JP3878696B2 - 遮蔽パネルカバーを設けた浸漬型の光照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の利用分野】
本発明は、浸漬型の光照射装置、たとえば、紫外線照射装置の紫外線照射モジュール(光照射モジュール)を開放型の下水路の下水等の被処理水内に浸漬して、被処理水中の細菌の殺菌、有機物の酸化分解、有害物質の分解等の紫外線照射処理(光照射処理)を行うことにより、細菌、有機物、有害物等の存在しない処理水を得るもので、紫外線照射モジュールの上方部に遮蔽パネルカバーを設置したことに特徴がある。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば、開放型の下水路の下水中の殺菌を行う紫外線照射装置は、通常の場合、図1に示すように、紫外線ランプ1を内蔵した石英ガラス製の紫外線透過管2を枠体3に取り付けるとともに電気的に接続し、そして、図2に示すように、この紫外線透過管2の複数本を枠体3に多列、多段に、間隔を置いて取り付けることによって紫外線照射モジュール4を構成して、この紫外線照射モジュール4を開放型の下水路5内に浸漬するものであった。
【0003】
前述した紫外線照射モジュール4は、一体化したユニットとして、開放型の下水路5内に一個設置する場合もあるが、下水路5の水路寸法や殺菌を行う下水の流量等の処理条件に応じて、複数個のユニットとして多列、並行して設置する場合もあった。
【0004】
しかし、下水の流量は、時間的要因や季節的な要因によって変動することが多く、下水路5内に紫外線照射モジュール4を設置するに当たっては、下水の流量変動に伴う下水路5の水位の保持、制御が重要な課題となっていた。
【0005】
下水路の水位が高過ぎて、紫外線照射モジュール4より上方を通過する下水と紫外線透過管2との距離が長くなった場合には、この部分の下水に対して十分な紫外線照射を行うことができないために、著しい殺菌効率の低下を招き、所期の殺菌結果が得られない問題があり、また、下水路の水位が低くて、紫外線透過管2が空中に露出した場合には、紫外線透過管2が乾燥して下水の硬度成分等の汚染物質が付着して汚れ易いという問題があった。
【0006】
そこで、従来、開放水の路下水路5の下水の水位を、紫外線照射モジュール4の上面より僅かに上位に維持するために、前述の図1に示すように、下流側の水路、すなわち、紫外線照射モジュール4の処理水の流出側の水路に堰6を付設することによって、水路の水位を所定の位置に保っていることが多かった。
【0007】
しかし、堰6を設けて下水路5の水位を保持する場合、特に、下水の急激な増加による水位の上昇に対しては、堰6から一挙に下水をオーバーフローすることで対処するので、紫外線照射モジュール4より上方の下水の流速が早くなるために、この部分の下水に対しては、十分な紫外線照射を行うことができず、殺菌効率の低下を起こし、所期の殺菌結果が得られない問題があった。
【0008】
また、本来、堰6を設けて水位を保持する場合、前述の下水の急激な増加の場合に限らず、堰6の手前の上面部分の下水が堰6からオーバーフローするために、本来、紫外線照射モジュール4の上方の下水の流速が早くなる傾向があり、この部分の下水は、比較的に流速の遅い紫外線照射モジュール4の中央部分および下方部分の下水より、紫外線照射量が少なくなり、下水全体として殺菌効率の低下、殺菌結果の悪化を招くという本質的な問題があった。
【0009】
さらに、堰6を設けて水位を保持する場合、下水の水量変動に応じて、堰6の越流部を長くとる必要があり、堰6が大がかりなものとなって設置面積が大きくなるとともに、 堰6よりの越流を均一とするための施工が困難であり、コストもかかる等の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の堰による開放型の下水路の下水等の被処理水の水位を保持する場合の欠点を改善するもので、被処理水が光照射モジュールより上方を通過することを防止するとともに、本来、流速が早くなる傾向にある光照射モジュールの上部の被処理水の部分の流速を遅くして、被処理水全体の流速を均等化させて、すなわち、被処理水全体として、十分な光照射を受けるようにして、光照射効率を向上させ、水質の良い処理水を得ることに目的がある。
【0011】
また、本発明は、堰を設けて水位を保持する場合、被処理水の水量変動に応じて、堰の越流部を長くしたりせず、すなわち、堰を大がかりなものにして設置面積を大きくせずに、 かつ、簡単な機構で、容易な施工で、安価なコストで、光照射処理を行う被処理水の流速の均等化を図ることに目的がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、遮蔽パネルカバーを設けた浸漬型の紫外線照射装置に関するものであり、紫外線ランプ等の光照射ランプを内蔵した光透過管の複数本を枠体に間隔を置いて取り付けて光照射モジュールを形成し、この光照射モジュールを開放型の被処理水路内に浸漬するとともに、開放型の被処理水路の処理水流出側に堰を付設して、細菌の殺菌、有機物の酸化分解、有害物質の分解等の光照射処理を行うについて、光照射モジュールの上方部に遮蔽パネルカバーを設置することによって、被処理水が光照射モジュールより上方を、十分な紫外線照射を受けずに、通過することを防止する点に特徴がある。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明の遮蔽パネルカバーを設けた浸漬型の光照射装置を紫外線照射殺菌装置を例として説明をすると、紫外線照射殺菌装置は、図1と図2に示すように、紫外線ランプ1を内蔵した紫外線透過管2を中空状の枠体3に取り付けるについて、紫外線ランプ1を枠体3内に配線した電気リード線に接続するとともに、紫外線ランプ1を内蔵した紫外線透過管2を枠体3に多列、多段に、間隔を置いて取り付けて紫外線照射モジュール4を構成し、この紫外線照射モジュール4を開放型の下水路5内に浸漬する点については、前述した従来の場合と同様である。
【0014】
紫外線照射モジュール4は、図3と図4に示すように、細菌等を含む下水が流入する開放型の下水路5内に着脱可能に配置するが、この紫外線照射モジュール4は、一体化したユニットとして、下水路5内に1ユニット設置したり、下水の処理流量に応じて、複数ユニットとして開放型の下水路5内に多列、並行して設置する場合もある。
【0015】
下水路5の下流側、すなわち、紫外線照射モジュール4の処理水の流出側の水路に堰6を付設することによって、下水路5の下水の水位を所定の位置に保ち、下水路5内に配置した紫外線照射モジュール4を下水に浸漬させた状態にし、下水が紫外線照射モジュール4内を通過する間に紫外線の照射を受けて、下水中の細菌が殺菌される。
【0016】
なお、本発明においては、紫外線照射モジュール4の上方部に着脱可能に遮蔽パネルカバー7を設置しでいるので、下水路5の上方部の下水は、遮蔽パネルカバー7に衝突して、光照射モジュール4より上方を通過することなく、遮蔽パネルカバー7の下端の隙間10より紫外線照射モジュール4の上部内に潜り込むように流入して行き、紫外線照射モジュール4より十分に紫外線の照射を受ける点に特徴がある。
【0017】
遮蔽パネルカバー7の形状は、図3と図4に示すように、ステンレスやプラスチック等の底の無い箱8であって紫外線照射モジュール4よりやや大きめにし、遮蔽パネルカバー7の下端と紫外線照射モジュール4の上部の間に、下水が流入する隙間9を形成させる。なお、下水の上方部と紫外線照射モジュール4の上部との接触を促進するためには、底の無い箱8の内部に格子状のエレメント10を付設してもよく、また、遮蔽パネルカバー7としては、前述した底の無い箱8以外に、中空の箱、その他、下水路5の上方部の下水が流遮蔽パネルカバー7を溢流せずに、衝突して、遮蔽パネルカバー7の下端の隙間9より紫外線照射モジュール4の上部内に潜り込むように流入して行くものであれば、どのような形状のものでもよい。
【0018】
紫外線ランプ1としては、主波長254nmの低圧紫外線ランプ、主波長185nm、254nmの低圧紫外線ランプ、主波長185nm、254nm、365nmの中・高圧紫外線ランプを用いるとよく、また、紫外線ランプ以外、光照射化学反応処理の目的に応じて、太陽紫外線ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、その他700nm以下の波長を発する各種の光照射ランプも使用できる。
【0019】
紫外線透過管2の材質としては、前述した石英ガラス以外にテフロン等紫外線等の紫外線透過率の高いものも使用でき、また紫外線透過管2としては、両端に開口部を有するものを使用し、この紫外線透過管2の両端を枠体3に着脱可能に取り付ける。
【0020】
枠体3の材質としては、前述したステンレス以外にも、セラミツクスまたはプラスチック等の物理的強度があるものを使用でき、また枠体3の形状としては、コの字状、ロの字状、その他物理的強度が維持し易い形状であれば、どのようなものであってよい。
【0021】
本発明の遮蔽パネルカバーを設けた浸漬型の紫外線照射殺菌装置装置の操作について説明すると、細菌を含む下水を開放型の下水路5の上流側に流入させ、下水路5の下水の水位を上昇させて、下水路5の下流側に設けた堰6の位置まで到達させて、紫外線照射モジュール4を下水で浸漬した状態にさせる。
【0022】
紫外線照射モジュール4内に流入させた下水は、紫外線照射モジュール4を通過する間に、紫外線ランプ1より照射した紫外線によって、下水中の細菌を殺菌させ、殺菌した処理水を下水路5の下流側の堰6より流出させる。
【0023】
前述した紫外線による下水の殺菌処理を行っている間、特に、下水路5の上方部の下水は、多少の流量の増加があっても、紫外線照射モジュール4の上部に設置した流遮蔽パネルカバー7に衝突して、光照射モジュール4より上方を通過することなく、遮蔽パネルカバー7の下端の隙間9より紫外線照射モジュール4の上部内に、比較的遅くて、均等な流速で、潜り込むように流入して行き、紫外線ランプ1より十分に紫外線の照射を受け、下水中の細菌は十分に殺菌されることになる。
【0024】
従来の紫外線照射モジュール4の上部に流遮蔽パネルカバー7を設置していない場合には、特に、下水路5の上方部の下水は、比較的早い流速で、光照射モジュールより上方を通過し、紫外線照射モジュール4内に流入しないため、紫外線ランプ1より十分な紫外線の照射を受ず、下水中の細菌は十分に殺菌されない不都合(急激な流量の増加の場合に顕著)があるが、本発明においては、この問題を紫外線照射モジュール4の上部に流遮蔽パネルカバー7を設置することによって解決した。
【0025】
以上述べたように、本発明の場合は、下水路5の上方部の下水は紫外線ランプ1より十分に紫外線の照射を受けて殺菌され、下水路5の他の部分(中央部と下部)の殺菌された処理水と合流して、処理水全体として良好な殺菌状態を維持して下水路5の堰6より流出して行くことになる。
【0026】
【効果】
本発明によると、被処理水が光照射モジュールより上方を通過することを防止するとともに、本来、流速が早くなる傾向にある光照射モジュールの上部の被処理水の部分の流速を遅くし、かつ、被処理水全体の流速を均等化して、被処理水全体として、十分な光照射を受けるようにして、被処理液の光照射効率を向上させ、水質の良い処理水を得ることができるという優れた効果を達成できる。
【0027】
また、本発明は、堰を設けて水位を保持する場合において、被処理水の水量変動に応じて、堰の越流部を長くすることを要さず、従来の堰の越流部の10mの長さを0.5mに短縮することが可能であり、堰をコンパクト化して、設置面積を縮小することも可能であり、開放型の被処理液の紫外線照射処理施工費の節減ができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紫外線ランプを内蔵した紫外線透過管を枠体に取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】 開放型の下水路内に従来の紫外線照射モジユールを浸漬した紫外線照射装置の説明図である。
【図3】 開放型の下水路内に本発明の遮蔽パネルカバーを設けた紫外線照射モジユールを浸漬した紫外線照射装置の説明図である。
【図4】 開放型の下水路内に本発明の他の実施形態の遮蔽パネルカバーを設けた紫外線照射モジユールを浸漬した紫外線照射装置の説明図である。
【符号の説明】
1 紫外線ランプ
2 紫外線透過管
3 枠体
4 紫外線照射モジュール
5 開放型の下水路
6 堰
7 遮蔽パネルカバー
8 底のない箱
9 隙間
10
エレメント
Claims (1)
- 光照射ランプを内蔵した光透過管の複数本を枠体に間隔を置いて取り付けて光照射モジュールを形成し、この光照射モジュールを開放型の被処理水路内に着脱可能に浸漬するとともに、開放型の被処理水路の処理水流出側に堰を付設して、被処理水の水位を確保して細菌の殺菌、有機物の酸化分解、有害物質の分解等の光照射処理を行うについて、上方部の被処理水が遮蔽パネルカバーを溢流せずに、衝突して、遮蔽パネルカバーの下端の隙間より光照射モジュールの上方部に潜り込むように流入して、被処理水が十分な光照射を受けずに通過することを防止する遮蔽パネルカバーを設けた浸漬型の光照射装置。
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