JP3881773B2 - 樹脂積層板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂積層板に関し、更に詳細には、耐食性と機械的強度とを兼ね備え、しかも単位面積当たりの重量の小さい樹脂積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
腐食性流体を扱う大型反応塔の内部デッキ、或いは腐食性流体を貯蔵する大型タンクの天井等の腐食性流体と接触する板材には、耐食性を必要とするために、従来、FRP板が多用されている。
しかし、FRP板は、曲げ強度が小さく、撓み易いという弱点を有するために、大型容器を水平に横断して広い面積にわたって延在するデッキ、天井の材料としてFRP板を使用する場合には、例えば排煙脱硫装置等の大型反応塔のデッキにFRP板を使用する場合には、FRP板を鋼材等の剛性の高い材料で補強する必要がある。
【0003】
ここで、湿式排煙脱硫装置の反応器として盛んに使用されているジェットバブリング反応槽を例にして、大型の槽を横断するデッキ材としてFRP板を使用する事例を説明する。
ジェットバブリング反応槽50(以下、反応槽50と言う)は、吸収剤として石灰石を使用して排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装置の主要部を構成している。反応槽50は、図9に示すように、上から順にそれぞれ槽を横断するように設けられた排ガス出口室52及び排ガス入口室54と、石灰石を含む吸収液を収容する槽下部とに区画されている。
排ガス出口室52と排ガス入口室54とは、槽を横断して水平に伸びる第1隔板56によって仕切られ、排ガス入口室54と下部空間とは、第1隔板56と同様に槽を横断する方向に伸びる第2隔板58によって仕切られている。第2隔板58は、吸収液層60の液面より上方に位置し、その間に排ガス流出用の空間部62を形成している。
【0004】
排ガス出口室52は出口ダクト64に接続し、その下の排ガス入口室54は入口ダクト66に接続している。また、吸収液と気液接触した処理排ガスを空間部62から排ガス出口室62に流出させるガスライザとして、複数本のパイプ状の連通管68(図9では、簡単に1本のみ図示)が第2隔板58及び第1隔板56を貫通して、空間部62と排ガス出口室52とを連通させている。
排ガス分散管70は、上端部で排ガス入口室54に連通し、下端部で吸収液層60に浸漬するように排ガス入口室54の第2隔板58から下方に下降している。排ガスは、排ガス分散管70の下端開口から吸収液層60中に分散して、排ガスの気泡と石灰石を含む吸収液とからなる液連続相の気液接触層であるジェットバブリング層(フロス層)Aを形成する。
【0005】
なお、図9中、72は吸収液を攪拌するための攪拌機、74は亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な空気を噴出する空気ノズル、76は石膏を含む吸収液を反応槽底部から抜き出すための排出管、78は吸収剤スラリを反応槽50に供給する吸収剤供給管である。
【0006】
反応槽50に導入された排ガスは、排ガス入口室54を経て、排ガス分散管70の下端開口から吸収液中にジェット状に噴出してバブリングしながら石灰石スラリ中を上昇し、その過程で排ガス中の亜硫酸ガスは水、酸素、石灰石と反応して、石膏になって吸収液中に結晶として析出する。
一方、亜硫酸ガスが除去された排ガスは、連通管68、排ガス出口室52及び出口ダクト64を経由して外部に排出される。
【0007】
ところで、上述の第1隔板56と第2隔板58は、亜硫酸ガスを含む湿潤な排ガスと接触するために耐食性を必要とし、更に、プロセス反応上の要求から水平に保持する必要があって、そのために撓みを最小限度に抑える必要がある。
そこで、第1隔板56及び第2隔板58は、従来、厚さ15mmのFRP板とFRP板の下にあってFRP板を補強する40mm×75mm角の格子状の補強用角格子部材とからなるFRPデッキ材をジェットバブリング反応槽の横梁上に渡すことにより、形成されている。補強用角格子部材は、鋼製の角パイプで格子状に形成されていて、耐食性がない。そのために、補強用角格子部材に対してフレークライニングを現場で人手により手作業で施している。
フレークライニングとは、厚さ数μm 程度で長さ平均600μm 程度のフレークを樹脂に添加して調製したコンパウンドを練って被着部にコテで塗布し、耐食性を有するフレーク樹脂層を形成するライニングである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、FRP板を補強する鋼製の角パイプに施すフレークライニングでは、フレークライニングする対象の形状及び構造が複雑であるために、全てコテ等を使った手作業で行われている。従って、作業能率が極めて低い。
また、フレークライニングした角パイプは、重量が大きく、持ち運び、取り付けに多大の手間と人手を要するために、軽量化を図って、現場における作業性を改善する必要があった。
そこで、従来の場所施工のフレークライニングを必要とするFRP板に代えて、耐食性金属、例えばハステロイCなどの金属板をデッキ材に使用することも考えられるが、板の単位面積当たりの重量が大きいために板を支持する支持構造が大がかりになる共に経済的に極めて高価になるという弱点があった。また、クラッド板やライニング板の使用も考えられるが、板の両面に耐食性を必要とすること、板に多数の穴を開けるため、その穴面にも耐食性を持たせることが必要であることなどから、実用化は難しい。
また、反応槽の缶体を形成する炭素鋼板の線膨張率、11×10-6/℃に比べて、従来のデッキ材の線膨張率は、18×10-6/℃と大きく、従って、長期にわたる運転では、線膨張率に差によるストレスにより、デッキ材が損傷するという問題もあった。
そのため、耐食性と機械的強度を兼ね備え、しかも軽量の板材の開発が要望されていた。
【0009】
以上の理由から本発明の目的は、軽量でかつ耐食性を備え、しかも、曲げ強度が高く、剛性があって撓み難く、補強材を必要としないような機械的な強度の高い樹脂積層板を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る樹脂積層板は、樹脂層を積層してなる板材であって、
繊維からなるチョップドストランドマット及びサーフェーシングマットを強化材として、それぞれに耐食性樹脂を含浸させて、順次に板材の対向する少なくとも一方の外面に層成されている耐食層と、
比重の小さい硬質樹脂発泡体又は気泡を散在させた繊維綿体からなる層厚の厚いコア層と、
コア層の機械的強度を補強するために、コア層を挟んでその上下に層成され、かつ炭素繊維に樹脂を含浸させてなる少なくとも1層の強化層と
を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の樹脂積層板の実施態様は、耐食性樹脂層と強化層とを又は強化層とコア層とをそれぞれ接着させるために、ガラス繊維強化材に樹脂を含浸させた接着層をそれぞれ耐食性樹脂層と強化層との間及び強化層とコア層との間に備えることを特徴としている。
本発明では、接着層にもガラス繊維強化材を使用することにより経済性を考慮しつつ、接着作用に加えて、樹脂積層板の機械的強度、特に圧縮強度、引張強度が低下しないように工夫されている。
【0012】
本発明でいう層厚の厚いコア層とは、コア層の層厚が樹脂積層板を構成する各層のうちで最も厚いことを意味している。本発明では、軽量で層厚の厚いコア層を炭素繊維強化材で強化された強化層で挟んだ積層構造を構成し、コア層と強化層との協働作用により、軽量性、及び、高い機械的強度、特に大きな曲げ剛性を実現している。
コア層の厚さ、強化層の厚さ、強化層の層数は、樹脂積層板に必要な機械的強度、特に曲げ剛性の大小により異なる因子で、実験等により必要な厚さを算出する。なお、機械的強度を大きくするには、強化層の厚さを厚くするよりは、寧ろ、強化層の層数を多層にすることが望ましい。厚い強化層を形成することは、技術的に難しく、また経済的にも高価になるからである。
また、耐食性樹脂層は、必ずしも樹脂積層板の対向する双方の面に層成されている必要はなく、腐食性流体に接触する面に層成されていれば良い。
以上の構成により、本発明に係る樹脂積層板は、耐食性、高い機械的強度及び軽量性を合わ備えることができる。
【0013】
本発明で使用する耐食性樹脂層は、樹脂積層板が接触する流体に対して所定の耐食性を有する樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂等の既知の樹脂(以下、強化材に対比させて簡単にマトリックスという)を繊維強化材に含浸させている。繊維強化材には、ガラス繊維、炭素繊維、鋼繊維、アラミド繊維等を織って得た繊維基材(以下、簡単に強化材と言う)、例えばサーフェーシングマットと複層のチョップドストランドマットを使用している。
チョップドストランドマットとは、強化材の短繊維を無定方向に均一に分散させ、接着剤にて接着させた薄いモノフィラメントマットを意味し、樹脂成形時に使用される表面基材の一種である。サーフェーシングマットは、耐食層の表面、最外層の樹脂リッチ層を設けるために使用されるマットで不織布である。
【0014】
強化層を構成する炭素繊維強化体は、炭素繊維強化材に樹脂を含浸させたもので、炭素繊維強化材には、例えば炭素繊維のクロスを使用し、マトリックスには例えば耐食性樹脂層と同じマトリックスを使用する。炭素繊維のクロスとは、100〜3,000本の炭素繊維フィラメントを集束した炭素繊維ストランドを1本〜数本「撚り」をかけて巻き取ったヤーン(糸)で織った薄手の織物やテープをいう。
接着層とは、性状の異なる層、例えば耐食性樹脂層と強化層とを、又は、強化層とコア層とを接着させるための層で、ガラス繊維強化材に樹脂を含浸させたもので構成されている。性状の異なる層同士の接着性が良好な場合には、必ずしも必要ではない。ガラス繊維強化材には、例えばガラス繊維のコンティニュアスストランドマットを使用し、マトリックスには、例えば耐食性樹脂層と同じマトリックスを使用する。ガラス繊維のコンティニュアスストランドマットとは、連続したガラス繊維に接着剤を加えて、マット状に仕上げたもので、カサ高でかつ展延性を有するので、成形に際し絞りも可能である。
本発明の樹脂積層板では、通常、耐食性樹脂層、接着層、強化層とも同じマトリックスを使用する。
【0015】
コア層は、比重が小さく軽量の、望ましくは機械的強度の高い、硬質樹脂発泡体又は気泡を散在させた繊維綿体で形成する。
硬質樹脂発泡体としては、好適には、降伏(破断)点強度でいって、圧縮、引張、曲げ及び剪断がそれぞれ1.5kg/cm2、3.5kg/cm2、4.0kg/cm2及び2.0kg/cm2以上の機械的強度を有し、見かけ密度70kg/m2 以下の硬質樹脂発泡体で形成される。例えば、鐘淵化学工業製の塩化ビニル発泡体、商品名クレゲセル(登録商標)H100等を好適に使用できる。
また、気泡を散在させた繊維綿体とは、気泡を閉じ込めたカプセル又はバルーンを繊維綿中に散在させたもので、軽量でかつ一応の機械的強度を備えた材料である。気泡を散在させた繊維綿体として、例えば日本ユピカ社製のポリエステル繊維綿にマイクロカプセルが入ったもの(商品名ユピカマット)、又はランター社製のコアマットII、或いはGPP社製のガラス繊維綿にマイクロカプバルーンが入ったもの(商品名スペアマット)等を好適に使用できる。
【0016】
本発明の好適な実施態様は、耐食性樹脂層の繊維強化材がガラス繊維のサーフェーシングマットで、接着層のガラス繊維強化材がガラス繊維のコンティニュアスストランドマットで、及び、強化層の炭素繊維強化材が炭素繊維クロスで、それぞれ構成されていることを特徴とている。
強化層に炭素繊維を、接着層及び耐食性樹脂層にガラス繊維をそれぞれ使用することにより、経済的な方法で機械的強度を大きくしている。また、炭素繊維を使用することにより、本発明の樹脂積層板は、缶体を形成する炭素鋼板と近似した線膨張率を有するので、従来のような線膨張率の差によるストレスの発生、損傷が防止される。
【0017】
本発明では、樹脂積層板の積層構造を適切に選定することにより、樹脂積層板の単位幅当たりの曲げ剛性を3×106 kg・mm以上に、かつ樹脂積層板の単位面積当たりの重量を30kg/mm2以下にすることができる。また、樹脂積層板の単位幅当たりの曲げ剛性を1×106 kg・mm以上に、かつ樹脂積層板の単位面積当たりの重量を20kg/mm2以下にすることができる。
【0018】
本発明に係る樹脂積層板は、腐食性雰囲気に曝される容器壁の少なくとも一部を形成する部材として、又は容器内に設けられ、腐食性雰囲気に曝される部品の少なくとも一部を形成する部材として使用するのに最適である。その際には、腐食性雰囲気に耐食性樹脂層を露出するようにして使用する。
本発明に係る樹脂積層板で容器壁の少なくとも一部を形成する容器は、その使用目的には制約はなく、例えば蒸留塔、吸収塔、反応器、貯槽に使用される容器である。また、型式も制約はなく、開放槽でも、密閉槽でも良く、固体、液体又は気体のいずれもを収容する容器でも良い。容器内に設けられる部品は、例えば仕切り壁、蒸留塔用トレイ、充填層用支持床板、槽内に設けられる内部パイプ、分散管等の部品を言う。
【0019】
また、本発明に係る樹脂積層板は、ジェットバブリング反応槽の構成部材として最適である。よって、本発明に係るジェットバブリング反応槽は、繊維強化材で形成したマットに耐食性樹脂を含浸させて、板材の対向する両面に層成されている耐食性樹脂層と、
比重の小さい硬質樹脂発泡体又は気泡を散在させた繊維綿体からなる層厚の厚いコア層と、
コア層の機械的強度を補強するために耐食性樹脂層とコア層との間に積層され、かつ炭素繊維強化材に樹脂を含浸させた炭素繊維強化体からなる少なくとも1層の強化層と、
耐食性樹脂層と強化層とを及び強化層とコア層とをそれぞれ接着させるために、耐食性樹脂層と強化層との間及び強化層とコア層との間にそれぞれ設けられた、ガラス繊維強化材に樹脂を含浸させてなる接着層とを有し、
耐食性樹脂層、接着層、強化層及び接着層がコア層を中心として対向して順次積層された積層構造からなる両面耐食性樹脂積層板を、
反応槽の容器壁又は反応槽内に配置する部品の形成材として使用することを特徴としている。
【0020】
容器壁とは、例えばジェットバブリング反応槽の胴壁、底壁、天井壁等を言い、反応槽内に配置する部品とは、例えば隔壁、仕切り板、分散管等を言う。
また、両面耐食性樹脂積層板は、所定直径の貫通孔を有する、ジェットバブリング反応槽の隔壁用の部材として最適である。ジェットバブリング反応槽のデッキ材に設けた貫通孔は、ジェットバブリング反応槽の連通管、又は排ガス分散管を装着するための貫通孔である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施例1
本実施例は、本発明に係る樹脂積層板をジェットバブリング反応槽の第1隔板に使用した実施例である。図1は第1隔板に使用した樹脂積層板10の層構造、図2は樹脂積層板10の平面図である。
本実施例の樹脂積層板10は、図1に示すように、厚さ30mmのコア層12と、コア層12を中心としてその両側に対称的に順次積層された、厚さ0.4mmの第1接着層14A、Bと、厚さ0.5mmの強化層16A、Bと、厚さ0.4mmの第2接着層18A、Bと、及び、厚さ1.2mmの耐食性樹脂層20A、Bとから構成されている。
樹脂積層板10は、一枚当たり、図2に示すように、縦6,500mm、横1750mmの板材であって、長手方向中心線に沿って1250mmのピッチで550mm直径の第1貫通孔22が開口している。第1貫通孔22は、図9に示す反応槽50の連通管68用の孔である。
【0022】
コア層12には、鐘淵化学工業製の硬質塩化ビニール発泡体、商品名クレゲセルH100を使用している。
第1及び第2接着層14A、B、及び18A、Bの強化材には旭ファイバーグラス製の単位重量450g/m2のガラス繊維のコンティニュアスストランドマット、商品名コンティニュアスストランドマットM8600を、強化層16A、Bの強化材には三菱レーヨン製の単位重量650g/m2の炭素繊維クロス、商品名パイロフィルTRK910Mを、耐食性樹脂層20A、Bの強化材には旭ファイバーグラス製の単位重量30g/m2のサーフェーシングマット、商品名サーフェーシングマットSM3600Eを、それぞれ、使用している。
【0023】
第1及び第2接着層14A、B及び18A、B、強化層16A、B並びに耐食性樹脂層20A、Bのマトリックスには、全て同じ、100重量部の昭和高分子製の耐食ビニルエステル樹脂(商品名リポキシR802)と1重量部のナフテン酸コバルトと0.5pph の日本化薬製の過酸化剤、商品名カヤック328Eとを配合した樹脂が使用されている。
【0024】
樹脂積層板10は、常用のハンドレイアップ法又はRTM(Resin Transfer Mold )法により形成することができる。ハンドレイアップ法とは、コア層12の上下に順次第1接着層14、強化層16、第2接着層18及び耐食性樹脂層20をハンドレイアップ法で積層して行く方法である。RTM法は、SM(Segmented Mold) 法ともいい、型の中にコア層12を置き、その上下に、第1接着層14、強化層16、第2接着層18及び耐食性樹脂層20の強化材を予め順次配置し、次いで減圧しながら樹脂を強化材に含浸させて樹脂積層板を形成する方法である。
ハンドレイアップ法又はRTM法で形成した後に第1貫通孔22を開口すると、本実施例の樹脂積層板10を得ることができる。RTM法の場合には、第1貫通孔22を開口できる型を用意することにより、積層構造と開口とを同時に形成することもできる。
【0025】
本実施例の樹脂積層板10の特性を評価するために、以下の試験を行った。
1.環境クリープ試験
40℃及び60℃の温度条件でpH3の希硫酸液に浸漬、放置して樹脂積層板10の寸法変化率を経時的に測定した。また、60℃の温度条件で空気中に放置しつつ樹脂積層板10の寸法変化率を経時的に測定した。その試験結果は、図3に示す通りである。
更に、40℃及び60℃の温度条件でそれぞれ50MPa及び100MPaの圧縮負荷を樹脂積層板10にかけ、樹脂積層板10の強度保持率を経時的に測定し、図4に示すような結果を得た。
これらの試験により、樹脂積層板10は、5,000時間が経過した時点で良好な形状保持性と良好な強度保持性とを備えていることが確認できた。
【0026】
2.ヒートサイクルテスト
樹脂積層板10を使用した装置の運転時と運転休止時に樹脂積層板10に生じる熱履歴に対する耐久性を評価するために、30℃と70℃の熱履歴を所定回数負荷した後の残留強度(曲げ強度)を測定し、図5に示すような結果を得た。
この試験により、樹脂積層板10は、1,500回の繰り返し負荷(30年間相当の繰り返し負荷)で良好な強度保持性を備えていることが確認できた。
【0027】
3.曲げ疲労耐久テスト
樹脂積層板10の曲げ疲労耐久性を評価するために、曲げ疲労強度試験を行い、図6に示すような結果を得た。試験条件は、3点曲げ疲労試験で、荷重スピードは0.1Hz、環境温度は25℃であった。
この試験により、樹脂積層板10は10万回曲げ応力繰り返し時点で強化層の強度が約230MPaであり、一方ジェットバブリング反応槽の第1隔板に要する許容応力は30MPaであるから、樹脂積層板10は、強度上で実用的に十分な安全率をを備えていることが確認できた。
【0028】
4.曲げ試験
樹脂積層板10の機械的強度を評価するために、長さ2,000mm、板幅80mmの3個の試験片を作製し、3点曲げ試験法により曲げ試験を行い、表1に示すような試験結果を得た。
【表1】
Figure 0003881773
この試験により、樹脂積層板10は炭素繊維強化プラスチックの約85%の強度を有する極めて機械的強度の高い材料であり、従来のFRP板とは異なり補強用の角格子を必要としないことが確認できた。
【0029】
樹脂積層板10の1m2 面積当たりの重量は10.2kgであるのに対して、従来法による第1隔板用FRP板の1m2 面積当たりの重量は36.8kgであるから、樹脂積層板10を使用したジェットバブリング反応槽用第1隔板は、従来法によるFRP板を使用したものに比べて遙に軽量である。従って、第1隔板を支持する横梁の寸法を小さく、従ってジェットバブリング反応槽の槽壁を薄くできるので、ジェットバブリング反応槽の建設コストを節減できる。
【0030】
実施例2
本実施例は、本発明に係る樹脂積層板をジェットバブリング反応槽の第2隔板に使用した実施例である。図7は第2隔板に使用した樹脂積層板30の層構造、図8は樹脂積層板30の平面図である。
本実施例の樹脂積層板30は、図7に示すように、厚さ30mmのコア層32と、コア層32を中心としてその両側に対称的に順次積層された、厚さ0.4mmの第1接着層34A、Bと、厚さ0.5mmの3層の強化層35A、B、36A、B、37A、Bと、厚さ0.4mmの第2接着層38A、Bと、及び、厚さ2.7mmの耐食性樹脂層40A、Bとから構成されている。
【0031】
樹脂積層板30は、実施例1と同じ平面寸法を有する縦6,500mm、横1750mmの板材であって、図8に示すように、長手方向中心線に沿って1250mmのピッチで550mm直径の第1貫通孔22が開口し、更に第1貫通孔42の周囲に142mm直径の第2貫通孔44が250mmピッチで格子状の配置で開口している。第1貫通孔42及び第2貫通孔44は、それぞれ図9に示す反応槽50の連通管68用の孔及び排ガス分散管70用の孔である。
樹脂積層板30は、樹脂積層板10に比べて単位面積当たりの荷重が大きく、しかも多数個の第2開口44が開口しているので、強化層36が樹脂積層板10の強化層16に比べて厚くなっており、また一層の厚い強化層よりは多層の強化層の積層構造の方が機械的強度が高いので、本実施例では、多層の強化層の積層構造が採用されている。
【0032】
実施例2の樹脂積層板30の強度的特性は、実施例1の樹脂積層板10と同様にして評価したところ、同じような寸法変化率、強度保持率、ヒートサイクル特性、疲労強度であった。
【0033】
実施例1及び実施例2では、本発明に係る樹脂積層板をジェットバブリング反応槽の隔板に使用する場合を例にして説明したが、本発明に係る樹脂積層板の適用はこれに限られるものではなく、広く、腐食性雰囲気に曝される容器壁、又は腐食性雰囲気に曝される容器内の部品を形成する部材として使用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量で機械的強度を有するコア層の上下を機械的強度の極めて高い強化層で挟んだ積層構造を形成し、更に外側を耐食性樹脂層で被覆することにより、軽量性と耐食性とを備え、しかも、曲げ強度が高く、剛性があって撓み難く、補強材を必要としないような機械的な強度の高い樹脂積層板を実現している。また、炭素繊維を強化材に使用しているので、樹脂積層板の線膨張率が炭素鋼板の線膨張率に近似し、炭素鋼板製容器の一部分の部材として、又は容器内の部品の部材として使用しても、線膨張の差によりストレス、従って損傷が発生しない。
本発明に係る樹脂積層板は、ジェットバブリング反応槽等の大型反応器の容器壁、部品の形成材、例えばデッキ材として最適である。
本発明に係る樹脂積層板を容器壁又は部品の形成材として使用した容器は、耐腐食性及び機械的強度が高く、しかも軽量である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂積層板の実施例1の層構造を示す断面図である。
【図2】樹脂積層板の実施例1の平面図である。
【図3】経過時間に対する寸法変化率のグラフである。
【図4】経過時間に対する強度保持率のグラフである。
【図5】繰り返し回数に対する強化層の応力の変化を示すグラフである。
【図6】繰り返し回数に対する強化層の応力の変化を示す別のグラフである。
【図7】本発明に係る樹脂積層板の実施例2の層構造を示す断面図である。
【図8】樹脂積層板の実施例2の平面図である。
【図9】ジェットバブリング反応槽の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
10 本発明に係る樹脂積層板の実施例1
12、32 コア層
14、34 第1接着層
16 強化層
18、38 第2接着層
20、40 耐食性樹脂層
22 第1貫通孔
35、36、37 強化層
42 第1貫通孔
44 第2貫通孔

Claims (6)

  1. 樹脂層を積層してなる板材であって、
    繊維からなるチョップドストランドマット及びサーフェーシングマットを強化材として、それぞれに耐食性樹脂を含浸させて、順次に板材の対向する少なくとも一方の外面に層成されている耐食層と、
    比重の小さい硬質樹脂発泡体又は気泡を散在させた繊維綿体からなる層厚の厚いコア層と、
    コア層の機械的強度を補強するために、コア層を挟んでその上下に層成され、かつ炭素繊維に樹脂を含浸させてなる少なくとも1層の強化層と
    を備えていることを特徴とする樹脂積層板。
  2. 耐食層と強化層とを又は強化層とコア層とをそれぞれ接着させるために、ガラス繊維に樹脂を含浸させてなる接着層をそれぞれ耐食層と強化層との間及び強化層とコア層との間に備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層板。
  3. 耐食層の強化材がガラス繊維のサーフェーシングマット及びチョップドストランドマットで、接着層のガラス繊維がガラス繊維のチョップドストランドマットで、及び、強化層の炭素繊維が炭素繊維クロスであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂積層板。
  4. 容器の少なくとも一部が腐食性雰囲気に曝される容器であって、腐食性雰囲気に曝される容器壁、又は容器内に設けられた部品の腐食性雰囲気に曝される部材が、耐食層を腐食性雰囲気に露出するようにして請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の樹脂積層板で形成されていることを特徴とする容器。
  5. 繊維からなるチョップドストランドマット及びサーフェーシングマットを強化材として、それぞれに耐食性樹脂を含浸させて、順次に板材の対向する両面に層成されている耐食層と、
    比重の小さい硬質樹脂発泡体又は気泡を散在させた繊維綿体からなる層厚の厚いコア層と、
    コア層の機械的強度を補強するために耐食層とコア層との間に積層され、かつ炭素繊維に樹脂を含浸させてなる少なくとも1層の強化層と、
    耐食層と強化層とを及び強化層とコア層とをそれぞれ接着させるために、耐食層と強化層との間及び強化層とコア層との間にそれぞれ設けられた、ガラス繊維に樹脂を含浸させてなる接着層とを有し、
    耐食層、接着層、強化層及び接着層がコア層を中心として対向して順次積層された積層構造からなる両面耐食性樹脂積層板を、
    反応槽の容器壁又は反応槽内に配置する部品の形成材として使用することを特徴とするジェットバブリング反応槽。
  6. 反応槽内に配置する部品が、所定直径の貫通孔を有する隔板であることを特徴とする請求項5に記載のジェットバブリング反応槽。
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