JP3885847B2 - 熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば濃縮管や捕集管に好適で、簡単な構成でデッドボリュ−ムを少なくするとともに、接続部の強度を強化して管接続時の変形や破損を防止し、また既存品との互換性と既設装置の使用を促し、更に封止材の使用量を低減して、その合理的な使用とメインテナンスの利便性およびコストの低減を図り、しかも管接続部からの汚染成分の侵入と測定成分の再吸着とを防止し、信頼性の高い測定結果を得られるとともに、捕集効率を向上し吸着分解を低下して、捕集成分を捕集材に精密に吸着させ、低流量の捕集を実現できるようにした熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガスクロマトグラフへ試料導入する際に使用される加熱脱着装置の濃縮管は、その濃縮効果を高めるために管内のデッドボリュームを少なくする必要がある。
そのため、通常は濃縮管内にできるだけ多く充填剤を詰め込んで使用していたが、この場合は管端部が加熱部でないため、高温度下で脱着したサンプルガスが管端部を通過する際、当該部の充填剤に再吸着される、という問題があった。
【0003】
このため、例えば特開平9−113493号公報では、濃縮管の非加熱部端部に測定成分の吸着性が低く、かつ通気性を有する石英ウール等の封止材を配置し、この封止材の間に充填剤を填充して吸着を防止していたが、この場合は大量の封止材を要してコスト高になるとともに、接続部やシール部材による汚染成分がカラムに侵入し易く、測定の信頼性が低下するという問題があった。
【0004】
ところで、1996年12月発行の月刊誌「自動車研究」第18巻所載の「熱脱着チューブ法による大気中の半揮発性物質の分析法の検討」において、半揮発性物質の吸着原因に関する記載がある。
【0005】
すなわち、上記文献の「捕集剤容器のガラス管の改良」に関する記載において、加熱追い出し部の内外に配置した捕集剤容器であるガラス管の出口部をすりばち状に形成し、該管の内径を加熱追い出し部の内外で相違させ、加熱追い出し部より外側の内径を内側よりも小径に形成し、該管の出口にキャピラリーカラムを接続し、かつこれらをカラムの外側にコーティングしたポリイミドを利用して直接接続し、半揮発性物質の回収率を改善している。
【0006】
しかし、上記文献の改良装置は、ポリイミドを介して捕集管とキャピラリーカラムとを直接溶着しているため、捕集管とキャピラリーカラムとが一体化し、それらの個々の着脱や交換が不可能になって、メインテナンスが困難になる、という問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題を解決し、例えば濃縮管や捕集管に好適で、簡単な構成でデッドボリュ−ムを少なくするとともに、接続部の強度を強化して管接続時の変形や破損を防止し、また既存品との互換性と既設装置の使用を促し、更に封止材の使用量を低減して、その合理的な使用とメインテナンスの利便性およびコストの低減を図り、しかも管接続部からの汚染成分の侵入と測定成分の再吸着とを防止し、信頼性の高い測定結果を得られるとともに、捕集効率を向上し吸着分解を低下して、捕集成分を捕集材に精密に吸着させ、低流量の捕集を実現できるようにした熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明は、試料を加熱脱着可能な熱脱着チュ−ブ内に捕集材を収容し、該チュ−ブの一端部を試料捕集側に開口して試料を吸引する熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法において、前記熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の内径小径部を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動させて、低流量を吸入し、その吸引力を向上するとともに、内径小径部を通過する試料の移動速度を増速させて、捕集成分分子の拡散を防止し、捕集効率を向上するとともに、吸着分解を低下させている。
しかも、内径小径部を通過後、熱脱着チュ−ブを移動する試料の移動速度を低下させて、捕集成分を捕集材に長時間かつ精密に吸着させ、低流量の捕集を実現させている。
【0009】
請求項2の発明は、前記熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の貫通孔を有する所定長さのオリフィスチュ−ブを接続し、前記貫通孔を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動させて、オリフィスチュ−ブを利用した試料の捕集を効率良くかつ精密に行ない、低流量の捕集を実現させている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をTCT(Thermal desorption
Cold Trap injector)装置、つまり熱脱着・冷却吸着トラップ試料導入装置を用いて、大気中の半揮発性物質の試料捕集およびその分析に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図4において1は保持容量測定用のガスクロマトグラフで、そのオーブン2に分離カラム3を配管し、その下流側に検出器(図示略)を配置している。
【0019】
分離カラム3の上流側はコールドトラップ管4に連通し、該管4がクライオフォーカス部5に配管されている。図中、6はパージガス排出管、7,8は冷媒導管で、液体窒素をクライオフォーカス部5に供給可能にしている。
【0020】
コールドトラップ管4の上流側は、分析導管であるキャピラリーチューブ9に連通し、該チューブ9が連結手段を構成するユニオン10の下方から後述の内径小径部に挿入されている。
すなわち、ユニオン10の内部に熱脱着サンプルチューブを構成する熱脱着チューブ11の下流側端部が収容され、該チューブ11は内部を通孔12が貫通していて、その内径小径部12aの外端部から前記キャピラリーチューブ9の上流側端部が差し込まれている。
【0021】
内径小径部12aは、キャピラリーチューブ9の収容スペースを除いて空スペースに構成され、その内径はキャピラリーチューブ9の挿入時に非接触状態を保持し得る範囲で可及的に小径に形成され、熱脱着チューブ11の高温加熱時、キャピラリーチューブ9の周面にコーティングしたポリミイドによる融着を回避させている。
【0022】
図中、13はユニオン10の上部周面のネジ部にねじ込んだ連結手段を構成する袋ナットで、それらの間に介在したフェラル14を圧着し、それら気密を保持させている。
15はユニオン10の底面に形成した導孔で、ユニオン10の周面に開口し、該導孔15に前記キャピラリーチューブ9に連通するバックフラッシュガス導管16が接続されている。
【0023】
熱脱着チューブ11は石英ガラスまたはステンレス鋼で細管状に成形され、その外径および長さを既存品と同一に形成して、既存品との互換性と既設装置の利用を可能にしている。
熱脱着チューブ11の通孔12は、一端部で略1/3に縮径されて内径小径部12aを形成し、該小径部12aの長さを前記チューブ11の長さの略1/5〜1/4に形成している。
【0024】
熱脱着チューブ11は、後述のヒートブロックに加熱されるサンプル加熱追い出し部11aと、非加熱部11b,11cとで構成され、このうちサンプル加熱追い出し部11aは熱脱着チューブ11の中間部に設けられ、該チューブ11の両端部に非加熱部11b,11cが設けられ、下流側の非加熱部11b一帯に前記内径小径部12aが形成されている。
この実施形態では、内径小径部12aの長さを熱脱着チューブ11の下流側の非加熱部11cの長さと略同長または若干長尺にし、内径小径部12aにおける測定成分の吸着と拡散を充分に防止し得るようにしている。
【0025】
すなわち、熱脱着チューブ11は加熱体であるヒートブロック17の収容溝(図示略)に立位状態で設置され、前記ヒートブロック17内にサンプル加熱追い出し部11aを収容し、非加熱部11b,11cをヒートブロック17の上下に突出して配置している。
上記ヒートブロック17は、前部にカバー(図示略)が開閉可能に取付けられ、熱脱着チューブ11の着脱を可能にしている。
【0026】
そして、下流側の非加熱部11bを前記ユニオン10内に差し込み、その上流側の非加熱部11cをチューブホルダー18に差し込んでいる。図中、19,20はチューブホルダー18に接続したキャリアガス導管とバックフラッシュガス排出管である。
【0027】
この他、21は通孔12の両端部に配置した石英ウール若しくはグラスウール等の封止材で、測定成分の吸着性が低く通気性を備え、該封止材21,21の間に塊状の捕集材22または充填材(以下、単に捕集材と呼ぶ)が詰め込まれている。
23は試料の捕集時、通孔12の開口側端部に一端を接続した導管で、その他端を吸気ポンプ24に接続している。25はユニオン10の底面に形成した透孔で、該孔25にキャピラリーチューブ9が挿入されている。
【0028】
このように構成した熱脱着チューブ11は石英ガラスやステンレス鋼管によって小径の直管状に構成し、その外径および長さを既存品と同一に形成して、既存品との互換性を図るとともに、既設の分析装置の利用を可能にしている。
【0029】
また、熱脱着チューブ11は、その下流側端部の内径を縮径して内径小径部12aを形成し、その内径は通孔12の略1/3で、キャピラリーチューブ9の挿入に非接触状態を保持し得る範囲で可及的に小径に形成し、内径小径部12aの長さを一方の非加熱部11bの長さと略同一に形成する。
このように上記熱脱着チューブ11の構成は、さほど複雑ではないから、これを容易かつ安価に製作できる。
【0030】
また、上記熱脱着チューブ11は前述のように下流側端部の内径を縮径し、内径小径部12aの肉厚を他の部分に比べて厚肉に形成しているから、その分当該部の強度が強化し、しかも上記小径部12aは通孔12に比べて表面積が小さいから、その分試料の吸着現象が少なくなる。
【0031】
次に上記熱脱着チューブ11を使用して、例えば大気中の有害大気汚染物質を捕集する場合は、図4のように通孔12の両端部に封止材21,21を詰め、それらの間に捕集材22を詰め込む。
この場合、上記封止材21,21は図示のように小量でよいから、非加熱部全体に封止材を詰める従来のこの種チューブに比べて、封止材21の使用量が少なく、その分コストの低減を図れる。
【0032】
こうして、捕集材22等を詰め込み後、熱脱着チューブ11の内径小径部12aを大気側へ開口し、その他側端部に導管23の一端を接続し、該管23の他端を吸気ポンプ24に接続し、該ポンプ24を駆動する。
【0033】
このようにすると、大気が内径小径部12aから熱脱着チューブ11に吸入され、上記小径部12aを移動して大径側の通孔12に導かれ、当該部に填充した捕集材22に捕集成分が吸着される。
【0034】
その際、通孔12と同径の吸引口に比べて、内径小径部12aから少量の大気が吸入され、これが通孔12と同径の移動路に比べて内径小径部12を速い速度で移動し、大径側の通孔12に到達したところで、今度はゆっくり移動し捕集材22に吸着される。
この場合、内径小径部12a内は空スペースに形成されているから、チューブの両端部に封止材を配置した従来のこの種のものに比べて、吸入空気の移動速度の低下を防止し、捕集成分の分子の拡散を防止する。
【0035】
したがって、上記内径小径部12aにおける線速度の向上によって、大気の吸引力が向上するとともに、前記線速度が捕集成分分子の拡散速度以上になって、上記成分の分子の拡散が低減し、捕集効率が向上するとともに、吸着分解が低下する。
しかも、大径側の通孔12では吸入空気がゆっくり移動して、捕集材22に吸着されるから、長い時間を掛けて精密に吸着される。
【0036】
このように上記試料捕集法は、従来のような同一口径の捕集管による捕集に比べて、捕集流体の吸引力と吸入速度が向上し、捕集成分の拡散を低減する一方、比較的長い吸着時間を確保し精密に吸着し得るから、低流量捕集が可能になる。
【0037】
次に上記捕集した試料成分を分析する場合は、ヒートブロック17のカバー(図示略)を開放し、その収容溝に試料捕集後の熱脱着チューブ11を立位状態で収容し、そのサンプル加熱追い出し部11aをヒートブロック17に収容し、該チューブ11の上端部の非加熱部11cをチューブホルダー18に挿入し、下端部の非加熱部11bをユニオン10内に差し込む。
【0038】
そして、予めユニオン10内に挿入したキャピラリーチューブ9に内径小径部12aを差し込み、かつその際キャピラリーチューブ9を内径小径部12a内面に非接触状態で差し込み、熱脱着チューブ11の高温加熱時、キャピラリーチューブ9の周面にコーティングしたポリミイドが上記小径部12a内面に融着する事態を回避する。
【0039】
このようにすることで、少なくとも熱脱着チューブ11とキャピラリーチューブ9との分離が可能になり、それらの着脱や交換が可能になって、メインテナンスが至便になる。
【0040】
この後、ユニオン10の上部にフェラル14を介して袋ナット13をねじ込み、熱脱着チューブ11を気密に固定する。この場合、上記チューブ11は内径小径部12a以外は、外径および長さが既存品と同一であるから、熱脱着チューブ11同士の互換性を得られ、既設分析装置の使用も可能になる。
【0041】
しかも、ユニオン10や袋ナット13に接触する内径小径部12a側の肉厚を厚肉に形成し、当該部の強度を強化したから、袋ナット13のねじ込みや締め付けによる破損と変形を防止し得る。
【0042】
このような熱脱着チューブ11の取付け状況は図1および図3のようで、ヒートブロック17の下方に非加熱部11bが突出し、当該部11bの内部に内径小径部12aが位置している。
【0043】
このような状況ではTCT装置はプレクール工程に置かれ、液体窒素等の冷媒が冷媒導管7からクライオフォーカス部5に供給され、該クライオフォーカス部5が予め冷却される。その際、パージガス排出管6にヘリウムガス等のキャリアガスが供給され、該ガスが分離カラム3に導かれる。
【0044】
また、分析前に熱脱着チューブ11の水分を除去する場合は、プレフラッシュ工程を選択し、キャリアガスをバックフラッシュガス導管17へ供給し、該ガスをユニオン10内へ導く。
【0045】
バックフラッシュガスはユニオン10から上下に分流し、その一方は内径小径部12aから通孔12に導かれて熱脱着チューブ11内を上動し、充填材22に付着した水分をバックフラッシュガス排出管20へ導き、これを外部へ排出する他方のバックフラッシュガスは、クライオフォーカス部5側へ移動し、分離カラム3へ導かれる。
【0046】
こうして分析準備が完了したところで、TCT装置は脱着工程へ移行し、ヒ−トブロック17を加熱するとともに、キャリアガスをキャリアガス導管19へ供給する。
このようにすると、ヒ−トブロック17に接触する熱脱着チュ−ブ11が加熱され、捕集材22に吸着された捕集成分が加熱脱着されて、これが次第に濃縮されながら通孔12内をキャリアガスと一緒に下方へ移動し、内径小径部12aへ導かれる。
【0047】
内径小径部12aは通孔12に比べて小径でデッドボリュームが小さく、その分線速度が向上し、該線速度が脱着した測定成分の分子の拡散速度以上になって、上記成分の分子の拡散を低減するから、ピークの広がりを低減し、クロマトグラムのブロードを低減する。
【0048】
この場合、内径小径部12aは非加熱部11bにあって、ヒートブロック18による加熱を直接受けず、昇温不足の状態に置かれるが、該部分に充填材22が存在しないから、従来のように脱着した測定成分が捕集材に再吸着し、クロマトグラムをブロードにしたり、濃縮効果を低減することはない。
しかも、内径小径部12aは通孔12に比べて小径で表面積が小さく、上記測定成分の線速度が向上するから、吸着の蓋然性が一層低減する。
【0049】
このように本発明は内径小径部12aによって、脱着した測定成分の再吸着を防止し、従来のように大量の封止部材を要しないから、その分コストの低減を図れ、また内径小径部12aを通孔12に比べ小径にすることで、ユニオン10やフェラル14等の連結手段やシール材からの汚染を防止し、目的成分のみの信頼性の高い分析結果を得られる。
【0050】
こうして脱着した成分は、濃縮効果を保ったままクライオフォーカス部5へ移動し、当該部でコールドトラップされる。
その際、スプリット機能を選択すると、キャリアガスの一部がパージガス排出管6に導かれ、外部へ排出される。
【0051】
この後、インジェクト工程へ移行すると、クライオフォーカス部5が高速加熱されて脱着した成分を気化し、これを分離カラム3へ導く。分離カラム3は各成分毎に分離し、これらを検出器で検出し記録器(共に図示略)から出力する。
なお、インジェクト工程時にはキャリアガスをバックフラッシュガス導管16へ供給し、これをクライオフォーカス部5から分離カラム3へ導いている。
【0052】
そして、分析工程の最後にバックフラッシュ工程へ移行し、キャリアガスをバックフラッシュガス導管16へ供給し、該ガスをユニオン10へ導入して上下に分流させる。
このうち、一部のバックフラッシュガスを内径小径部12aから通孔12を介して熱脱着チューブ11内へ導き、充填材22に付着した水分をバックフラッシュガス排出管21へ移動させ、これを外部へ排出する。
【0053】
このように本発明は簡単な構造でありながら、その強度の強化と合理的な使用を図れ、しかも試料の捕集およびその成分分析を効率良く高精度に行なえ、分析結果の信頼性を得られるものである。
【0054】
図5および図6は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態と対応する構成部分には同一の符号を用いている。
このうち、図5は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は熱脱着チューブ11の内部に内径小径部12aを一体に成形する代わりに、全域に亘って同径の通孔12を有する熱脱着チューブ11と、該チューブ11に挿入可能な短小なオリフィスチューブ26とからなり、該チューブ26を熱脱着チューブ11の下流側端部に密着して挿入している。
【0055】
オリフィスチューブ26は通孔12よりも小径の前記内径小径部12aに相当する貫通孔27を有し、該孔27は分析導管9と非接触状態を保持しつつ可及的に小径に形成し、分析導管9の高温加熱時、分析導管9にコーティングした塗布剤による前記貫通孔27と分析導管9との溶着を防止し、オリフィスチューブ26と分析導管9との交換を可能にするとともに、貫通孔27を移動する測定成分の吸着防止効果と、貫通孔27を通過する試料の移動速度の増速化を促し、測定成分の拡散防止を強化して、オリフィスチューブ26を使用した測定の高信頼性を得るようにしている。
【0056】
前記オリフィスチューブ26の長さは、熱脱着チューブ11の下流側の非加熱部11bの長さと略同長またはそれ以上に形成し、前記熱脱着チューブ11を濃縮管等に使用する際、測定成分の拡散と吸着を防止するようにしている。
【0057】
すなわち、この実施形態は内外径が互いに異径な汎用の二様の管材を利用し、これらを適宜長さに裁断して接続することで、第1実施形態の熱脱着チューブ11と同様な作用効果と使用法を安価かつ容易に得られ、しかもそれらの着脱や交換を可能にして、メインテナンスを至便にさせている。
なお、この実施形態による試料の捕集法、およびその成分の分析法は、前述した実施形態と同等な作用効果を得られる。
【0058】
なお、前述の実施形態は何れも通孔12に捕集材22を収容して、サンプルを捕集し測定成分を分析しているが、直接サンプルを通孔12に収容して分析することも可能であり、そのようにすることで捕集材22を省略し、分析コストの低減を図れる。
【0059】
図6は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は前記第2の実施形態の応用例を示している。すなわち、この実施形態はバックフラッシュガス導管16を接続しないユニオン10、つまりバックフラッシュラインを有しないユニオン10で最も汎用されているタイプに本発明を適用した例を示し、上記構成の省略分、構成が簡単になりデッドボリュームが少なくなる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1の発明は、熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の内径小径部を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動させるから、低流量を吸入し、その吸引力を向上するとともに、内径小径部を通過する試料の移動速度を増速させて、捕集成分分子の拡散を防止し、捕集効率を向上するとともに、吸着分解を低下させることができる。
しかも、内径小径部を通過後、熱脱着チュ−ブを移動する試料の移動速度を低下させて、捕集成分を捕集材に長時間かつ精密に吸着させ、低流量の捕集を実現させことができる
【0061】
請求項2の発明は、前記熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の貫通孔を有する所定長さのオリフィスチュ−ブを接続し、前記貫通孔を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動させるから、オリフィスチュ−ブを利用して試料の捕集を効率良くかつ精密に行なえ、低流量の捕集を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による試料の成分分析状態の要部を示す断面図である。
【図2】本発明に適用した熱脱着チューブの要部を拡大して示す断面図である。
【図3】 図1の成分分析状態の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明に適用した試料の捕集方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
9 分析導管(キャピラリーチューブ)
10 連結手段(ユニオン)
11 熱脱着チューブ
11a サンプル加熱追い出し部
11b 非加熱部(下流側)
12 通孔
12a 内径小径部
22 捕集材(充填材)
26 オリフィスチューブ
27 貫通孔
Claims (2)
- 試料を加熱脱着可能な熱脱着チュ−ブ内に捕集材を収容し、該チュ−ブの一端部を試料捕集側に開口して試料を吸引する熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法において、前記熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の内径小径部を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動することを特徴とする熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法。
- 前記熱脱着チュ−ブのサンプル加熱追い出し部よりも試料の移動方向上流側に、前記サンプル加熱追い出し部側の内径よりも小径の貫通孔を有する所定長さのオリフィスチュ−ブを接続し、前記貫通孔を試料捕集側に開口し、該開口部から試料を吸引し下流側へ移動する請求項1記載の熱脱着サンプルチュ−ブの試料捕集方法。
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