JP3879487B2 - 映像出力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスプレイ装置との間で、映像の形状や解像度等の表示形式、その他の制御情報の通信を行い、更に映像信号及び同期信号等をデジタルデータで送出する事が可能な映像出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータシステムで使用されるディスプレイ装置としては、単一の映像表示形式にのみ対応するものと、複数種類の映像表示形式に対応して動作が可能な所謂マルチスキャン方式のディスプレイ装置とがある。また、コンピュータのディスプレイ出力においては、解像度(表示画素数)、垂直及び水平走査周波数等の映像表示形式が選択できるように構成されているものが一般的である。
【0003】
上記のような、映像表示形式が選択可能なコンピュータとマルチスキャン方式のディスプレイ装置を接続してコンピュータシステムを構成する場合、接続されているディスプレイ装置で対応可能な映像表示形式の情報等をコンピュータが取得できる事が望ましい。コンピュータ側において、接続されたディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に合わせて、出力する映像信号の解像度(表示画素数)や垂直及び水平走査周波数等の映像表示形式を自動的に設定する、等の処理が可能となるからである。
【0004】
上記処理を実現する技術として、特許第2635837号公報や特許第2815339号公報等に記載されている技術が知られている。上記公報に記載の技術によれば、コンピュータが、接続されているディスプレイ装置の内部に搭載された不揮発メモリに記憶されている制御データを読み出す事により、常に上記ディスプレイ装置に適した映像表示形式で映像を出力する事が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、民生用映像機器のデジタル化が進んでおり、機器間のインタフェースもデジタル伝送による方式が多く検討されるようになっている。特に液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等、映像信号をデジタルデータのまま処理可能なディスプレイ装置の登場により、デジタルインタフェースは一層重要視されてきている。また、デジタル放送では解像度や垂直及び水平走査周波数の異なる多くの映像表示形式を規格として定義しているため、上記デジタル放送を受信するためのデジタルチューナとディスプレイ装置(テレビ等)との間では、解像度や垂直及び水平走査周波数の異なる多くの映像表示形式の映像データが送受可能である事が要求される。
【0006】
このため、上記従来例に記載されている技術を、コンピュータシステムに限らず、デジタルチューナとテレビのような民生機器で構成されるシステムに対しても適用する事が有効である。但し、コンピュータシステムにおいては、基本的にコンピュータとディスプレイ装置とが1対1で接続されるが、上記のようなデジタルチューナとテレビとの接続では、複数対1や1対複数という接続も頻繁に行われる。
【0007】
しかし、上記公報に記載の技術は、民生機器で頻繁に行われる複数対1や1対複数という接続に対する考慮はなされていない。
【0008】
本発明の目的は、民生機器で頻繁に行われる複数対1や1対複数という接続を行ったシステムにおいても、ディスプレイ側から制御情報を取得する事により、常に接続されたディスプレイ装置に適した映像表示形式で映像を出力する事を可能とする技術を提供する事である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明に係る映像出力装置は、映像データの表示形式を変換可能なスキャン変換回路と、上記スキャン変換回路に入力される映像データと上記スキャン変換回路から出力された映像データの一方を選択して出力する選択器と、複数の映像表示装置と接続可能であって、上記選択器から出力された映像データを前記各映像表示装置へ供給するための複数組の入出力端子と、制御回路とを備え、上記制御回路は、上記複数組の入出力端子のそれぞれに接続された映像表示装置から、その映像表示装置が対応可能な映像データの表示形式に関する情報を、上記入出力端子を介して取得し、上記取得した上記表示形式に関する情報に、上記複数の映像表示装置に共通する表示形式が含まれる場合には、該共通の表示形式で映像データを出力するように上記スキャン変換回路を制御し、かつ上記取得した上記表示形式に関する情報に応じて、上記各映像表示装置に対して上記スキャン変換回路の入力映像データと出力映像データのいずれか一方を個別に供給可能なように、上記選択器を制御することを特徴とするものである。
【0010】
上記制御回路は、上記共通表示形式が複数存在する場合は、該共通する複数の表示形式のうち、最も精細度の高い表示形式で映像データを生成するように上記スキャン変換回路を制御するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の映像出力装置の実施例と複数のディスプレイ装置からなるシステム構成の1例を説明するブロック図である。図において、100は本発明の映像出力装置であり、本実施例ではデジタル放送受信用チューナであるものとする。101、102、103はテレビ等のディスプレイ装置との接続が可能な入出力端子であり、それぞれデジタル化された映像データ及び同期データ、その他の制御信号を出力する接点群x、ディスプレイ装置の接続状態を判別するための判別信号を入力する接点群y、接続されたディスプレイ装置との間で制御データ等の入出力を行うための接点群zとを含む。
【0012】
110はアンテナや屋内ケーブル(但し図示無)からデジタル放送波を入力し、復調、デコード等の処理を行い、チャンネル若しくは番組毎に定められた所定の映像表示形式(解像度、垂直及び水平走査周波数等)で映像データの出力を行う映像出力回路である。
【0013】
120は後述の制御回路からの指示に従って、映像出力回路110から出力された映像データの映像表示形式を適宜変換可能なスキャン変換回路である。140は映像出力装置100各部の制御を行う制御回路であり、141は制御回路140で処理した演算結果等を一時的に記憶するためのメモリである。151、152、153はスキャン変換回路120から出力された映像データ及び同期データ、その他の制御信号を所定の伝送方式で出力するための処理を行う出力回路、161、162、163はそれぞれ出力端子101、102、103に接続されたディスプレイ装置にコマンド信号等の制御データを送信するためのドライバ、171、172、173はそれぞれディスプレイ装置から送られてくる制御データの受信処理を行うレシーバである。
【0014】
また、200a、200b、200cはディスプレイ装置であり、例えば液晶ディスプレイ、プラズマテレビ、ブラウン管型テレビ等の他、コンピュータ用モニタも適用可能である。本実施例では上記ディスプレイ装置をブラウン管型テレビであるものとし、図2に上記ブラウン管型テレビの構成例のブロック図を示す。
【0015】
図2において、200はブラウン管型テレビである。201は本発明の映像出力装置100との接続が可能な入出力端子であり、デジタル化された映像データ及び同期データ、その他の制御信号を入力する接点群201x、接続状態判別に使用するための判別信号を映像出力装置100に出力する接点群201y、映像出力装置100との間で制御データ等の入出力を行うための接点群201zとを含む。
【0016】
210は映像信号処理回路であり、入出力端子201から入力した映像データ及び同期データに対して、同じく入出力端子201から入力した制御信号や後述のモニタ制御回路からの制御に基づいて適切な処理を施し、映像データ及び同期データはアナログの映像信号及び垂直、水平同期信号に変換して、後述の陰極線管に出力する。220は映像信号を可視表示する陰極線管(CRT)であり、映像信号処理回路210から出力されたアナログ映像信号の表示を、垂直、水平同期信号による電子ビーム走査の制御により行う。なお、本発明の映像出力装置100に接続されるディスプレイ装置が液晶ディスプレイ、プラズマテレビ等の場合は、図2の陰極線管220が液晶パネルやプラズマパネルになり、更に映像信号処理回路210におけるアナログ映像信号及び垂直、水平同期信号への変換処理等は不要となるが、その他の構成は概略同様の物となる。
【0017】
230は本発明の映像出力装置100から送られたコマンド信号等の制御データの受信処理を行う受信回路であり、例えば上記コマンド信号等の制御データがシリアル伝送されてくるのであれば、ここでシリアル/パラレル変換等も行われる。240は上記制御データのコマンド信号を復号する指令復号回路である。250はブラウン管型テレビ200に関する各種情報がデジタルデータの形で格納されている制御データメモリであり、ブラウン管型テレビ200で対応可能な映像表示形式(解像度、垂直及び水平走査周波数等のデータ)等の情報はこのメモリに格納されている。260は制御データメモリ250から出力された制御データを所定の伝送方式に適したデータ形式に変換する処理を行う情報処理回路である。270は送信回路、280はブラウン管型テレビ200各部の制御を行うモニタ制御回路である。
【0018】
本発明の映像出力装置100の制御回路140は、常時入出力端子101、102、103を監視しており、ディスプレイ装置が新たに接続された場合、若しくは既に接続されているディスプレイ装置が未稼動状態から稼動状態に移行した場合に、ディスプレイ装置の制御データメモリに格納されている制御データをメモリ141に読み込むように動作する。
【0019】
上記処理の1例として、映像出力装置100の入出力端子101に新たにブラウン管型テレビ200が接続された場合について、簡単に説明する。
【0020】
制御回路140と接点群yとを接続する信号線を、例えば抵抗を介して接地させておく。一方、図2のブラウン管型テレビ200のモニタ制御回路280は、入出力端子201の接点群201yに対して常にHレベルの信号を出力するようにしておく。上記処理により、ブラウン管型テレビ200の接続がなされていない状態では制御回路140と上記接点群yとを接続する信号線はLレベルとなり、ブラウン管型テレビ200が接続されるとHレベルとなる。したがって、上記制御回路140と接点群yとを接続する信号線を常時監視しておく事により、制御回路140はブラウン管型テレビ200が新たに接続された事を認識する事が可能となる。なお、入出力端子201の接点群201yを単純に電源ラインに接続しておくだけでも上記処理は実現可能である。
【0021】
同様に、ブラウン管型テレビ200のモニタ制御回路280が、入出力端子201の接点群201yに対して、上記ブラウン管型テレビ200が稼動状態にないときにはLレベルの信号を出力しておき、稼動状態にある場合にはHレベルの信号を出力するように制御を行えば、本発明の映像出力装置100の制御回路140がブラウン管型テレビ200の未稼動状態から稼動状態への移行を検知する事が可能となる。
【0022】
制御回路140は、ブラウン管型テレビ200の接続(或いは稼動状態への移行)を検知すると、上記ブラウン管型テレビ200に対して、ドライバ161を介してコマンドを送信する。コマンドは予め多数種類用意しておく事が可能であるが、この時点で送信するコマンドは、ブラウン管型テレビ200の制御データメモリ250に格納されている対応可能な映像表示形式に関する制御データを読み出す事を指示するコマンドである。
【0023】
ブラウン管型テレビ200では、映像出力装置100から送信されてきたコマンド信号を、受信回路230を介して指令復号回路240に入力し、ここでコマンドの翻訳を行う。その結果、モニタ制御回路280は、送信されてきたコマンド信号が制御データメモリ250に格納されている対応可能な映像表示形式に関する制御データを読み出す事を指示する内容である事を認識し、情報処理回路260に対して、制御データメモリ250に格納されている対応可能な映像表示形式に関する制御データを読み出して送信回路270を介して映像出力装置100に出力するように指示を行う。
【0024】
映像出力装置100の制御回路140は、レシーバ171を介して受信したブラウン管型テレビ200(図1ではディスプレイ装置200a)の対応可能な映像表示形式に関する制御データを取得して、メモリ141に記憶させる。
【0025】
以上説明した一連の処理により、本発明の映像出力装置100の制御回路140は、ブラウン管型テレビ200の制御データメモリ250に格納されている制御データをメモリ141に読み込む事が可能となる。更に、上記説明の処理を映像出力装置100の入出力端子101、102、103のそれぞれに施す事により、制御回路140はメモリ141内にディスプレイ装置200a、200b、200cの各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に関する制御データを揃える事ができる。
【0026】
入出力端子101、102、103に接続された各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に関する制御データをメモリ141に揃えた制御回路140は、次に上記メモリ141を参照して、スキャン変換回路120における映像データの表示形式変換処理を適宜制御する。
【0027】
図3及び図4を用いて、スキャン変換回路120で行う映像データの表示形式変換処理を説明する。図3において、301は図1のディスプレイ装置200aから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データ、302はディスプレイ装置200bから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データ、303はディスプレイ装置200cから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データである。また図4においても同様に、401は図1のディスプレイ装置200aから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データ、402はディスプレイ装置200bから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データ、403はディスプレイ装置200cから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データである。
【0028】
図3に示した例では、制御回路140はメモリ141を参照し、ディスプレイ装置200aは1920x1080p〜720x576iの7種類の映像表示形式に対応可能であり、ディスプレイ装置200bは1920x1080i〜720x576iの5種類の映像表示形式に対応可能であり、ディスプレイ装置200cは1920x1080i〜720x480iの3種類の映像表示形式に対応可能である事を把握する。更に制御回路140は、スキャン変換回路120に対して、映像出力回路110から出力された映像データの表示形式を、上記3つのディスプレイ装置200a、200b、200cに共通で対応可能な映像表示形式である1920x1080i、720x480p、720x480iの何れかに変換するように指示を行うようにする。本実施例では最も解像度が高くなる1920x1080iの映像表示形式への変換を指示している。なお、いうまでもなく、映像出力回路110から出力される映像データの表示形式が1920x1080iの場合には表示形式変換処理は行わずにそのまま出力する。また、映像出力回路110から出力される映像データの表示形式が720x480iである場合、スキャン変換回路120に対して、720x480iの映像データを出力するように(即ち、表示形式の変換処理を行わず、そのまま出力するように)指示を行っても良い。この場合、スキャン変換回路120における表示形式変換処理に伴う画質劣化を回避する事が可能となる。
【0029】
また各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式が図4に示すような場合には、制御回路140はスキャン変換回路120に対して、映像出力回路110から出力された映像データの表示形式を720x480pの映像表示形式へ変換するように指示する。
【0030】
以上説明したような処理を施す事により、映像出力回路100においては、接続されたディスプレイ装置の全てにおいて映像データ出力の表示が可能となるようにスキャン変換回路120を制御する事が可能となる。
【0031】
なお、上記で説明したように、本発明の映像出力装置100では、ディスプレイ装置が新たに接続された事、若しくは既に接続されているディスプレイ装置が未稼動状態から稼動状態に移行した事を検知している。いうまでもなく、映像出力装置100にディスプレイ装置が一切接続されていない場合、或いは接続されていても稼動状態に無い場合には、映像出力装置内部において、例えばスキャン変換処理を行っても無意味であるばかりか電力の無駄となり、好ましくない。したがって、ディスプレイ装置が一切接続されていない場合、或いは接続されていても稼動状態に無い場合には、映像出力回路110やスキャン変換回路120への電力供給を停止しておき、ディスプレイ装置が新たに接続された事、若しくは既に接続されているディスプレイ装置が未稼動状態から稼動状態になった事を検知して、上記映像出力回路110やスキャン変換回路120への電力供給を開始するようにすれば、使い勝手が向上し、且つ省電力も実現できる。
【0032】
また図1において、例えば、入出力端子101及び102にのみディスプレイ装置が接続され、入出力端子103にディスプレイ装置が接続されていない(200cが存在しない)場合には、制御回路140は入出力端子103に対してコマンド信号の送信及び制御データの取得処理は行わず、したがって、スキャン変換回路120の制御もディスプレイ装置200aから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データ及びディスプレイ装置200bから取得した対応可能な映像表示形式に関する制御データのみを参照して行う事になる。
【0033】
なおこの場合、出力回路151、152、153におけるデータ出力処理を制御回路140からそれぞれ独立に制御する事が可能な構成とする事により、ディスプレイ装置の接続されていない入出力端子103に対しては映像データ及び同期データ、その他の制御信号等の出力を停止させる事が可能となる。この結果、省電力や開放された端子からのデジタルノイズの漏洩防止等の効果も実現できる。
【0034】
デジタル化された映像データ等を送受するインタフェースではコンテンツの著作権問題が重要であり、不正コピーを防ぐために映像データにコピープロテクションを施す場合がある。この場合、映像出力装置は図5に示す第2の実施例のような構成となる。
【0035】
図5において、500は本発明の映像出力装置であり、530はスキャン変換回路120から出力された映像データを所定の暗号鍵に基づいて暗号化する暗号化回路、540は映像出力装置500各部の制御を行う制御回路である。また、その他図1と同一番号を有するものは図1と同様の動作をするものとし、詳細の説明を省略する。
【0036】
本構成例でも上記説明の第1の実施例と同様の効果を得る事が可能である。なお、一般的に暗号化されたデータを送受するインタフェースでは暗号鍵そのものの送受は行わず、暗号鍵を生成するための元となる種信号を送受するが、本発明の映像出力回路500では上記種信号を映像データ及び同期データ等と共に接点群xから出力しても良いし、ドライバ161等を介して接点群zから送信しても良い。
【0037】
第3の実施例を、図6を用いて説明する。図6において、600は本発明の映像出力装置の第1及び第2の実施例と異なる構成例であり、640は映像出力装置600各部の制御を行う制御回路である。681、682、683はそれぞれ映像出力回路110から出力される映像データとスキャン変換回路120から出力される映像データとを入力し、一方を選択出力する選択器である。また、その他図1と同一番号を有するものは図1と同様の動作をするものとし、詳細の説明を省略する。
【0038】
映像出力装置600を本実施例のような構成とする事により、入出力端子毎に、映像出力回路110から出力される映像データとスキャン変換回路120で映像表示形式を変換された映像データの何れかを選択して出力する事が可能となる。したがって、例えば図7に示すように、映像出力回路110から出力される映像データの表示形式が720x480pであり、ディスプレイ装置200aの対応可能な映像表示形式が1920x1080p〜720x576iの7種類、ディスプレイ装置200bの対応可能な映像表示形式が1920x1080i〜720x576iの5種類、ディスプレイ装置200cの対応可能な映像表示形式が1280x720pと720x480pの2種類である場合には、制御回路640は、選択器681と682に対してはスキャン変換回路120で映像表示形式を720x480pから1920x1080iに変換した映像データを選択出力するように制御を行い、一方選択器683に対しては映像出力回路110から出力された映像データを選択出力するように制御する。
【0039】
上記説明のような処理を行う事により、ディスプレイ装置200a、200b、200cの各ディスプレイ装置に共通する対応可能な映像表示形式が存在しない場合でも接続された全てのディスプレイ装置で映像表示を行う事が可能であり、更に上記説明のように、各ディスプレイ装置に共通する対応可能な映像表示形式が低解像度の映像表示形式(図7では720x480p)である場合、接続されたディスプレイ装置の一部においてはディスプレイ装置の性能を生かす高解像度の映像表示形式(図7では1920x1080i)を有効に活用する事が可能となる。
【0040】
上記で説明した、本発明の映像出力装置(例えば図1の100)は何れも映像データの映像表示形式を適宜変換可能なスキャン変換回路120を内蔵している。一方、解像度や垂直及び水平走査周波数の異なる多くの映像表示形式を規格として定義しているデジタル放送に対応したディスプレイ装置では、やはりスキャン変換処理可能な回路を内蔵しているのが一般的である。(例えば、図2に示したブラウン管型テレビ200の場合、映像信号処理回路210において上記スキャン変換処理を行う。)
したがって、本発明の映像出力装置と上記ディスプレイ装置とを接続した場合、映像出力装置側とディスプレイ装置側とで、二重に映像表示形式の変換処理が施されてしまう可能性があり、この場合、当然ながら映像データの画質劣化を生じてしまう。即ち、映像データへの映像表示形式変換処理の適用は映像出力装置側とディスプレイ装置側との何れか一方においてのみ行うようにする事が望ましい。
【0041】
映像出力装置側のスキャン変換回路において映像表示形式の変換処理を行うか、ディスプレイ装置側において映像表示形式を変換するかは、映像出力装置側のスキャン変換回路の映像表示形式変換処理性能を考慮して、適宜決定すれば良い。
【0042】
一般的に、ディスプレイ装置(テレビ等)に内蔵されるスキャン変換処理可能な回路は高性能である場合が多い。したがって、映像出力装置のスキャン変換回路における映像表示形式の変換処理性能と比較して、ディスプレイ装置(テレビ等)に内蔵されるスキャン変換処理可能な回路の性能がより高いと判断される場合には、ディスプレイ装置側のスキャン変換処理を優先的に採用するようにする。この場合の、映像表示形式の変換処理方針の決定手順を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず映像出力装置の制御回路が、接続されているディスプレイ装置から取得した上記ディスプレイ装置で正しく表示する事が可能な映像表示形式に関する制御データを参照し(801)、映像出力装置側のスキャン変換回路で映像表示形式の変換処理を行わずに出力した映像データを上記ディスプレイ装置が正しく表示できるか否かを調査する(802)。その結果、映像出力装置側のスキャン変換回路で映像表示形式の変換処理を行わずに出力した映像データを、上記ディスプレイ装置が正しく表示できると判断した場合には、映像出力装置側の制御回路はスキャン変換回路に対して、映像表示形式の変換処理を行わないように指示を行う(804)。
【0044】
一方、映像出力装置側のスキャン変換回路で映像表示形式の変換処理を行わずに出力した映像データを、上記ディスプレイ装置が正しく表示できないと判断した場合には、次に、ディスプレイ装置側における映像表示形式変換処理を必要としない映像表示形式への変換が、映像出力装置側のスキャン変換回路において可能か否かを調査する(803)。その結果、ディスプレイ装置側における映像表示形式変換処理を必要としない映像表示形式への変換が、映像出力装置側のスキャン変換回路において可能であると判断した場合には、映像出力装置側の制御回路はスキャン変換回路に対して、ディスプレイ装置側における映像表示形式変換処理を必要としない映像表示形式への変換処理を施すように指示をするようにする(805)。
【0045】
また、上記とは逆に、映像出力装置側のスキャン変換回路における映像表示形式の変換処理性能が一般的に見て高性能であると判断されるならば、映像表示形式の変換処理が必要な際には、映像出力装置側のスキャン変換回路において優先的に映像表示形式の変換処理を行うようにする。
【0046】
この場合、先にディスプレイ装置側における映像表示形式変換処理を必要としない映像表示形式への変換が、映像出力装置側のスキャン変換回路において可能か否かを調査し、後から映像出力装置側のスキャン変換回路で映像表示形式の変換処理を行わずに出力した映像データを上記ディスプレイ装置が正しく表示できるか否かを調査するようにすれば良い。
【0047】
上記説明の何れかの処理方式により、映像出力装置側のスキャン変換回路とディスプレイ装置側とで、二重に映像表示形式変換処理が施されてしまう事による映像データの画質劣化を、可能であるならば回避する事ができる。
【0048】
上記説明の処理は、図1及び図5、図6に示した本発明の映像出力装置の実施例の何れにも適用が可能である事は言うまでもない。
【0049】
以上、実施例を用いて説明したように、本発明の映像出力装置によれば、民生機器で頻繁に行われる映像出力機器1台に対してテレビ等のディスプレイ装置を複数台接続するシステムにおいても、ディスプレイ側から制御情報を取得する事により、常に接続されたディスプレイ装置に適した映像表示形式で映像を出力する事が可能となる。
【0050】
なお、本実施例では映像出力装置100等をデジタル放送受信用チューナであるものとして説明したが、DVDプレーヤやDVDレコーダ、デジタルビデオテープレコーダ、ハードディスクレコーダ等、映像を表示するためのデバイスを接続し、デジタルデータの形で映像信号を出力する機器であれば、全て本発明の技術は適用可能である。
【0051】
またコンピュータに組み込んで使用するビデオ出力アダプタの形状であっても本発明の技術がもたらす効果は何ら損なわれるものではない。
【0052】
【発明の効果】
本発明の映像出力装置によれば、民生機器で頻繁に行われる映像出力機器1台に対してテレビ等のディスプレイ装置を複数台接続するシステムにおいても、ディスプレイ側から制御情報を取得する事により、常に接続されたディスプレイ装置に適した映像表示形式で映像を出力する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の映像出力装置の実施例及び複数のディスプレイ装置で構成されるシステムを説明するブロック図。
【図2】本発明の映像出力装置に接続されるディスプレイ装置の1例であるブラウン管型テレビの構成例を説明するブロック図。
【図3】各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に関する制御データを参照して行う表示形式変換処理の手順の1例を説明する図。
【図4】各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に関する制御データを参照して行う表示形式変換処理の手順の図3とは異なる例を説明する図。
【図5】本発明の映像出力装置の図1とは異なる実施例及び複数のディスプレイ装置で構成されるシステムを説明するブロック図。
【図6】本発明の映像出力装置の図1及び図5と異なる実施例及び複数のディスプレイ装置で構成されるシステムを説明するブロック図。
【図7】各ディスプレイ装置の対応可能な映像表示形式に関する制御データを参照して行う表示形式変換処理の手順の図3及び図4と異なる例を説明する図。
【図8】本発明の映像出力装置における映像表示形式の変換処理方針の決定手順を説明するフローチャート。
【符号の説明】
100、500、600…映像出力装置、101、102、103…入出力端子、110…映像出力回路、120…スキャン変換回路、140、540、640…制御回路、141…メモリ、151、152、153…出力回路、161、162、163…ドライバ、171、172、173…レシーバ、200a、200b、200c…ディスプレイ装置、530…暗号化回路、681、682、683…選択器。

Claims (5)

  1. 映像出力装置において、
    映像データの表示形式を変換可能なスキャン変換回路と、上記スキャン変換回路に入力される映像データと上記スキャン変換回路から出力された映像データの一方を選択して出力する選択器と、複数の映像表示装置と接続可能であって、上記選択器から出力された映像データを前記各映像表示装置へ供給するための複数組の入出力端子と、制御回路とを備え、
    上記制御回路は、上記複数組の入出力端子のそれぞれに接続された映像表示装置から、その映像表示装置が対応可能な映像データの表示形式に関する情報を、上記入出力端子を介して取得し、
    上記取得した上記表示形式に関する情報に、上記複数の映像表示装置に共通する表示形式が含まれる場合には、該共通の表示形式で映像データを出力するように上記スキャン変換回路を制御し、かつ
    上記取得した上記表示形式に関する情報に応じて、上記各映像表示装置に対して上記スキャン変換回路の入力映像データと出力映像データのいずれか一方を個別に供給可能なように、上記選択器を制御する、
    ことを特徴とする映像出力装置。
  2. 上記取得した上記表示形式に関する情報に共通の表示形式が複数存在する場合は、該共通する複数の表示形式のうち、最も精細度の高い表示形式で映像データを生成するように上記スキャン変換回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の映像出力装置。
  3. 上記映像表示装置側における表示形式変換処理を必要としない表示形式で上記映像データを上記映像表示装置に供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の映像出力装置。
  4. 上記制御回路は、上記複数組の入出力端子をそれぞれ独立に監視するとともに、上記入出力端子に接続されている映像表示装置が未稼動状態から稼動状態へと移行したことを検出して、上記接続された映像表示装置から上記表示形式に関する情報を読み出すためのコマンド信号を発生し、該コマンドを、上記入出力端子を介して上記複数の映像表示装置に出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の映像出力装置。
  5. 上記制御回路は、上記複数組の入出力端子をそれぞれ独立に監視するとともに、上記複数組の入出力端子の全てにおいて、映像表示装置が接続されていないか或いは未稼動である状態から、上記複数組の入出力端子の少なくとも1つの入出力端子において、映像表示装置が接続されたか或いは稼動状態へと移行したことを検出して、少なくとも上記スキャン変換回路への電力供給を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の映像出力装置。
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