JP3887102B2 - フライホイール電力貯蔵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電力エネルギーを回転体の運動エネルギーとして貯蔵したり、逆に運動エネルギーを電力エネルギーに変換して放出するフライホイール電力貯蔵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フライホイール電力貯蔵装置は、電力系統の安定化、負荷平準化、変動負荷抑制等に役立てる目的で、回転体の運動エネルギーと電力エネルギーを相互に変換して電力系統から電力を充電したり、逆に電力系統に電力を放出したりするものである。
【0003】
最近、このフライホイール電力貯蔵装置として、小形で、大きな電力貯蔵密度を得るため、FRP繊維を巻いたフライホイールを製作して強度の高いものとし、毎分数千回転から2万回転の高速で回転可能なものが考えられている。
【0004】
一方、フライホイール電力貯蔵装置の構成としては、アウターロータ方式とインナーロータ方式があり、アウターロータ方式は内側に固定子、外側に回転子を同軸的に設け、またインナーロータ方式は内側に回転子、外側に固定子を同軸的に設ける構成となっている。
【0005】
何ずれの方式も回転子と固定子の相対的な移動によって、固定子に固定された巻線に対して回転子がN,S,N,S…というように交番する磁束を作り、固定子巻線に誘導起電力を生じさせて発電動作を行ったり、固定子巻線に正負に交番する電流を流して回転する磁束を作って回転子を回転させる力行動作を行わせたりするものである。
【0006】
ところで、アウターロータ方式のフライホイール電力貯蔵装置として、図5に示すような構成のものが考えられている。
図5において、1は真空容器で、この真空容器1内の中央部に両端開口部が閉塞された円筒状の固定子2が設けられ、その下部を容器底面を貫通させて一体的に取付けられている。また、この固定子2の外側に回転子となるFRP製のフライホイール3が同軸的に設けられ、このフライホイール3の内周側に磁束を作る回転子永久磁石4が固定される。この回転子永久磁石4と対向する上記固定子2の内周面には固定子巻線5が設けられる。
【0007】
さらに、フライホイール3の容器底面側の端面に円環状の一対のスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7が取付けられ、またこれらスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7に対向する容器底面に設置された高温超電導バルク8上に磁気的に支持するタッチダウン軸受9,10を介して浮上及びスラスト移動可能に配置されている。
【0008】
この場合、上記スラスト/ガイド軸受用永久磁石6は上面側がS極の、またスラスト/ガイド軸受用永久磁石7は上面側がN極の複数の永久磁石片をそれぞれ磁極の向きを揃えて並べることにより構成される。
【0009】
また、上記高温超電導バルク8は液体窒素の温度である−73K程度で超電導状態となり、この状態になるとピン止め効果によってバルク内部の磁束と外部磁場が結合し、その磁力線の方向は超電導状態となった初期に外部から与えられる磁場の状態を維持するように働く。この働きによって高温超電導バルク8はスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7によって超電導状態での浮上を行なわない時に回転子にかかる重力を支持する。
【0010】
一方、11は液体窒素ボンベ又は窒素液化冷凍機からなる液体窒素供給装置で、この液体窒素供給装置11には高温超電導バルク8に液体窒素を供給する冷却配管12がバルブ13を介して接続されている。
【0011】
また、14は固定子巻線5に配線15を介して接続されたインバータで、このインバータ14は固定子巻線5が発生する交流電力を電力系統の周波数と同期した周波数に変換して電力系統16に出力するものである。
【0012】
さらに、17は真空容器1に真空排気ダクト18を介して接続された真空排気ポンプで、この真空排気ポンプ17は真空容器1の内部を排気して高真空状態に保持するものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成のフライホイール電力貯蔵装置において、FRP製のフライホイール3の容器底面側の端面に取付けられるスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7は、回転の中心軸から離れた位置にあり、且つ高速回転することから、この部分にかかる遠心力が大きく、従ってフライホイール3に対して強固に固定する必要がある。
【0014】
また、FRP製のフライホイール3に永久磁石のような重量の大きい部品を取付けるには強度の限界があり、従って回転子の回転数を十分に上げられないため、エネルギーの貯蔵量に制約が生じることが考えられる。
【0015】
さらに、高温超電導バルク8とスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7の間の距離が小さくなった時に回転子永久磁石4と固定子巻線5とが互いに回転の中心軸方向に移動するので、磁束の変化が起こり、異常な電磁力を発生する可能性がある。
【0016】
他方、実用的な装置では、高温超電導バルク8を冷却するのに、液体窒素等の冷媒を扱うことがスペースと運転コスト、メンテナンス性の上で障害となる。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、アウターロータ方式としながら永久磁石にかかる遠心力を減らし、高温超電導バルクを直接冷却方式またはヒートパイプ冷却方式により効果的に冷却することができるフライホイール電力貯蔵装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段によりフライホイール電力貯蔵装置を構成するものである。
請求項1に対応する発明は、真空容器と、この真空容器内に設けられ両端開口部が閉塞された円筒状の容器となる固定子と、この固定子の外側に同軸的に設けられた回転子となるフライホイールと、このフライホイールの上面に取付けられた回転支持体と、前記固定子内の上部閉塞面に取付けられた固定子巻線と、前記回転支持体の下面で前記固定子巻線と対向する位置に取付けられた回転子永久磁石と、前記フライホイールの回転中心軸側の面に固定されたスラスト/ガイド軸受用永久磁石と、このスラスト/ガイド軸受用永久磁石に対向する前記固定子側にその長手方向が回転中心軸方向に沿うように設けられ超電導状態に冷却される高温超電導バルクと、前記固定子側に設けられ前記高温超電導バルクを回転中心軸方向に移動させる移動機構とを備え、前記高温超電導バルクと前記スラスト/ガイド軸受用永久磁石との相互作用により、前記フライホイールを非接触の状態で浮上させて回転中心軸を中心に回転させるようにしたものである。
【0018】
上記請求項1に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置にあっては、フライホイールの内側にスライド/ガイド軸受用永久磁石を配置しているので、この永久磁石を遠心力に対して強固にフライホイールに固定することができ、また回転子永久磁石を回転子の上面に取付けられた回転支持体の回転半径の小さい位置に取付けているので、アウターロータ方式としながら永久磁石にかかる遠心力を減らすことができる。さらに、高温超電導バルクを移動機構により回転中心軸方向に移動可能としているので、高温超電導バルクを着磁するときに回転子を移動することなく着磁できる。
【0024】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置において、前記高温超電導バルクは、前記固定子内に配設された冷媒流通用又はヒートパイプ冷却型の冷却配管に冷媒又は冷熱を与える冷凍機を接続して冷却されるようにしたものである。
【0025】
上記請求項2に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置にあっては、上記請求項 1 に対応する発明の作用効果に加えて、回転中心軸方向に長い高温超電導バルクを効果的に冷却することができる。
【0026】
請求項3に対応する発明は、請求項 1 に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置において、前記高温超電導バルクは、高温超電導材に予め金属又はセラミックの冷却配管を挿入して焼結されたものである。
【0027】
請求項4に対応する発明は、請求項 1 に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置において、前記高温超電導バルクは、前記固定子側に設けられる高温超電導バルクは、高温超電導材を円筒状に焼結されたものである。
【0028】
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する発明のフライホイール電力貯蔵装置において、前記高温超電導バルクは、円筒状に焼結された高温超電導バルクは、回転中心軸方向に複数に分割された板状のバルク片を円周上に並設して構成されたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明によるフライホイール電力貯蔵装置の第1の実施の形態を示す縦断面図で、図5と同一部品には同一符号を付して説明する。
【0031】
図1において、1は真空容器で、この真空容器1内の中央部に両端開口部が閉塞された円筒状の容器となる固定子2が設けられ、その下部を容器底面を貫通させて一体的に取付けられている。また、この固定子2の外側に回転子となるFRP製のフライホイール3が同軸的に設けられ、その下端面側が容器底面に設けられたタッチダウン軸受9上に設置されている。
【0032】
このフライホイール3の内周側には円環状の一対のスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7が取付けられる。この場合、上記スラスト/ガイド軸受用永久磁石6は上面側がS極、またスラスト/ガイド軸受用永久磁石7は上面側がN極の複数の永久磁石片をそれぞれ磁極の向きを揃えて並べることにより構成される。
【0033】
また、スラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7と対応する上記固定子2の内周面には高温超電導バルク8が設けられ、この高温超電導バルク8の周囲を覆い、且つ中心軸と同方向に移動可能に保持する熱伝導板19が設けられている。
【0034】
一方、フライホイール3の上端面には円板状の支持体20が取付けられ、その中心部が固定子2の上部閉塞面の回転中心軸上に設けられたタッチダウン軸受10上に設置されている。
【0035】
この支持体20の内周部付近の下面に回転子永久磁石4が取付けられ、この回転子永久磁石4と対向する固定子2内の上部閉塞面に固定子巻線5が取付けられている。この場合、固定子巻線5としては、回転子を高速で滑空させて待機状態にする時、固定子巻線周囲に鉄等の磁性部材が存在するとこの部材に渦電流が発生して回転を減少させる損失分となるので、鉄心を用いない空芯コイルが用いられる。
【0036】
また、固定子2内には固定子巻線に配線15を介して接続されたインバータ14が設けられ、このインバータ14は固定子巻線5が発生する交流電力を系統周波数と同期した周波数(50Hzまたは60Hz)に変換して図示しない電力系統に出力するものである。この場合、配線15としては同軸状の断面を持つ高周波損失の少ないものが用いられる。
【0037】
さらに、固定子2内の底部にジャッキ21により昇降移動可能に冷凍機22が設けられると共に、コンプレッサ23が設けられ、このコンプレッサ23は冷凍機22に接続される。この場合、冷凍機22としては低温でも比熱が大きく冷熱を蓄えることが可能なイリビウムーニッケル合金などの蓄冷材を用いた直接冷却用冷凍機が用いられる。そして、この直接冷却用冷凍機22の常時低温状態にあるヘッド部に前述した熱伝導板19に一体的に結合された熱伝導板24が接続される。
【0038】
また、固定子内の底部には真空排気ポンプ17が設置され、この真空排気ポンプ17に固定子2の周面より真空容器1内に連通させて設けられた真空排気ダクト18が接続される。
【0039】
このような構成のフライホイール電力貯蔵装置において、いまフライホイール3を含む回転子がタッチダウン軸受9,10上に置かれて停止位置にあるとき、図示しない操作機構によりジャッキ21を下げ操作し、熱伝導板19に保持された高温超電導バルク8を回転子内側のスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7に対向する位置まで下げる。
【0040】
この状態で直接冷却用冷凍機22を運転して冷却ヘッドより熱伝導板24及び19を通して熱伝導される冷熱により高温超電導バルク8を冷却し、超電導状態にする。すると、この高温超電導バルク8はスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7の磁束により着磁される。
【0041】
次にジャッキ21を上げ操作し、高温超電導バルク8を上方に移動させると、回転子全体が超電導磁気軸受により浮上する。この状態でインバータ14を運転し、電力系統より電力を受けて固定子巻線5を励磁することによりフライホイール3を含む回転子が回転し、運動エネルギーとして蓄える。
【0042】
また、上述とは逆に回転子の回転により蓄えられた運動エネルギーを電力エネルギーとして放出する場合は、固定子巻線5に誘起する起電力をインバータ15により商用周波数に変換して図示しない電力系統に出力する。
【0043】
このように第1の実施の形態によるフライホイール電力貯蔵装置にあっては、アウターロータ方式のFRP製のフライホイール3の内側にスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7を取付けることによって遠心力による影響を殆ど受けることがないので、永久磁石を遠心力に対してFRP製のフライホイール3に強固に固定することができる。
【0044】
また、高温超電導バルク8は固定子2内周面に長手方向が回転の中心軸に平行に移動可能に設けられ、且つジャッキ21により上下方向に移動可能な構成としているので、高温超電導バルク8を着磁する時に回転子を上下方向に移動することなく、タッチダウン軸受9,10上に置いたままで着磁することができ、しかも着磁後においてはスラスト/ガイド軸受用永久磁石6,7と対向して回転子を浮上させることができる。
【0045】
さらに、高温超電導バルク8は固定子2の下部に設けられた直接冷却用冷凍機22及びコンプレッサ23により熱伝導体24,19を通して冷却しているので、回転の中心軸方向に長形であっても効果的に冷却することができる。
【0046】
また、回転子永久磁石4はフライホイール3の上端面に固定された支持体20の内周側下面の回転半径の小さい位置に取付けられているので、アウターロータ方式としながら、永久磁石にかかる遠心力を減らすことができる。
【0047】
一方、インバータ14を固定子2内に設けて固定子巻線5と距離を狭めて同軸状の断面を持つ高周波損失の少ない配線15により接続するようにしているので、インバータ14に供給される高周波の電力の損失を少なくできる。即ち、回転子が分速数万回転程度の高速で回転すると、固定子巻線5に発生する電圧、電流波形は数十kHzの高周波となるが、前述したように配線15の長さを短くすることで高周波の電力の損失を少なくしてインバータ14に供給できる。
【0048】
さらに、装置全体は中心部に両開口端部が閉塞された容器となる固定子2、その外側に設けられた回転子を収納する真空容器1の二重構造とし、且つ固定子2の内部に真空排気ポンプ17、直接冷却用冷凍機22、コンプレッサ23、ジャッキ21及びインバータ15をそれぞれ収納しているので、設備全体を小形化することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では固定子2内に真空排気ポンプ17、直接冷却用冷凍機22、コンプレッサ23、ジャッキ21及びインバータ15の全てを収納する場合について述べたが、その何ずれかを選択して固定子2内に収納するようにしても良い。
【0050】
次に本発明の第2の実施の形態を図2により説明する。
図1で説明した例では回転子永久磁石4と固定子巻線5は相互の間のギャップが回転の中心軸と同じ向きに形成されるアキシャルギャップ型としているが、第2の実施の形態では回転子永久磁石とスラスト/ガイド軸受用永久磁石の全体をFRP製のフライホイールの内側に固定するようにしたものである。
【0051】
図2において、図示下側がアウターロータ39であり、図示上側が内側固定子であり、内側固定子38はアウターロータ39の内側に同軸的に挿入された状態で使用される。
【0052】
上記内側固定子38は、全体が円筒状の容器30に形成されており、その中心軸方向の中央部の内面に空芯コイルからなる電動発電機用巻線コイル32,33などが設けられる。また、この電動発電機用巻線コイル32,33などの両側から開口端側に複数個の環状のスラスト/ガイド軸受用超電導バルク24,25,26及び27,28,29が上下対称にそれぞれ配置され、これらは容器内周面に固着される。なお、図中31はスラスト/ガイド軸受用超電導バルクの断面を示している。
【0053】
また、上記アウターロータ39は、FRP製のフライホイール37の内周面に前記内側固定子38の電動発電機用巻線コイル32,33に対応させて複数個の電動発電機用永久磁石36が円周方向に沿ってNとSに磁極の向きを変えて設けられる。また、この電動発電機用永久磁石36の両側から開口端側にスラスト/ガイド軸受用超電導バルク24〜29に対応させて環状のスラスト/ガイド軸受用永久磁石群34,35が配置され、これらはフライホイール37の内周面に固着される。
【0054】
なお、内側固定子38のスラスト/ガイド軸受用超電導バルク24〜29は図示していないが図1と同様に直接冷却用冷凍機から熱伝導板によって除熱、冷却されるようになっている。
【0055】
従って、このような構成のフライホイール電力貯蔵装置とすれば、電動発電機用永久磁石36とスラスト/ガイド軸受用永久磁石群34,35の全体をフライホイールの内側に固定しているので、高速の回転による遠心力に耐え得る回転子を得ることができる。
【0056】
また、固定子側に設けられる電動発電機用巻線コイル32,33を空芯コイルとしているので、電動発電機用永久磁石36の磁場変動で渦電流が生じることを防止できる。
【0057】
次に本発明の第3の実施の形態を図3により説明する。
図1及び図2で説明した例では、固定子側のスラスト/ガイド軸受用バルクを直接冷却用冷凍機22から熱伝導板によって除熱、冷却する場合について説明したが、第3の実施の形態ではスラスト/ガイド軸受用バルクとして、直接冷却用冷凍機との間を液体窒素配管またはガス窒素ヒートパイプで接続可能な構成としたものである。
【0058】
図3(a)はスラスト/ガイド軸受用バルクの構成例を示すもので、円板状の高温超電導バルク40の内部に金属製またはセラミック等の非導電性の冷媒配管41をループを描くように埋め込んで、その両端部を外部に導出して図示しない液体窒素供給系に接続するものである。
【0059】
このような構成の高温超電導バルク40は高温超電導体材料を成形型に入れ、900℃程度の焼結温度で焼結して作られるが、このとき焼結温度で溶融しない材料の冷媒配管を予め焼結前の超電導材料の中に入れておき、この冷媒配管と超電導材料を一緒に焼結することによって冷媒経路の穴を持つ高温超電導バルクを得ることができる。
【0060】
図3(b)はスラスト/ガイド軸受用バルクの他の構成例を示すもので、予め冷媒配管42を挿通し得る断面が半円弧状の2本の直線溝を平行に形成した2枚の円板40を前述同様に高温超電導体材料を焼結して作っておき、その一方の円板40の直線溝に冷媒配管41を挿入した状態で他方の円板40を直線溝が合致するように重合せて一体化する構成とするものである。
【0061】
このような構成の高温超電導バルク40によれば、冷媒配管41がバルク内の直線溝を通って外部に導出させた後、Uターンさせて再びバルク内に戻すことが可能となるので、液体窒素供給系との接続ができると共に、バルクの製作性も向上する。
【0062】
なお、図3では円板状の高温超電導バルクを構成する場合について述べたが、方形状の高温超電導バルクであっても前述同様に冷媒配管を挿入した構成とすることができる。
【0063】
また、前述した構成の高温超電導バルクは、フライホイール電力貯蔵装置の固定子側に設ける場合について述べたが、高温超電導バルク自体はフライホイール電力貯蔵装置以外の他の装置にも適用することができるものである。
【0064】
次に本発明の第4の実施の形態を図4により説明する。
図2に示したフライホイール電力貯蔵装置においては、アウタロータの内側に設けられる固定子として、円筒状の容器の内周面に複数の環状のスライド/ガイド軸受用バルクを段積みして構成したが、第4の実施の形態では図4に示すようにアウタロータ44の内側にギャップ45を存して同軸的に配設される固定子側に回転中心軸方向に複数に分割され、且つ円弧面が形成された板状の高温超電導バルク43を円周上に並べて相互間を接着して円筒状に構成したものである。
【0065】
なお、図4においては、高温超電導バルク43及びアウタロータ44の軸方向長さを同一長さとして示したいるが、実際はアウタロータ44は軸方向に長く、高温超電導バルク43はアウタロータ44の内側に設けられる図示しない固定子の中間部に取付けられるものである。
【0066】
このような構成としても、第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、高温超電導バルクとしては、直接焼結により円筒状に一体的に製作したものであってもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、アウターロータ方式としながら永久磁石にかかる遠心力を減らし、高温超電導バルクを直接冷却方式またはヒートバイプ冷却方式により効果的に冷却することができるフライホイール電力貯蔵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフライホイール電力貯蔵装置の第1の実施の形態を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の要部を示す断面図。
【図3】(a),(b)は本発明の第2の実施の形態の形態における高温超電導バルクの構成例を示す斜視図。
【図4】本発明の第4の実施の形態の要部を示す斜視図。
【図5】従来考えられているフライホイール電力貯蔵装置の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1……真空容器
2……固定子
3……フライホイール
4……回転子永久磁石
5……固定子巻線
6,7……スラスト/ガイド軸受用永久磁石
8……高温超電導バルク
9,10……タッチダウン軸受
14……インバータ
15……配線
17……真空排気ポンプ
18……真空排気ダクト
19,24……熱伝導板
20……支持体
21……ジャッキ
22……直接冷却用冷凍機
23……コンプレッサ
24〜29……スラスト/ガイド軸受用超電導バルク
30……容器
32,33……電動発電機用巻線コイル
34,35……スラスト/ガイド軸受用永久磁石群
36……電動発電機用永久磁石
37……フライホイール
38……内側固定子
39……アウターロータ
40……高温超電導バルク
41,42……冷媒配管
44……アウタロータ
43……高温超電導バルク

Claims (5)

  1. 真空容器と、この真空容器内に設けられ両端開口部が閉塞された円筒状の容器となる固定子と、この固定子の外側に同軸的に設けられた回転子となるフライホイールと、このフライホイールの上面に取付けられた回転支持体と、前記固定子内の上部閉塞面に取付けられた固定子巻線と、前記回転支持体の下面で前記固定子巻線と対向する位置に取付けられた回転子永久磁石と、前記フライホイールの回転中心軸側の面に固定されたスラスト/ガイド軸受用永久磁石と、このスラスト/ガイド軸受用永久磁石に対向する前記固定子側にその長手方向が回転中心軸方向に沿うように設けられ超電導状態に冷却される高温超電導バルクと、前記固定子側に設けられ前記高温超電導バルクを回転中心軸方向に移動させる移動機構とを備え、前記高温超電導バルクと前記スラスト/ガイド軸受用永久磁石との相互作用により、前記フライホイールを非接触の状態で浮上させて回転中心軸を中心に回転させるようにしたことを特徴とするフライホイール電力貯蔵装置。
  2. 請求項 1 記載のフライホイール電力貯蔵装置において、
    前記高温超電導バルクは、前記固定子内に配設された冷媒流通用又はヒートパイプ冷却型の冷却配管に冷媒又は冷熱を与える冷凍機を接続して冷却されることを特徴とするフライホイール電力貯蔵装置。
  3. 請求項 1 又は請求項2記載のフライホイール電力貯蔵装置において、
    前記固定子側に設けられる高温超電導バルクは、高温超電導材に予め金属又はセラミックの冷却配管を挿入して焼結されたものであることを特徴とするフライホイール電力貯蔵装置。
  4. 請求項 1 又は請求項2記載のフライホイール電力貯蔵装置において、
    前記固定子側に設けられる高温超電導バルクは、高温超電導材を円筒状に焼結されたものであることを特徴とするフライホイール電力貯蔵装置。
  5. 請求項4記載のフライホイール電力貯蔵装置において、
    円筒状に焼結された高温超電導バルクは、回転中心軸方向に複数に分割された板状のバルク片を円周上に並設して構成されたことを特徴とするフライホイール電力貯蔵装置。
JP16047598A 1998-06-09 1998-06-09 フライホイール電力貯蔵装置 Expired - Fee Related JP3887102B2 (ja)

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