〔第1実施形態〕
図1に示すように、本発明の第1実施形態としての監視装置100は、列車TRに組み込まれた車上装置200の一部である。
監視装置100は、各部の動作を統括に制御する車両制御装置31と、列車TRの現在速度を検出する車速検出部34と、線路RL側に設けた地上子との間で通信を行って線路RL上の列車TRの位置を検出する車上子35と、不図示の列車運行管理システム又は指令所との間で通信を可能にする通信部37と、列車TRの前方の物体を検出する計測を行う第1光計測部41と、列車TRの前方及びその周辺の物体を検出する計測を行う比較的広域用の第2光計測部42とを備える。車上装置200は、監視装置100を構成する上記要素31,34,35,37,41,42のほかに、列車TRを加速するためのモーター等からなる駆動装置32と、列車TRを減速するためのブレーキ装置33と、乗客等に向けて各種情報を伝達するための報知手段であるスピーカーや表示部といった車内出力部36とを備える。
車両制御装置31は、運転手等の指示に基づいて列車TRの各部を動作させ、列車TRの適切な速度での走行や適切なタイミングでの停止を可能にするとともに、緊急時の自動列車停止機能を有する。車両制御装置31は、車速検出部34を利用した積算距離と車上子35を利用した較正とによって、列車TRの現在の走行位置及び走行速度を把握している。
列車TRの現在の走行位置については、上記のように車速検出部34を利用するものに限らず、レーダその他の測距装置を用いた計測に際してドップラー効果を監視することによる速度値、GPS信号のドップラー効果を利用した速度値等に基づくものとしてもよい。その他、RFIDを利用した位置検出、みちびきその他の衛星測位による位置検出も可能である。また、車速検出部34は、タコジェネレータのように車軸等に付随するものに限らず、上記GPS信号のドップラー効果を利用した計測、みちびきその他の衛星測位による位置検出による速度計測等、様々な動作原理の各種速度センサーを用いて構成することができる。
車両制御装置31は、第1光計測部41と連携して動作し第1判定部(存在判定部)を構成する。つまり、車両制御装置31は、第1光計測部41を利用して、進路である軌道又は線路RLに沿った走行位置及び走行速度に応じて随時設定する所定の第1判定枠内に存在する物体を検出する。さらに、車両制御装置31は、第2光計測部42と連携して動作し第2判定部(配置判定部)を構成する。つまり、車両制御装置31は、第2光計測部42を利用して、進路である線路RL及びその周辺についての2次元又は3次元形状の測定結果から軌道像及びその消失点を抽出し、軌道像及び走行速度に応じて随時設定する所定の第2判定枠内に軌道像の遮蔽体が存在するか否かを判断する。
図2に示すように、車両制御装置31は、演算処理部101と、記憶部102と、入出力部103と、インターフェース部104とを備える。車両制御装置31は、具体的には、走行制御用のプログラムを搭載したコンピューターを含み、走行制御用のプログラムには、一般的制御プログラムのほかに障害物等監視用のプログラムが付加されている。車両制御装置31は、列車TRの走行状態の制御を基本的な役割又は動作とするものであるが、以下では、車両制御装置31を、主に障害物等の監視機能の側面から説明する。
演算処理部101は、記憶部102に保管されたプログラムやデータに基づいて動作し、入出力部103やインターフェース部104から得た情報に基づいて処理を行い、処理の経過や結果を記憶部102に保管するとともに入出力部103に提示する。また、演算処理部101は、第1判定部として、プログラム等に基づいてインターフェース部104を介して図1の第1光計測部41等を動作させ、図3(A)に示すように線路RLに沿って延び前方で車両限界に対応するサイズを有する第1判定枠AR1内に存在する進路前方の障害物を監視する。また、図2に示す演算処理部101は、第2判定部として、プログラム等に基づいてインターフェース部104を介して図1の第2光計測部42等を動作させ、図3(A)に示すように線路RLに沿って第1判定枠AR1よりも遠く広い範囲をカバーする第2判定枠AR2内に存在する線路RLの遮蔽体その他である進路前方の障害物を監視する。
判定枠AR1,AR2を用いた監視の対象となる障害物は、列車TRの進行又は走行を妨げるおそれがある物体であり、線路RLに沿った車両限界内に存在するものには限られない。障害物としては、典型的には、人、車、落石、動物等を挙げることができ、ある程度以上の大きさを有する物体が対象となる。演算処理部101は、第1光計測部41により取得した計測データに基づく第1判定枠AR1内における物体の有無の検知結果や、第2光計測部42により取得した計測データに基づく第2判定枠AR2内における遮蔽体その他の障害物の検知結果から、列車TRの進行方向前方に障害物があると判断すると、図1に示すブレーキ装置33を動作させて車両を減速させたり停止させたりするとともに、車内出力部36により、乗客に対して急ブレーキによる停止を行う旨の報知等を行う。つまり、演算処理部101を第1及び第2判定部として並列的に動作させることで、相互に補間しつつ判定の信頼性を高めることができる。
図1を参照して、第1光計測部41は、進路前方にレーザを照射して反射光を計測する装置であり、電子スキャン型のLIDAR(Light Detection and Ranging)装置を備える。具体的には、第1光計測部41は、赤外又は可視域の光線を離散的に任意の方向に向ける走査系と、走査方向からの反射光を検出するセンサーとを備え、前景について距離画像を計測する。第1光計測部41による計測結果は、走査の分解能によって画像というには若干粗いものとなる場合もあるが、このような分解能の低いもの(画素が少ないもの)も本願明細書において距離画像と呼ぶ。
図4(A)は、図1に示す第1光計測部41に組み込まれる3次元LIDAR装置41aの具体例を示す。3次元LIDAR装置41aは、前景に対してレーザの光線を照射しつつ走査する照明装置144と、前景からの戻り光を検出する光検出装置147とを備える。照明装置144の光源装置144aから射出されレンズ145及び走査デバイス144bを経た照明光BPが走査光として前景の対象物に入射し、対象物からの反射光BRがハーフミラー49で折り曲げられて光検出装置147に届くまでの光の飛行時間(時間差)を走査方向ごとに検出することで、前景の各対象物までの距離を測定することができる。ここで、走査デバイス144bは、例えば液晶偏光回折素子である。液晶偏光回折素子は、2つの屈折率を持つフィルムと光の偏光状態を変える液晶素子とを多層積層したものであり、これを通過する光線の方向を離散的に任意の方向に変化させることができる。走査デバイス144bは、液晶偏光回折素子に代えてオプティカルフェーズドアレイ(OPA: Optical Phased Array)を用いたものであってもよい。オプティカルフェーズドアレイは、分岐によって複数のチャンネルを通過する光の位相をそれぞれ制御することにより、出力光ビームの方向を任意の方向に変化させることができる。
図4(A)に示す3次元LIDAR装置41aは、図4(B)に示すような矩形の検出領域DA1内で検出又は計測を行うことができ、この検出領域DA1内で、2次元配列された多数の計測点(画素)PXに関して対象までの距離を決定することができる。ここで、図4(B)に示す検出領域DA1は、図3(A)に示す第1光計測部41の画角FA1に相当するものである。第1光計測部41の画角FA1は、第2光計測部42の画角FA2の範囲内に収まるように設定されている。
図4(A)に示す走査デバイス144bは、図1に示す車両制御装置31からの指令に基づいて動作し、走査範囲及び走査配置を画素単位で変更することができる。具体的には、図4(C)や4(D)に示すように、検出領域DA1内で任意の配置及びサイズの計測領域SA11,SA12を設定することができ、その外側OAで検出動作を休止させることができる。検出動作が行われる計測領域SA11,SA12について、走査範囲SR1,SR2とは、計測領域SA11,SA12の面積や形状を意味し、計測領域SA11,SA12について、走査配置CT1,CT2とは、計測領域SA11,SA12の中心又は重心を意味する。図4(B)に示す検出領域DA1は、図4(A)に示す走査デバイス144bによる基本走査領域又は最大計測領域SA1に相当するものとなっている。図4(C)及び4(D)に示すように、検出領域DA1について、本来の最大計測領域SA1を局所的な計測領域SA11,SA12に狭めることで、図4(A)に示す走査デバイス144b又は3次元計測装置41aによる信号処理速度又は計測速度を速めて距離画像の撮像時間を短縮し、距離画像の撮影頻度を高めることができる。
図3(A)に戻って、第1光計測部41は、列車TRの走行に伴って高速で距離画像の計測を行うので、列車TRの前方の変化する前景について略リアルタイムで距離画像を出力することができる。第1光計測部41による物体検出に際して列車TRの前方進路に第1判定枠AR1を設定すれば、この第1判定枠AR1内に存在する物体又は障害物を抽出することができる。
図1を参照して、第2光計測部42は、画角内の対象表面までの距離を計測する装置であり、例えば視差を利用して距離情報を得るステレオカメラである。図2に示す演算処理部101は、図1に示す第2計測部42によって得た2次元画像に基づいて所定サイズ以上のエッジ又はオブジェクトを抽出することができる。さらに、演算処理部101は、第2計測部42によって得た一対の2次元画像の視差情報から、上記のように予め抽出したエッジ又はオブジェクトまでの距離を算出することができる。なお、第2計測部42によって取得される2次元画像は、例えばグレースケールの輝度画像である。第2計測部42は、列車TRの走行に伴って高速で撮影及び視差計算を行うので、列車TRの前方の変化する前景についてリアルタイムで2次元画像及び距離情報を計測することができる。第2光計測部42による物体検出に際して列車TRの前方進路に第2判定枠AR2を設定すれば、この第2判定枠AR2内に存在する遮蔽体その他の障害物を抽出することができる。
図3(A)及び3(B)を参照して、第1光計測部41に関する第1判定枠AR1と、第2光計測部42に関する第2判定枠AR2とについて説明する。
第1光計測部41を用いた監視における個々の第1判定枠AR1は、予め軌道に沿って設定され、軌道としての線路RL又は軌道中心RCに沿って延びる四角錐状の領域である。第1判定枠AR1は、車両限界程度の範囲に設定されて、列車TRの横幅程度の既定幅を有するとともに、列車TRの高さ程度の既定高さを有する。第1判定枠AR1の奥行き距離D1は、移動速度又は制動距離との関係で設定されるが、例えば30m以上に設定することができる。第1判定枠AR1による判定は、中距離又は遠距離寄り中距離を対象とするものである。なお、第1判定枠AR1は、列車TRの移動に伴って移動し、列車TRの移動に伴う一連の第1判定枠AR1の集合である全体の第1判定枠群TA1は、四角柱状の領域となる。
一方、第2光計測部42を用いた監視における第2判定枠AR2は、進路に沿って設定され、3次元的に捉えた場合、軌道としての線路RL又は軌道中心RCに沿って延びる四角柱状の領域であり、建築限界以上の範囲に設定されて、第1判定枠AR1を含んで広い範囲をカバーするものとなっている。つまり、第2判定枠AR2は、第1判定枠AR1やこれに連なる第1判定枠群TA1を含んで方位的により広い領域に設定され、かつ、第1判定枠AR1を含んでより遠い領域に設定されている。第2判定枠AR2の横幅は、線路RLの横に数m程度から数10m以上に広がったものとすることができ、第2判定枠AR2の奥行き距離D2は、移動速度又は制動距離との関係で設定されるが、例えば100m以上に設定することができる。第2判定枠AR2による識別は、近距離~長距離の広範囲を対象とするものである。
第1判定枠AR1は、その前方端FE1が軌道としての線路RL上方をカバーするように軌道中心RCを基準として設定されるものであり、列車TRが線路RL上のどの地点に存在するかによって時々刻々と変化する。第1判定枠AR1は、線路RL上の走行位置の関数として与えられ、列車TR又は計測車を事前に走行させることで具体的に決定され、距離又は走行位置毎の第1判定枠データベースとして、図2に示す記憶部102等に保管される。実際の計測において、演算処理部101は、列車TRの線路RL上の走行位置及び速度に基づいて記憶部102に保管された第1判定枠データベースから対応する第1判定枠AR1を読み出すことにより、走行位置等に対応する第1判定枠AR1を設定し、第1判定枠AR1をカバーするように第1光計測部41を利用して計測を行い、第1判定枠AR1内に障害物その他の所定サイズ以上の物体が存在するか否かを判断する。
第1判定枠AR1の範囲又は位置は、線路RLの軌道中心RC上の適所を基準として、例えば1mといった線路RLに沿った間隔又は刻みで設定することができる。線路RLがカーブで曲がっている場合、曲がった線路RLに沿って第1判定枠AR1が設定され、全体として弧を描くような第1判定枠群TA1となる。なお、列車TRが大きく曲がる曲線区間では、本来第1判定枠AR1とすべき箇所が物陰に隠れる可能性があり、この場合、第1判定枠AR1の設定を行わず第1光計測部41を用いた監視も一時的に中断させることができる。第1判定枠AR1が部分的に物陰に隠れる場合、第1判定枠AR1を部分的に有効にすることもできる。
図5に示すように、第1判定枠AR1については、補助的な第1判定枠AR11,AR12を追加することもできる。補助的な第1判定枠AR11,AR12は、基本的な第1判定枠AR1に対して奥行き距離D1(図3(A)参照)が異なるように設定されている。このように、距離が異なる複数の第1判定枠AR1,AR11,AR12を用いることで、各位置での障害物の有無の判定が可能になり、衝突危険性判断の確度を高めることができる。補助的な第1判定枠AR11,AR12の追加数については、図示のように2つに限らず、3つ以上とすることができる。補助的な第1判定枠を増やすことにより、検出範囲を広げることができるだけでなく、線路RLがカーブで曲がっている場合に対処しやすくなる。
図3(B)に戻って、第2判定枠AR2は、軌道としての線路RL及びその周辺をカバーするように軌道中心RCを基準として設定されるものであり、列車TRが線路RL上のどの地点に存在するかによって時々刻々と変化する。第2判定枠AR2は、列車TRの走行に伴って、図2に示す演算処理部101によってリアルタイムで設定される。つまり、演算処理部101は、第2光計測部42を利用して計測を行うことで前景画像及び距離情報を取得し、前景画像等から第2判定枠AR2を選択し、この第2判定枠AR2内において、線路RLの消失点VPを監視するとともに、線路RLを遮る遮蔽体のような障害物であって、所定サイズ以上の物体が出現したか否かを判断する。第2判定枠AR2の範囲及び位置は、線路RLの軌道中心RCやその位置での軌道間隔に相当する画素幅等を基準として設定され、前方の線路RLがカーブで曲がっている場合、曲がった状態に合わせて前方の線路RL全体を可能な限り包含するように設定される。第2判定枠AR2は、原則として線路RL及びその周囲を含むものとなっており、近距離領域、中距離領域、及び遠距離領域において、建築限界の外側に適宜のマージンを確保して広がったものとなっている。
第2判定枠AR2は、2次元画像の処理において利用される場合、線路RLの各点に対して規定される建築限界又はその周囲に適宜広がる領域である個々の近傍外縁要素を包括した2次元的な外縁に相当するものとなる。例えば前方の線路RLが直線的に延びる場合、最も手前に存在する近傍外縁要素又は検出範囲に対応する最前領域FFが2次元画像の処理における第2判定枠AR2となる。図示を省略するが、前方の線路RLが右又は左に大きく曲がっている場合、2次元画像の処理における第2判定枠AR2は、最も手前に存在する近傍外縁要素又は検出範囲に対応する最前領域FFから曲がった先の線路RLを包含するようにはみ出した領域を有するものとなる場合もある。
第2判定枠AR2の設定方法について説明する。図2に示す演算処理部101が、図1の第2光計測部42により取得した計測データである2次元画像を用い、例えば所定サイズ以上のエッジを2次元画像から抽出するとともに、マッチング等の技術を利用して線路RLを構成するレールRLa,RLbの画像を抽出する。レールRLa,RLbの画像を抽出できた場合、線路RLの消失点VPの位置を決定することができる。ここで、線路RLの消失点VPとは、原則として、レールRLa,RLbの間隔(軌道間隔)が2次元画像の上側で所定画素以下となる点を意味し、線路RLが水平方向に直線的に延びる場合、レールRLa,RLbが収束する無限遠点に相当し、線路RLが特定方向に大きく曲がって延びる場合、2次元画像の画面外となるか、線路RLが前景物体に遮られた点となる。
消失点VPが2次元画像の上側で軌道間隔が所定画素以下となる場合、消失点VPは、所定以上遠方にあるものとなる。消失点VPが所定以上遠方にない場合、レールRLa,RLbが近い場所で現実に又は画像上で途切れていることになり、線路RLが終端していたり線路RLの計測に異常が発生したりしている可能性がある。
2次元画像から消失点VPを得た場合、第2判定枠AR2の奥行き距離D1の設定が例えば無限大であるとき、図2に示す演算処理部101は、2次元画像において、線路RLに沿って最も近接した位置から消失点VPにかけて、レールRLa,RLbに沿って車両限界等に準じた枠領域である近傍外縁要素を適宜の距離間隔又は画素間隔で順次設定し、上記近傍外縁要素を連ねた全体として枠内を第2判定枠AR2とする。
図6(A)~6(F)は、第1判定枠AR1及び検出領域DA1の具体例を説明する概念図である。第1判定枠AR1は、線路RLの位置その他の情報の関数として与えられるものであり、具体的には、図2に示す記憶部102に保管された第1判定枠データベースから、列車TRの先頭に関する現在の走行位置及び走行速度に対応する1つ以上の第1判定枠AR1を読み出すことで、第1光計測部41又は3次元計測装置41aの画角FA1を基準とする座標として、前景FS上に設定される。第1判定枠AR1の範囲及び位置は、車両である列車TRの走行速度(移動速度)と線路形状(進路形状)とを反映したものとなっている。前景FSは、第2光計測部42を利用して得た前景画像に相当するものであり、第2光計測部42の画角FA2内で取得された画像に対応する。第1光計測部41を利用して得た距離画像と、第2光計測部42を利用して得た前景画像とは、同一物体に対する方位が一致するように予め関連づけられており、相互に座標変換可能になっている。
図6(A)及び図6(B)に示す例では、列車TRの走行速度が比較的小さく、第1判定枠AR1として、前景FSに対して比較的大きなものが設定されている。これに対応して、図4(A)に示す3次元計測装置41aによる検出領域DA1は、全体が第1走査領域として活用され、最大計測領域SA1で距離画像の計測が行われ、第1判定枠AR1も設定されている。
図6(C)及び図6(D)に示す例では、列車TRの走行速度が中程度に大きく、第1判定枠AR1として、前景FS又は画角に対して制限された比較的小さなものが設定されている。第1判定枠AR1は、列車TRの現在の走行速度や走行位置に応じて決定されている。これに対応して、図4(A)等に示す3次元計測装置41aによる検出領域DA1において、一部に制限された局所的な計測領域SA13,SA14が第1走査領域として計測に活用され、この計測領域SA13,SA14で距離画像の計測が行われ、第1判定枠AR1も設定されている。この計測領域SA13,SA14は、車両である列車TRの走行速度(移動速度)と線路形状(進路形状)とを反映したものとなっている。列車TRの先頭から第1判定枠AR1の想定位置までの距離は、制動距離と空走距離との和である停止距離に対して所定の係数α(例えばα=0.5)を掛けたものとなっている。3次元計測装置41aに設定する計測領域(例えば計測領域SA13)は、第1判定枠AR1をカバーするような走査範囲及び走査配置に設定される。この際、3次元計測装置41aに設定する計測領域が第1判定枠AR1よりも過度に大きくならないようにすることで、計測時間のうち走査に要する時間要素を効率的に短縮でき、第1判定枠AR1内に存在する障害物の有無判定について更新時間を短くでき、障害物の監視に関する応答性を高めることができる。具体的な手法としては、第1判定枠AR1よりも広くなる第2判定枠AR2を利用して、第2判定枠AR2をカバーするような走査範囲及び走査配置を設定する。ここで、第1判定枠AR1及び第2判定枠AR2が消失点VPを含む場合(図6(C)参照)、計測領域SA13は、第1判定枠AR1を所定のマージンを確保しつつ囲むようなものとされる。第1判定枠AR1の外側又は第2判定枠AR2の外側に消失点VPがある場合(図6(D)参照)、計測領域SA14は、判定枠AR1,AR2と消失点VPとを所定のマージンを確保しつつ囲むようなものとされる。
図6(E)及び6(F)に示す例では、列車TRの走行速度がさらに大きく、第1判定枠AR1として、最も小さなものが設定されている。このため、一部に制限された局所的な計測領域SA15,SA16が第1走査領域として計測に活用され、この計測領域SA15,SA16で距離画像の計測が行われている。ここで、第1判定枠AR1は、列車TRの現在の走行速度や走行位置に応じて決定されている。第1判定枠AR1をカバーする計測領域SA15,SA16は、第1判定枠AR1と同様に、車両である列車TRの走行速度と線路形状とを反映したものとなっている。第1判定枠AR1及び第2判定枠AR2が消失点VPを含む場合(図6(E)参照)、計測領域SA15は、第1判定枠AR1を所定のマージンを確保しつつ囲むようなものとされる。第1判定枠AR1の外側又は第2判定枠AR2の外側に消失点VPがある場合(図6(F)参照)、計測領域SA16は、判定枠AR1,AR2と消失点VPとを所定のマージンを確保しつつ囲むようなものとされる。
第1判定枠AR1は、列車TRの移動に伴って時々刻々と変化する。つまり、図4(A)等に示す3次元計測装置41aの検出領域DA1における計測領域も、列車TRの走行速度(移動速度)と線路形状(進路形状)とを反映して変化する。3次元計測装置41aに設定する計測領域は、列車TRの走行速度が下限の閾値以下の場合は、検出領域DA1の最大計測領域SA1とすることができ、列車TRの走行速度が下限の閾値を超えた場合に、列車TRの走行速度に応じて走査範囲が減少するようなものとする。つまり、列車TRの移動速度が所定以上となった場合に第1光計測部41の走査範囲が狭まり、かつ、列車TRの走行速度の増加に伴って、例えば後述する第2判定枠AR2のサイズに比例するように計測領域SA13の面積(走査範囲)が段階的に減少し、第2判定枠AR2の位置に合わせて計測領域SA13の位置が移動する(具材的には、図6(C)~6(F)に示す計測領域SA13~SA16)。結果的に、図3(A)に示す第1光計測部41の走査範囲及び走査配置は、列車(車両)TRの移動速度と進路形状とに応じて設定される。計測領域SA13~SA16のうち第1判定枠AR1よりも外側のマージンは、計測精度等を考慮して一定以上確保する必要があるが、これが狭くなるほど計測領域SA13~SA16の面積を減らすことになり、第1判定枠AR1内に存在する障害物の有無判定についての計測時間を短くすることができる。計測領域SA13の外形は、正確な矩形に限らず、第2判定枠AR2の輪郭に合わせたようなものとすることができる。
図7(A)及び7(B)は、第2判定枠AR2等の設定に際して行われる線路RLの消失点の具体的な検出方法を説明する概念図である。図7(A)では、直線的に延びる線路RLを構成する一対の直線状のレールRLa,RLbが軌道像として示されている。図7(B)では、一対のレール(軌道像)RLa,RLbの映像が抽出されて点線で示す一対の近似線ALのフィッティングが行われ、一対の近似線ALの先端に消失点VPが決定されている。図7(C)及び7(D)は、カーブに差し掛かった場合の消失点の検出方法を説明する概念図である。図7(C)では、直線的に延びる線路RLを構成する一対のレールRLa,RLbが軌道像として示されており、図7(D)では、一対の曲線状のレールRLa,RLbの映像が抽出されて一対の近似線(点線)ALのフィッティングが行われ、一対の近似線ALの先端に消失点VPが決定されている。なお、近似線ALを延長することによって映像上一旦途切れたレールRLa,RLbを連続的なものとして処理することもできる。
実際の鉄道での第2判定枠AR2の設定に際しては、図3(A)に示す第2光計測部42によって得た2次元画像内に複数の線路が写り込んでいる場合がある。このような場合であっても自己の列車TRが走行する線路RLのレールRLa,RLbを適切に絞り込んで抽出できるように、図2に示す演算処理部101は、近距離側に線路判定枠AR3を設けて線路判定枠AR3から始まる一対のレールRLa,RLbのみを選択する。これにより、自己の列車TRが走行する線路RLに対応する適正な1つの消失点VPを決定することができ、障害物の有無に関する判定精度を高めることができる。なお、複数の線路が写り込んでいる結果として複数の消失点が検出されても、制動関連情報が増えるだけであり、運転上の支障が生じないような運用が可能である。
図7(E)及び7(F)は、第2判定枠AR2の設定方法を説明する概念図である。図7(E)に示す直進の場合と、図7(F)に示すカーブの場合とにおいて、2次元画像から抽出された軌道像に基づいて線路RLに沿って設定される多数の近傍外縁要素CEを示している。近傍外縁要素CEの集合の外縁の範囲内が第2判定枠AR2となる。図示を省略するが、第2判定枠AR2は、列車TRの走行速度が比較的小さい場合、前景FSに対して比較的大きなものとして設定され、列車TRの走行速度が比較的小さい場合、前景FSに対して比較的小さなものとして設定される。列車TRから第2判定枠AR2までの距離は、制動距離と空走距離との和である停止距離に対して所定範囲の係数βを掛けたものとすることができる。例えばβ=0.4~∞とした場合、第2判定枠AR2を構成する最前領域FFまでの距離は、停止距離×0.4となり、第2判定枠AR2を構成する最後矩形領域までの距離は、無限大となる。
図8(A)及び8(B)を参照して、線路RLを遮る遮蔽体について説明する。図8(A)に示す例では、線路RLの消失点VPよりも手前に電柱状の遮蔽体CO1が存在する。なお、図示を省略しているが、前景FSについては、2次元的な第2判定枠AR2が設定されている。図3(A)に示す第2光計測部42から遮蔽体CO1の線路RLを横切る部分CO1a迄の距離L11と、第2光計測部42から部分CO1aによって途切れた線路RLの遮断端である軌道位置CP1迄の距離L12とは、図3(A)に示す第2光計測部42によって得た2次元画像の視差から判定することができる。図2に示す演算処理部101は、第2判定部として、部分CO1a迄の距離L11と部分CO1aが遮っている軌道位置CP1迄の距離L12との差である距離差Δが所定の上限値(例えば列車TRの横幅)を超えて大きくなっているときは、遮蔽体CO1が前景の物体であり3次元的な第2判定枠AR2の外側にある見かけ上のものと判断し、線路RL上を進行する列車TRにとっての障害物ではないと判断する。
図8(B)に示す例では、線路RLの消失点VPよりも手前に別の遮蔽体CO2が存在する。図3(A)に示す第2光計測部42から遮蔽体CO2迄の距離L21と、第2光計測部42から遮蔽体CO2によって途切れた線路RLの遮断端である軌道位置CP2迄の距離L22とは、第2光計測部42によって得た2次元画像の視差から判定することができる。図2に示す演算処理部101は、第2判定部として、遮蔽体CO2迄の距離L21と遮蔽体CO2が遮っている軌道位置CP2迄の距離L22との差である距離差Δが所定の上限値以下であるときは、遮蔽体CO2が線路RL上に横たわり或いは線路RLを覆っていると判断し、線路RL上を進行する列車TRにとっての障害物であると判断する。この場合、遮蔽体CO2と線路RLとの距離が近い場合に限って障害物と判断することになり、障害物判定精度を高めることができる。
以上の処理において、第2判定部である図2に示す演算処理部101は、図7(E)及び7(F)に示すような第2判定枠AR2内に遮蔽体CO2が存在する場合に、遮蔽体CO2を障害物であると判断するので、第2判定枠AR2によって列車TRが通過する領域に検出範囲を絞ることができ、障害物の有無に関する判定範囲が過度に広がることを防止できる。なお、前景とされる遮蔽体CO1や障害物の候補とされる遮蔽体CO2は、線路RLのレール(軌道像)RLa,RLbの双方を遮蔽するものに限らず片方を遮蔽するようなものであってもよい。演算処理部101による判定処理の対象となる遮蔽体CO1,CO2は、レールRLa,RLbのサイズを基準として所定以上のサイズを有するものであれば、障害物となる可能性があるとして候補に加えられる。
図8(C)は、線路RLを遮るものではないが遮蔽体に準じた障害物として扱うべきものを説明する図である。この場合、図3(A)に示す第2光計測部42によって得た2次元画像において、線路RLの消失点VPよりも手前であって線路RLに隣接した箇所に所定以上に大きな周辺物体CO3が存在する。図2に示す演算処理部101は、2次元画像中からこの種の周辺物体CO3を抽出し、第2光計測部42から周辺物体CO3迄の距離L31に対して線路RL上の点を決定し、この距離L31に対応する単一の又は隣接する複数の近傍外縁要素CE又は第2判定枠AR2を特定し、かかる近傍外縁要素CEの範囲内又は第2判定枠AR2内に周辺物体CO3の画像が存在するか否かを判断する。演算処理部101は、上記のように特定された近傍外縁要素CE等の範囲内に周辺物体CO3の画像が存在すると判断した場合、この周辺物体CO3を、線路RL上を進行する列車TRにとっての障害物又はそれに準じた物であると判断する。この場合も、第2判定部である演算処理部101は、近傍外縁要素CE又は第2判定枠AR2内に周辺物体CO3が存在する場合に、周辺物体CO3を障害物又はそれに準じた物であると判断するので、近傍外縁要素CE又は第2判定枠AR2によって列車TRが通過する領域又はその近隣に検出範囲を絞ることができる。
図9を参照して、走行時における障害物検出又は障害物判定の動作について説明する。図2に示す演算処理部101は、図1に示す車速検出部34等を利用して列車TRの走行位置と走行速度とを取得する(ステップS21)。次に、演算処理部101は、第1光計測部41について、ステップS21で得た走行位置及び走行速度に基づいて走査領域を設定する(ステップS22)。次に、演算処理部101は、第1光計測部41を利用して走査領域内で距離画像を計測する(ステップS23)。列車TRの前方に物体が存在する場合、その物体の方位(角度)や距離が得られる。その後、演算処理部101は、ステップS21で得た走行位置及び走行速度に対応する第1判定枠AR1を距離画像に対して設定するとともに、ステップS23で得た物体の方位及び距離が設定した第1判定枠AR1内であるか否かを判断する(ステップS24)。ここで、第1判定枠AR1は、記憶部102に保管した第1判定枠データベースを利用して設定され、第1判定枠データベースは、例えば事前走行によって走行位置ごとに第1判定枠AR1の方位等を紐付けて記録したものとなっている。
演算処理部101は、第1判定枠AR1内に物体が存在すると判断した場合(ステップS24でYes)、入出力部103を介して運転手に線路上に障害物が存在することを警報出力する(ステップS25)。この際、演算処理部101は、ブレーキ装置33を適宜動作させて列車TRに緊急停止を行わせることができる。
演算処理部101は、第1判定枠AR1内に物体が存在しないと判断した場合(ステップS24でNo)、ステップS21に戻って列車TRの走行位置及び走行速度を取得する処理を再開する。以上の処理は、列車TRの運用走行が完了するまで繰り返される(ステップS28でNo)。
距離画像の取得や第1判定枠AR1内における物体の有無判定(ステップS22~S24)と並行して、演算処理部101は、第2光計測部42を利用して走査領域内で2次元画像や視差を計測する(ステップS26)。演算処理部101は、得られた2次元画像等に基づいて、第2判定枠AR2を設定するとともに、第2判定部として、2次元画像から消失点VPを検出し、第2判定枠AR2内に列車TRにとっての障害物があるか否かを判断する(ステップS27)。つまり、消失点VPの手前に遮蔽体(例えば遮蔽体CO2)が存在し、かつ、遮蔽体迄の距離L21と遮蔽体CO2によって途切れた線路RLの遮断端である軌道位置CP2迄の距離L22との距離差Δが、所定の上限値以下であるか否かを判断する。
演算処理部101は、第2判定枠AR2内に障害物があると判断した場合(ステップS27でYes)、入出力部103を介して運転手に線路RL上に障害物が存在することを警報出力する(ステップS25)。障害物が存在しないと判断された場合(ステップS27でNo)、ステップS21に戻る。
図10を参照して、図10のステップS22における走査領域の設定について詳細に説明する。演算処理部101は、記憶部102に保管された第2光計測部42からの1フレーム前の2次元画像及び線路形状を読み出す(ステップS41)。演算処理部101は、列車TRの走行速度から前方走査距離を算出する(ステップS42)。この前方走査距離は、制動距離と空走距離との和である停止距離に対して係数βの最小値(例えばβ=0.4)を掛けたものとなっている。演算処理部101は、前フレームについて暫定的な第2判定枠AR2を計算し、又はステップS27で設定済みの第2判定枠AR2を読み出す(ステップS43)。演算処理部101は、暫定的な第2判定枠AR2を計算した1フレーム前の線路形状から消失点を決定し、又はステップS27で検出済みの消失点を読み出し、消失点がステップS43で得た暫定的な第2判定枠AR2外にあるか否かを判断する(ステップS44)。消失点がステップS43で得た暫定的な第2判定枠AR2内にある場合(ステップS44でNo)、暫定的な第2判定枠AR2をカバーするような走査範囲及び走査配置を確保するものとして走査領域を設定する(ステップS45)。ステップS45で設定する走査領域は、例えば図6(C)及び6(E)に示す計測領域SA13,SA15のようなものとなる。一方、消失点がステップS43で得た暫定的な第2判定枠AR2外にある場合(ステップS44でYes)、暫定的な第2判定枠AR2と消失点とをカバーするような走査範囲及び走査配置を確保するものとして走査領域を設定する(ステップS46)。ステップS46で設定する走査領域は、例えば図6(D)及び6(F)に示す計測領域SA14,SA16のようなものとなる。以上において、走査領域を設定するための暫定的な第2判定枠AR2と、障害物があるか否かを判断するための実測の第2判定枠AR2(図11のステップS28参照)とは、近似するが原則として異なるものとなる。つまり、演算処理部101は、以前の測定結果から軌道像を抽出して上記暫定的な第2判定枠AR2を設定し、第1光計測部41の走査範囲及び走査配置を設定するとともに、第1判定枠AR1内で障害物となる物体を検出する。
以上で説明した第1実施形態の監視装置100では、演算処理部101が列車(車両)TRの移動速度と進路形状とに応じて第1光計測部41の走査範囲及び走査配置を設定するので、第1光計測部41は移動速度等の状況に応じて必要な対象又は領域に絞って走査及び計測を行うことになり、第1光計測部41による最低限の計測頻度を確保しつつ必要な監視範囲又は第1判定枠AR1を確保することができ、監視精度を高めることができる。なお、レーザを照射して反射光を計測するタイプの第1光計測部41部を用いることにより、精細な情報が得られ、走査範囲及び走査位置も明確に設定することができる。
第1実施形態では、第1光計測部41による計測で用いられる第1判定枠AR1ついて、予め軌道に沿って設定されデータベースから随時読み出されるとしたが、第2光計測部42によって得た2次元画像から第1判定枠AR1を決定することができる。
〔第2実施形態〕
以下、図11を参照して、第1実施形態を変形した第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る監視装置100は、図1に示すような第2光計測部42を省略し、単独の第1光計測部41によって前方の対象領域全体をカバーする点で、第1実施形態の装置と異なる。第2実施形態の装置において、第1実施形態の装置と共通する点については、詳細な説明を省略する。
この場合、図12に示すように、次に設定すべき第1判定枠AR1nに関する情報を利用して、この第1判定枠AR1nをカバーし、かつ、その外側に所定のマージンMAを確保した領域として、第1光計測部41の検出領域DA1内において計測領域SA1nつまり走査範囲及び走査配置を設定する。この場合、計測領域SA1nは、必ずしも消失点を含むようなものとならないが、例えば第1判定枠AR1nの奥行きを遠方まで伸ばすことで、実質的には消失点を含むように第1光計測部41の走査範囲及び走査配置を設定することができる。
この発明は、上記の各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
車上装置200は、不図示の列車運行管理システムの制御下で、列車TRの自動運転を可能としており、自動運転については、運転士を乗せた状態で行う場合のほか、運転士がいない完全無人の自動運転も含み得るものとしている。自動運転については、運行区間の全体を運転士がいない完全無人の自動運転とする場合のほか、運行区間の一部を、運転士を乗せた状態で自動運転とする場合や、運行区間の一部については、自動運転とせず、運転士による通常運転とすることも考えられる。
監視装置100は、車上装置200に組み込まずに、遠隔の列車運行管理システム側に部分的に組み込むこともできる。
監視装置100による監視対象は、鉄道の線路RLに限らず、路面電車用の軌道であってもよい。
上記実施形態の監視装置100は、列車TRの進路を監視するものとしたが、本発明の監視装置は、列車に限らず、自動車その他の車両の進路を監視するものとして用いることができる。この際、線路に代えて車線等を利用して判定枠を決定することができる。
第1及び第2光計測部41,42を用いる障害物の有無の判定は、第1及び第2判定枠AR1,AR2を前提としないようなものであってもよい。この場合、第1光計測部41による計測領域SA13~SA16や、第2光計測部42による計測領域の全体において、障害物の有無の判定が行われることになる。
第1光計測部41による計測領域SA13~SA16の輪郭は、上記のような矩形に限らず、目的や用途に応じて適宜の形状とすることができる。
第1光計測部41による計測領域SA13~SA16の範囲や配置は、段階的に変化させるものに限らず、連続的に変化させることができ、計測領域SA13~SA16の範囲変化も相似的に変化するものに限らず、状況に応じて必要な監視領域を確保できるようなものとすることができる。
第1光計測部41は、オプティカルフェーズドアレイや液晶偏光回折素子に限らず光線制御が可能なデバイスを備えて構成されるものであってもよい。また、第2光計測部42は、TOFカメラで構成されるものであってもよい。
以上では、消失点VPの手前に遮蔽体CO2が存在する場合に、障害物となる可能性があるとしたが、遮蔽体CO2が消失点を兼ねている場合も、遮蔽体CO2が障害物となる可能性があると判断してもよい。この場合も、遮蔽体CO2迄の距離L21と、遮蔽体CO2によって途切れた線路RLの遮断端である軌道位置CP2迄の距離L22との距離差Δが所定の上限値以下であることが障害物であると判断する前提条件となる。
進路前方の障害物の判定は、線路RL近辺にあるものに限らず、線路RLから離れた物体が線路RLに近接しつつある状態を監視するようなものであってもよい。この場合、線路RLに進入する物体を移動軌跡によって追跡するようなものとなる。