JP3888271B2 - 日射遮蔽装置の減速装置 - Google Patents

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【発明の属する技術分野】
本発明は、インテリアブラインド、プリーツスクリーン、ローマンシェード等の日射遮蔽装置に用いる減速装置に関する。
【従来の技術】
日射遮蔽装置のヘッドレール内に、日射遮蔽材を昇降させる駆動軸を回転可能に支持し、その駆動軸にロータリダンパー、遠心ガバナー等の減速装置を外嵌して日射遮蔽材の上昇及び下降速度のいずれか一方を制限することは、特開2001−112616号により公知である。又、クラッチ装置を介して日射遮蔽材を昇降させる駆動軸に遠心ガバナーを連結して日射遮蔽材の上昇及び下降速度のいずれか一方を制限することは、特開2002−106268号により公知である。
ブラインドに用いられる遠心ガバナーは、ブレーキドラムと、ブレーキドラム内においてブレーキドラムに対して相対回転するボスと、そのボスに基端側が軸支され開閉端側が揺動可能である複数のウエイトと、各ウエイトの外周面にはめ込まれたブレーキシューとからなり、ボスが日射遮蔽材を昇降させる駆動軸と連動して一方に回転すると、ウエイトの遠心力によりブレーキシューがブレーキドラムに摺接して摩擦を発生し、大きな制動力を発生する。ボスが反対方向に回転すると、ウエイトを閉じる方向に作用するから、ブレーキシューがブレーキドラムに摺接して発生する摩擦力は弱く、制動力は小さい。
従来の遠心ガバナーは、ボスの相対回転速度を増大する歯車機構を介して制動力を得る方式であり、ブレーキシューの形状は、ボスの軸心を通る半径方向の中心線に関して対称であった。
【発明が解決しようとする課題】
ロータリダンパー、遠心ガバナー等からなる従来の日射遮蔽装置用減速装置は、いずれも日射遮蔽部材の重量等に応じて昇降速度を調整することはできなかった。従来の減速装置を用いて昇降速度を調整する場合は、歯車、ブレーキシュウー等の仕様が異なる数種類の減速装置を用意する必要があるため、部品点数が多くなり、在庫も増加するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、日射遮蔽材を昇降させる駆動軸に遠心ガバナーを直接外嵌する構造の単純な減速装置であって、日射遮蔽材の重量等の違いに柔軟に対応できるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明が採用する手段は、ヘッドレール内に回転可能に支持されて日射遮蔽材を昇降させる駆動軸と、その駆動軸に直結されて日射遮蔽材の昇降速度を制限する遠心ガバナーとを備えた日射遮蔽装置の減速装置であって、遠心ガバナーが、ヘッドボックス内に脱着自在に固定されるブレーキケースと、そのブレーキケースに一体に形成されたブレーキドラムと、駆動軸に一体回転するように外嵌されるボスと、そのボスに基端側が軸支され開閉端側が揺動可能である複数のウエイトと、各ウエイトの外周面に脱着自在にはめ込まれてブレーキドラムと摺接するブレーキシューとからなるものにおいて、ブレーキシューのブレーキドラムとの接触部分の形状を、横断面において、ボスの軸心を通るブレーキシューの半径方向中心線に関して非対称としたことにある。
ブレーキシューのブレーキドラムとの接触部分の形状は、上記中心線に関して周方向の片側が急斜面に反対側が緩斜面に形成し、ブレーキシューは周方向反転してウエイトにはめ込み可能とする。
遠心ガバナーのドラムケースは、軸方向のいずれの側からも駆動軸に外嵌してヘッドレールに装着することができるように形成し、軸方向を逆にすると、減速装置の制動力が変化するようにすることが好ましい。
上記手段により、遠心ガバナーは、ブレーキシューとブレーキケースの方向を変えることにより、4種類の制動力の異なるものとなるから、減速装置の制動力は4段階に調整することができる。
又、複数の遠心ガバナーを駆動軸に外嵌してヘッドレールに装着できるように形成すると、減速装置の制動力をさらに細かく多段階に調整することができる。例えば、二個の遠心ガバナーを備えた減速装置は、制動力を10段階に調整することができる。
【発明の実施の態様】
本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明実施例の減速装置を備えたローマンシェードの部分切欠き正面図、図2は図1の減速装置の横断面である。
ローマシェードのヘッドレール1は、横断面において底面中央に開口2を有する。ヘッドレール1内を長手方向に通る六角棒の駆動軸3は、巻取りドラム4と遠心ガバナー5を貫通する。巻取りドラム4は駆動軸3と一体回転するように嵌合し、巻取りドラム4を回転自在に支持する巻取りドラムケース6は、ヘッドレール1の開口2に固定される。スクリーン18の下端部に係止された昇降コード7は、開口2を通り巻取りドラム4に巻かれる。
ヘッドレール1の片側の端部から垂下するボールチェーン19を引くと、駆動軸3が回転し、昇降コード7が巻取りドラム4に巻き上げられスクリーン18は上昇する。そこで、ボールチェーン19を放すと、スクリーンはストッパーによりその位置に停止する。ボールチェーン19を少し引いて放すと、ストッパーは解除され、スクリーン18とボトムバー20は自重で降下する。このとき、駆動軸3は逆転し昇降コード7は巻取りドラム4から巻き戻される。
遠心ガバナー5は、ヘッドレール1の端面から挿入される。遠心ガバナー5のブレーキケース8は開口2に沿う横断面H字形の脚部9を有し、脚部9は開口2にはまると、開口2の前後縁部を弾性的に挟持して遠心ガバナー5をヘッドレール1に固定する。
ブレーキケース8は円筒状のブレーキドラム10を備え、そのブレーキドラム10内に配置されたボス11はブレーキケース8とは別体である。ボス11は中央に六角形の軸孔12を有し、その軸孔12は六角棒の駆動軸3に一体回転するが軸方向には摺動可能に嵌合する。ボス11は直径方向の両端部に軸方向に突出するピン13を有し、そのピン13はウエイト14の基端側を軸支する。ウエイト14の開閉端側はピン13を支点に揺動可能である。、ウエイト14の外周面にブレーキシュー15が脱着自在にはめ込まれ、ブレーキシュー15はブレーキドラム10の内周面と摺接する。ブレーキシュー15は周方向を反転してウエイト14にはめ込むことができる。
横断面において、ブレーキシュー15がウエイト14にはまる部分は、ボス11の軸心を通るブレーキシュー15の中心線に関して対称であるが、ウエイト14から突出してブレーキドラム10と摺接する接触部分は、ボス11の軸心を通る中心線に関して非対称である。この接触部分の周方向片側は急斜面16であり、周方向反対側は緩斜面17である。
遠心ガバナー5は、軸方向のいずれの側からもボス11を駆動軸3に外嵌してドラムケース8をヘッドレール1に装着することができるように形成されている。ブレーキシュー15は、ブレーキドラム10との接触部分が非対称であるから、周方向を反転にすると、遠心ガバナー5の制動力が変化する。
遠心ガバナー5の軸方向を、スクリーン下降時にブレーキシュー15の摩擦力がウエイト14を開くとき、「正」、閉じるとき、「逆」とし、ブレーキシュー15の周方向を、スクリーン下降回転側が急斜面16のとき、「急」、緩斜面17のとき、「緩」とすると、遠心ガバナー5の制動力は、4種類(A:正・急、B:正・緩、C:逆・急、D:逆・緩)に設定することができる。ブレーキシュー15の形状により、スクリーン下降時の制動力の大きさは、A>B>C>Dとすることができる。例えば、図2の遠心ガバナーの制動力はAである。
スクリーンを自重で下降させると、駆動軸3は図2の矢印方向に回転する。このとき、2つのブレーキシュー15の摩擦抵抗の大きい急斜面16がブレーキドラム10の内周面と摺接し、さらに遠心力がウエイト14を強く開かせるため、制動力が大きく、減速効果も高い。その結果、重いスクリーンの急降下による事故は未然に防止される。
特に軽量なスクリーンの場合は、図1の遠心ガバナー5を軸方向反転し、図3(a)に示すように、駆動軸3に通し、ヘッドレール1に取り付ける。2つのブレーキシュー15の急斜面16と緩斜面17は、ブレーキドラム10の内周面に対して図1とは逆方向に向くから、スクリーンを下降させると、駆動軸3は図3の矢印方向に回転する。このとき、2つのブレーキシュー15の摩擦抵抗の小さい緩斜面17がブレーキドラム10の内周面と摺接し、さらに回転方向によりウエイトの開きが弱いため、制動力は弱い。その結果、軽量スクリーンも自重で安全に降下させることができる。
図3(b)に示すように、図2のブレーキシュー15を周方向反転してウエイト14にはめ込むことにより、又は、図3(c)に示すように、図3(a)のブレーキシュー15を周方向反転してウエイト14にはめ遠心ガバナー5の制動力を調整することも可能である。前者は、先に述べたBであり、後者は、先に述べたDである。
【実施例】
次に、別の実施例について説明する。図4は複数の遠心ガバナーを備えた実施例の要部の部分切り欠き正面図であり、(a)は2つの遠心ガバナーが一方の軸方向を、(b)は2つの遠心ガバナーが相反する軸方向を、(c)は2つの遠心ガバナーが他方の軸方向をそれぞれ向く。
この実施例の減速装置は、2個の遠心ガバナー5を軸方向に並べて駆動軸3に外嵌し、ヘッドレール1に装着する。遠心ガバナー5は、前記実施例のものと同じであり、ブレーキドラムの軸方向とブレーキシューの周方向を変えることにより、異なる4種類の制動力A、B、C、Dに設定することができる。2つの遠心ガバナー5を備えた減速装置は、制動力をA、B、C、Dに設定した遠心ガバナーの中から重複を許して2つを組み合わせることであるから、制動力は、AA、AB、AC、AD、BB、BC、BD、CC、CD、DDの10段階に調整することができる。ブレーキシューの形状により、この順はスクリーン下降時の制動力の大きさの順とすることができる。
図4(a)の減速装置は、2つの遠心ガバナー5の軸方向を共に「正」とし、制動力をAA、AB、BBのいずれかに設定したものである。
図4(b)の減速装置は、2つの遠心ガバナー5の一方の軸方向を「正」と他方の軸方向を「逆」とし、制動力をAC、AD、BC、BDのいずれかに設定したものである。
図4(c)の減速装置は、2つの遠心ガバナー5の軸方向を共に「逆」とし、制動力をCC、CD、DDのいずれかに設定したものである。
【発明の効果】
上記の通り、従来の日射遮蔽装置用遠心ガバナー式減速装置は、クラッチ装置と歯車機構を介して、遠心ガバナーを駆動軸に連結しないと制動力を調整することができなかった。しかし、本発明の日射遮蔽装置用遠心ガバナー式減速装置は、遠心ガバナーのブレーキシューが軸方向反転可能であり、かつその接触部分が半径方向中心線に関して非対称であるため、制動力は多段階に調整可能であり、構造が簡単なため、低コストで提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の減速装置を備えたローマンシェードの部分切欠き正面図、
【図2】図1の減速装置の横断面、
【図3】図2に相等する図であり、(a)は図2の遠心ガバナーを軸方向反転したもの、(b)は図2のブレーキシューを周方向反転したもの、(c)は(a)のブレーキシューを周方向反転したものである。
【図4】別の実施例の減速装置を備えたローマンシェードの要部の部分切り欠き正面図、(a)は2つの遠心ガバナーが一方の軸方向を、(b)は2つの遠心ガバナーが相反する軸方向を、(c)は2つの遠心ガバナーが他方の軸方向をそれぞれ向く。
【符号の説明】
1:ヘッドレール
2:開口
3:駆動軸
4:巻取りドラム
5:遠心ガバナー
6:巻取りドラムケース
7:昇降コード
8:ブレーキケース
9:脚部
10:ブレーキドラム
11:ボス
12:軸孔
13:ピン
14:ウエイト
15:ブレーキシュー
16:急斜面
17:緩斜面
18:スクリーン
19:ボールチェーン
20:ボトムバー

Claims (5)

  1. ヘッドレール(1)と、前記ヘッドレール内に回転可能に支持されて日射遮蔽材を昇降させる駆動軸(3)と、前記ヘッドレールに内装され、前記駆動軸に直結されて前記日射遮蔽材の昇降速度を制限する遠心ガバナー(5)とを備え、前記遠心ガバナーは、前記ヘッドレール内に脱着自在に固定されるブレーキケース(8)と、前記ブレーキケースに一体に形成されたブレーキドラム(10)と、前記駆動軸に一体回転するように外嵌されるボス(11)と、前記ボスに基端側が軸支され開閉端側が揺動可能である複数のウエイト(14)と、各ウエイトの外周面に配置されて前記ブレーキドラムと摺接するブレーキシュー(15)とからなる日射遮蔽装置の減速装置において、前記ブレーキシューのブレーキドラム接触部分は、半径方向の中心線に関して非対称に形成されたことを特徴としてなる日射遮蔽装置の減速装置。
  2. ブレーキシュー(15)のブレーキドラム接触部分は、周方向の片側が急斜面(16)に、反対側が緩斜面(17)に形成されたことを特徴としてなる請求項1記載の日射遮蔽装置の減速装置。
  3. ブレーキシュー(15)は周方向反転してウエイト(14)にはめ込み可能であること特徴としてなる請求項1又は2記載の日射遮蔽装置の減速装置。
  4. ブレーキケース(8)は、軸方向反転してヘッドレールに装着可能であることを特徴としてなる請求項1ないし3のいずれか一つに記載の日射遮蔽装置の減速装置。
  5. 複数の遠心ガバナー(5)が駆動軸(3)に外嵌されてヘッドレール(1)に装着可能であることを特徴としてなる請求項1ないし4のいずれか一つに記載の日射遮蔽装置の減速装置。
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