JP3885694B2 - 飛灰の浸出処理装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は飛灰のスラリー化と浸出処理とを効率よく行うことができる処理装置と方法に関する。本装置および方法は廃棄物の溶融処理設備から発生する溶融飛灰を浸出処理する際のスラリー化技術として有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般廃棄物や産業廃棄物の増加に伴い、資源の再利用を図るため、これら廃棄物の燃焼や溶融処理の際に生じる飛灰から鉛や亜鉛などの有価金属を回収することが行われており、その一例として、溶融飛灰を浸出し、その浸出液から有価金属を回収する浸出処理が実施されている。この場合、飛灰の発生場所と浸出処理場所が離れていることが多く、また2ヶ所以上の発生場所のものを集めて処理することもあり、これらの場合に発生飛灰を輸送する手段が必要になる。このような溶融飛灰等を処理工程に搬入する方法として、飛灰が周囲に拡散しないようにフレコンパックなどの袋結にして輸送する方法や、飛灰をスラリー化して輸送する方法などが実施されている(特開昭63−103092号、特開昭63−123843号など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溶融飛灰を袋詰めして輸送し、受入側で袋を開けて抜き出す方法は、(イ)袋話めや開封の作業が必要であり、しかも(ロ)袋詰めおよび開封の際に溶融飛灰が飛散して作業環境が悪化する問題がある。一方、溶融飛灰をスラリー化して輸送する方法は、(ハ)溶融飛灰に含まれるナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属は水溶性の塩化物を形成しており、溶融飛灰はこれらの水溶性成分を多く含むため、これをスラリー化して配管輸送すると配管内にスケールが析出して管路を閉塞する場合が暫々ある。(ニ)スラリー濃度を下げて配管輸送すればスケール析出の問題は回避できるが、この場合には多量の水を用いるため大型のスラリー槽を必要とし、しかも液量が大幅に増えるので処理コストが嵩む問題がある。
【0004】
本発明は溶融飛灰等を浸出処理する際の上記問題を解決したものであり、飛灰のスラリー化と浸出処理とを効率よく行うことができる処理装置および方法を提供する。
【0005】
【課題を解決する手段】
すなわち本発明は、(1)飛灰をスラリー化するスラリー槽と、飛灰スラリーの浸出を進める浸出槽と、スラリー槽と浸出槽とに連通した輸送管路と給水管路を兼用する配管と、該配管に接続した給水管と、該配管から分岐してスラリー槽に連通する送液管と、該送液管に介設された送液ポンプと、上記配管のスラリー輸送と給水とを切り替えるバルブ系とを備えることを特徴とする飛灰の浸出処理装置に関する。本処理装置はスラリー槽と浸出槽とを個別に有し、かつ両槽に連通する配管がスラリーの輸送管路と給水管路とを兼用することによって、スラリー槽において高濃度の飛灰スラリーとして配管輸送時の水量を少なくし、これを浸出槽に配管輸送した後に、この配管を通じて給水することによって配管自体を洗浄して高濃度スラリーの輸送によっても管路の閉塞を生じないようにし、さらに、この給水によってスラリー槽に必要量の水を補給する一方、浸出槽に給水して浸出効果を高める。
【0006】
本発明の上記浸出装置は、(2)上記配管の送液管との接続部分の両側に設けたバルブと、給水管との接続部分の浸出槽側に設けたバルブと、給水管に設けたバルブとによって上記配管のスラリー輸送と給水とを切り替えるバルブ系が形成されている浸出処理装置を含む。スラリー槽と浸出槽に連通する配管に設けた上記バルブ系によって管路の開閉を切り替え、この配管をスラリーの輸送管路として使用すると共に給水管路として使用する。このような同一配管を用いた輸送と給水の切り替えによって配管の洗浄とスラリー槽および浸出槽への給水とを同時に行うことができる。
【0007】
本発明の上記浸出装置は、例えば、(3)廃棄物の溶融設備の排ガス路に介設された集塵器から排出された溶融飛灰をスラリー化して処理する浸出処理装置である。本装置によれば一般廃棄物や産業廃棄物の溶融処理によって生じた溶融飛灰を効率よくスラリー化して浸出処理することができる。
【0008】
また、本発明は(4)スラリー槽、浸出槽、スラリー槽と浸出槽とに連通した輸送管路と給水管路を兼用する配管、該配管に接続した送液管および給水管、管路の開閉を切り替えるバルブ系を備えた飛灰浸出処理装置を用い、スラリー槽から配管を通じて浸出槽に飛灰スラリーを輸送した後に、管路の開閉を切り替え、該配管を通じてスラリー槽と浸出槽の一方または両方に給水し、給水後、再び管路の開閉を切り替えてスラリー槽から浸出槽に飛灰スラリーの輸送を行うことを特徴とする飛灰の浸出処理方法に関する。このような飛灰スラリーの輸送と給水とを交互に行うことによって比較的小型のスラリー槽を用いても浸出処理量を高めることができる。
【0009】
本発明の上記浸出処理方法は、(5)飛灰スラリーの配管輸送を固液比(飛灰:水)1:3〜5で行う方法、(6)飛灰スラリーの配管輸送を、液比重1.0〜1.3g/cm3、流速1〜3m/sで行う方法を含む。例えば、孔径10cm〜20cmの配管を用いた場合、これらの条件下で飛灰スラリーを良好に配管輸送することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。図1に本発明の浸出処理装置の概略を示す。図示する本発明の浸出処理装置は、飛灰をスラリー化するスラリー槽10と、飛灰スラリーの浸出を進める浸出槽11と、これらスラリー槽10と浸出槽11とに連通した配管12とを備えており、該配管12は輸送管路と給水管路を兼用しており、さらに該配管11に接続した給水管13と、該配管12から分岐してスラリー槽10に連通する送液管14と、該送液管14に介設された送液ポンプ15と、上記配管のスラリー輸送と給水とを切り替えるバルブ系V1〜V3とを備えている。なお、図示するようにスラリー槽10は複数を並列に設置しても良い。必要に応じ、浸出槽11には給水管17が設けられる。浸出槽11は送液ポンプ18を介してフィルタープレスなどの次工程に接続している。
【0011】
配管のバルブ系は、具体的には例えば、配管12の送液管14との接続部分の両側に設けたバルブV1、V2と、給水管13との接続部分の浸出槽側に設けたバルブV3と、吸水管に設けたバルブV4とによって形成されている。このバルブ系によって管路を切り替え、飛灰スラリーの輸送と給水とを切り替える。
【0012】
本発明の浸出処理装置は、例えば、廃棄物の溶融処理設備に付設される。一般に、廃棄物の溶融処理設備の排ガス路には集塵器が介設されており、排ガスに含まれる溶融飛灰をこの集塵器によって捕集している。この捕集した溶融飛灰をホッパ20に溜め、ホッパ20の溶融飛灰をコンベアベルトなどの搬送手段21によって上記スラリー槽10に搬入する。
【0013】
スラリー槽10には吸水管13から配管12を通じて給水され、溶融飛灰のスラリーが形成される。スラリーの送液時には、配管12のバルブV1と給水管13のバルブV4を閉じて、バルブV2とバルブV3を開き、送液ポンプ15によって飛灰スラリーを送液管15および配管12を通じて浸出槽11に輸送する。輸送後、配管12のバルブV1を開いてバルブV3を閉じ、給水管13のバルブV4を開き、配管12に水を流して配管内部を洗浄すると共にスラリー槽10に給水する。なお、必要に応じ給水時にバルブV3を開いて浸出槽11にも給水しても良い。給水後、給水管13のバルブV4を閉じ、ホッパ20から飛灰を排出し、搬送フィーダ21によってスラリー槽10に供給して飛灰スラリーとし、再び配管12のバルブV2、V3を開き、送液ポンプ15によって飛灰スラリーを送液管15および配管12を通じて浸出槽11に輸送する。このような配管12を通じた飛灰スラリーの輸送と給水を繰り返す。
【0014】
上記輸送と給水を繰り返し行っていると、バルブV1より先端側のライン、およびバルブV3より先端側のラインに飛灰乾燥付着物やスケールが発生し、これを除去するために、通常は洗浄する必要のない上記ラインを洗浄する必要が発生する。この洗浄を行うためにバルブV2、V3が設けられている。なお、バルブV1のラインを洗浄するため予め層10に洗浄水を供給しておく。
【0015】
上記スラリーの溶融飛灰と水の混合比率は飛灰1に対して水3〜5が適当である。具体的には、例えば孔径10cm〜20cmφの配管を用い、2m/s以上の流速でスラリーを送液する場合には、スラリーの液比重は1.0〜1.3g/cm3が適当である。これよりスラリー濃度が高いと配管の閉塞が起こりやすく、またこれよりスラリー濃度が低いと水の使用量が多くなり、大型槽が必要となるので処理コストが嵩む。
【0016】
なお、配管12に給水して洗浄した後に配管内に圧気を送り(エアブロー)、配管内に残った水を除去すると良い。この操作を行うことによって配管内のスケール発生を確実に防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の浸出処理装置と方法によれば、スラリー槽と浸出槽とを独立に設け、これらを連通する配管を通じてスラリーの輸送と給水を行うので、給水時に配管内部が洗浄され、従って高濃度のスラリーを輸送しても配管の閉塞を生じる虞がない。また、スラリーの液量が少ないので小型のスラリー槽を用いることができると共に処理コストを低減することができる。さらに、スラリー槽と浸出槽とを独立に設けているので、浸出槽がスラリーの貯留槽を兼ねることができ、浸出時間に拘束されずに溶融飛灰をスラリー槽でスラリー化し、適宜これを浸出槽に移して浸出を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浸出処理装置の概略図
【符号の説明】
10−スラリー槽、11−浸出槽、12−配管、13−給水管、14−送液管、15−送液ポンプ、17−給水管、18−送液ポンプ、V1〜V4―バルブ。
Claims (6)
- 飛灰をスラリー化するスラリー槽と、飛灰スラリーの浸出を進める浸出槽と、スラリー槽と浸出槽とに連通した輸送管路と給水管路を兼用する配管と、該配管に接続した給水管と、該配管から分岐してスラリー槽に連通する送液管と、該送液管に介設された送液ポンプと、上記配管のスラリー輸送と給水とを切り替えるバルブ系とを備えることを特徴とする飛灰の浸出処理装置。
- 上記配管の送液管との接続部分の両側に設けたバルブと、給水管との接続部分の浸出槽側に設けたバルブと、給水管に設けたバルブとによって上記配管のスラリー輸送と給水とを切り替えるバルブ系が形成されている請求項1の浸出処理装置。
- 廃棄物の溶融設備の排ガス路に介設された集塵器から排出された溶融飛灰をスラリー化して処理する請求項1または2の浸出処理装置。
- スラリー槽、浸出槽、スラリー槽と浸出槽とに連通した輸送管路と給水管路を兼用する配管、該配管に接続した送液管および給水管、管路の開閉を切り替えるバルブ系を備えた飛灰浸出処理装置を用い、スラリー槽から配管を通じて浸出槽に飛灰スラリーを輸送した後に、管路の開閉を切り替え、該配管を通じてスラリー槽と浸出槽の一方または両方に給水し、給水後、再び管路の開閉を切り替えてスラリー槽から浸出槽に飛灰スラリーの輸送を行うことを特徴とする飛灰の浸出処理方法。
- 飛灰スラリーの配管輸送を固液比(飛灰:水)1:3〜5で行う請求項4の浸出処理方法。
- 飛灰スラリーの配管輸送を、液比重1.0〜1.3g/cm3、流速1〜3m/sで行う請求項4または5の浸出処理方法。
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