高濃度のアルカリエッチング液(例えば、12.9mol/l水酸化カリウム水溶液)によりウェーハ表面をエッチングすると、図2に示すように、ウェーハ表面に形成される1つ1つのファセットの幅が小さく、表面粗さが大きくなる問題点があった。
【0006】
また、低濃度のアルカリエッチング液(例えば、3.3mol/l水酸化カリウム水溶液)によりウェーハ表面をエッチングすると、図3に示すように、ファセットが形成されるだけでなく、大きさが数ミクロン以下で深さが十から数十ミクロン程度の深いピットが同時に発生する問題点があった。深いピットとは、シリコンウェーハの表面に局所的なダメージや汚染源等の異常点が残っている場合、その箇所だけ異常反応して生じる深い孔であり、アルカリエッチングの特異的な異方性とも関係があると考えられている。なお、酸エッチングを施してもこのような現象は発生しない。
【0007】
このようなアルカリエッチングにおける上記問題点を解決する方法として、アルカリエッチング槽を多槽化し、第1段目に濃度が45重量%以上の水酸化ナトリウム、第2段目に濃度が5重量%以上の水酸化リチウムを用いて半導体ウェーハをアルカリエッチングする方法が提案されている(特開平11−126771)。この方法では、第1段目の水酸化ナトリウムによるエッチングにより深いピットの形成を低減させ、第2段目の水酸化リチウムによるエッチングにより深いピットの増大を抑制するとともに、表面粗さを小さくしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平11−126771号公報に示された方法では、第2段目のエッチング液の水酸化リチウム濃度を5重量%以上に規定しているが、水酸化リチウムは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等と比較して極めて高価であるため、エッチングコストが上昇するおそれがあり、また、水酸化リチウムの水に対する溶解度は12.5g/100g水(25℃)と低いため、高い濃度にすることができない、濃度調製が難しい等の問題点がある。従って、第1段目の水酸化ナトリウムによるエッチングにより確実にウェーハ表面の加工変質層を除去しなければ深いピットが形成されることになるが、水酸化ナトリウムによってウェーハ表面の取り代を大きくし、確実に加工変質層を除去するようにした場合、特開平11−126771号公報の中に示されるとおり、表裏面の粗さが大きくなる不具合が発生する問題があった。
【0009】
本発明の目的は、ファセットの形状を大きくでき、かつ深いピットの形成を抑制し得るアルカリエッチング液及びこのエッチング液を用いたシリコンウェーハのエッチング方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、表面を鏡面研磨したウェーハにおいて、良好な平坦度を得、かつ裏面粗さが小さくなるシリコンウェーハのエッチング方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、ウェーハ両面が高精度の平坦度及び小さい表面粗さを有しかつウェーハの表裏面を目視により識別可能にするシリコンウェーハの表裏面差別化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハをアルカリエッチングするためのエッチング液において、エッチング液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液にリチウムイオンを含有し、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液の濃度をxmol/lとし、リチウムイオンの濃度をymol/lとするとき、次の式(1)を満たすように混合されたことを特徴とするアルカリエッチング液である。
x+y : y = (6.0以上):(0.1〜3.0) ………(1)
請求項1に係る発明では、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液にリチウムイオンを含有するアルカリエッチング液は、ラッピング等により生じた加工変質層とウェーハ内部の完全結晶層(バルク層)とのエッチングレートの比(エッチング選択性)が小さい高濃度のアルカリ水溶液を含むため、このアルカリ水溶液でのエッチングにより深いピットの形成を抑制でき、更に、結晶方位<100>や結晶方位<110>と、結晶方位<111>とのエッチングレートの比(結晶異方性)が他のアルカリよりも小さいリチウムを含むため、このリチウムの効果により、ファセットの幅を大きくすることができる。従って、本発明のアルカリエッチング液を用いてウェーハをエッチングすることにより、ラッピング工程で得られた平坦度を維持するとともに、ファセットの幅を大きくでき、深いピットの形成を抑制することができる。即ち表面粗さを小さくすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを請求項1記載のアルカリエッチング液に浸漬させてシリコンウェーハをエッチングする方法である。
請求項3に係る発明は、ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを酸エッチング液に浸漬させた後に、請求項1記載のアルカリエッチング液に浸漬させてシリコンウェーハをエッチングする方法である。
請求項2又は3に係る発明では、上記方法によりエッチング処理されたウェーハは、ラッピング工程で得られた平坦度を維持するとともに裏面粗さを小さくすることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載の方法によりエッチングされたシリコンウェーハの表面のみを鏡面研磨してウェーハの表裏面を差別化する方法である。
請求項4に係る発明では、エッチングにより良好な平坦度を得、かつ裏面粗さを小さくしたウェーハ表面のみを鏡面研磨することにより、ウェーハ両面が高精度の平坦度及び小さい表面粗さを有しかつウェーハ表面がデバイスメーカーの所望する光沢度を有してウェーハの表裏面が目視により識別可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリエッチング液は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液にリチウムイオンを含有することを特徴とする。図5に示すように、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液にリチウムイオンが含有したアルカリエッチング液によりウェーハをエッチングすると、エッチング選択性の小さい高濃度のアルカリ溶液によるエッチングにより深いピットの形成を抑制し、結晶異方性の小さいリチウムの効果によりウェーハ表面に形成されるファセットの幅を大きくできるため、ラッピング工程で得られた平坦度を維持するとともに裏面粗さを小さくすることができる。
【0014】
仮にリチウムのみを含むアルカリエッチング液(例えば、2.0mol/l水酸化リチウム水溶液)によりウェーハをエッチングすると、図4に示すように、結晶異方性の小さいリチウムの性質からエッチングによりウェーハ表面に形成されるファセットの幅は大きくなるが、ウェーハの表面に局所的なダメージや汚染源等の異常点が残っていると、リチウムによるエッチングはエッチング選択性が大きいため、異常点からその箇所だけ異常反応して深いピットが形成される傾向が大きくなる。このようにして形成される深いピットは、アルカリエッチングの取り代により変化するが、図6に示すように、幅が数μm、深さが10〜数十μm程度の大きさとなる。
【0015】
本発明のアルカリエッチング液は、水酸化リチウムや塩化リチウムを水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液中に溶解することでエッチング液にリチウムイオンを含有させることができる。
【0016】
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
本発明のアルカリエッチング液は、ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハをアルカリエッチングを行うためのエッチング液であり、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液の濃度をxmol/lとし、リチウムイオンの濃度をymol/lとするとき、上記式(1)を満たすように混合される。アルカリ水溶液の濃度が下限値未満では、エッチング選択性が高くなり、この液を用いてエッチングすることによって、ウェーハ表面に深いピットが形成される頻度が高くなるおそれがある。リチウムイオンの濃度の上限はエッチング液に対する溶解度によって決定される。
【0017】
リチウムイオンの濃度が下限値未満であると、アルカリエッチング液に含まれる水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの割合が高くなるため、エッチング液全体としての結晶異方性が大きくなり、ウェーハ表面のファセットの形状が小さく形成され、結果として表面粗さが大きくなる不具合がある。本発明のアルカリエッチング液の好ましい配合比は次の式(2)に示す割合である。
【0018】
x+y : y = (8.0以上):(0.2〜3.0) ………(2)
本発明のエッチング液を用いたエッチング方法を説明する。
【0019】
ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを本発明のアルカリエッチング液を貯えたアルカリエッチング槽に浸漬させてシリコンウェーハをエッチングする。このエッチング液によりエッチングを施すことにより、低いエッチング選択性によりウェーハに深いピットが形成される頻度を低減することができ、結晶異方性が小さいため、ウェーハ表面のファセットの形状を大きくすることができる。従って、本発明のエッチングにより図1に示すような良好な平坦度を得、かつ裏面粗さの小さいウェーハとすることができる。
アルカリエッチングを終えたウェーハは超純水に浸漬してリンスした後、乾燥して、続く鏡面研磨工程等に送られる。
【0020】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。
先ず、ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを酸エッチング液を貯えた酸エッチング槽に浸漬する。酸エッチング液によりラッピングによりウェーハ表面に形成された加工変質層が除去される。この酸エッチングのエッチング液としては、フッ酸及び硝酸をそれぞれ含み、酢酸、硫酸又はリン酸を少なくとも1種以上更に含んでもよい。
次いで、酸エッチングを終えたウェーハを超純水に浸漬してリンスを行う。酸エッチングとアルカリエッチングとの間には、必ずリンスを行うことにより、ウェーハに付着した酸が洗い落とされるため、次工程でのアルカリと反応を起こすおそれがなくなる。
次に、本発明のアルカリエッチング液を貯えたアルカリエッチング槽に上記リンスを終えたウェーハを浸漬してエッチングを行う。本発明のアルカリエッチング液によりエッチングされたウェーハ表面は、形成されるファセットの形状を大きくすることができ、更に深いピットを抑制することができる。従って、良好な平坦度を得、かつ裏面粗さを小さくすることができる。
アルカリエッチングを終えたウェーハは超純水に浸漬してリンスした後、乾燥して、続く鏡面研磨工程等に送られる。
【0021】
本発明のエッチング方法によりエッチングされたシリコンウェーハの表面のみを鏡面研磨することにより得られたウェーハはウェーハ表面がウェーハ裏面より高い光沢度を有するため、表裏面を識別可能な程度に差別化することができる。
【0022】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを用意した。次いで水酸化カリウムと水酸化リチウムを用い、カリウムイオン濃度が6.5mol/l、リチウムイオン濃度が0.5mol/lになるようにアルカリエッチング液を調製した。調製したアルカリエッチング液をエッチング槽に貯え、液温を80℃に維持した。
次に、アルカリエッチング槽内のエッチング液を撹拌しながら上記ウェーハを浸漬してウェーハの取り代をシリコンウェーハの表面と裏面を合わせた合計で10μmを目安にして180秒間浸漬してエッチングを行った。アルカリエッチングを終えたウェーハを超純水に浸漬してリンスした後、乾燥した。
【0023】
<実施例2>
水酸化カリウムと水酸化リチウムを用い、カリウムイオン濃度が9.5mol/l、リチウムイオン濃度が0.5mol/lになるように調製したアルカリエッチング液を用い、浸漬時間を240秒とした以外は、実施例1と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
【0024】
<実施例3>
水酸化カリウムと塩化リチウムを用い、カリウムイオン濃度が6.5mol/l、リチウムイオン濃度が0.5mol/lになるように調製したアルカリエッチング液を用いた以外は、実施例1と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
【0025】
<実施例4>
先ずラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを用意した。次いでフッ酸、硝酸、酢酸及び水をモル比(HF:HNO3:CH3COOH:H2O)が1:5:5:1となるように混合して酸エッチング液を調製した。調製した酸エッチング液をエッチング槽に貯え、液温を30℃に維持し、同様に、実施例1で用いたアルカリエッチング液をエッチング槽に貯え、液温を80℃に維持した。
次に、酸エッチング槽内のエッチング液を撹拌しながら上記ウェーハを浸漬してウェーハの取り代をシリコンウェーハの表面と裏面を合わせた合計で20μmを目安にして30秒間浸漬してエッチングを行った。酸エッチングを終えたウェーハを超純水に浸漬してリンスを行った。
更に、アルカリエッチング槽内のエッチング液を撹拌しながら上記リンスを終えたウェーハを浸漬してウェーハの取り代をシリコンウェーハの表面と裏面を合わせた合計で10μmを目安にして240秒間浸漬してエッチングを行った。アルカリエッチングを終えたウェーハを超純水に浸漬してリンスした後、乾燥した。
【0026】
<実施例5>
実施例2で調製したアルカリエッチング液を用いた以外は、実施例4と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
<実施例6>
実施例3で調製したアルカリエッチング液を用いた以外は、実施例4と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
【0027】
<比較例1>
濃度が12.9mol/lの水酸化カリウムをアルカリエッチング液として用い、浸漬時間を300秒とした以外は、実施例1と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
<比較例2>
濃度が2.0mol/lの水酸化リチウムをアルカリエッチング液として用い、浸漬時間を300秒とした以外は、実施例1と同様にしてウェーハをエッチング処理した。
【0028】
<比較試験及び評価>
実施例1〜6及び比較例1、2のエッチング処理を終えたウェーハ裏面の面粗さの指標として光沢度を測定した。光沢度は光沢度計(日本電色社製)を用いてJIS規格(JIS Z 8741)に基づいて測定し、更に得られた数値を鏡面研磨後の表面光沢度の数値である360%で除した値の百分率としたものを表面光沢度を100%としたときの裏面光沢度とした。JIS規格(JIS Z 8741)により定義されている光沢度は、ある試料面に対し、入射角θで入射した光の鏡面反射光束Ψsの、屈折率が1.567のガラス表面の同一測定系における鏡面反射光束Ψs0に対する割合をパーセントで表示した数値として表される。光沢度Gr(θ)は下記式(1)に示す式により表すことができ、シリコンウェーハ表面の光沢度を測定する場合の入射角θは60°である。
【0029】
【数1】
【0030】
また、ウェーハ裏面におけるピットの有無を確認した。ピットの有無は100〜200μm四方の任意の面に1〜2μm程度の細孔が1個以上あるか否かを確認した。表1に測定結果をそれぞれ示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1より明らかなように、比較例1では光沢度が低く、比較例2では光沢度は高いが、ピットが確認された。これらに対して実施例1〜6ではピットが無く、かつ高い光沢度が得られていることが判る。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のアルカリ水溶液にリチウムイオンを含有させたエッチング液は、エッチング選択性の小さいアルカリ水溶液でのエッチングにより深いピットの形成を抑制し、結晶異方性の小さいリチウムでのエッチングにより、ファセットの形状を大きくできる。従って、本発明のアルカリエッチング液を用いてウェーハをエッチングすることにより、デバイスメーカーの所望する裏面平坦度、光沢度及び表面粗さが得られる。
【0034】
このため、このエッチングにより得られたウェーハの表面のみに後工程である鏡面研磨を施すことにより、ウェーハ表面がウェーハ裏面より光沢度が高くなり、ウェーハ両面が高精度の平坦度及び小さい表面粗さを有し、デバイスプロセスの搬送系でのウェーハ有無の検知における検知困難や誤検知などの問題を生じず、ウェーハの表裏面を目視により識別可能な程度に差別化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリエッチング液を用いてエッチングしたウェーハ表面を600倍にて観察した光学顕微鏡写真図。
【図2】高濃度の水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングしたウェーハ表面を600倍にて観察した光学顕微鏡写真図。
【図3】低濃度の水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングしたウェーハ表面を600倍にて観察した光学顕微鏡写真図。
【図4】水酸化リチウム水溶液を用いてエッチングしたウェーハ表面を600倍にて観察した光学顕微鏡写真図。
【図5】本発明のアルカリエッチング液を用いてエッチングしたウェーハの断面図。
【図6】従来のアルカリエッチング液を用いてエッチングしたウェーハの断面図。
Claims (4)
- ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハをアルカリエッチングするためのエッチング液において、
前記エッチング液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液にリチウムイオンを含有し、
前記水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液の濃度をxmol/lとし、
前記リチウムイオンの濃度をymol/lとするとき、
次の式(1)を満たすように混合されたことを特徴とするアルカリエッチング液。
x+y : y = (6.0以上):(0.1〜3.0) ………(1) - ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを請求項1記載のアルカリエッチング液に浸漬させてシリコンウェーハをエッチングする方法。
- ラッピング工程に続いて洗浄工程を経た加工変質層を有するシリコンウェーハを酸エッチング液に浸漬させた後に、請求項1記載のアルカリエッチング液に浸漬させてシリコンウェーハをエッチングする方法。
- 請求項2又は3記載の方法によりエッチングされたシリコンウェーハの表面のみを鏡面研磨して前記ウェーハの表裏面を差別化する方法。
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