JP3888055B2 - オプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置 - Google Patents

オプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車に搭載し進行方向を監視するITVカメラで撮影した時系列画像を処理して、ホームからの乗客等の人物や移動物体(以下、必要に応じて、移動物体と記載する)の転落などの異常を検出するオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホームからの乗客等の転落検知装置は従来から様々なものが開発或いは提案されており、例えば特開平7−329772号公報、特開平9−21856号公報、特開平9−26472号公報、特開平9−193789号公報、特開平9−193803号公報、特開2000−95099号公報にも開示されている。ところが、これらの特許公報に開示された転落検知装置は、いずれも地上に設置された転落検知装置である。このため、転落検知装置がホームからの乗客等の転落を検知した場合、これを列車に通知する通信手段が必要である。即ち、地上に設置された転落検知装置と列車の運転席とを結ぶ無線通信システムが必要である。運転席でホームからの乗客の転落があったことを知らされた運転士は、列車の非常ブレーキを操作する等のアクションをとることになる。このように最終的には運転士は何らかのアクションをとることになるが、現実の無線通信システムの信頼性と、運転士を含むシステム全体の応答性に鑑みれば、通信が途切れたり、又は一瞬ではあるが運転士の対応に遅れが生じたりする危険性が皆無とは言えないという問題がある。
【0003】
列車に搭載し進行方向を監視するITVカメラにより得られる画像から、テンプレートマッチングにより列車前方の支障物を検知しようとする考えは従来からあった。しかしながら、検出対象が既知であればテンプレートマッチングによる検知は可能であるが、ホームからの乗客等の転落という様々な対象を検知することは不可能である。また連続するフレーム間の差分からだけでは、自列車の移動の影響を除くことはできないし、対象の速度場を求めることはできない。従って、車載のITVカメラにより得られる画像から、テンプレートマッチングにより列車前方の支障物を検知する支障物検知装置は開発されていない。なお、車載ではないが、ホームの下の線路をテンプレート画像に登録し、類似度が下がったときには人が線路に降りていると判断する異常監視装置が、特開平9−282455号公報に開示されている。
【0004】
車両前方に取り付けたレーザレーダからレーザ光を発し、対象からの反射光によって距離を算出し支障物を検知しようという装置もあるが、駅ホームのように人が複雑な動きをする場合に、異常か否かを判定することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、直線路のみならずカーブでもホームから転落の可能性がある異常な動きの乗客を検出することができるオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、列車の運転席付近に搭載したITVカメラで列車進行方向を監視し、前記ITVカメラで撮影した時系列テレビ画像に正則化手法を用いた画像処理を施して画素毎にオプティカルフロー推定を行い、列車の進行方向前方に仮定されるFOEを中心にしてXY軸により分割された4領域の境界を決定し、更に、前記4領域の特定領域の列車進行方向に対して危険方向角度幅に入る角度のオプティカルフローの推定速度ベクトルを選別することによって、列車前方に明らかに危険と判定できる移動物体が存在することを検知するようにした。
【0007】
そして、前記画像処理においては、連続する画像フレーム間で起きる背景情報の移動量(ズレ)を勾配法によるオプティカルフローの瞬時速度場ベクトル情報に置換し、その方向データを利用して背景移動量を求め、連続する画像フレーム間の背景情報を一致させて背景移動補正を行い、背景移動補正後の連続する画像フレーム間で実在する移動物体の推定速度を求めるようにした。これによって、背景情報が常に画像フレーム毎に移動する場合の背景差分や時間差分の画像処理の困難性を克服した。
【0008】
更に、前記画像処理においては、連続2フレームの第1画像と第2画像の中の第1画像に対して一次微分処理を施し、演算対象の画素に対応する一次微分値を引用して正則化パラメータテーブルから最適の正則化パラメータを選定し、この選定した正則化パラメータを用いて連続2フレームの第1画像と第2画像を画像処理して勾配法オプティカルフローを求めるようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
走行中の列車の前方を車載のITVカメラにより撮影して得られた時系列2画像から抽出されるオプティカルフローは、図2に示す如く、画像上の1点FOE(focus of expansion)から放射状に広がる推定速度ベクトルとなる。FOEは、無限遠点又は消失点とも呼ばれるものである。なお、図2において、矢印付の6本の放射状の直線はオプティカルフローを示し、矢印なしの2本の太い直線はレールを示す。
【0010】
本発明において、転落の可能性のある乗客は次のように定義する。即ち、ホームから転落する可能性がある乗客は、進行方向に対し直角な方向に或る速度以上で進入する人物とする。進行方向に対し直角な方向でなく、走行列車へ向かって突進する状況も想定されるが、その場合も速度ベクトルの成分は、ホームから線路に向かう横断方向の成分が必ず存在する。直線でもカーブでも転落可能性のある乗客を安定して検知するためには、時系列画像で常にFOEを認識することが必要条件となる。
【0011】
図3は、発散速度場をFOEを中心として両面を4分割したものである。4分割した第1領域、第2領域、第3領域、第4領域毎に、推定速度ベクトルの方向は決まっている。即ち、例えば図3の4領域が直交するXY軸で分割され、第1領域と第4領域の境界のY軸を0°とし且つ時計方向に角度をとった場合、FOEを中心として発散するオプティカルフローは、第1領域では0°から90°の角度幅に、第2領域では90°から180°の角度幅に、第3領域では180°から270°の角度幅に、そして、第4領域では270°から360°の角度幅に全て入る。
【0012】
そこで、図3の画面中の第1領域及び第4領域に列車のプラットホームが写る線路画像では、2つの実線の矢印で挟まれた角度方向のオプティカルフローが危険であると判断する。即ち、第1領域において左上向きの角度θの矢印と左下向きの角度θの矢印で挟まれた速度場角度幅α即ち(θ θ)に入る角度θのオプティカルフローが存在するとき、又は第4領域において右上向きの角度θの矢印と右下向きの角度θの矢印で挟まれた速度場角度幅β即ち(θ θ)に入る角度θのオプティカルフローが存在するとき、列車進行方向に危険な移動物体、特に転落の可能性がある乗客が存在すると判断する。
【0013】
第1領域における速度場角度幅(θ θ)は、列車進行方向に対して危険方向角度幅、即ち列車進行方向に対して直角な方向を含む所定角度幅に入る角度幅である。第1領域における列車進行方向に直角方向は、線路位置を示す右側の点線に対して直角な方向であるから、やや左下向きの点線の矢印で示す如く、概ね260°である。そこで、所定角度幅を例えば60°とし且つ点線の矢印に対して等角度幅とすると、θは230°、θは290°となる。従って、230°から290°の角度を有するオプティカルフローが第1領域に存在することを検知した場合には、列車進行方向に危険な移動物体が存在すると判断するのである。
【0014】
第4領域における速度場角度幅(θ θ)は、列車進行方向に対して危険方向角度幅、即ち列車進行方向に対して直角な方向を含む所定角度幅に入る角度幅である。第4領域における列車進行方向に直角方向は、線路位置を示す左側の点線に対して直角な方向であるから、やや右下向きの点線の矢印で示す如く、概ね100°である。そこで、所定角度幅を例えば60°とし且つ点線の矢印に対して等角度幅とすると、θは70°、θは130°となる。従って、70°から130°の角度を有するオプティカルフローが第4領域に存在することを検知した場合には、列車進行方向に危険な移動物体が存在すると判断するのである。
【0015】
オプティカルフローは観測者が感じる画面上のある物体の見かけ速度分布を指す。オプティカルフローを推定する基本式は2つの仮定から導出される。その1つは、対象となる物理点の持つ濃淡値が運動に際して一定に保たれていることである。時刻tにおける画面上のある点(x,y)の濃淡値をP(x,y,t) とし、微小時間Δt後は物理点が点(x+Δx,y+Δy)まで移動し、その濃淡値をP(x+Δx,y+Δy,t+Δt)とすると、次の数式1が成立する。
【0016】
【数1】
Figure 0003888055
これをテイラー展開し、Δtを0に極限を取ると、数式2が得られる。
【0017】
【数2】
Figure 0003888055
但し、uとvは見かけ速度ベクトルであり、P、P、Pは夫々x、y、tに対する偏微分である。
【0018】
もう1つの仮定は、見かけ速度uとvは滑らかに変化することである。速度の滑らかさEは、数式3の通り、速度ベクトルのラプラシアンの和で評価する。
【0019】
【数3】
Figure 0003888055
【0020】
実際に計算するには、数式2のP、P、Pは有限差分で近似し誤差をもたらす。数式3も離散化する必要があり、実際には速度分布の滑らかさを数式4と数式5で評価する。但し、Eは対象となる物理点の持つ濃淡値が運動に際して一定に保たれるているとの仮定に基づくオプティカルフローの拘束条件を表す。
【0021】
【数4】
Figure 0003888055
【数5】
Figure 0003888055
【0022】
但し、数式5においてベクトル表示の見かけ速度uとvは、数式6と数式7に示す通り、近傍速度ベクトルの平均値である。
【数6】
Figure 0003888055
【数7】
Figure 0003888055
【0023】
滑らかさの重み係数である正則化パラメータαを導入して数式4と数式5を統合すると、次の数式8のような誤差Eの評価式が与えられる。
【数8】
Figure 0003888055
【0024】
誤差Eが最小値を取る条件で速度分布の計算式が得られる。結局、次の数式9と数式10を反復して収束すれば推定速度が得られる。但し、kは反復パラメータである。
【数9】
Figure 0003888055
【数10】
Figure 0003888055
【0025】
本発明は、列車の運転席付近に搭載したITVカメラで撮影した時系列テレビ画像に、上述の正則化手法を用いた画像処理を施して画素毎にオプティカルフロー推定を行い、更に、列車進行方向と直角方向又は直角方向から所定の角度範囲にある危険方向角度幅に存在するオプティカルフローの推定速度ベクトルを選別することによって、列車前方に明らかに危険と判定できる移動物体が存在することを検知するようにしたものである。
【0026】
即ち、本発明の一実施形態のオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置は、図1のブロック構成図で示す如く、監視対象場面を連続撮影する監視カメラ11、監視カメラ11が撮影したアナログ画像をデジタル画像に変換するA/D変換部12、A/D変換部12から入力された時系列画像を蓄積する時系列画像蓄積部13、時系列画像蓄積部13に蓄積された時系列2画像の中の第1画像を取り出して画素毎に一次微分を施す第1画像一次微分部14、第1画像一次微分部14の出力である第1画像の画素毎の一次微分値を引用して最適の正則化パラメータを与える正則化パラメータテーブル引用部15、演算処理部16、及び警報部17とから構成されている。
【0027】
演算処理部16は、時系列画像蓄積部13に蓄積された時系列2画像の中の第1画像並びに第2画像及び正則化パラメータテーブル引用部15からの正則化パラメータを入力として監視対象場面の画像のオプティカルフローを推定し、推定されたオプティカルフローに所定の演算処理を施して列車進行方向と直角方向のオプティカルフロー推定速度を選別し、列車前方に危険な移動物体が存在するか否かを判断する装置である。
【0028】
部品構成で表現すると、演算処理部16は例えば、各種演算と制御を行うCPU、プログラムが記憶されたROM、各種データを記憶するRAM、データ等の入力を行うキーボード、ディスプレイ、及びプリンタ等から構成されている。
【0029】
また機能構成で表現すると、演算処理部16は、オプティカルフロー推定速度を算出する画像処理手段と、前記画像処理手段で算出されたオプティカルフロー推定速度の中から列車進行方向と直角方向のオプティカルフロー推定速度を選別する推定速度選別手段と、前記推定速度選別手段により選別された列車進行方向と直角方向のオプティカルフロー推定速度に基づいて明らかに危険と判定できる移動物体の存在の有無を判断する判断手段とから構成されたものである。
【0030】
次に、図1に示した本発明の一実施形態のオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置の動作を、図6のフローチャートに従って説明する。
【0031】
図6において、監視カメラ11で撮影された画像はA/D変換部12でデジタル信号に変換され、時系列画像蓄積部13に入力される。時系列画像蓄積部13に第1画像と第2画像の時系列2画像が蓄積される(101)。
【0032】
ステップ101に続いて、第1画像一次微分部14は、前記第1画像に対して一次微分の処理を施す(102)。一次微分は、前記第1画像の全ての画素に対して画素毎に行われる。
【0033】
ステップ102に続いて、正則化パラメータテーブル部15は、正則化パラメータテーブルを参照し、前記第1画像の画素毎の一次微分値に対して最適の正則化パラメータαを選定する(103)。
【0034】
ステップ103に続いて、演算処理部16は、全ての画素に対して画素毎にオプティカルフロー推定演算を行う(104)。オプティカルフロー推定演算は、画素毎に上記数式8〜数式10を用いて行われる。演算に用いられるデータは、時系列画像蓄積部13に蓄積されている第1画像並びに第2画像の画像データ、及び正則化パラメータテーブル部15の正則化パラメータαである。なお、正則化パラメータに関しては、図6のフローチャートの説明を終了した後に、改めて詳述する。
【0035】
ステップ104に続いて、演算処理部16は、推定速度ベクトルの角度系列テーブルを生成する(105)。前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルは、図5に示す如く、オプティカルフローの推定速度ベクトルの角度θを左欄に記載し、この角度を有するオプティカルフローの位置を座標Xと座標Yで表示したものである。オプティカルフローの位置は、言換えれば当該オプティカルフローを発生させた画素のXY画面上の位置である。
【0036】
図5は、第1領域と第2領域の境界が92°、第2領域と第3領域の境界が185°、第3領域と第4領域の境界が270°となっている。これは、FOEの位置が列車の進行に従って常に変動するためである。このような境界角度で区分された図5の4領域において、FOEを中心として発散するオプティカルフローは、第1領域では0°から92°の角度幅に、第2領域では92°から185°の角度幅に、第3領域では185°から270°の角度幅に、そして、第4領域では270°から360°の角度幅に全て入る。
【0037】
しかしながら、例えば第1領域の角度幅に入るべきオプティカルフローが250°の角度を有する場合、このオプティカルフローは、図5において第3領域に配列されることになる。同様に、例えば第4領域の角度幅に入るべきオプティカルフローが80°の角度を有する場合、このオプティカルフローは、図5において第1領域に配列されることになる。
【0038】
ステップ105に続いて、演算処理部16は、FOEを中心とする4領域の境界、即ち第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の境界を決定する処理を行う(106)。
【0039】
FOEは、次のようにして決定する。演算処理部16は、推定速度ベクトルの方向分布状況を判断してFOE付近を幾何学的に決定する。そして、演算処理部16は、抽出推定速度ベクトルの信頼度解析処理で統計的判断後、各推定速度ベクトルの始点方向に仮想延長線が交わる点をFOEとする。複数の仮想延長線の交わりは1点でなく特定の分布が想定されるが、最小2乗法でFOEを決定する。
【0040】
FOEを決定すると、第1領域と第4領域の境界が定まる。第1領域と第4領域の境界角度は監視カメラの画角と軌道(レール)の水平度で決定する。列車搭載の監視カメラが十分遠方を撮影するならば、水平度を考慮しないで領域境界が決定される。
【0041】
ステップ106に続いて、演算処理部16は、列車進行方向の風景で生じるオプティカルフローを前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルから削除する(107)。列車進行方向の風景で生じるオプティカルフローは、FOEを中心にした放射状のものであり、これらは前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルにおいて角度で特定できるものである。演算処理部16は前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルを検索し、列車進行方向の風景で生じるオプティカルフローを特定し、これを削除する。
【0042】
ステップ107に続いて、演算処理部16は、列車進行方向に存在する移動物体で生じるオプティカルフローのテーブルを生成する(108)。ステップ107が終了した時点で、前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルに残されたオプティカルフローは、列車進行方向の風景で生じるオプティカルフローを含まないものである。従って、ステップ108では、演算処理部16は、前記推定速度ベクトルの角度系列テーブルを第1領域と第4領域について編集することによって、列車進行方向に存在する移動物体で生じるオプティカルフローのテーブルを生成することになる。
【0043】
ステップ108に続いて、演算処理部16は、危険方向角度幅に存在する推定速度ベクトルが存在するか否かを判断する(109)。即ち、演算処理部16は、ステップ108で生成された列車進行方向に存在する移動物体で生じるオプティカルフローのテーブルを検索し、第1領域空間に存在する推定速度ベクトルであって、θ1〜θ2の範囲内の角度を有し且つスカラ値が設定値以上である危険な推定速度ベクトルを抽出する。続いて、演算処理部16は、前記テーブルを検索し、第4領域空間に存在する推定速度ベクトルであって、θ3〜θ4の範囲内の角度を有し且つスカラ値が設定値以上である危険な推定速度ベクトルを抽出する。
【0044】
ステップ109で危険な推定速度ベクトルが抽出された場合は、演算処理部16はその旨を表す信号を警報部17に与え、警報処理を行わせる(110)。また、ステップ109で危険な推定速度ベクトルが抽出されなかった場合は、ステップ101に戻る。
【0045】
次に、図6のステップ103で行われた正則化パラメータの最適値の選定について、以下に詳述する。
【0046】
オプティカルフロー推定において演算画素の周辺の状態、即ち輝度分布や空間周波数の状態から適切な正則化パラメータαの選定が要求されることは、例えば特開平9−297851号公報に開示され、公知の事実である。オプティカルフロー推定において、正則化パラメータαの選択によっては推定速度場の抽出感度を制御することが可能であり、また、外乱制御を目的としたローパスフィルタとしての機能を持たせたと考えることもできる。
【0047】
本発明に係る列車前方異常検出装置は、事前に方向識別できる異常速度を検出するものである。列車から進行方向前方に仮定されるFOEに至る線路上の法線方向に進む危険者の挙動速度のみを検出するものである。
【0048】
このように推定速度の方向性が限定されるため、オプティカルフロー推定の前処理として、時系列第1画像で演算対象画素のエッジ強度及びエッジ方向を一次微分で把握し、エッジ方向が線路方向と平行するか若しくは平行を中心とする一定角度範囲に含まれるなら、演算対象画素に対応する配列化した正則化パラメータ引用テーブルに大きな値をセットする。また、エッジ方向によっては、極端に大きな値を前記正則化パラメータ引用テーブルにセットする。要するに、オプティカルフロー推定計算において移動物体が危険とみなす移動方向と濃度勾配が一致する画素では、正則化パラメータαは最適値とし、他の角度では大きな値を与えるのである。
【0049】
列車進行にともない背景においてもオプティカルフローが選られるので、対象物の移動ベクトルを推定するためには、この列車進行方向で発生するオプティカルフローの影響を排除する必要がある。更に、混雑するホーム上では、大勢の人物が自由な方向に移動しているため、画面全体で現われる推定速度ベクトルは一層複雑なものとなる。
【0050】
正則化パラメータの最適値の選定というステップ103は、このような現場の状況を考慮して、オプティカルフロー推定計算過程で検出目的の危険な方向成分だけ感度を上げるようにしたのである。当然ながらオプティカルフロー推定後に抽出した推定ベクトルに対して角度フィルタ機能で不要方向のベクトルは除外する。
【0051】
一次微分は、3×3画素の輝度値を基に、その中心点の勾配を求めるための演算処理である。この一時微分処理はグラジエント処理とも呼ばれ、この処理によってエッジの方向を認識する。画像中の画素位置(座標)が分かると、それに対応する線路方向に直角な方向のベクトルは容易に計算できるので、最も適した正則化パラメータ値αを決定できる。
【0052】
ステップ103の処理は、連続する画像フレーム間で起きる背景情報の移動量(ズレ)を勾配法によるオプティカルフローの瞬時速度場ベクトル情報に置換し、その方向データを利用して背景移動量を求め、連続する画像フレーム間の背景情報を一致させて背景移動補正を行い、背景移動補正後の連続する画像フレーム間で実在する移動物体の推定速度を求める処理でもある。これによって、背景情報が常に画像フレーム毎に移動する場合の背景差分や時間差分の画像処理の困難性を克服した。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係るオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置により、直線路のみならずカーブでもホームから転落の可能性がある異常な動きの乗客を車上から検出することができるようになった。従って、従来の地上設置の列車前方異常検出装置でホームから転落の可能性がある異常な動きの乗客を検出した場合よりも、迅速な対応を車上でとれるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の列車前方異常検出装置のブロック構成図である。
【図2】画像上の1点FOEから放射状に発散するオプティカルフローを示した図である。
【図3】発散速度場を分割した4つの領域、即ち第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を示した図である。
【図4】正則化テーブルを示した図である。
【図5】オプティカルフローの角度系列テーブルを示した図である。
【図6】本発明の一実施形態の列車前方異常検出装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
11 監視カメラ
12 A/D変換部
13 時系列画像蓄積部
14 第1画像一次微分部
15 正則化パラメータテーブル引用部
16 演算処理部
17 警報部

Claims (3)

  1. 列車の運転席付近に搭載し列車進行方向を監視するITVカメラと、前記ITVカメラで撮影した時系列画像から抽出したオプティカルフロー推定速度を算出する画像処理手段と、列車の進行方向前方に仮定されるFOEを中心にしてXY軸により分割された4領域の境界を決定する手段と、前記画像処理手段で算出されたオプティカルフロー推定速度の中から前記4領域の特定領域の列車進行方向と直角な方向又は直角な方向を含む所定角度幅のオプティカルフロー推定速度を選別する推定速度選別手段と、前記推定速度選別手段により選別された列車進行方向に対して危険方向角度幅に入る角度のオプティカルフロー推定速度に基づいて明らかに危険と判定できる移動物体の存在の有無を判断する判断手段とから構成されたオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置。
  2. 前記画像処理手段は、連続フレーム間で起きる背景情報の移動量を勾配法によるオプティカルフローの瞬時速度場ベクトル情報に置換し、その方向データを利用して背景移動量を求める手段と、連続フレーム間の背景情報を一致させて背景移動補正を行い、背景移動補正後の連続フレーム間で実在する移動物体の推定速度を求める手段とからなるものであることを特徴とする請求項1のオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置。
  3. 前記画像処理手段は、連続2フレームの第1画像に対して一次微分処理を施す演算処理手段と、演算対象の画素に対応する一次微分値を引用して正則化パラメータテーブルから最適の正則化パラメータを選定する正則化パラメータ選定手段と、前記最適の正則化パラメータを用いて連続2フレームの第1画像と第2画像とを画像処理して勾配法オプティカルフローを求めるオプティカルフロー算出手段とからなるものであることを特徴とする請求項1のオプティカルフローを利用した列車前方異常検出装置。
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