JP3885352B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パイロット噴射の燃料に対する着火の後にメイン噴射を行わせる直噴ガソリンエンジンもしくは直噴ディーゼルエンジン等の、内燃機関の燃料噴射制御を電子的に実行させる内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば直噴ディーゼルエンジンにおいて、そのピストン頂部に対応して燃焼室を形成し、この燃焼室に臨むようにして燃料噴射弁(インジェクタ)が設けられるようにすると共に、この燃焼室に対応してイオンプローブを設定することが知られている。そして、基準信号より特定される時間後に燃料噴射弁がパイロット噴射を行うもので、このパイロット噴射された燃料に対する点火を行って、その発熱よってメイン噴射された燃料に着火する。これは、エンジンの円滑な動作と共に特にNOx や燃焼音の低減が確実に図るために有効である。
【0003】
ここで、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である。この問題点に対処するため、パイロット噴射の着火状況に応じてパイロット噴射量が制御されるようにする。
【0004】
すなわち、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるように、燃焼室にまず微量の燃料噴射によるパイロット噴射が行われ、その後メイン噴射が行われるように燃料噴射制御が行われ、パイロット噴射された燃料が着火し、このパイロット噴射の発熱によってメイン噴射に対する点火制御が行われる。
【0005】
この様なパイロット噴射を用いた点火制御は、NOx や燃焼音の低減に有効であるが、パイロット噴射に際しての燃料量が過大である場合には、逆にNOxや騒音を増大させるようになり、またパイロット噴射量が過少であれば、HCの増大を招く。
【0006】
すなわち、パイロット噴射を用いたエンジン制御を行うことにより、NOx や燃焼音の低減を図ることができるものであるが、このパイロット噴射量の適正値は、使用する燃料の組成や環境条件によって異なってくるものであり、また一度設定されたパイロット噴射量も、噴射弁のノズル特性の経時変化に伴って前記適正値が変化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である問題点に対処し、パイロット噴射の着火状況に応じてパイロット噴射量が制御されるようにすることにより、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるようにする内燃機関の制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明に係る内燃機関の制御装置は、ピストンに対応して設定された燃焼室に臨んで燃料噴射弁およびイオンプローブが設けられ、前記燃料噴射弁から微量のパイロット噴射およびメイン噴射が行われ、前記パイロット噴射による燃焼に伴い前記イオンプローブの電極間に発生するイオン電流を検出するようにした内燃機関の制御装置において、前記n回のパイロット噴射それぞれの、設定された基準時間より前記パイロット噴射の燃料着火までの経過時間を測定し、その着火時期のばらつき時間Δtを求めると共に、このばらつき時間Δtに対応して前記パイロット噴射の燃料量の最適値を求めるもので、このパイロット噴射量に基づきメイン噴射の燃料量が求められるようにした
パイロット噴射に伴い、その噴射燃料が着火し、このパイロット噴射の燃料の燃焼火炎によっててイオンプローブにおいてイオン電流が流れるもので、イオンプローブによってパイロット噴射に伴う燃焼の火炎検出が行われる。この検出時期はパイロット噴射量に影響されるもので、この検出時期のばらつきΔtはパイロット噴射量qp に伴って変化する。そして、パイロット噴射の着火時期である火炎検出時期のばらつきΔtとパイロット噴射量との関係から、パイロット噴射量の適正値が求められ、この適性値に基づく燃料噴射制御によって、内燃機関の動作に伴い発生するNOx や燃焼音の低減が図れるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施の形態を実施例に基づき説明する。図1の(A)は、例えば直噴ディーゼルエンジンの1つのピストン11部を取り出して示したもので、このピストン11の頂部には燃焼室12が形成されている。なお、この実施例にあっては直噴ディーゼルエンジンを例にしているが、これはガソリン直噴エンジンであっても同様である。
【0010】
この直噴ディーゼルエンジンのエンジンヘッド部には、燃焼室12に臨むようにして燃料噴射弁13が設けられており、また同様に燃焼室12に臨んでイオンプローブ14が設けられている。このイオンプローブ14は、通常のスパークプラグと類似の構造を有するもので、例えば同図の(B)に示すように中心電極141 と接地電極142 との間に微小のイオンギャップ143 が設けられている。ここで、中心電極141 に対しては10〜200Vの電圧が印加設定されているもので、通常は電流は流れない。しかし、イオンギャップ143 部分に火炎が存在する状態では、イオンの作用によって中心電極41と接地電極142 との間のイオンギャップ143 に微弱な電流が流れる。したがって、このギャップ143 部分の微弱電流を検出することにより、パイロット噴射による燃焼の到達タイミングが検出できる。
【0011】
燃料噴射弁13には、電磁弁15(ソレノイド)を介してリザーバ16からの圧送燃料が供給されており、電磁弁15に対する通電のオン・オフ制御によって、燃料噴射の開始−停止が制御される。すなわち、電磁弁15に対しては矩形波状の駆動電流が制御電流として供給されるもので、この矩形波電流の時間幅に対応した量の燃料が噴射される。この電磁弁15の制御は制御回路17(ECU)からの指令により行われる。
【0012】
すなわち、リザーバ16に蓄圧された高圧の燃料が、電磁弁15に対する通電によって開かれたときにのみ、燃料噴射弁13を介して燃焼室12の内部に噴射される。ここで、電磁弁15はコモンレール方式に用いられるインジェクタ制御用の電磁弁であってもよく、また分配型ポンプ制御用のスピル弁であってもよい。
【0013】
この様な燃料噴射は、図2で示すようにエンジンの1回の燃料行程の中で2回行われるもので、まずパイロット噴射が行われ、その後メイン噴射が実行されるもので、パイロット噴射に伴って点火行程が実行される。
【0014】
ここで、パイロット噴射においては微量の燃料が噴射されるものであり、このパイロット噴射による燃料に着火して後にメイン噴射が行われる。この様な点火制御を実行することにより、メイン噴射の着火遅れ時間が短縮され、予混合燃焼割合が減少し、NOx の排出が低減される。
【0015】
但し、パイロット噴射における噴射燃料量qp が過少である場合には、この燃料自身の着火遅れ期間中に拡散が進み過ぎて着火可能空燃比を越えてしまうようになり、このため未燃のまま排出されて、HCの排出を増大させるようになる。当然、メイン噴射の着火遅れ期間を短縮できないものであるため、NOx の排出が増大する。
【0016】
また、パイロット噴射の燃料量qp が過大である場合には、この燃料自身の予混合燃焼が増大し、そのときに発生するNOx の量を増大させ、その排出を増大させる。図3(A)はパイロット噴射量qp の増減とNOx およびHCの排出量との関係を示しているもので、NOx の排出量が最も低下するパイロット噴射量qp が存在するもので、このパイロット噴射量は確実に着火される最小の量が最適値である。
【0017】
パイロット噴射量が最適値であるか否かは、このパイロット噴射された燃料の燃焼に伴う火炎を、イオンプローブ14に流れるイオン電流に基づき検出することにより判断できる。すなわち、パイロット噴射量に係る情報がイオンプローブ14に流れるイオン電流に基づき得られる。図2では電磁弁15に対する通電の状況、この通電に伴う噴射弁13からの燃料噴射量、検出されるイオン電流の関係を、基準位置からの時間経過により示している。この図におけるtはイオン電流を発生するタイミングを、基準信号からの時間遅れで現している。
【0018】
複数回のパイロット噴射にそれぞれに対応する、イオン電流発生タイミングの時間遅れtをそれぞれサンプリングしたときのばらつきをΔtとするとき、このΔtはパイロット噴射された燃料が着火したり、もしくは未着火だったりの両方の状態が存在するときに最大となる。
【0019】
この様な条件に基づきパイロット噴射量qp を減らしていくと、ついにはパイロット噴射された燃料に対して全く着火しなくなり、Δtは急激に低減される。逆にパイロット噴射量qp を増やしていくと、パイロット噴射された燃料が全て着火されるようになり、イオンプローブの検出能力(小さい火炎では未検出となり易い)によって、Δtはパイロット噴射量qp の増量に対して、図3の(B)で示すように緩やかに低下する。したがって、Δtのピークよりパイロット噴射量qp の増量側のb〜fで示す範囲において、NOx の排出が最小となる。すなわち、パイロット噴射量qp の最適値が存在する。
【0020】
イオンプローブ14におけるイオン電流の検出は制御回路17において行われ、この制御回路17においてイオンプローブ14の出力に基づいてtが検出される、そして、複数回のサンプリングによってΔtを得る。そして、このΔtが設定された範囲内(前記b〜fの範囲)とされるように電磁弁15の通電時間を制御して、パイロット噴射量を最適値にする。
【0021】
なお、Δtがb〜fの範囲内に入るパイロット噴射量qp は、Δtのピークのqp 減量側にも存在するが、tの平均値が設定値Cよりも小さいことを確認した上でパイロット噴射量qp の減量制御を行うようにすれば、その領域を回避することができる。
【0022】
ここで、設定値Cはパイロット噴射された燃料が、一部未着火となったときのイオン電流の発生時期の平均タイミングであって、この値は予め求められて設定される。
【0023】
次に、図4を用いて制御回路17における制御の流れを説明する。まずステップ101 においてイオンプローブ14の火炎検出に伴うイオン電流if を、n回サンプルする。ここで、nは10〜100の範囲で適宜選択されるが、一定値であっても、またエンジンの運転条件(回転数、負荷等)毎に異なった設定値を与えるようにしてもよい。ステップ102 において、n回のサンプル中に運転条件が変化してしまった場合にはこのサンプルは無効であり、制御の流れはスタートに戻る。この運転条件が変わらなかったことは、n回のサンプル中のメイン噴射の燃料量qm が同じであることによって確認される。
【0024】
ステップ103 において、失火がないか否かを判断するもので、n回のサンプルにおいて、イオン電流if の値に設定値aを越えていないものが存在するときに失火と判断し、無効として制御はスタートに戻る。この設定値aの値は、0.1〜1μAである。n回のサンプルにそれぞれ対応する検出イオン電流if が全て設定値aを越えている場合には、ステップ104 でそれぞれのイオン電流if がaを越えた時期tのn回のばらつき幅Δtを演算する。
【0025】
ステップ105 では、この演算されたΔtがbより小さいか否かを判定するもので、Δtがbより大きいときにはパイロット燃料が未着火の場合が含まれているとみなして、ステップ106 でパイロット燃料qp を増量する。これに対応して、このステップ106 で“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を減量する。
【0026】
Δtがb以下の場合には、パイロット燃料が全て着火しているか、もしくは全て未着火のいずれであるか不明である。そこで、ステップ107 でtの平均値を演算し、ステップ108 でこのtの平均値が設定値Tより小さいか否かを判定する。tの平均値が設定値Tよりも大きいときには、全てが未着火とみなして、ステップ109 でパイロット噴射量qp を増量し、“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を減量する。ここで、設定値Tはパイロット燃料の噴射後にエンジンクランクアングルにして4〜6°であり、これを回転数毎に時間に変換して用いる。
【0027】
ステップ108 でtの平均値が設定値Tよりも小さいと判定されたときには、パイロット燃料が全て着火されているものとみなせるもので、ステップ110 でこの平均値が設定の範囲(d〜e)となっているか否かを判断し、パイロット燃料の噴射時期が動かされるようにする。ここで、この設定の範囲とは予めエンジンの出力や排気の特性が最適とされるように運転条件毎に決められている。
【0028】
実際の着火時期は、燃料性状や大気圧や温度条件や燃料噴射系の経時変化によっても変化するものであり、このため前記最適範囲を逸脱することが多い。そこで、tの平均値がdよりも小さいときには、ステップ111 でパイロット燃料の噴射時期(図2で示すθ)を遅角し、tの平均値がeより大きいときには進角の制御を行う。そして、tの平均値が設定の範囲内にあると判定されたときには、ステップ112 に進んでパイロット噴射量が過大であるか否かを判定する。Δtがfより小さいときにはパイロット噴射量が過大であるとみなし、ステップ113 でパイロット噴射量qp を減量する。同時に、“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を増量する。
【0029】
ここで、設定値a〜fは定数でもよいものであるが、エンジンの運転条件(回転数、負荷等)毎に予め定めておくと、さらに高精度の制御とされる。また、ステップ103 においてif <aのときにはリターンとされるようにしたが、これは失火の状態であるので、失火の場合のしかるべき処置(警報、リンプホームモード等)をとることも可能である。
【0030】
この様な作動を繰り返すことにより、パイロット燃料の噴射時期や噴射量を、そのときのエンジンの運転状況における最適値とすることができ、エンジンの出力並びに排気特性を最良の状態に維持することができる。すなわち、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である問題点に対処し、パイロット噴射の着火状況に応じて、パイロット噴射量が制御されるようになるもので、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施の形態に係る実施例を説明するためのエンシン部分を説明する構成図、(B)はイオンプローブを取り出して示す図。
【図2】上記エンジンにおけるパイロット噴射並びにメイン噴射の状況を説明する図。
【図3】パイロット噴射量qp の増減に対応する排出ガスの状況並びにΔtの変化状態を説明する図。
【図4】上記エンジンの制御の流れを説明するフローチャート。
【符号の説明】
11…ピストン、12…燃焼室、13…燃料噴射弁、14…イオンプローブ、 141 、142 …電極、143 …イオンギャップ、15…電磁弁、16…リザーバ、 17…制御回路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、パイロット噴射の燃料に対する着火の後にメイン噴射を行わせる直噴ガソリンエンジンもしくは直噴ディーゼルエンジン等の、内燃機関の燃料噴射制御を電子的に実行させる内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば直噴ディーゼルエンジンにおいて、そのピストン頂部に対応して燃焼室を形成し、この燃焼室に臨むようにして燃料噴射弁(インジェクタ)が設けられるようにすると共に、この燃焼室に対応してイオンプローブを設定することが知られている。そして、基準信号より特定される時間後に燃料噴射弁がパイロット噴射を行うもので、このパイロット噴射された燃料に対する点火を行って、その発熱よってメイン噴射された燃料に着火する。これは、エンジンの円滑な動作と共に特にNOx や燃焼音の低減が確実に図るために有効である。
【0003】
ここで、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である。この問題点に対処するため、パイロット噴射の着火状況に応じてパイロット噴射量が制御されるようにする。
【0004】
すなわち、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるように、燃焼室にまず微量の燃料噴射によるパイロット噴射が行われ、その後メイン噴射が行われるように燃料噴射制御が行われ、パイロット噴射された燃料が着火し、このパイロット噴射の発熱によってメイン噴射に対する点火制御が行われる。
【0005】
この様なパイロット噴射を用いた点火制御は、NOx や燃焼音の低減に有効であるが、パイロット噴射に際しての燃料量が過大である場合には、逆にNOxや騒音を増大させるようになり、またパイロット噴射量が過少であれば、HCの増大を招く。
【0006】
すなわち、パイロット噴射を用いたエンジン制御を行うことにより、NOx や燃焼音の低減を図ることができるものであるが、このパイロット噴射量の適正値は、使用する燃料の組成や環境条件によって異なってくるものであり、また一度設定されたパイロット噴射量も、噴射弁のノズル特性の経時変化に伴って前記適正値が変化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である問題点に対処し、パイロット噴射の着火状況に応じてパイロット噴射量が制御されるようにすることにより、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるようにする内燃機関の制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明に係る内燃機関の制御装置は、ピストンに対応して設定された燃焼室に臨んで燃料噴射弁およびイオンプローブが設けられ、前記燃料噴射弁から微量のパイロット噴射およびメイン噴射が行われ、前記パイロット噴射による燃焼に伴い前記イオンプローブの電極間に発生するイオン電流を検出するようにした内燃機関の制御装置において、前記n回のパイロット噴射それぞれの、設定された基準時間より前記パイロット噴射の燃料着火までの経過時間を測定し、その着火時期のばらつき時間Δtを求めると共に、このばらつき時間Δtに対応して前記パイロット噴射の燃料量の最適値を求めるもので、このパイロット噴射量に基づきメイン噴射の燃料量が求められるようにした
パイロット噴射に伴い、その噴射燃料が着火し、このパイロット噴射の燃料の燃焼火炎によっててイオンプローブにおいてイオン電流が流れるもので、イオンプローブによってパイロット噴射に伴う燃焼の火炎検出が行われる。この検出時期はパイロット噴射量に影響されるもので、この検出時期のばらつきΔtはパイロット噴射量qp に伴って変化する。そして、パイロット噴射の着火時期である火炎検出時期のばらつきΔtとパイロット噴射量との関係から、パイロット噴射量の適正値が求められ、この適性値に基づく燃料噴射制御によって、内燃機関の動作に伴い発生するNOx や燃焼音の低減が図れるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施の形態を実施例に基づき説明する。図1の(A)は、例えば直噴ディーゼルエンジンの1つのピストン11部を取り出して示したもので、このピストン11の頂部には燃焼室12が形成されている。なお、この実施例にあっては直噴ディーゼルエンジンを例にしているが、これはガソリン直噴エンジンであっても同様である。
【0010】
この直噴ディーゼルエンジンのエンジンヘッド部には、燃焼室12に臨むようにして燃料噴射弁13が設けられており、また同様に燃焼室12に臨んでイオンプローブ14が設けられている。このイオンプローブ14は、通常のスパークプラグと類似の構造を有するもので、例えば同図の(B)に示すように中心電極141 と接地電極142 との間に微小のイオンギャップ143 が設けられている。ここで、中心電極141 に対しては10〜200Vの電圧が印加設定されているもので、通常は電流は流れない。しかし、イオンギャップ143 部分に火炎が存在する状態では、イオンの作用によって中心電極41と接地電極142 との間のイオンギャップ143 に微弱な電流が流れる。したがって、このギャップ143 部分の微弱電流を検出することにより、パイロット噴射による燃焼の到達タイミングが検出できる。
【0011】
燃料噴射弁13には、電磁弁15(ソレノイド)を介してリザーバ16からの圧送燃料が供給されており、電磁弁15に対する通電のオン・オフ制御によって、燃料噴射の開始−停止が制御される。すなわち、電磁弁15に対しては矩形波状の駆動電流が制御電流として供給されるもので、この矩形波電流の時間幅に対応した量の燃料が噴射される。この電磁弁15の制御は制御回路17(ECU)からの指令により行われる。
【0012】
すなわち、リザーバ16に蓄圧された高圧の燃料が、電磁弁15に対する通電によって開かれたときにのみ、燃料噴射弁13を介して燃焼室12の内部に噴射される。ここで、電磁弁15はコモンレール方式に用いられるインジェクタ制御用の電磁弁であってもよく、また分配型ポンプ制御用のスピル弁であってもよい。
【0013】
この様な燃料噴射は、図2で示すようにエンジンの1回の燃料行程の中で2回行われるもので、まずパイロット噴射が行われ、その後メイン噴射が実行されるもので、パイロット噴射に伴って点火行程が実行される。
【0014】
ここで、パイロット噴射においては微量の燃料が噴射されるものであり、このパイロット噴射による燃料に着火して後にメイン噴射が行われる。この様な点火制御を実行することにより、メイン噴射の着火遅れ時間が短縮され、予混合燃焼割合が減少し、NOx の排出が低減される。
【0015】
但し、パイロット噴射における噴射燃料量qp が過少である場合には、この燃料自身の着火遅れ期間中に拡散が進み過ぎて着火可能空燃比を越えてしまうようになり、このため未燃のまま排出されて、HCの排出を増大させるようになる。当然、メイン噴射の着火遅れ期間を短縮できないものであるため、NOx の排出が増大する。
【0016】
また、パイロット噴射の燃料量qp が過大である場合には、この燃料自身の予混合燃焼が増大し、そのときに発生するNOx の量を増大させ、その排出を増大させる。図3(A)はパイロット噴射量qp の増減とNOx およびHCの排出量との関係を示しているもので、NOx の排出量が最も低下するパイロット噴射量qp が存在するもので、このパイロット噴射量は確実に着火される最小の量が最適値である。
【0017】
パイロット噴射量が最適値であるか否かは、このパイロット噴射された燃料の燃焼に伴う火炎を、イオンプローブ14に流れるイオン電流に基づき検出することにより判断できる。すなわち、パイロット噴射量に係る情報がイオンプローブ14に流れるイオン電流に基づき得られる。図2では電磁弁15に対する通電の状況、この通電に伴う噴射弁13からの燃料噴射量、検出されるイオン電流の関係を、基準位置からの時間経過により示している。この図におけるtはイオン電流を発生するタイミングを、基準信号からの時間遅れで現している。
【0018】
複数回のパイロット噴射にそれぞれに対応する、イオン電流発生タイミングの時間遅れtをそれぞれサンプリングしたときのばらつきをΔtとするとき、このΔtはパイロット噴射された燃料が着火したり、もしくは未着火だったりの両方の状態が存在するときに最大となる。
【0019】
この様な条件に基づきパイロット噴射量qp を減らしていくと、ついにはパイロット噴射された燃料に対して全く着火しなくなり、Δtは急激に低減される。逆にパイロット噴射量qp を増やしていくと、パイロット噴射された燃料が全て着火されるようになり、イオンプローブの検出能力(小さい火炎では未検出となり易い)によって、Δtはパイロット噴射量qp の増量に対して、図3の(B)で示すように緩やかに低下する。したがって、Δtのピークよりパイロット噴射量qp の増量側のb〜fで示す範囲において、NOx の排出が最小となる。すなわち、パイロット噴射量qp の最適値が存在する。
【0020】
イオンプローブ14におけるイオン電流の検出は制御回路17において行われ、この制御回路17においてイオンプローブ14の出力に基づいてtが検出される、そして、複数回のサンプリングによってΔtを得る。そして、このΔtが設定された範囲内(前記b〜fの範囲)とされるように電磁弁15の通電時間を制御して、パイロット噴射量を最適値にする。
【0021】
なお、Δtがb〜fの範囲内に入るパイロット噴射量qp は、Δtのピークのqp 減量側にも存在するが、tの平均値が設定値Cよりも小さいことを確認した上でパイロット噴射量qp の減量制御を行うようにすれば、その領域を回避することができる。
【0022】
ここで、設定値Cはパイロット噴射された燃料が、一部未着火となったときのイオン電流の発生時期の平均タイミングであって、この値は予め求められて設定される。
【0023】
次に、図4を用いて制御回路17における制御の流れを説明する。まずステップ101 においてイオンプローブ14の火炎検出に伴うイオン電流if を、n回サンプルする。ここで、nは10〜100の範囲で適宜選択されるが、一定値であっても、またエンジンの運転条件(回転数、負荷等)毎に異なった設定値を与えるようにしてもよい。ステップ102 において、n回のサンプル中に運転条件が変化してしまった場合にはこのサンプルは無効であり、制御の流れはスタートに戻る。この運転条件が変わらなかったことは、n回のサンプル中のメイン噴射の燃料量qm が同じであることによって確認される。
【0024】
ステップ103 において、失火がないか否かを判断するもので、n回のサンプルにおいて、イオン電流if の値に設定値aを越えていないものが存在するときに失火と判断し、無効として制御はスタートに戻る。この設定値aの値は、0.1〜1μAである。n回のサンプルにそれぞれ対応する検出イオン電流if が全て設定値aを越えている場合には、ステップ104 でそれぞれのイオン電流if がaを越えた時期tのn回のばらつき幅Δtを演算する。
【0025】
ステップ105 では、この演算されたΔtがbより小さいか否かを判定するもので、Δtがbより大きいときにはパイロット燃料が未着火の場合が含まれているとみなして、ステップ106 でパイロット燃料qp を増量する。これに対応して、このステップ106 で“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を減量する。
【0026】
Δtがb以下の場合には、パイロット燃料が全て着火しているか、もしくは全て未着火のいずれであるか不明である。そこで、ステップ107 でtの平均値を演算し、ステップ108 でこのtの平均値が設定値Tより小さいか否かを判定する。tの平均値が設定値Tよりも大きいときには、全てが未着火とみなして、ステップ109 でパイロット噴射量qp を増量し、“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を減量する。ここで、設定値Tはパイロット燃料の噴射後にエンジンクランクアングルにして4〜6°であり、これを回転数毎に時間に変換して用いる。
【0027】
ステップ108 でtの平均値が設定値Tよりも小さいと判定されたときには、パイロット燃料が全て着火されているものとみなせるもので、ステップ110 でこの平均値が設定の範囲(d〜e)となっているか否かを判断し、パイロット燃料の噴射時期が動かされるようにする。ここで、この設定の範囲とは予めエンジンの出力や排気の特性が最適とされるように運転条件毎に決められている。
【0028】
実際の着火時期は、燃料性状や大気圧や温度条件や燃料噴射系の経時変化によっても変化するものであり、このため前記最適範囲を逸脱することが多い。そこで、tの平均値がdよりも小さいときには、ステップ111 でパイロット燃料の噴射時期(図2で示すθ)を遅角し、tの平均値がeより大きいときには進角の制御を行う。そして、tの平均値が設定の範囲内にあると判定されたときには、ステップ112 に進んでパイロット噴射量が過大であるか否かを判定する。Δtがfより小さいときにはパイロット噴射量が過大であるとみなし、ステップ113 でパイロット噴射量qp を減量する。同時に、“qp +qm ”が同じ量とされるように、メイン燃料qm を増量する。
【0029】
ここで、設定値a〜fは定数でもよいものであるが、エンジンの運転条件(回転数、負荷等)毎に予め定めておくと、さらに高精度の制御とされる。また、ステップ103 においてif <aのときにはリターンとされるようにしたが、これは失火の状態であるので、失火の場合のしかるべき処置(警報、リンプホームモード等)をとることも可能である。
【0030】
この様な作動を繰り返すことにより、パイロット燃料の噴射時期や噴射量を、そのときのエンジンの運転状況における最適値とすることができ、エンジンの出力並びに排気特性を最良の状態に維持することができる。すなわち、パイロット噴射量の適正値を特定値に固定することが困難である問題点に対処し、パイロット噴射の着火状況に応じて、パイロット噴射量が制御されるようになるもので、エンジンの円滑な動作と共に、特にNOx や燃焼音の低減が確実に図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施の形態に係る実施例を説明するためのエンシン部分を説明する構成図、(B)はイオンプローブを取り出して示す図。
【図2】上記エンジンにおけるパイロット噴射並びにメイン噴射の状況を説明する図。
【図3】パイロット噴射量qp の増減に対応する排出ガスの状況並びにΔtの変化状態を説明する図。
【図4】上記エンジンの制御の流れを説明するフローチャート。
【符号の説明】
11…ピストン、12…燃焼室、13…燃料噴射弁、14…イオンプローブ、 141 、142 …電極、143 …イオンギャップ、15…電磁弁、16…リザーバ、 17…制御回路。
Claims (2)
- ピストンに対応して設定された燃焼室に臨んで燃料噴射弁およびイオンプローブが設けられ、前記燃料噴射弁から微量のパイロット噴射およびメイン噴射が行われ、前記パイロット噴射による燃焼に伴い前記イオンプローブの電極間に発生するイオン電流を検出するようにした内燃機関において、
前記n回のパイロット噴射それぞれの、設定された基準時間より前記パイロット噴射の燃料着火までの経過時間を測定する手段と、
前記n回のパイロット噴射に伴う燃焼の着火時期のばらつき時間Δtを求める手段と、
このパイロット着火時期のばらつき時間Δtの値に対応して前記パイロット噴射の燃料量の最適値を求めるパイロット噴射量算出手段とを具備し、
前記パイロット噴射量に基づき前記メイン噴射の燃料量が求められるようにしたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記パイロット噴射の着火時期の平均値が、パイロット噴射された燃料が一部未着火になったときのイオン電流発生時期の平均タイミングである設定値Tより小さいことを確認する手段を備え、前記確認の上でパイロット噴射量の減量制御が行われるようにした請求項1記載の内燃機関の制御装置。
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