JP2005232004A - 有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法 - Google Patents

有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法 Download PDF

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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
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    • A01M7/0089Regulating or controlling systems

Abstract

【課題】有害生物防除剤の実用散布薬量は室内での濃度勾配試験等により基礎効力を求め、対照薬剤との相対効力を参考にしながら複数の薬量を設定した実用場面での大規模試験を多数回繰り返し確固たる実績を積み重ねることによって決定されてきた。しかしながら、従来の方法では複数の薬量設定や多数回にわたる大規模試験の積み重ねのための膨大な設備費用および人件費や長期にわたる試験年数が必要であり、有害生物防除剤の実用散布薬量をより簡便で安価、且つ正確に決定する方法が切望されてきた。
【解決手段】薬剤の実用あるいはそれに準じた場面での減少速度を求める際に実用場面あるいはそれに準じた環境条件下での残効性試験結果を、被害率あるいは被害抑制率を濃度勾配試験結果と対応させることにより相当する薬量に置換する方法において、対照剤との比較によって任意の残効期間あるいは任意の有効防除価を維持することのできる散布薬量を算出する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有害生物防除剤の実用散布薬量は室内での濃度勾配試験等により基礎効力を求め、対照薬剤との相対効力を参考にしながら複数の薬量を設定した実用場面での大規模試験を多数回繰り返し確固たる実績を積み重ねることによって決定されてきた。しかしながら、従来の方法では複数の薬量設定や多数回にわたる大規模試験の積み重ねのための膨大な設備費用および人件費や長期にわたる試験年数が必要であり、有害生物防除剤の実用散布薬量をより簡便で安価、且つ正確に決定する方法が切望されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記状況に鑑み、実用場面あるいはそれに類似した環境条件下で散布された有害生物防除剤の経時変動を読み取ることにより極めて安価、且つ簡便に有害生物防除剤の実用散布薬量を決定する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
濃度勾配試験および残効性試験は薬剤の基礎的効力を検定する際に極く一般的に利用される公知の方法である。そして、残効性試験の生物試験データを濃度勾配試験と比較照合し薬量に変換する方法も生物的な方法に基づく薬剤の分析方法として利用される公知の方法である。しかし、濃度勾配試験は室内でしかも特定の試験条件を設定することにより変動巾の少ない数値としての防除価が与えられるが、残効性試験ではあらゆる試験条件が時々刻々に変化する。そして野外で観察された作物体上の各種薬剤の半減期は大きく変動する(Gunter,F.A.and Blinn,R.C., Analysis of Insecticides and Acaricides., Interscience Publishers,Inc. New York (1955))ことも公知である。その結果、野外における薬剤の半減期などの減少速度は薬剤の登録資料などに記載される程度にしか利用されていないのが現状である。
しかしながら、それぞれの生物試験で同時に比較対照剤の検定を行うだけで、薬剤を単独で取り扱った際の残効性試験でのデータの変動を容易に解消し、得られた薬剤の減少速度に関する数値を数学的な処理を実施することにより、これらの数値が農薬の開発業務の中で最も重大な業務である薬剤の実用薬量を決定することに利用できることを見出した。
【0004】
即ち、本発明は有害生物防除剤を開発するにあたり、薬剤の実用場面での実用散布薬量を決定する際に実用場面あるいはそれに類似した環境条件下での薬剤の減少速度を利用する有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有害生物防除剤の実用的な性能を表わす有害生物防除率とそれを維持することのできる残効期間を所望通りの数値に設定することが可能な有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法であり、実用散布薬量を決定することが必要な有害生物防除剤の実用場面あるいはそれに類似した環境条件下での薬剤の減少速度を利用することを主要な特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明につき説明する。
【0007】
通常、実用場面で散布される希釈水溶液中の活性成分濃度(%)は、
有効成分濃度(%)=製剤中の活性成分含量(%)÷希釈倍率
で表わし、得られた数値を10000倍することによりppm表示の散布薬液濃度として表わされる。本発明では便宜的にこのppmで表示される散布薬液中の活性成分の含量である「実用散布薬液濃度」を「実用散布薬量」と定義した。一般的には、この「実用散布薬量」で使用された有害生物防除剤は従来剤と比較して遜色ない効果を表わすための有害生物防除剤の施用量であるか、あるいは、場合によっては目的とする市場占有率の拡大を目指し従来剤との差別化を狙って薬剤の有効期間を従来剤に比較して所望の程度に長期化させることを可能にする有害生物防除剤の施用量である。
【0008】
因みに、ここに使用されるppmで表現される「実用散布薬液濃度」は、10アールあたりの散布薬液量を100L(リットル)とした際、ha(ヘクタール)あたりのg(グラム)換算の活性成分(原体)使用量(g/ha)で表現することができる。
【0009】
ただし、「実用散布薬量」は同様な目的で使用される他のいかなる数値あるいは単位で表現されるものであってもよい。例えば実際の散布に供する際の水による「希釈倍率」を使用することも可能であり、製剤を土壌に混和するような場合には混和された土壌中での薬剤の活性成分含量で表わすことも可能である。また、単位面積当たりに散布される製剤薬量が一定であるならば「製剤中の活性成分含量」自体を「実用散布薬量」として使用してもよい。すなわち、本発明で用いる「実用散布薬量」なる語彙は薬剤の性能あるいは経済性を表現する上での一手段として用いるものであり、g/ha、lb(ポンド)/acre(エーカー)、U.S.pint/acre、Imp.fl.oz./acre、ppm、希釈倍率等単位面積あるいは単位体積あたりの薬剤原体の使用量を演繹的にかあるいは直接的に表現することができるものであれば何でもよい。
【0010】
先ず、本発明を理論面で説明する。
【0011】
植物体、家屋床面、砂礫土壌等に散布され被散布体上に付着した薬剤の減少速度は通常、1次反応で表わされる。これは散布された薬剤量が極めて微量なために、一方の例えば光、風、湿度、熱、雨等の圧倒的に多量なこれら環境因子に対する反応(光分解反応、蒸散、流茫等)速度としての薬剤の減少速度は薬剤自身のみの濃度に依存することによるためと一般的に説明されている。一方、ある時点での有害生物防除のための効力はその時点での被散布体上に残存する薬剤の量に支配される。これは言い換えれば、ある時点での「ある薬量で処理された」有害生物に対する防除試験結果に近い結果が得られるものと考えてよい。
【0012】
通常、新規薬剤あるいは新規製剤は実用場面における効力が対象とする市場に存在する既存剤に対して同等かあるいは同等以上の効果と残効期間が証明されて初めてそれらの剤に対して「実用性あり」の判定が与えられる。また、場合によっては既存剤の残効期間に対してさらに何倍の有効期間を有するという性能評価が与えられることも多い。
【0013】
散布された薬剤は周囲の環境因子、特に風、光、温度、雨等の影響を受け、付着した個所から経時的に減少していく。実際の場面では害虫、病害、雑草等は、例えば成虫や幼虫、胞子、種子等の形態で時間の経過にともない移動する。また、害虫、病害、雑草等の生育段階も季節や気温、雨量等の環境条件の変化にともない経時変動する。さらに、薬剤によっては対象とする害虫、病害、雑草等の生育段階や発生時期の違いで効力的に大きな格差が見られる。
【0014】
これらの原因により、時間の経過と共に薬剤の防除効果は大きく変動する。防除効果は散布した農薬の有効度合いを表わす有害生物防除率とその防除効果が維持される有効期間、いわゆる残効期間で表現される。残効期間が短い薬剤では短期的な効果は高くても作物保護の観点からは効果が低く、散布回数を重ねることにより実用的な防除効果を獲得する場合が多い。一般的には、散布回数の増大はそれに伴う人件費や散布処理に関わる諸経費の増加につながることから必ずしも好ましいものではない。
残効期間は効果の維持期間で表現される長所に反して残留性の問題にも影響を与えることから、薬剤自身の安全性に基づく適正な残効期間を設定することが必要なことは言うまでもない。
【0015】
これら諸般の現象を鋭意考察した結果、通常の生物検定評価である基礎的効力試験および実用場面での残効試験の両結果を組み合わせることによって、従来から極めて膨大な費用と試験期間を要して決定してきた実用散布薬量を極めて安価、且つ容易に求めることが可能となり、本発明を完成するに至った。
さらに、詳細に理論面での解説を行う。
【0016】
本発明が適用される有害生物防除剤とは、人類あるいは人類に益する作物や動物あるいは諸環境に対して有害となる生物、例えば、害虫、ダニ、鼠、病害、雑草等を直接あるいは間接的に防除することができる合成あるいは天然の化合物、混合物あるいは生物等を表わす。人類に益する作物や動物あるいは諸環境とは、例えば、穀物、野菜、果樹、綿等の栽培作物、牛、馬、羊、豚、犬、猫等の動物、衣類、寝具、家屋、家具、書籍、電気設備、庭園、森林、街路樹等の人類が生活していく上で直接的あるいは間接的に有益な諸々の環境を挙げることができる。また、実際の防除剤としては有機リン系化合物、カーバメート系化合物、ネライストキシン系化合物、有機ハロゲン系化合物、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物、フェニルピラゾール系化合物を含むGABA関連化合物、電子伝達系阻害活性化合物、キチン合成阻害活性、幼若ホルモン様活性、エクダイソン様活性、抗ホルモン様活性化合物を含む昆虫生育阻害活性化合物、BT剤やマクロライド系化合物を含む天然物系化合物等の殺虫剤、種々の構造および作用性を有する殺ダニ剤、殺線虫剤を含む土壌害虫防除剤、ナメクジ防除剤、殺鼠剤、昆虫フェロモン剤、昆虫の誘引および忌避活性を有する化合物、昆虫の不妊化活性を有する化合物、銅系化合物、硫黄系化合物、ポリハロアルキルチオ系化合物、脂肪族あるいは芳香族ハロゲン系化合物、有機リン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、カルボキシアミド系化合物、N−ヘテロ環系化合物、電子伝達系阻害活性化合物、ファイトアレキシン活性を有する化合物等の殺菌剤、フェノキシ系化合物、安息香酸系化合物、酸アミド系化合物、カーバメート系化合物、尿素系化合物、ジフェニルエーテル系化合物、ジニトロアニリン系化合物、ニトリル系化合物、トリアジン系化合物、スルホニル尿素系化合物、有機リン系化合物、複素環系化合物、脂肪酸系化合物、アミノ酸系化合物等の除草剤、植物成長調節剤等のあらゆる有害生物防除剤、植物保護剤、天然あるいは合成フェロモン剤、防虫剤等を挙げることができる。
【0017】
本発明方法によって実用薬量を決定することができる実用場面とは、露地あるいは施設において植物を栽培する際の有害生物を防除する場面、家庭あるいは防疫分野において人間や動物に対して有害あるいは不快な影響を表わす有害生物を防除する場面等であり、あらゆる有害生物防除にかかわる実用場面に適用することができる。本発明が適用される好ましい実用場面とは農業用分野の作物に対する有害生物を防除する場面であり、より好ましくは露地栽培作物に対する有害生物を防除する場面である。
【0018】
本発明で使用される実用場面での残効性試験とは露地、施設、家屋内を含むあらゆる実用的場面での実用スケールや小スケールの生物試験の全てを意味する。残効性試験は対象となる有害生物を防除する際の実用場面と同一かあるいは比較的近似した環境条件下で実施する必要があり、例えば、露地栽培作物の場合には建物の屋上や畑地等の露地で実施されなければならない。これは、先に説明したように実際場面での周囲の環境的因子、例えば光、風、湿度、熱、雨等に対する影響を考慮しての残効期間の検証が必要であることによる。室内で行った残効性試験結果を露地栽培での実用薬量を決定するために使用することは極めて困難である。逆に、屋外で実施した薬剤の残効性試験の結果を例えば、屋内有害生物防除のための実用薬量を決定するための試験データとして使用するようなこともできれば避けることが望ましい。
【0019】
作物栽培の場面では、残留農薬の減少にかかわるもう一つ大きな原因として先に述べた環境因子以外に作物の成長を挙げることができる。実用場面では散布され作物表面上に付着した薬剤の濃度は作物の成長に反比例し、見かけ上減少することになる。通常、室内でのポット試験等に使用される作物は実用場面での実際の作物と比較すると遥に小さく、多くの場合には室内ポット試験の目的に添って施肥を抑制すること等により作物自体の成長速度も抑制している。このように室内ポットと実用場面での栽培方法の違いによる植物の成長速度の差違は極めて大きい。
【0020】
また、実際場面における植物の成長速度は作物の種類や生育ステージ、天候等の変化によっても大きく変動する。よって、この植物の成長速度による見かけ上の残留農薬の減少に対処する方法は、実際に薬剤を散布する適用場面での成長速度をある程度予測し、残効期間を考慮したうえで散布薬量を適宜増大するしかない。そして、この問題は現実には実用的な効果を発揮するための安全係数として処理され、繰り返し実用性評価のための大規模試験を実施することによって根拠のうすい解決が与えられているのが現状である。
【0021】
先にも述べたように、一般に作物上あるいは野外環境下における農薬の減少速度は1次反応で表わされる。このことは薬剤の減少速度は初期濃度に依存することなくその時点での残留農薬量のみによって決定されることを意味する。そして、これは放射線壊変において使用される半減期理論と一致することは既に公知である。
【0022】
一般に、農薬の半減期
【0023】
【数1】
τ1/2
はそれぞれの農薬が固有にもつ野外での減少定数
【0024】
【数2】
λ
に対して下式で与えられる。式−1は減少速度式、式−2は半減期式をそれぞれ表わす。
【0025】
【数3】
Figure 2005232004
【0026】
図−1は散布された植物体、家屋床面、砂礫土壌等の上での薬剤の減少曲線を表わす。式−1、式−2および図−1において、N(0)は散布直後の薬剤付着量であり、Nはt日後に残留している薬剤付着量である。そして、これはN(0)を散布時の処理薬液濃度(ppm)で表現した場合、Nはt日後にNの薬液濃度(ppm)で処理したものと同様の意味を表わす。
【0027】
作物栽培の場合における屋外ポットを用いた残効性試験の目的は、通常、薬剤の有害生物防除にかかわる有効期間を確認するための試験である。しかし、本発明においては、図−1に示される薬剤の減少速度を追跡するためのものとして利用される。例えば、薬剤によって散布処理され屋外条件下に晒されたポット植え植物あるいはポット内の土壌をt日後に屋内に移すか、あるいは薬剤の付着した葉を持ち帰る等の方法により、有害生物防除に関わる試験を室内等において実施することで薬剤の残効性にかかわる生物検定を行なう。これは、すなわち、薬液濃度N(ppm)で処理した室内濃度勾配試験と同一の試験を実施していることに相当するものと考えることができる。
【0028】
家庭や防疫分野での有害生物防除にかかわる薬剤の残効性評価試験においてもこれと類似の方法が通常、実施することができる。薬剤の残効期間は薬剤自体の性能を評価する上で必要不可欠の問題であるからである。
【0029】
次に、本発明にもとづく有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法についてその典型的な方法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの説明によって発明の適用範囲を制約されるものでは決してない。
A.)室内で対象病害虫、雑草等の有害生物に対する濃度勾配試験を行なう。
「但し、A−Dの操作は対照剤についても実施する。」
濃度勾配はできるだけ希釈倍率を下げた小刻みな異なる濃度で、例えば2倍希釈程度に希釈した各濃度で実施することが好ましい。また、残効性試験の場合と本濃度勾配試験とは有害生物の発育ステージ、処理後の観察日等を統一することが望ましい。そして、当然のことであるが、濃度勾配試験では生育条件である温度、日照時間、湿度等の管理はできるだけ厳密に行われなければならない。また、栽培植物を用いる場合には散水等の管理も厳密に行われる必要がある。
B.)濃度勾配試験データを濃度〜効力相関としてグラフ化する。
【0030】
その際、対象とする有害生物防除に対する濃度勾配の対数近似に基づく相関(式−3)
【0031】
【数4】
有害生物防除率(%)=A’×ln(N’)+B’ 式−3
を求めておく。式中、A’およびB’は定数を表わし、N’は薬液濃度(ppm)を表わす。グラフおよび相関式の作成に関しては一般的に普及しているエクセル等の表計算ソフトを用いることができる。一般的には室内ポット試験データでは季節変動はほとんど発生しないので必ずしも比較対照化合物を必要ではないが、本発明を実施する際は必ず1点以上の比較化合物を対照剤に用いなければならない。
C.)屋外で残効性試験を行なう(N(0)’:残効性試験での散布初期薬量)。
【0032】
屋外とは、太陽光、風、熱等の自然界の影響を受ける条件を指す。建築物の日陰にならない研究実験棟の屋上などでも良い。但し、散布処理直後の降雨の影響は避ける方が好ましい。散布直後の降雨により充分に植物葉面あるいは砂礫土壌の上に薬剤が付着する以前に過度の流茫を受け、試験自体が成立しなくなる可能性があるからである。基本的には2、3日〜1週間程度で(有る程度の観察期間、通常1週間は変動する周囲環境因子の平均化のためにも必要と考える。)防除価が100%を切るように残効性試験の処理薬量を設定すればよい。このためには、通常濃度勾配試験で得たLC100(100%致死濃度)の最小値かあるいはそれよりもやや多い薬量で散布すればよい。また、死虫率等についてはプロビット変換を行った数値を用いることも可能である。
D.)残効性試験でも必ず比較対照化合物が必要である。
【0033】
周囲の環境因子は常に変動する。特に季節変動は大きく、対照化合物との比較によって、最少実用薬量は比較化合物の持つ実際の薬量との係数を常に対応させ、補正しなければならない。通常、対照薬剤は目的とする作物、対象病害虫に対して現在あるいは近い将来最も市場性の高いあるいは高くなる可能性がある薬剤を用いることが望ましい。
E.)残効性試験結果の中から適当な処理後日数(t)の防除価に相当する処理薬量(N’:t日後の残留薬量→散布薬量とする。)を濃度勾配Bのグラフから読み取るか濃度〜効力相関式から算出する。
F.)t(処理後日数:日)、N(0)’(残効性試験の処理(=初期散布)薬量:ppm)およびN’(t日後の残留薬量→その時の処理散布薬量に相当:ppm)を薬剤の野外における減少速度式(式−1)
【0034】
【数5】
Figure 2005232004
【0035】
に代入し、個々の薬剤が固有にもつ野外(ただし、ここで使用した野外残効性試験条件下)での減少定数
【0036】
【数6】
λ
を求める。
G.)減少定数を半減期式(式−2)
【0037】
【数7】
τ1/2=ln2/λ=0.693/λ 式−2に代入すると、薬剤の野外(ただし、ここで使用した野外残効性試験条件下)での半減期
【0038】
【数8】
τ1/2
(日)が求められる。実用薬量算出のために半減期は必ずしも必要ではないが、個々の薬剤の性質を把握しておくことは重要である。ここで得た半減期を対照剤との比較数値として用いれば一般的相対比較値としてある程度利用できる。作物残留等の各種報告で表現される半減期もそれぞれ特異的な条件下での数値であり、一般的には対照剤との相対比較値として用いることが望ましい。あくまでもここで得られた減少定数や半減期はいずれも種々の野外条件下で実施された残効性試験に従う特定の数値であるので取り扱いの際には慎重さが必要である。
H.)対照剤の実用濃度から残効性試験に用いられた条件下での対照剤の残効期間を計算する。対照剤の有害生物防除に対する濃度勾配の相関式(式−3):
【0039】
【数9】
有害生物防除率[例えば90%]=A’×ln(N’)+B’ 式−3
から先の野外残効性試験条件下で対照剤がある有害生物防除率(例えば90%)を維持した時点での残留薬液濃度(N’)を得る。
【0040】
さらに、減少速度式(式−1)
【0041】
【数10】
Figure 2005232004
【0042】
にN’、対照剤の実用薬量(N(0)’)および対照剤の減少定数を代入することにより、対照剤本来が実際の散布薬量で持つ先の残効性試験条件下での残効期間(t(日))を得た。
【0043】
一般的には、新規薬剤が同一市場で受け入れられるためには対照剤と同等かあるいはそれ以上の残効期間を保有しなければ市場獲得に困難が予想される。よって、ここでは対照剤と同等の性能としての残効期間を得るための実用散布薬量を決定する。もちろん、本方法ではこの残効期間を対照剤に比較して任意に設定することにより対照剤のある特定倍率の残効期間をもつ実用散布薬量をも自由に設定することができる。
【0044】
実用薬量を従来品に比較して2倍に増量しても残効期間は決して2倍にはならない。本発明の方法は従来品の性能を向上させる際にも使用できる。従来品の残効期間(t(日))に比較して2倍の長さの残効期間を設定し以下の操作を行えばよい。
I.)有害生物防除剤の実用薬量(N(0))を求める。
【0045】
先ず、H.)と同様にして対照剤で求めたと同様に、有害生物防除剤が防除率(例えば90%)を維持した時点での残留薬液濃度(N)を求める。防除率90%の時の残留薬液濃度(N)は、有害生物防除剤の有害生物に対する濃度勾配の相関式(式−3)
【0046】
【数11】
有害生物防除率[例えば90%]=A×lnN+B 式−3
から求めた。次いで、減少速度式(式−1)
【0047】
【数12】
Figure 2005232004
【0048】
にN、先に求めた有害生物防除剤の本野外残効性試験条件下での減少定数
【0049】
【数13】
λ
およびH.)で求めた残効期間(t)を代入することによって有害生物防除剤の実用薬量(N(0))が算出された。
【0050】
対照剤との実用産婦薬量の比較値は直ちに薬剤間の性能を表現するものである。また、残効期間(t)に対してn倍の残効期間を設定した数値を用いれば、対照剤に比較してn倍の経済性を有する実用散布薬量が設定することができる。薬剤を開発する段階での経済性を評価する上で極めて重要な要素がここに与えられることになる。経済性を評価するためにはこれらの数値と対照剤と開発を目指す農薬の製造原価を用いるだけでよい。
【0051】
本発明を用いて実用散布薬量を決定することができる有害生物防除剤とは、有害生物を防除、忌避あるいは誘引し得る活性化合物本体を含有する組成物であり、活性本体は天然品か部分的あるいは全面的合成化学品であるかあるいはウイルス、微生物、抗生物質等のいずれでもよい。また、本発明が適用される有害生物防除剤はいかなる作用性を有するものであってもよい。効力の発現速度が速効的、遅効的のいずれであってもよいが、効力の発現速度が互いに異なる場合には効力の判定は実用的な判定、例えば作物の被害度等を用いることが必要となる。
【0052】
本発明で使用される有害生物防除剤の室内濃度勾配試験データの取得に際しては、被散布体に薬剤が付着した状態での生物試験方法により実施される。これは、先に述べた残効性試験の薬剤の効力評価過程がこの濃度勾配試験での効力評価方法に一致しなければならない理由による。残効性試験は、通常、薬剤によって処理された被散布体を実用場面あるいはそれに近い環境下に置き、経時的にその被散布体に対して有害生物を接種し、一定時間後にその防除価を観察する方法により実施される。この残効性試験の後半部分である、被散布体に対して有害生物を接種し、一定時間後にその防除価を観察する方法自体が濃度勾配試験で演じられるが、両者の試験方法は完全に対応するものでなければならない。
【0053】
また、薬剤の作用性や作用機構の違いによっても左右されるが、通常、有害生物は可能な限り実用的な処理適期と同一の生育ステージかあるいはそれに近い生育時期のものが生物試験に使用される。
【0054】
農業分野で最も多用されるケースである露地栽培作物に直接薬剤を散布処理する場合では、例えば、残効性試験はポット植え作物に薬剤を散布処理する方法が好ましく、薬剤散布後経時的に薬剤処理された植物体の全体かあるいはその一部に対して有害生物を接種して後適当な経過時間を経て有害生物の防除価を観察する方法で実施される。よって、濃度勾配試験もその残効性試験に対応し、薬剤処理された植物体の全体かあるいはその一部に対して有害生物を接種して後適当な経過時間を経て有害生物の防除価を観察する方法で実施される。生物検定に用いられる作物および有害生物は、目的とする実際場面と同様の品種や種類のものを使用することが望ましい。特に有害生物の耐性や抵抗性の問題が実用薬量に深く関与する場合には、実際場面に生息する同一の耐性や抵抗性を有する有害生物を使用しなければならない。
【0055】
本発明で使用される有害生物防除剤は、ごく一般的な通常の製剤形態に製剤化することによって使用される。製剤形態としては、例えば、水溶剤、乳剤、液剤、油剤、水溶剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル製剤、エマルジョン製剤、マイクロエマルジョン製剤、サスポエマルジョン製剤、懸濁剤、水性懸濁剤、粉剤、粉粒剤、泡沫剤、ペ−スト、錠剤、粒剤、エアゾ−ル剤、活性化合物浸潤−天然及び合成物、マイクロカプセル等の放出制御製剤、ジャンボ剤、水面浮上性粒状製剤、サーフ剤、塗布剤、ベイト剤、注入剤、種子用被覆剤、燃焼型製剤、くん蒸剤、くん煙剤、蒸散剤、複合エマルジョン製剤、ゲル製剤、ULV剤等を挙げることができ、土壌混和処理用、散布用、塗布用等として使用することができる。
【0056】
これらの製剤は、それ自体既知の方法で製造することができる。例えば、活性化合物を、展開剤、即ち、液体希釈剤;液化ガス希釈剤;固体希釈剤または担体、場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/または分散剤及び/または泡沫形成剤等と混合することによって製造することができる。
【0057】
液体希釈剤または担体としては、一般には、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族またはクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分等))、アルコ−ル類(例えば、ブタノ−ル、グリコ−ル及びそれらのエ−テル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)及び水等を挙げることができる。展開剤として水を用いる場合には、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。
【0058】
液化ガス希釈剤または担体は、常温常圧でガス状の物質を液化したものであり、その例としては、例えば、ブタン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、及びハロゲン化炭化水素類等のようなエアゾ−ル噴射剤を挙げることができる。
【0059】
固体希釈剤としては、例えば、土壌天然鉱物(例えば、カオリン、クレ−、タルク、チョ−ク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイトまたは珪藻土等)、土壌合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)等を挙げることができる。
【0060】
粒剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機及び有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実の殻、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体等を挙げることができる。
【0061】
乳化剤及び/または泡沫剤としては、非イオン及び陰イオン乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコ−ルエ−テル(例えば、アルキルアリ−ルポリグリコ−ルエ−テル、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリ−ルスルホン酸塩等))、アルブミン加水分解生成物等を挙げることができる。
【0062】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液及びメチルセルロ−ス等が包含される。
【0063】
固着剤も製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、その際に使用しうる固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロ−ス、天然及び合成ポリマ−(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルアセテ−ト等)等を挙げることができる。
【0064】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブル−等)、アリザリン染料、アゾ染料または金属フタロシアニン染料等のような有機染料、更に、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛等及びそれらの金属の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0065】
該製剤は、一般に、活性成分を0.01〜99重量%、好ましくは0.05〜95重量%の範囲内で含有することができる。
【0066】
活性化合物本体は、それらの商業上有用な製剤形態またはそれらの製剤から調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺カビ剤、生長調整剤、除草剤等との混合剤として存在することもできる。
【0067】
活性化合物本体は、共力剤との混合剤としても存在することができる。該共力剤は、それ自体は活性である必要はなく、活性化合物の作用を増幅するような化合物である。また、施用場面によっては複数の有害生物のための同時防除や抵抗性や耐性を阻害するために1種または2種以上の他の活性化合物との混合剤として使用することもできる。
【0068】
活性化合物本体の商業上有用な使用形態における含有量は、広い範囲内で変えることができ、例えば、0.00000001〜100重量%であり、好ましくは、0.0000001〜1重量%であり、より好ましくは0.000001〜0.01重量%の範囲内とすることができる。
【0069】
【実施例】
次に、本発明の有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法について実施例によりさらに詳しく順を追って説明する。
実施例1
JAの平成9年度農薬試験成績に記載の効力データを利用して、ミカンハダニ雌成虫に対するNC−1111の実用散布薬量を求める。対照剤はサンマイトである。
生物試験は供試作物にナツミカンを用い、濃度勾配試験では直径27mmのミカン葉リーフディスクにミカンハダニ雌成虫(大磯系−薬剤感受性系統)を接種し、摂氏25度の恒温室におき24時間後に健全な雌成虫以外のものを除去しスプレーにて所定の薬液を散布し摂氏25度の恒温室におき、散布24時間後に死虫率を求めている。一方、残効性試験は圃場のナツミカン(樹高1.2m)に所定濃度の薬液を1樹あたり2リットル肩掛け散布器にて散布し、散布から1、4、7、14、21の各日後に葉を切り取り、リーフディスクを作成し、ミカンハダニ雌成虫を10頭/ディスク接種し24時間後に死虫率を求めている。
濃度勾配試験データを表1、残効性試験データを表2および表3に示した。
【0070】
【表1】
Figure 2005232004
【0071】
【表2】
Figure 2005232004
【0072】
【表3】
Figure 2005232004
【0073】
NC−1111の実用散布薬量を以下の手順に従って求めた。
【0074】
表1からNC−1111およびサンマイトの濃度勾配データをマイクロソフト社のエクセルを用いて表に表わし、グラフから対数近似に基づく死虫率〜散布薬液濃度に関する両者の相関式を求めた。
NC−1111の死虫率〜散布薬液濃度に関する相関式:
【0075】
【数14】
死虫率(%)=26.834Ln[散布薬液濃度(ppm)]−1.3079
サンマイトの死虫率〜散布薬液濃度に関する相関式:
【0076】
【数15】
死虫率(%)=27.833Ln[散布薬液濃度(ppm)]−69.142
得られた相関式を用いて、野外残効性試験の死虫率を相当する換算薬液濃度に変換した。それらの数値を表2および3のそれぞれ右側に示した。
次に、同一の試験環境条件である処理後日数(t)が14日後の両者の換算薬液濃度を用い、NC−1111では式−1
【0077】
【数16】
Figure 2005232004
【0078】
で示される減少速度式にN(0)=200、N=2.28を代入し減少定数=0.320が、またサンマイトでも同様に式−1にN(0)=100、N=2.64を代入し減少定数=0.260を求めた。
減少定数を式−2
【0079】
【数17】
τ1/2=ln2/λ=0.693/λ 式−2
の半減期式に代入することにより、この残効性試験条件下での野外半減期としてNC−1111=2.17日、サンマイト=2.67日を得た。
【0080】
同様に処理後日数(t)=21日の場合について、NC−1111の減少定数=0.230、野外半減期=3.01日と、サンマイトの減少定数=0.169、野外半減期=4.09日を求めた。ただし、NC−1111の21日後の死虫率は11.1%であり、数値が小さいために死虫率〜濃度勾配の相関式から与えられる換算薬液濃度が必ずしも正確ではないことが予想される。よって、以下に示すNC−1111の実用散布薬量の計算には処理後日数(t)=21日の場合の減少定数は使用しない。
残効性試験条件下における対照剤サンマイトの実用濃度(100ppm=N(0))における残効期間(t)は、対象となる有害生物に対する有効防除価が90%であればで示される濃度勾配の相関式
【0081】
【数18】
死虫率(%)=27.833Ln[散布薬液濃度(ppm)]−69.142
に有害生物防除率=90(仮に90%とした。)を代入し対応する残留薬液濃度N’=2.10ppmを算出し、式−1で示される減少速度式
【0082】
【数19】
Figure 2005232004
【0083】
にN’=2.10、サンマイトの14日後の減少定数
【0084】
【数20】
λ
=0.260を代入し、t=14.86日を得た。これは本残効性試験条件下でのナツミカン畑のミカンハダニ雌成虫に対するサンマイトの残効期間(実用薬量=100ppmで散布した場合の防除価が90%を維持する有効期間)である。対照剤であるサンマイトと同じ性能を発揮するために必要なNC−1111の散布濃度、すなわち実用散布薬量は以下の方法で求められる。
NC−1111が死虫率90%の時の残留薬液濃度(N)をNC−1111のミカンハダニ雌成虫に対する濃度勾配の相関式
【0085】
【数21】
死虫率(%)=26.834Ln[散布薬液濃度(ppm)]−1.3079
に有害生物防除率=90を代入することにより算出した対応残留薬液濃度N=30.04ppm、サンマイトと同様の14日後の減少定数=0.320およびサンマイトの実用薬量での残効期間t=14.86日を減少速度式
【0086】
【数22】
Figure 2005232004
【0087】
に代入することによってNC−1111の実用散布薬量N=3490ppmを求めた。
計算によって得た実用散布薬液濃度(散布薬量)は感受性のミカンハダニを用いたものである。ハダニはこれまで種々の薬剤に対して抵抗性を獲得してきた。そしてサンマイトが抵抗性を獲得した分野ではサンマイト自体が対照剤ではない。他に有効な殺ダニ剤が存在しない場合には先に求めたように14.86日もの長期の残効期間を必ずしも必要としない。対抗剤が存在しない場合に限れば、抵抗性の出現を回避する上でもある程度短い残効期間で薬剤を使用することがより好ましい。そこで、仮に残効期間t=6日とした場合の実用薬液濃度(散布薬量)を以下に算出する。
減少速度式
【0088】
【数23】
Figure 2005232004
【0089】
に有害生物防除率=90(%)を維持するための残留薬液濃度N=30.04(ppm)、減少定数=0.320および残効期間t=6(日)を代入することで、実用散布薬量N(0)=205(ppm)を求めた。
【0090】
【発明の効果】
本発明の有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法を用いることにより、実用薬量を極めて簡便、且つ安価に決定することが可能となり、これまでの新規有害生物防除剤の開発期間が大幅に短縮され、新規薬剤に関わる開発費用を著しく減縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】野外で散布された薬剤の減少変動曲線の説明図である。
【図2】NC−1111のミカンハダニ雌成虫に対する濃度勾配の説明図である。
【図3】サンマイトのミカンハダニ雌成虫に対する濃度勾配の説明図である。

Claims (4)

  1. 薬剤の実用あるいはそれに準じた場面での減少速度を利用した有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法。
  2. 請求項1において、薬剤の実用あるいはそれに準じた場面での減少速度を求める際に濃度勾配試験結果と実用場面あるいはそれに準じた環境条件下での残効性試験結果とを用いることを特徴とする有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法。
  3. 請求項1において、薬剤の実用あるいはそれに準じた場面での減少速度を求める際に濃度勾配試験結果と実用場面あるいはそれに準じた環境条件下での残効性試験結果とを用い、対照剤との比較において任意の残効期間あるいは任意の有効防除価を維持することのできる薬量を算出することを特徴とする有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法。
  4. 請求項1において、薬剤の実用あるいはそれに準じた場面での減少速度を求める際に実用場面あるいはそれに準じた環境条件下での残効性試験結果を、被害率あるいは被害抑制率を濃度勾配試験結果と対応させることにより相当する薬量に置換する方法において、対照剤との比較によって任意の残効期間あるいは任意の有効防除価を維持することのできる散布薬量を算出することを特徴とする有害生物防除剤の実用散布薬量の決定方法。
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