(実施例1)
以下本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施例ではデジタルHDTV信号等のデジタル信号を送信、送信機と受信する受信機の組み合わせからなる伝送装置と、磁気テープ等の記録媒体に、HDTV信号等のデジタル信号を記録し、再生する記録再生装置の双方を述べる。
しかし本発明のデジタル変複調部と誤り訂正のエンコーダ、デコーダとHDTV信号等の画像符号化のエンコーダ、デコーダの構成動作原理は、伝送装置と記録再生装置に共通するもので基本的に同じ技術である。従って、各実施例では効率的に説明するため、伝送装置もしくは記録再生装置のいずれか一方のブロック図を用いて本発明を説明する。又本発明の各々の実施例の構成はQAM、ASK、PSKのようにConstellation上に信号点を配置する多値のデジタル変調方式であれば、どの方式でも適用できるが、一つの変調方式を用いて説明する。
図1は本発明による伝送装置のシステム全体図を示す。入力部2と分離回路部3と変調器4と送信部5をもつ送信機1は複数の多重化された入力信号を分離回路3により第1データ列,D1、と第2データ列,D2、と第3データ列,D3に分離し変調器4により、変調信号として送信部5より出力し、アンテナ6により、この変調信号は伝送路7により人工衛星10に送られる。この信号は人工衛星10においてはアンテナ11で受信され、中継器12により増幅され、アンテナ13により再び地球へ送信される。
送信電波は、伝送経路21、31、41により第1受信機23、第2受信機33、第3受信機43に送られる。まず、第1受信機23ではアンテナ22を介して入力部24より入力し、復調器25により第1データ列のみが復調され、出力部26より出力される。この場合第2データ列、第3データ列の復調能力はもたない。
第2受信機33では、アンテナ32を介して入力部34より出力した信号は復調機35により第1データ列と第2データ列が復調され、合成器37により一つのデータ列に合成され、出力部36より出力される。
第3受信機43ではアンテナ42からの入力は入力部44に入り復調器45により第1データ列、第2データ列、第3データ列の3つのデータ列が復調され合成器47により一つのデータ群となり出力部46より出力される。
以上のように同じ送信機1からの同一の周波数帯の電波を受けても、上述の3つの受信機の復調器の性能の違いにより受信可能な情報量が異なる。この特長により一つの電波帯で性能の異なる受信機に対してその性能に応じた両立性のある3つの情報を同時に伝送することが可能となる。例えば同一番組のNTSCとHDTVと超解像度型HDTVの3つのデジタルTV信号を伝送する場合、スーパーHDTV信号を低域成分、高域差成分、超高域差成分に分離し、各々を第1データ列、第2データ列、第3データ群に対応させれば、1チャンネルの周波数帯で両立性のある中解像度、高解像度、超高解像度の3種のデジタルTV信号を同時に放送できる。
この場合、小型アンテナを用いた少値復調の受信機ではNTSC-TV信号を 、中型アンテナを用いた中値復調可能なの受信機ではHDTV信号を、大型アンテナを用いた多値復調可能なの受信機では超高解像度型HDTVを受信できる。図1をさらに説明するとNTSCのデジタルTV放送を行うデジタル送信機51は入力部52より第1データ群と同様のデータのみを入力し、変調器54により変調し、送信機55とアンテナ56により伝送路57により衛星10に送り伝送路58により地球へ再び送信される。
第1受信機23では、デジタル送信機1からの受信信号を復調器24により、第1データ列に相当するデータを復調する。同様にして、第2受信機33と第3受信機43は、第1データ列と同じ内容のデータ群を復調する。つまり3つの受信機は、デジタル一般TV放送等のデジタル放送も受信できる。
では、各部の説明をする。
図2は送信機1のブロック図である。
入力信号は入力部2に入り、分離回路3で第1データ列信号と第2データ列信号と第3データ列信号の3つのデジタル信号に分離される。
例えば映像信号が入力された場合、映像信号の低域成分を第1データ列信号、映像信号の高域成分を第2データ列信号、映像信号の超高域成分を第3データ列信号に割り当てることが考えられる。分離された3つの信号は、変調器4の内部の変調入力部61に入力される。ここでは外部信号に基づき信号点の位置を変調もしくは変更する信号点位置変調/変更回路67があり外部信号に応じて信号点の位置を変調もしくは変更する。変調器4の中では直交した2つの搬送波の各々に振幅変調を行い、多値のQAM信号を得る。変調入力部61からの信号は第1AM変調器62と第2AM変調器63に送られる。cos(2πfct)なる搬送波発生 器64からの搬送波のうち一つは第1AM変調器62によりAM変調され、合成器65に送られ、もう一つの搬送波はπ/2移相器66に送られ90°移相されて、sin(2πfct)の状態で第2AM変調器63に送られ、多値の振幅変調を受け た後、合成器65で、第2AM変調波と合成され、送信部5により送信信号しとして出力される。この方式そのものは従来より一般的に実施されているため詳しい動作の説明は省略する。
図3の16値の一般的なQAMの信号スペースダイアグラムの第1象限を用い動作を説明する。変調器4で発生する全ての信号は、直交した2つの搬送波Acos2πfctのベクトル81とBsin2πfctのベクトル82の2つのベクトルの合成ベクトルで表現できる。0点からの合成ベクトルの先端を信号点と定義すると、16値QAMの場合a1、a2、a3、a4の4値の振幅値とb1、b2、b3、b4の4値 の振幅値の組み合わせにより合計16ケの信号点が設定できる。図3の第1象限では信号点83のC11、信号点84のC12、信号点85のC22、信号点86のC21の4つの信号が存在する。
C11はベクトル0-a1とベクトル0-b1の合成ベクトルであり、C11=a1cos2πfct−b1sin2πfct=Acos(2πfct+dπ/2)となる。
ここで図3の直交座標上における0−a1間の距離をA1、a1−a2間をA2、 0−b1間をB1、b1−b2間をB2と定義し、図上に示す。
図4の全体ベクトル図に示すように、合計16ケの信号点が存在する。このため各点を4bitの情報に対応させることにより、4bitの情報伝送が1周期つまり1タイムスロット中に可能となる。
図5に2進法で各点を表現した場合のその一般的な割り付け例を示す。
当然、各信号点間の距離が離れている程、受信機の方で区別し易い。従って、一般的には各信号点間の距離を、できるだけ離すような配置にする。もし、特定の信号点間の距離を近付けた場合、受信機ではその2点間の識別が困難となり、エラレートが悪くなる。従って一般的には図5のように等間隔の配置にするのが望ましいといわれている。従って16QAMの場合A1=A2/2なる信号点の配置が一般的に実施されている。
さて、本発明の送信機1の場合、まず、データを第1データ列と第2データ列場合により第3データ列にに分割する。そして図6に示すように、16ケの信号点もしくは信号点群を4つの信号点群に分割し、第1データ列の4つのデータをまず、各々の信号点群に割り当てる。つまり第1データ列が11の場合第1データ象限の第1信号点群91の4つの信号点のうちのいずれか一つを送信し、01の場合は第2象限の第2信号点群92、00の場合、第3象限の第3信号点群93、10の場合第4象限の第4信号点群94、の中の各々4つの信号点の中から一つの信号点を第2データ列の値に応じて選択して送信する。次に16QAMの場合第2データ列の2bit、4値のデータ、64値QAMの場合4bit、16値のデータを91、92、93、94の各分割信号点群の中の4つの信号点もしくは副信号点群に図7のように割り当てる。どの象限も対象配置となる。信号点の91、92、93、94への割り当ては第1データ群の2bitデータにより優先的に決められる。こうして第1データ列の2bitと第2データ列の2bitは全く独立して送信できる。そして第1データ列は受信機のアンテナ感度が一定値以上あれば4PSK受信機でも復調できる。アンテナにさらに高い感度があれば本発明の変形16QAM受信機で第1データ群と第2データ群の双方が復調できる。
ここで図8に、第1データ列の2ビットと第2データ列の2ビットの割り当て例を示す。
この場合、HDTV信号を低域成分と高域成分に分け第1データ列に低域映像信号を割り当て、第2データ列に高域映像信号を割り当てることにより、4PSKの受信システムでは第1データ列のNTSC相当の映像を、16QAM又は、64QAMの受信システムでは第1データ列と第2データ列の双方が再生でき、これらを加算して、HDTVの映像を得ることができる。
ただ図9のように信号点間距離を等距離にした場合、4PSK受信機からみて第1象限に斜線で示した部分との間のスレシホルド距離がある。スレシホルド距離をATOとするとで4PSKを送るだけならATOの振幅でよい。しかしをATOを維持しながら16QAMを送ろうとすると3ATOつまり3倍の振幅が必要である。つまり、4PSKを送信する場合に比べて、9倍のエネルギーを必要とする。何も配慮をしないで4PSKの信号点を16QAMモードで送ることは電力利用効率が悪い。また搬送波の再生も難しくなる。衛星伝送の場合使用できる電力は制約される。このような電力利用効率の悪いシステムは、衛星の送信電力が増大するまで現実的でない。将来デジタルTV放送が開始されると4PSKの受信機が大量に出回ることが予想されている。一旦普及した後にはこれらの受信感度を上げることは受信機の両立性の問題が発生するため不可能といえる。従って、4PSKモードの送信電力は減らせない。このため16QAMモードで疑似4PSKの信号点を送る場合、送信電力を従来の16QAMより下げる方式が必要となることが予想される。そうしないと限られた衛星の電力では送信できなくなる。
本発明の特徴は図10のように図番91〜94の4つの分割信号点群の距離を離すことにより、疑似4PSK型16QAM変調の送信電力を下げることができる点にある。
ここで受信感度と送信出力との関係を明らかにするために図1に戻りデジタル送信機51と第1受信機23の受信方式について述べる。
まず、デジタル送信機51と第1受信機23は一般的な伝送装置で、データ伝送もしくは放送を含む映像伝送を行っている。図7に示すようにデジタル送信機51は4PSK送信機であり、の図2で説明した多値QAMの送信機1からAM変調機能を除いたものである。入力信号は入力部52を介して変調器54に入力される。変調器54では変調入力部121により、入力信号を2つの信号に分けて基準搬送波を位相変調する第1−2相位相変調回路122と基準搬送波と90°位相が異なる搬送波を変調する第2−2相位相変調回路123に送り、これらの位相変調波は合成器65で合成され、送信部55により送信される。
この時の変調信号スペースダイアグラムを図18に示す。
4つの信号点を設定し、電力利用効率を上げるために一般的には信号点間距離は等間隔にするのが常識となっている。一つの例として、信号点125を(11)、信号点126を(01)、信号点127を(00)、信号点128を(10)と定義した場合を示す。この場合4PSKの第1受信機23が満足なデータを受信するためにはデジタル送信機51の出力に一定以上の振幅値が要求される。図18で説明すると第1受信機23がデジタル送信機51の信号を4PSKで受信するのに最低必要な送信信号の最低振幅値つまり0−a1間の距離をATOと定 義すると送信限界の最低振幅ATO以上で送信すれば、第1受信機23が受信可能となる。
次に第1受信機23について述べる。第1受信機23は送信機1からの送信信号もしくはデジタル送信機51からの4PSKの送信信号を衛星10の中継器12を介して、小型のアンテナ22で受信し、復調器24により受信信号を4PSK信号とみなして復調する。第1受信機23は本来、デジタル送信機51の4PSKまたは2PSKの信号を受信し、デジタルTV放送やデータ送信等の信号を受信するように設計されている。
図19は第1受信機の構成ブロック図で衛星12からの電波をアンテナ22で受信した、この信号は入力部24より入力した後、搬送波再生回路131とπ/2移相器132により搬送波と直交搬送波が再生され、各々第1位相検出回路133と第2位相検波回路134により、直交している成分が各々独立して検波され、タイミング波抽出回路135によりタイムスロット別に各々独立して識別され、第1識別再生回路136と第2識別再生回路137により2つの独立した復調信号は第1データ列再生部232により第1データ列に復調され、出力部26により出力される。
ここで受信信号を図20のベクトル図を用いて説明する。デジタル送信機51の4PSKの送信電波に基づき第1受信機23で受信され信号は、もし伝送歪みやノイズが全くない理想的な条件では図20の151〜154の4つの信号点で表せる。
しかし、実際は伝送路中のノイズと伝送系の振幅歪みや位相歪みの影響を受け受信された信号点は信号点の周囲のある一定の範囲に分布する。信号点から離れると隣の信号点と判別できなくなるためエラーレートが次第に増え、ある設定範囲を越えるとデータを復元できなくなる。最悪条件の場合でも設定されたエラーレート以内で復調するためには隣接信号点間距離をとればよい。この距離を2AROと定義する。4PSKの限界受信入力の時信号点151が図20の|0−aR1|≧AR0、|0−bR1|≧AR0の斜線で示す第1弁別領域155に入るように伝送システムを設定すれば、後は搬送波が再生できれば復調できる。アンテナ22の設定した最低の半径値をr0とすると、送信出力をある一定以上にすれば全て のシステムで受信できる。図18における送信信号の振幅は第1受信機23の4PSK最低受信振幅値、AR0になるようにに設定する。この送信最低振幅値をAT0と定義する。このことによりアンテナ22の半径がr0以上なら受信条件が最 悪であっても第1受信機23はデジタル送信機51の信号を復調できる。本発明の変形16QAM、64QAMを受信する場合第1受信機23は搬送波を再生することが、困難となる。このため図25(a)のように送信機1が(π/4+nπ/2)の角度上の位置に8つの信号点を配置し送信すれば、4逓倍方式により搬送波を再生できる。又、図25(b)のようにnπ/8の角度の延長線上に16ケの信号点を配置すれば搬送波再生回路131に16逓倍方式の搬送波再生方式を採用することにより信号点が縮退し疑似4PSK型16QAM変調信号の搬送波を容易に再生できる。この場合A1/(A1+A2)=tan(π/8)とな るように送信機1の信号点を設定し送信すればよい。ここでQPSK信号を受信する場合を考えてみる。図2の送信機の信号点位置変調/変更回路67のように信号点位置は(図18)のQPSK信号の信号点位置をAM等の変調を重畳することもできる。この場合第1受信機23の信号点位置復調部138は信号点の位置変調信号もしくは位置変更信号をPM,AM等の復調する。そして送信信号から第1データ列と復調信号を出力する。
次に送信機1に戻り図9のベクトル図を用いてここで送信機1の16PSKの送信信号を説明すると図9のように信号点83の水平ベクトル方向の振幅A1を 図18のデジタル送信機51の4PSK最低送信出力ATOより大きくする。すると、図9の第1象限の信号点83、84、85、86の信号は斜線で示す第14PSK受信可能領域87に入る。これらの信号を第1受信機23で受信した場合、この4つの信号点は図20の受信ベクトル図の第1弁別領域に入る。従って、第1受信機23は図9の信号点83、84、85、86のいずれを受信しても図20の信号点151と判断し、(11)なるデータをこのタイムスロットに復調する。このデータは図8に示したように、送信機1の第1分割信号点群91の(11)、つまり第1データ列の(11)である。第2象限、第3象限、第4象限の場合も同様にして第1データ列は復調される。つまり、第1受信機23は16QAMもしくは32QAMもしくは64QAMの送信機1からの変調信号の複数のデータ列のうち、第1データ列の2bitのデータのみを復調することになる。この場合は第2データ列や第3データ列の信号は全て第1〜第4の分割信号点群91に包含されるため第1データ列の信号の復調には影響を与えない。しかし搬送波の再生には影響を与えるので後で述べるような対策が必要である。
もし、衛星の中継器の出力に限界がないなら図9のような従来の信号点等距離方式の一般の16〜64QAMで実現できる。しかし、前述のように地上伝送と違い、衛星伝送では衛星の重量が増えると打ち上げコストが大幅に増大する。従って本体の中継器の出力限界と太陽電池の電力の限界から送信出力は制約されている。この状態はロケットの打ち上げコストが技術革新により安くならない限り当分続く。送信出力は通信衛星の場合20W、放送衛星でも100W〜200W程度である。従って、図9のような信号点等距離方式の16QAMで4PSKを伝送しようとした場合16QAMの振幅は2A1=A2であるから3ATO必要となり電力で表現すると9倍必要となる。両立性をもたせるために4PSKの9倍の電力が必要である。かつ4PSKの第1受信機も小型のアンテナで受信可能にしようとすると、現在、計画されている衛星ではこれだけの出力を得ることは難しい。例えば40Wのシステムでは360W必要となり経済的に実現できなくなる。
ここで、考えてみると確かに全ての受信機が同じ大きさのアンテナの場合、同じ送信電力なら等距離信号点方式外地番効率がよい。しかし大きさの異なるアンテナの受信機群とを組合わせたシステムを考えてみると新たな伝送方式が構成できる。
これを具体的に述べると4PSKは小型のアンテナを用いた簡単で低コストの受信システムで受信させ受信者数を増やす。次に16QAMは中型アンテナを用いた高性能であるが高コストの多値復調受信システムで受信させ投資に見合ったHDTV等の高付加価値サービスを行い特定の受信者に対象を限定すればシステムとして成立する。こうすれば送信出力を若干増加させるだけで4PSKと16QAM、場合により64DMAを階層的に送信することができる。
例えば図10のようにA1=A2となるように信号点間隔をとることにより、全送信出力を下げることができる。この場合4PSKを送信するための振幅A( 4)はベクトル95で表現でき、2A1 2の平方根となる。全体の振幅A(16)は ベクトル96で表現でき(A1+A2)2+(B1+B2)2の平方根となる。
|A(4)|2=A1 2+B1 2=ATO 2+ATO 2=2ATO 2
|A(16)|2=(A1+A2)2+(B1+B2)2=4ATO 2+4ATO 2=28ATO 2
|A(16)|/|A(4)|=2
つまり、4PSKを送信する場合の2倍の振幅、4倍の送信エネルギーで送信できる。等距離信号点で伝送する一般的な受信機では変形16値QAMの復調はできないがA1とA2の2つの閾値を予め設定することにより第2受信機33で受信できる。図10の場合、第1分割信号点群91の中の信号点の最短距離はA1 であり、4PSKの信号点間距離2A1と比べるとA2/2A1なる。A1=A2よ り1/2の信号点間距離となり、同じエラーレートを得ようとすると2倍の振幅の受信感度、エネルギーでは4倍の受信感度が必要となる。4倍の受信感度を得るには、第2受信機33のアンテナ32の半径r2を第1受信機23のアンテナ 22の半径半径r1に比べて2倍すなわちr2=2r1にすればよい。例えば第1 受信機23のアンテナが直径30cmなら第2受信機33のアンテナ直径を60cmにすれば実現できる。このことにより第2データ列の復調により、これをHDTVの高域成分に割り当てればHDTV等の新たなサービスが同一チャンネルで可能となる。サービス内容が倍増することから受信者はアンテナと受信機の投資に見合った分のサービスを受けることができる。従って第2受信機33はその分高コストでもよい。ここで、4PSKのモード受信のために最低送信電力が決まっているため、図10のA1とA2の比率により4PSKの送信電力に対する変形16APSKの送信電力比n16と第2受信機33のアンテナ半径r2が決定する。
この最適化を計るため計算してみると、4PSKの最低必要な送信エネルギーは{(A1+A2)/A1}2倍これをn16と定義すると、変形16値QAMで受信するときの信号点間距離はA2、4PSKで受信するときの信号点間距離は2A1、信号点間距離の比率はA2/2A、であるから受信アンテナの半径をr2とすると図11のような関係となる。曲線101は送信エネルギー倍率n16と第2受信機23のアンテナ22の半径r2の関係を表す。
点102は等距離信号点の場合の16QAMを送信する場合で、前述のとおり9倍の送信エネルギーを必要とし実用的ではない。図11からn16を5倍以上増やしても第2受信機23のアンテナ半径r2はさほど小さくならないことがグラ フからわかる。
衛星の場合、送信電力は限定されており、一定値以上はとれない。このことからn16は5倍以下が望ましいことが明らかになる。この領域を図11の領域103の斜線で示す。例えばこの領域内なら例えば点104は送信エネルギー4倍で第2受信機23のアンテナ半径r2は2倍になる。また、点105は送信エネ ルギーが2倍でr2は約5倍になる。これらは、実用化可能な範囲にある。
n16が5より小さいことをA1とA2で表現すると
n16=((A1+A2)/A1)2≦5
A2≦1.23A1
図10から分割信号点群間の距離を2A(4),最大振巾を2A(16)とすると、 A(4)とA(16)−A(4)はA1とA2に比例する
従って
{A(16)}2≦5{A(14)}2とすればよい
次に変形の64APSK変調を用いた例を示す。第3受信機43は、64値QAM復調ができる。
図12のベクトル図は図10のベクトル図の分割信号点群を4値から16値に増加させた場合である。図12の第1分割信号点群91の中には信号点170を始めとして4×4=16値の信号点が等間隔に配置されている。この場合、4PSKとの両用性をもたせるため送信振巾のA1≧ATOに設定しなければならない 。第3受信機43のアンテナの半径をr3として、送信、出力信号n64と定義 した場合のr3の値を、同様にして求めると
r3 2={62/(n−1)}r1 2
となり、図13 64値QAMの半径r3−出力倍数nのようなグラフとなる。
ただし、図12のような配置では第2受信機33で受信した場合4PSKの2bitしか復調できないので第1、第2、第3の3つの両立性を成立させるには、第2受信機33に変形64値QAM変調波から変形16値QAMを復調する機能をもたせることが望ましい。
図14のように3階層の信号点のグルーピングを行うことにより3つの受信機の両立性が成立する。第1象限だけで説明すると、第1分割分割信号点群91は第1データ列の2bitの(11)を割りあてたことは述べた。
次に、第1副分割信号点群181には第2データ列の2bitの(11)を割りあてる。第2副分割信号点群182には(01)を、第3副分割信号点群183には(00)を第4副分割信号点群184には(10)を割りあてる。このことは図7と等価である。
図15の第1象限のベクトル図を用いて第3データ列の信号点配置を詳しく説明すると例えば信号点201,205,209,213を(11)、信号点202,206,210,214を(01)、信号点203,207,211,215を(00)、信号点204,208,212,216を(10)とすれば、第3データ列の2bitのデータを第1データ、第2データと独立して、3階層の2bitデータが独立して伝送できる。
6bitのデータが送るだけでなく本発明の特徴として3つのレベルの性能の異なる受信機で、2bit,4bit,6bitの異なる伝送量のデータが伝送できしかも、3つの階層の伝送間の両立性をもたせることができる。
ここで、3階層伝送時の両立性をもたせるために必要な信号点の配置方法を説明する。
図15にあるように、まず、第1データ列のデータを第1受信機23で受信させるためには、A1≧ATOであることはすでに述べた。
次に第2データ列の信号点、例えば図10の信号点91と図15の副分割信号点群の182,183,184の信号点と区別できるように信号点間距離を確保する必要がある。
図15では2/3A2だけ離した場合を示す。この場合第1副分割信号点群1 81の内部の信号点201,202の信号点間距離はA2/6となる。第3受信 機43で受信する場合に必要な受信エネルギーを計算する。この場合、アンテナ32の半径をr3として、必要な送信エネルギーを4PSK送信エネルギーのn64倍であると定義すると、
r3 2=(12r1)2/(n−1)となる
このグラフは図16の曲線221で表せる。例えば点222,223の場合4PSK送信エネルギーの6倍の送信エネルギーが得られれば8倍の半径のアンテナで、また9倍の送信エネルギーなら6倍のアンテナで第1、第2、第3のデータ列が復調できることがわかる。この場合、第2データ列の信号点間距離が2/3A2と近づくため
r2 2=(3r1)2/(n−1)となり
曲線223のように若干第2受信機33のアンテナ32を大きくする必要がある。
この方法は、現時点のように衛星の送信エネルギーが小さい間は第1データ列と第2データ列を送り、衛星の送信エネルギーが大巾に増加した将来において第1受信機23や第2受信機33の受信データを損なうことなく、また改造することなく第3データ列を送ることができるという両立性と発展性の両面の大きな効果が得られる。
受信状態を説明するために、まず第2受信機33から述べる。前述の第1受信機23が本来半径r1の小さいアンテナでデジタル送信機51の4PSK変調信 号及び送信機1の第1データ列を復調できるように設定してあるのに対し、第2受信機33では送信機1の図10に示した16値の信号点つまり第2データ列の16QAMの2ビットの信号を完全に復調できる。第1データ列と合わせて4bitの信号を復調できる。この場合A1,A2の比率が送信機により異なる。このデータを図21の復調制御部231で設定し、復調回路に閾値を送る。これによりAM復調が可能となる。
図21の第2受信機33のブロック図と、図19の第1受信機23のブロック図はほぼ同じ構成である。違う点は、まずアンテナ32がアンテナ22より大きい半径r2をもっている点にある。このため、より信号点間距離の短い信号を弁 別できる。次に、復調器35の内部に復調制御部231と、第1データ列再生部232と第2データ列再生部233をもつ。第1識別再生回路136は変形16QAMを復調するためAM復調機能をもっている。この場合、各搬送波は4値の値をもち、零レベルと±各2値の閾値をもつ。本発明の場合、変形16QAM信号のため、図22の信号ベクトル図のように閾値が送信機の送信出力により異なる。従って、TH16を基準化したスレシホールド値とすると、図22から明らかなように
TH16=(A1+A2/2)/(A1+A2)
となる。
このA1,A2もしくはTH16及び、多値変調の値mの復調情報は、送信機1より、第1データ列の中に含めて送信される。また復調制御部231が受信信号を統計処理し復調情報を求める方法もとれる。
図26を用いてシフトファクターA1/A2の比率を決定していく方法を説明する。A1/A2を変えると閾値が変わる。受信機側で設定したA1/A2が送信機側で設定したA1/A2の値から離れるに従いエラーは増える。図26の第2データ列再生部233からの復調信号を復調制御回路231にフィールドバックしてエラーレートの減る方向にシフトファクターA1/A2を制御することにより第3受信機43はシフトファクターをA1/A2を復調しなくても済むため回路が簡単になる。また送信機はA1/A2を送る必要がなくなり伝送容量が増えるという効果がある。これを第2受信機33に用いることもできる。
復調制御回路231はメモリー231aを持つ。TV放送のチャンネル毎に異なるしきい値、つまりシフト比や信号点数や同期ルールを記憶し再びそのチャンネルを受信するとき、この値を呼び出すことにより受信が速く安定するという効果がある。
この復調情報が不明の場合、第2データ列の復調は困難となる。以下、(図24)のフローチャートを用いて説明する。
復調情報が得られない場合でもステップ313の4PSKの復調及びステップ301の第1データ列の復調はできる。そこで、ステップ302で第1データ列再生部232で得られる復調情報を復調制御部231に送る。復調制御部231はステップ303でmが4又は2ならステップ313の4PSKもしくは2PSKの復調を行う。NOならステップ304でmが8又は16ならステップ305へ向う。NOの場合はステップ310へ向う。ステップ305ではTH8とTH16の演算を行う。ステップ306で復調制御部231はAM復調の閾値TH16を第1識別再生回路136と第2識別再生回路137に送り、ステップ307、315で変形16QAMの復調と第2データ列の再生がなされる。ステップ308でエラーレートがチェックされ、悪い場合はステップ313に戻り、4PSK復調を行なう。
またこの場合、図22の信号点85.83はcos(ωt+nπ/2)の角度上にあるが、信号点84.86はこの角度上にない。従って図21の第2データ列再生部233より搬送波再生回路131へ第2データ列の搬送波送出情報を送り信号点84.86のタイミングの信号からは搬送波を抽出しないように設定してある。
第2データ列が復調不能な場合を想定して送信機1は第1データ列によりを搬送波タイミング信号を間欠的に送っている。この信号により第2データ列が復調できなくても、第1データ列のみでも信号点83.85がわかる。このため、搬送波再生回路131に搬送波送出情報を送ることにより搬送波が再生できる。
次に送信機1より、図23に示すような変形64QAMの信号が送られてきた場合、図24のフローチャートに戻るとステップ304でmが16でないか判断されステップ310でmが64以下かがチェックされ、ステップ311で等距離信号点方式でない場合、ステップ312に向かう。ここでは変形64QAM時の信号点間距離TH64を求めると
TH64=(A1+A2/2)/(A1+A2)
であり、TH16と同じである。しかし、信号点間距離が小さくなる。
第1副分割信号点群181の中にある信号点間の距離をA3とすると、第1副 分割信号点群181と第2副分割信号点群182の距離は(A2−2A3)、基準化すると(A2−2A3)/(A1+A2)となる。これをd64と定義すると、d64が第2受信機33の弁別能力T2以下である場合、弁別できない。この場合、ス テップ313で判断し、d64が許容範囲外であればステップ313の4PSKモードに入る。弁別範囲にある場合はステップ305へ向い、ステップ307の16QAMの復調を行う。ステップ308でエラーレートが大きい場合は、ステップ313の4PSKモードに入る。
この場合、送信機1が図25(a)に示すような信号点の変形8QAM信号を送信すれば、全ての信号点がcos(2πf+n・π/4)の角度上にあるため、4逓倍回路により、全ての搬送波が同じ位相に縮退されるため搬送波の再生が簡単になるという効果が生まれる。この場合、配慮をしていない4PSK受信機でも第1データ列の2bitは復調でき、第2受信機33では第2データ列の1b 図25(a)と図25(b)の信号点配置図は極座標方向(r,θ)にシフトした信号点を追加した場合のC−CDMの信号点を示す。さきに述べた直交座標上つまりXY方向に信号点をシフトさせたC−CDMを直交座標系C−CDMと呼び、極座標系つまりr,θ方向に信号点をシフトさせたC−CDMを極座標系C−CDMを極座標系C−CDMと呼ぶ。
まず図25(a)の8PS−APSKの信号点配置図は、QPSKの4つの信号点の各々に極座標における半径r方向にシフトした信号点をもう1つずつ追加したものである。こうして、図25(a)に示すようにQPSKから8つの信号点をもつ極座標C−CDMのAPSKが実現する。これは極座標上において極(Pole)をシフトさせた信号点を追加したAPSKであることからShifted Pole-APSK略してSP−APSKと呼ぶ。この場合、図139に示すようにシフト ファクターS1を用いることによりQPSKに追加された信号点85の座標が定 義できる。8PS−APSKの信号点は標準のQPSKの極座標(r0,θ0)の信号点83を半径r方向にS1r0だけシフトさせた位置の信号点((S1+1) r0,θ0)を追加したものである。こうしてQPSKと同じ2bitのサブチャンネル1に1bitのサブチャンネル2が追加される。
また、図140のコンステレーション図に示すように、座標(r0,θ0)、(r0+S1r0、θ0)の8つの信号点に半径r方向にS2roだけシフトさせた信号点を追加することにより新たに(r0+S2r0、θ0)と(r0+S1r0+S2r0、θ0)の1bitの信号点が追加される。これは2種類の配置があるため1bitのサブチャンネルが得られる。これを16PS−APSKと呼び、2bitのサブチャンネル1と1bitのサブチャンネル2と1bitのサブチャンネル3をもつ。16−PS−APSKもθ=1/4(2n+1)π上に信号点があるため図19で説明した通常のQPSK受信機で搬送波が再生できるため第2サブチャンネルは復調できないが2bitの第1サブチャンネルは復調できる。このように極座標方向にシフトするC−CDM方式はPSKとくに現在の衛星放送において主流であるQPSK受信機と互換性を保ちながら伝送情報量を拡張できるという効果がある。このためPSKを使った第一世代の衛星放送の視聴者を失うことなく第2世代のAPSKを使った多値変調の情報量の多い衛星放送へと互換性を保ちながら拡張できる。
図25(b)の場合の信号点は極座標における角度=π/8の上にある。これは16PSKの信号点の各象限4ケのつまり計16ケの信号点のうち各象限3ケつまり12ケの信号点に限定している。限定することにより、荒く見た場合、この3ケの信号点を一つの信号点とみなし全体で4個のQPSKの信号点とみなすことができる。こうして前述場合と同様にして、QPSK受信機を用いて第1サブチャンネルを再生できる。
これらの信号点はθ=π/4、θ=π/4+π/8、θ=π/4−π/8の角度上に配置される。 つまり角度π/4上にあるQPSKの信号点を極座標の角度方向に±π/8シフトさせた信号点を追加したものである。θ=π/4±π/8の範囲にあるため、略々θPSKのθ=π/4上の1つの信号点とみなせる。この場合のエラーレートは若干悪くなるが図19に示すQPSKの受信機23により4つの角度上の信号点とは弁別できるため復調でき2bitのデータが再生される。
角度シフトC−CDMの場合、角度がπ/n上にある場合、搬送波再生回路は、他の実施例と同様にn逓倍回路により、搬送波は再生できる。またπ/n上にない場合は、他の実施例の場合と同様にキャリア情報を一定期間に数ケ送ることにより、搬送波が再生できる。
また、図141に示すようにQPSK又は8−SP−APSKの信号点間の極座標における角度を2θ0、第1次角度シフトファクターをP1とすると信号点を2つに分割し角度θ方向に±P1θ0だけシフトさせることにより、QPSKの場合(r0,θ0+P1θ0)と(r0,θ0−P1θ0)の2つの信号点に分割され信号点の数が倍になる。こうして1bitのサブチャンネル−3が追加される。これをP=P1の8−SP−PSKと呼ぶ。図142に示すようにこの8−SP−P SKの信号点を半径r方向にS1r0だけシフトさせた信号点を加えたものを16−SP−APSK(P,S1型)と呼ぶ。位相が同じである8PS−PSKによ りサブチャンネル1.2が再生できる。さて、ここで図25(b)に戻る。極座標系の角度シフトを用いたC−CDMは図141のようにPSKに適用できるため、第一世代の衛星放送にも用いることができる。しかし、第2世代のAPSKの衛星放送に用いた場合、図142に示すように極座標系C−CDMはグループ内の信号点の間隔を均一にとることができない。従って電力利用効率が悪い。一方直交座標時のC−CDMはPSKとの互換性がよくない。
図25(b)の方式は直交座標系と極座標系の双方に互換性をもつ。信号点を16PSKの角度上に配置しているので、16PSKにより復調できるとともに、信号点をグルーピングしてあるためQPSK受信機でも復調できる。また直交座標上にも配置してあるため16−SRQAMでも復調できる。QPSK、16PSK、16−SRQAMの3つの間の極座標系と直交座標系C−CDM間の互換性を実現しながら拡張できるという大きな効果がある方式である。
itが再生でき、合計3bit再生できる。
次に第3受信機43について述べる。図26は第3受信機43のブロック図で、図21の第2受信機33とほぼ同じ構成となる。違う点は第3データ列再生部234が追加されていることと識別再生回路に8値の識別能力があることにある。アンテナ42の半径r3がr2よりさらに大きくなるため、より信号点間距離の近い信号、例えば32値QAMや64値QAMも復調できる。このため、64値QAMを復調するため、第1識別再生回路136は検信号波に対し、8値のレベルを弁別する必要がある。この場合7つの閾値レベルが存在する。このうち1つは0のため1つの象限には3つの閾値が存在する。
図27の信号スペースダイアグラムに示すように、第1象限では3つの閾値が存在する。
図27に示すように3つの正規化された閾値、TH164とTH264とTH364が存在する。
TH164=(A1+A3/2)/(A1+A2)
TH264=(A1+A2/2)/(A1+A2)
TH364=(A1+A2−A3/2)/(A1+A2)
で表わせる。
この閾値により、位相検波した受信信号をAM復調することにより、図21で説明した第1データ列と第2データ列と同様にして第3データ列のデータが復調される。図23のように第3データ列は例えば第1副分割信号群181の中の4つの信号点201、202、203、204の弁別により、4値つまり2bitとれる。こうして6bitつまり変形64値QAMの復調が可能となる。
この時の復調制御部231は第1データ列再生部232の第1データ列に含まれる復調情報により、m、A1、A2、A3の値がわかるのでその閾値TH164と TH264とTH364を計算して第1識別再生回路136と第2識別再生回路137に送り、変形64QAM復調を確実に行うことができる。この場合復調情報にはスクランブルがかかっているので許可された受信者しか64QAMを復調できないようにすることもできる。図28は変形64QAMの復調制御部231のフローチャートを示す。(図24)の16値QAMのフローチャートと違う点のみを説明する。図28のステップ304よりステップ320になりm=32ならステップ322の32値QAMを復調する。NOならステップ321でm=64か判別し、ステップ323でA3が設定値以下から再生できないため、ステップ30 5に向い、図24と同じフローチャートになり、変形16QAMの復調を行なう。ここでステップ323に戻ると、A3が設定値以上ならステップ324で閾値 の計算を行い、ステップ325で第1、第2識別再生回路へ3つの閾値を送りステップ326で変形64QAMの再生を行い、ステップ327で第1、第2、第3データの再生を行い、ステップ328でエラーレートが大きければステップ305に向い16QAM復調をして小さければ64QAM復調を継続する。
ここで、復調に重要な搬送波再生方式について述べる。本発明は変形16QAMや、変形64QAMの第1データ列を4PSK受信機で再生させるところに特徴の一つがある。この場合、通常の4PSK受信機を用いた場合は搬送波の再生が困難となり正常な復調ができない。これを防止するため送信機側と受信機側でいくつかの対策が必要となる。
本発明による方法として2通りの方式がある。第1の方式は一定規則基つき間欠的に(2nー1)π/4の角度上の信号点を送る方法である。第2の方式はnπ/8の角度上に略略、全ての信号点を配置し送信する方法である。
第一の方法は、図38に示したように4つの角度、π/4、3π/4、5π/4、7π/4の角度上にある信号点例えば信号点83、85の信号を送る時、図38の送信信号のタイムチャート図の中のタイムスロット群451のうち斜線で示す間欠的に送られる同期タイムスロット452、453、454、455をある一定の規則に基ずき設定する。そして、この期間中に必ず上記角度上の8つの信号点の中のひとつの信号点を送信する。それ以外のタイムスロットでは任意の信号点を送信する。そして送信機1は、このタイムスロットを送る上記の規則を図41に示すデータの同期タイミング情報部499に配置して送信する。
この場合の送信信号の内容を図41を用いてさらに詳しく説明すると同期タイムスロット452、453、454、455を含むタイムスロット群451は1つの単位データ列491、Dnを構成する。
この信号には同期タイミング情報の規則に基づき間欠的に同期タイムスロットが配置されているので、この配置規則がわかれば、同期タイムスロットにある情報を抽出することにより搬送波再生は容易にできる。
一方データ列492のフレームの先頭部分には、Sで示す同期領域493がありこれは斜線で示す同期タイムスロットだけで構成されている。この構成により上記の搬送波再生用の抽出情報が多くなるので4PSK受信機の搬送波再生が確実にしかも早くできるという効果がある。
この同期領域493は、S1、S2、S3で示す同期部496、497、498、等を含み、この部分には、同期のためのユニークワードや前述の復調情報が入っている。さらにITで示す位相同期信号配置情報部499もあり、この中に は、位相同期タイムスロットの配置間隔の情報や配置規則の情報等の情報が入っている。
位相同期タイムスロットの領域の信号点は特定の位相しかもたないため搬送波は4PSK受信機でも再生できるため、位相同期部配置情報ITの内容は確実に 再生できるため、この情報入手後は搬送波を確実に再生できる。
図41の同期領域493の次に復調情報部501があり、変形多値QAM信号を復調するときに必要なスレシホルド電圧に関する復調情報が入っている。この情報は多値QAMの復調に重要なので、図41の同期領域502のように同期領域の中に復調情報502を入れると復調情報の入手がより確実になる。
図42はTDMA方式によりバースト状の信号を送る場合の信号配置図である。図41との違いはデータ列492、Dnと他のデータ列との間にガードタイム521が設けられ、この期間中、送信信号は送信されない。またデータ列492の先頭部には同期をとるための同期部522が設けられている。この期間中は前述の(2n−1)π/4の位相の信号点しか送信されない。従って4PSKの復調器でも搬送波が再生できる。こうしてTDMA方式でも同期及び搬送波再生が可能となる。
次に図19の第1受信機23の搬送波再生方式について図43と図44を用いて詳しく述べる。図43において入力した受信信号は入力回路24に入り、同期検波回路541で同期検波された復調信号の1つは出力回路542に送られ出力され、第1データ列が再生される。抽出タイミング制御回路543で図41の位相同期部配置情報部499が再生され、どのタイミングで(2n−1)π/4の位相同期部の信号が入ってくるかわかり、図44のような間欠的な位相同期制御信号561が送られる。復調信号は逓倍回路545に送られ、4逓倍されて搬送波再生制御回路54に送られる。図44の信号562のように真の位相情報563の信号とそれ以外の信号を含む。タイミングチャート564の中の斜線に示すように(2nー1)π/4の位相の信号点からなる位相同期タイムスロット452が間欠的に含まれる。これを位相同期制御信号564を用いて搬送波再生制御回路544により、サンプリングすることにより位相標本信号565が得られる。これをサンプリングホールドすることにより、所定の位相信号566が得られる。この信号はループフィルタ546を通り、VCO547に送られ搬送波が再生され、同期検波回路541に送られる。こうして図39の斜線に示すような(2nー1)π/4の位相の信号点が抽出される。この信号を基に4逓倍方式により正確な搬送波が再生できる。この時、複数の位相が再生されるが図41の同期部496にユニークワードを入れることににより、搬送波の絶対位相を特定できる。
図40のように変形64QAM信号を送信する場合、略略(2nー1)π/4の位相の斜線で示す位相同期領域471の中の信号点に対してのみ位相同期タイムスロット452、452b等を送信機は送る。このため通常の4PSK受信機では搬送波は再生できないが、4PSKの第1受信機23でも、本発明の搬送波再生回路を装備することのより搬送波が再生できるという効果がある。
以上はコスタス方式の搬送波再生回路を用いた場合である。次に逆変調方式搬送波再生回路に本発明を用いた場合を説明する。
図45は本発明の逆変調方式搬送波再生回路を示す。入力回路24からの受信信号は同期検波回路541により、復調信号が再生される。一方、第1遅延回路591により遅延された入力信号は4相位変調器592において上記復調信号により逆復調され搬送波信号となる。搬送波再生制御回路544を通過できた上記搬送波信号は、位相比較器593に送られる。一方VCO547からの再生搬送波は第2遅延回路594により、遅延され、位相比較器593で前述の逆変調搬送波信号と位相比較され、位相差信号はループフィルタ546を通してVCO547に供給され、受信搬送波と同位相の搬送波が再生される。この場合、図43のコスタス形搬送波再生回路と同様にして、抽出タイミング制御回路543は図39の斜線で示した領域の信号点のみの位相情報をサンプリングさせるので16QAMでも64QAMでも、第1受信機23の4PSKの変調器で搬送波を再生できる。
次に、16逓倍方式により搬送波を再生する方式について述べる。図2の送信機1は、図46に示すように変形16QAMの信号点をnπ/8の位相に配置して変調および送信を行なう。図19の第1受信機23の方では、図48に示すような16逓倍回路661をもつコスタス型の搬送波再生回路を用いることにより、搬送波が再生できる。16逓倍回路661により、図46のようなnπ/8の位相の信号点は第1象現に縮退されるためループフィルタ546とVCO541により搬送波が再生できる。ユニークワードを同期領域に配置することにより16相から絶対位相を抽出することもできる。
次に16逓倍回路の構成を説明する。復調信号から和回路662と差回路663により、和信号、差信号を作り、乗算器664で掛け合わせてcos2θをつくる。また乗算器665ではsin2θをつくる。これらを乗算器666で乗算し、sin4θをつくる。
sin2θとcos2θから、同様にして、和回路667差回路668と乗算器670によりsin8θをつくる。和回路671と差回路672と乗算器によりcon8θをつくる。そして乗算器674によりsin16θをつくることにより16逓倍ができる。
以上のような16逓倍方式により、図46のような信号点配置をした変形16QAM信号の全ての信号点の搬送波を特定の信号点を抽出することなしに再生できるという大きな効果がある。
また図47のような配置をした変形64QAM信号の搬送波も再生できるが、いくつかの信号点は同期領域471より若干ずれているので、復調時エラーレートが増えてしまう。
この対策として2つの方法がある。1つは同期領域をはずれた信号点の信号を送信しないことである情報量は減るが構成は簡単になるという効果がある。もう1つは図38で説明したように同期タイムスロットを設けることである。タイムスロット群451の中の同期タイムスロットの期間中に斜線で示すnπ/8の位相の同期位相領域471、471a等の信号点を送ることにより、この期間中に正確に同期をとることができるため位相誤差がすくなくなる。
以上のようにして16逓倍方式により、簡単な受信機の構成で4PSK受信機により変形16QAMや変形64QAMの信号の搬送波を再生できるという大きな効果がある。また、さらに同期タイムスロットを設定した場合、変形64QAMの搬送波再生時の位相精度を上げるという効果が得られる。
以上詳しく述べたように本発明の伝送装置を用いることにより、1つの電波帯域で複数のデータを階層構造で同時に伝送することができる。
この場合に、一つの送信機に対し異なる受信感度と復調能力をもつ3つの階層の受信機を設定することにより、受信機の投資に見合ったデータ量を復調できるという特長がある。まず小さなアンテナと低分解能であるが低コストの第1受信機を購入した人受信者は第1データ列を復調再生できる。次に、中型のアンテナと中分解能の高コストの第2受信機を購入した受信者は第1、第2データ列を再生できる。また、大型のアンテナと高分解能の、かなり高コストの第3受信機を購入した人は第1、第2、第3データ列の全て復調再生できる。
もし第1受信機を家庭用デジタル衛星放送受信機にすれば多数の一般消費者に受け容れられるような低い価格で受信機を実現できる。第2受信機は当初は大型のアンテナを必要とする上に高コストのため消費者全般には受け容れられるものではないがHDTVを視聴したい人々には多少高くても意味がある。第3受信機は衛星出力が増加するまでの間かなり大型の産業用アンテナが必要で家庭用には現実的でなく産業用途に当初は適している。例えば超高解像HDTV信号を送り、衛星により各地の映画館に伝送すれば、映画館をビデオにより電子化できる。このばあい映画館やビデオシアターの運営コストが安くなるという効果もある。
以上のように本発明をTV伝送に応用した場合、3つの画質の映像サービスを1つの電波の周波数帯域で提供でき、しかもお互いに両立するという大きな効果がある。実施例では4PSK、変形8QAM、変形16QAM、変形64QAMの例を示したが、32QAMや256QAMでも実現できる。 また、図58や図68(a)(b)のような4値もしくは8値のASK信号に適用することもできる。また,8PSK,16PSK、32PSKでも実施できる。また実施例では衛星伝送の例を示したが地上伝送や有線伝送でも同様にして実現できることはいうまでもない。
(実施例2)
実施例2は実施例1で説明した物理階層構造をエラー訂正能力の差別化等により論理的にさらに分割し、論理的な階層構造を追加したものである。実施例1の場合それぞれの階層チャンネルは電気信号レベルつまり物理的な復調能力が異なる。これに対し実施例2ではエラー訂正能力等の論理的な再生能力が異なる。具体的には例えばD1の階層チャンネルの中のデータを例えばD1-1とD1-2の2つ に分割し、この分割データの1つ例えばD1-1データのエラー訂正能力をD1-2データより高め、エラー訂正能力を差別化することより、復調再生時にD1-1とD1-2のデータのエラー後調能力が異なるため、送信信号のC/N値を低くしていった場合、D1-2が再生できない信号レベルにおいてもD1-1は設定したエラーレート内に収まり原信号を再生できる。これは論理的な階層構造ということができる。
つまり、変調階層チャンネルのデータを分割し、誤り訂正符号と積符号の使用等の誤り訂正の符号間距離の大きさを差別化することによ誤り訂正能力による論理的な階層構造が追加され、さらに細かい階層伝送が可能となる。
これを用いると、D1チャンネルはD1-1,D1-2の2つのサブチャンネル,D2チャンネルはD2-1,D2-2の2つのサブチャンネルに増える。
これを入力信号のC/N値と階層チャンネル番号の図87を用いて説明すると、階層チャンネルD1-1は最も低い入力信号で再生できる。このCN値をdとす ると、CN=dの時、D1-1は再生されるがD1-2,D2-1,D2-2は再生されない。次にCN=C以上になるとD1-2がさらに再生され、CN=bの時D2-1が加わり、CN=aの時D2-2が加わる。このようにCNが上がるにつれて、再生可能 な階層の総数が増えていく。逆をいうとCNが下がるにつれて、再生可能な階層の総数が減っていく。これを図86の伝送距離と再生可能CN値の図で説明する。一般的に図86実線861に示すように伝送距離が長くなるに従い、受信信号のC/N値は低下する。図85で説明したCN=aとなる地点の送信アンテナからの距離をLaとし,CN=bではLb,CN=CではLc,CN=dではLd,CN=eではLeとなるとする。送信アンテナよりLdの距離より迫い地域は図85で説明したようにD1-1チャンネルのみが再生できる。このD1-1の受信可能範囲を斜線の領域862で示す。図から明らかなようにD1-1チャンネルは一 番広い領域で再生できる。同様にしてD1-2チャンネルは送信アンテナより距離 Lc以内の領域863で再生できる。距離Lc以内の範囲では領域862も含まれるためD1-1チャンネルも再生できる。同様にして領域864ではD2-1チャンネルが再生でき、領域865ではD2-2チャンネルが再生可能となる。このよう にして、CN値の劣化に伴いない伝送チャンネルが段階的に減少する階層型伝送ができる。データ構造を分離して階層構造にし、本発明の多値伝送を用いることにより、アナログ伝送のようにC/Nの劣化に伴いデータ量が次第に減少する階層型の伝送が可能となるという効果がある。
次に、具体的な構成を述べる。ここでは物理階層2層、論理階層2層の実施例を述べる。図87は送信機1のブロック図である。基本的には実施例1で説明した図2の送信機のブロック図と同じなので詳しい説明は省略するが、エラー訂正符号エンコーダが付加されている点が異なる。これをECCエンコーダと略す。分離回路3は1-1、1-2、2-1、2-2の4つの出力をもち、入力信号をD1-1、D1-2、 D2-1、D2-2の4つの信号に分離して出力する。このうち、D1-1、D1-2信号は第1ECCエンコーダ871aに入力され、各々、主ECCエンコーダ872aと副ECCエンコーダ873aに送られ、誤り訂正の符号化がなされる。
ここで主ECCエンコーダ872aは副ECCエンコーダ873aよりも強力なエラー訂正能力をもっている。このため、図85のCN−階層チャンネルのグラフで説明したように、復調再生時、D1-1チャンネルはD1-2チャンネルより低いC/N値においてもD1-1は基準エラーレート以下で再生できる。D1-1はD1-2よりC/Nの低下に強い論理的な階層構造となっている。誤り訂正されたD1-1、D1-2信号は合成器874aでD1信号に合成され、変調器4に入力される。一方、D2-1、D2-2信号は第2ECCエンコーダ871bの中の各々主エンコーダ872bと副ECCエンコーダ873bにより誤り訂正符号化され合成器874bによりD2信号に合成され、変調器4により入力される。主ECCエンコーダ 872bは副ECCエンコーダ873bよりエラー訂正能力が高い。この場合、変調器4はD1信号、D2信号より階層型の変調信号を作り、送信部5より送信される。以上のように図87の送信機1はまず実施例1で説明した変調によるD1 、D2の2層の物理階層構造をもっている。この説明は既に述べた。次に、エラ ー訂正能力の差別化によりD1-1とD1-2叉はD2-1、D2-2の各々2層の論理的階層構造をもっている。
次にこの信号を受信する状態を説明する。図88は受信機のブロック図である。図87の送信機の送信信号を受信した第2受信機33の基本構成は、実施例1の図21で説明した第2受信機33とほぼ同じ構成である。ECCデコーダ876a、876bを追加した点が異なる。この場合、QAM変復調の例を示すが、図58や図68(a)(b)のような4値もしくは8値のVSB等のASK信号に適用することもできる。また、PSK、FSK変復調でもよい。
さて、図88において、受信された信号は復調器35によりD1、D2信号として再生され分離器3a、3bにより、各々D1-1とD1-2、D2-1、D2-2の4つの信号がつくられ、第1ECCデコーダ876aと第2ECCデコーダ876bに入力される。第1ECCデコーダ876aでは、D1-1信号が主ECCデコーダ 877aにより誤り訂正されて合成部37に送られる。一方、D1-2信号は副E CCデコーダ878aにより誤り訂正され合成部37に送られる。同様にして第2ECCデコーダ876bにおいてD2-1信号は主ECCデコーダ877bにお いて、D2-2信号は副ECCデコーダ878bにおいて誤り訂正され、合成部3
7に入力される。誤り訂正されたD1-1、D1-2、D2-1、D2-2信号は合成部37において1つの信号となり出力部36より出力される。
この場合、論理階層構造によりD1-1はD1-2より、またD2-1はD2-2より誤り訂正能力が高いため図85で説明したように、入力信号のC/N値がより低い状態においても所定の誤り率が得られ、原信号を再生できる。
具体的にHigh Code Gainの主ECCデコーダ877a,877bとLow Code Gainの副ECCデコーダ878a,878bの間に誤り訂正能力の差別化を行う方法を述べる。副ECCデコーダに図165(b)のECC Decoderの図に示すようなリードソロモン符号やBCH符号のような標準的な符号間距離の符号化方式を用いた場合、主ECCデコーダにリードソロモン符号とリードソロモン符号の両者の積符号や長符号化方式や図128(d)(e)(f)に示すTrellis Decoder744p、744q、744rを用 いた誤り訂正の符号間距離の大きい符号化方式を用いることにより誤り訂正能力つまりCode Gainに差をつけることができる。こうして論理的階層構造を実現できる。符号間距離を大きくする方法は様々な方法が知られているため他の方式に関しては省略する。本発明は基本的にはどの方式も適用できる。
また図160、図167のブロック図に示すように送信部にインターリーバー744Kを、受信部にデインターリーバー759K、936bを設け、図168(a)のInter leave Table954により、インターリーブをかけ、デインター リーバー936bのデインターリーブRAM936×で、デコードすることにより、伝送系のバーストエラーに対して強い伝送が可能となり、画像が安定する。
ここで論理的な階層構造を図89のC/Nと誤り訂正後のエラーレートの関係図を用いて説明する。図89において、直線881はD1-1チャンネルのC/N とエラーレートの関係を示し、直線882はD1-2チャンネルのC/Nと訂正後 のエラーレートの関係を示す。
入力信号のC/N値が小さくなればなる程、訂正後のデータのエラーレートは大きくなる。一定のC/N値以下では誤り訂正後のエラーレートがシステム設計時の基準エラーレートEth以下に収まらず原データが正常に再生されない。さて、図89において徐々にC/Nを上げてゆくとD1-1信号の直線881が示す ようにC/Nがe以下の場合D1チャンネルの復調ができない。e≦C/N<d の場合D1チャンネルの復調はできるが、D1-1チャンネルのエラーレートはEthを上回り、原データを正常に再生できない。
C/N=dの時、D1-1は誤り訂正能力がD1-2より高いため、誤り訂正後のエラーレートは点885dに示すようにEth以下になり、データを再生できる。一方、D1-2の誤り訂正能力はD1-1ほど高くないため訂正後のエラーレートがD1-1ほど低くないため訂正後のエラーレートがE2とEthを上回るため再生できない。従ってこの場合D1-1のみが再生できる。
C/Nが向上してC/N=Cになった時、D1-2の誤り訂正後のエラーレート が点885Cに示すようにEthに達するため、再生可能となる。この時点ではD2-1、D2-2つまりD2チャンネルの復調は不確実な状況にある。C/Nの向上 に伴い、C/N=b'においてD2チャンネルが確実に復調できるようになる。
さらにC/Nが向上しC/N=bになった時点で、D2-1のエラーレートが点 885bに示すようにEthまで減少し、D2-1が再生できるようになる。この 時、D2-2のエラーレートはEthより大きいため再生できない。C/N=aに なって点885aに示すようにD2-2のエラーレートがEthにまで減少しD2-2チャンネルが再生できるようになる。
このようにして、誤り訂正能力の差別化を用いることにより物理階層D1、D2チャンネルをさらに2層の論理階層を2分割し、計4層の階層伝送ができるという効果が得られる。
この場合、データ構造を高階層のデータが欠落しても原信号の一部が再生できるような階層構造にし、本発明の多値伝送と組み合わせることにより、アナログ伝送のようにC/Nの劣化に伴いデータ量が次第に減少する階層型伝送が可能となるという効果がある。特に、近年の画像圧縮技術は急速に進歩しているため、画像圧縮データを階層構造とし階層伝送と組み合わせた場合、同一地点間において、アナログ伝送よりはるかに高画質の映像を伝送すると同時に、アナログ伝送のように段階的に受信信号レベルに応じて画質を低くしながら広い地域で受信できる。このように従来のデジタル映像伝送にはなかった階層伝送の効果をデジタルによる高画質を保ちながら得ることができる。
また、画像Segmentデータのアドレスデータや画像圧縮時の基準画像データや、図66のラスクランブル部に示すスクランブル解除データや、フレーム同期信号等のHDTV信号の画像伸長に最も重要なデータをHigh Priority Data D1-1として図88、図133、図170、図172のH igh code GainのECC Encorder743aで送信し、受信機43のHigh code gainのECC Decoder758で受信する。この方式ではC/Nが劣化して、信号のエラーレートが増えてもHigh Priority Data D1-1のエラーレートはさほど増えないため 、デジタル映像特有の致命的な画質の破壊は防げ、往々に画質が劣化するGraceful Degradationの効果が得られる。図133、図170の変調部749、復調部760は前述の16QAM、32QAMでも、後の実施例4で述べる図57の4VSBや図68の8VSBでも8PSKでもGraceful Degradationの効果が得られる。
また、図133、図156に示すように、High Priority Dataを2nd data stream input744の中のECC Encoder744aとTrellis Encoder744bでHigh code gainの誤り符号化を行い、Low Priority dataをECC encoder743aのみでLow code gainの誤り符号化を行うことにより、受信時のHigh Priority dataとLow Priority dataのエラーレートを大きく差をつけることができる。このため伝送系の大巾なC/Nの劣化に対しても、High Priority Dataは受信できるため、自動車TV受信機のように受信条件の悪い受信機のようにC/Nの劣化が激しい用途においても、Low Priority Dataの劣化に伴い、画質は劣化する。しかしHigh Priority Dataは再生されるため画素ブロックの配置情報は再生されるため、画像が破壊されることなく、解像度やノイズが劣化した画像が得られ、視聴者はTV番組をみることが可能となるという著しい効果が得られる。
(実施例3)
以下本発明の第3の実施例について図面を参照しながら説明する。
図29は実施例3の全体図である。実施例3は本発明の伝送装置をデジタルTV放送システムに用いた例を示し、超高解像度の入力映像402は、第1画像エンコーダー401の入力部403に入力し、分離回路404により、第1データ列と第2データ列と第3データ列に分離され、圧縮回路405により圧縮され出力される。
他の入力映像406,407,408は各々第1画像エンコーダー401と同様の構成の第2画像エンコーダー409,410,411により圧縮され出力される。
これらの4組のデータのうち、第1データ列の4組の信号は、多重器412の第1多重器413によりTDM方式等の時間的に多重化されて、第1データ列として、送信機1に送られる。
第2データ列の信号群の全部もしくは1部は多重器414により多重化され、第2データ列として送信機1に送られる。また、第3データ列の信号群の全部もしくは1部は多重器415により多重化され、第3データ列として送信機1に送られる。
これらを受けて送信機1では3つのデータ列を変調器4により実施例1で述べた変調を行い、送信部5によりアンテナ6と伝送路7により、衛星10に送り中継器12により、第1受信機23等の3種の受信機に送られる。
第1受信機23では伝送路21により半径r1の小径のアンテナ22で受けて 、受信信号の中の第1データ列のみを第1データ列再生部232で再生し、第1画像デコーダー421によりNTSC信号もしくはワイドNTSC信号等の低解像度の映像出力425と426を再生し出力させる。
第2受信機33では、半径r2の中径のアンテナ32で受けて、第1データ列 再生部232と第2データ列再生部233により第1データ列と第2データ列を再生し、第2画像デコーダー422により、HDTV信号等の高解像度の映像出力427もしくは映像出力425、426を再生し出力させる。
第3受信機43では、半径r3の大径のアンテナ33で受けて、第1データ列 再生部232と第2データ列再生部233と第3データ列再生部234により、第1データ列と第2データ列と第3データ列を再生し、ビデオシアターや映画館用の超高解像度HDTV等の超高解像度の映像出力428を出力する。映像出力425、4266,427も出力できる。一般のデジタルTV放送は、デジタル送信機51から放送され、第1受信機23で受信した場合、NTSC等の低解像の映像出力426として出力される。
では、次に図30の第1画像エンコーダー401のブロック図に基ずき、構成を詳しく述べる。超高解像度の映像信号は入力部403に入力され、分離回路404に送られる。分離回路404ではサブバンドコーディング方式により4つの信号に分離する。QMF等の水平ローパスフィルタ451と水平ハイパスフィルタ452により、水平低域成分と水平高域成分に分離され、サブサンプリング部453,454により、各々の成分はサンプリングレートを半分にした後、水平低域成分は垂直ローパスフィルタ455と垂直ハイパスフィルタ456により、各々水平低域垂直低域信号、略してHLVL信号と水平低域垂直高域信号、略してHLVH信号に分離され、サブサンプリング部457と458により、サンプリングレートを落として圧縮部405に送られる。
水平高域成分は、垂直ローパスフィルタ459と垂直ハイパスフィルタ460により、水平高域垂直低域信号、略してHHVL信号と、水平高域垂直低域信号、略してHHLH信号に分離され、サブサンプリング部461,462によりサンプリングレートを下げて、圧縮部405に送られる。
圧縮部405ではHLVL信号を第1圧縮部471でDCT等の最適の圧縮を行い第1出力部472より第1データ列として出力する。
HLVH信号は第2圧縮部473で圧縮され第2出力部464に送られる。HH VL信号は第3圧縮部463により圧縮され第2出力部464へ送られる。HHVH信号は分離回路465により高解像度映像記号(HHVH1)と超高解像度映像 信号(HHVH2)に分けられ、HHVH1は第2出力部464へ、HHVH2は第3出力部468へ送られる。
次に図31を用いて第1画像デコーダー421を説明する。第1画像デコーダー421は第1受信機23からの出力、第1データ列つまりD1を入力部501 に入力しデスクランブル部502によりスクランブルを解いた後伸長部503により、前述のHLVL信号に伸長した後画面比率変更回路504と出力部505により画面比率を変更してNTSC信号の画像506、NTSC信号でストライプ画面の画像507、ワイドTVのフル画面の画像508もしくは、ワイドTVのサイドパネル画面の画像509を出力する。この場合、ノンインタレースもしくはインタレースの2つの走査線のタイプが選べる。走査線もNTSCの場合525本と二重描画による1050本が得られる。また、デジタル送信機51からの4PSKの一般のデジタルTV放送を受信した場合は、第1受信機23と第1画像デコーダ421によりTV画像を復調、再生できる。次に図32の第2画像デコーダーのブロック図を用いて第2画像デコーダーを説明する。まず第2受信機33からのD1信号は第1入力部521より入力し、第1伸長部522で伸長さ れ、オーバーサンプリング部523により2倍のサンプリングレートになり垂直ローパスィルタ524により、HLVL信号が再生される。D2信号は第2入力部 530より入力し、分離回路531により3つの信号に分離され、第2伸長部532と第3伸長部533と、第3伸長部534により各々伸長及び、デスクランブルされ、オーバーサンプリング部535、536、537により2倍のサンプリングレートとなり、垂直ハイパスフィルター538、垂直ローパスフィルタ539、垂直ハイパスフィルタ540により送られる。HLVL信号とHLVH信号は加算器525で加算され、オーバーサンプリング部541と水平ローパスフィルター542により水平低域映像信号となり、加算器543に送られる。HHVL信号とHHVH1信号は加算器526により加算され、オーバーサンプリング部544と水平ハイパスフィルター545により水平高域映像信号になり加算器543によりHDTV等の高解像度映像信号HD信号となり出力部546からHDTV等の画像出力547が出力される。場合によりNTSC信号も出力される。
図33は第3画像デコーダーのブロック図でD1信号は第1入力部521から D2信号は第2入力部530から入力し高域画像デコーダー527により前述の 手順でHD信号が再生される。D3信号は第3入力部551より入力し超高域部 画像デコーダー552により伸長、デスクランブル、および合成されHHVH2信号が再生される。この信号はHD信号と合成器553で合成され超高解像度TV信号、S−HD信号となり出力部554より超高解像度映像信号555が出力される。
次に図29の説明で触れた多重器401の具体的な多重化方法について述べる。
図34はデータ配列図であり、第1データ列、D1と第2データ列、D2と第3データ列D3に6つのNTSCチャンネルL1、L2、L3、L4、L5、L6 と6つのHDTVチャンネルM1〜M6と6つのS-HDTVチャンネルH1〜 H6をTの期間中に、時間軸上にどう配置するかを描いたものである。図34はまずTの期間にD1信号にL1からL6をTDM方式等で時間多重により配置す るものである。D1のドメイン601に第1チャンネルのHLVL信号を送る。次 にD2信号のドメイン602には第1チャンネルに相当する時間領域に第1チャ ンネルのHDTVとNTSCとの差分情報M1つまり、前述のHLVH信号とHH VL信号とHHVH1信号を送る。またD3信号のドメイン603には第1チャンネルのスーパーHDTV差分情報H1,すなわち図30で説明したHHVHー2H1を送る。
ここで第1チャンネルのTV局を選択した場合を説明する。まず小型アンテナと第1受信機23と第1画像デコーダ421のシステムをもつ一般の受信者は図31のNTSCもしくはワイドNTSCのTV信号が得られる。次に中型アンテナと第2受付信機33と第2画像エンコーダ422をもつ特定の受信者はチャンネル1を選択した場合第1データ列、D1のドメイン601と第2データ列、D2のドメイン602の信号を合成してチャンネル1のNTSC番組と同じ番組内容のHDTV信号を得る。
大型アンテナと多値復調できる第3受信機43と第3画像デコーダー423をもつ映画館等の一部の受信者はD1のドメイン601とD2のドメイン602とD3のドメイン603の信号を合成し、チャンネル1のNTSCと同じ番組内容で 映画館用の画質の超解像度HDTV信号を得る。2から3までの他のチャンネルも同様にして再生される。
図35は別のドメインの構成である。まずNTSCの第1チャンネルはL1に配置されている。このL1はD1信号の第1タイムドメインのドメイン601の 位置にあり、先頭部にNTSC間のデスクランブル情報と実施例1で説明した復調情報を含む情報S11が入っている。次にHDTVの第1チャンネルはL1とM1に分割されて入っている。M1はHDTVとNTSCとの差分情報であり、D2のドメイン602とドメイン611の両方に入っている。この場合6Mbp sのNTSC圧縮信号を採用しL1に収容すると、M1の帯域は2倍の12Mbpsになる。L1とM1とを合わせると18Mbpsの帯域が第2受信機33と第2画像デコーダ423から復調再生可能である。一方、現在提案されている圧縮方法を用い約15Mbpsの帯域でHDTV圧縮信号を実現することができる。従って図35の配置でチャンネル1でHDTVとNTSCを同時に放送できる。この場合チャンネル2ではHDTVの再生はできない。S21はHDTVのデスクランブル情報である。また、スーパーHDTV信号はL1とM1とH1に分割して放送される。スーパーHDTVの差分情報はD3のドメイン603,61 2,613を用い、NTSCを6Mbpsに設定した場合、合計36Mbps送れ、圧縮を高くすれば映画館用画質の走査線約2000本のスーパーHDTV信号も伝送できる。
図36の配置図はD3で6つのタイムドメインを占有させスーパーHDTV信 号を伝送した場合を示す。NTSC圧縮信号を6Mbpsに設定した場合9倍の54Mbpsが伝送できる。このためより高画質のスーパーHDTVを伝送できる。
以上は、送信信号の電波の水平もしくは垂直の偏波面の片方を利用する場合である。ここで水平と垂直の2つの偏波面を使うことにより、周波数利用効率は2倍となる。以下に説明をする。
図49は第1データ列の水平偏波信号DV1と垂直偏波信号DH1及び第2データ列の同じくDV2とDH2、第3データ列のDV3とDH3の信号配置図を示す。この場合、第1データ列の垂直偏波信号DV1にNTSC等の低域TV信号が入っており第1データ列の水平偏波信号DH1に高域TV信号が入っている。従って、垂直偏波アンテナしかもっていない第1受信機23は,NTSC等の低域信号を再生できる。一方、垂直、水平の両方向の偏波アンテナをもつ第1受信機23は、例えば、L1とM1信号を合成しHDTV信号を得ることができる。つまり、第1受信機23を用いた場合、アンテナの能力により、一方ではNTSCが、他方ではNTSCとHDTVが再生できるため2方式が両立するという大きな効果がある。
図50はTDMA方式にした場合で、各データバースト721の先頭部に同期部731とカード部741が設けられている。又、フレームの先頭部には同期情報部720が設けられている。この場合は、各タイムスロット群が、各々1つのチャンネルが割りあてられている。例えば、第1タイムスロット750で第1チャンネルの全く同じ番組のNTSC、HDTV、スーパーHDTVを送ることができる。各々のタイムスロット750〜750eが完全に独立している。従って特定の放送局が特定のタイムスロットを用いてTDMA方式で放送する場合、他局と独立してNTSC、HDTV、スーパーHDTVの放送ができるという効果がある。又、受信側も水平偏波アンテナで第1受信機23をもつ構成の場合NTSCTV信号を両偏波アンテナなら、HDTVを再生できる。第2受信機33にすると低解像度のスーパーHDTVを再生できる。第3受信機43にするとスーパーHDTV信号を完全に再生できる。以上のように両立性のある放送システムを構築出来る。この場合、図50のような配置で、バースト状のTDMA方式でなく、図49のような連続信号の時間多重も可能である。また図51に示すような信号配置にすればより高解度のHDTV信号を再生できる。
以上述べたように実施例3により超高解像度型HDTV、HDTVとNTSC-TVの3つの信号の両立性のあるデジタルTV放送が可能になるという顕著な 効果がある。とくに映画館等に伝送した場合、映像を電子化することができるという新たな効果がある。
ここで、本発明による変形QAMをSRQAMと呼び、具体的なエラーレートについて述べる。
まず、16SRQAMのエラーレートを計算する。図99は16SRQAMの信号点のベクトル図である。第1象限において、16QAMの場合、信号点83a、83b、84a、85、83a等の各16ヶの信号点の間隔は等間隔であり、全て2δである。
16QAMの信号点83aは座標軸のI軸、Q軸よりδの距離にある。ここで16SRQAMにする場合、nをシフト値と定義すると、信号点83aはシフトして、座標軸からの距離をnδの位置の信号点83へ移動させる。この場合nは 0<n<3
である。また他の信号点84a、86aもシフトして信号点84、86の位置に移動する。
第1データ列の誤り率をPe1とすると
第2データ列の誤り率をPe2とすると
となる。
次に36SRQAMもしくは32SRQAMのエラーレートを計算する。図100は36SRQAMの信号ベクトル図である。第1象限において36QAMの信号点間距離は2δであると定義する。
36QAMの信号点83aは座標軸よりδの距離にある。この信号点83aは36SRQAMになると信号点83の位置にシフトし、座標軸よりnδの距離となる。各々の信号点はシフトして信号点83、84、85、86、97、98、99、100、101となる。9ヶの信号点からなる信号点群90を一つの信号点とみなして、変形4PSK受信機で受信し、第1データ列D1のみー再生した 場合の誤り率をPe1とし、信号点群90の中の9個の信号点を各々弁別し、第2データ列D2を再生した場合の誤り率をPe2とすると
となる。
この場合、図101のC/N〜エラーレート図はエラーレートPeと伝送系のC/Nとの関係を計算した一例を示す。曲線900は比較のため従来方式の32QAMのエラーレートを示す。直線905はエラーレートが10の−1.5乗の直線を示す。本発明のSRQAMのシフト量nを1.5とした場合の第1階層D1のエラーレートは曲線901aとなり、エラーレートが10-1.5において曲線 900の32QAMに対してC/N値が5dB下がってもD1は同等のエラーレ ートで再生できるという効果がある。
次にn=1.5の場合の第2階層D2のエラーレートは曲線902aで示され る。エラーレートが10-1.5において、曲線900に示す32QAMに比べてC/Nを2.5dB上げないと同等のエラーレートで再生できない。曲線901b、曲線902bはn=2.0の場合のD1、D2を示す。曲線902CはD2を示す。これをまとめると、エラーレートが10の−1.5乗の値において22n= 1.5、2.0、2.5の時、32QAMに比べて各々D1は5、8、10dB 改善され、D2は2.5dB劣化する。
32SRQAMの場合にシフト量nを変化させた場合に所定のエラーレートを得るのに必要な第1データ列D1と第2データ列D2のC/N値を図103のシフト量nとC/Nの関係図で示す。図103をみると明らかなように、nが0.8以上であれば、階層伝送つまり第1データ列D1と第2データ列D2の伝送に必要なC/N値の差が生まれ、本発明の効果が生じることがわかる。従って、32SRQAMの場合n>0.85の条件下で効果がある。16SRQAMの場合のエラーレートは図102のC/Nとエラーレートの関係図のようになる。
図102において曲線900は16QAMのエラーレートを示す。曲線901a、901b、901cは各々第1データ列D1のn=1.2、1.5、1.8 の 場合のエラーレートを示す。曲線902a、902b、902cは各々第2 データ列D2のn=1.2、1.5、1.8の場合のエラーレートを示す。
図104のシフト量nとC/Nの関係図は16SRQAMの場合にシフト量nを変化させた場合に特定のエラーレートを得るのに必要な第1データ列D1と第 2データ列D2のC/Nの値を示したものである。図104から明らかなように 16SRQAMの場合n>0.9であれば本発明の階層伝送が可能となることがわかる。以上からn>0.9なら階層伝送が成立する。
ここで具体的にデジタルTVの地上放送に本発明のSRQAMを適用した場合の一例を示す。図105は地上放送時の送信アンテナと受信アンテナとの距離と、信号レベルとの関係図を示す。曲線911は送信アンテナの高さが1250ftの場合の受信アンテナの信号レベルを示す。まず、現在検討が進められているデジタルTV放送方式において要求される伝送系の要求エラーレートを10の−1.5乗と仮定する。領域912はノイズレベルを示し、点910はC/N=15dBになる地点で従来方式の32QAM方式の受信限界点を示す。このL=60mileの地点においてデジタルのHDTV放送が受信できる。
しかし、天候等の受信条件の悪化により時間的にC/Nは5dBの巾で変動する。C/N位が閾値に近い受信状況においてC/Nが低下すると急激にHDTVの受信が不能となる問題を持っている。また地形や建築物の影響により、少なくとも10dB程度の変動が見込まれ、60mileの半径内の全ての地点で受信できる訳でない。この場合、アナログと違いデジタルの場合完全に映像が伝送できない。従って従来のデジタルTV放送方式のサービスエリアは不確実なものであった。
一方、本発明の32SRQAMもしくは図68に示す8−VSBの場合、前述のように図133、図137の構成により3層の階層となる。第1−1階層D1-1でMPEGレベルの低解像度NTSC信号を送り、第1-2階層D1-2でNTSC等の中解像度TV成分を送り、第2階層D2でHDTVの高域成分を送ることができ る。例えば図105において第1-2階層のサービスエリアは点910aのように 70mile地点まで拡大し、第2階層は910bのように、55mile地点まで後退する。図106の32SRQAMのサービスエリア図はこの場合のサービスエリアの面積の違いを示す。図106はコンピュータシミュレーションを行い、図53のサービスエリア図をより具体的に計算したものである。図106において領域708、703c、703a、703b、712は各々従来方式の32QAMのサービスエリア、第1-1階層D1-1のサービスエリア、第1-2階層D1-2のサービスエリア、第2階層D2のサービスエリア、隣接アナログ局のサービス エリアを示す。このうち、従来方式の32QAMのサービスエリアのデータは従来開示されているデータを用いている。
従来方式の32QAMの放送方式では名目上60マイルのサービスエリアを設定できる。しかし、実際は天候や地形の条件変化により受信限界地近傍においてきわめて受信状態が不安定であった。
しかし、本発明の36SRQAMを用い、第1-1階層D1-1でMPEG1グレードの低域TV成分を第1-2階層D1-2でNTSCグレードの 中域TV成分を送信 し、第2階層D2でHDTVの高域TV成分を送信することにより、図106の ように高解像度グレードのHDTVのサービスエリアの半径が5マイル縮小するものの、中解像度グレードのEDTVのサービスエリアの半径が10マイル以上拡大し、低解像度のLDTVのサービスエリアは18マイル拡大するという効果が生まれる。図107はシフトファクターnもしくはs=1.8の場合のサービスエリアを示し、図135は図107のサービスエリアを面積で示したものです。
このことにより、一番目に従来方式では、受信条件が悪い地域において存在した受信不能地域においても本発明のSRQAM方式を適用することにより、少なくとも設定したサービスエリア内においては殆んどの受信機で中解像度もしくは低解像度グレードでTV放送を受信できるような送信が可能となる。従って通常のQAMでは発生するビルかげや低地の受信不能領域と隣接アナログ局からの妨害を受けるような地域において本発明を用いることによりこの受信不能地域が大巾に減少し、これに伴い実質的な受信者数を増大できる。
二番目に従来のデジタルTV放送方式では高価なHDTV受信機と受像機をもつ受信者しか放送を受信できなかったため、サービスエリア内においても一部の受信者しか視聴できなかった。しかし本発明では従来のNTSCやPALやSECAM方式の従来型のTV受像機を持っている受信者もデジタル受信機のみを増設することにより、デジタルHDTV放送の番組をNTSCグレードもしくはLDTVグレードではあるが受信可能になるという効果がある。このため受信者はより少ない経済的負担で番組が視聴できる。
同時に総受信者数が増えるためTV送信者側はより多くの視聴者を得られるためTV事業としての経営がより安定するという社会的効果が生まれる。
三番目に中低解像度グレードの受信地域の面積はn=2.5の場合、36%従来方式に比して拡大する。拡大に応じて受信者が増える。サービスエリアの拡大と受信者数の増加によりその分TV事業者の事業収入が増大する。このことによりデジタル放送の事業リスクが減りデジタルTV放送の普及が早まることが期待できる。
さて、図107の32SRQAMのサービスエリア図にみるように、nもしくはs=1.8の場合も同様の効果が得られる。シフト値nを変更することにより 、各々の放 送局がHDTV受像機とNTSCTV受像機の分布状況等の地域特 有の条件や事情に応じてnを変更し、SRQAMのD1とD2のサービスエリア703aと703bを最適な条件に設定することにより、受信者は最大の満足を放送局は最大の受信者数を得ることができる。
この場合
n>1.0
の時、以上のような効果が得られる。
従って、32SRQAMの場合nは
1<n<5
となる。
同様にして16SRQAMの場合nは
1<n<3
となる。
この場合図99、図100のようにシフトさせて第1と第2階層を得るSRQAM方式において、16SRQAM、32SRQAM、64SRQAMにおいてnが1.0以上であれば、地上放送において本発明の効果が得られる。
実施例では映像信号を伝送した場合を説明したが音声信号を高域部もしくは高分解能部と低域部もしくは低分解能部にわけ、それぞれ第2データ列、第1データ列として本発明の伝送方式を用いて伝送すると、同様の効果が得られる。
PCM放送、ラジオ、携帯電話に用いるとサービスエリアが広がるという効果がある。
また、実施例3では図133に示すように時間分割多重(TDM)方式と組み合わせてTDMによるサブチャンネルを設け、ECC Encoder743a とECC Encoder743bに示すように2つのサブチャンネルのエラー訂正のコードゲインを差別化することにより、各サブチャンネルの閾値に差をつけ多値型伝送のサブチャンネルを増やすことができる。この場合、図137に示すように4VSB、8VSB、16VSBのVSB−ASK信号の2つのサブチャンネルのTrellis Encoder等のECCエンコーダーのCode gainsを変えてもよ い。詳しい説明は後述する実施例6の図131の説明と同じであるため省略する。
図131のブロック図は磁気記録再生装置で図137のブロック図は伝送装置である。伝送装置の送信機のUp converter;受信機のDown convertorを各々、磁気記録再生装置の磁気ヘッド記録信号増巾回路、磁気ヘッド再生信号増巾回路に置き換えることにより両者は全く、同じ構成になることがわかる。従って、変復調部の構成と動作は全く同じである。同様にして図84の磁気記録再生システムは図156の伝送システムと同じ構成であることがわかる。また構成を簡単にしたい場合は、図157、更に簡単にしたい場合は図158のような構成にすることができる。
図106のシミュレーションにおいては第1-1サブチャンネルD1-1と第1-2サ ブチャンネルD1-2と間に5dBのCoding Gainの差をつけた場合を示している。SRQAMは“C−CDM”とよばれる本発明の信号点符号分割多重方式(Constellation-Code Division Multiplex)をrectangle-QAMに応用したものである。C−CDMはTDMやFDMと独立した多重化方式である。コードに対応した信号点コードを分割することにより、サブチャンネルを得る方式である。この信号点の数を増やすことによりTDMやFDMにはない伝送容量の拡張性が得られる。このことは従来機器とほぼ完全な互換性を保ちながら実現する。このようにC−CDMは優れた効果をもつ。
さて、C−CDMとTDMを組み合わせた実施例を用いたが周波数分割多重方式(FDM)と組み合わせても、同様の閾値の緩和効果が生まれる。例えば、TV放送に用いた場合、図108のTV信号の周波数分布図に示すようになる。従来のアナログ放送例えばNTSC方式の信号はスペクトラム725のような周波数分布をしている。一番大きな信号は映像のキャリア722である。カラーのキャリア723や音声のキャリア724はそれほど大きくない。お互いの干渉を避けるため、デジタル放送の信号をFDMにより2つの周波数に分ける方法がある。この場合、図に示すように映像のキャリア722を避けるように第1キャリア726と第2キャリア727に分割し各々第1信号720と第2信号721を送ることにより干渉は軽減できる。第1信号720により低解像度TV信号を大きな出力で送信し、第2信号721により高解像度信号を小さな出力で送信することにより、妨害を避けながらFDMによる階層型放送が実現する。
ここで図134に従来の方式32QAMを用いた場合の図を示す。サブチャンネルAの方が出力が大きいため、閾値はThreshold1はサブチャンネルBの閾値Theshold2に比べて4〜5dB小さくて良い。従って4〜5dB閾値の差をもつ2 層の階層型放送が実現する。しかし、この場合、受信信号のレベルがTheshold2 以下になると情報量の大巾を占める第2信号721aの斜線で示す信号の全部が全く受信できなくなり、情報量の少ない第1信号720aしか受信できなくなり、第2階層では画質の著しく悪い画像しか受信できない。
しかし、本発明を用いた場合、図108に示すようにまず第1信号720にC−CDMにより得られる32SRQAMを用いてサブチャンネル1ofAを追加する。この閾値の低いサブチャンネル1ofAにさらに低解像度の成分をのせる。第2信号721を32SRQAMとし、サブチャンネル1ofBの閾値を第1信号の閾値Thershold2に合わせる。すると信号レベルがThreshold−2に下がっ ても受信できなくなる。領域は斜線で示す第2信号部721aのみとなり、サブチャンネル1ofBとサブチャンネルAが受信できるため伝送量はあまり減らない。従って第2階層においても画質の良い画像がTh−2の信号レベルにおいても受信できるという効果がある。
一方のサブチャンネルに普通解像度の成分を伝送することにより、さらに階層の数が増え、低解像度のサービスエリアが拡がるという効果も生まれる。この閾値の低いサブチャンネルに音声情報叉は同期情報、各データのヘッダー等の重要な情報を入れることにより、この重要な情報は確実に受信できるため安定した受信が可能となる。第2信号721に、同様の手法を用いると、サービスエリアの階層が増える。HDTVの走査線が1050本の場合、525本に加えて、C−CDMにより775本のサービスエリアが加わる。
このようにして、FDMとC−CDMを組み合わせるとサービスエリアが拡大するという効果が生まれる。この場合FDMにより2つのサブチャンネルを設けたが3つの周波数に分割し、3つのサブチャンネルを設けてもよい。
次にTDMとC−CDMを組み合わせて妨害を避ける方法を述べる。図109に示すようにアナログTV信号には水平帰線部732と映像信号部731がある。水平帰線部732の信号レベルが低いことと、この期間中は妨害を受けても画面に出力されないことを利用する。デジタルTV信号の同期をアナログTV信号と合わせ、水平帰線部732の期間の水平帰線同期スロット733、733aに重要なデータ、例えば同期信号等を送るか高い出力で多くのデータを送ることができる。このことにより、妨害を増やさないでデータ量を増やしたり出力を上げられるという効果がある。なお垂直帰線部735、735aの期間に同期させて垂直帰線同期スロット737、737aを設けても同様の効果が得られる。
図110はC−CDMの原理図である。叉、図111は16QAMの拡張版のC−CDMのコード割り当て図を示し、図112は32QAM拡張版のコード割り当て図を示す。図110、111に示すように256QAMは第1、2、3、4層740a、740b、740c、740dの4つの層に分けられ、各々4、16、64、256ケのセグメントを持つ。第4層740dの256QAMの信号点コードワード742dは8bitの“11111111”である。これを2bitずつ4つのコードワード741a、741b、741c、741dに分割し、各第1、2、3、4層740a、740b、740c、740dの信号点領域742a、742b、742c、742dに各々“11”、“11”“11”、“11”を割り当てる。かくして、2bitずつのサブチャンネルすなわち、サブチャンネル1、サブチャンネル2、サブチャンネル3、サブチャンネル4ができる。これを信号点符号分割多重方式という。図111は16QAMの拡張版の具体的な符号配置を示し、図112は36QAMの拡張版を示す。C−CDM多重化方式は独立したものである。従って従来の周波数分割多重方式(FDM)や時間分割多重方式(TDM)と組み合わせることにより、更にサブチャンネルが増やせるという効果がある。こうしてC−CDM方式により新しい多重化方式を実現できる。Rectangle-QAMを用いてC−CDMを説明したが、信号点をもつ 他の変調方式例えば他の形のQAMやPSK、ASK、そして周波数領域を信号点とみなし、FSKも同様に多重化できる。
例えば前述の8PS−APSKのサブチャンネル1のエラーレートは
サブチャンネル2のPe2-8は
16−PS−APSK(PS型)のサブチャンネル1のエラーレートは
サブチャンネル2のエラーレートは
サブチャンネル3のエラーレートは
で現せる。
(実施例4)
以下本発明の第4の一実施例について図面を参照しながら説明する。
図37は実施例4の全体のシステム図である。実施例4は実施例3で説明した伝送装置を地上放送に用いたもので、ほぼ同じ構成、動作である。実施例3で説明した図29との違いは、送信用のアンテナ6aが地上伝送用アンテナになっている点と各受信機の各々のアンテナ21a,31a,41aが地上伝送用アンテナになっている点のみである。その他の動作はまったく同じであるため重復する説明を省略する。衛星放送と違い、地上放送の場合は送信アンテナ6aと受信機との距離が重要となる。遠距離にある受信機は到達電波が弱くなり、従来の送信機で単に多値QAM変調した信号では全く復調できず番組を視聴することはできない。
しかし本発明の伝送装置を用いた場合、図37のように遠距離にアンテナ22aがある第1受信機23は変形64QMA変調信号もしくは変形16QAM変調信号を受信して4PSKモードで復調し第1データ列のD1信号を再生するのでNTSCのTV信号が得られる。従って電波が弱くても中解像度でTV番組を視聴できる。
次に中距離にアンテナ32aがある第2受信機33では到達電波が充分強いため変形16または64QAM信号から第2データ列と第1データ列を復調できHDTV信号が得られる。従って同じTV番組をHDTVで視聴できる。
一方、近距離にあるか超高感度のアンテナ42aをもつ第3受信機43は電波が変形64QAM信号の復調に充分な強度であるため第1、2、3、データ列D1,D2,D3を復調し超高解像度HDTV信号が得られる。同じTV番組を大型映画と同じ画質のスーパーHDTVで視聴できる。
この場合の周波数の配置方法は図34、図35、図36の図を用いて時間多重配置を周波数配置に読み代えることにより説明できる。図34のように1から6チャンネルまで周波数がわり割当られている場合D1信号にNTSCのL1を第1チャンネルに、D2信号の第1チャンネルのM1にHDTVの差分情報を、D3信号の第1チャンネルのH1に超高解像度HDTVの差分情報を配置することによりNTSCとHDTVと超解像度HDTVを同一のチャンネルで送信することができる。また図35、図36のように他のチャンネルのD2信号やD3信号を使用することが許可されれば、より高画質のHDTVや超高解像度HDTVが放送できる。
以上のように互いに両立性のある3つのデジタルTV地上放送を1つのチャンネルもしくは他のチャンネルのD2,D3信号領域を使用して放送できるという効果がある。本発明の場合、同じチャンネルで同じ内容のTV番組を中解像度であれば、より広範囲の地域で受信できるという効果がある。
デジタル地上放送として16QAMを用いた6MHzの帯域のHDTV放送等が提案されている。しかしこれらの方式はNTSCとの両立性がないため同じ番組をNTSCの別チャンネルで送信するサイマルキャスト方式の採用が前提となっている。また16QAMの場合、伝送できるサービスエリアが狭くなることが予想されている。本発明を地上放送に用いることにより別にチャンネルを設ける必要がなくなるだけでなく、遠距離の受信機でも中解像度で番組を視聴できるため放送サービスエリアが広いという効果がある。
図52は従来提案されている方式のHDTVのデジタル地上放送時の受信妨害領域図を示すもので、従来提案されている方式を用いたHDTVのデジタル放送局701からHDTVの受信できる受信可能領域702と隣接するアナログ放送局711の受信可能領域712を示している。両者の重複する重複部713においてはアナログ放送局711の電波妨害により、少なくともHDTVを安定して受信することができなくなる。
次に図53は本発明による階層型の放送方式を用いた場合の受信妨害領域図を示す。本発明は従来方式と同一の送信電力の場合、電力利用効率が低いため、HDTVの高解像度受信可能領域703は上述の従来方式の受信可能領域702より若干狭くなる。しかし、従来方式の受信可能領域702より広い範囲のデジタルNTSC等の低解像度受信可能領域704が存在する。以上の2つの領域から構成される。この場合のデジタル放送局701からアナログ放送局711への電波妨害は図52で示した従来方式と同レベルである。
この場合、本発明ではアナログ放送局711からのデジタル放送局701への妨害は3つの領域が存在する。1つはHDTVもNTSCも受信できない第1妨害領域705である。第2は妨害を受けるもののNTSCを妨害前と同様に受信できる第2妨害領域706で一重斜線で示す。ここではNTSCはC/Nが低くても受信可能な第1データ列を使用しているためアナログ局711の電波妨害によりC/Nが低下しても妨害の影響範囲は狭い。
第3は妨害前はHDTVが受信できていたが妨害後はNTSCのみ受信できる第3妨害領域707で2重斜線で示す。
以上のようにして従来方式より妨害前のHDTVの受信領域は若干狭くなるが、NTSCを含めた受信範囲は広くなる。さらにアナログ放送局711からの妨害により従来方式ではHDTVが妨害により受信できなかった領域においてもHDTVと同一の番組をNTSCで受信可能となる。こうして番組の受信不能領域が大巾に削減するという効果がある。この場合、放送局の送信電力を若干増やすことにより、HDTVの受信可能領域は従来方式と同等になる。さらに従来方式では全く番組を視聴できなかった遠方地域や、アナログ局との重複地域において、NTSCTVの品位で番組が受信できる。
また2階層の伝送方式を用いた例を示したが、図78の時間配置図のように3階層の伝送方式を用いることもできる。HDTVをHDTV、NTSC、低解像度NTSCの3つのレベルの画像に分離し、送信することにより、図53の受信可能領域は2層から3層に広がり最外層は広い領域となるとともに2階層伝送では全く受信不可能であった第1妨害領域705では低解像度NTSCTVの品位で番組が受信可能となる。以上はデジタル放送局がアナログ放送に妨害を与える例を示した。
次にデジタル放送がアナログ放送に妨害を与えないという規制条件のもとにおける実施例を示す。現在米国等で検討されている空きチャンネルを利用する方式は、隣接して同じチャンネルを使用する。このため後から放送するデジタル放送は既存のアナログ放送に妨害を与えてはならない。従ってデジタル放送の送信レベルを図53の条件で送信する場合より下げる必要がある。この場合、従来方式の16QAMや4ASK変調の場合、図54の妨害状態図に示すように二重斜線で示した受信不能領域713が大きいためHDTVの受信可能領域708は大巾に小さくなってしまう。サービスエリアが狭くなり、その分受信者が減るためスポンサーが減る。従って従来方式では放送事業が経済的に成立しにくいことが予想されている。
次に図55に本発明の放送方式を用いた場合を示す。HDTVの高解像度受信可能領域703は、従来方式の受信可能領域708より若干狭くなる。しかし、従来方式より広い範囲のNTSC等の低解像度受信可能領域704が得られる。一重斜線で示す部分は、同一番組をHDTVレベルでは受信できないが、NTSCレベルで受信できる領域を示す。このうち第1妨害領域705においてアナログ放送局711からの妨害を受け、HDTVも、NTSCも両方受信できない。
以上のように同じ電波強度の場合、本発明の階層型放送ではHDTV品位の受信可能地域は若干狭くなる一方で、同一番組をNTSCTVの品位で受信できる地域が増える。このため放送局のサービスエリアが増えるという効果がある。より多くの受信者に番組を提供できる効果がある。HDTV/NTSCTVの放送事業を、より経済的に安定して成立させることができる。将来デジタル放送受信機の比率が増えた段階ではアナログ放送への妨害規則は緩和されるため電波強度を強くすることができる。この時点でHDTVのサービスエリアを大きくすることができる。この場合、第1データ列と第2データ列の信号点の間隔を調整することにより図55で示したデジタルHDTVINTSCの受信可能地域とデジタルNTSCの受信可能地域を調整することができる。この場合、前述のように第1データ列に、この間隔の情報を送信することにより、より安定して受信ができる。
図56は、将来デジタル放送に切り替えた場合の妨害状況図を示す。この場合、図52と違い隣接局はデジタル放送を行うデジタル放送局701aとなる。送信電力を増やすことができるため、HDTV等の高解像度受信可能領域703はアナログTV放送と同等の受信可能領域702まで拡大できる。
そして両方の受信可能領域の競合領域714では互いに妨害を受けるため通常の指向性のアンテナでは番組をHDTVの品位では再生できないが、受信アンテナの指向性の方向にあるデジタル放送局の番組をNTSCTVの品位で受信できる。また非常に高い指向性のアンテナを用いた場合アンテナの指向性方向にある放送局の番組をHDTVの品位で受信できる。低解像度受信可能領域704は、アナログTV放送の標準の受信可能領域702より広くなり、隣接の放送局の低解像度受信可能領域704aの競合領域715、716ではアンテナの指向性の方向にある放送局の番組がNTSCTVの品位で再生できる。
さて、かなり将来のデジタル放送の本格普及時期においては規制条件がさらに緩和され、本発明の階層型の多値放送により広いサービスエリアのHDTV放送が可能となる。この時点においても、本発明の階層型の多値放送方式を採用するにより従来方式と同程及の広い範囲のHDTV受信範囲を確保するとともに従来方式では受信不可能であった遠方地域や競合地域においてもNTSCTVの品位で番組が受信できるため、サービスエリアの欠損部が大巾に減少するという効果がある。
(実施例5)
実施例5は本発明を振巾変調つまりASK方式に用いた場合の実施例である
図57は実施例5の4値のVSB−ASK信号信号点配置図を示し、4つの信号点721、722、723、724をもつ。図68(a)は8値のVSB信号のConstellationを示す。4値の場合2bitのデータ、8値の場合4bitのデータを1周期で送ることができる。4VSBの場合、信号点721、722、723、724を例えば00、01、10、11に対応させることができる。
本発明による多値型伝送を行うために、図58の4levelVSB等の4levelASKの信号点配置図に示すように、信号点721、722を1つのグループつまり第1の信号点群725として扱い、信号点723、724を別のグループ、第2の信号点群726と定義する。そして2つの信号点群の間の間隔を等間隔の信号点の間隔より広くする。つまり信号点721、722の間隔をLとすると信号点723、724の間隔は同じLで良いが、信号点722と信号点723の間隔LoはLより大きく設定する。
つまり Lo>L
と設定する。これが本発明の階層型の多値伝送システムの特徴である。ただしシステムの設計によっては条件や設定により一時的もしくは恒久的にL=Loに なって も良い。8値のVSBの場合、図68(a)(b)のようなConst ellationとなる。
そして図59(a)のように2つの信号点群に第1データ列D1の1bitの データを対応させることができる。例えば第1の信号点群725を0、第2の信号点群726を1と定義すれば、第1データ列の1bitの信号が定義できる。次に第2データ列D2の1bitの信号を各信号群の中の2つの信号点群に対応 させる。例えば、図59(b)のように信号点721、723をD2=0とし、 信号点722、724をD2=1とすれば第2データ列D2のデータを定義できる。この場合も2bit/シンボルとなる。
このように信号点を配置することにより、ASK方式で本発明の多値伝送が可能となる。階層型の多値伝送システムは信号対雑音比つまりC/N値が充分高い時は従来の等間隔信号点方式と変わりはない。しかし、C/N値が低い場合、従来方式では全くデーターを再生できない条件においても本発明を用いることにより第2データ列D2は再生できなくなるが、第1データ列D1は再生できる。これを説明するとC/Nが悪くなった状態は図60の4VSB−ASKの信号点配置図のように示せる。つまり受信機で再生した信号点はノイズや伝送歪等により、分散信号点領域721a722a、723a、724aの広い範囲にガウス分布状に分散する。このような場合、4値のスライサーによるスライスレベル2による信号点721と信号点722の区別や、スライスレベル4による信号点723と信号点724の区別が難しくなる。つまり第2データ列D2のエラーレートが 非常に高くなる。しかし図から明らかなよ うに信号点721,722のグルー プと信号点723,724のグループとの区別は容易である。つまり第1の信号点群725と第2の信号点群726との区別ができる。このため、第1データ列D1は低いエラーレートで再生できることに なる。
こうして2つの階層のデータ列D1とD2が送受信できる。従って伝送システムのC/Nの良い状態及び地域では第1データ列D1と第2列D2の両方がC/Nの悪い状態及び地域では第1データ列D1のみが再生される多値型伝送ができると いう効果がある。
図61は送信機741のブロック図で入力部742は第1データ列入力部743と第2データ列入力部744から構成される。搬送波発生器64からの搬送波は入力部742からの信号を処理部745でまとめた入力信号により乗算器746において振巾変調され、図62(a)のような4値もしくは8値のASK信号となる。4ASKもしくは8ASK信号は、さらにバンドパスフィルタ747により帯域制限され、図62(b)のようにCarrierが少し残留したSide BandをもつVestigial Side BandつまりVSB信号のASK信号となり 出力部748から出力される。
ここでフィルタを通過した後の出力波形について述べる。図62(a)はASK 変調信号の周波数分布図である。図のようにキャリアの両側に側波帯がある。この信号をフィルタ747のバンドパスフィルタ図62(b)の送信信号749のよ うにキャリア成分を少し残して片側の側波帯を取り去る。これをVSB信号というが、f0を変調周波数帯域とすると、約f0/2の周波数帯域で送信できるため、周波数利用効率が良いことが知られている。図60のASK信号は元来2bit/シンボルであるがVSB方式を用いると4VSBと8VSBは同一周波数帯域で16QAM、32QAMの4bit/シンボルの5bit/シンボルに相当する情報量が伝送できる。
次に図63のブロック図で示すVSB受信機751では地上のアンテナ32aで受けた信号は入力部752を経て、チャンネル選択により可変する可変発振器754からの信号と、混合器753において混合され、低い中間周波数に変換される。次に検波器755において検波され、LPF756によりベースバンド信号となり4VSBの場合は4levelのSlicer、8VSBの場合は8levelのSlicerをもつ識別再生器757により第1データ列D1と第2 データ列D2が再生され第1データ列出力部758と第2データ列出力部759 から出力される。
次にこの送信機と受信機を用いてTV信号を送る場合を説明する。図64は映像信号送信機774のブロック図である。HDTV信号等の高解像度TV信号は第1画像エンコーダー401の入力部403に入力し、サブバンドフィルター等の映像の分離回路404により、HLVL,HLVH,HHVL,HHHH等の高域TV信号と低域TV信号に分離される。この内容は実施例3で図30を用いて説明したので詳しい説明は省略する。分離されたTV信号は圧縮部405において、MPEG等で用いられているDPCMDCT可変長符号化や等の手法を用いて符号化される。動き補償は入力部403において処理される。圧縮された4つの画像データは合成器771によって第1データ列D1と第2データ列D2の2つのデータ列となる。この場合HLVL信号つまり低域の画像信号は第1データ列に含まれる。送信機の741の第1データ列入力部743と第2データ列入力部744に入力され振巾変調を受け、VSB等のASK信号となり、地上アンテナから放送される。
このデジタルTV放送のTV受信機全体のブロック図が図65である。地上アンテナ32aで受信した放送信号はTV受信機781の中の受信機751の入力部752に入力され、検波復調部760により受信者が希望する任意のチャンネルの信号が選局され復調され、第1データ列D1と第2データ列D2が再生され第1データ列出力部758と第2データ列出力部759から出力される。詳しい説明は重なるため省く。D1,D2信号は分離部776に入力される。D1信号は分 離器777により分離されHLVL圧縮成分は第1入力部521に入力される。他方は合成器778によりD2信号と合成され第2入力部531に入力される。第 2画像デコーダにおいて第1入力部521に入ったHLVL圧縮信号は、第1伸長部523によりHLVL信号に伸長され画像合成部548と画面比率変更回路779に送られる。元のTV信号がHDTV信号の場合、HLVL信号はワイドのNTSC信号になり、元の信号がNTSC信号の場合、MPEG1のようなNTSCより品位が低い低解像度TV信号になる。
この説明では元の映像信号をHDTV信号と設定しているため、HLVL信号はワイドNTSCのTV信号となる。TVの画面アスペクト比が16:9であれば16:9の画面比率のまま出力部780を介して映像出力426として出力する。もし、TVの画面アスペクト比が4:3であれば、画面比率変更回路779により16:9から4:3の画面アスペクト比のレターボックス形式かサイドパネル形式に変更して出力部780を介して映像出力425として出力する。
一方、第2データ列出力部759からの第2データ列D2は、分離部776の 合成器778において分離器777の信号と合成され、第2画像デコーダの第2入力部531に入力され、分離回路531によりHLVH、HHVL、HHVHの圧縮信号に分離されて各々第2伸張部535、第3伸長部536、第4伸長部に送られ、伸長されて元のHLVH、HHVL、HHVH信号となる。これらの信号にHLVL信号を加え、画像合成部548に入力され、合成されて1つのHDTV信号となり出力部546より出力され、出力部780を介してHDTVの映像信号427として出力される。
この出力部780は第2データ列出力部759の第2データ列の誤まり率を誤まり率検知部782で検知し、エラーレートが高い状態が一定時間続いた場合は一定時間自動的にHLVL信号の低解像度の映像信号を出力させたり、映像出力を停止させたり、フィルタを作動させたり、同期を回復させたり等のシステムのコントロール命令を出す。
以上のようにして、階層型放送の送信、受信が可能となる。伝送条件が良い場合、例えばTV送信アンテナが近い放送に対しては、第1データ列と第2データ列の両方が再生できるので、HDTVの品位で番組を受信できる。また送信アンテナとの距離が遠い放送に対しては、第1データ列を再生し、このVLHL信号から低解像度のTV信号を出力する。このことにより、HDTVの品位もしくはNTSCTVの品位で同一番組をより広い地域で受信できるという効果がある。
また図66のTV受信機のブロック図のように第1データ列出力部768だけに受信機751の機能を縮小すると受信機は第2データ列およびHDTV信号を扱わなくてもよくなるため、構成が大巾には簡略化できる。画像デコーダーは図31で説明した第1画像デコーダ421を用いればよい。この場合NTSCTVの品位の画像が得られる。HDTVの品位では番組を受信できないが受信機のコストは大巾に安くなる。従って広く普及する可能性がある。このシステムでは従来のTVディスプレイをもつ多くの受信システムを変更しないでアダプターとして追加することにより、デジタルTV放送が受信できるという効果がある。
なお、図66に示すようにスクランブルをかけた4VSB,8VSB信号を受信する場合、4VSB,8VSB信号で送信されるスクランブル解除信号とデスクランブラー502の中のDescramble番号メモリー502cの番号をDescramble番号照合器502bにより照合し、一致している場合のみDescrambleを解除することにより特定のスクランブル番組のスクランブルを正当に解除することができる。
図67のような構成にするとPSK信号を復調する衛星放送受信機とVSB信号を復調する地上放送受信機の機能をもつ受信機を簡単に構成できる。この場合、衛星アンテナ32から受信したPSK信号は発振器787からの信号と混合器786において混合され、低い周波数に変換されTV受信機781の入力部34に入力され、図63で説明した混合器753に入力される。衛星TV放送の特定のチャンネルの低い周波数に変換されたPSK、もしくはQAM信号は復調部35によりデータ列D1、D2が復調され、分離部788を介して第2画像エンコーダ422により、画像信号として再生され、出力部780より出力される。一方、地上用のアンテナ32aにより受信されたデジタル地上放送とアナログ放送は、入力部752に入力され図63で説明したのと同じプロセスで混合器753により特定のチャンネルが選択され、検波され、低域のみのベースバンド信号となる。アナログ衛星TV放送に混合器753に入り復調される。デジタル放送の場合は、識別再生器757によりデータ列D1とD2が再生され第2画像デコーダ422により映像信号が再生され、出力される。また地上と衛星のアナログTV放送を受信する場合は映像復調部788によりAM復調されたアナログTV信号が出力部780より出力される。図67の構成をとると混合器753が衛星放送と地上放送で共用できる。また第2画像デコーダ422も共用できる。又、デジタル地上放送でASK信号を用いた場合、AM復調のため従来のアナログ放送と同様の検波器755とLPF756等の受信回路を兼用できる。以上のように図67の構成にすると大巾に受信回路を共用化し、回路を削減するという効果がある。
また、実施例では4値のASK信号を2つのグループに分け、D1、D2の2層の各1bitの多値伝送を行った。しかし、図68(a)(b)の8VSB信号のConstellation図に示す、8値のASK信号つまり8level−VSBを用いるとD1、D2、D3の3層の各1bitの合計3bit/sym bolの多値伝送を行うことができる 。図68(a)に示すように、まず1b it目の符号のつけ方を説明すると、D3信号の信号点は信号点721aと72 1b、722aと722 b、723aと723b、724aと724bの2値つまり1bitである。次に次の1bitの符号化を説明すると、D2の信号点は 信号点群721と722、信号点群723と724の2値の1 bitである。 D3のデータは大信号点群725と726の2値の1bitとな る。この場合、図57の4つの信号点721、722、723、724を各2ヶの信号点721aと721b、722aと722b、723aと723b、724aと724bに分離し、各グループの間の距離を離すことにより最大3層の階層型の多値伝送が可能となる。前述のようにL=L0にすることもできる。
この3層の多値伝送システムを用いて3層等のデジタルHDTVの映像伝送を行うことは実施例3と実施例4で説明したもので動作の詳しい説明は省略する。
ここで、図68の8値のVSBによるTV放送を行うことによる効果について述べる。8VSBは伝送情報量が多い反面、同じC/N値に対するエラーレートは4VSBより高い。しかし高画質のHDTV放送を行う場合、伝送容量に余裕があるためエラー訂正符号が多く入るため、エラーレートを下げたり、また将来階層型のTV放送が可能となるという効果がある。
ここで4VSBと8VSBと16VSBの効果について比較しながら述べる。 NTSCやPALの周波数帯を用いて地上放送を行う場合、図136に示したようにNTSCの場合6MHzの帯域制限があり約5MHzの実質的な伝送帯域が許される。4VSBの場合、周波数利用効率は4bit/Hzであるため、実質的に5MHz×4=20Mbpsのデータ伝送容量がある。一方、デジタルHDTV信号の伝送には少なくとも15Mbps〜18Mbps必要である。このため、4−VSBではデータ容量に余裕がないため、図169の比較図に示すように誤り訂正符号のための冗長度をHDTVの実質伝送量の10〜20%しかとれない。
次に8−VSBの場合、周波数利用効率は6bit/HZであるため5MHz×6=30Mbpsのデータ伝送容量が得られる。上述のようにHDTV信号の伝送には15〜18MHz必要であるが、8VSB変調方式の場合、図169に示すようにHDTV信号の実質伝送量の50%以上の情報量を誤り訂正の符号に用いることができる。従って、同じデータレートのHDTVデジタル信号を6MHzの帯域で地上放送するという条件のもとでは、8VSBの方がより大容量の誤り訂正符号を付加できるため、図161のエラーレートカーブ805と806に示すように、伝送系の同じC/N値に対して、エラー訂正のCode Gainを高くしたTCM−8VSBの方がエラー訂正後のエラーレートがエラー訂正のCode Gainの低い4VSBより低くなる。従って、High coda gainでエラー符号化された8VSBの方が4VSBより、TV地上放送におけるサービスエリアが拡がるという効果がある。確かに8VSBの方が誤り訂正回路の増大により、受信機の回路がより複雑になる欠点がある。しかしVSB・ASK方式は、振巾変調方式のため、位相成分を含むQAM変調方式に比べて、元々受信機のEqualizerの回路規模が大巾に小さい。このため誤り訂正回路を追加しても、全体の回路規模は8VSB方式の方が32QAM方式に比べて大きくならない。従って、8VSB方式により、サービスエリアが広く、全体の回路規模の適切なデジタルHDTV受信機が実現する。
なお、具体的な誤り訂正方式の例としては、後の実施例5等で説明するが、図84や実施例6の図131、図137、図156、図157の送受信機のブロック図のECC744aとTrellis Encoder744bを用い、図61で説明した4VSB、8VSB、16VSBのVSBの変調部749を用いて送信する。受信機側としては、図63を用いて説明したVSBの復調部760を用いて4VSBもしくは8VSBもしくは16VSB信号から4、8、16値のlevel slicer757によりデジタルデータを再生し、同じく後の実施例5等で説明する図84、実施例6の図131、図137、図156、図157のTrellis Decoder759bとECC Decoder759aにより、誤り訂正をした後、画像デコータ402の画像伸長器により、デジタルHDTV信号を再生し、出力する。
ECC Encoder744aは実施例6で説明する図160(a)、(b)に示すように、Reed solomon Encoder744jとInterleaver744kを用い、ECC Decoder759aにはDeInterleaver759kとReed solomon Decoder759jを用いる。前の実施例で述べたようにInterleaveをかけることにより、バーストエラーに強くなる。
図128(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示すTrellis encoderを採用することによりさらにCode Gainを上げることができ、エラーレートが下がる。8VSBの場合図172に示すようにRatio2/3のTrellis encoder744b,decoder759bが適用できる。
実施例では、主に階層型のデジタルTV信号を伝送する例を用いて説明した。階層型の場合、理想的な放送ができるが、画像圧縮回路や変復調器の回路が複雑になるため、放送開始時にはコストの点で好ましくない。実施例5の冒頭に述べたように4VSBや8VSBの信号点間隔L=L0つまり等間隔にして、非階層 型のTV伝送を行い、図137を図157に示すような、簡単な構成にすることにより、回路の簡単なTVの放送システムが実現する。そして、普及した段階で8VSBの階層型伝送に切り換えればよい。
さて、以上4VSBと8VSBについて説明したが、図159(a)〜(d)では16VSBと32VSBについて説明する。図159(a)は16VSBのConstellationを示す。図159(b)は2つの信号点のグループ722a〜722hにグループ化し、8つの信号点とみなすことにより、8VSBとして扱えるため2層の階層型の多値伝送が実現する。この場合Time Division Maltiplexで、間欠的に8VSB信号を送っても階層型伝送が実現する。但し、この方式では最大データレートが2/3になる。図157(c)はさらに4つのグループ723a〜723dとし、4VSBとして扱うためさらに1層階層が増える。この場合も、Time Division Maltiplexで間欠的に4VSB信号を送っても、最大データレートが下がるが階層型伝送が実現する。以上により、3層の階層型VSBが実現する。
この方式により、16VSBのC/Nが悪くなった時8VSB、もしくは4VSBのデータが再生できるという階層型伝送が実現する。また図159(d)のように16VSBの信号点を2倍にすることにより、32VSBが伝送できる。将来16VSBの容量を拡大したい場合、この方式により、互換性を保ちながら5bit/symbolのデータ容量が得られるという効果がある。
これまで述べたことをまとめると、図161のVSB受信機のブロック図に示す受信機と図162のVSB送信機のブロック図に示す送信機の構成となる。
主に4−VSBと8−VSBを用いて説明したが、図159(a)(b)(c)のような16VSBを用いて伝送することもできる。16VSBの場合は地上放送を行う場合6MHzの帯域で、40Mbpsの伝送容量がとれる。しかしHDTVデジタル圧縮信号のデータレートは、MPEG規格を用いた場合15〜18Mbpsとなるため、伝送容量の余裕が大きくなりすぎる。図169に示すようにRedundancy:R16=100%以上となり、1チャンネルのデジタルHDTVを伝送するには冗長度が大きくなりすぎて回路が複雑になるだけで、8VSBに対して効果が少ない。そして2チャンネルのHDTVの地上放送をするには16VSBであると冗長度は4VSBと同じで10b程度しかとれないため充分な誤り訂正符号をいれることができないため、サービスエリアが狭くなる。前述のように4−VSBではRedundancy:R4=10〜20%で充 分なエラー訂正ができないためサービスエリアを広くとれない。図169から明らかなように、8−VSBのRedundancy:R8=50%で充分なエラ ー訂正符号化ができる。エラー訂正の回路規模もさほど大きくならずにサービスエリアがとれる。従ってデジタルHDTV地上放送を6〜8MHzの帯域制限で行う条件のもとでは、図169から明らかなように、8Level−VSBが最も効果があり最適なVSB変調方式であることがわかる。
さて実施例3では図30のような画像エンコーダ401を説明したが、図30のブロック図は、図69のように書き換えることができる。内容は全く同じであるため説明は省略する。このように、画像エンコーダ401はサブバンドフィルタ等の映像の分離回路404、404aを2つもつ。これらを分離部794とすると、図70の分離部のブロック図に示す。ように1つの分離回路に信号を時分割で2回通すことにより回路を削減できる。これを説明すると、第1サイクルでは入力部403からのHDTVやスーパーHDTVの映像信号は時間軸圧縮回路795により、時間軸を圧縮されて分離回路404により、HHVH−H、HHVL−H、HLVH−H、HLVL+1の4つの成分に分けられる。この場合、スイッチ765、765a、765b、765cは1の位置にあり、圧縮部405に、HHVH−H、HHVL−H、HLVH−Hの3つの信号を出力する。しかし、HLVL−Hの信号はスイッチ765cの出力1から時間軸調整回路795の入力2へ入力し、第2サイクルつまり時分割処理の空き時間に分離回路404に送られ分離処理されHHVH、HHVL、HLVH、HLVLの4つの成分に分けられ出力される。第2サイクルではスイッチ765、765a、765b、765cは出力2の位置に変わるため、4つの成分は圧縮部405へ送られる。このようにして図70の構成をとり時分割処理することにより分離回路が削減できるという効果がある。
次にこのような3層の階層型の画像伝送を行うと受信機側には実施例3の図33のブロック図で説明したような、画像デコーダが必要となる。これを、書き換えると図71のようなブロック図となる。処理能力は違うものの同じ構成の合成器566が2つ存在することになる。
これは図72のような構成をとると図70の分離回路の場合と同様にして1つの合成器で実現できる。図72を説明すると、5つのスイッチ、765a,765b,765c,765dにより、まず、タイミング1において、スイッチ765、765a,765b,765cの入力が1に切り替わる。すると、第1伸長部522、第2伸長部522a,第3伸長部522b,第4伸長部522cから各々HLVL,HLVH,HHVL,HHVHの信号が、スイッチを介して合成器556の対応する入力部に入力され、合成処理されて1つの映像信号となる。この映像信号はスイッチ765dに送られ出力1より出力し再びスイッチ765cの入力2に送られる。この映像信号はもともと、高解像度映像信号を分割したHLVL−H成分の信号である。次のタイミング2において、スイッチ765、765a,765b,765cは入力2に切替わる。こうして、今度はHHVH−H,HHVL−H,HLVH−HそしてHLVL−H信号が合成器556に送られ、合成処理されて1つの映像信号が得られる。この映像信号はスイッチ765dの出力2より出力部554から出力される。
このようにして、3層の階層型放送を受信する場合時分割処理により2ケの合成器を1ケに削減するという効果がある。
さて、この方式は、まずタイミング1においてHHVH,HHVL,HLVH,HLVL信号を入力させ、HLVL−H信号を合成させる。その後、タイミング1と別の期間タイミング2において、HHVH−H,HHVL−H,HLVH−Hと上記のHLVL−H信号を入力させ、最終の映像信号を得るという手順をとっている。従って、2つのグループの信号のタイミングをずらす必要がある。
もし、もともと、入力した信号の上記成分のタイミングの順序が違っていたり重複している場合は時間的に分離するためスイッチ765、765a,765b,765cにメモリを設け蓄積し、時間軸を調整することが必要となる。しかし送信機の送信信号を図73のようにタイミング1とタイミング2に時間的に分離して送信することにより、受信機側に時間軸調整回路が不要となる。従って、受信機の構成が簡単になるという効果がある。
図73の時間配置図のD1は送信信号の第1データ列D1を示し、タイミング1の期間中にDチャンネルでHLVL,HLVH,HHVL,HHVH信号を送り、タイミング2の期間にD2チャンネルでHLVH−H,HHVL−H,HHVH−Hを送る場合の信号の時間配置を示している。このようにして時間的に分離して送信信号を送ることにより、受信機のエコンコーダの回路構成を削除するという効果がある。
次に受信機の伸長部の数が多い。これらの数を削減する方法について述べる。図74(b)は送信信号のデータ810、810a,810b,810cの時間配置図を示す。この図において、データの間に別データ811,810a,811b,811cを送信する。すると、目的とする送信データは間欠的に送られてくることになる。すると、図74(a)のブロック図に示す第2画像エンコーダ422はデータ列D1を第1入力部521とスイッチ812を介して次々と伸長部503に入力する。例えば、データ810の入力完了後は別データ811の時間中に伸長処理を行い、データ810の処理修了後、次のデータ810aが入力することになる。こうすることにより、合成器の場合と同様の手法で時分割で1つの伸長部503を共用することができる。こうして、伸長部の総数を減らすことができる。
図75はHDTVを送信する場合の時間配置図である。例えば放送番組の第1チャンネルのNTSC成分に相当するHLVL信号をHLVL(1)とすると、これをD1信号の太線で示すデータ821の位置に時間配置する。第1チャンネルのHDTV付加成分に相当するHLVH,HHVL,HHVH信号はD2信号のデータ821a,821b,821cの位置に配置する。すると第1チャンネルの全てのデータの間には別のTV番組の情報である別データ822,822a,822b,822cが存在するため、この期間中に伸長部の伸長処理が可能となる。こうして1つの伸長部で全ての成分を処理できる。この方式は伸長器の処理が速い場合に適用できる。
また、図76のようにD1信号に、データ821,821a,821b,821cを配置しても同様の効果が得られる。通常の4PSKや4ASKのように階層がない伝送を用いて送受信する場合に有効である。
図77は、例えばNTSCとHDTVと高解像度HDTVもしくは、低解像度NTSCとNTSCとHDTVのような3層の映像を物理的に2層の階層伝送方式を用いて階層型の多値放送を行う場合の時間配置図を示す。例えば、低解像度NTSCとNTSCとHDTVの3層の映像を放送する場合D1信号には低解像NTSC信号に相当するHLVL信号がデータ821に配置されている。又、NTSCの分離信号であるHLVH,HHVL,HHVHの各成分の信号はデータ821a,821b,821cの位置に配置されている。HDTVの分離信号であるHL VH−H,HHVL−H,HHVH−H信号はデータ823,823a,823bに 配置されている。
ここでは、図156や図170のブロック図に示すように、実施例2で説明したエラー訂正能力の差別化による論理的な階層伝送を4VSBや8VSBや16VSBに追加している。具体的にはHLDLはD1信号の中のD1-1チャンネルを用いている。D1-1チャンネルは実施例2で述べたようにD1-2チャンネルより大巾に訂正能力の高い誤り訂正方式を採用している。D1-1チャンネルはD1-2チャンネルに比べて冗長度は高いが再生後のエラーレートは低いため、他のデータ821a,821b,821cよりC/N値の低い条件においても再生できる。このためアンテナから遠い地域や自動車の車内等の受信条件の悪い場合においても低解像度のNTSCTVの品位で番組を再生することができる。実施例2で述べたようにエラーレートの観点でみた場合、D1信号の中のD1-1チャンネルにあるデ ータ 821はD1-2チャンネルにある他のデータ821a,821b,821cより受信妨害に強く、差別化されており論理的な階層が異なる。実施例2で述 べたようにD1,D2の階層は物理的階層といえ、このエラー訂正符号間距離の差別化による階層構造は論理的な階層構造といえる。
さて、D2信号の復調には物理的にD1信号より高いC/N値を必要とする。従って、遠隔地等のC/N値の一番低い受信条件では,HLVL信号つまり、低解像度NTSC信号が再生される。そして、C/N値が次に低い受信条件では加えてHLVH,HHVL,HHVHが再生され、NTSC信号が再生できる。さらにC/N値の高い受信条件ではHLVLに加えてHLVH−H,HHVL−H,HHVH−Hも再生されるためHDTV信号が再生される。こうして3つの階層の放送ができる。この方式を用いることにより図53で説明した受信可能領域は図90の受信妨害領域図に示すように2層から3層に拡大し、より番組受信可能領域が拡がる。
ここで図78は図77の時間配置の場合の第3画像デコーダのブロック図を示す。基本的には図72のブロック図からD3信号の第3入力部551を省いた構成に図74(a)のブロック図の構成を加えた構成になっている。
動作を説明するとタイミング1において入力部521よりD1信号が、入力部530よりD2信号が入力される。HLVH等の各成分は時間的に分離されているためこれらはスイッチ812により伸長部503に順次、独立して送られる。この順序を図77の時間配置図を用いて説明する。まず、第1チャンネルのHLVLの圧縮信号が伸長部503に入り、伸長処理される。次に第1チャンネルのHL VH,HHVL,HHVHが伸長処理され、スイッチ812aを介して、合成器55 6の所定の入力部に入力され、合成処理され、まずHLVL−H信号が合成される。この信号はスイッチ765aの出力1からスイッチ765の入力2に入力され、合成器556のHLVL入力部に入力される。
次にタイミング2において、図77の時間配置図に示すようにD2信号のHL VH−H,HHVL−H,HHVH−H信号が入力され伸長部503により伸長され 、スイッチ812aを介して各信号が合成器556の所定の入力に入力され、合成処理されHDTV信号が出力される。このHDTV信号はスイッチ765aの出力2より出力部521を介してHDTV信号が出力される。上述のように図77の時間配置により送信することにより受信機の伸長部と合成器の数を大巾に削減するという効果がある。なお、図77は時間配置図ではD1,D2信号の2つの段階を用いたが、前述のD3信号を用いると、高解像度HDTVを加え4つの階層のTV放送ができる。
図79はD1,D2,D3の3層の物理階層を用いた3つの階層の映像を放送する階層型放送の時間配置図である。図から明かなように同一TVチャンネルの各成分は時間的に重複しないように配置してある。又、図80は図78のブロック図で説明した受信機に第3入力部521aを加えた受信機である。図79の時間配置により放送することにより、図80のブロック図で示すような簡単な構成で受信機が構成できるという効果がある。
動作は、図77の時間配置図、図78のブロック図とほぼ同じである。このため説明は省略する。又、図81の時間配置図のようにD1信号に全ての信号を時間多重することもできる。この場合、データ821と別データ822の2つのデータはデータ821a,812b,821cに比べてエラー訂正能力を高めてある。このため、他のデータに比べて階層が高くなっている。前述のように物理的には一層であるが論理的には2層の階層伝送となっている。又、番組チャンネル1のデータの間に別の番組チャンネル2の別データが括入されている。このため、受信機側でシリアル処理が可能となり、図79の時間配置図と同じ効果が得られる。
図81の時間配置図の場合、論理的な階層となっているが、データ821,別データ822の伝送ビットレートを1/2や1/3に落とすことにより、このデータの伝送時のエラーレートが下がるため、物理的な階層伝送をすることもできる。この場合、物理階層は3層となる。
図82は、図81の時間配置図のような、データ列D1信号のみを伝送する場合の画像デコーダ423のブロック図で、図80のブロック図に示す画像デコーダに比べて、より簡単な構成となる。動作は図80で説明した画像デコーダと同じため説明を省略する。
以上のように、図81の時間配置図のような送信信号を送信すると図82のブロック図のように伸長部503合成器556の数を大巾に削減できるという効果がある。又、4つの成分が時間的に分離されて入力されるため、合成器556つまり図32の画像合成部548の内部の回路ブロックを入力する画像成分に応じて接続変更により、いくつかのブロックを時分割で共用し回路を省略することもできる。
以上のようにして簡単な構成で受信機が構成できるという効果がある。
なお、実施例5では、ASK変調を用いて動作を説明したが、実施例5で説明した多くの手法は実施例1,2,3で説明したPSKやQAM変調にも使える。
又、これまでの実施例はFSK変調にも使える。
例えば、図83のようにf1,f2,f3,f4の多値のFSK変調を行う場合、実施例5の図58の信号点配置図のようにグループ化を行い、各グループの信号点位置を離すことにより、階層型伝送ができる。
図83において周波数f1,f2の周波数群841をD1=0と定義し、周波 数f3,f4の周波数群842をD1=1と定義する。そして、f1,f3をD2=0,f2,f4をD2=1と定義すると、図に示すように、D1,D2の各1b it、計2bitの階層型伝送が可能となる。例えば、C/Nの高い場合はt=t3において、D1=0,D2=1が再生でき、t=t4においてD1=1,D2=0が再生できる。次にC/Nが低い場合はt=t3においてD1=0のみが,t =t4においてD=1のみが再生できる。こうしてFSKの階層型伝送ができる。実施例3,4,5で説明した映像信号の階層型の放送にこのFSKの階層型の多値伝送方式を用いることもできる。
又、図84のような、ブロック図に示す磁気記録再生装置に本発明の実施例5を用いることもできる。実施例5はASKのため磁気記録再生ができる。
図84は記録装置(Recoder)/送信機(Transmitter)と再生装置(Player)/受信機(Receiver)のブロック図を示す。
図84のブロック図において、送信機1、受信機43の実施例5のVSB−ASK変調方式が送信機1の送信回路5aを記録装置磁気記録信号アンプ857aにおきかえ、受信機43の受信回路24aを磁気再生信号アンプ857bに置きかえることにより、全く同じ構成になる。本文では伝送装置においてはASK信号は全てVSB−ASKであるため、VSB−ASK信号をASK信号と省略して説明する。
図84の動作を説明すると、HDTV信号はVideo encoder401で圧縮された後2つのデータに分けられ、第1データ列はECCエンコーダ743aで誤り符号化され、第2データ列はECC744aで誤り符号化された後、Trellis Encoder744bにより、トレリス符号化されて、VSB−ASKのModulator749に入る。Recoderの場合はOffset Generator856により、Offset信号を加えた上で記録回路853により、磁気テープ855上に記録される。伝送装置のTransmitter1の場合はOffset Generator856によりDCオフセット電圧をASK信号に重畳させてUp converter5aにより送信される。DCオフセットさせることにより受信機43にキャリア再生が容易になる。送信された前述の4VSB,8VSB,16VSBのVSB−ASK信号はアンテナ32bにより受信され受信回路24aを経て、復調器852aに入力される。
一方、記録装置で記録された記録信号は再生ヘッド854aで再生されて再生回路858を経て同じく復調器852bへ送られる。
復調器852bへ入力された信号は復調器852bのフィルタ858aを経て、前述のVSB等のASK復調機852bにより、復調される。復調信号の第1データ列はECCデコーダ758aにより、エラー訂正され、第2データ列はTrellisデコーダ759bとECCデコーダ759aによりエラー訂正される。そしてビデオデコーダ402により、映像信号に伸長されHDTV、TV信号もしくはSDTVの信号が出力される。
Trellis符号化器の追加により回路は複雑になるが、エラーレートが下がり、伝送装置の伝送距離が拡大し、記録再生装置の画質が改善される。この場合、受信機43のFilter858aは、図134に示すようなアナログTV信号のメインキャリアや映像キャリアや音声キャリアを排除するようなフィルタ特性をもった、くし型のFilter760aを用いることにより、アナログTV信号の妨害を排除でき、エラーレートが下がる。この場合、妨害がない時も常にフィルタを入れておくと受信信号が劣化する。これを避けるため図65に示すように、エラーレート検知部782により、アナログTVの妨害により、信号が劣化した場合のみ、アナログTVフィルタ760aをONし、妨害がない時、OFFすることにより、Filterによる信号劣化を防ぐことができる。
また、図84の場合第1データ列と第2データ列のち、第2データ列の方がエラーレートが少ない。従って、第2データ列に図66のデ・スクランブル情報や各画像ブロックのイメージデータのヘッダ情報のような重要なHigh priority(HP)情報を伝送/記録することにより、デ・スクランブルや、各画像ブロックの画像信号再生を安定させることができる。
また図137、図172に示すように8VSBや16VSBの伝送装置において、時間分割された各サブチャンネルのデータ列を、トレリスデコーダーやECCデコーダーの誤り訂正のコードゲインを各サブチャンネルで変え、HighPriority(HP)情報をこのコードゲインの高い方のサブチャンネルで送る。HP情報のエラーレートは低くなるため伝送路においてある程度ノイズが発生し信号が劣化しLowPriority情報(LP)情報が破壊されても、HP情報のデータは破壊されないという効果が得られる。HP情報として前述のデ・スクランブル情報や画像ブロック単位のデータパケットのアドレス等のヘッダー情報を伝送することによりスクランブルの解除が長時間安定し視聴者は安定してスクランブル解除された番組を視聴できる。また各画像ブロックの壊滅的な破壊が防止されるため受信信号が劣化しても全体の画質が劣化するだけで視聴者は、TV番組をある程度の画質で視聴することができるという効果がある。
(実施例6)
第6の実施例により本発明の伝送記録方式を磁気記録再生装置に応用した例を説明する。実施例5では多値伝送のASK伝送方式に本発明を適用した場合を示したが、同じ原理で図173のブロック図に示すような多値のASK記録方式の磁気記録再生装置にも本発明を応用することができる。ASKの他,PSK,FCK,QAMに本発明のC−CDM方式を適用することにより階層型および非階層型の多値の磁気記録が可能となる。前述のように本発明は記録装置、伝送装置の双方に適用できるが、記録装置の例を用いて説明する。
まず、16QAMや32QAMの磁気記録再生装置に本発明のC−CDM方式を適用した例を用いて階層化および多値化する方法を説明する。図84は実施例5で多値のVSB等9ASKを用いた伝送・記録装置について説明したが、この図84のASKをQAMに変えても同じ効果が得られる。図84、図173ではQAMにC−CDMを適用した場合を説明する。以下QAMをC−CDM多重化したものをSRQAMと呼ぶ。なお図137と図154では、本発明を伝送システムに応用した場合を説明する。
図84、図173を説明すると、磁気記録再生装置851は、入力したHDTV等の映像信号を画像エンコーダ401の第1画像エンコーダ401aと第2画像エンコーダ401bにより高域信号と低域信号に分離し圧縮し、入力部742の中の第1データ列入力部743にHLVL成分等の低域映像信号を、第2データ列入力部744にHHVH成分等を含む高域映像信号を入力し、変復調器852 の中の変調部749に入力する。第1データ列入力部743では、エラー訂正コードがECC部73aにおいて低域信号に付加される。一方、第2データ列入力部744に入力された第2データ列は16SRQAM、36SRQAM、64SRQAMの場合、2bit、3bit、4bit、になる。この信号はECC744aにより誤り符号化された後Trellisエンコーダ部744bにより16SR QAM、32SRQAM、64SRQAMの場合、図128(a)(b)(c)に示すTrellis Encoder744bにより、各々1/2,2/3,3/4の比率のTrellis符号化される。例えば64SRQAMの場合、第1データ列は2bitで第2データ列は4bitとなる。このため図128(c)に示すようなTrellis Encoder744bを用い、3bitデータを4bitとしたRatio3/4のTrellis Encodeを行う。4ASK、8ASK、16ASKの場合、単独で1/2、2/3、3/4のトレリスエンコードする。こうして冗長度は上がり、データレートは下がる一方でエラー訂正能力が上がるため同一のデーターレートのエラーレートを下げることができる。このため実質的な記録再生系もしくは伝送系の情報伝送量は増える。実施例5で説明した8VSBの伝送システムの場合、3bit/symbolであるため、図128(b)(e)に示すRatio2/3のTrellis Encoder744g、Trellis Decoder744qを使用でき、全体のブロック図は図171のようになる。但し、Trellis Encodeは回路が複雑になるため、実施例6の図84のブロック図ではエラーレートの元々低い第1データ列には使用していない。第1データ列より第2データ列の方が符号間距離が小さく、エラーレートが悪いが、第2データ列をTrellis符号化することにより、エラーレート が改善される。第1データ列のTrellis符号化回路を省略する構成により、全体の回路がよりシンプルになるという効果がある。変調の動作は実施例5の図64の送信機とほぼ同じであるため詳しい説明は省略する。変調部749で変調された信号は記録再生回路853において、バイアス発生器856によりACバイアスされ増巾器857aにより増巾され磁気へッド854により磁気テープ855上に記録される。
記録信号のフォーマットは図113の記録信号周波数配置図に示すように周波数fcなる搬送波をもつ例えば16SRQAMの主信号859に情報が記録されるとともに、fcの2倍の2fcの周波数をもつパイロットfp信号859aが同 時に記録される。周波数fBIASなるバイアス信号859bにより、ACバイアスを加えて磁気記録されるため記録時の歪が少なくなる。図113に示す3層のうち2層の階層型の多値記録がされているため、記録再生できる閾値はTh−1-2 ,Th−2の2つが存在する。記録再生のC/Nレベルにより信号859なら2層全てが信号859CならD1のみが記録再生される。
主信号に16SRQAMを用いた場合、信号点配置は図10のようになる。又36SRQAMを用いた場合、図100のようになる。4ASK、8ASKを用いた場合、図58、図68(a)(b)のような配置となる。この信号を再生する場合、磁気ヘッド854からは、主信号859とパイロット信号859aが再生され、増巾器857bにより増巾される。この信号より搬送波再生回路858のフィルタ858aにより2foなるパイロット信号fpが周波数分離され、1/2分周器858bによりfoの搬送波が再生され復調部760に送られる。この
再生された搬送波を用いて復調部760において主信号は復調される。この時、HDTV用等の高C/N値の高い磁気記録テープ855を用いた場合、16点の各信号点の弁別しやすくなるため復調部760においてD1とD2の双方が復調される。そして画像デコーダ422により全信号が再生される。HDTVVTRの場合例えば15MbpsのHDTVの高ビットレートのTV信号が再生される。C/N値が低いビデオテープ程、コストは安い。現時点で市販のVHSテープと放送用の高C/N型テープとは10dB以上C/Nの差がある。安価なC/N値の低いビデオテープ855を用いた場合はC/N値が低いため16値や36値の信号点を全て弁別することは難しくなる。このため第1データ列D1は再生できるが第2データ列D2の2bitもしくは3bitもしくは4bitのデータ列は再生できず、第1データ列の2bitのデータ列のみが再生される。2層の階層型のHDTV画像信号を記録再生した場合、低C/Nテープでは高域画像信号は再生されないため第1データ列の低レートの低域画像信号、具体的には例えば7MbpsのワイドNTSCのTV信号が出力される。
また図114のブロック図に示すように第2データ列出力部759と第2データ列入力部744と第2画像デコーダ422aを省略し、第1データ列D1のみ を変復調する変形QPSK等の変調器をもつ低ビットレート専用の記録再生装置851も一つの製品形態として設定できる。この装置は第1データ列のみの記録再生が行える。つまりワイドNTSCグレードの画像信号を記録再生できる。上述のHDTV信号等の高ビットレートの信号が記録された高いC/N値を出力するビデオテープ855をこの低ビットレート専用の磁気記録再生装置で再生した場合、第1データ列のD1信号のみが再生され、ワイドNTSC信号が出力され、第2データ列は再生されない。つまり同じ階層型のHDTV信号が記録されたビデオテープ855を再生した場合、一方の複雑な構成の記録再生装置ではHDTV信号、一方の簡単な構成の記録再生装置ではワイドNTSCTV信号が再生できる。つまり2層の階層の場合異なるC/N値をもつテープと異なる記録再生データレートをもつ機種の間で4つの組み合わせの完全互換性が実現するという大きな効果がある。この場合、HDTV専用機に比べてNTSC専用機は著しく簡単な構成になる。具体的には例えばEDTVのデコーダの回路規模はHDTVのデコーダ比べて1/6になる。従って低機能機は大巾に低いコストで実現できる。このようにHDTVとEDTVの画質の記録再生能力が異なる2つのタイプの記録再生装置を実現できるため巾広い価格帯の機種が設定できるという効果がある。また使用者も高価格のC/Nの高いテープから低価格の低C/Nのテープまで、要求画質に応じてその都度自由にテープを選択できる。このように互換性を完全に保ちながら拡張性が得られるとともに将来との互換性も確保できる。従って将来も陳腐化しない記録再生装置の規格が実現することも可能となる。この他の記録方法としては実施例1、3で説明した位相変調による階層記録もできる。
実施例5で説明したASKによる記録もできる。現在2値の記録を多値にして図59(c)(d)や図68(a)(b)に示すように4値のASKや8値のASKの信号点を2つのグループに分け、2層と3層の階層化できる。
ASKの場合のブロック図は図84と同じである。図173のようになる。TrellisとASKの組み合わせによりエラーレートが下がる。実施例で説明した以外に磁気テープ上の多トラックによる階層型等の多値記録もできる。又、エラー訂正能力を変えて、データを差別化することによる論理的な階層記録もできる。
ここで将来規格との互換性について述べる。通常、VTR等の記録再生装置の規格を設定する場合、現実に入手できる最も高いC/Nのテープを用いて規格が定められる。テープの記録特性は日進月歩で向上する。例えば10年前のテープに比べて、現在C/N値は10dB以上向上している。この場合、現在から10年〜20年後の将来においてテープ性能が向上した時点で新しい規格を設定する場合、従来方式では旧い規格との互換性をとることは非常に難しい。このため新旧規格は片互換もしくは非互換である場合が多かった。
しかし、本発明の場合、まず、現行テープで第1データ列もしくは第2データ列を記録再生する規格をつくる。次に将来テープのC/Nが大巾に向上した時点で本発明を予め採用しておけば上位のデータ階層のデータ例えば第3データ列のデータを追加し、例えば3階層の64SRQAMや8ASKを記録再生するスーパーHDTVVTRが従来規格と完全互換を保ちながら実現する。この将来規格が実現した理時点で本発明、新規格で第3データ列まで3層記録された磁気テープを、第1データ列、第2データ列しか記録再生できない旧規格の2層の磁気記録再生装置で再生した場合、第3データ列は再生できないが第1、第2データ列は完全に再生できる。このためHDTV信号は再生される。このため新旧規格間の互換性を保ちながら将来、記録データ量を拡張できるという効果がある。
ここで図84の再生動作の説明に戻る。再生する時は磁気テープ855を磁気ヘッド854と磁気再生回路853により再生信号を再生し変復調器852に送る。復調部は実施例1,3,4とほぼ同様な動作をするため説明を省略する。復調部760により第1データ列D1と第2データ列D2を再生し、第2データ列はVitabiデコーダ等のTrellis-Decoder759bにより、code gainの高いエラー訂正をされ、エラーレートは低くなる。D1、D2信号は画像デコーダー422により復調されHDTVの映像信号が出力される。
以上は2つの階層をもつ磁気記録再生装置の実施例であるが、次に2層の物理階層に1層の論理階層を加えた3層の階層の磁気記録再生装置の実施例を図131のブロック図を用いて説明する。基本的には、図84と同じ構成であるが第1データ列をTDMにより、さらに2つのサブチャンネルに分割し3層構造にしている。図131に示すように、まずHDTV信号は第1画像エンコーダ401aの中の第1―1画像エンコーダ401cと第1―2画像エンコーダ401dにより、中域と低域の映像信号の2つのデータ、D1-1とD1-2に分離され入力部742の第1データ列入力部に入力される。MPEGグレードの画質のデータ列D1-1はECC coder743aにおいてCode gainの高い誤り訂正符号化をされ、D1-2はECC Coder743bにおいて通常のCode gainをもつ誤り訂正符号化をされる。D1-1とD1-2はTDM部743cにより時間多重化され、一つのデータ列D1とな る。D1とD2はC−CDM変調部749で変調され磁気ヘッド854により磁気テープ855上に、2層で階層記録される。
再生時には、磁気ヘッド854により再生された記録信号は、図84で説明したのと同様の動作により、C−CDM復調部760によりD1とD2に復調される。第1データ列D1は第1データ出力部758の中のTDM部758cにおいて 、2つのサブチャンネルD1-1とD1-2に復調される。D1-1はCode gainの高いECC Decoder758aにおいて、誤り訂正されるため、D1-2に比べてD1-1は低い C/N値においても復調され第1-1画像デコーダ402aによりLDTVがDecodeされ出力される。一方D1-2はCode gainの通常のECC Decoder758bにおいて誤り訂正されるため、D1-1に比べると高いC/Nのスレシホルド値をもつため 信号レベルが大きくないと再生できない。そして、第1―2画像エンコーダ402dにおいて復調され、D1-1と合成されて、ワイドNTSCグレードのEDTVが出力される。
第2データ列D2はTrellis Decoder759bによりVitabi復号され、ECC759aによりエラー訂正され、第2画像エンコーダ402bにより高域画像信号となり、D1-1、D1-2と合成されてHDTVが出力される。この場合のD2のC /Nの閾値はD1-2より大きく設定する。従ってテープ855のC/N値が小さ い場合、D1-1つまりLDTVが再生され、通常のC/N値のテープ855の場 合D1-1、D1-2つまりEDTVが再生され、C/N値の高いテープ855を用いるとD1-1、D1-2、D2つまりHDTV信号が再生される。
こうして3層の階層の磁気記録再生装置が実現する。前述のようにテープ855のC/N値とコストとは相関関係にある。本発明の場合使用者は3つのタイプのテープコストに応じた3つのグレードの画質の画像信号を記録再生できるため、使用者が記録したいTV番組の内容に応じてテープのグレードを選択する巾が拡がるという効果がある。
次に早送り再生時の階層記録の効果を述べる図132の記録トラック図に示すように磁気テープ855上にはアジマス角Aの記録トラック855aと逆のアジマス角のBの記録トラック855bが記録されている。図示するように記録トラック855aの中央部にこのまま記録領域855cを設け、他の領域をD1-2記 録領域855dとする。これを各々の記録トラック数ヶにつき少なくとも1ヶ所設ける。この中にはLDTV1フレーム分が記録されている。高域信号のD2信 号は記録トラック855aの全領域のD2記録領域855eに記録する。通常速 度の記録再生時には、この記録フォーマットは新たな効果は生まない。さて順方向と逆方向のテープ早送り再生時にはアジマス角Aの磁気ヘッドトレース855fは図に示すように磁気トラックと一致しなくなる。図132に示す本発明においてはテープ中央部の狭い領域に設定されたD1-1記録領域855cを設けてあ る。このためある一定の確率ではあるが、この領域は確実に再生される。再生されたD1-1信号からはMPEG1並みのLDTVの画質ではあるが同一時間の画 面全体の画像を復調できる。こうして早送り再生時には1秒間に数枚から数十枚のLDTVの完全な画像が再生されると使用者は早送り中の画画面を確認できるいう大きな効果がある。
また逆送り再生時にはヘッドトレース85g示すように磁気トラックの一部の領域しかトレースしない。しかし、この場合においても図132で示す記録再生フォーマットを用いた場合、D1-1記録領域が再生できるためLDTVグレード の画質の動画が間欠的に出力される。
こうして、本発明では記録トラックの一部の狭い領域にLDTVグレードの画像を記録するため使用者は正逆両方向の早送り時にLDTVグレードの画質で早送りの間欠的にほぼ完全な静止画を再生できるため、高速検索時に画面の確認が容易になるという効果がある。
次に、さらに高速の早送り再生に対応する方法を述べる。図132の右下に示すようにD1-1記録領域855Cを設け、LDTVの1フレームを記録するとと もにD1-1記録領域855Cの一部にさらに狭い領域のD1-1・D2記録領域85 5hを設ける。この領域におけるサブチャンネルD1-1にはLDTVの1フレー ムの一部の情報が記録されている。LDTVの残りの情報をD1-1・D2記録領域855hのD2記録領域855jに重複して記録する。サブチャンネルD2はサブチャンネルD1-1の3〜5倍のデータ記録量をもつ。従ってD1-1とD2で1/3 〜1/5の面積のテープ上のLDTVの1フレームの情報を記録できる。ヘッドレースがさらに狭い領域である領域855h,855jに記録できるため、ヘッドのトレース時間Ts1に比べて時間も面積も1/3〜1/5になる。従って早送り速度を早めてヘッドのトレースがさらに傾いても、この領域全体をトレースする確率が高くなる。このためD1-1のみの場合に比べてさらに3〜5倍速い早送 り時にも完全なLDTVの画像を間欠的に再生する。
この方式は2階層のVTRの場合、D2記録領域855jを再生する機能がな いため、高速の早送り時には再生できない。一方3階層の高機能型VTRにおいては2階層に比べて3〜5倍速い早送り時にも画像が確認できる。つまり、階層の数つまりコストに応じた画質だけでなく、コストに応じて再生可能な最大早送り速度が異なるVTRが実現する。
なお実施例では階層型変調方式を用いたが16QAM等の通常の変調方式でも、階層型の画像符号化を行えば本発明による早送り再生が実現する。ことはいうまでもない。
従来の高度に画像を圧縮する方式の非階層型のデジタルVTRの記録方式では画像データが均一に分散しているため、早送り再生時に各フレームの同一時間の画面の画像の全部を再生することはできない。このため画面の各ブロックの時間軸のずれた画像しか再生できない。しかし、本発明の階層型のHDTVVTRではLDTVグレードではあるが、画面の各ブロックの時間軸のずれていない画像を早送り再生時に再生できるという効果がある。
本発明のHDTVの3層の階層記録を行った場合記録再生系のC/Nが高いときはHDTV等の高解像度TV信号を再生できる。そして記録再生系のC/Nが低い場合や機能の低い磁気再生装置で再生した場合、ワイドNTSC等のEDTVグレードのTV信号もしくは低解像度NTSC等のLDTVグレードのTV信号が出力される。
以上のように本発明を用いた磁気再生装置においては、C/Nが低くなった場合や、エラーレートが高くなった場合においても同一内容の映像を低い解像度、もしくは低い画質で再生できるという効果が得られる。
(実施例7)
実施例7は本発明を4階層の映像階層伝送に用いたものである。実施例2で説明した4階層の伝送方式と4階層の映像データ構造を組み合わせることにより図91の受信妨害領域図に示すように4層の受信領域ができる。図に示すように最内側に第1受信領域890a、その外側に第2受信領域890b、第3受信領域890c、第4受信領域890dができる。この4階層を実現する方式について述べる。
4階層を実現するには変調による4層の物理階層やエラー訂正能力の差別化による4層の論理階層があるが、前者は階層間のC/N差が大きいため4層では大きなC/Nが必要となる。後者は、復調可能なことが前提であるため、階層間のC/N差を大きくとれない。現実的であるのは、2層の物理階層と2層の論理階層を用いて、4層の階層伝送を行うことである。では、まず映像信号を4層に分離する方法を述べる。
図93は分離回路3のブロック図である分離回路3は映像分離回路895と4つの圧縮回路から構成される。分離回路404a、404b、404cの内部の基本的な構成は、図30の第1画像エンコーダ401の中の分離回路404のブロック図と同じなので説明は省略する。分離回路404a等は映像信号を低域成分HLVLと高域成分HHVHと中間成分HHVL、HLVHの4つの信号に分離する。この場合、HLVLは解像度が元の映像信号の半分になる。
さて入力した映像信号は映像分離回路404aにより高域成分と低域成分に2分割される。水平と垂直方向に分割されるため4つの成分が出力される。高域と低域の分割点はこの実施例では中間点にある。従って、入力信号が垂直1000本のHDTV信号の場合HLVL信号は垂直500本の、水平解像度も半分のTV信号となる。
低域成分のHLVL信号は分離回路404cにより、さらに水平、垂直方向の周波数成分が各々2分割される。従ってHLVL出力は例えば垂直250本、水平解像度は1/4となる。これをLL信号と定義するとLL成分は圧縮部405aにより圧縮され、D1-1信号として出力される。
一方、HLVLの高域成分の3成分は合成器772cにより1つのLH信号に合成され、圧縮部405bにより圧縮されD1-2信号として出力される。この場合 、分離回路404cと合成器772cの間に圧縮部を3つ設けてもよい。
高域成分のHHVH、HLVH、HHVLの3成分は合成器772aにより一つのHHVH−H信号となる。圧縮信号が垂直水平とも1000本の場合、この信号は水平、垂直方向に500本〜1000本の成分をもつ。そして分離回路404bにより4つの成分に分離される。
従ってHLVL出力として水平、垂直方向の500本〜750本の成分が分離される。これをHH信号とよぶ。そしてHHVH、HLVH、HHVLの3成分は750本〜1000本の成分をもち、合成器772bで合成され、HH信号となり圧縮部405dで圧縮され、D2-2信号として出力される。一方HL信号はD2-1信号として出力される。従ってLL、つまりD1-1信号は例えば0本〜250本以下 の成分、LHつまりD1-2信号は250本以上500本以下の周波数成分HLつ まりD2-1信号は500本以上750本以下の成分、HHつまりD2-2信号は750本以上1000本以下の周波数成分をもつ。この分離回路3により階層型のデータ構造ができるという効果がある。この図93の分離回路3を用いて実施例2で説明した図87の送信機1の中の分離回路3の部分を置きかえることにより、4層の階層型伝送ができる。
こうして階層型データ構造と階層型伝送を組み合わせることにより、C/Nの劣下に伴い段階的に画質が劣下する画像伝送が実現できる。これは放送においてはサービスエリアの拡大という大きな効果がある。次にこの信号を復調再生する受信機は実施例2で説明した図88の第2受信機と同じ構成と動作である。従って全体の動作は省略する。ただ映像信号を扱うため合成部37の構成がデータ送信と異なる。ここでは合成部37を詳しく説明する。
実施例2において図88の受信機のブロック図を用いて説明したように、受信した信号は復調され、エラー訂正され、D1-1、D1-2、D2-1、D2-2の4つの信号となり、合成部37に入力される。
ここで図94は合成部33のブロック図である。入力されたD1-1、D1-2、D2-1、D2-2信号は伸長部523a、523b、523c、523dにおいて伸長され、図93の分離回路において説明したLL、LH、HL、HH信号となる。この信号は、元の映像信号の水平、垂直方向の帯域を1とするとLLは1/4、LL+LHは1/2、LL+LH+HLは3/4、LL+LH+HL+HHは1の帯域となる。LH信号は分離器531aにより分離され画像合成部548aにおいてLL信号と合成されて画像合成部548cのHLVL端子に入力される。画像合成部531aの例の説明に関しては図32の画像デコーダ527で説明したので省略する。一方、HH信号は分離器531bにより分離され、画像合成部548bに入力される。HL信号は画像合成部548bにおいてHH信号と合成され、HHVH−H信号となり分離器531cにより分離され、画像合成部548cにおいてLHとLLの合成信号と合成され、映像信号となり合成部33から出力される。そして図88の第2受信機の出力部36でTV信号となり出力される。この場合、原信号が垂直1050本、約1000本のHDTV信号ならば図91の受信妨害図に示した4つの受信条件により4つの画質のTV信号が受信される。
TV信号の画質を詳しく説明する。図91と図86を一つにまとめたのが図92の伝送階層構造図である。このようにC/Nの向上とともに受信領域862d、862c、862b、862aにおいてD1-1、D1-2、D2-1、D2-2と次々と再生できる階層チャンネルが追加されデータ量が増える。
映像信号の階層伝送の場合図95伝送階層構造図のようにC/Nの向上とともにLL、LH、HL、HH信号の階層チャンネルが再生されるようになる。従って送信アンテナからの距離が近づくにつれ、画質が向上する。L=Ldの時LL信号、L=Lcの時LL+LH信号、L=Lbの時LL+LH+HL信号、L=Laの時LL+LH+HL+HH信号が再生される。従って、原信号の帯域を1とすると1/4、1/2、3/4、1の帯域の画質が各々の受信地域で得られる。原信号が垂直走査線1000本のHDTVの場合、250本、500本、750本、1000本のTV信号が得られる。このようにして段階的に画質が劣化する階層型映像伝送が可能となる。図96は従来のデジタルHDTV放送の場合の受信妨害図である。図から明らかなように従来方式ではCNがVO以下でTV信 号の再生は全く不可能となる。従ってサービスエリア距離Rの内側においても他局との競合地域、ビルかげ等では×印で示すように受信できない。図97は本発明を用いたHDTVの階層放送の受信状態図を示す。図97に示すように、距離LaでC/N=a、LbでC/N=b、LcでC/N=c、LdでC/N=dとなり各々の受信地域で250本、500本、750本、1000本の画質が得られる。距離La以内でもC/Nが劣下し、HDTVの画質そのものでは再生できない地域が存在する。しかし、その場合でも画質が落ちるものの再生はできる。例えばビルかげのB地点では750本、電車内のD地点では250本、ゴーストを受けるF地点では750本、自動車内のG地点では250本、他局との競合地域であるL地点でも250本の画質で再生できる。以上のようにして本発明の階層伝送を用いることにより従来提案されている方式では受信再生できなかった地域でも受信できるようになり、TV局のサービスエリアが大巾に拡大するという著しい効果がある。また、図98の階層伝送図に示すようにD1-1チャンネルで その地域のアナログ放送と同じ番組の番組Dを放送し、D1-2、D2-1、D2-2チ ャンネルで他の番組C、B、Aを放送することにより、番組Dのサイマルキャストを全地域で確実に放送し、サイマルキャストの役割を果たしながら他の3つの番組をサービスするという多番組化の効果も得られる。
(実施例8)
以下、第7の実施例を図面に基づき説明する。実施例8は本発明の階層型伝送方式をセルラー電話システムの送受信機に応用したものである。図115の携帯電話機の送受信機のブロック図においてマイク762から入力された通話者の音声は圧縮部405により前述した階層構造のデータD1,D2,D3に圧縮符号化 され、時分割部765においてタイミングに基づき所定のタイムスロットに時間分割され、変調器4において前述のSRQAM等の階層型の変調を受け1つの搬送波にのり、アンテナ共用器764を経てアンテナ22より送信され、後述する基地局で受信され、他の基地局もしくは電話局に送信され、他の電話と交信できる。
一方、他の電話からの交信信号は基地局からの送信電波としてアンテナ22により受信される。この受信信号はSRQAM等の階層型の復調器45において、D1,D2,D3のデータとして復調される。復調信号からはタイミング回路76 7においてタイミング信号が検出され、このタイミング信号は時分割部765に送られる。復調信号D1,D2,D3は伸長部503において伸長され音声信号に なり、スピーカ65に送られ、音声となる。
次に図116の基地局のブロック図にあるように6角形もしくは円形の3つの受信セル768,769,770,の各中心部にある基地局771,772,773は図115と同様の送受信機761a〜761jを複数個もち、送受信機の数と同じチャンネル数のデータを送受信する。各基地局に接続された基地局制御部774は各基地局の通信のトラフィック量を常に監視し、これに応じて各基地局へのチャンネル周波数の割り当てや各基地局の受信セルの大きさの制御等の全体システムのコントロールを行う。
図117の従来方式の通信容量トラフィック分布図に示すようにQPSK等の従来方式のデジタル通信方式では受信セル768,770のAchの伝送容量はd=Aの図に示すように同波数利用効率2bit/Hzのデータ774d、774bとd=Bの図のデータ774cを合わせたデータ774dなり、どの地点においても2bit/Hzの一様な周波数利用効率である。一方、実際の都市部は密集地775a,775b,775cのようにビルの集中したところは人口密度が高く、交信トラフィック量もデータ774eに示すようにピークを示す。周辺のそれ以外の地域では交信量は少ない。実際のトラフィック量TFのデータ774eに対して従来のセルラー電話の容量はデータ774dに示すように全地域、同じ2bit/Hzの周波数効率であった。つまりトラフィック量の少ないところにも多いところと同じ周波数効率を適用しているという効率の悪さがあった。従来方式ではトラフィック量の多い地域には周波数割り当てを多くしチャンネル数を増やしたり、受信セルの大きさを小さくして対応していた。しかし、チャンネル数を増やすには周波数スペクトルの制約があった。また従来方式の16QAM,64QAM等の多値化は送信電力を増加させた。受信セルの大きさを小さくし、セル数を増やすことは基地局の数の増加を招き、設置コストを増大させる。以上の問題点がある。
理想的にはトラフィック量の多い地域には周波数効率を高くし、トラフィック量の少ない地域には周波数効率を高くし、トラフィック量の少ない地域には低くすることがシステム全体の効率を高められる。本発明の階層型伝送方式の採用により以上のことを実現できる。このことを図118の本発明の実施例8における通信容量・トラフィック分布図を用いて説明する。図118の分布図は上から順に受信セル770B,768,769,770,770aのA−A’線上の通信容量を示す。受信セル768,770はチャンネル群A受信セル770b,769,770aはチャンネル群Aと重複しないチャンネル群Bの周波数を利用している。これらのチャンネルは各受信セルのトラフィック量に応じて図116の基地局制御器774により、チャンネル数が増減させられる。さて図118においてd=AはAチャンネルの通信容量の分布を示す。d=BはBチャンネルの通信容量、d=A+Bは全チャンネルを加算した通信容量、TFは通信トラフィック量、Pは建物と人口の分布を示す。受信セル768,769,770では前の実施例で説明したSRQAM等の多層の階層型伝送方式を用いているためデータ776a,776b,776cに示すように、QPSKの周波数利用効率2bit/Hzの3倍の6bit/Hzを基地局周辺部では得られる。周辺部にいくに従い4bit/Hz,2bit/Hzと減少する。送信パワーを増やさないと点線777a,b,cに示すQPSKの受信セルの大きさに比べて2bit/Hzの領域が狭くなるが、基地局の送信パワーを若干上げることにより同等の受信セルの大きさが得られる。64SRQAM対応の子局は基地局から遠いところではSRQAMのシフト量をS=1にした変形QPSKで送受信し、近いところでは16SRQAM、さらに近傍では64SRQAMで送受信する。従ってQPSKに比べて最大送信パワーが増加することはない。また、回路を簡単にした図121のブロック図に示すような4SRQAMの送受信機も互換性を保ちながら他の電話と交信できる。図122のブロック図に示す16SRQAMの場合も同様である。従って3つの変調方式の子機が存在する。携帯電話の場合小型計量性が重要である。4SRQAMの場合周波数利用効率が下がるため通話料金は高くなるが、回路が簡単になるため小型軽量化が要求されるユーザーには適している。こうして本方式は巾広い用途に対応できる。
以上のようにして図118のd=A+Bのような容量の異なる分布をもつ伝送システムができる。TFのトラフィック量に合わせて基地局を設置することにより、総合的な周波数利用効率が向上するという大きな効果がある。特にセルの小さいマイクロセル方式は多くのサブ基地局を設置できるためサブ基地局をトラフィックの多い個所に設置しやすいため本発明の効果が高い。
次に図119のデータの時間配置図を用いて各タイムスロットのデータ配置を説明する。図119(a)は従来方式のタイムスロット、図119(b)は実施例8のタイムスロットを示す。図119(a)に示すように従来方式の送受信別周波数方式はDownつまり基地局から子局への送信の時に周波数Aで時間のスロット780aで同期信号Sを送り、スロット780b,780c,780dで各々A,B,Cチャンネルの子機への送信信号を送る。次にUp側つまり子機から基地局へ送る場合、周波数Bで時間スロット781a,781b,781c,781dに各々同期信号、a,b,cチャンネルを送信信号する。
本発明の場合、図119(b)に示すように前述の64SRQAM等の階層型伝送方式を用いているためD1,D2,D3の各々の2bit/Hzの3つの階層 データをもつ。A1,A2データは16SRQAMで送るためスロット782b,782cとスロット783b,783cに示すように約2倍のデータレートとなる。同一音質で送る場合半分の時間で送れる。従ってタイムスロット782b,782cは半分の時間になる。こうして2倍の伝送容量が図118の776cの第2階層の地域つまり基地局の近傍で得られる。同様にして、タイムスロット782g,783gではE1データの送受信が64SRQAMで行われる。約3倍 の伝送容量をもつため、同一タイムスロットで3倍のE1,E2,E3の3チャン ネルが確保できる。この場合基地局のさらに近傍地域で送受信することが要求される。このようにして最大約3倍の通話が同一周波数帯で得られるという効果がある。但し、この場合は基地局の近傍でこのままの通話が行われた場合で、実際はこの数字より低い。また実際の伝送効率は90%程度に落ちる。本発明の効果を上げるためには、トラフィック量の地域分布と本発明による伝送容量分布が一致することが望ましい。しかし、図118のTFの図に示すように実際の都市においてはビル街を中心として緑地帯が周辺に配置されている。郊外においても住宅地の周辺に田畑や森が配置されている。従ってTFの図に近い分布をしている。従って本発明を適用する効果が高い。
図120のTDMA方式タイムスロット図で(a)は従来方式(b)は本発明の方式を示す。図120(a)に示すように、同一周波数帯でタイムスロット786a,786bで各々A,Bチャンネルの子機への送信を行い、タイムスロット787a,787bで各々A,Bチャンネルの子機からの送信を行う。図120(b)に示すように、本発明の場合16SRQAMの場合スロット788aでA1チャンネルの受信を行い、スロット788cでA1チャンネルの送信を行う。タイムスロット巾は約1/2になる。64SRQAMの場合スロット788iでD1チャンネルの受信を行い、スロット788lでD1チャンネルの送信を行う。タイムスロット巾は約1/3になる。
特に消費電力を下げるためにスロット788pにおいて1/2のタイムスロットで16SRQAMのE1の受信を行うが、送信はスロット788rで通常のタ イムスロット4SRQAMで行う。16SRQAMより4SRQAMの方が消費電力が少ないため、送信時の電力消費が少なくなるという効果がある。ただし、占有時間が長い分だけ通信料金は高くなる。バッテリの小さい小型軽量型の携帯電話やバッテリ残量が少ない時に効果が高い。
以上のようにして実際のトラフィック分布に合わせて伝送容量分布を設定できるため実質的な伝送容量が高めることができるという効果がある。また3つのもしくは2つの伝送容量の伝送容量を基地局、子局が選択できるため周波数効率を下げて消費電力を下げたり逆に効率を上げて通話料金を下げたり自由度が高く、様々な効果が得られる。また、伝送容量の低い4SRQAM等の方式により、回路を簡単にして小型化、低コスト化をした子機も設定できる。この場合、前の実施例で説明したように全ての機種間の伝送互換性がとれる点が本発明の特徴の一つである。こうして伝送容量の増大とともに超小型機から高機能機までの巾広い機種展開が計れる。
(実施例9)
以下第9の実施例を図面に基づき説明する。実施例9は本発明をOFDM伝送方式に適用したものである。図123のOFDM送受信機のブロック図と図124のOFDMの動作原理図を示す。FDMの一種であるOFDMは隣接するキャリアを直交させることにより、一般のFDMより周波数帯の利用効率が良い。またゴースト等のマルチパス妨害に強いためデジタル音楽放送用やデジタルTV放送用に検討されている。図124のOFDMの原理図に示すようにOFDMの場合入力信号を直列並列変換部791で周波数軸793上にデータを1/tsの間隔で配置し、サブチャンネル794a〜eを作成する。この信号を逆FFT器40をもつ変調器4で時間軸799へ逆FFT変換し、送信信号795を作る。tsの有効シンボル期間796の期間の間、この逆FFTされた信号は送信され、各シンボルの間にはtgのガード期間797が設けられる。
図123のOFDM−CCDMハイブリッド方式のブロック図を用いてHDTV信号を送受信する場合の実施例9の動作を説明する。入力されたHDTV信号は画像エンコーダ401により低域D1-1と(中域−低域)D1-2と(高域−中域−低域)D2の3層の階層構造の画像信号に分離され、入力部742に入力され る。第1データ列入力部743において、D1-1信号はCode gainの高いECC符号化をされ、D1-2信号は通常のコードゲインのECCの符号化をされる。D1-1とD2-2はTDM部743により、時間分割多重化され、D1信号になり、変調器852aのD1直列並列変換器791aに入力される。D1信号はn個の並列データとなり、nヶのC−CDM変調器4a,4b・・・の第1入力部に入力される。
一方、高域成分信号のD2は入力部742の第2データ列入力部744におい てECC部744aにおいてECC(Error Correction Code)符号化されトレ リスエンコーダ744bにおいてトレリス符号化され、変調器852aのD2直 列並列器791bに入力され、nヶの並列データとなり、C−CDM変調器4a,4b・・・の第2入力部に入力される。第1入力部のD1データと第2入力部のD2データにより各々のC−CDM変調器4a,4b,4c・・・において16SRQAM等にC−CDM変調される。このnヶのC−CDM変調器は各々の異なる周波数のキャリアをもつとともに隣接するキャリアは図124の794a,794b,794c・・・に示すように直交しながら周波数軸上793上にある。こうし て、C−CDM変調されたnヶの変調信号は、逆FFT回路40により、周波数軸ディメンジョン793から時間軸のディメンジョン790に写像され、tsの実効シンボル長の時間信号796a,796b等になる。実効シンボル時間帯796aと796bの間にはマルチパス妨害を減らすためTg秒のガード時間帯797aが設けられている。これを時間軸と信号レベルで表現したものが、図129の時間軸ー信号レベル図であり、ガード時間帯797aのTgはマルチパスの影響時間から用途に応じて決定される。TVゴースト等のマルチパスの影響時間より長くTgを設定することにより受信時に逆FFT回路40からの変調信号は並列直列コンバータ40bにより、一つの信号となり送信部5により、RF信号となり送信される。
次に、受信機43の動作を述べる。図124の時間軸シンボル信号796eに示す。受信信号は図123の入力部24に入力され、変調部852bに入力され、デジタル化され、FFT部40aにより、フーリェ係数に展開され、図124に示すように時間軸799から周波数軸793aに写像される。図124の時間軸シンボル信号から、周波数軸の信号のキャリア794a,794b等に変換される。これらのキャリアは互いに直交しているため、各々の変調信号が分離できる。図125(b)に示す16SRQAM等が復調され、各々のC−CDM復調器45a、45b等に送られる。そして、C−CDM復調器45の各々のC−CDM復調部45a、b等において、階層型に復調されD1、D2のサブ信号が復調され、D1並列直列コンバーター852aとD2並列直列コンバーター852bにより、直列信号となり元のD1、D2信号が復調される。この場合、図125(b)に示すようなC−CDMを用いた階層伝送方式を用いているため、C/N値の悪い受信条件では、D1信号のみが復調され、よい受信条件では、D1とD2信号 の両方が復調される。復調されたD1信号は出力部757において復調される。 D1-2信号に比べてD1-1信号エラー訂正のコードケインが高いため、D1-1信号 のエラー信号がより受信条件の悪い条件でも再生される。D1-1信号は第1ー1 画像デコーダ402cによりLDTVの低域信号となり、D1-2信号は第1ー2 画像デコーダ402dによりEDTVの中域成分の信号となり、出力される。
D2信号はトレリス復号され、第2画像デコーダ402bにより、HDTVの 高域成分となり出力される。上記の低域信号のみではLDTVが出力され、上記中域成分を加えることにより、ワイドNTSCグレードのEDTV信号が出力され、さらに上記高域成分を加えることによりHDTV信号が合成される。前の実施例と同様、受信C/Nに応じた画質のTV信号が受信できる。実施例9の場合はOFDMとC−CDMを組み合わせて用いることにより、OFDMそのものでは、実現できない階層型伝送を実現できる。図130のエラーレートC/Nに示すように従来のOFDM−TCM変調信号の曲線805に対して、本発明のC−CDM−OFDM方式はサブチャンネル1 807aはエラーレートが下がりサブチャンネル2 807bはエラーレートが上がる。こうして階層型が実現する。
OFDMは確かにガード期間Tg中にマルチパスの干渉信号を収めているためTVゴースト等のマルチパスに強い。従って、自動車のTV受信機用のデジタルTV放送用に用いることができる。しかし、階層型伝送ではないため、ある一定のC/Nのスレシホルド以下では受信できない。本発明のC−CDMと組み合わせることにより、マルチパスに強くかつC/Nの劣化に応じた画像受信(Graditional Degradation)の2つが実現できる。自動車内でTV受信をする時、単に マルチパスだけでなくC/N値も劣化する。従ってマルチパス対策だけではTV放送局のサービスエリアはさほど広がらない。しかし、階層型伝送のC−CDMと組み合わせることにより、C/Nがかなり劣化してもLDTVグレードで受信できる。一方、自動車用TVの場合、画面サイズは通常100寸以下であるため、LDTVグレードで充分な画質が得られる。自動車TVのLDTVグレードのサービスエリアが大巾に拡大するという効果がある。OFDMをHDTVの全帯域に使うと現時点の半導体技術ではDSPの回路規模が大きくなる。そこで低域TV信号のD1-1のみをOFDMで送る方法を示す。図138のブロック図に示 すように、HDTVの中域成分と高域成分のD1-2とD2信号の2つを本発明のC−CDM多重化し、FDM40Dにより周波数帯Aで送信する。一方受信機側で受信した信号はFDM4oeにより周波数分離され、本発明のC−CDM復調器4bで復調され、図123と同様にしてHDTVの中域成分と高域成分が再生される。この場合の画像デコーダーの動作は実施例1,2,3と同じであるため省略する。
次にHDTVのMPEG1グレードの低域信号であるD1-1信号は直列並列コ ンバーター791により並列信号となりOFDM変換器852Cの中でQPSKや16QAMの変調を受け、逆FFT器40により時間軸の信号に変換されFDM40dにより周波数帯Bで送信される。
一方、受信機43で受信された信号はFDM部40eにおいて周波数分離され、OFDM復調部852dにおいてFFT40aにより多くの周波数軸の信号となり、各々の復調器45a,45b等により復調され、並列直列コンバータ852aによりD1-1信号が復調され、図123と同様にして、LDTVグレードの D1-1信号が受信機43から出力される。
こうして、LDTV信号のみがOFDMされた階層伝送が実現する。図138の方法を用いることにより、OFDMの複雑な回路はLDTV信号のみでよい。HDTV信号に比べてLDTV信号は1/20のビットレートである。従ってOFDMの回路規模は1/20になり、全体の回路規模は大巾に小さくなる。
OFDMはマルチパスに強い伝送方式で携帯TVや自動車TVの受信時や自動車のデジタル音楽放送受信時のような移動局でマルチパス妨害が大きく、かつ変動する用途を主目的として応用されようとしている。このような用途においては4インチから8インチの10インチ以下の小さい画面サイズが主流である。従ってHDTVやEDTVのような高解像度TV信号全てをOFDM変調する方式はかける費用の割には効果が低く、自動車TV用にはLDTVグレードのTV信号の受信で充分である。一方、家庭用TVのような固定局においてはマルチパスが常に一定であるため、マルチパス対策がとりやすい。このため強ゴースト地域以外はOFDMの効果は高くない。HDTVの中高域成分にOFDMを用いることはOFDMの回路規模が大きい現状では得策でない。従って本発明の図138に示すOFDMを低域TV信号のみに使用する方法は、自動車等の移動局において受信されるLDTVのマルチパス妨害を大巾に軽減するというOFDMの効果を失なわないで、OFDMの回路規模を1/10以下に大巾に削減できるという大きな効果がある。
なお、図138ではD1-1のみをOFDM変調しているがD1-1とD1-2をOF DM変調することもできる。この場合、D1-1とD1-2はC−CDMの2階層伝送ができるため、自動車等の移動体においてもマルチパルスに強い階層型放送が実現し、移動体において、LDTVとSDTVが受信レベルやアンテナ感度に応じた画質の画像が受信できるというGraditional Degradationの効果が生まれる。
こうして本発明の階層伝送が可能となり、前述した様々な効果が得られる。OFDMの場合特にマルチパスに強いため本発明の階層伝送と組み合わせることによりマルチパスに強くかつ受信レベルの劣化に応じたデータ伝送グレードの劣化が得られるという効果が得られる。
階層構造型伝送方式を実現する方法として、図126(a)に示すように、おFDMの各サブチャンネル794a〜cを第1層801aとしサブチャンネル794d〜fを第2層801bとし中間にfgなる周波数ガード帯802aを設け、図126(b)に示すようにPgなる電力差802bを設けることにより、第1層801aと第2層801bの送信電力を差別化できる。
これを利用すると、前に説明した図108(d)に示すようにアナログTV放送に妨害を与えない範囲で第1層801aの電力を増やすことができる。この場合図108(e)に示すように第1層801aの受信可能なC/N値のスレシホルド値は第2層801bに比べて低くなる。従って信号レベルの低い地域やノイズの多い地域においても第1層801aの受信が可能となるという効果が得られる。図147に示すように二層の階層伝送が実現する。これをPower-Weighted-OFDM方式(PW-OFDM)と本文では呼ぶ。この本実施例のPW-OFDMに前述の本発明のC−CDM方式を組み合わせることにより、図108(e)に示すように階層は増え3層になり、より受信可能地域が拡がるという効果がある。
具体的な回路は、図144に示すように第1層データは第1データ列回路791aを介して振幅の大きい変調器4a〜4cでキャリアf1〜f3で逆FFT40によりOFDM変調し、第2層データは第2データ列回路791bを介して通常の振幅の変調器4d〜4fでキャリアf6〜f8で逆FFT40によりOFDM変調し送信する。
受信信号は受信機43のFFT40aによりf1〜fnのキャリアをもつ信号に分離され、キャリアf1〜f3は復調器45a〜45cにより第1データ列D1つ まり第1層801aが復調され、キャリアf6〜f8からは第2データ列D2つま り第2層801bが復調される。
第1層801aの電力は大きいため信号の弱い地域においても受信できる。こうしてPW-OFDMにより、2層の階層型伝送が実現する。PW-OFDMをC−CDMと組み合わせると3〜4層の階層が実現する。なお図144の他の動作は図123のブロック図の場合と動作が同じであるため説明を省略する。
さて、次に本発明のTime-Weighted-OFDM(TW-OFDM)方式の階層化方式について述べる。OFDM方式は前に述べたように、ガード時間帯tgがあるため、ゴーストつまりマルチパス信号の遅延時間tMがtM<tgの条件式を満たせばゴーストの影響をなくすことができる。一般家庭のTV受信機のような固定局ではtM は数μsと小さく、また、一定であるためキャンセルし易い。しかし、車載TV受信機のように移動局の場合は反射波が多いため、tMは大きく数十μs近くに なるだけなく、移動に伴い変化するためキャンセルが難しい。従ってマルチパスに対する階層化が必要になることが予想される。
本実施例の階層化の方法を述べると、図146に示すように第A層のガード時間tgaを第B層のガード時間tgbに比べて大きくとることによりA層のサブチャンネルのシンボルはゴーストに対して強くなる。こうしてガード時間のWeightingによりマルチパスに対する階層型伝送が実現する。この方式をGuard-Time-Weighted-OFDM(GTW-OFDM)と呼ぶ。
さらに第A層と第B層のシンボル時間Tsのシンボル数を同じ数に設定した場合、Aのシンボル時間tsaをBのシンボル時間tsbより大きくとる。するとこれにより周波数軸上においてA,Bのキャリヤの間隔をそれぞれ△fa、△fbとすると△fa>△fbである。このためBのシンボルに比べて、Aののシンボルを復調した場合のエラーレートは低くなる。こうしてシンボル時間TsのWeightingの差別化により第A層と第B層のマルチパスに対する2層の階層化が実 現する。この方式をCarrier−Spacing-Weighted-OFDM(CSW-OFDM)と呼ぶ。GTW-0FDMを用いて2層の階層伝送を実現し、第A層にて低解像度のTV信号を、第B層で高域成分を送信することにより、車載TV受信機のようにゴーストの多い条件の受信でも低解像度TVの安定した受信が可能となる。またCSW-OFDMを用いたシンボル時間tsの差別化により第A層と第B層のC/Nに対する階層化をGTW-OFDMとを組み合わせることにより受信信号レベルの低い車載TVにおいてさらに安定した受信ができるという大きな効果が実現する。車載用途や携帯用途のTVにおいては高い解像度は要求されない。低解像度TV信号を含むシンボル時間の時間比率は小さいため、このガード時間のみを長くすことは全体の伝送効率をあまり下げない。従って本実施例のGTW−OFDMを用いて低解像度TV信号に重点を置いてマルチパス対策をすることにより伝送効率に殆ど影響を与えないで携帯TVや車載TVのような移動局と、家庭のTVのような固定局とを両立させた階層型TV放送を実現するという大きな効果がある。この場合前述のようにCSW-OFDMやC-CDMと組み合わせることによりC/Nにたいする階層化が加わりさらに安定 した移動局の受信が可能となる。
具体的にマルチパスの影響を説明すると、図145(a)に示すように遅延時間が短いマルチパス810a〜dの場合は第1送と第2層の信号が受信でき、HDTVの信号が復調できる。しかし、図145(b)に示すように長いマルチパス811a〜dの場合は、第2層のB信号のガード時間、Tgbが短いため復調できなくなる。この場合、第1層のA信号はガード時間Tgaが長いため、遅延時間の長いマルチパスの影響を受けない。前述のようにB信号にはTVの高域成分が含まれており、A信号にはTVの低域成分が含まれているため、例えば車載用TVではLDTVが再生できる。さらに第1層のシンボル時間TsaをTsbより大きくとっているためC/Nの劣化にも第1層は強い。
こうしてガード時間とシンボル時間の差別化をすることにより、OFDMの二次元の階層化が簡単な構成で可能となる。図123のような構成でガード時間差別化とC−CDMと組み合わせることにより、マルチパスとC/N値劣化の双方の階層化が計れる。
ここで具体的な例を用いて詳しく述べる。
マルチパス遅延時間TMは、D/U比が小さい程、直接波より反射波が多くな り、大きくなる。例えば図148に示すようにD/U<30dBでは反射波の影響が大きくなり30μs以上になる。図148に示すように50μs以上のTgをとることにより、一番悪い条件でも受信できる。従って図149(a)に具体的に示すようにTV信号1secに対して図149(b)に示す2msの周期の うち、各シンボルを第1層801a,第2層801b,第3層801cの3つの階層のグループに分け、図149(c)に示す。各々のグループのガード時間797a,797b,797cつまりTga,Tgb,Tgcを例えば50μs,5μs,1μsと重みづけをして設定することにより図150に示すような階層801a,801b,801cの3つの階層のマルチパスに関する階層型放送が実現する。全ての画質に対してGTW−OFDMを適用すると当然伝送効率は落ちてしまう。しかし、情報量の少ないLDTVの画質信号のみにGTW−OFDMのマルチパス対策をすることにより全体の伝送効率があまり落ちないいう効果がある。特に第1層801aではガード時間Tgを30μs以上の50μsにとっているため、車載用TV受信機でも受信できる。回路は図127のブロック図に示したものを用いる。特に車載用TVはLDTVグレードの画質で良いためMPEG1クラスの1Mbps程度の伝送容量でよい。従って図149に示したようにシンボル時間796aTsaを2msの周期に対して200μsとれば2Mbpsとれるため良く、さらにシンボルレートを半分に下げても1Mbps近くになり、LDTVグレードの画質が得られるため本発明のCSW−OFDM に より伝送効率は若干落ちるがエラーレートが低くなる。特に本発明のC−CDMをGTW−OFDMと組み合わせた場合、伝送効率が低下しないため効果がさらに高い。図149では同じシンボル数に対してシンボル時間796a,796b,796cを200μs,150μs,100μsに差別化している。従って第1層,第2層,第3層の順にエラーレートが高くなってゆく階層型伝送となっている。
同時にC/Nに対しても階層型伝送が実現する。図151に示すようにCSW−OFDMとCSW−OFDMの組み合わせにより、マルチパスとC/Nの2次元の階層型伝送が実現する。前述のようにCSW−OFDMと本発明のC−CDMを組み合わせても実現でき、この場合全体の伝送効率の低下が少ないという効果がある。第1層801aおよび第1−2層851a,第1−3層851aではマルチパスTMが大きくかつC/Nが低い用途例えば車載用TVReceiver においてもLDTVグレードの安定した受信ができる。第2層801bと第2−3層851bではサービスエリアのフリンジエリアのようにC/Nが低く、ゴーストの多い受信地域の固定局において標準解像度のSDTVグレードの受信ができる。サービスエリアの半分以上を占める第3層801cではC/Nが高く、直接波が大きくゴーストが少ないためHDTVグレードの画質で受信できる。こうしてC/Nとマルチパスの2次元の階層型放送が実現する。このように大きな効果が本発明のGTW−OFDMとC−CDMの組み合わせまたは、GTW−OFDMとCSW−C−CDMの組み合わせにより得られる。従来はC/Nに対する階層型放送方式が提案されているが、本発明により、C/Nとマルチパスの2次元のマトリクス型の階層型放送が実現する。
C/Nの3層とマルチパスの3層の2次元の階層型放送の具体的なHDTV、SDTV、LDTVの3階層のTV信号の時間配置図を図152に示す。図に示すように1番マルチパスに強いA層の第1階層のスロット796a1にはLDTVを配置し、次にマルチパスに強いスロット796a2やC/N劣化に強いスロット796b1にはSDTVの同期信号やアドレス信号等の重要なHP信号を配置する。B層の第2層、3層にはSDTVの一般信号つまりLP信号や、HDTVのHP信号を配置する。C層には1、2、3層にSDTV,EDTV,HDTV等の高域成分TV信号を配置する。
この場合CN劣化やマルチパスに強くすればするほど伝送レートが落ちるためTV信号の解像度が減少し、図153に示すように3次元のGraceful Degradationが実現するという従来にない効果が本発明により得られる。図153はCNR、マルチパス遅延時間、伝送レートの3つのパラメーターにより本発明の3次元構造の階層型放送を表現したものである。
本発明のGTW−OFDMと前述の本発明のC−CDMの組み合わせまたは、GTW−OFDMとCSW−C−CDMの組み合わせにより2次元の階層構造が得られる例を用いて実施例を説明したがGTW−OFDMとPower−Weighted−OFDMの組み合わせや、GTW−OFDMと他のCNRの階層伝送方式と組み合わせても2次元の階層型放送は実現する。
図154はキャリア794a、794c,794eの電力をキャリア794b,794d,794fに比べて小さく重みずけして送信したもので、2階層のPower−Weighted−OFDMが実現する。キャリア794aに直交するキャリア795a,795cの電力も同様にしてキャリア795b,795dに対して電力重みずけすることにより2階層がえられる。あわせると4層の階層が得られるが、図154では2層の場合の実施例をしめしている。図に示すようにキャリアの周波数分布が分散するため同一周波数帯にある他のアナログ放送等への妨害が分散されるため影響が小さくなるという効果がある。
また、図155のように1つのシンボル796a,796b,796c毎にガード時間797a,797b,797cの時間幅を変化させた時間配置をとることにより3層のマルチパスに対する階層型の多値伝送が実現する。図155の時間配置にするとA層、B層、C層のデータが時間軸上に分散する。このため特定時間に発生するバーストノイズが発生しても各層のデータにインターリーブをかけることによりデータの破壊が防止されTV信号が安定して復調できるという効果がある。特にA層のデータを分散させインターリーブをかけることにより車載TV受信時に発生する他の自動車の点火装置から発生するバーストノイズの妨害を大幅に低減できる。
この場合の具体的なECCエンコーダー744jとECCデコーダー749jのブロック図を図160(a)(b)にそれぞれ示す。また図167にデ・インターリーブ部936bのブロック図を示す。デ・インターリーブ部936bのデ・インターリーブRAM936aの中で処理されるインターリーブテーブル954を図168(a)で示し、インターリーブ距離L1を図168(b)に示す。
こうしてデータをインターリーブすることによりバーストノイズの妨害を軽減することができる。図161のVSB受信機のブロック図と図162のVSB送信機のブロック図に示すように実施例4、5、6等で説明した4VSBや8VSBや16VSBの伝送装置や実施例1、2等で説明したQAMやPSK伝送装置に用いることにより、バーストノイズの妨害を軽減できるため、地上放送においてノイズの少ないTV受信ができるという効果がある。
図155の方式により3階層の階層放送を行うことによりA層は前述のマルチパス、C/N劣化に加えてバーストノイズの妨害を低減できるため車載TV受信機やポケットTV等の移動局によるLDTVグレードのTV受信を安定させるという効果がある。
本発明はASK,QAM,PSK、OFDMの変調方式を用いて実施例を説明したが他の変調方式でも同様の効果がえられる。またパーシャルレスポンスを用いることにより記録系のみならず伝送系でもエラーレートを下げることができる。
本発明の多値伝送方式の一つの特徴は周波数利用効率を向上させるものであるが一部の受信機にとっては電力利用効率がかなり低下する。従って全ての伝送システムに適用できるものではない。例えば特定受信者間の衛星通信システムならその時期に得られる最高の周波数利用効率と最高の電力利用効率の機器にとりかえるのが最も経済性が高い方法である。このような場合必ずしも本発明を使う必要はない。
しかし、衛星放送方式や地上放送方式の場合は本発明のような階層型伝送方式が必要である。なぜなら衛星放送の規格の場合50年以上の永続性が求められる。この期間、放送規格は変更されないが技術革新に伴い衛星の送信電力は飛躍的に向上する。放送局は数十年後の将来において現時点においても製造された受信機がTV番組を受信視聴できるように互換性のある放送を行わなければならない。本発明を用いると既存のNTSC放送とHDTV放送との互換性と将来の情報伝送量の拡張性という効果が得られる。
本発明は電力効率よりも周波数効率を重視したものであるが、受信機側に各伝送段階に応じて設計受信感度を設けた各々、何種類かの受信機を設定することにより送信機の電力をさほど増やす必要はなくなる。このため現在の電力の小さい衛星でも充分送信可能である。また将来、送信電力が増大した場合でも同一の規格で伝送できるため将来の拡張性と、新旧の受信機との間の互換性が得られる。以上述べたように本発明は衛星放送規格に用いた場合、顕著な効果がえられる。
また本発明の多値伝送方式を地上放送に用いた場合、電力利用効率を全く考慮する必要がないため衛星放送より本発明は実施しやすい。前述のように従来のデジタルHDTV放送方式では存在したサービスエリア内の受信不能地域を大巾に減少させるという顕著な効果と前述のNTSCとHDTV受信機もしくは受像機の両立性の効果がある。またTV番組のスポンサーからみた場合のサービスエリアが実質的に拡大するという効果もある。なお、実施例ではQPSK、16QAM、32QAMと4VSB、8VSB、16VSBの変調方式を用いた例を用いて説明したが、64QAM、128QAM、256QAMや32VSB、64VSB等に適用できることはいうまでもない。また、図を用いて説明したように多値のPSKやASKやFSKに適用できることもいうまでもない。本発明とTDMを組み合わせて伝送する実施例を説明したが、FDM,CDMAや拡散通信方式を組み合わせて伝送することもできる。
本発明の多値伝送方式の一つの特徴は周波数利用効率を向上させるものであるが一部の受信機にとっては電力利用効率がかなり低下する。従って全ての伝送システムに適用できるものではない。例えば特定受信者間の衛星通信システムならその時期に得られる最高の周波数利用効率と最高の電力利用効率の機器にとりかえるのが最も経済性が高い方法である。このような場合必ずしも本発明を使う必要はない。
しかし、衛星放送方式や地上放送方式の場合は本発明のような多値伝送方式が必要である。なぜなら衛星放送の規格の場合50年以上の永続性が求められる。この期間、放送規格は変更されないが技術革新に伴い衛星の送信電力は飛躍的に向上する。放送局は数十年後の将来において現時点においても製造された受信機がTV番組を受信視聴できるように互換性のある放送を行わなければならない。本発明を用いると既存のNTSC放送とHDTV放送との互換性と将来の情報伝送量の拡張性という効果が得られる。
本発明は電力効率よりも周波数効率を重視したものであるが、受信機側に各伝送段階に応じて設計受信感度を設けた各々、何種類かの受信機を設定することにより送信機の電力をさほど増やす必要はなくなる。このため現在の電力の小さい衛星でも充分送信可能である。また将来、送信電力が増大した場合でも同一の規格で伝送できるため将来の拡張性と、新旧の受信機との間の互換性が得られる。以上述べたように本発明は衛星放送規格に用いた場合、顕著な効果がえられる。
また本発明の多値伝送方式を地上放送に用いた場合、電力利用効率を全く考慮する必要がないため衛星放送より本発明は実施しやすい。前述のように従来のデジタルHDTV放送方式では存在したサービスエリア内の受信不能地域を大巾に減少させるという顕著な効果と前述のNTSCとHDTV受信機もしくは受像機の両立性の効果がある。またTV番組のスポンサーからみた場合のサービスエリアが実質的に拡大するという効果もある。なお、実施例では16QAMと32QAMの変調方式を用いた例を用いて説明したが、64QAMや128QAMや256QAM等に適用できることはいうまでもない。また、図を用いて説明したように多値のPSKやASKやFSKに適用できることもいうまでもない。
以上のように本発明は、信号入力部と、位相の異なる複数の搬送波を上記入力部からの入力信号により変調し信号ベクトル図上になるm値の信号点を発生させる変調部と、変調信号を送信する送信部からなりデータ伝送を行う伝送装置においてn値の第1データ列と第2データ列を入力し、上記信号をn個の信号点群に分割し、該信号点群の各々第1データ列のデータに割りあて上記信号点群の中の各信号点に第2データ群の各データを割りあて、送信する送信機により信号を送信し、該送信信号の入力部と、信号スペースダイヤグラム上でp値の信号点のQAM変調波を復調する復調器と出力部を有する受信装置において上記信号点をn値の信号点群に分割し、各信号点群n値の第1データ列を対応させて復調し、信号点群の中の略々p/n値の信号点にp/n値の第2データ列のデータを復調再生し、受信装置を用いてデータを伝送することにより、例えば送信機1の変調器4により、n値の第1データ列と第2データ列と第3データ列を信号点群にデータを割りあてて変形m値のQAM変調信号を送信し、第1受信機23では、復調器25によりn値の第1データ列を、第2受信機33では第1データ列と第2データ列を、第3受信機43では第1データ列、第2データ列、第3データ列を復調することにより、効果として最大m値のデータを変調した多値変調波をn<mなるn値の復調能力しかない受信機でもn値のデータを復調可能とした両立性と発展性のある伝送装置が得られる。さらに、QAM方式の信号点のうち最も原点に近い信号点とI軸もしくはQ軸との距離をfとした場合、この距離がn>1なるnfとなるように上記信号点をシフトさせることにより、階層型の伝送が可能となる。
この伝送系にNTSC信号を第1データ列、HDTVとNTSCとの差信号を第2データ列として送信することにより、衛星放送においてはNTSC放送とHDTV放送との両立性があり、情報量の拡張性の高いデジタル放送が可能となり、地上放送においてはサービスエリアの拡大と受信不能地域の解消という顕著な効果がある。