JP3884994B2 - ワイパアーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置におけるワイパアームに係り、特に洗浄液を払拭面へ噴出するウォッシャノズルを備えたワイパアームに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のウインドシールドガラス等を払拭する車両用ワイパ装置は、ワイパアームとこのワイパアームに保持されたワイパブレードとによって構成されている。
【0003】
ワイパアームは、アームヘッドの一端部がピボットシャフトに固定されており、アームヘッドの他端部にはリテーナが所定角度回動可能に支軸を介して連結されている。これらアームヘッドとリテーナとの間にはスプリングが取り付けられており、常にリテーナをウインドシールドガラス等の払拭面の方向へ付勢している。リテーナの先端部には、アームピースが固着されている。アームピースの先端部は略U字状に屈曲されたフックとなっており、ワイパブレードを連結保持している。一方、ワイパブレードは、払拭面に接触して払拭するブレードラバーと、このブレードラバーを保持する複数の保持レバーとによって構成されている。
【0004】
この車両用ワイパ装置の作動時には、ワイパアーム及びワイパブレードが往復回動することにより、ブレードラバーがウインドシールドガラス面に密着しながら移動して雨滴を払拭する。
【0005】
ところで、従来より、特にガラス面が大きく車両のウォッシャノズルから噴出される洗浄液の着水ポイントまでの距離が遠い場合、噴出される洗浄液をワイパブレードで払拭される目的ポイントにより確実に着水させるため、ワイパアームにウォッシャノズルを設けて洗浄液を噴出するようにしたウォッシャノズル付きのワイパアームが知られている(一例として、実開平6−33763号公報)。
【0006】
前記公報に示されたワイパアームにおいては、ワイパブレードで払拭される払拭面の目的ポイントに洗浄液を確実に着水させることができる。
【0007】
しかしながら、前記公報に示された如き従来のウォッシャノズル付きのワイパアームでは、このワイパアームを構成するアームピースにウォッシャノズルのボディ部分をネジ止めや溶着によって固定したり、あるいはクランプ等の特別構造によって固定する構成となっており、ウォッシャノズルが通常はワイパアーム(アームピース)の外部(払拭面側)に突出して設けられているので、外観見栄え(デザイン性)が劣るだけでなく、払拭面に堆積して氷結した雪にワイパアーム即ち外部に突出配置されたウォッシャノズルが衝突すると損傷する恐れがある。特に、このようなウォッシャノズルは通常は樹脂製であるため、前記損傷防止のための対策は必要である。
【0008】
そこで、外観見栄え(デザイン性)が向上ししかもウォッシャノズルの損傷をも防止することができるワイパアームとして、当該ワイパアームを一対の側壁及び上壁を有して払拭面方向に開口する断面コ字状に形成すると共に、ウォッシャノズルを当該一対の側壁の間に配置した構成のワイパアームを既に本出願人が提案している(特願2001−211292号)。
【0009】
前記提案したワイパアームは、一対の側壁を有した断面コ字状のリテーナと、このリテーナの先端部に固定された平板棒状のアームピースとを備えており、さらに、リテーナの断面コ字状内部(側壁の間)にウォッシャノズルを配置した構成となっている。ウォッシャノズルは、リテーナの先端側と基端側とにそれぞれ配置され、両ウォッシャノズルは配管ホースにて接続されている。このうち、先端側のウォッシャノズルは、リテーナの上壁裏面側に重合して把持固定されたアームピース上に配置固定されている。すなわち、リテーナの一対の側壁を平板状に折り返してアームピースを把持固定し、当該アームピース把持固定部分のさらに先端側に、リテーナの一対の側壁状態を残して形成し、その側壁の間でかつアームピース上に当該先端側ウォッシャノズルを固定配置した構成である。
【0010】
これにより、ウォッシャノズルは、断面コ字状のワイパアーム(リテーナ)の内部に配置されるため、外部からの見栄えが向上し、しかも、氷雪との衝突などの外力による損傷を防止することができる。
【0011】
ところで、前述の如き構成の提案したワイパアームでは、アームピースの先端部にはワイパブレードが取り付けられておりこのワイパブレードを介してアームピースに上下方向(払拭面に対し接離する方向:図2に矢印Aにて示す方向)の力が作用することで(例えば、ワイパブレードが凍結などでウインドガラス面に張り付いた状態で無理矢理これを引き剥がしてロックバックさせようとするなどして)、アームピースが弾性変形または塑性変形すると、アームピースが先端側のウォッシャノズルと不要に干渉して、当該ウォッシャノズルの固定姿勢が変更されたり脱落、損傷するなどの恐れがある。仮に、例えば、当該先端側のウォッシャノズルの固定姿勢が変化してしまうと、ウォッシャノズルから噴射される洗浄液の着水点が規定の位置から外れてしまい、適正な洗浄及び払拭ができなくなることになり、このため、ノズル姿勢を調整して着水点の設定を再調整する必要がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、外観見栄え(デザイン性)が向上し、しかも、ワイパアームに設けられたウォッシャノズルの損傷を防止することができると共にその固定姿勢が不要に変化することをも防止できるワイパアームを得ることが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のワイパアームは、基端部がピボットシャフトに固定されるアームヘッドと、一対の側壁及び上壁を有して払拭面方向に開口する断面コ字状に形成され、払拭面から離間する方向に揺動可能に前記アームヘッドの先端部に連結されるリテーナと、基端部が前記リテーナの先端部に前記上壁の裏面に重合状態で固定され、先端部にワイパブレードが連結されるアームピースと、前記リテーナの前記一対の側壁間の内側に配置されたウォッシャノズルと、前記リテーナに沿って配索され、前記ウォッシャノズルに洗浄液を供給する配管ホースと、を備え、前記配管ホースから供給された洗浄液を前記ウォッシャノズルによって払拭面へ噴出するワイパアームにおいて、前記ウォッシャノズルは、前記リテーナと前記アームピースとの重合部分における前記アームピース上に所定の姿勢で固定配置され、前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記ウォッシャノズルよりもリテーナ先端側において少なくとも1箇所設けられている、ことを特徴としている。
【0014】
請求項1記載のワイパアームでは、払拭面方向に開口する断面コ字状のリテーナの一対の側壁間の内側に配置されたウォッシャノズルを備えており、しかも、このウォッシャノズルは、リテーナとアームピースとの重合部分におけるアームピース上に所定の姿勢で固定配置されている。またしかも、リテーナとアームピースとの固定部は、ウォッシャノズルよりもリテーナ先端側において少なくとも1箇所設けられている。
【0015】
ここで、ウォッシャノズルは、断面コ字状のリテーナの内部に配置されるため、当該リテーナの側壁により保護され外力の影響を受け難く、氷雪との衝突などの外力による損傷を防止できる。しかも、外部からの見栄えが向上する。
【0016】
またさらに、ウォッシャノズルよりもリテーナ先端側には、リテーナとアームピースとの固定部が少なくとも1箇所設けられているため、アームピースの弾性変形または塑性変形による撓みが、ウォッシャノズル固定部分よりも先端を支点として(ウォッシャノズルよりもリテーナ先端側に設けられたリテーナとアームピースとの固定部を支点として)行われるため、アームピースの前記撓みがウォッシャノズルの固定姿勢に影響を及ぼすことが無く、その固定姿勢が不要に変化することを防止できる。
【0017】
したがって、例えば、仮に、ワイパブレードが凍結などでウインドガラス面に張り付いた状態で無理矢理これを引き剥がしてロックバックさせようとするなどしてアームピースが弾性変形または塑性変形しても、アームピースがウォッシャノズルと不要に干渉することがなく、ウォッシャノズルの固定姿勢が変更されたり脱落、損傷するなどの恐れがなくなる。またこのため、ウォッシャノズルから噴射される洗浄液の着水点が規定の位置から外れてしまうことがなく、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0018】
このように、請求項1記載のワイパアームでは、外観見栄え(デザイン性)が向上し、しかも、ワイパアームに設けられたウォッシャノズルの損傷を防止することができると共にその固定姿勢が不要に変化することをも防止でき、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0019】
請求項2に係る発明のワイパアームは、請求項1記載のワイパアームにおいて、前記ウォッシャノズルは、前記リテーナの先端側に配置された第1ウォッシャノズルと前記リテーナの基端側に配置された第2ウォッシャノズルとを備え、前記配管ホースによって前記第2ウォッシャノズルを経由して前記第1ウォッシャノズルに前記洗浄液が供給されると共に前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルから前記払拭面へ前記洗浄液を噴出する、ことを特徴としている。
【0020】
請求項2記載のワイパアームでは、第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルから払拭面へ洗浄液を噴出するため、広い払拭面に対して複数の適切な位置に洗浄液を噴射(着水)することができる。したがって、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0021】
請求項3に係る発明のワイパアームは、請求項2記載のワイパアームにおいて、前記リテーナの一対の側壁と前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルとは互いに嵌合し合う凹凸部が設けられ、前記凹凸部は、互いに嵌合した状態において前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルを前記リテーナに対して回転不能に保持する形状を成している、ことを特徴としている。
【0022】
請求項3記載のワイパアームでは、凹凸部が互いに嵌合することで第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルがリテーナの側壁間に固定されるが、この凹凸部の形状によって嵌合だけで各ウォッシャノズルはリテーナに対して回転不能に保持されるため、各ウォッシャノズルの噴射口の位置ズレ(噴射方向のズレ)を防止することができる。したがって、洗浄液の着水点が振動などで意に反して変更されてしまうことを防止できる。
【0023】
また、このように単に凹凸部を互いに嵌合させるだけで取付け固定が完了するため、ウォッシャノズルの固定を特別な別部品を要せず容易に行なうことができる(ワンタッチの簡単な取付構造とすることができる)。さらに、凹凸部を予め所定位置に設けることにより、ウォッシャノズルの取付位置の位置決めを行なうことが可能になる。
【0024】
請求項4に係る発明のワイパアームは、請求項2または請求項3記載のワイパアームにおいて、前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記第1ウォッシャノズルを挟んでリテーナの長手方向両側に設けられている、ことを特徴としている。
【0025】
請求項4記載のワイパアームでは、リテーナとアームピースとの固定部が、第1ウォッシャノズルを挟んでリテーナの長手方向両側に設けられているため、リテーナとアームピースとの固定がより一層強固になり、アームピースの撓みが第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルの固定姿勢に影響を及ぼすことが一層防止され、その固定姿勢が不要に変化することを一層確実に防止できる。
【0026】
請求項5に係る発明のワイパアームは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のワイパアームにおいて、前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記アームピースを前記リテーナの前記上壁裏面に重合した状態で前記リテーナの前記一対の側壁をそれぞれ内側に平板状に折り返して把持した把持固定部である、ことを特徴としている。
【0027】
請求項5記載のワイパアームでは、他の特別な固定部品を用いることなく簡単な構造によってリテーナとアームピースとを把持固定することができ、また、見栄えが悪化することもない。
【0028】
請求項6に係る発明のワイパアームは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のワイパアームにおいて、前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記リテーナ及び前記アームピースを貫通するリベットによって締結した締結固定部である、ことを特徴としている。
【0029】
請求項6記載のワイパアームでは、簡単な構造によってリテーナとアームピースとを締結固定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の第1の実施の形態に係るワイパアーム10の全体構成が裏面図にて示されている。また、図2にはこのワイパアーム10の主要部分の構成が斜視図にて示されている。
【0031】
ワイパアーム10は、アームヘッド12及びリテーナ14を備えている。アームヘッド12は、その一端部が、車体に設けられた回動軸としてのピボットシャフト(図示省略)に固定されており、常にピボットシャフトと共に回動する。アームヘッド12の裏面側一端部には、前記ピボットシャフトの周囲を囲繞するスカート部16が形成されており、また、裏面側中央部には長手方向に沿って波状に長孔18が形成されており後述する配管ホース46の配索用となっている。
【0032】
アームヘッド12の他端部には、リテーナ14がウインドシールドガラスに接近及び離間する方向に所定角度回動可能に支軸Qを介して連結されている。このリテーナ14は、一対の側壁22及び上壁24を有してその裏面側が下方(払拭面方向)へ向けて開口する断面コ字状に形成されている。また、リテーナ14の一対の側壁22の長手方向中間部分には、後述する第2ウォッシャノズルとしての中間ウォッシャノズル34に対応して、楕円形(長円形)の凹部26及び案内スロープ溝27が設けられており、さらに、リテーナ14の一対の側壁22の長手方向先端部分には、同様に後述する第1ウォッシャノズルとしての先端ウォッシャノズル36に対応して、楕円形(長円形)の凹部28及び案内スロープ溝29が設けられている。
【0033】
さらに、リテーナ14とアームヘッド12との間には、スプリング30が掛け渡されている。このスプリング30は所謂引張りコイルスプリングとされており、そのコイル部30Aがリテーナ14の断面コ字状内に配置されて常にリテーナ14をウインドシールドガラスの払拭面の方向へ付勢している。
【0034】
また、リテーナ14の先端部には、リテーナ14と共にワイパアーム10を構成する平板状の長尺金属材よりなるアームピース32が固着されている。アームピース32は、その基端部がリテーナ14の先端部に上壁24の裏面に重合され、しかも一対の側壁22の一部によって握持されるようにカシメられた第1固定部33及び第2固定部35によって固着されている。このリテーナ14とアームピース32との固定部である第1固定部33及び第2固定部35は、図3に示すように、アームピース32の平板平面をリテーナ14の上壁24裏面に重合した状態でリテーナ14の一対の側壁22をそれぞれ内側に平板状に折り返して把持した把持固定部である。
【0035】
さらに、アームピース32の先端部は略U字状に屈曲されてフック(図示省略)となっており、ワイパブレードをクリップ部材(何れも図示省略)を介して連結保持している。そして、アームピース32の基端側は、上述のようにリテーナ14の第1固定部33と第2固定部35によって固定されており、さらに第2固定部35よりもリテーナ14の基端側に延出してその端部が折曲起立している。この端部には上述したスプリング30の一端が図1に示すように係止されている。
【0036】
またさらに、上記構成のワイパアーム10には、第2ウォッシャノズルとしての中間ウォッシャノズル34及び第1ウォッシャノズルとしての先端ウォッシャノズル36が設けられている。
【0037】
図2に詳細に示す如く、中間ウォッシャノズル34にはその側部に凸部38が形成されており、前述したリテーナ14の凹部26に嵌合する。すなわち、中間ウォッシャノズル34は、リテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、凹部26に対応する楕円形(長円形)の凸部38が嵌合することで、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。さらに、中間ウォッシャノズル34にはその頂部(リテーナ14の上壁24の側)に一対の押圧片40が一体に形成されている。これら一対の押圧片40は、凸部38に対して互いに反対方向へ向けて延出されており、リテーナ14の上壁24の裏面に重合されたアームピース32に弾性押圧状態で接触している。これにより、凹部26及び凸部38による中間ウォッシャノズル34の嵌合保持部分を軸として、互いに反対回転方向に押圧し合うように構成されている。
【0038】
この中間ウォッシャノズル34は、導入ニップル48から導出ニップル50に連通する本流路51と、この本流路51から分岐して噴射口55に連通する分流路53とを有する構成となっている。
【0039】
一方、先端ウォッシャノズル36にも同様にその側部に凸部42が形成されており、前述したリテーナ14の凹部28に嵌合する。すなわち、先端ウォッシャノズル36は、リテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、凹部28に凸部42が嵌合することで、リテーナ14に対して回転不能に保持された構成となっている。さらに、先端ウォッシャノズル36にはその頂部(リテーナ14の上壁24の側)に一対の押圧片44が一体に形成されている。これら一対の押圧片44は、凸部42に対して互いに反対方向へ向けて延出されており、リテーナ14の上壁24の裏面に重合されたアームピース32に弾性押圧状態で接触している。これにより、凹部28及び凸部42による先端ウォッシャノズル36の嵌合保持部分を軸として、互いに反対回転方向に押圧し合うように構成されている。
【0040】
またここで、リテーナ14と重合するアームピース32上に所定の姿勢で固定配置されたリテーナ14先端側の先端ウォッシャノズル36は、前記リテーナ14とアームピース32との第1固定部33よりもリテーナ14基端側に設けられている、すなわち、リテーナ14とアームピース32との第1固定部33は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられた構成となっている。さらに、リテーナ14とアームピース32との第2固定部35は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14基端側(中間ウォッシャノズル34の側))に設けられている、すなわち、リテーナとアームピースとの第1固定部33と第2固定部35とは、先端ウォッシャノズル36を挟んでリテーナ14長手方向両側に設けられた構成となっている。
【0041】
中間ウォッシャノズル34には、配管ホース46の一端が連結されている。この配管ホース46は、車体内に設けられた図示を省略したウォッシャタンクにウォッシャポンプを介して接続されており、ピボットシャフトの近傍に設けられた車両ボディのホース取出し口から車体外へ引き出され、さらに、アームヘッド12の裏面側に導入され、長孔18に挟持されて側壁22内側に沿って配設されている。さらに、側壁22内側に沿って配設された配管ホース46は、前述したスプリング30のコイル部を貫通してリテーナ14先端側に導出されて中間ウォッシャノズル34の導入ニップル48に接続された構成となっている。さらに、中間ウォッシャノズル34の導出ニップル50には補助ホース52の一端が連結されており、この補助ホース52の他端は先端ウォッシャノズル36の導入ニップル54に接続されている。これにより、配管ホース46を介して中間ウォッシャノズル34に洗浄液を配送することができると共に、補助ホース52を介して先端ウォッシャノズル36に洗浄液を配送することができる構成である。
【0042】
次に本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0043】
上記構成のワイパアーム10が用いられたワイパ装置では、ピボットシャフトの回動に伴ってワイパアーム10が往復回動することにより、ワイパブレードが往復回動してウインドシールドガラス面の雨滴等を払拭する。
【0044】
ここで、このワイパアーム10では、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36が一体に設けられているため、ワイパブレードの払拭範囲が大きくても、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36から噴出される洗浄液を、ワイパブレードで払拭される目的ポイントに確実に着水させることができる。
【0045】
またここで、このワイパアーム10では、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36は、払拭面方向に開口する断面コ字状のリテーナ14内部の一対の側壁22の間に配置され、凹部26及び凸部38が互いに嵌合することで中間ウォッシャノズル34が保持されると共に、凹部28及び凸部42が互いに嵌合することで先端ウォッシャノズル36が保持される。このように、単に凹部26及び凸部38、あるいは凹部28及び凸部42を互いに嵌合させるだけで取付け固定が完了するため、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36の固定を特別な別部品を要せず容易に行なうことができる。また、これらの中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36は、断面コ字状のリテーナ14の内部に配置されるため、外部からの見栄えが向上する。しかも、氷雪との衝突などの外力による損傷を防止できる。
【0046】
また、中間ウォッシャノズル34及び先端ウォッシャノズル36は、凹部26及び凸部38、あるいは凹部28及び凸部42が互いに嵌合することで保持されて固定されるため、中間ウォッシャノズル34や先端ウォッシャノズル36をリテーナ14に装着する際の取付位置の位置決めを行なうことができる。
【0047】
さらに、これらの凹部26及び凸部38あるいは凹部28及び凸部42は、互いに嵌合した状態において中間ウォッシャノズル34や先端ウォッシャノズル36をリテーナ14に対して回転不能に保持する楕円形(長円形)すなわち非円形または非円環形の断面形状に形成されているため、中間ウォッシャノズル34や先端ウォッシャノズル36の噴射口の位置ズレ(噴射方向のズレ)を防止することができる。したがって、洗浄液の着水点が振動などで意に反して変更されてしまうことを防止できる。
【0048】
またさらに、中間ウォッシャノズル34は、リテーナ14の上壁24の裏面に重合されたアームピース32に弾性押圧状態で接触する一対の押圧片40を一体に有しており、また、先端ウォッシャノズル36は同様の一対の押圧片44を一体に有している。これら一対の押圧片40、押圧片44は、端部にそれぞれ突起40A、あるいは突起44Aを有しており、中間ウォッシャノズル34や先端ウォッシャノズル36をリテーナ14の側壁22に取り付ける際に、この突起40Aあるいは突起44Aが上壁24裏面のアームピース32に当接し、更に押圧すると押圧片40あるいは押圧片44が撓んで凸部38あるいは凸部42がそれぞれ凹部26あるいは凹部28に嵌合する。このため、これらの一対の押圧片40によって中間ウォッシャノズル34は前記凹部26及び凸部38による嵌合保持部分を中心に回動しようとする力が釣合い、中間ウォッシャノズル34の回動を阻止させつつも中間ウォッシャノズル34がリテーナ14高さ方向にガタつくことをも防止することができる。またこれと同様に、一対の押圧片44によって先端ウォッシャノズル36は前記凹部28及び凸部42による嵌合保持部分を中心に回動しようとする力が釣合い、先端ウォッシャノズル36の回動を阻止させつつも先端ウォッシャノズル36がリテーナ14高さ方向にガタつくことをも防止することができる。
【0049】
またここで、このワイパアーム10では、リテーナ14とアームピース32との第1固定部33は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられており、しかも、この第1固定部33と第2固定部35とは、先端ウォッシャノズル36を挟んでリテーナ14長手方向両側に設けられた構成となっている。このため、アームピース32の弾性変形または塑性変形による撓みが、先端ウォッシャノズル36固定部分(凹部28及び凸部42による嵌合保持部分)よりも先端を支点として(先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられた第1固定部33を支点として)行われるため、アームピース32の前記撓みが先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34の固定姿勢に影響を及ぼすことが無く、その固定姿勢が不要に変化することを防止できる。
【0050】
しかも、このワイパアーム10では、リテーナ14とアームピース32との第1固定部33と第2固定部35とは、先端ウォッシャノズル36を挟んでリテーナ14長手方向両側に設けられた構成となっているため、リテーナ14とアームピース32との固定がより一層強固になり、アームピース32の撓みが先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34の固定姿勢に影響を及ぼすことが一層防止され、その固定姿勢が不要に変化することを一層確実に防止できる。
【0051】
したがって、例えば、仮に、ワイパブレードが凍結などでウインドガラス面に張り付いた状態で無理矢理これを引き剥がしてロックバックさせようとするなどしてアームピース32が弾性変形または塑性変形しても、アームピース32が先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34(特に、先端側の先端ウォッシャノズル36)と不要に干渉することがなく、両ウォッシャノズルの固定姿勢が変更されたり脱落、損傷するなどの恐れがなくなる。またこのため、両ウォッシャノズルから噴射される洗浄液の着水点が規定の位置から外れてしまうことがなく、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0052】
またさらに、前述した如きリテーナ14とアームピース32との第1固定部33と第2固定部35は、アームピース32をリテーナ14の上壁24裏面に重合した状態でリテーナ14の一対の側壁22をそれぞれ内側に平板状に折り返して把持した把持固定部であるため、他の特別な固定部品を用いることなく簡単な構造によってリテーナ14とアームピース32とを把持固定することができ、また、見栄えが悪化することもない。
【0053】
このように、本第1の実施の形態に係るワイパアーム10では、外観見栄え(デザイン性)が向上し、しかも、ワイパアーム10に設けられた先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34の損傷を防止することができると共にその固定姿勢が不要に変化することをも防止でき、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0054】
次に、図4には本発明の第2の実施の形態に係るワイパアーム130の主要部分の構成が斜視図にて示されている。
【0055】
ワイパアーム130は、第1の実施の形態に係るワイパアーム10と基本的に同様の構成となっているが、アームピース32は、その基端部がリテーナ14の先端部に上壁24の裏面に重合され、しかも第1固定部132及び第2固定部134によって固着されている。このリテーナ14とアームピース32との固定部である第1固定部132及び第2固定部134は、アームピース32をリテーナ14の上壁24裏面に重合した状態でリテーナ14及びアームピース32を貫通するリベット136によって締結した締結固定部である。
【0056】
また、このワイパアーム130においても、リテーナ14と重合するアームピース32上に所定の姿勢で固定配置されたリテーナ14先端側の先端ウォッシャノズル36は、前記リテーナ14とアームピース32との第1固定部132よりもリテーナ14基端側に設けられている、すなわち、リテーナ14とアームピース32との第1固定部132は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられた構成となっている。さらに、リテーナ14とアームピース32との第2固定部134は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14基端側(中間ウォッシャノズル34の側))に設けられている、すなわち、リテーナとアームピースとの第1固定部132と第2固定部134とは、先端ウォッシャノズル36を挟んでリテーナ14長手方向両側に設けられた構成となっている。
【0057】
上記構成のワイパアーム130では、リテーナ14とアームピース32との第1固定部132は、先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられており、しかも、この第1固定部132と第2固定部134とは、先端ウォッシャノズル36を挟んでリテーナ14長手方向両側に設けられた構成となっているため、アームピース32の弾性変形または塑性変形による撓みが、先端ウォッシャノズル36固定部分(凹部28及び凸部42による嵌合保持部分)よりも先端を支点として(先端ウォッシャノズル36よりもリテーナ14先端側に設けられた第1固定部132を支点として)行われるため、アームピース32の前記撓みが先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34の固定姿勢に影響を及ぼすことが無く、その固定姿勢が不要に変化することを防止でき、両ウォッシャノズルから噴射される洗浄液の着水点が規定の位置から外れてしまうことがなく、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【0058】
このように、本第2の実施の形態に係るワイパアーム130では、外観見栄え(デザイン性)が向上し、しかも、ワイパアーム130に設けられた先端ウォッシャノズル36及び中間ウォッシャノズル34の損傷を防止することができると共にその固定姿勢が不要に変化することをも防止でき、適正な洗浄及び払拭を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイパアームの全体構成を示す裏面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイパアームの主要部分の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るワイパアームの主要部分の構成を示す図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るワイパアームの主要部分の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…ワイパアーム、12…アームヘッド、14…リテーナ、22…側壁、24…上壁、26…凹部、28…凹部、32…アームピース、33…第1固定部、34…中間ウォッシャノズル(第2ウォッシャノズル)、35…第2固定部、36…先端ウォッシャノズル(第1ウォッシャノズル)、38…凸部、42…凸部、46…配管ホース
Claims (6)
- 基端部がピボットシャフトに固定されるアームヘッドと、
一対の側壁及び上壁を有して払拭面方向に開口する断面コ字状に形成され、払拭面から離間する方向に揺動可能に前記アームヘッドの先端部に連結されるリテーナと、
基端部が前記リテーナの先端部に前記上壁の裏面に重合状態で固定され、先端部にワイパブレードが連結されるアームピースと、
前記リテーナの前記一対の側壁間の内側に配置されたウォッシャノズルと、
前記リテーナに沿って配索され、前記ウォッシャノズルに洗浄液を供給する配管ホースと、
を備え、前記配管ホースから供給された洗浄液を前記ウォッシャノズルによって払拭面へ噴出するワイパアームにおいて、
前記ウォッシャノズルは、前記リテーナと前記アームピースとの重合部分における前記アームピース上に所定の姿勢で固定配置され、
前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記ウォッシャノズルよりもリテーナ先端側において少なくとも1箇所設けられている、
ことを特徴とするワイパアーム。 - 前記ウォッシャノズルは、前記リテーナの先端側に配置された第1ウォッシャノズルと前記リテーナの基端側に配置された第2ウォッシャノズルとを備え、
前記配管ホースによって前記第2ウォッシャノズルを経由して前記第1ウォッシャノズルに前記洗浄液が供給されると共に前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルから前記払拭面へ前記洗浄液を噴出する、
ことを特徴とする請求項1記載のワイパアーム。 - 前記リテーナの一対の側壁と前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルとは互いに嵌合し合う凹凸部が設けられ、前記凹凸部は、互いに嵌合した状態において前記第1ウォッシャノズル及び第2ウォッシャノズルを前記リテーナに対して回転不能に保持する形状を成している、
ことを特徴とする請求項2記載のワイパアーム。 - 前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記第1ウォッシャノズルを挟んでリテーナの長手方向両側に設けられている、
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載のワイパアーム。 - 前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記アームピースを前記リテーナの前記上壁裏面に重合した状態で前記リテーナの前記一対の側壁をそれぞれ内側に平板状に折り返して把持した把持固定部である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のワイパアーム。 - 前記リテーナと前記アームピースとの固定部は、前記リテーナ及び前記アームピースを貫通するリベットによって締結した締結固定部である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のワイパアーム。
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