JP3886664B2 - 炉内プロセス量測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子力発電所の原子炉圧力容器内のプロセス量の測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明では、例として再循環系にインターナルポンプ(以下、循環ポンプと記す)を採用した改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の冷却材流量測定装置について説明する。
【0003】
図13により改良型沸騰水型原子炉の構造の概要を説明する。
原子炉圧力容器1内には多数の燃料集合体を装荷した炉心部2が配置され、この炉心部2の上下両端に炉心支持板7と上部格子板8が設けられ、炉心部2と炉心支持板7および上部格子板8を包囲するシュラウド13が設けられている。原子炉圧力容器1の下部には、10〜12台の循環ポンプ12が配置されている。これらの循環ポンプ12により原子炉圧力容器内の冷却材は炉心部2に供給され、強制循環される。
【0004】
炉心部2で加熱された冷却材は蒸気となり、シュラウド13の上方に立設された多数本の気水分離器aで気液分離され、さらに蒸気乾燥器bを通過して乾燥し、乾燥蒸気となる。乾燥蒸気は主蒸気管cから流出してタービン(図示せず)へ送られ、タービンは回転し発電機を駆動する。
【0005】
タービンで仕事をした蒸気は復水器で凝縮されて復水となり、復水は復水浄化系を通って浄化され、給水系を通して給水管dから原子炉圧力容器1内に流入する。原子炉圧力容器1内に流入した給水つまり、冷却材は、ダウンカマ14を下降し、循環ポンプ12により再び昇圧され炉心部2に供給される。
【0006】
循環ポンプ12を採用した冷却材の流量測定は下記のようにして行われている。シュラウド13を貫通させ、圧力取出し位置としてポンプ吸込み側に取付けた吸込み側ノズルとポンプ吐出側に取付けた吐出側ノズルの圧力差△Pを測定する。
【0007】
圧力差△Pは循環ポンプ12の回転数と流量とによって決まるため、あらかじめ工場試験などで他の容器で回転数−流量−圧力差の関係を測定しておく。実際の原子炉では、回転数と圧力差△Pを測定して工場で求めた前述の回転数−流量−圧力差の関係を介して流量を求めている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
原子炉の冷却材流量を高精度で測定することは、原子炉運転の余裕をより正確に把握するうえで重要なことである。従来の原子炉の冷却材流量測定方法は、工場試験などで得られた循環ポンプ4の回転数−流量−圧力差の関係を実際の原子炉に適用する場合には、容器の形状の違いがあることから補正を行っている。
【0009】
しかしながら、上記補正には誤差が含まれている。また、流量を求める場合、回転数と圧力差の2つの物理量を測定しているが、これらが流量測定誤差を大きくしている原因となっている。さらに、回転数−流量−圧力差の関係が長期的なプラントの運転経過によって微妙に変化するなどの課題がある。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、工場試験の容器差の補正を行う必要がなく、冷却材流量の測定精度が向上し、長期的なプラントの運転経過による特性に影響されることがない、長期的に安定した炉心流量を計測できる炉内プロセス量測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明に係る燃料集合体は、原子炉の炉心内に挿入された検出器保護管と、前記検出器保護管内の軸方向に距離を離して配置した複数の温度センサからなる流速センサと、この流速センサの測定信号を処理するデータ処理装置と、このデータ処理装置で得られた値により炉心流量を算出する演算装置とを具備し、前記演算装置は前記データ処理装置で求めた流速と予め記憶しておいた前記検出器保護管内部断面積と前記検出器保護管内を流れる原子炉冷却材の密度から検出器保護管内流量を算出し、予め求めておいた検出器保護管内流量と炉心支持板差圧との関係および前記炉心支持板差圧と炉心流量の関係を用いて、炉心流量を算出することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、検出器保護管内軸方向の2点の温度の相関係数を計算し、最も相関関数が大きくなる条件から遅れ時間を求め、検出器保護管内流量を求める。そして、予め求めておいた検出器保護管内流量と炉心流量の関係から炉心流量を逆算する。したがって、炉心流量の測定が循環ポンプなどの経時的な特性変化を起こす可能性のあるものに依存しないため、長期的にも安定した信頼性の高い流量測定を行うことができる。
【0013】
また、この発明によれば、複数の温度センサにより各位置の温度を測定し、その測定値の温度ゆらぎの相関関数を求め、その値から前記検出器保護管内の流速を求めることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記流速センサは冷却材加熱用ヒータを備えてなることを特徴とする。この発明によれば、冷却材の温度ゆらぎが小さい場合に、前記ヒータで温度ゆらぎを生じさせることができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、前記温度センサはガンマサーモメータからなることを特徴とする。この発明によれば、炉内の出力監視と炉心流量の測定を併用することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、前記温度センサを検出器保護管内軸方向で、前記炉心上部と前記炉心下部の2ヶ所に配置したことを特徴とする。この発明によれば、温度センサ間の冷却材の通過時間を長くとることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記ガンマサーモメータの流速測定に用いるセンサ部を軸方向出力分布の大きい位置に近接配置したことを特徴とする。この発明によれば、信号出力を大きくとることができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記温度センサの検出器保護管内軸方向配置は前記原子炉内の炉心支持板より下側の軸方向に離れた複数箇所であることを特徴とする。この発明によれば、検出器保護管内流速が遅い箇所で流速の算出を行うことができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、前記温度センサを配置する部位の前記検出器保護管内の断面積を他の部位よりも大きくしてなることを特徴とする。この発明によれば、流速を遅くして精度よく測定することができる。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記温度センサを取付ける検出器保護管を前記原子炉内の循環ポンプの近傍に配置してなることを特徴とする。この発明によれば、循環ポンプの部分台数運転時などにも精度良く炉心流量を算出できる。
【0021】
請求項9記載の発明は、前記炉心内に複数本の検出器保護管を挿入し、これらの検出器保護管内にそれぞれ前記温度センサを取付けてなることを特徴とする。この発明によれば、炉心全体の検出器保護管内冷却材流速を監視できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1から図3(a),(b)により、本発明に係る炉内プロセス量測定装置の請求項1の発明に対応する第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態に係る炉内プロセス量測定装置の構成を一部ブロックで示す概略断面図、図2は図1における検出器保護管内への冷却材の流れを説明するための検出器保護管とその周囲を拡大して示す縦断面図、図3(a),(b)は温度ゆらぎにより流速を求める方法を説明するための図である。
【0023】
本実施の形態に係る炉内プロセス量測定装置は図1および図2に示したように原子炉圧力容器1の下部を貫通し炉心部2まで挿入された検出器保護管3と、この検出器保護管3内に配置された複数の温度センサ4…4と、これらの温度センサ4…4の測定信号を処理するデータ処理装置5と、このデータ処理装置5で得られた値を用いて炉心流量を算出する演算装置6とからなっている。
【0024】
データ処理装置5では検出器保護管3内に軸方向に離して設けた2点の温度センサ4,4の測定値のゆらぎの相関関数を計算し、相関の最も良い遅れ時間、2点の温度センサ4,4間を冷却材が通過するのに要する時間を算出する。
【0025】
次に、演算装置6ではデータ処理装置5で求めた流速と予め記憶しておいた検出器保護管内断面積から検出器保護管内流量を求める。さらに演算装置6は、予め炉内の流動解析により求めて記憶しておいた、検出器保護管内流量と炉心支持板7差圧および炉心流量の関係を用いて、検出器保護管内流量から炉心流量を算出する。
【0026】
なお、図1では検出器保護管3を1本のみ記載しているが、実際には原子炉圧力容器1内には検出器保護管3は複数本、例えば1300MWe 級の沸騰水型原子炉では50数本が存在している。
【0027】
つぎに、炉内の冷却材の流れについて図2を用いて説明する。
検出器保護管3は原子炉圧力容器1の下部を貫通し炉心支持板7を貫通して上部格子板8に押しつけられるような状態で配置されている。炉心支持板7と上部格子板8の間、つまり、炉心部2には検出器保護管3が1本ずつ単管で配置されているが、炉心支持板7から下方は検出器保護管3の外側にさらに案内管9で覆われた二重管構造で配置されている。
【0028】
検出器保護管3は直径が1インチ程度であり、その検出器保護管3内に局所出力測定用の中性子センサ10(例えば軸方向4ヶ所、直径6mm弱)と、この局所出力測定用中性子センサ10の感度校正用に他の中性子センサを挿入するための校正用センサ案内管11(例えば直径10mm弱)を有している。本実施の形態では検出器保護管3内にさらに温度センサ4を挿入している。
【0029】
原子炉圧力容器1内では、炉心部2の燃料により加熱され蒸気となった冷却材の一部はタービン(図示せず)へ送られるが、残りの冷却材は循環ポンプ12により原子炉圧力容器1内を循環する。シュラウド13の外側のダウンカマ14を循環ポンプ12で下方に吸い込まれた冷却材は、ポンプ吐出側でシュラウド13内に入り、原子炉圧力容器1の下部から炉心支持板7、炉心部2を通って上方へと流れていく。
【0030】
冷却材は炉心支持板7の下側で案内管9内に流入するものと、炉心支持板7を通過して炉心部2へ流入するものとに分かれる。また、炉心部2では燃料集合体15内を流れるものと、その外側のバイパス部16を流れるもの、炉心支持板7を通過しないで検出器保護管3内を流れてくるものがある。
【0031】
つぎに、検出器保護管3内の冷却材の流れを説明する。
ポンプ吐出側からシュラウド13内に入った冷却材の一部は案内管9にあけた炉心支持板7直下の位置にある冷却孔17から案内管9内に入る。案内管9内に入った冷却材は3つの流れに分かれる。
【0032】
1つは検出器保護管3と炉心支持板7のすき間を通って炉心部2へ流れていくもの、1つは案内管9の冷却孔17と同様な位置にある検出器保護管3の冷却孔18から検出器保護管3内に流入するもの、もう1つは案内管9と検出器保護管3の間を下方に流れ案内管9の下方にあけた冷却孔19から検出器保護管3内に流入する流れである。
【0033】
後者の2つの流れは検出器保護管3内を上方に向かって流れ、検出器保護管3の炉心部2の上方位置にあけた冷却孔20から炉心部2へ流出していく。検出器保護管3内の流れは各部の圧力及び圧力損失とを用いて以下のように表せる。
ΔP/ρ=R1 +R2
ΔP/ρ=R1 +R3 +R4 +R6
ΔP/ρ=R1 +R3 +R5 +R6
【0034】
ここで、△Pは炉心支持板上下の圧力差(炉心支持板差圧)、R1 は案内管9の冷却孔18の圧損、R2 は炉心支持板7と検出器保護管3のすき間部分の圧損、R3 は冷却孔17から冷却孔18までの圧損、R4 は冷却孔18の圧損、R5 は案内管9と検出器保護管3の間の圧損と検出器保護管3の冷却孔19の圧損および冷却孔19から炉心支持板7位置までの検出器保護管内3の圧損、R6 は炉心支持板から上の検出器保護管内の圧損および上部の冷却孔20の圧損、そしてρは冷却材の密度である。
【0035】
上記関係からわかるように検出器保護管3内の流れは、炉心支持板差圧の関数として求めることができる。また、炉心支持板差圧も炉心流量の関数として求めることができる。
【0036】
検出器保護管3内の流速の測定は、たとえば、「原子炉の計測」川口千代二、荒克之著(幸書房)に示されているように、冷却材の流れの方向に離れて設置された温度センサ4の温度ゆらぎの相関関係から求めることができる。
【0037】
図3(a),(b)に温度ゆらぎと相関関係から流速を求める場合の概念図を示す。図3(a)は温度センサ1,2の温度と時間との関係を示し、図3(b)は相関関数φ12と遅れ時間との関係を示している。二点の温度測定結果から下式のように相互相関関数を求める。φ12(i△τ) は相互相関関数、△tはサンプリング時間間隔、Nは観測時間の分割数、△τは遅れ時間の測定周期である。
【0038】
【数1】
【0039】
図3(a)に示すように二点の温度センサ1,2間を冷却材の温度ゆらぎが維持されて伝播するとすると、図3(b)に示すように相互相関係数は遅れ時間が冷却材が二点の温度センサ間を通過する時間に一致した場合が最も大きくなる。このようにして求めた2点間を冷却材が通過する時間τd と2点間の距離lから冷却材の流速vを求める。
v=l/τd
【0040】
なお、検出器保護管3内は燃料集合体内とは異なり、冷却材は沸騰しないため、二相流の流速を計測する場合のボイド速度と液体速度の違いなどを考慮しなくて良い。
【0041】
本実施の形態では、検出器保護管内流量と炉心支持板差圧および炉心支持板差圧と炉心流量の関係は予め原子炉内の流動解析により関係を求めておき、演算装置6に記憶させておくことにより、検出器保護管3内の流速を測定することにより炉心流量を算出する。
【0042】
このように流量測定に循環ポンプの特性を用いる必要がないため、機器特性の経年変化の影響を受けることがなく信頼性の高い炉内プロセス量測定装置を提供することができる。
【0043】
つぎに図4により第2の実施の形態を説明する。
図4は本実施の形態の要部を示しており、図1において炉心部2内に挿入した検出器保護管3内を拡大して示す概略的断面図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、検出器保護管3内に配置する温度センサ4としてシース型の熱電対21を設けたことにある。その他の部分は第1の実施の形態と同様である。
【0044】
前述したように検出器保護管3は1インチ程度の径の中に中性子センサ10およびその校正用センサ案内管11が設けられているため、挿入する温度センサはある程度小さくする必要がある。シース型の熱電対21は数mm以下のものが容易に手に入り、検出器保護管3内に複数本挿入することも問題なく行うことができる。
【0045】
また、直径が数mm以下のシース型の熱電対21は応答も早く1秒以内の応答特性を有するため、温度ゆらぎに対する応答も十分である。シース型の熱電対21は炉内の温度センサとして実績があり、信頼性の高い測定装置を得ることができる。なお、温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0046】
つぎに図5により第3の実施の形態を説明する。
図5は第2の実施の形態に準じており、本実施の形態が第2の実施の形態と異なる点は、検出器保護管3内に配置する温度センサとして超音波の伝播速度が温度により異なることを利用して温度を測定する超音波温度計22を設けたことにある。
【0047】
図5に示すように、超音波導波棒23に複数のノッチ24を設けておくことで、1本の超音波導波棒23で複数点の温度を測定することが可能となる。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0048】
次に図6により請求項2の発明に対応する第4の実施の形態を説明する。図6は本実施の形態の要部を示しており、本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、検出器保護管3内に配置する複数の温度センサ4からなる流速センサに冷却材加熱用ヒータ25を冷却材上流側に設けたことにある。
【0049】
本実施の形態によれば、冷却材の温度ゆらぎが小さい場合にもヒータ25による発熱で温度ゆらぎを生じさせることができる。これにより温度ゆらぎの相関関数を算出することができる。また、温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
次に図7により請求項3の発明に対応する第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は第4の実施の形態に準じており、本実施の形態が第4の実施の形態と異なる点は、検出器保護管3内に配置する温度センサ4としてガンマサーモメータ26を設けたことにある。
【0051】
ガンマサーモメータ26は図7に示すように金属棒27の一部に断熱ガスを封じた断熱部を設けることでガンマ発熱によりセンサ部29に温度差が生じるようにし、その温度差を差動熱電対30で計測するもので、原子炉内の出力監視や水位監視への適用を目的として使用されている。
【0052】
ガンマサーモメータ26の出力は冷却材の温度ではなく、ガンマ発熱によりセンサ部29に生じる温度差であるため、第1の実施の形態で説明したように単純に出力(温度差)の相関関数を求めると出力(温度差)が炉心軸方向の出力分布に依存するので、各センサ部の出力(温度差)の平均値からのずれの相互相関関数を用いて流速を求める。相互相関関数から冷却材の温度センサ間を通過するに要する時間を求める方法は第1の実施の形態と同様にして計算できる。
【0053】
沸騰水型原子炉では校正用中性子センサの代わりにガンマサーモメータ26を用いる検討が行われているが、本実施の形態では、そのガンマサーモメータを検出器保護管内流速測定に併用する装置を提供する。
【0054】
なお、ガンマサーモメータ26は通常温度差による測定を行うため、差動熱電対30を用いているが、さらに温度を測定する熱電対を加えた構造とし、その熱電対の出力から流速を求めるようにしても良い。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0055】
つぎに第6の実施の形態を説明する。
本実施の形態は第1の実施の形態における図1に示した検出器保護管3内に配置する温度センサ4として抵抗式温度計(図示せず)を設けたことにある。
【0056】
一部のタイプの抵抗式温度計は文献(KTH-NEL-53 "Development of a new core cooling monitor and performance studies in a boiring water reactor" Becker et.al )にあるように水位計としても適用が検討されている。
【0057】
本実施の形態では、これをさらに流量計測にも併用することとしたものであり、炉水位計と炉心流量計が兼用できる。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施例と同様であるので、その説明は省略する。
【0058】
次に図8により請求項4の発明に対応する第7の実施の形態を説明する。本実施の形態は図8に示したように、検出器保護管3内に挿入する温度センサ4の位置を炉心部2の上部および下部の2ヶ所に配置したことにある。その他の部分は第1の実施の形態と同様なので、それらの説明は省略する。
【0059】
本実施の形態によれば、冷却材の温度センサ間の通過時間を長くとることができ、通過時間を長くすることで時間測定精度を向上させ、流速の算出精度を向上させることが可能となる。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0060】
つぎに図9(a),(b)により請求項5の発明に対応する第8の実施の形態を説明する。本実施の形態は第5の実施の形態において図7に示したガンマサーモメータ26の流速測定に用いるセンサ部29を炉心出力の大きい軸方向中心位置近傍に配置したことにある。
【0061】
図7に示すガンマサーモメータ26を図9(a)に示す温度センサ4として炉心出力の測定に用いる場合、炉心部2の軸方向に例えば9ヶ所など、図7に示すように複数のセンサ部29を有するが、ガンマサーモメータ26の出力はガンマ発熱に比例して大きくなるので、炉心出力の大きい位置のセンサ部29はその出力が大きく測定精度の向上が図れる。
【0062】
なお、炉心軸方向の出力分布は図9(b)に示したように燃料の燃焼状態により変化するため、燃焼状態に応じて流速測定に用いるセンサをその時の出力信号が大きいセンサを選択する機能を有するようにしても良い。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0063】
次に図10により請求項6の発明に対応する第9の実施の形態を説明する。本実施の形態は図10に示したように検出器保護管3内の温度センサ4の配置を炉心支持板7より下側としたことにある。検出器保護管3内への冷却材の流れの多くは炉心支持板直下の位置にある冷却孔19から入り、案内管9と検出器保護管3の間を下側にいく流れは少ないため、炉心支持板7より下側の検出器保護管3内の流速は遅くなる。
【0064】
本実施の形態によれば、流速の遅い部分で測定することにより測定精度を向上させるものである。温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0065】
次に図11により請求項7の発明に対応する第10の実施の形態を説明する。本実施の形態は図11に示したように検出器保護管3の温度センサ4を配置する部位の断面積を大きくして、検出器保護管3内の流速を遅くすることにより計測精度を向上させるようにしたことにある。本実施の形態によれば、温度ゆらぎによる流速の測定およびそれを用いた炉心流量の算出に関する作用効果等は第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0066】
次に図12により請求項8の発明に対応する第11の実施の形態を説明する。図12は本実施の形態において、第1の実施の形態で示した温度センサ4を設置する検出器保護管31の配置を示す炉心の上面図である。本実施の形態では温度センサ4を配置する検出器保護管31を炉心部2の外周部の循環ポンプ12近傍にあるものとし、循環ポンプ12が部分台数運転を行った場合などにも全体の温度センサ4から得られる流速をもとに炉心流量を算出するようにして計測精度を向上させることにある。
【0067】
例えば、本実施の形態では複数の検出器保護管31の温度センサから得られる流速の平均を取るようにするか、または循環ポンプ12の部分台数運転など運転条件の違う場合についても炉内の流動解析を行っておき、そのデータを図1に示す演算装置6に記憶させておき流量を算出するようにしても良い。
【0068】
次に図12により請求項9の発明に対応する第12の実施の形態を説明する。本実施の形態は図12に示したように炉心部2内に配置された複数の検出器保護管31に温度センサを取付け流速計算を行うようにしたものである。検出器保護管31内の流速の算出は第11の実施の形態と同様に平均値をとることにしても良い。また、炉心部2内全ての検出器保護管3,31に温度測定センサを取付けておき、全体の検出器保護管内流速監視を行うことにより検出器保護管近傍の圧力分布の異常の監視を行うことができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の循環ポンプの持つ回転−流量の関係を使う必要がなくなり、工場試験での容器差での補正を行う必要がなくなる。また、循環ポンプの吸い込み側に設けた差圧式流量計測流路の内壁にクラッドが付着して計測精度が劣化することはなくなり、長期間にわたって冷却材流量計測精度を維持することが可能となり、これらによって原子炉運転の余裕がより正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炉内プロセス量測定装置の第1の実施の形態を説明するための概略断面図。
【図2】図1における検出器保護管部分を拡大して詳細に示す縦断面図。
【図3】(a)は温度ゆらぎにより流速を求める方法を説明するための波形図、(b)は(a)において相関関数と遅れ時間との関係を示す波形図。
【図4】本発明の第2の実施の形態における検出器保護管内要部を示す概略断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態における検出器保護管内要部を示す概略断面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態におけるヒータ付き温度計を示す概略断面図。
【図7】本発明の第5の実施の形態におけるガンマサーモメータを示す概略図。
【図8】本発明の第7の実施の形態における温度センサを炉心部の上部と下部に配置した例を示す概略断面図。
【図9】(a)は本発明の第8の実施の形態におけるガンマサーモメータのセンサ部を出力の大きい軸方向位置に配置した例を示す概略断面図、(b)は(a)における炉心軸方向と出力の関係を示す特性図。
【図10】本発明の第9の実施の形態における温度センサを炉心支持板より下側に配置した例を示す概略断面図。
【図11】本発明の第10の実施の形態における検出器保護管の断面サイズを大きくした例を示す概略断面図。
【図12】本発明の第11および第12の実施の形態における温度センサを取付けた検出器保護管の炉心での位置を示す炉心平面図。
【図13】改良型沸騰水型原子炉の構造を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…炉心部、3…検出器保護管、4…温度センサ、5…データ処理装置、6…演算装置、7…炉心支持板、8…上部格子板、9…案内管、10…中性子センサ、11…校正用センサ案内管、12…循環ポンプ、13…シュラウド、14…ダウンカマ、15…燃料集合体、16…バイパス部、17…冷却孔、18…冷却孔、19…冷却孔、20…冷却孔、21…熱電対、22…超音波温度計、23…超音波導波棒、24…ノッチ、25…ヒータ、26…ガンマサーモメータ、27…金属棒、28…断熱部、29…センサ部、30…差動熱電対、31…検出器保護管、32…炉心、33…気水分離器、34…蒸気乾燥機、35…主蒸気管、36…給水管。
Claims (9)
- 原子炉の炉心内に挿入された検出器保護管と、前記検出器保護管内の軸方向に距離を離して配置した複数の温度センサからなる流速センサと、この流速センサの測定信号を処理するデータ処理装置と、このデータ処理装置で得られた値により炉心流量を算出する演算装置とを具備し、前記演算装置は前記データ処理装置で求めた流速と予め記憶しておいた前記検出器保護管内部断面積と前記検出器保護管内を流れる原子炉冷却材の密度から検出器保護管内流量を算出し、予め求めておいた検出器保護管内流量と炉心支持板差圧との関係および前記炉心支持板差圧と炉心流量の関係を用いて、炉心流量を算出することを特徴とする炉内プロセス量測定装置。
- 前記流速センサは冷却材加熱用ヒータを備えてなることを特徴とする請求項1記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記温度センサはガンマサーモメータからなることを特徴とする請求項1又は2記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記温度センサを検出器保護管内軸方向で、前記炉心上部と前記炉心下部の2ヶ所に配置したことを特徴とする請求項1乃至3記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記ガンマサーモメータの流速測定に用いるセンサ部を軸方向出力分布の大きい位置に近接配置したことを特徴とする請求項3又は4記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記温度センサの検出器保護管内軸方向配置は前記原子炉内の炉心支持板より下側の軸方向に離れた複数箇所であることを特徴とする請求項1乃至5記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記温度センサを配置する部位の前記検出器保護管内の断面積を他の部位よりも大きくしてなることを特徴とする請求項1乃至6記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記温度センサを取付ける検出器保護管を前記原子炉内の循環ポンプの近傍に配置してなることを特徴とする請求項1乃至7記載の炉内プロセス量測定装置。
- 前記炉心内に複数本の検出器保護管を挿入し、これらの検出器保護管内にそれぞれ前記温度センサを取付けてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の炉内プロセス量測定装置。
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