JP3884592B2 - 除草剤散布量決定装置及び除草剤散布量決定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、除草剤の散布量を決定する装置及び散布量を決定する方法に関するものであり、特に、試料に一定時間励起光を照射した後に発せられる遅延蛍光を利用した除草剤散布量決定装置及び除草剤散布量決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、物質に光を照射し、当該物質から発生する散乱光、蛍光、燐光からその物性を評価することが様々な分野で盛んに行われている。例えば、物質に光を照射し、この物質から発生する蛍光をもとに物性を評価する技術として、特公平4−21134号公報に記載された植物鮮度測定器が知られている。この植物鮮度測定器は、植物に可視光を照射することにより蛍光を発生させて、この蛍光の強度をもとに植物の鮮度を測定するものであり、この測定器によれば、ある程度は植物の鮮度を測定することができる。しかし、植物に可視光を照射して発生する蛍光から得られるのは、可視光を受けた分子の情報、すなわち表面的な情報に過ぎないため、植物の鮮度を確実に測定できるとは言い難い。
【0003】
一方、植物の葉に励起光を照射し、当該励起光を遮断すると、その後数分にわたって葉から遅延蛍光が発せられることが知られている。この遅延蛍光は、励起光が一度葉緑体内部で化学エネルギーに変換され、ある程度の遅延時間を経た後に再度光エネルギーとして放出されるものであり、このような遅延蛍光をモニターすれば、いわゆる表面的な情報だけでなく、上記化学エネルギーを受け取る分子の情報、即ち内部の情報まで得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、植物の葉を枯らすために除草剤が多用されているが、環境問題が重視される中、多量の除草剤を散布することによる水質汚染や土壌汚染が大きな問題とされている。建築物の建設等に際して除草剤を使用せざるを得ない場合もあるが、多くの除草剤は自然分解が困難であり、周りの環境や生体内に蓄積されて悪影響を及ぼすため、除草剤の過度の散布を避けることが望まれている。しかし、従来から、除草剤の適切な散布量を決定することのできる技術は開発されていなかった。そのため、除草剤を散布しすぎたり、除草剤の散布量が不足する等の事態が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、除草剤の適切な散布量を決定することができる除草剤散布量決定装置及び除草剤散布量決定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、試料に塗布された除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定装置であって、除草剤が塗布された試料に向けて励起光を放射する光源と、励起光が照射された試料から発生する遅延蛍光を所定時間検出する光検出器と、試料から発生した遅延蛍光を光検出器に入射させる光学系と、光検出器で検出された遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線を算出する算出手段と、減衰曲線に基づいて除草剤評価値を求める演算手段と、除草剤評価値を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明に係る除草剤散布量決定装置によれば、まず、除草剤が塗布された植物の葉などの試料に向けて、光源より励起光が放射される。励起光の照射により試料から遅延蛍光が発生し、この遅延蛍光は、レンズ等から成る光学系を介して、例えば、光電子増倍管などの光検出器に入射する。光検出器が所定の時間遅延蛍光を検出した後、算出手段により、遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線が算出される。算出された減衰曲線に基づいて、演算手段により除草剤評価値が求められ、例えば、ディスプレイ等の出力部により当該除草剤評価値が出力される。そして、オペレータが除草剤評価値に応じた除草剤の散布量が予め蓄積されているデータを参照し、ディスプレイ等に出力された除草剤評価値を持つ除草剤の最適な散布量が決定される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の除草剤散布量決定装置において、除草剤評価値が、減衰曲線の二点の傾きの比の値であることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明に係る除草剤散布量決定装置では、遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線の二点の傾きの比の値、例えば、遅延蛍光の検出初期における減衰曲線の傾きをk1、検出後期における減衰曲線の傾きをk2とした場合、k2/k1又はk1/k2の値が除草剤評価値となる。本発明者の鋭意研究の結果、k2/k1等で示される除草剤評価値は、除草剤が植物を枯らす効果と一定の関係があることが見出された。そのため、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量を予めデータとして蓄積することができ、この蓄積されたデータに基づいて、上述のように求められたk2/k1等の除草剤評価値に応じた除草剤散布量を決定することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の除草剤散布量決定装置において、除草剤評価値に対応した除草剤散布量データが予め蓄積された除草剤散布量データ記憶手段と、除草剤散布量データ記憶手段に蓄積された除草剤散布量データに基づいて除草剤評価値に応じた除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定手段とを更に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明に係る除草剤散布量決定装置では、除草剤評価値に対応した除草剤の散布量が、除草剤散布量データとして除草剤散布量データ記憶手段に予め蓄積されている。そして、この除草剤散布量データに基づいて、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量が自動的に決定される。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか一項記載の除草剤散布量決定装置において、試料から発生した遅延蛍光を光検出器に入射させる光学系が、ファイバーライトガイドであることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、試料に塗布された除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定方法であって、除草剤が塗布された試料に励起光を照射する工程と、励起光が照射された試料から発生する遅延蛍光を光検出器により所定時間検出する工程と、光検出器で検出された遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線を算出する工程と、減衰曲線に基づいて除草剤評価値を求める工程と、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量を決定する工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明に係る除草剤散布量決定方法では、まず、除草剤が塗布された植物の葉などの試料に向けて、励起光が照射される。励起光の照射により試料から遅延蛍光が発生し、例えば、光電子増倍管などの光検出器によって、遅延蛍光が所定時間検出される。その後、遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線が算出され、この減衰曲線に基づいて、除草剤評価値が求められる。そして、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量が予め蓄積されているデータを参照して、上述のように求められた除草剤評価値を持つ除草剤の最適な散布量が決定される。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の除草剤散布量決定方法において、除草剤評価値が、減衰曲線の二点の傾きの比の値であることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明に係る除草剤散布量決定方法では、遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線の二点の傾きの比の値、例えば、遅延蛍光の検出初期における減衰曲線の傾きをk1、検出後期における減衰曲線の傾きをk2とした場合、k2/k1又はk1/k2の値が除草剤評価値となる。そして、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量が予め蓄積されているデータを参照して、k2/k1等の除草剤評価値を持つ除草剤の最適な散布量が決定される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る除草剤散布量決定装置及び除草剤散布量決定方法の好適な実施形態について詳細に説明する。同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いるものとし、重複する記載は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
本発明に係る除草剤散布量決定装置の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態の除草剤散布量決定装置の一部破断横断面図である。本実施形態の除草剤散布量決定装置2は、遅延蛍光測定装置4、制御部6及び出力部であるディスプレイ7から構成されている。
【0019】
まず、遅延蛍光測定装置4の構成について説明する。遅延蛍光測定装置4には、試料8を収容する試料収容部10が設けられており、試料収容部10は、試料8を前後から挟めるように構成され、さらに、外部からの光を遮断できる構造になっている。尚、本実施形態では、除草剤が塗布された植物の葉を試料8としている。
【0020】
本実施形態では、光検出器として、光電子増倍管(PMT)12を用いており、当該光電子増倍管12と試料収容部10との間には、外部からの光を遮断できる略円筒形状の遅延蛍光通過部14が設けられている。遅延蛍光通過部14内の試料収容部10近傍には、試料8を励起する励起光の光源であるレーザーダイオード(LD)16が配置されている。レーザーダイオード16から放出されるレーザ光は、波長680nmで、試料8の照射位置におけるレーザ光の強度は、10mW/cm2である。
【0021】
また、遅延蛍光通過部14内には、試料収容部10側から順に、シャッター18、集光レンズ20、フィルター22が配置されている。シャッター18には、リミットスイッチ24が付いており、シャッター18の開放と同時にレーザーダイオード16へ電源が供給されなくなり、レーザ光の出力が停止するように構成されている。試料8にレーザ光を照射した後に、レーザ光の出力を停止することで、試料8から遅延蛍光が発せされることになる。また、集光用レンズ20には、f50の1:1のリレーレンズを用いた。フィルター22は、波長が720nmより短い光をカットするカットオフフィルターである。
【0022】
光検出器である光電子増倍管12の光電面にはマルチアルカリ光電面を用い、その分光感度特性から遅延蛍光波長である720〜760nmの光を検出する。また、光電子増倍管12には、冷却器26が設けられており、この冷却器26によって光電子増倍管12はマイナス30度まで冷却され、光電子増倍管12内に流れる暗電流が低減する。
【0023】
続いて、図2を用いて、遅延蛍光測定装置4に接続された制御部6及び出力部であるディスプレイ7の構成について説明する。図2は、制御部6及びディスプレイ7を示すブロック図である。この図に示されているように、制御部6には、遅延蛍光測定装置14の光電子増倍管12からの信号を増幅するプリアンプ28と、増幅された信号をカウントするカウンタ30及び減衰曲線の算出、除草剤評価値の算出等を行うCPU32が内蔵されている。また、CPU32には、減衰曲線及び除草剤評価値を表示するディスプレイ7が接続されている。
【0024】
ここで、図3を用いて、一般的な減衰曲線の説明をする。図3は、横軸を遅延蛍光の検出時間、縦軸を遅延蛍光の発光強度としたグラフであり、この図に示された曲線が減衰曲線である。ここでは、除草剤が塗布されたサラダナと、除草剤を塗布してないサラダナを試料として用いている。図3から、除草剤を塗布した方が、除草剤を塗布しないときよりも遅延蛍光の発光量の総和が少ないことがわかる。尚、除草剤により遅延蛍光の発光量の総和が低下することに鑑み、発光量の総和に基づいて除草剤の効果を予測し、除草剤の散布量を決定する手法も考えられるが、遅延蛍光の発光量の総和は、試料である植物体の葉の測定箇所により大きく異なるため、適切な手法とはいえない。そこで本発明者により案出された除草剤の散布量を決定する手法が、以下に述べる除草剤評価値を利用した手法である。
【0025】
図4を参照して、本実施形態における除草剤評価値について説明する。図4は、図3とは異なる試料から発せられた遅延蛍光をもとに求められた減衰曲線を示している。本実施形態では、遅延蛍光の検出開始から約1〜5秒後の傾きk1と、検出開始から約50〜100秒後の傾きk2を求め、k2/k1の値を除草剤評価値としている。尚、傾きを求める減衰曲線上の二点は、適宜設定することができる。
【0026】
ここで、図5を用いて、除草剤評価値であるk2/k1の値と除草剤の効果との関係を説明する。図5は、k1及びk2の値を二次元マッピングしたグラフである。図中、除草剤を塗布していない試料をもとに算出された減衰曲線から得られたk1及びk2は丸印で示し、試料に除草剤を塗布した2分後に遅延蛍光を検出して得られたk1及びk2は四角印で示し、除草剤を塗布した5分後に遅延蛍光を検出して得られたk1及びk2は三角印で示した。この図より、除草剤塗布から2分後は、k2に対してk1の値が大きく、除草剤塗布から5分後、即ち、除草剤の効果がさらに表れたときは、k1の値がさらに増加するとともにk2の値が減少し、除草剤を塗布しない場合は、除草剤を塗布したときよりもk1の値が小さく、k2の値が大きいことがわかる。このことより、除草剤が葉などを枯らす効果が大きいときは、k1の値が大きくなるとともに、k2の値が小さくなることがわかる。即ち、除草剤の効き目が大きいときは、除草剤評価値であるk2/k1の値が小さくなる。
【0027】
次に、図6を用いて、除草剤塗布後の時間と除草剤評価値であるk2/k1の値との関係を説明する。図6は、横軸を除草剤塗布後の経過時間とし、縦軸を除草剤評価値(k2/k1)としている。ここでは、発芽後14日目のサラダナを4株用いて比較した。この図より、何れのサラダナにおいても、除草剤の塗布後極めて瞬間的にk2/k1の値が小さくなっており、ここで用いられた除草剤は即効性が高いことがわかる。実際に、除草剤を塗布後の3日目から、4つのサラダナの葉が枯れ始め、当該除草剤の効き目が早期にでることが確認された。
【0028】
以上より、除草剤評価値として、減衰曲線の二点の傾きの比の値を用いれば、除草剤の効果及び除草剤の効果の発生時期が予測できることがわかる。
【0029】
本発明者は、さらに、試料である葉の測定箇所と、除草剤評価値の関係を調べるため、葉の測定位置をランダムに変えて遅延蛍光を測定した。図7は、その測定結果であり、横軸を測定箇所の異なる試料ごとに振り分けられたサンプル番号とし、縦軸を除草剤評価値及び発光強度とした。また、グラフ中、除草剤評価値を丸印、発光強度を三角印で示し、グラフの左側に除草剤を塗布していない試料から得た測定結果、右側に除草剤を塗布した試料から得た測定結果を示した。このグラフより、発光総量は、試料別にかなり異なり、葉の測定位置によって違いが出ることがわかった。即ち、上述のように、発光量の総和に基づいて除草剤の効果を予測し、除草剤の散布量を決定する手法は適切でないことが確認された。一方、除草剤評価値は、試料ごとの差はかなり少なく、試料の測定箇所の違いによる影響を受けにくいため、除草剤評価値に基づいて除草剤の効果を予測すれば、発光量の総和に基づいて除草剤の効果を予測した場合よりも、より適切な除草剤散布量を決定できることがわかった。
【0030】
次に、図8を用いて、除草剤の散布を雑草に適用した場面を想定して行った実験結果について説明する。この実験では、試料として、カタビラ、セイヨウタンポポ及びマメグンバイナズナを用いた。また、実際の除草剤は、野外において雨、風などの影響で散布量にムラが生じることを考慮し、異なった濃度の除草剤を用意して各試料に塗布した。尚、除草剤は、通常の濃度のものから1/10の濃度のものまで用いた。図8は、実験結果を示しており、横軸をサンプル番号とし、縦軸を除草剤塗布5分後の除草剤評価値としている。また、実際に除草剤を塗布した各試料を除草剤を塗布した1週間後に目視にて観察し、試料に変化の無かったものを丸印、部分的に枯れたものを三角印、葉の全体が枯れたものをバツ印で示した。尚、除草剤を塗布していないものも数点測定し、その平均値を四角印で示した。
【0031】
図8より、雑草の種類に依存せず、除草剤を塗布していない試料の除草剤評価値は、0.06以上あることがわかる。一方、除草剤を塗布した試料でも、除草剤評価値が約0.035以上であれば、枯れないことがわかる。また、除草剤評価値が約0.02以下のものについては、除草剤の濃度を問わず全ての試料が枯れている。このことから、除草剤散布直後において、各試料に全く変化が見られない状況下でも、除草剤評価値を算出すれば試料がその後枯れるか否かを予測することができる。また、除草剤の濃度を変えて除草剤評価値を算出すれば、気象条件等の影響を受けた場合の除草剤の効果を予測することができる。即ち、風雨の影響が大きいと予想されるときは、希釈した除草剤の除草剤評価値を算出して、この除草剤評価値に応じた量の除草剤を散布すればよいことになる。
【0032】
次に、除草剤の最適散布量の決定方法を説明する。
【0033】
まず、図1を参照して、遅延蛍光の検出までを説明する。シャッター18を閉じた状態で冷却器26により光電子増倍管12をマイナス30℃まで冷却した後に、散布量を求めたい除草剤を塗布した試料8を試料収容部10に収容する。試料8を遮光状態で約1〜2分間放置した後、レーザーダイオード16を点灯し、約1分間試料8を励起する。試料8を励起した後、シャッター18を開くと同時に、レーザーダイオード16への供給電源をオフにする。レーザーダイオード16の消灯後、試料8から遅延蛍光が発生し、当該遅延蛍光は、シャッター18を通過し、集光レンズ20により集光されて、光電子増倍管12に到達する。この際、リミットスイッチ24によって720nmよりも波長の短い光は遮断される。光電子増倍管12は、所定時間遅延蛍光の検出を行う。本実施形態では、200msのサンプリングを512回行い、約100秒間の遅延蛍光の計時変化を測定した。
【0034】
続いて、図9を参照して、光電子増倍管12で検出された遅延蛍光の読出から、除草剤評価値の表示までのCPU32の制御手順を説明する。光電子増倍管12が所定時間遅延蛍光を検出した後、CPU32は、光電子増倍管12から遅延蛍光の電気信号である遅延蛍光データを読み出す指令を光電子増倍管12に送る(S101)。光電子増倍管12から読み出された遅延蛍光データは、プリアンプ28により増幅され、増幅された遅延蛍光データは、カウンタ30でカウントされる。続いて、CPU32は、遅延蛍光データのカウント値に基づいて、遅延蛍光の検出時間と発光強度との関係を示す減衰曲線を算出する(S102)。
【0035】
減衰曲線を算出した後、CPU32は、除草剤評価値を算出する(S103)。本実施形態では、CPU32は、遅延蛍光の検出開始3秒後の傾きk1と、検出開始50秒後の傾きk2を求め、除草剤評価値であるk2/k1の値を算出する。除草剤評価値を算出した後、CPU32は、ディスプレイ7に、減衰曲線及び除草剤評価値の表示指令を送り(S104)、CPU32の動作は終了する。
【0036】
その後、オペレータがディスプレイ7に表示された除草剤評価値(k2/k1)を目視にて判断し、除草剤評価値に対応した除草剤の散布量が予め蓄積されたデータに基づいて試料8に塗布された除草剤の散布量が決定される。この際、図6を用いて説明したように、遅延蛍光の測定を除草剤塗布後から数分おきに複数回行えば、除草剤の効果の発生時期も予測することができる。また、図7を用いて説明したように、除草剤評価値は、試料の測定箇所の違いによる影響を受けにくいため、発光量の総和に基づいて除草剤の効果を予測する場合よりも、より適切な除草剤散布量を決定することができる。さらに、図8を用いて説明したように、除草剤の濃度を変えて除草剤評価値を算出すれば、気象状況に応じた除草剤の散布量を決定することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る除草剤散布量決定装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、制御部6にある。図10は、本実施形態の制御部6のブロック図である。この図に示されているように、制御部6に、CPU32に接続された除草剤散布量データ記憶部34が内蔵されている。この除草剤散布量データ記憶部34には、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量のデータが予め記憶されている。
【0038】
図11は、本実施形態のCPU32の制御手順を示すフローチャートである。CPU32は、S101〜S103の工程を経て、第1実施形態と同様に除草剤評価値を算出する。除草剤評価値を算出した後、CPU32は、除草剤散布量データ記憶部34から、除草剤散布量データを読み出す(S104)。その後、CPU32は、読み出した除草剤散布量データに基づいて、S103で算出した除草剤評価値に応じた除草剤の散布量を決定する(S105)。除草剤の散布量を決定した後、CPU32は、ディスプレイ7に、除草剤の散布量の表示指令を送り(S106)、CPU32の動作は終了する。
【0039】
本実施形態の除草剤散布量決定装置2によれば、除草剤評価値の算出のみならず、除草剤の最適散布量の決定までも自動的に行われるので、容易に除草剤の散布量を決定することができる。尚、本実施形態の変形例として、除草剤散布量データ記憶部34に、除草剤を塗布してからの時間に対する除草剤評価値の変化に応じた除草剤の効果発生時期のデータである発生時期データを記憶させることができる。この場合、CPU32は、発生時期データに基づいて、除草剤塗布後数回にわたり測定された除草剤評価値に応じた除草剤の効果の発生時期をも予測する。
【0040】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る除草剤散布量決定装置の第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴は、遅延蛍光測定装置4の構成にある。図12は、本実施形態の遅延蛍光測定装置4を示す図である。本実施形態では、試料収容部10として、試料8を挟み込んで外部からの光を遮断する遮光サンプルホルダーを用いている。そして、レーザーダイオード16から出力されるレーザ光は、ファイバーライトガイド36内を進んで試料8に到達する。また、レーザ光の照射を停止した後に試料8から発せられる遅延蛍光も、ファイバーライトガイド38を進み、シャッター18を通過して光電子増倍管12に到達する。
【0041】
本実施形態の除草剤散布量決定装置2によれば、可撓性を有するファイバーライトガイド36,38を光学系として用いているため、試料8を殆ど移動させることなく、除草剤散布量を決定することができる。特に、散布量を決定したい除草剤が塗布された試料8が高い位置にある場合に、本実施形態の除草剤散布量決定装置2は効果的である。また、遅延蛍光測定装置4や制御部等の電源を電池方式や簡易型発電機とすれば、野外での測定も容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基いて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、光検出器は、光電子増倍管に限られず、アバランシェフォトダイオード等を用いてもよく、また、光源もレーザーダイオードではなく、発光ダイオード、分光フィルターを組み合わせたタングステンランプ等、必要とする波長範囲に出力を有する任意の光源を用いてもよい。さらに、集光レンズ、フィルター等は不要であれば省くことができる。また、出力部として、ディスプレイではなく、プリンタ等を用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の除草剤散布量決定装置及び除草剤散布量決定方法によれば、光検出器が所定の時間試料から発せられた遅延蛍光を検出した後、遅延蛍光の検出時間と遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線を算出することができる。減衰曲線が算出された後、当該減衰曲線に基づいて、除草剤評価値が求められる。そして、除草剤評価値に応じた除草剤の散布量が予め蓄積されているデータを参照して、求められた除草剤評価値を持つ除草剤の最適な散布量を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る除草剤散布量決定装置の一部破断横断面図である。
【図2】第1実施形態に係る除草剤散布量決定装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】一般的な減衰曲線を説明するために用いたグラフである。
【図4】第1実施形態における除草剤評価値を説明するために用いたグラフである。
【図5】除草剤評価値であるk2/k1の値と除草剤の効果を説明するために用いたグラフである。
【図6】除草剤塗布後の時間と除草剤評価値であるk2/k1の値との関係を説明するために用いたグラフである。
【図7】試料の測定箇所と除草剤評価値との関係を説明するために用いたグラフである。
【図8】除草剤の散布を雑草に適用した場面を想定して行った実験結果を表すグラフである。
【図9】第1実施形態に係るCPUの制御手順を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る除草剤散布量決定装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態に係るCPUの制御手順を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る遅延蛍光測定装置を示す図である。
【符号の説明】
2…除草剤散布量決定装置、4…遅延蛍光測定装置、6…制御部、8…試料、10…試料収容部、12…光電子増倍管、16…ダイオード、18…シャッター、26…冷却器、28…プリアンプ、30…カウンタ、32…CPU、34…除草剤散布量データ記憶部、36,38…ファイバーライトガイド。
Claims (6)
- 試料に塗布された除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定装置であって、
前記除草剤が塗布された前記試料に向けて励起光を放射する光源と、
前記励起光が照射された前記試料から発生する遅延蛍光を所定時間検出する光検出器と、
前記試料から発生した前記遅延蛍光を前記光検出器に入射させる光学系と、
前記光検出器で検出された前記遅延蛍光の検出時間と前記遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線を算出する算出手段と、
前記減衰曲線に基づいて除草剤評価値を求める演算手段と、
を備えることを特徴とする除草剤散布量決定装置。 - 前記除草剤評価値は、前記減衰曲線の二点の傾きの比の値であることを特徴とする請求項1記載の除草剤散布量決定装置。
- 前記除草剤評価値に対応した除草剤散布量データが予め蓄積された除草剤散布量データ記憶手段と、
前記除草剤散布量データ記憶手段に蓄積された前記除草剤散布量データに基づいて、前記除草剤評価値に応じた前記除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の除草剤散布量決定装置。 - 前記試料から発生した前記遅延蛍光を前記光検出器に入射させる前記光学系は、ファイバーライトガイドであることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項記載の除草剤散布量決定装置。
- 試料に塗布された除草剤の散布量を決定する除草剤散布量決定方法であって、
前記除草剤が塗布された前記試料に励起光を照射する工程と、
前記励起光が照射された前記試料から発生する遅延蛍光を光検出器により所定時間検出する工程と、
前記光検出器で検出された前記遅延蛍光の検出時間と前記遅延蛍光の発光強度との関係を示す減衰曲線を算出する工程と、
前記減衰曲線に基づいて除草剤評価値を求める工程と、
前記除草剤評価値に応じた前記除草剤の散布量を決定する工程と、
を備えることを特徴とする除草剤散布量決定方法。 - 前記除草剤評価値は、前記減衰曲線の二点の傾きの比の値であることを特徴とする請求項5記載の除草剤散布量決定方法。
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