JP3882120B2 - 冷凍サイクル装置及びその故障診断方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍サイクルを利用した空気調和機や冷凍機を含む冷凍サイクル装置に関し、特に膨張装置の動作不良を検出するような故障診断方法に好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機や冷凍機の故障診断、特に膨張装置の動作不良を検出するため、膨張装置の開度を変化させ、膨張装置前後の圧力差の変化量を求め、その値が所定値未満の場合、膨張装置が動作不良を起こしていると判断することが知られ、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】
特開平11−325662号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、膨張装置の前後の圧力差を検出するために圧力検出装置が2台必要である。そのため、それぞれの圧力検出装置が検出する圧力値のバラツキを考慮して圧力差の判定値を設定する必要があるので、動作不良を判定する検知範囲が減少し動作不良の検知精度が低下する。
【0004】
本発明の目的は、空気調和機や冷凍機の故障診断、特に膨張装置の動作不良を精度良く検出し、信頼性を向上することにある。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第2の膨張装置、蒸発器を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、第2の膨張装置を開閉し、冷媒の流れ方向に対して第2の膨張装置よりも後方側の圧力変化を検出するものである。
また、本発明は、冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第2の膨張装置、蒸発器、逆止弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記逆止弁との間の圧力変化を検出するものである。
【0006】
また、本発明は、冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、第2の膨張装置、蒸発器、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、第2の開閉弁を閉止した状態で、第2の膨張装置を開閉し、第2の膨張装置と第2の開閉弁との間の圧力変化を検出するものである。
【0007】
さらに、冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、液接続配管、第2の膨張装置、蒸発器、ガス接続配管、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置の故障診断方法において、第1の開閉弁と第2の開閉弁を閉止した状態で液接続配管、第2の膨張装置、蒸発器、ガス接続配管の真空引きを実施し、第2の膨張装置を全閉の状態とし、高圧ガスを第1の開閉弁と第2の膨張装置の間、または第2の膨張装置と第1の開閉弁の間に封入し、第2の膨張装置を開閉して低圧側の圧力変化を検出するものである。
【0008】
さらに、上記のものにおいて、第2の膨張装置よりも冷媒の流れ方向に対して後方側の圧力が外気温度または室内空気温度で定まる冷媒の飽和圧力に到達したら、第2の膨張装置全てを全閉し、冷媒圧縮機を所定時間駆動することが望ましい。
【0009】
さらに、上記のものにおいて、第2の膨張装置の開閉を所定台数行い、その後全ての前記第2の膨張装置を全閉し、前記冷媒圧縮機を所定時間駆動することが望ましい。
【0010】
さらに、上記の方法において、高圧ガスとして冷媒又は窒素ガスを用いることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1は、一実施の形態によるサイクル系統図を示し、図4及び図5は膨張装置の動作不良を検知する方法を示す。
まず、図1の室内膨張装置112d、112e、112fを全閉に設定し、圧縮機1を駆動する。圧縮機1で圧縮された冷媒は四方弁2、室外熱交換器3、室外膨張弁4、受液器5、液阻止弁6、液接続配管7へと供給される。
また、圧縮機1には、室内熱交換器111d、111e、111f、ガス接続配管8、ガス阻止弁9、四方弁2、アキュムレータ10、逆止弁23を通過した冷媒が吸入される。なお、逆止弁23は圧縮機1の内部に搭載してもよい。
つぎに、圧縮機1を一定時間駆動した後に停止すると、実際の室内膨張装置112d、112e、112fの開度が全閉状態であるならば、室内膨張装置112d、112e、112fの前後で圧力差が生じ、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側である室内熱交換器111d、111e、111fから逆止弁23の間は低圧に保持される。そして、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側の圧力は圧力検出装置22により計測される。
ここで、室内膨張装置112d、112e、112fを全閉に設定したにもかかわらず、室内熱交換器111d、111e、111fから逆止弁23の間の圧力が低圧に保持されず上昇するようであれば、室内膨張装置112d、112e、112fの少なくともいずれかが全閉状態になり得ない、つまり開状態であることがわかる。
【0012】
次に、図4及び図5を用いて、個々の室内膨張装置112d、112e、112fを順次開閉し、動作不良の有無を検知する方法について説明する。
まず、室内膨張装置112d、112e、112fを全閉に設定し、実際の開度も全閉状態であった場合について説明する。
図4において、まず膨張装置d(室内膨張装置112d)を全開に設定する。実際の室内膨張弁の動作が全開状態であるならば、そのときの室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力変化ΔPdの方が、室内膨張装置112d、112e、112f全てが全閉状態であったときの圧力変化よりも、大きい。
その後、膨張装置e(室内膨張装置112e)、膨張装置f(室内膨張装置112f)についても膨張装置d(室内膨張装置112d)と同様に膨張装置を開閉することで室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力変化を検知し、膨張装置の動作不良の有無を確認する。
【0013】
このとき、例えば図5のように、膨張装置e(室内膨張装置112e)を全開に設定したにもかかわらず、実際の開度が全閉状態であったならば、膨張装置を全開に設定する間、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力変化ΔPeが、室内膨張装置112d、112e、112f全てが全閉状態であったときの圧力変化とほぼ同じとなる。したがって、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力変化を計測することで、膨張装置の動作不良を検知することができる。
また、室内膨張装置112d、112e、112fを全閉に設定したにもかかわらず、室内熱交換器111d、111e、111fから逆止弁23の間の圧力が低圧に保持されず上昇する場合であっても、上記と同様に個々の膨張装置が全閉状態で固渋したか否かを検知できると共に、膨張装置を全開に設定した後に全閉に設定することで、全開状態で固渋した膨張装置を特定することが可能である。
【0014】
さらに、室内膨張装置を多数備えた冷凍装置の場合、膨張装置の動作不良を検知するために膨張装置の開閉動作を実施することにより、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力が上昇し、冷凍装置の雰囲気温度で決定する飽和圧力Psatとなり、室内膨張装置112d、112e、112fの前後の圧力差がなくなる。そのため、膨張装置の動作不良を検知することができない。そこで図6に示すように、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力が冷凍装置の雰囲気温度で決定する飽和圧力Psatから許容誤差ΔPを考慮した圧力Pmax以上なったら、圧縮機1を駆動する。その後、室内膨張装置112d、112e、112fの後流側での圧力が所定の圧力Pminに到達したら、圧縮機1を停止する。これにより、室内膨張装置を多数備えた冷凍装置の場合でも、膨張装置の動作不良を検知することができる。
さらに、圧縮機1を駆動する条件として、動作不良の検知を実施する膨張装置が所定の台数に達したら、圧縮機1を駆動してもよい。
また、図7に示すように、駆動する圧縮機として、例えば冷媒回収装置などの圧縮機501を搭載した冷媒搬送装置50を、冷凍機器の室外ユニット40dと室内ユニット11d、11e、11fと接続する液接続配管7及びガス接続配管8の間に接続し、冷媒搬送装置50の圧縮機501を駆動してもよい。
【0015】
図2は他の実施の形態を示し、図1の逆止弁23の代わりに開閉弁24を設置したもので、開閉弁24を閉止した後に、前述同様に膨張装置の動作不良を検出することができ、冷暖房の両モードでの動作に支障がなく使用できる。
【0016】
図3はさらに、他の実施の形態を示し、液阻止弁6およびガス阻止弁9を全閉状態で液接続配管7、室内ユニット11d、11e、11f、ガス接続配管8内の真空引きを実施する。次に室内膨張装置112d、112e、112fを全閉に設定し、液阻止弁6に併設されたサービスポート61から高圧ガス(冷媒または窒素ガス)を液接続配管7内に封入する。
室内膨張装置112d、112e、112fの後流側である室内熱交換器111d、111e、111fおよびガス接続配管8の圧力は、ガス阻止弁9のガス接続配管側に設置した圧力測定装置22cにより計測される。その後、前述同様に膨張装置の動作不良を検出する。
【0017】
冷凍サイクルを利用した空気調和機や冷凍機を含む冷凍装置に使用する膨張装置の動作不良を試運転時に検出することができるので、膨張装置の動作不良による冷凍装置の能力不足等を未然に防ぐことができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、空気調和機や冷凍機の故障診断、特に膨張装置の動作不良を精度良く検出し、信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による一実施の形態を示すサイクル系統図。
【図2】 本発明による他の実施の形態を示すサイクル系統図。
【図3】 本発明によるさらに他の実施の形態を示すサイクル系統図。
【図4】 膨張装置の開閉状態と膨張装置の後流側の圧力変化を示すグラフ。
【図5】 膨張装置の開閉状態と膨張装置の後流側の圧力変化を示すグラフ。
【図6】 膨張装置の開閉状態と冷媒圧縮機のON/OFF状態と膨張装置の後流側の圧力変化を示すグラフ。
【図7】 本発明によるさらに他の実施の形態を示すサイクル系統図。
【符号の説明】
1、501…冷媒圧縮機、2…四方弁、3…空気熱交換器(室外熱交換器)、4…室外膨張弁(第1の膨張装置)、5…受液器、6、9、6a、9a、456、459、506、509…阻止弁、21…外気温度検出装置、22、22c…圧力測定装置、23…逆止弁、24…開閉弁、40a、40b、40c、40d…室外ユニット、11d、11e、11f…室内ユニット、50…冷媒搬送装置、409…ガス側接続口、406…液側接続口、55、7…液接続配管、8…ガス接続配管、69…ガス阻止弁、61…液阻止弁サービスポート、112d、112e、112f…室内膨張装置(第2の膨張装置)、111d、111e、111f…室内熱交換器(蒸発器)、113d、113e、113f…室内温度検出装置。

Claims (7)

  1. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、第2の膨張装置、蒸発器、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、
    前記第2の開閉弁を閉止した状態で、前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記第2の開閉弁との間の圧力変化を検出することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  2. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、液接続配管、第2の膨張装置、蒸発器、ガス接続配管、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置の故障診断方法において、
    前記第1の開閉弁と前記第2の開閉弁を閉止した状態で前記液接続配管、第2の膨張装置、蒸発器、ガス接続配管の真空引きを実施し、前記第2の膨張装置を全閉の状態とし、高圧ガスを前記第1の開閉弁と前記第2の膨張装置の間、または前記第2の膨張装置と前記第1の開閉弁の間に封入し、前記第2の膨張装置を開閉して低圧側の圧力変化を検出することを特徴とする冷凍サイクル装置の故障診断方法。
  3. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第2の膨張装置、蒸発器、逆止弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記逆止弁との間の圧力変化を検出し、前記第2の膨張装置よりも冷媒の流れ方向に対して後方側の圧力が外気温度または室内空気温度で定まる冷媒の飽和圧力に到達したら、
    前記第2の膨張装置全てを全閉し、前記冷媒圧縮機を所定時間駆動することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  4. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、第2の膨張装置、蒸発器、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、
    前記第2の開閉弁を閉止した状態で、前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記第2の開閉弁との間の圧力変化を検出し、前記第2の膨張装置よりも冷媒の流れ方向に対して後方側の圧力が外気温度または室内空気温度で定まる冷媒の飽和圧力に到達したら、前記第2の膨張装置全てを全閉し、前記冷媒圧縮機を所定時間駆動することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  5. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第2の膨張装置、蒸発器、逆止弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、
    前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記逆止弁との間の圧力変化を検出し、前記第2の膨張装置の開閉を所定台数行い、その後全ての前記第2の膨張装置を全閉し、前記冷媒圧縮機を所定時間駆動することを特徴
    とする冷凍サイクル装置。
  6. 冷媒圧縮機、凝縮器、第1の膨張装置、第1の開閉弁、第2の膨張装置、蒸発器、第2の開閉弁を順次連結してなる冷凍サイクル装置において、
    前記第2の開閉弁を閉止した状態で、前記第2の膨張装置を開閉し、前記第2の膨張装置と前記第2の開閉弁との間の圧力変化を検出し、前記第2の膨張装置の開閉を所定台数行い、その後全ての前記第2の膨張装置を全閉し、前記冷媒圧縮機を所定時間駆動することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  7. 請求項に記載の方法において、前記高圧ガスとして冷媒又は窒素ガスを用いることを特徴とする冷凍サイクル装置の故障診断方法。
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