JP3887873B2 - 制振装置の質量体移動制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物等の制振対象物に取付けられて、この制振体象物に入力される振動を検出して、これをサーボモータを駆動する指令電圧に変換し、このサーボモータで質量体を入力振動に応じて移動する制振装置の質量体移動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高層建築物等では、地震とか強風等の振動が入力された場合に、この振動を効果的に減衰して制振するための対策が各種提案されている。例えば、質量体を入力振動に応じて移動させることにより、制振対象物を強制的に制振させるようにしたものがあり、これには入力振動によって質量体が受動的に移動するパッシブタイプの制振装置と、入力振動に応じて能動的に質量体を移動するアクティブタイプの制振装置とがある。
【0003】
後者のアクティブタイプの制振装置としては、例えば特開平2−300478号公報(Int.Cl.E04H 9/02)に開示されるものがあり、ステップモータによって質量体を強制的に移動することにより、効果的に制振できるようになっている。この場合、制振対象物への入力振動信号をサーボモータの指令電圧に変換して出力し、この出力信号によりサーボモータの回転速度を制御し、もって質量体の移動速度が決定されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の制振装置の質量体移動制御方法にあっては、図10中(a)に示す振動入力センサーへの入力信号Aが、同図(b)に示すサーボモータの指令電圧Bに変換され、この指令電圧Bでサーボモータが駆動されることにより、同図(c)に示すように質量体が移動してストローク特性Cが得られる。
【0005】
ところが、同図(b)の指令電圧が出力された後、サーボモータが駆動されて質量体が実際に移動される間には、ACサーボモータが速度制御型ドライバーであるため半波長分の遅れが発生されてしまう。また、大きな振動が急激に入力された場合には、このときの初期の振動入力により質量体が中立点から大きくずれてしまう。
【0006】
このため、同図(c)に示したように質量体は中立点から片側にずれた位置からサーボモータによる移動制御が開始されることになる。つまり、質量体がずれた位置を中立点として移動制御されることになるため、質量体はずれ方向とは反対側に大きなスペースを残した状態で移動し、該質量体の移動許容範囲が大幅に狭められる。このことは前記指令電圧Bがサーボモータの速度出力と比例することに原因し、このように質量体の移動範囲が少なくなることにより、制振効果が著しく低減されてしまうという課題があった。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、質量体の変位出力と指令電圧とを比例させて、該質量体を変位をファクターとして制御可能とすることにより、質量体を常に中立点を基準として往復移動させて、制振効率を著しく向上できるようにした制振装置の質量体移動制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1に示す本発明の制振装置の質量体移動制御方法は、制振対象物への入力振動をサーボモータを駆動する指令信号に変換し、この指令信号によりサーボモータを駆動して質量体を移動し、この質量体の移動によって制振対象物を制振するようにした制振装置の質量体移動制御方法において、該質量体の変位および速度を検知して、該変位および速度信号を前記ACサーボモータ直前の指令信号にクローズドマイナーループでフィードバックさせることにより、該指令信号を該質量体のストローク出力に比例させたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に示す本発明の制振装置の質量体移動制御方法は、前記質量体の変位を検出して、この変位がストローク限界の所定割合を超える場合に、各瞬間における前記指令信号のゲインを所定割合のストローク値に下げるゲイン低下制御を行うことを特徴とする。
【0010】
更に、請求項3に示す本発明の制振装置の質量体移動制御方法は、前記質量体のストロークの1/2周期の最大値を検出して、この最大ストロークが目標値より小さい場合に、ゲインを目標値に上げるゲイン増大制御を行うことを特徴とする。
【0011】
以上の構成でなる本発明の制振装置の質量体移動制御方法の作用を以下述べると、請求項1では質量体の変位および速度信号をACサーボモータに入力される直前の前記指令信号にクローズドマイナーループとしてフィードバックしたので、本来速度制御となっていた該指令信号を質量体の出力変位に比例させることができ、質量体のストロークを変位をもって制御することが可能となる。従って、指令信号によりACサーボモータを駆動して質量体を移動する間に作動遅れが発生し、かつ、初期振動により質量体が中立点からずれた場合にも、質量体の変位を各周期毎に制御することが可能となり、該質量体の移動中立点を当初の設定位置に修正することができる。このため、質量体は予め設定した移動許容範囲の全長に亘って移動することが可能となり、延いては制振効果を著しく向上することができる。
【0012】
また、請求項2では、前記質量体の変位を検出して、この変位がストローク限界の所定割合を越える場合に、各瞬間における前記指令信号のゲインを所定割合のストローク値に下げるゲイン低下制御を行うことにより、制振対象物への入力振動が大きくて質量体の変位が著しく大きくなった場合にあっても、該質量体の移動をストローク限界の所定割合の範囲内に収めることができるため、質量体がストローク限界に強く押し当たって装置が破損されてしまうのを防止することができる。
【0013】
更に、請求項3では、前記質量体のストロークの1/2周期の最大値を検出して、この最大ストロークが目標値より小さい場合に、ゲインを目標値に上げるゲイン増大制御を行うことにより、制振対象物への入力振動が小さくて質量体の変位が小さくなる場合に、ゲインの増大により質量体の変位量を大きくして制振効果をより向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図9は本発明にかかる制振装置の質量体移動制御方法の一実施形態を示し、図1は制振装置の正面図、図2は制振装置の設置状態を示す説明図、図3は制振装置の制御プログラムを実行するためのブロック図、図4は指令信号と出力されたストローク速度との関係を示すブロック線図、図5は出力されるストロークの変位,速度,加速度をフィードバックする関係を示すブロック線図、図6は入力振動と質量体の変位との関係を示す特性図、図7は斬増振動と質量体の変位とゲインとの関係を示す特性図、図8は斬減振動と質量体の変位とゲインとの関係を示す特性図、図9は入力振動が無い場合の質量体の移動制御状態を示す特性図である。
【0015】
図1に示すように制振装置10は、基台12上に質量体14が移動可能に取付けられることにより概略構成され、この質量体14を入力振動に対応して往復移動させることにより、振動エネルギーを質量体14の移動エネルギーで相殺し、もって該制振装置10が設置される制振対象物を振動減衰して制振するようになっている。
【0016】
前記質量体14は、基台12の上面に第1,第2軸受16,16aを介して回転自在に取付けられるスクリューシャフト18に支持され、該スクリューシャフト18の回転により質量体14が移動される。前記第1軸受16はアンギュラコンタクト玉軸受が用いられ、ラジアル方向およびスラスト方向の荷重を受けるようになっており、他方の第2軸受16aは通常のボールベアリングまたはニードルベアリングが用いられる。また、前記スクリューシャフト18が質量体14に挿通される部分にボールスクリュー20が設けられ、このボールスクリュー20はスクリューシャフト18と質量体14側に設けたボールナットとの間に多数の鋼球が介在され、スクリューシャフト18の回転に伴って鋼球が循環されることにより、スクリューシャフト18の回転により質量体14が滑らかに移動できるようになっている。
【0017】
前記スクリューシャフト18の一端部は、ACサーボモータ22の出力回転が入力される変速機24の出力軸24aに継手26を介して接続され、このACサーボモータ22の回転によりスクリューシャフト18が回転して質量体14を軸方向移動するようになっている。このとき、サーボモータ22の正逆回転により質量体14が往復移動されることになる。また、前記出力軸24aの反対側端部には電磁ブレーキ25が設けられ、停電時に出力軸24aが自動的に制動される。更に、質量体14の移動方向両端と前記基台12との間には、それぞれ緩衝器28,28aおよびスプリング30,30aが設けられる。
【0018】
かかる構成でなる前記制振装置10は、図2に示すように制振対象物としてのビル32の屋上32aに基台12部分がボルト結合されるなどして設置される一方、該制振装置10が設置されたビル32には振動検知センサー34,34…が取付けられる。前記振動検知センサー34,34…で検知した振動信号はA/D変換器36に入力されてデジタル信号に変換され、このデジタル信号およびサーボモータ22の回転検出信号および質量体14の変位信号が演算装置38に出力されるようになっている。該演算装置38はサーボモータ22を駆動する電圧、つまり質量体14の移動速度,変位量等を決定するプログラムが入力されており、該演算装置38に接続されたサーボコントローラ40からサーボモータ22に指令電圧Vが出力されるようになっている。
【0019】
前記制振装置10の質量体14の移動制御は、図3に示すブロック図に基づいて実行されるようになっている。即ち、同図ではブロックB1によって振動のセンサー出力とレギュレータゲインGとの積をフィルターB2を介してブロックB3で時刻歴信号に変換し、これをブロックB4に出力してスカラーゲインG0 を乗じて指令電圧Vを決定する。指令電圧VはブロックB5の制振装置10に出力してサーボモータ22を駆動し、質量体14を移動する。そして、この質量体14の移動により制振対象物であるビル32の振動が抑制され、この抑制された状態の振動が上記振動センサ34,34…で検知される。つまり、ビル全体を1つの系としてフィーバック要素を加味した状態で質量体14の移動制御が行われるようになっている。なお、以上は従来から行われている基本的なアクティブ制振制御である。
【0020】
ところで、本実施形態例の制振制御では、上記移動体14の基本的な移動制御に加えて、更に動力部としてのACサーボモータ22にクローズドマイナーループで軽いフィードバックが掛けられるようになっている。即ち、上記質量体14の出力の変位および速度(更に加速度)は位置センサ15(図1参照)を用いてブロックB6にて検知され、これら変位,速度,加速度(尚、加速度は必ずしも必要でない)の要素がクローズドマイナーループによってサーボモータ22に入力される直前の前記指令電圧Vに軽くフィードバックされるようになっている。
【0021】
また、上記ブロックB6で検出された質量体14の変位はブロックB7およびブロックB8に入力されて、所定の処理がなされた後、ブロックB4のスカラーゲインに反映されるようになっている。
【0022】
即ち、ブロックB7ではブロックB6からの変位信号と前記ブロックB3からの時刻歴信号とを取り込んで、質量体14の変位がその目標とする最大値(本実施形態ではストローク限界の8割に設定している)を超える場合には、各瞬間のスカラーゲインG0 を8割ストローク値に下げる修正(これは信号最大時刻まで行われる)を行う。そして、該ブロックB7で修正したスカラーゲインG0 を前記ブロックB4のゲインとして決定する。
【0023】
一方、ブロックB8では質量体14が往復移動する1/2周期(T0 )の変位の最大値を見て、その最大値がストローク限界の8割に満たない場合には、次の1/4周期時間で逆に上記目標値にスカラーゲインG0 を上げる修正を行う。なお、この周期時間は必ずしも1/4である必要はなく、過度なショックが入らない程度の時間幅を有する任意値で良い。そして、このブロックB8で修正したスカラーゲインG0 を前記ブロックB4のゲインとして決定する。
【0024】
即ち、かかる制御を行うにあたってサーボモータ22の指令電圧Vは次の式1によってストローク速度が定義され、これをブロック線図で示すと図4に示すようになる。
【0025】
【数1】
【0026】
そして、前記図3のブロック線図に出力ストロークの変位,速度,加速度信号を図5に示すようにクローズドマイナーループによってブロックB5のサーボモータに入力される直前の指令信号にフィードバックする。つまり、このフィードバック制御が本発明の特徴となる。そして、フィードバックされた後の特性は次の式2で示される。
【0027】
【数2】
【0028】
ここで、加速度フィードバックを用いずにc=0とした構造制約の基での指令電圧Vに対する変位(ストローク)Zの伝達特性は、次の式3で表される。
【数3】
前記式3の特性は次の式4になる。
【数4】
そして、前記式4を展開すると次の式5となる。
【数5】
ここで、式3と式5の恒等式が成立するためには次の式6,式7,式8に示す条件が導かれる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0029】
ここで、フィードバックによって設定した特性を、バタワース型ローパス・フィルターに設定する場合、次の式9および式10に示す条件が与えられる。
【数9】
【数10】
【0030】
すると、式8より設定可能な固有振動数(ローパスカットオフ振動数)は次の式11となる。
【0031】
【数11】
【0032】
そして、式11として求まる固有振動数を用い、変位,速度に対する最適フィードバックゲインa,bを求めると、次の式12,式13となる。
【数12】
【数13】
この時のカットオフ点(ω1 )は、式11から速度比例型の場合より小さくなることが解る。
【0033】
従って、本実施形態の制振装置の質量体移動制御方法にあっては、地震等の振動外力がビル32に入力された場合に、これを振動検知センサー34,34…で検知して指令電圧Vを演算し、制振装置10のサーボモータ22に出力する。そして、指令電圧Vによってサーボモータ22を回転させることによりスクリューシャフト18が回転し、これにボールスクリュー20を介して螺合された質量体14を軸方向移動させるようになっている。そして、この際には、質量体14の変位,速度が位置センサ15によって検出されて、その変位,速度に基づき上記式12,式13で与えられる最適フィードバックゲインa,bがクローズドマイナーループによって上記ACサーボモータ22への入力直前の上記指令信号に印可されて指令電圧Vが補正され、実際にはこの補正後の指令電圧V´によってACサーボモータ22が移動制御される。即ち、ACサーボモータ22は図6(a)に示す入力振動の周期に伴って正逆回転され、これによって前記質量体14は同図(b)に示すように所定の周期をもって往復移動される。尚、同図(b)のストロークは同図(a)の振動入力特性に対して半波長分の遅れが生じている。
【0034】
このようにACサーボモータ22の回転により質量体14が移動する際に、本実施形態ではこの質量体14の出力、つまり変位と速度とをフィードバックして指令電圧Vを制御するようにしたので、本来速度制御となっていた指令電圧Vを質量体14の出力変位に比例させることができ、つまりは質量体14のストロークを変位をもって制御することが可能となる。
【0035】
従って、指令電圧VによりACサーボモータ22を駆動して質量体14を移動する間に作動遅れが発生し、かつ、初期振動により質量体14がスクリューシャフト18の中立点からずれた場合にも、質量体14の変位を各周期毎に制御することが可能となる。このため、図6(b)に示したように振動初期において中立点(0点)からずれた質量体14の変位特性を徐々に修正し、質量体14の移動中立点を当初の設定位置に修正することができる。従って、質量体14は予め設定したスクリューシャフト18の中立点を中心として左右に等しい距離を移動できるようになり、移動許容範囲の全長に亘って移動することが可能となる。このように質量体14のストロークが変位制御されることにより、質量体14の移動範囲を増大し、延いては制振装置10が備えた機能を充分に発揮して、制振効果を著しく向上することができる。
【0036】
また、本実施形態の質量体移動制御装置にあっては、図3に示した制御のブロックB7において質量体14の振幅が大きい場合、つまり予め設定した8割ストロークより振幅が大きくなる場合に、スカラーゲインG0 を8割ストローク値に下げる修正を実行するようにしたので、図7(a)に示すようにビル32に入力される振動(尚、この波形は一次振動と二次振動とが合体されたものとなっている。)が斬増した場合に、同図(c)に示すようにスカラーゲインG0 を徐々に減少させる。そして、減少したスカラーゲインG0 によってサーボモータ22の指令電圧Vが制御されるため、質量体14のストロークは同図(b)に示すように、入力振動が過剰に増大された場合にもフルストローク(1〜−1)に対して8割ストローク(0.8〜−0.8)の範囲に収めることができる。
【0037】
従って、質量体14はストローク限界に達するのを防止できるため、質量体14がこじれてロックされたりして制振装置10が破損されるのを避けることができる。このため、いかなる大地震が発生される場合でも制振装置10を正常に作動させて制振機能を発揮させることができ、延いてはビル32の倒壊を阻止することができる。
【0038】
更に、本実施形態の質量体移動制御方法にあっては、図3に示した制御のブロックB8において図8(a)に示すように入力振動が斬減して質量体14の振幅が小さくなる場合、つまり本実施形態では質量体14の振幅が8割ストローク未満となる場合に、スカラーゲインG0 は同図(c)に示すように入力振動の1/2周期(T0 )の最大値から1/4周期時間で、質量体14の振幅を目標値(本実施形態では8割ストローク)に上げる修正を実行するようにしたので、この質量体14は入力振動が減少されるにもかかわらず同図(b)に示すように8割ストロークをフルに活用して移動されることになる。このため、本来備えている制振装置10の機能を超えて制振機能を発揮できることになり、比較的小さい振動にあってもビル32の制振効果を充分に得ることができる。
【0039】
ところで、前記ACサーボモータ22は常時微弱電流を通電してスタンバイ状態に設定しておくことにより、振動入力による指令電圧Vの出力によって該サーボモータ22の駆動遅れを最小限に止めるようになっている。また、本実施形態ではこのように微弱電流を通電することにより、図9(a)に示すように地震による入力振動が無い場合でも、強風等の何らかの原因により質量体14が移動した場合にも、同図(b)に示すように該質量体14を中立位置に復帰させるようになっている。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に示す制振装置の質量体移動制御方法にあっては、制振対象物への入力振動を変換した指令信号によりACサーボモータを駆動し、このACサーボモータの駆動により移動する質量体の変位および速度をクローズドマイナーループでそのACサーボモータに入力される直前の前記指令信号にフィードバックするようにしたので、前記指令信号を質量体の出力変位に比例させることができるようになり、質量体のストロークを変位をもって制御することが可能となる。従って、質量体の移動遅れが発生し、かつ、初期振動により質量体が中立点からずれた場合にも、質量体の変位を各周期毎に制御することが可能となり、当該質量体の移動中立点を当初の設定位置に修正することができる。このように質量体の変位制御が可能となることにより、質量体は予め設定した移動許容範囲の全長に亘って移動することが可能となり、制振装置が発揮できる制振効果を著しく向上することができる。
【0041】
また、本発明の請求項2に示す制振装置の質量体移動制御方法では、前記質量体の変位を検出して、この変位がストローク限界の所定割合を超える場合に、各瞬間における前記指令信号のゲインを所定割合のストローク値に下げるゲイン低下制御を行うようにしたので、制振対象物への入力振動が大きくて質量体の変位が著しく大きくなった場合に、当該質量体の移動をストローク限界の所定割合の範囲内に収めることができる。従って、質量体がストローク限界に強く押し当たって装置が破損されてしまうのを防止できるため、過大な振動入力時にあっても制振装置を作動させて制振機能を充分に発揮することができる。
【0042】
更に、本発明の請求項3に示す制振装置の質量体移動制御方法にあっては、前記質量体のストロークの1周期の最大値を検出して、この最大ストロークが目標値より小さい場合に、ゲインを目標値に上げるゲイン増大制御を行うようにしたので、制振対象物への入力振動が小さくて質量体の変位が小さくなる場合に、ゲインの増大により質量体の変位量を大きくすることができ、制振装置における制振機能を向上することができるという各種優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される制振装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明が適用される制振装置を制振対象物に設置した状態を示す説明図である。
【図3】本発明が適用される制振装置の制御プログラムを実行するための一処理例を示すブロック図である。
【図4】本発明が適用される制振装置を駆動するための指令信号と出力されたストローク速度との関係を示すブロック線図である。
【図5】本発明が適用される制振装置を駆動するための質量体のストロークの変位,速度,加速度をフィードバックする関係を示すブロック線図である。
【図6】本発明の制御方法で入力振動と質量体の変位との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の制御方法で入力される斬増振動と質量体の変位とゲインとの関係を示す特性図である。
【図8】本発明の制御方法で入力される斬減振動と質量体の変位とゲインとの関係を示す特性図である。
【図9】本発明の制御方法で入力振動が無い場合の質量体の移動制御状態を示す特性図である。
【図10】従来の制御方法の入力振動と指令電圧と質量体の変位との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
10 制振装置
14 質量体
15 位置センサ
22 サーボモータ
34 振動検知センサー
36 A/D変換器
38 演算装置
40 サーボコントローラ
Claims (3)
- 制振対象物の振動をACサーボモータを駆動する指令信号に変換し、該指令信号により該ACサーボモータを駆動して質量体を移動し、該質量体の移動によって制振対象物を制振するようにした制振装置の質量体移動制御方法において、
該質量体の変位および速度を検知して、該変位および速度信号を前記ACサーボモータ直前の指令信号にクローズドマイナーループでフィードバックさせることにより、該指令信号を該質量体のストローク出力に比例させたことを特徴とする制振装置の質量体移動制御方法。 - 前記質量体の変位を検出して、該変位がストローク限界の所定割合を越える場合に、各瞬間における前記指令信号のゲインを所定割合のストローク値に下げるゲイン低下制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制振装置の質量体移動制御方法。
- 前記質量体のストロークの1/2周期の最大値を検出して、該最大ストロークが目標値より小さい場合に、ゲインを目標値に上げるゲイン増大制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の制振装置の質量体移動制御方法。
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