JP3881581B2 - 下着用肩ひも - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、女性の下着に用いられる肩ひもの技術分野に属し、特に、装飾され交換可能な下着の肩ひもの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、隠す下着から見せる下着へと女性の意識が変化している。例えば実用新案登録第3079358号は、いきいきとまぶしい美感の視覚効果を有する女性用下着の肩ひもを教示する。それによれば、例えばポリウレタン等の透明な素材で肩ひもを作り、その中に中空の収容スペースを1重又は2重に形成する。そして、その収容スペースに、金糸や蛍光粉等を素材として月や星や花の形に形成した多数の細かな装飾物を分散した液体を充填する。こうすることで、それまでは見えると恥ずかしいという意識のあった下着の肩ひもが、見えてもかまわないもの、あるいはむしろわざと人に見せてファッションを楽しむもの、というふうに、それだけで消費者の購買意欲を高揚させ、単独で市場取引可能な1つの商品、すなわち服飾装身具に転換する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記技術に係る肩ひもの場合、多数の細かな装飾物を分散した液体を内包するから、肩ひもが破れたり切れたりしたときには、その液体が外部に漏れ、身体や上着に飛び散り、これらを汚し、後始末が大変である。また、1片の装飾物のそれぞれは、月や星や花等の意匠性のある形状をしているが、液体の中で浮かんでいるため、個々の場所が一定せず、全体で何か一定形状の図柄(例えば文字やロゴマーク等)を表示させることはできない。さらに、肩ひもの中に筒状の中空スペースを形成し、そのスペース内に液体を注入するから、製造工程が長大複雑化し、製造コストが高くなるうらみもある。
【0004】
そこで、本発明は、破損時の周囲の汚染度合いが少なくて済み、一定形状の図柄が表示でき、しかも安価で、個性的な見栄えを有する下着用肩ひもを提供することを課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を詳しく説明する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、帯状の下着用肩ひもであって、光の反射による視覚効果を有するフィルム材と、該フィルム材を完全に内包するように被覆する無色又は有色の透明又は半透明の被覆材とで構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る下着用肩ひもは、固体のフィルム材を被覆材で完全に内包するように被覆した構成である。よって、もし下着用肩ひもが破れたり切れたりしても、液体が外部に漏れるようなことがなく、身体や衣服を汚さない。また、フィルム材が固体であるから、例えば該フィルム材自体の形状を所定の文字やロゴマーク等に形成すれば、安定した一定形状の図柄が簡単に得られる。また、フィルム材を被覆材で被覆したシンプルな構造であるから、製造が容易で、コストの抑制が図られる。
【0007】
その上で、フィルム材がきらきらと光り輝く視覚効果を有するフィルム材であり、かつ被覆材が外部から内側を透かして観察することのできる被覆材であるから、両者の外観が相俟って、意匠性に優れ、見栄えのよい、従来にない個性的な下着用肩ひもが提供される。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、フィルム材はマジカルフィルム又はホログラムフィルムでなることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、光の反射による視覚効果がとりわけ特徴的な下着用肩ひもが提供される。すなわち、マジカルフィルムを用いると、鏡面のような滑らかな金属光沢が発現されると同時に、見る角度によって光沢の色が変わり、また裏が透き通って見え、幻影的な図柄が得られる。一方、ホログラムフィルムを用いると、これも見る角度によって虹色・玉虫色に多彩に光り輝く動的な光反射効果が得られる。いずれも本発明に係る下着用肩ひもの意匠性・顕著性をより一層際立たせる。なお、上記両フィルム材は、一般に、上記名称で市場において商業的に入手可能である。
【0012】
なお、本発明に係る下着用肩ひもは、例えば被覆材が樹脂である場合、プラスチックの押出成形技術、特に多層押出成形技術によって製造することが可能である。押出成形技術によれば、キャミソールやブラジャー等の下着の肩ひもを、容易かつ安価に製造することができる。以下、発明の実施の形態を通して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る下着用肩ひもをキャミソール1の肩ひも10,10に適用した例を示す。左右の肩ひも10,10はそれぞれキャミソール1の本体1aに対して着脱自在であり、肩ひも10,10だけを交換することができる。その結果、キャミソール本体1aはそのままで、肩ひも10だけを取り替えることにより、TPOに応じた何パターンものファッションを楽しむことができる。よって、この肩ひも10は、消費者の購買意欲を高揚させ、単独で十分な商品価値を具備する。
【0014】
肩ひも10をキャミソール本体1aに対して着脱自在とする構成は特に限定されず、いずれの周知技術も採用可能である。本実施形態では、図2に拡大して示すように、フックとリングとを用いている。すなわち、肩ひも10の前後の端部11,11にフック11a,11aを取り付け、キャミソール本体1aの対応部位にリング1b…1bを設けて、フック11aをリング1bに通して係止している。なお、本実施形態では、肩ひも10は樹脂製であり、同じく樹脂製のフック11aを熱溶着や接着剤で肩ひも10の端部11に取り付けてある。一方、リング1bは布材を縫製したものであり、キャミソール本体1aに縫い付けてある。もちろん、上記に代えて、例えばボタンとボタン穴、ホックとホック穴等を用いて、肩ひも10を着脱自在とすることもできる。
【0015】
図2に示すように、この肩ひも10は、基本的構成として、光の反射による視覚効果を有する帯状のフィルム16を無色透明の被覆材15で内包している。被覆材15の素材としては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン、軟質塩化ビニル等が好ましく使用可能である。本発明者の知見によれば、肌触り、フィルム16との接着性、その余の点でウレタン樹脂が最適である。被覆材15は、内包したフィルム16が外部から観察可能であれば、透明度は問題とならず、例えば半透明であってもよい。また、同じく、内包したフィルム16が外部から観察可能であれば、無色に限定する必要はなく、例えば青や緑等に着色されていても構わない。被覆材15の素材は、またもちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でいずれの素材も採用可能であり、樹脂に限定されるものではない。
【0016】
一方、光反射効果を有するフィルム16としては、例えばマジカルフィルムやホログラムフィルムが好ましく使用可能である。両フィルム材とも市場で上記名称により商業的に入手可能であり、それぞれ光の反射による特徴的な視覚効果を具備する。マジカルフィルムは、例えば複数のポリエステル薄膜を延伸軸をずらす等しながら積層した構造を有し、鏡面のような滑らかな金属光沢が発現されると同時に、見る角度によって光沢の色が変わり、またある角度から観察すると裏が透き通って見える。一方、ホログラムフィルムは、例えばポリエステルフィルム上にアルミニウムを蒸着し、その表面に微細なエンボス加工を施した構造で、やはり見る角度によって虹色・玉虫色に多彩に動的に光り輝く特徴的な光反射の視覚効果が得られる。光反射フィルム16も、またもちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でいずれのフィルム材も採用可能であり、上記両フィルム材に限定されるものではない。
【0017】
このように、この肩ひも10においては、フィルム16自体が光の反射による特徴的な視覚効果を有すると共に、被覆材15を透かして該フィルム16を外部から観察することができるから、被覆材15の外観と光反射フィルム16の外観とが相俟って、例えば該フィルム16をそのまま観察したときよりも意匠性・顕著性に富み、見栄えに優れ、個性的な外観の肩ひも10となる。加えて、この肩ひも10においては、固体のフィルム16を固体の被覆材15で完全に内包した構成であるから、万が一、肩ひも10が破れたり切れたりしても、内容物が細かく飛散したり液体が漏れ出すようなことがなく、よって身体やキャミソール本体1aあるいは他の衣服を著しく汚染することがない。
【0018】
本実施形態で採用する光反射フィルム16は、図2に示すように、透明なポリエステルフィルム上に部分的に一定間隔でホログラム17…17を並設したものである。各ホログラム17はそれぞれ花の形を呈し、安定した一定形状の図柄を提供している。このようなフィルム16は例えば次のようにして容易に製造することができる。まず、ポリエステルフィルムの片面に印刷インキ(無色又は有色及び透明又は半透明)で花の形を一定間隔で印刷する。ホログラムを全面的にベタ形成したホログラムフィルムをその上に押し付けて剥がすと、インキの粘着力により、インキの部分にのみホログラムが花の形に転移する。これにより、ポリエステルフィルムの片面に、インキと、ホログラムとが、この順に部分的に積層した帯状の光反射フィルム16が得られる。
【0019】
図3に示すように、光反射フィルム16は、肩ひも10のオモテ側に透明なポリエステルフィルムが配置され、ウラ側にインキ及びホログラム17が配置されるように内包されている。これにより、肩ひも10をオモテ側から観察したときに、被覆材15、ポリエステルフィルム、及びインキを透かして花の形のホログラム17が光り輝いて見える。このとき、被覆材15のみならず、ポリエステルフィルム及びインキの透明度や色彩をいろいろに組み合わせることにより、種々印象の異なる図柄を得ることができる。もちろん、このように図柄17…17をフィルム16上に部分的に形成しなくても、例えば全ベタのマジカルフィルムやホログラムフィルム自体の形状を所定の文字やロゴマーク等に形成してもよい。
【0022】
この肩ひも10は、樹脂を素材とする被覆材15で、帯状のフィルム16を長手方向に沿って完全に内包した構成であるから、製造が容易でコストが抑制できるという利点がある。この肩ひも10の製造方法としては、予め帯状に成形した被覆材15や光反射フィルム16等の構成部材を重ね合わせて熱で溶着する方法や、接着剤で接着する方法等の他、例えばプラスチックの押出成形技術、特に、クロスヘッドダイを用いた多層押出成形技術、あるいは押出ラミネーション方式による多層押出成形技術を採用することが可能である。このような押出成形技術によれば、本実施形態のような下着1の肩ひも10を確実に容易かつ安価に製造することができる。
【0023】
図4に示すように、この肩ひも10をブラジャー2の肩ひもに使用してもよい。もちろん、この場合も、肩ひも10はブラジャー本体2aに対して両端部11,11で着脱自在である。これにより、同一の下着に対して複数の肩ひも10を交換することも、同種の下着間で肩ひも10を交換することも、また異種の下着間で肩ひも10を交換することも可能となる。下着は他にもスリップ等でもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、破損時の周囲への汚染度合いが少なくて済み、一定形状の図柄が表示でき、しかも安価で、個性的な見栄えの下着用肩ひもが提供される。本発明は、交換可能なキャミソールやブラジャー等の女性用下着の肩ひもへの幅広い利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る下着用肩ひもを装着したキャミソールの正面図である。
【図2】 上記下着用肩ひもとキャミソール本体との連結部分の拡大図である。
【図3】 図2のア−ア線による拡大断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る下着用肩ひもを装着したブラジャーの正面図である。
Claims (2)
- 帯状の下着用肩ひもであって、光の反射による視覚効果を有するフィルム材と、該フィルム材を完全に内包するように被覆する無色又は有色の透明又は半透明の被覆材とで構成されていることを特徴とする下着用肩ひも。
- フィルム材はマジカルフィルム又はホログラムフィルムでなることを特徴とする請求項1に記載の下着用肩ひも。
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