JP3888698B2 - 欠落する信号サンプルの再構成手段を持つ伝送システム - Google Patents

欠落する信号サンプルの再構成手段を持つ伝送システム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、信号サンプルの特性パラメータを決定するための特性決定手段と該特性パラメータ及び少なくとも該信号サンプルの一部をチャネルを介して受信機に伝送するための手段とを持つ送信機を有し、該受信機は上記受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ連続する信号サンプルのシリーズ(series)を得るために欠落する信号サンプルの値を決定するための補間手段を有するような、信号サンプルを連続して伝送するための伝送システムに関する。
【0002】
更に、本発明は、上記のような伝送システムにおいて使用されるべき送信機、受信機、符号器及び復号器並びに補間回路及び補間方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
冒頭に述べたような伝送システムは、米国特許第5025404号から既知である。
【0004】
上記のような伝送システムは、例えば、伝送能力が限定されたチャネルを介してまたはバースト誤りを生じるようなチャネルを介して音声信号または音楽信号を伝達するために使用される。
【0005】
上記のようなチャネルの第1の例は、移動局と固定基地局との間の無線チャネルである。このチャネルの使用可能な伝送能力は限定される。なぜなら、このチャネルは非常に多くの使用者により利用されるからである。その上、フェージングの結果としてバースト誤りの発生率がかなり大きくなるような周期が存在することがある。
【0006】
第2の例は、磁気記録メディア、光記録メディアまたは、例えば、ROMの様な他の記録メディアを利用する記録チャネルである。このチャネルの能力はほとんど限定され、しかも、これらいくつかの記録メディアにおいては、記録されたサンプルを再生する場合バースト誤りが発生することがある。
【0007】
従来技術の伝送システムの送信機の場合、特性パラメータは伝達されるべき信号サンプルから決定される。これは、現在の信号サンプルと過去の信号サンプルとの間の関係を示す線形予測パラメータを決定することにより実現可能である。一方、これらのパラメータは、上記過去の信号サンプルに基づいて推測される現在の信号サンプルと上記現在の信号サンプルの実際の値との間の誤差が最小になるように決定される。これらの特性パラメータは、上記(一部の)信号サンプルと共にチャネルを介して受信機に伝達される。
【0008】
伝送能力における節約を所望する場合、前記信号サンプルの一部のみがチャネルを介して伝達される。伝達されなかったサンプルは、実際に伝達された信号サンプルの特性についての情報を与える、受信された特性パラメータに基づいて決定される。
【0009】
前記伝達されるべき信号サンプルがバースト誤りに対して保護されることを所望する場合、全ての信号サンプルを前記特性パラメータに加えて伝達することが可能である。前記受信機において、この場合、誤って受信されたサンプルは、前記特性パラメータ及び当該正確に受信された信号サンプルに基づいて決定される。この場合、これら誤って受信されたサンプルは欠落すると考えられる。
【0010】
前記送信機において、前記特性パラメータは、最良の信号サンプルの完全な範囲を表すために決定される。これに対し、前記受信機においては、受信された特性パラメータ及び(正確に)受信された信号サンプルの値に基づいて、欠落する信号サンプルの値が決定される。再構成された信号サンプルは概して、元の信号サンプルの値とは正確に一致せずまた補間誤差を生じるであろう。上記欠落する信号サンプルは、この補間誤差が最小になるように決定される。
【0011】
シミュレーションによると、いくつかの音声信号及び音楽信号の場合、前記補間誤差の最小値はかなり連続することが判明している。更に、受信された信号の質は所望の質を十分に維持していることを聴取テストは証明している。
【0012】
【発明の目的及び概要】
本発明の目的は、前記補間誤差を著しく減少させ、故に、前記受信信号の可聴品質を著しく向上させた、冒頭に記載したような伝送システムを提供することにある。
【0013】
上記目的のために、本発明は、前記送信機が、各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性(periodicity)の周期値を決定するための周期決定手段と、該周期値を前記チャネルを介して前記受信機に伝送するための手段とを有し、前記補間手段が、該補間手段により決定される信号サンプルに上記受信された周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための周期導入手段を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、信号サンプルのシリーズにおいてチャネルを介して伝送される伝送信号に、各信号サンプルのシリーズの期間よりも長い周期を持つような周期性が発生することの認識に基づいている。この周期は、各信号サンプルのシリーズの期間よりも長いので、これらの周期性の発生を、これら信号サンプルのシリーズで発生する信号サンプルからの補間により決定することはできない。この結果として、補間誤差はいくつかの時点において著しいであろう。補間誤差が最大である時点は、前記周期値に等しい時間間隔を持つ。
【0015】
当該送信機において前記周期決定手段の補助により上述のような周期性の周期を決定することにより及び、当該受信機において前記周期導入手段によりこの周期性を前記補間手段により決定される信号サンプルに導入することにより、周期性が充分に存するような信号サンプルのシリーズが該受信機の出力において得られる。前記再構成される信号の質は、本発明のアイデアによる手段により著しく向上していることが、シミュレーション及び聴取テストにより判明した。
【0016】
原則として、各信号サンプルのシリーズにおける信号サンプルの数を増加することにより、補間誤差を減少させることは可能であることに注意されたい。これはまた、特性パラメータの数の著しい増加を必要とし、この結果、既知の信号サンプルから同様に増加される多くの欠落信号サンプルが充分な正確さを持って決定することが可能になる。特性パラメータの数のこの増加により、当該送信機は許容できないほど複雑になってしまうであろう。更に、この特性パラメータの数の増加により、チャネルのより著しく大きな伝送能力が必要となるであろう。
【0017】
本発明の実施例は、前記周期決定手段がまた、前記周期性の振幅係数を決定するように構成され且つ前記周期導入手段が、上記周期決定手段により決定される減衰率に対する上記周期性の振幅係数を設定するように構成されることを特徴とする。
【0018】
一般的に、前記信号サンプルにおける周期性の振幅は一定ではなく、ゼロと最大値との間で変化するであろう。これらの変化は、振幅係数により表すことができる。例えば、ある周期性とそれに隣接する周期性との振幅の比を振幅係数と定義することができる。上記振幅係数が1を越える場合、上記周期性の振幅は時間と共に増大する。上記振幅係数が1と等しい場合、上記周期性の振幅は一定である。これに対し、1よりも小さい振幅係数の場合には、上記周期性の振幅は時間と共に減少する。
【0019】
当該送信機において周期性の周期値だけではなく周期性の振幅係数を決定することにより且つ前記受信機において前記周期導入手段を設定するためにこれら2つの値を使用することにより、前記伝送システムの伝送の質は更に向上する。
【0020】
本発明の更なる実施例は、前記送信機が、前記特性決定手段により決定される特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ再構成される信号サンプルのシリーズを得るために、伝送されない信号サンプルを伝送される信号サンプルから決定するための局部(local)補間手段を有し、上記局部補間手段は、前記周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための局部周期導入手段を有し且つ、前記周期決定手段は、再構成される信号サンプルのシリーズが可能な限り最良に元の信号サンプルのシリーズに対応するように上記周期値を選択するように構成されることを特徴とする。
【0021】
当該送信機において実行される局部補間に応じて前記周期性の周期値及び/または振幅係数を決定することにより、この周期性の周期値及び/または振幅係数は最小の補間誤差を持つように決定されることが保証され、故に、該周期値または振幅係数を決定することに対して最適な質が保証される。
【0022】
更に好ましい実施例は、前記特性決定手段が、前記特性パラメータを決定するため、より長い信号サンプルのシリーズに窓を用いて重み付けを行うための窓手段を有し且つ信号サンプルのシリーズが、上記より長いシリーズの最後の信号サンプルを有することを特徴とする。
【0023】
多くの場合、特性パラメータの値は、当該信号サンプルのシリーズの期間よりも長い間隔の信号サンプルから得られる。この場合、これらの信号サンプルにはいわゆる窓関数がしばしば乗算され、この窓関数は、上記間隔の中央において最大となり、該間隔の境界に向けゼロに減少する。従来技術による送信機において、信号サンプルのシリーズは上記間隔の中央に位置する。この結果、これら信号サンプルのシリーズの送信において余分な遅延が生じる。この遅延は、上記間隔の約半分であり、望ましくない。上記間隔の終端に一致する信号サンプルのシリーズを持つことにより、この余分な伝送遅延は、窓関数を実行することにより略々ゼロに減少することが出来る。聴取テスト及びシミュレーションでは、この手段がいかなる伝送の質の低下もほとんど招かないことを証明している。
【0024】
【実施例】
図1に示される伝送システムにおいて、信号サンプルs(n)は送信機2の入力に供給される。送信機2の入力は、減少装置8、周期決定手段7の入力及び予測パラメータを決定するための線形予測器12により形成される上記送信機2における特性決定手段の入力に接続される。減少装置8の出力はチャネル4の第1のサブチャネル4aに接続される。
【0025】
周期決定手段7は、予測フィルタ10及び周期計測手段14のカスケード接続を有する。出力信号に関して上記信号サンプルにおける周期性の振幅係数及び周期を伝送する、周期決定手段7の出力は、チャネル4のサブチャネル4b及び4cに接続される。線形予測器12の出力はチャネル4のサブチャネル4d及び予測フィルタ10の制御入力に接続される。
【0026】
サブチャネル4aの出力は、記憶装置16に接続される。出力信号に関して最も最近の信号サンプルのシリーズを伝送する、記憶装置16の第1の出力は、補間手段19の第1の入力及びマルチプレクサ24の第1の入力に接続される。出力信号に関して前記最も最近の信号サンプルのシリーズを除いては最も最近の信号サンプルのシリーズを伝送する、記憶装置16の第2の出力は、補間手段19の第2の入力に接続される。補間手段19の出力は、マルチプレクサ24の第2の入力に接続される。マルチプレクサ24の出力は、受信機6の出力及び補間手段19の第3の入力に接続される。サブチャネル4b及び4cの出力は、補間手段19の第1及び第2の制御入力に接続される。サブチャネル4dの出力は、補間出力19の第3の制御入力に接続される。
【0027】
補間手段19の第1の入力は、補間回路20の第1の入力に接続され、該補間手段19の第2の入力は、該補間回路20の第2の入力に接続される。補間手段19の第3の入力は、予測フィルタ22の入力に接続される。
【0028】
補間手段19の第1の制御入力は、周期導入手段18の第1の制御入力に接続され、該補間手段19の第2の制御入力は、該周期導入手段18の第2の制御入力に接続される。補間手段19の第3の制御入力は、反転予測フィルタ22及び補間回路20の制御入力に接続される。反転予測フィルタ22の出力は、周期導入手段18の入力に接続され、該周期導入手段18の出力は、補間回路20の第3の入力に接続される。
【0029】
図1に示される伝送システムにおいて、前記信号サンプルs(n)がp+mシンボルの連続するシリーズを各々有すると仮定する。これら信号サンプルp+mから、減少装置8は信号サンプルmを除去し、故に、わずか信号サンプルp+m毎のサンプルpのみがサブチャネル4aを介して伝送される。この信号サンプルmの除去は、サブチャネル4aに必要な伝送能力の減少を実現する。受信機6に伝送されなかった信号サンプルを再構成するために、送信機2における線形予測器12が予測パラメータを算出する。これらの予測パラメータは、ある信号サンプルが複数の先行する信号サンプルにどの程度依存するかを示す。信号サンプルs(n)の見積値s(^)(n)は、(1)式のように書くことができる。
【0030】
【数1】
Figure 0003888698
【0031】
(1)式において、Nは、予測の際に過去からのサンプルがどの程度協働したかを示す予測の程度である。差e(n)=s(n)−s(^)(n)は、(2)式により求まる。
【0032】
【数2】
Figure 0003888698
【0033】
多数の信号サンプルに対する平均二乗誤差Eに関して、この場合(3)式が成り立つ。
【0034】
【数3】
Figure 0003888698
【0035】
予測器12は、Eが最小の値となるa(i)の値を演算する。この予測係数を決定する方法は、論文"Linear Prediction:A Tutorial View"by J.Makhoul in Proceedingsof the IEEE,Vol.63,No.4,April 1975に詳細に記載されている。これら予測パラメータはa(1)乃至a(N)であり、これらはサブチャネル4dを介して受信機6に伝送される。予測パラメータが線形予測器12により演算された値に設定される予測フィルタ10は、(2)式により前記信号サンプルs(n)から予測誤差e(n)を得る。周期計測手段14は、上記誤差信号e(n)から、信号サンプルのシリーズの期間を越える周期を持つ周期性の周期及び振幅係数を得る。周期計測手段14は、s(n)信号の代わりにこの誤差信号e(n)を入力信号として使用する。なぜなら、上記誤差信号e(n)における周期性のパラメータは、該周期性を前記信号サンプルのシリーズに再導入するために受信機6において必要だからである。パラメータbは周期性の振幅係数を示し、一方パラメータlは信号サンプルの数で表される周期性の周期を示す。
【0036】
振幅係数b及び周期値lは、サブチャネル4b及び4cを介して受信機6に伝送される。予測パラメータを伝達するために必要な伝送能力は、欠落信号サンプルmを伝送するために必要な伝送能力よりも著しく小さいということに注意されたい。サブチャネル4a乃至4dは、例えば、単一伝送チャネル4を介して伝送される多重フレームにおけるタイムスロットにより形成しても良い。他の多重化の形態、例えば、周波数多重化等の形態が、4つのサブチャネル4a乃至4dの情報を伝達するために考え得る。
【0037】
記憶装置16は、サブチャネル4aから受信された信号サンプルのシリーズを記憶する。最も最近の信号サンプルのシリーズpの他に、前記最も最近の信号サンプルのシリーズを除いては最も最近の信号サンプルのシリーズp'も記憶装置16に存する。これら2つの信号サンプルのシリーズp及びp'は、補間回路20に供給される。補間された信号サンプルmは、完全な信号サンプルのシリーズs'(n)を形成するためにマルチプレクサにより、上記受信された信号サンプルpと組合わさる。予測フィルタ22は、上記受信された予測パラメータに応じて信号サンプルのシリーズs'(n)から予測誤差e'(n)を演算する。周期導入手段18は、前記受信されたb及びlの値に応じて、サンプリング周期l遅延された予測誤差e ' (n)と振幅係数bとの積を演算し、出力信号b・e ' (n−l)を生成する。周期導入手段18の出力信号は、前記補間された信号サンプルのシリーズに周期性を再導入するために供給される。補間回路20、マルチプレクサ24、予測フィルタ22及び周期導入手段18の組み合わせは、前記パラメータl及びbにより決定される共振周期及び減衰係数を持つ共振回路と考えることができる。この共振回路は、前記信号サンプルのシリーズpにおいて発生する周期性により活性化される。この結果、前記周期性も、本来該周期性を持つ前記信号サンプルのシリーズmに導入される。
【0038】
前記信号サンプルmが補間回路20により再構成される場合、予測誤差Dが信号d(n)(信号d(n)の定義は、e ' (n)−b・e ' (n−l)=e ' (n)−q(n)である)に応じて最小になると仮定される。この理由は、e'(n)が周期的である場合に、b及びlが正確な値であるならば、上記出力信号d(n)はゼロに等しくなるであろうことである。Dを最小にすることにより、前記信号e(n)において、故に前記信号s'(n)において、周期性が正確な振幅係数及び周期を持って有効であることが実現される。予測の程度Nが、補間の際に必然的に伴われる信号サンプルの数、2p+m−1に等しいと仮定するならば、前記予測誤差Dは(4)式のように書いても良い。
【0039】
【数4】
Figure 0003888698
【0040】
この場合、この予測誤差が、前記欠落信号サンプル及び後続する有効な信号サンプルにおいて最小になると仮定される。更に、lがp+mを越えると仮定される。ここで、上記欠落信号サンプルの値は、該欠落信号サンプルに対するDの導関数をゼロに等しく設定することにより求めることができる。この場合、以下の(5)式が成り立つ。
【0041】
【数5】
Figure 0003888698
【0042】
s(k)は、n=k乃至n=k+pでのEにのみ影響を及ぼすので、(5)式は(6)式のように置き換えられる。
【0043】
【数6】
Figure 0003888698
【0044】
(6)式に(2)式を代入した結果、(7)式となる。
【0045】
【数7】
Figure 0003888698
【0046】
(7)式は、p乃至p+m+1までのm異なるkの値に対するm個の比較を規定する。これらm個の比較は以下のような行列で書くことができる。
【0047】
【数8】
Figure 0003888698
【0048】
ここで、Aはm×(p+m)行列であり、eはm個の要素の列ベクトルである。(2)式を利用することにより、ベクトルeに関して(9)式が求まる。
【0049】
【数9】
Figure 0003888698
【0050】
(9)式において、Bは(p+m)×(2p+m)行列であり、sは2p+m個の要素の列ベクトルである。(9)式を(8)式に代入すると(10)式を生じる。
【0051】
【数10】
Figure 0003888698
【0052】
上記行列の乗算ABを綿密に計算した結果、(11)式になる。
【0053】
【数11】
Figure 0003888698
【0054】
ここで、rは(12)式に等しい。
【0055】
【数12】
Figure 0003888698
【0056】
上記総和の上限がゼロよりも小さい場合、rはゼロに等しい値を持つ。
【0057】
前記行列Rは、3つのサブ行列R、R、Rに分割することができる。RはRの最も左の列pにより形成され、RはRの最も右の列pにより形成され、RはRの残りの列mにより形成される。
【0058】
前記ベクトルsが、各々係数p、m及びpを有する3つのサブベクトルに分割される場合、(10)式は(13)式のように書き改めることができる。
【0059】
【数13】
Figure 0003888698
【0060】
前記ゼロに等しくないsの3つのサブベクトルの要素は、サブベクトルs、s及びsと規定することができる。これらのサブベクトルに関して、この場合以下の式が成り立つ。
【0061】
【数14】
Figure 0003888698
【0062】
(14)式を利用することにより、(13)式は(15)式のように置き換えられる。
【0063】
【数15】
Figure 0003888698
【0064】
上記行列Rは、m×mの正方行列である。Rは対称的で、明確に正でありテープリッツ(Toeplitz)である。(15)式の右側の要素は、既知の構成要素のベクトルを表す。Rの前述の特性により、(15)式は様々の既知の方法により演算可能である。これらの方法の1つに、例えば、"Fast Algorithms for Digital Signal Processing,by R.E.Blahut,Addison−Wesley Publishing Company Inc.1985,ISBN 0−201−10155−6,pages 352−358"のタイトルが付けられた文献に記載のレヴィンソンアルゴリズムがある。
【0065】
p及びmの値に依存して、前記行列R、R及びRの構造を変形させることができる。上記行列Rは、m≦p+1の値に関して以下のような構造を持つ。
【0066】
【数16】
Figure 0003888698
【0067】
m>pに関しては、前記行列Rの構造は(17)式のようになる。
【0068】
【数17】
Figure 0003888698
【0069】
前記行列R及びRの構造もm及びpの値に依存する。m<pに関しては、以下のような式が上記行列R及びRに関して成り立つ。
【0070】
【数18】
Figure 0003888698
【0071】
m=pに関しては、上記行列R及びRは以下の式に等しい。
【0072】
【数19】
Figure 0003888698
【0073】
m>pに関しては、上記行列R及びRは以下の式のように置き換えられる。
【0074】
【数20】
Figure 0003888698
【0075】
(14)式の解に関して必要なベクトルqの値は、前記周期導入手段18の出力において利用できる。(14)式において必要な値a(i)は、当該送信機2において確立される前記予測パラメータに関してチャネル4より供給された値から得られる。前記べクトルSの要素は、受信された最も最近の信号サンプルのシリーズを除いては最も最近の信号サンプルのシリーズにより形成される。一方、前記ベクトルsの要素は受信された最も最近の信号サンプルのシリーズにより形成される。
【0076】
図2に示される送信機において、送信されるべき信号サンプルs(n)は、減少装置8、周期決定手段30の第1の入力及び線形予測器12に供給される。減少装置8の出力は、チャネル4の第1のサブチャネル4a及び局部記憶装置9に接続される。出力信号に関して最も最近の信号サンプルのシリーズを伝送する、局部記憶装置9の第1の出力は、局部補間手段31の第1の入力及びマルチプレクサ23の第1の入力に接続される。出力信号に関して前記最も最近の信号サンプルのシリーズを除いては最も最近の信号サンプルのシリーズを伝送する、局部記憶装置9の第2の出力は、局部補間手段31の第2の入力に接続される。局部補間手段31の出力はマルチプレクサ23の第2の入力に接続される。
【0077】
マルチプレクサ23の出力は、局部補間手段31の第3の入力及び周期決定手段30の第2の入力に接続される。線形予測器12の出力は、チャネル4のサブチャネル4d及び局部補間手段31の第1の制御入力に接続される。周期決定手段30の第1及び第2の出力は、サブチャネル4b及び4cに各々接続されると共に局部補間手段31の第2及び第3の制御入力に接続される。
【0078】
局部補間手段31の第1の入力は、局部補間回路21の第1の入力に接続され、局部補間手段31の第2の入力は、局部補間回路21の第2の入力に接続される。局部補間手段31の第3の入力は、反転予測フィルタ10の入力に接続される。反転予測フィルタ10の出力は、局部周期導入手段17の入力に接続される。局部周期導入手段17の出力は、局部補間回路21の第3の入力に接続される。局部補間手段31の第1の制御入力は、反転予測フィルタ10の制御入力及び局部補間回路21の制御入力に接続される。局部補間手段31の第2及び第3の制御入力は、局部周期導入手段17の第1及び第2の制御入力に接続される。周期決定手段30の第1の入力は、減算回路13の第1の入力に接続される。周期決定手段30の第2の入力は、減算回路13の第2の入力に接続される。減算回路13の出力は、二乗回路15の入力に接続される。二乗回路15の出力は、周期最適化手段11の入力に接続される。
【0079】
図2に示される送信機において、周期値及び振幅係数は、図1に示される受信機における補間と同様の補間を該送信機において実行することにより演算される。この目的のために、送信機2は、丁度図1における受信機6と同様に、局部記憶装置9、マルチプレクサ23、反転予測フィルタ10、局部周期導入手段17及び局部補間回路21を有する。この(局部)補間は、b及びlの異なる値に対して実行され、前記チャネルを介して伝送される周期値及び振幅係数の最終値は、前記信号サンプルs(n)と前記補間された信号サンプルs'(n)との間の差の平均二乗誤差が最小となるような値である。減算回路13は、上記差s(n)−s'(n)を演算し、二乗回路15は、この誤差の二乗された値を算出する。周期最適化手段11は、上記b及びlの各設定値に対する差の二乗の総和を演算する。この総和は、前記補間された信号サンプルに対して実行される。実際、1に等しいステップにおけるl=20乃至140と0.1のステップにおけるb=0.5乃至1.5との全ての組み合わせに対して補間を実行することで十分であることが証明されている。使用されるlの値は、8kHzのサンプリングレートに対して50乃至400Hzの周期性の周波数の決定を可能にしている。
【0080】
周期最適化手段11は常に、上記二乗差の最小の緩和を生じるような、l及びbの値を保有する。b及びlの全ての値に対する補間が実行された場合、b及びlの最適値は受信機6に伝送される。欠落信号サンプルは、図1に示される受信機6において決定されるのと同様の形式で、局部補間回路21おいて決定される。
【0081】
図3は、所定の瞬間における、チャネル4を介して伝送される信号サンプルのシリーズpに対して特性決定手段12において使用される窓関数を示している。ここで使用される窓関数w(n)は、以下の関係式により規定されるハミング窓と呼ばれるものである。
【0082】
【数21】
Figure 0003888698
【0083】
ここで、Lは上記窓周期の信号サンプル全体の長さである。図3は、上記窓関数が1乃至160で番号付けされた信号サンプルから決定されることを示し、これに対し、151乃至160で番号付けされた信号サンプルは、送信機2の現在送信される信号サンプルのシリーズを形成することを示している。141乃至150で番号付けされた信号サンプルは送信されないが、その値は、前記特性パラメータ及び既に受信された信号サンプル番号131乃至140の補助により受信機6における補間により決定される。当該送信機により伝送された信号サンプルは上記窓関数に影響を受けないことに注意されたい。図3は明白に、上記151乃至160で番号付けされた信号サンプルが伝送される瞬間に、現在伝送されるべき信号サンプルが上記窓関数の中央に位置されていた従来技術の伝送システムにおいてはより高いシリアル番号を持つ信号サンプルを必要としていた演算が本願発明では必要ないことを示している。151乃至160で番号付けされた信号サンプルが伝送される前により高いシリアル番号を持つ信号サンプルが必要とされないため、当該送信機において当該信号サンプルが受ける遅延は限定されることとなる。
【0084】
図4は、図3に示される信号サンプルのシリーズの直後に伝送される信号サンプルのシリーズpに対して特性決定手段12において使用される窓関数を示している。ここで、上記窓関数は21乃至180で番号付けされた信号サンプルから演算され、送信される信号サンプルは171乃至180で番号付けされた信号サンプルである。161乃至170で番号付けされた信号サンプルは送信されずに、その値は、151乃至160で番号付けされた信号サンプル及び171乃至180で番号付けされた信号サンプルからの受信機6における補間により演算される。
【0085】
図5は、時間に対してプロットされた伝送音声信号を示している。この音声信号は100msの期間を持つ。このことは、8kHzのサンプリングレートの場合、図5に示される音声信号が800個の信号サンプルから構成されることを意味している。
【0086】
図6は、mの値(欠落する信号サンプルの数)が10に等しく、pの値(伝送される信号サンプルの数)も10に等しい、従来技術の伝送システムにおいて生じる補間誤差を示している。前記特性パラメータは、160個の信号サンプルから、ハミング窓を作り出して決定される。上記補間誤差は、周期的(励起)パルスが発生する位置において著しいことを図6は示している。当該伝送システムの質に関して量的計測を実現するために、信号対雑音比を以下のように規定することができる。この従来技術の伝送システムにおける信号対雑音比の値は9.9dBである。
【0087】
【数22】
Figure 0003888698
【0088】
図7は、mの値(欠落する信号サンプルの数)が10に等しく、pの値(伝送される信号サンプルの数)も同様に10に等しい、図1に示される伝送システムにおいて生じる補間誤差を示している。前記同様に特性パラメータは、160個の信号サンプルから、ハミング窓を作り出して決定される。ここでは、前記信号pは前記窓関数の中央に位置する。図7は明確に、補間誤差が減少されていることを示している。ここでは、信号対雑音比は12.5dBである。
【0089】
図8は、図2に示される送信機が使用される図1に示される伝送システムにおいてみられる補間誤差を示している。mの値(欠落する信号サンプルの数)は10に等しく、pの値(伝送される信号サンプルの数)も同様に10に等しい。前記同様に特性パラメータは、160個の信号サンプルから、ハミング窓を作り出して決定される。ここでは、信号サンプルpは前記窓関数の端部に位置される。図8は明確に、補間誤差が著しく減少されていることを示している。ここでは、信号対雑音比は20.7dBである。上記信号サンプルpが前記窓関数の中央に位置する場合、21.3dBの信号対雑音比がみられる。このことは、結果として信号サンプルの遅延が著しく減少されるよう前記窓関数の端部に信号サンプルを位置することにより、信号対雑音比の低下が0.6dBに限定され続くことを意味している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による伝送システムを示す。
【図2】図2は、図1に示される伝送システムにおいて使用されるべき送信機に関する好ましい実施例を示す。
【図3】図3は、予測パラメータ及びある信号サンプルのシリーズを決定するために使用される窓関数の位置関連を示す。
【図4】図4は、窓関数の位置関連及び図3に示される信号サンプルのシリーズに後続する信号サンプルのシリーズを示す。
【図5】図5は、図1に示される伝送システムを介して伝送される音声信号の例を示す。
【図6】図6は、従来技術の伝送システムにおいて、時間に対してプロットした、受信機における予測誤差e(n)を示す。
【図7】図7は、図1に示される伝送システムにおいて、時間に対してプロットした、受信機における予測誤差e(n)を示す。
【図8】図8は、図2に示される送信機において使用される場合の本発明による伝送システムにおいて、時間に対してプロットした、受信機における予測誤差e(n)を示す。
【符号の説明】
2…送信機 4…チャネル
6…受信機 7…周期決定手段
8…減少装置 9…局部記憶装置
10…(反転)予測フィルタ 11…周期最適化手段
12…線形予測器 13…減算回路
14…周期計測手段 15…二乗回路
16…記憶装置 17…局部周期導入手段
18…周期導入手段 19…補間手段
20…補間回路 21…局部補間回路
23、24…マルチプレクサ 30…周期決定手段
31…局部補間手段

Claims (12)

  1. 信号サンプルの特性パラメータを決定するための特性決定手段と、該特性パラメータ及び少なくとも該信号サンプルの一部をチャネルを介して受信機に伝送するための手段とを持つ送信機を有し、該受信機が、上記受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ連続する信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定するための補間手段を有するような、信号サンプルを連続して伝送するための伝送システムにおいて、
    前記送信機が、各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性の周期値を決定するための周期決定手段と、該周期値を前記チャネルを介して前記受信機に伝送するための手段とを有し、
    前記補間手段が、該補間手段により決定される信号サンプルに上記受信された周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための周期導入手段を有することを特徴とする伝送システム。
  2. 前記周期決定手段はまた、前記周期性の振幅係数を決定するように構成され且つ前記周期導入手段は、上記周期決定手段により決定される振幅係数に前記周期性の振幅係数を設定するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
  3. 前記送信機は、前記特性決定手段により決定される特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ再構成される信号サンプルのシリーズを得るために、伝送されない信号サンプルを伝送される信号サンプルから決定するための局部補間手段を有し、
    上記局部補間手段は、前記周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための局部周期導入手段を有し且つ、
    前記周期決定手段は、再構成される信号サンプルのシリーズが最良に元の信号サンプルのシリーズに対応するように上記周期値を選択するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の伝送システム。
  4. 前記特性決定手段は、前記特性パラメータを決定するため、前記周期性の周期値より長い信号サンプルのシリーズに窓を用いて重み付けを行うための窓手段を有し且つ信号サンプルのシリーズが、上記より長いシリーズの最後の信号サンプルを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の伝送システム。
  5. 信号サンプルの特性パラメータを決定するための特性決定手段と、受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ連続する信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定することを受信機に可能にさせる前記特性パラメータ及び少なくとも前記信号サンプルの一部を前記受信機に伝送するための手段とを持つ、信号サンプルのシリーズにおける信号サンプルを伝送するための送信機において、
    各信号サンプルのシリーズの期間よりも長いような信号サンプルにおける周期性の周期値を決定するための周期決定手段と、
    決定された欠落する信号サンプルに前記周期値に対応する周期を持つ周期性を導入することを前記受信機に可能にさせる前記周期値を前記受信機に伝送するための手段とを有することを特徴とする送信機。
  6. 信号サンプルの特性パラメータを受信するための手段と、該受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定するための補間手段とを有する、信号サンプルのシリーズにおいて伝送された信号サンプルを受信するための受信機において、
    当該受信機はまた、各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性の周期値を受信するための手段も有し、
    一方、上記補間手段は、該補間手段により決定される信号サンプルに上記受信された周期値に対応する周期を持つ周期性の導入を行うための周期導入手段を有することを特徴とする受信機。
  7. 信号サンプルの特性パラメータを決定するための特性決定手段と、受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ連続する信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定することを復号器に可能にさせる前記特性パラメータ及び少なくとも前記信号サンプルの一部を符号化するための手段とを有する、信号サンプルのシリーズにおける信号サンプルを符号化するための符号器において、
    各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性の周期値を決定するための周期決定手段と、決定された欠落する信号サンプルに前記周期値に対応する周期を持つ周期性を導入することを前記復号器に可能にさせる前記周期値を符号化するための手段とを有することを特徴とする符号器。
  8. 信号サンプルの特性パラメータを復号し且つ符号化された信号サンプルを復号するための手段と、受信された特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定するための補間手段とを有する、符号化された信号サンプルを連続して復号するための復号器において、
    当該復号器はまた、各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性の周期値を復号するための手段を有し、
    上記補間手段は、該補間手段により決定される信号サンプルに前記受信された周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための周期導入手段を有することを特徴とする復号器。
  9. 完全な信号サンプルのシリーズの特性パラメータに対応する特性パラメータを持つ信号サンプルのシリーズを得るために欠落する信号サンプルの値を決定するように構成される、信号サンプルのシーケンスから欠落する信号サンプルを再構成するための補間手段において、
    当該補間手段により決定される信号サンプルに、各信号サンプルのシリーズの期間を越えるような周期値に対応する周期を持つ周期性を導入するための周期導入手段を有することを特徴とする補間手段。
  10. 信号サンプルの特性パラメータを決定する工程を有する、伝送されるべき信号サンプルのシリーズに冗長を加える方法において、
    信号サンプルのシリーズの期間を越えるような信号サンプルにおける周期性の周期を決定する工程を有することを特徴とする方法。
  11. 当該方法は、前記特性パラメータを決定するために信号サンプルのシリーズに重畳する前記周期性の周期値より長い信号サンプルのシリーズに渡る窓を用いて重み付けを行う工程を有し、
    信号サンプルのシリーズが、上記より長いシリーズの最近の信号サンプルを有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 再構成される信号サンプルのシリーズが、予め規定される特性パラメータを用いて表されることを可能にするような、欠落する信号サンプルを有効な信号サンプルから決定する工程を有する、信号サンプルのシリーズにおいて欠落する信号サンプルを再構成するための方法において、
    上記再構成される信号サンプルに信号サンプルのシリーズの期間を越えるような周期値を持つ周期性を導入する工程を有することを特徴とする方法。
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