JP3888982B2 - バイオマス由来硬質ポリウレタン発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば木粉、木材繊維、古紙、籾殻、米ぬか、デンプン、糖などのバイオマス物質に由来する有用な硬質ポリウレタン発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン発泡体は断熱材、緩衝材、遮音材などとして包装材、建材、家具、寝具、自動車部材などに広く使われている。最近では、資源の有効利用および地球環境への関心が高まり、化石資源の使用を低減し得るバイオマス物質を原料とする新規ウレタン原料の開発が行われている。
【0003】
ポリウレタン発泡体の原料として、未利用材、廃材、端材などのリグノセルロース物質やデンプンなどの糖類物質といったバイオマス物質を利用する方法がある。これらのバイオマス物質はほとんどの場合が固形物であるので、バイオマス物質を粉状にして、直接ポリウレタン発泡原料に添加する方法が開示されている(たとえば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。しかし、これらの方法では、バイオマス物質は、基本的に単なる充填剤として働き、石油系発泡原料を低減する効果、または発泡体に生分解性などの新機能を付与する効果は低い。
【0004】
さらに、アルコール類または環状エステル類などの水酸基または潜在的水酸基を有する有機溶媒の存在下で、バイオマス物質を化学反応によって液状化させる方法(たとえば、特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6参照)、その液状化物をポリオール成分としてポリイソシアネートと反応させてポリウレタン発泡体を製造する方法が提案されている(たとえば、特許文献7および特許文献8参照)。これらの方法では、加溶媒分解されたバイオマス物質が反応活性成分(ポリオール)としてイソシアネートと反応し、ポリウレタンが生成するので、従来の石油系ポリオールを置き換えられる。しかし、これらの技術で得られる液化バイオマスは、バイオマス物質本来の親水性および硬直な分子構造に由来する強い親水性ならびに高い粘度を有する。高親水性および高粘度を有するバイオマス由来ポリオールからポリウレタン発泡体を製造する際、基本的に疎水性であるポリイソシアネートとバイオマス由来ポリオールとの混合は困難である。そのために反応成形の際に成分が分離したり、発泡が不安定になったりすることが多く、成形体として良好な外観および物性が得られにくい。また、高発泡の場合、発泡体の物理強度が低いので、発泡後の発泡体が収縮し、形状安定性が不充分である。
【0005】
加えて、これらの技術は、単に石油系ポリオールを置き換えてバイオマス由来ポリオールを使用することを目的としており、バイオマス由来ポリオールの特徴を生かす発想も、そのような技術も開示していない。すなわち、発泡体の強度物性以外に、バイオマス由来ポリオール特有の機能の発現に関する技術を開示していない。
【0006】
【特許文献1】
特公昭58−56605号公報
【特許文献2】
特開昭63−284232号公報
【特許文献3】
特開平2−227434号公報
【特許文献4】
特開平6−226711号公報
【特許文献5】
特開2000−103864号公報
【特許文献6】
特開2002‐037867号公報
【特許文献7】
特開平1−36628号公報
【特許文献8】
特開平6−136168号公報
【非特許文献1】
ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)、1992年、第144巻、p.1477−1483
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、発泡体の強度物性が、従来の合成系ポリオール由来の発泡体の強度物性に比べて遜色なく、かつバイオマス物質の特徴を生かしたバイオマス物質由来のポリウレタン発泡体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、アルコール類または環状エステル類と、デンプンまたは糖類との酸触媒存在下での変性反応によって得られるデンプンまたは糖類変性物を30重量%以上含有し、前記デンプンまたは糖類変性物を除く成分の30重量%以上が、炭素数が3以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールまたは炭素数が3以上のカルボキシアルキレン基を有するポリエステルポリオールであるポリオール系組成物と、ポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン系発泡体であって、該変性反応におけるデンプンまたは糖類の脱水率が3〜20%であり、該ポリウレタン系発泡体の気泡連通化度が65%以上であり、かつ下記(式I)で表されるSI
SI=y/x2 (式I)
(yは圧縮強度(Pa)、xは密度(kg/m3)を表す)
が80以上である硬質ポリウレタン発泡体に関する。
【0009】
前記SIの数値が100以上であることが好ましい。
【0011】
前記アルコール類が、オキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールを50重量%以上含有することが好ましい。
【0014】
また本発明は、前記硬質ポリウレタン発泡体からなる畳の芯材、断熱材、前記硬質ポリウレタン発泡体からなる芯材を有するラミネートボード、ならびに、前記硬質ポリウレタン発泡体と他の面材とを一体成形したパネルに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、発泡剤、整泡剤、必要に応じて触媒、充填剤などの存在下でポリオール系組成物とポリイソシアネートとを反応させて得られる硬質ポリウレタン発泡体に関する。ポリオール系組成物が、バイオマス由来ポリオールを30重量%以上含有することにより、循環可能な資源であるバイオマス物質の有効利用を有意義にするとともに、発泡体に親水性、生分解性などのバイオマス物質由来の特性を与え、従来の石油系ポリウレタン発泡体の有さない新機能を実現する。前記硬質ポリウレタン発泡体を製造する方法は、バイオマス物質をバイオマス由来ポリオールに変性させる液化工程と、このバイオマス由来ポリオールを30重量%以上含有するポリオール系組成物から硬質ポリウレタン発泡体を調製する発泡工程の2段階に分けられる。
【0016】
前記ポリオール系組成物は、バイオマス由来ポリオールを、30重量%以上、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%含有する。バイオマス由来ポリオールの配合量が30重量%未満であると、バイオマス物質が有効利用されないとともに、発泡体の吸湿性が不充分となり、90重量%を超えると、ポリオール系組成物とポリイソシアネートとの相溶性が不充分であり、均一かつ良好な物性を有する発泡体が得られにくい。
【0017】
バイオマス由来ポリオールを調製する液化工程には、バイオマス物質を液化物にする従来の方法および装置が適用可能である。たとえば特開平4−106128号公報、特開平8−225653号公報、特開平11−130872号公報に記載された方法および装置が適用できる。リグノセルロース、糖類などのバイオマス物質の変性反応を、ポリオールまたは環状エステル類などの水酸基または潜在的な水酸基含有化合物、および酸触媒の存在下で行い、バイオマス物質変性物を得る。この反応には、たとえば、単軸押出機あるいは2軸押出機による連続押出式液化装置または回分式液化装置を用いることができる。
【0018】
本発明における取り扱い可能なバイオマス物質としては、何らかの技術により人間が有効に利用できる有機原料に変換可能な生命体に基づく有機物質があげられる。本発明において、対象となるバイオマス物質は特に限定されないが、たとえば、木粉、木材繊維、木材チップや単板くずなどの木材を粉砕したもの、バガス、ワラやモミガラなどの植物繊維素、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、古紙などの紙、パルプ類などのリグノセルロース物質;米、小麦、トウモロコシなどの穀類やジャガイモ、サツマイモなどの芋類またはそれらの加工製品としてのデンプンなど;さらにはショ糖、ブドウ糖などの糖類があげられる。なかでも、デンプン、糖類などのセルロース以外の炭水化物は、木材などリグニン含有バイオマス物質よりも水酸基が多く、成分が単一であり、かつ変性反応しやすい。よって、より高強度の発泡体が得られ、得られた発泡体は着色が少なく、かつ吸湿性が優れているので特に好ましい。これらの出発原料として用いるバイオマス物質の粒度は、特に限定されないが、液化の方法、装置、設備などを考慮して、充分に液化、溶解し得る範囲で適宜任意の粒度を選択することができる。
【0019】
本発明において、バイオマス由来ポリオールの製造に用いるアルコール類または環状エステル類は、特に限定されるものではないが、加熱反応の利便性などを考慮して、沸点が100℃以上のものを使用するのが好ましい。
【0020】
前記アルコール類としては、たとえばペンタノール、ヘキサノール、デカノールなどの脂肪族1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール(一般にポリエチレングリコール、PEG)、プロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(一般にポリプロピレングリコール、PPG)、(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)グリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール(別名:1,4−ブタンジオール)、ペンタメチレングリコール(別名:1,5−ペンタンジオール)、ヘキサメチレングリコール(別名:1,6−ヘキサンジオール)、ヘプタメチレングリコール(別名:1,7−ヘプタンジオール)、オクタメチレングリコール(別名:1,8−オクタンジオール)、ノナメチレングリコール(別名:1,9−ノナンジオール)、デカメチレングリコール(別名:1,10−デカンジオール)、テトラメチルエチレングリコール(一般にピナコール)などの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、スクロースなど、あるいはこれらを出発物質とするポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールなどの官能基が3以上のポリオールなどがあげられる。なかでも、安価で工業的に入手しやすいグリセリン、エチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどが好適に用いられる。
【0021】
前記環状エステル類としては、特に限定されるものではないが、開環反応して重合し得るものが好適であり、たとえばβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α,α’−ジメチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、グリコリド、エチレンオキサレート、プロピオンオキサレート、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−7−イソプロピル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン、ラクチドなどがあげられる。なかでも、安価で工業的に入手しやすく、バイオマス物質を液化させやすいε−カプロラクトンが好適に用いられる。
【0022】
バイオマス物質の変性反応に際しては、上記のアルコールまたは環状エステルを各々単独で用いてもよく、また、それらを2種以上混合して用いることもできる。混合して使用することにより、反応速度が向上するか、またはより発泡適性に優れたバイオマス由来ポリオールが得られるなどの効果がある。得られる硬質ポリウレタン発泡体に親水性を持たせるために、また、発泡の際に気泡連通化を容易にするためにアルコール類全体に対して少なくとも50重量%以上、好ましくは60〜90重量%が、オキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールであることが好ましい。オキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールの含有量が50重量%未満であると、発泡体に充分な吸湿能力が得られなくなるとともに、充分な気泡連通化が困難となる。これは、発泡過程において、親水性成分のポリオキシエチレン鎖と疎水性の他成分との微小相分離が生じ、気泡連通化が促進されるためと考えられる。また90重量%を超えると、バイオマス由来ポリオールの親水性が強すぎて得られた発泡体の耐湿気性、形状安定性が悪くなる。
【0023】
前記オキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールとしては、製法、構造にはとくに制限はなく、従来の方法により得られるものが広く適用できるが、分子量については200〜1000の範囲のものが好ましい。たとえば、前記分子量範囲にあるポリオキシエチレングリコール、オキシエチレン単位が60%以上含まれる(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)グリコールなどがあげられる。この場合、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコールのように分子量が200未満のものは水と水素結合を形成し得るエーテル酸素の量が少ないので吸湿性が不充分となり、また分子量が1000を超えるものではバイオマス物質を液化する能力が不足する。
【0024】
本発明におけるバイオマス物質の変性反応では、バイオマス物質100重量部に対して、アルコール類または環状エステル類などの変性剤を20〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部の割合で添加する。20重量部未満でも変性反応は進行するが、反応系の均一性が悪く、反応物の粘度が高いので、反応生成物の品質管理が困難である。一方、1000重量部を超えても変性反応に支障がないが、過剰な反応試薬を使用するので工程の効率が悪い。
【0025】
なお、本発明でいうバイオマス由来ポリオールとは、バイオマス物質とアルコールまたは環状エステルとの変性反応により得られた水酸基を含有する反応生成物をいう。バイオマス物質の変性反応に関与せず、反応後にバイオマス変性物と共存する未反応アルコールまたは環状エステルなどを含んでいてもよい。ただし、バイオマス物質由来の成分の含有率を高めるために、これらの過剰の未反応のアルコールまたは環状エステルなどを減圧蒸留などの方法によって除去してもよい。
【0026】
変性反応(液化反応)条件としては、反応温度は80〜200℃、好ましくは100〜180℃、変性反応時間は連続押出式液化装置による場合は3〜60分、回分式液化装置による場合は10〜300分とし、適宜その中から選択できる。変性反応中、適宜撹拌を行なうことが好ましい。この撹拌により、バイオマス物質にトルクを付加して、変性反応の効率を高めることができる。
【0027】
本発明における変性反応は、特に酸触媒の存在下で常圧で行うことが好ましい。酸触媒としては、無機酸、有機酸、さらにはルイス酸があげられ、なかでも、たとえば、硫酸、リン酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛や三フッ化ホウ素などが好ましい。酸触媒添加量は、バイオマス物質に対して0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。添加量が30重量%を超えると、バイオマス物質に高度脱水などの過剰反応が起こりやすくなる傾向があり、0.05重量%未満であると、変性反応が不充分で固形物のまま残存する傾向がある。
【0028】
変性反応は、主にバイオマス物質の加溶媒分解であるが、それと同時にバイオマス物質の脱水、酸化反応も起こる。これらの反応によりバイオマス物質の水酸基が減少し、ポリオールとしてポリイソシアネートと反応する反応基が減少する。適正水酸基量以下まで脱水反応が起こると、バイオマス由来ポリオールの反応性が不充分となり、良好なポリウレタン発泡体の製造が困難となる。本発明の硬質ポリウレタン発泡体を得るためには、バイオマス物質の脱水量が3〜20%であることが必要である。脱水率は、以下の式により算出される。
脱水率=(変性反応中に生成する水分量)/(バイオマス物質仕込み量(乾燥ベース)−未反応バイオマス物質量)×100%
=(変性反応後の系中の全水分量−変性反応前の系中の全水分量(主にバイオマス物質の含水量))/(バイオマス物質仕込み量(乾燥ベース)×バイオマス物質反応率)×100%
【0029】
なお、バイオマス物質反応率は、変性反応生成物中の未反応固形バイオマス物質を濾別、定量して、求められる。
【0030】
バイオマス物質の脱水量は、好ましくは4〜18%である。脱水量が3%以下であると、バイオマス物質の変性反応が不充分であると共に、バイオマス物質が本来含有する多量の水酸基がそのまま残るので、バイオマス由来ポリオールの極性が高く、他のポリオール系組成物および/またはポリイソシアネートと混合する際にバイオマス物質由来の成分が分離したり沈殿することがある。また、バイオマス由来ポリオールが分離するとともに、水酸基価が高すぎるために、脆い発泡体となる。一方、脱水量が20%を超えると、バイオマス由来ポリオールの水酸基価が極端に低下し、硬質ポリウレタン発泡体の架橋密度が低く、所望の強度が得られない。
【0031】
得られたバイオマス由来ポリオールの水酸基価は、たとえばフタル酸エステル化法により測定する。好適な水酸基価範囲は250〜500mgKOH/g、さらに好ましくは300〜450mgKOH/gである。水酸基価が、250mgKOH/g未満の場合、得られた発泡体の架橋密度が低く、所望の強度が得られない傾向があり、500mgKOH/gを超えると、バイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートとの反応における発熱量が大きく、発泡体に焦げ跡(スコーチ)などの欠陥が発生しやすくなる傾向がある。
【0032】
本発明のポリオール系組成物は、液化工程で得られたバイオマス由来ポリオールのほかに、相溶化ポリオールなどを含み、発泡剤、整泡剤などの存在下でポリイソシアネートとの反応を経て、発泡体に調製される。
【0033】
一般にバイオマス由来ポリオールは、発泡剤、整泡剤などの通常の硬質ポリウレタン発泡体の配合成分の存在下でポリイソシアネートと反応させると、親水性であるバイオマス由来ポリオールの成分と疎水性であるポリイソシアネート成分との間に相分離を起こし、均一性が悪く、かつ強度の弱い発泡体になる。また、バイオマス由来ポリオールの成分が全体的に親水性成分であるので、得られた発泡体の吸湿後(高湿度環境下)の寸法の変化が大きく、強度も大きく低下することがある。さらに、発泡体が独立気泡構造になった場合には、セル内外の圧力差により発泡体が変形する傾向がある。
【0034】
従来の合成系ポリオールから得られる硬質ポリウレタン発泡体と同様な強度物性および形状安定性を得るためには、バイオマス由来ポリオールの発泡の際に発生する相分離を無くすか、または低減すると共に、ポリウレタン骨格に(ポリオール系組成物に)適切な疎水性成分を導入する必要がある。前記の変性反応の際にバイオマス物質の脱水量を3%以上にすることによりバイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートとの相溶性を大きく改善できるが、さらに相溶化成分(極性がバイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートの間)および発泡体の耐湿気性向上成分として、ポリオール配合成分に、炭素数が3以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールまたは炭素数が3以上のカルボキシアルキレン基を有するポリエステルポリオールを用いることが有効である。官能基数が3以上のものが強度物性への寄与が大きいので特に好ましい。これらの相溶化ポリオールはバイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートとの相溶性を改善し、バイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートとの均一な反応を可能にし、発泡体構造の均一性を高め、強度物性を大きく向上させる。また、これら炭素数が3以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールまたは炭素数が3以上のカルボキシアルキレン基を有するポリエステルポリオールは、親水性が低いので、吸湿後の発泡体の強度および形状を維持する効果がある。これらの相溶化ポリオールの平均分子量は200〜1000の範囲であることが好ましい。平均分子量が200未満であると、水酸基価が高すぎて発泡体の物性バランスが悪くなり、1000を超えると相溶化剤の効果が低い。
【0035】
これらの相溶化ポリオールの配合量は、前記ポリオール系組成物において、バイオマス由来ポリオールを除く成分の30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上であることが好ましい。配合量が、30重量%未満であると上記の問題点を解決するのに不充分である。
【0036】
前記相溶化ポリオールの種類は、前記要件を満たせばとくに制限がなく、2種以上混合して用いることもできる。たとえばポリオキシプロピレングリコール、(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)グリコール、ポリオキシブチレングリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどに、プロピレンオキシド、ε−ポリカプロラクトンなどを反応させたポリオキシプロピレンポリオール、ポリ(カプロラクトン)ポリオールなどが用いられる。具体的には、三洋化成工業(株)製サンニックスHD402、GP1000、ダイセル化学(株)製PCL303、三井武田ケミカル(株)製アクトコールPE450、MN1000などがあげられる。
【0037】
ポリオール系組成物には、前記相溶化ポリオールのほかに、所要の発泡体の物性、気泡連通化度などに応じて、従来から一般的にポリウレタン発泡体の製造に用いられている鎖延長剤などの低分子ポリオールが配合され得る。たとえばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがあげられる。さらに、発泡体の気泡連通性、脆性などを制御するために、上記相溶化ポリオール以外の活性水素化合物を添加してもよい。これらの活性水素化合物としては、エタノール、ブタノール、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテルなどの1価アルコール;オキシエチレン基を50重量%以上有するポリエーテルポリオール;分子量が1000以上の高分子量ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、各種の変性ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールなどをあげることができる。また、アクリルポリオール、ヒマシ油あるいはトール油誘導体を用いることもできる。これらのポリオール類の添加量は、バイオマス由来ポリオールを除く成分の0〜65重量%、好ましくは5〜40重量%である。添加量が65重量%を超えるとバイオマス由来ポリオールとポリイソシアネートとの反応均一性が悪くなり、発泡体の強度が低下する傾向がある。
【0038】
ついで所定量のポリオール系組成物を、適宜アルカリ性物質(中和剤)で中和した後、所定量の整泡剤、触媒および発泡剤を加え、よく混合し、前記水酸基価を考慮して、所定量のポリイソシアネートを加え、一定時間、強く撹拌し、発泡および樹脂化を行う。
【0039】
また、前記中和剤としては、とくに制限はなく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、さらにはルイス塩基があげられる。詳細には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ性物質、アミン類などの有機アルカリ性物質があげられる。中和剤の添加量は、ポリオール系組成物のpHが4〜9の範囲になるようにすることが好ましい。pHが9を超えると発泡のバランスが悪くなり、発泡体中に空洞などが発生する傾向があり、pHが4未満では、反応速度が遅く、多量の反応触媒を使用しないとバイオマス由来ポリオールが分離し、弱い発泡体となる傾向がある。
【0040】
発泡工程には、従来から使用されている方法および装置が適用可能であり、ポリオール系組成物とポリイソシアネートから、硬質ポリウレタン発泡体が製造される。スラブ方式、モールド方式、面材との一体成形のいずれの方式も採用され得る。面材との一体形成の場合、ダブルコンベヤー方式で連続パネル形成などの従来の硬質発泡体の成形方法もすべて使用できる。また、原料温度、金型温度、各配合成分の混合方式、混合速度などの発泡条件は、公知のポリウレタン発泡で用いられる条件を採用できる。
【0041】
添加される整泡剤の種類と量の選択は、発泡体が65%以上の気泡が連通することができれば特に限定がない。たとえば、(ポリジメチルシロキサン)(ポリオキシアルキレン)共重合ポリエーテルポリオール系の整泡剤が用いられる。整泡剤の添加量は、ポリオール系組成物100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2重量部である。5重量部を超えると効果が変わらないので不必要であるが、0.1重量部未満では、整泡効果が不充分で発泡体が崩壊したり発泡体のセル荒れが発生したりする傾向がある。
【0042】
反応触媒としては、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルフォリン、N,N’−ジメチルアミノエタノール、ピリジンなどのモノアミン;N,N,N’, N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、N, N’−ジメチルピペラジン、8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などのジアミン;N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラ(3-ジメチルアミノプロピル)メタンジアミンなどのポリアミン;ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズメルカプタイド、酢酸カリウム、炭酸カルシウムなどの有機金属化合物や弱酸の塩などの塩基性物質をあげることができる。具体的には、花王(株)製のKL31、KL3、日東化成(株)ネオスタンU−100などがあげられる。反応触媒は、1種のみを添加してもよいが、泡化反応と樹脂化反応のバランスおよび発泡体の気泡連通化度を調整するために2種以上を使用することが好ましい。反応触媒の添加量は、ポリオール系組成物100重量部に対して、0.1〜5重量部である。5重量部を超えると反応が速すぎて発泡体が独立気泡になる傾向があり、0.1重量部未満では、反応速度は不充分で良好な発泡体が得られない傾向がある。
【0043】
発泡剤としては、環境問題およびバイオマス由来ポリオールとの相溶性を考慮すると水が最も好ましいが、他に従来のポリウレタン発泡に使用されている揮発性有機化合物などを併用または単独で使用してもよい。水の配合量は一般のポリウレタンフォームを製造する場合の常用量でよく、通常、ポリオール系組成物100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。10重量部を超えると発泡体の脆性、粉吹性、面材との接着性などの多くの物性が低下する傾向があり、1重量部未満では、ポリオール系組成物の粘度が高く、他の発泡剤を併用しないかぎり充分な発泡が得られない。
【0044】
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)などのジイソシアネート、ジメチレントリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネートのほか、ウレタン変性TDI、アロファネート変性TDI、ビウレット変性TDI、イソシアヌレート変性TDIなどの変性TDI;ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ウトニミン変性MDIなどの変性MDI;TDI/MDI混合物;HDI変性物などの変性イソシアネートなどがあげられる。なかでも、硬質発泡体としての物性、コスト、作業環境などを考慮するとMDIが特に好ましい。具体的には、日本ポリウレタン(株)製のミリオネートMR−100、三井化学(株)製のコスモネートM100、ダウ・ポリウレタン日本(株)製PAPI135などがあげられる。ポリイソシアネートの配合量は、ポリオール系組成物の全活性水素基100モルに対して、ポリイソシアネートのNCO基が50〜180モル、好ましくは60〜150モル、より好ましくは70〜130モルである。180モルを超えると発泡体の連通化度が低下するとともに吸放湿性が極端に落ちる傾向があり、50重量部未満では、発泡体の強度が不充分となる傾向がある。
【0045】
本発明で得られる樹脂発泡体の性能をさらに改善するために、発泡および硬化を行う前に、各種の添加剤を添加することができる。たとえば、バイオマス由来ポリオールの粘性、作業性といった溶液物性を改善するための低分子化合物または乳化剤、使用する成分間の混合状態を改善するための乳化剤、ポリイソシアネートとの反応性を改善するための反応ブロック剤(ポリオールに溶解しない溶媒など)、発泡成形材料の着色のための着色剤、発泡成形材料を増量したり、物性を改善したりするための充填剤(フィラー)、発泡成形材料の難燃化を図るための難燃化剤などの添加を行うことができる。
【0046】
本発明の硬質ポリウレタン発泡体の気泡連通化度は、65%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。気泡連通化度は、ASTMD−2856に基づき測定した。
【0047】
気泡連通化度が65%未満の場合、発泡体の吸放湿速度、吸湿量、寸法安定性が低下する傾向がある。
【0048】
本発明の硬質ポリウレタン発泡体の密度は、10〜200kg/m3、好ましくは20〜100kg/m3である。密度は、JIS−A−9511に基づき測定した。密度が200kg/m3を超えると、強度が高くなるだけで特に使用上問題ないが、コスト高となる傾向があり、10kg/m3未満であると、強度物性が低く実用上利用価値が低くなる傾向がある。
【0049】
本発明の硬質ポリウレタン発泡体の圧縮強度は、20〜2000kPa、好ましくは40〜1000kPaである。圧縮強度は、JIS−A−9511に基づき測定した。圧縮強度が2000kPaを超えても使用上問題ないが、汎用用途の発泡体はそれほどの強度を必要としない。20kPa未満であると、強度が不充分で実用上問題を生じる傾向がある。
【0050】
本発明の硬質ポリウレタン発泡体の圧縮弾性率は、1MPa以上、好ましくは2MPa以上である。圧縮弾性率は、JIS−A−9511に基づき測定した。圧縮弾性率が1MPa未満であると、剛性が低く取り扱いにくくなる傾向がある。
【0051】
発泡体は発泡倍率または発泡体の密度によって強度物性が大きく変わる。すなわち、密度の増大に伴い強度、弾性率も増大するので、単独の強度物性値で発泡体の優劣を判断することができない。従来、非発泡材料の性能を比較するために比強度(強度を密度で除した値)が素材の特性値として使用されているが、発泡体では同一素材を用いても発泡倍率により密度を任意に調整でき、さらに、密度が変わると比強度も変わるので(比強度が密度の増大に伴い増大する)、比強度の値を特性値とすることができない。
【0052】
本発明者らは、バイオマス由来ポリオールを用いた硬質ウレタン発泡体を中心に多くの硬質ウレタンの密度と圧縮特性との相関関係について検討した。その結果、同一の原料体系・発泡処方から調製した硬質発泡体において、発泡剤の量および密度を変化させても、広い範囲で、圧縮強度または圧縮弾性率を密度の2乗で除した値が定数に近いことを見出した。すなわち、圧縮強度または圧縮弾性率を密度の2乗で除した値が、異なる原料体系または異なる発泡処方で作られる発泡体の特性比較に有用であることを見出した。
【0053】
便宜上以下のように定義する。
SI=y/x2 (式I)
(yは圧縮強度(Pa)、xは密度(kg/m3)を表す)
SII=z/x2 (式II)
(zは圧縮弾性率(Pa)、xは密度(kg/m3)を表す)
【0054】
本発明の硬質ウレタン発泡体のSI値は、80以上、好ましくは100以上、より好ましくは120以上である。SI値が80未満の場合、従来の石油系硬質ウレタン発泡体と同様に、硬質発泡体として各種の応用分野に要求される強度物性に対応することが困難である。もちろん用途によっては発泡体の密度を増大させて強度を満たすことが可能であるが、コスト高となると共に材料の重量が増加するので、商品価値が低下する。
【0055】
また、本発明の硬質ウレタン発泡体のSII値は、2000以上、好ましくは2500以上、より好ましくは3000以上である。SII値が2000未満の場合、多くの用途に要求される物性に対応できないだけではなく、発泡体が柔らかくなり、取り扱いにくくなる傾向がある。
【0056】
さらに、本発明の硬質ポリウレタン発泡体は、25℃、相対湿度90%の条件下での吸湿率が4〜20%であることが望ましい。従来の石油系発泡体と異なり、環境中の水分を吸収または放出することにより、環境の湿度を調節することが可能となり、硬質ポリウレタン発泡体表面における結露現象を低減することが可能となる。吸湿率が4%未満であると吸湿の効果が小さくなり、吸湿率が20%を超えると硬質ポリウレタン発泡体の物理的な特性が著しく低下する傾向がある。
【0057】
さらには、硬質ポリウレタン発泡体が、25℃、相対湿度35〜90%での吸放湿平衡時間T1/2が6時間以下であることが、発泡体が通気性、速やかな吸放湿性を有するので好ましい。吸放湿平衡時間がこの範囲にあると、使用環境における温湿度調節が可能になり、硬質ポリウレタン発泡体の周囲の結露防止などが可能になる。
【0058】
ここで、吸放湿平衡時間T1/2を、以下のように定義する。発泡体を150×150×25mmのサンプルに裁断し、25℃、相対湿度35%の環境で一定重量になるまで放置し、吸・放湿を平衡にする。平衡になった時点での吸湿率を相対湿度35%での吸湿率(W35%)とする。吸湿率は、発泡体が吸収した水蒸気の重量(吸湿した発泡体の重量と乾燥重量との差)を発泡体の乾燥重量で除した値で重量%として表す。その後、発泡体を25℃、相対湿度90%の環境に移し、発泡体の重量が一定になるまで経時変化を記録し(吸湿過程)、吸湿速度および相対湿度90%での平衡吸湿率W90%を測定する。その後、発泡体を再び25℃、相対湿度35%の環境に移し、同様に発泡体重量の経時変化を測定する。W90%を発泡体の吸湿量とし、吸湿過程で発泡体がW35%から(W90%−W35%)/2の吸湿率に達した時の所要時間を吸湿速度(Ta1/2)とし、放湿過程で発泡体がW90%から(W90%−W35%)/2の吸湿率に達した時の所要時間を放湿速度(Tr1/2)とする。
【0059】
図1に本発明の発泡体の代表的な吸放湿の経時変化曲線(吸放湿曲線)を示す。
【0060】
得られた硬質ポリウレタン発泡体は、断熱材、緩衝材、遮音材などとして、包装材、建材、家具、寝具、自動車部材などに使用され得る。この場合、発泡体の特徴である軽さを保ちながら、多くの用途に対応するために、硬質ポリウレタン発泡体の密度が20〜100kg/m3、圧縮強度が40kPa以上であることが好ましい。畳の緩衝・断熱用芯材または住宅などの床用断熱材として使用する場合は、密度35〜200kg/m3、圧縮強度200kPa以上にすることが望ましい。また、熱伝導率が低いので、断熱材として使用することが可能であり、このような場合は、密度10〜50kg/m3、圧縮強度50〜500kPaであることが望ましい。加えて、本発明の硬質ポリウレタン発泡体からなる芯材を有するラミネートボードや本発明の硬質ポリウレタン発泡体と他の面材とを一体成形したパネルにも応用することができる。ラミネートボードまたはパネルは、天然素材などの通気性を有する材料を、面材として用いることができる。
【0061】
本発明は、上記のようにバイオマス物質を出発原料として従来の液化手段と発泡手段を利用しつつ、硬質ポリウレタン発泡体を製造することができる。しかも、これを容易かつ安価に製造することができる。
【0062】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、以下の実施例によって何ら制約を受けるものではない。
【0063】
【実施例】
製造例1〜5
トウモロコシデンプン(含水率13%)115gを、3重量%の硫酸を含むポリエチレングリコール(PEG400)/グリセリン(80/20)の混合液150gと共に、500ml容ガラスフラスコに投入し、150℃で60分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール1を得た。また、同様の方法で反応をそれぞれ30分、80分、100分、120分間行ない、バイオマス由来ポリオール2〜5を得た。
【0064】
製造例6
トウモロコシデンプン(含水率13%)115gを、2重量%の硫酸を含むε−カプロラクトン/グリセリン(70/30)の混合液150gを用い、製造例1と同様の方法で100分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール6を得た。
【0065】
製造例7
トウモロコシデンプン(含水率13%)115gを、2重量%の硫酸を含むポリエチレングリコール(PEG400)150gを用い、製造例1と同様の方法で80分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール7を得た。
【0066】
製造例8、9
アカマツ木粉(含水率15%)115gを、3重量%の硫酸を含むポリエチレングリコール(PEG400)/グリセリン(80/20)の混合液200gを用い、製造例1と同様の方法で80分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール8を得た。また、反応時間を120分に延長し、バイオマス由来ポリオール9を得た。
【0067】
製造例10、11
トウモロコシの皮(含水率6%)106.4gを、4重量%の硫酸を含むポリエチレングリコール(PEG400)/グリセリン(80/20)の混合液200gを用い、製造例1と同様の方法で70分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール10を得た。また、反応時間を120分に延長し、バイオマス由来ポリオール11を得た。
【0068】
製造例12、13
アカマツ木粉の代わりに新聞紙(含水率10%)111gを使用した以外は製造例8の条件と同様にしてバイオマス由来ポリオール12を得た。また、硫酸量を4重量%に増やして同反応を行ない、バイオマス由来ポリオール13を得た。
【0069】
製造例14、15
バガス(含水率45.2%)182.5gを3重量%の硫酸を含むポリエチレングリコール(PEG400)/グリセリン(80/20)の混合液200gと共に、500ml容ガラスフラスコに投入し、150℃で80分間反応させた。この反応によりバイオマス由来ポリオール14を得た。また、硫酸量を4重量%に増やして同反応を行ない、バイオマス由来ポリオール15を得た。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例1〜9
発泡体の調製:バイオマス物質脱水率が3〜20%であるバイオマス由来ポリオール1、3、4、6、7、8、10、12および14のそれぞれに、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを4〜7に調整した。ポリオールに含まれる水分は発泡剤となるので、その量は予定発泡密度に応じて調整し、発泡用バイオマス由来ポリオールとした。
【0072】
ついで、これらの発泡用バイオマス由来ポリオールに、相溶化ポリオールとしてアクトコールPE450(分子量500、官能基数4、プロピレンオキシド付加のポリエーテルオール、三井武田ケミカル(株)製)およびアクトコールMN1000(分子量1000、官能基数3、プロピレンオキシド付加のポリエーテルポリオール、三井武田ケミカル(株)製)、触媒としてジアミン系触媒(KL31、花王(株)製)およびトリアミン系触媒(KL3、花王(株)製)、整泡剤としてポリオキシアルキレン/ポリジメチルシロキサン コポリマーとアルキルベンゼンとの混合物(SZ1932、日本ユニカー(株)製)を、表2に示す処方で添加することにより、ポリオール系組成物を製造した。ポリオール系組成物の全活性水素基100モルに対してNCO基105モル(イソシアネートインデックス)となるようにPAPI135(ダウ・ポリウレタン日本(株)製)を混合したのち、攪拌し、発泡体を得た。
【0073】
得られた発泡体のコア部からサンプリングをし、JIS−A−9511に基づいて物性を測定した。各バイオマス由来ポリオールの発泡処方および発泡体物性を表2に示す。
【0074】
表2に示すように、実施例1〜9で得られた発泡体の密度は40〜45kg/m3であった。使用したバイオマス物質の原料に関わらず、すべての発泡体が優れた強度物性値を示し、密度の影響を加味した評価指標であるSI値(圧縮強度/密度2の値)、およびSII値(圧縮弾性率/密度2の値)は実施例5を除いて、それぞれ120以上、5000以上であった。実施例5において、SI値およびSII値が少し低い値を示したのは、バイオマス物質の変性反応に用いられたアルコール類が、オキシエチレン基のみからなるPEG400であったことが原因と考えられる。しかし、充分に実用的な値であった。また、デンプンポリオール由来発泡体の方が、ほかのバイオマス物質原料由来ポリオールの発泡体よりも高い強度値を示した。発泡体の気泡連通化度については、実施例4を除いて90%以上の連通化度を有した。実施例4では、バイオマス物質の変性反応に主成分として疎水性であるε−カプロラクトンを用いたので、発泡の際にバイオマス由来ポリオールとポリイソシアネー卜との微小相分離が起こりにくく、独立気泡率の高い発泡体になったと考えられる。
【0075】
さらに、得られた発泡体を使用して、吸放湿性に関する試験を行ない、発泡体の吸放湿性を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
実施例4の発泡体を除いたデンプン由来発泡体は、10%前後の吸湿率および速やかな吸放湿速度を有する。実施例4に用いられたバイオマス由来ポリオールはオキシエチレンを含有しない変性溶媒(ε−カプロラクトン)を使用し、かつ、発泡体の気泡連通化度も低いので、吸湿量、吸湿速度とも低かった。
【0077】
また、木粉・新聞紙由来ポリオールの発泡体は、デンプン由来ポリオールの発泡体より低い吸湿量を示した。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例10〜13
バイオマス由来ポリオール3を用いて、水分量をバイオマス由来ポリオールに対して2.5重量%(実施例10)、4.5重量%(実施例11)、5.5重量%(実施例12)、6.5重量%(実施例13)に変更し、また、必要に応じてシリコーン整泡剤、ポリイソシアネート量を変更し、発泡体を得た。各バイオマス由来ポリオールの発泡処方および発泡体物性を表3に示す。
【0080】
表3中、L5421は、整泡剤であるポリオキシアルキレン/ポリジメチルシロキサン コポリマー(日本ユニカー(株)製)を表す。
【0081】
【表3】
【0082】
密度の変化に伴って、発泡体の圧縮強度、圧縮弾性率も変化するが、すべての発泡体のSI値は120以上、SII値は3000以上であった。気泡連通化度も85%以上であった。
【0083】
比較例1〜6
バイオマス物質脱水率が3%未満および20%以上のバイオマス由来ポリオール2、5、9、11、13および15を使用し、実施例1〜9と同じ操作によりバイオマス由来ポリオールを用いてウレタン発泡体を調整した(比較例1〜6)。発泡処方および発泡体物性を表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
比較例1で用いたバイオマス由来ポリオール2は、変性反応中のバイオマス物質脱水率が1.06%であることから、バイオマス物質の変性度合いが低く、糖成分がまだ残っていた。そのために、相溶化ポリオールと混合した時点から、糖のような沈殿物が析出した。沈殿物をポリイソシアネートと混合発泡すると,発泡過程中、さらに相分離を起こし、不均一な発泡体になった。また、バイオマス由来ポリオールの水酸基価が高いので、発泡中の発熱量が多く、発泡体の内部に茶色の焼け跡が生じた。得られた発泡体の密度は45kg/m3で実施例1と類似していたが圧縮強度が189kPa、SI値が93であり、実用的ではあるが実施例1の値と比べるとかなり劣っていた。
【0086】
比較例2〜6において、得られた発泡体の密度は、脱水量の少ない実施例1〜9のものより低かった。全ての発泡体のSI値が70以下であり、実施例1〜9で得られた発泡体のSIの半分程度であった。また、発泡体の色は茶色であり、かなり深く着色した。発泡体の気泡連通化度は60〜80%であった。比較例2〜6に用いられたバイオマス由来ポリオールは、変性反応中に、バイオマス物質成分の20%以上が脱水した。さらに、活性基である水酸基が大きく滅少すると共に、加溶媒分解したバイオマス物質成分が再び縮合し、高分子量のものへと変換した。そのため、ポリオールとしての反応性が大きく低下し、強度の弱い発泡体となったものと推察される。また、バイオマス物質の脱水により発色基が生成されたので、発泡体が大きく着色した。
【0087】
比較例7〜9
100重量部のバイオマス由来ポリオール3に対して、バイオマス由来ポリオール以外にほかのポリオールを添加しない条件(比較例7)、ほかのポリオール成分としてPEG400(炭素数3以上のオキシアルキレン基を含有しないポリオール)を20重量部添加する条件(比較例8)、および、ほかのポリオール成分としてPEG400とジエチレングリコール(炭素数3以上のオキシアルキレン基を含有しないオキシエチレン系ポリオール)をそれぞれ10重量部添加する条件(比較例9)で、添加ポリオールを変えた以外は実施例2と同じ方法により発泡体を得た。各バイオマス由来ポリオールの発泡処方および発泡体物性を表4に示す。比較例7では、相溶化ポリオールを添加してないので、発泡の際に相分離を起こし、良好な発泡体が得られなかった。発泡体のSI値は55、SII値は2381であり、相溶化ポリオールを添加したものに比べて、かなり悪かった。気泡連通化度も54%と低かった。
【0088】
比較例8および9では、バイオマス由来ポリオール以外のポリオールを、実施例1〜9と同じ量添加した。しかし、バイオマス由来ポリオール以外のポリオールがオキシエチレン系であったので、相溶化作用が不充分であり、相分離が起こり、強度物性も実施例の発泡体と比べると悪かった。
【0089】
実施例14
実施例11の発泡処方で、ポリオール組成物を、底部に防水シートを予め引いている500×500mm角、厚さ50mmの木枠に投入したのち、上面に厚さ3mmの通気性の植物性シートを引いて、プレスで固定し、発泡させ、表面に通気性素材を有するパネル(厚さ50mm)を得た。パネルの芯密度が41kg/m3であり、面材付での気泡連通化度が97%、圧縮強度が314kPaであった。面材付で吸湿率W90%が12.4%、吸湿速度Ta1/2が5.7時間、放湿速度Tr1/2が2.6時間であり、良好な吸放湿性を示した。
【0090】
発泡体の吸湿性および放湿性を示す図1より、本発明の硬質ポリウレタン発泡体が、高い湿度での吸湿性および低い湿度での除湿性を有することが理解できる。このような性質を有する硬質ポリウレタン発泡体を畳の芯材として利用すると、室内の湿度を快適に調整する機能を有し、発泡体表面の結露を防ぐことができるので、カビの発生を防ぐことができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、発泡体の強度物性が従来の合成系ポリオール由来の発泡体の強度物性に遜色がなく、かつバイオマス物質の特徴を生かしたバイオマス物質由来のポリウレタン発泡体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、バイオマス由来ポリオール1から得られた発泡体の吸湿性および放湿性を示す。
Claims (7)
- アルコール類または環状エステル類と、デンプンまたは糖類との酸触媒存在下での変性反応によって得られるデンプンまたは糖類変性物を30重量%以上含有し、前記デンプンまたは糖類変性物を除く成分の30重量%以上が、炭素数が3以上のオキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールまたは炭素数が3以上のカルボキシアルキレン基を有するポリエステルポリオールであるポリオール系組成物と、ポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン系発泡体であって、該変性反応におけるデンプンまたは糖類の脱水率が3〜20%であり、該ポリウレタン系発泡体の気泡連通化度が65%以上であり、かつ下記(式I)で表されるSI
SI=y/x2 (式I)
(yは圧縮強度(Pa)、xは密度(kg/m3)を表す)
が80以上である硬質ポリウレタン発泡体。 - 前記SIが100以上である請求項1記載の硬質ポリウレタン発泡体。
- 前記アルコール類が、オキシエチレン基を有するポリエーテルポリオールを50重量%以上含有する請求項1記載の硬質ポリウレタン発泡体。
- 請求項1、2または3記載の硬質ポリウレタン発泡体からなる畳の芯材。
- 請求項1、2または3記載の硬質ポリウレタン発泡体からなる断熱材。
- 請求項1、2または3記載の硬質ポリウレタン発泡体からなる芯材を有するラミネートボード。
- 請求項1、2または3記載の硬質ポリウレタン発泡体と他の面材とを一体成形したパネル。
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