JP3876954B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤およびこれを配合した硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものであり、更に詳しくは、貯蔵安定性および低温速硬化性を付与するエポキシ樹脂用硬化剤およびこれを配合した貯蔵安定性に優れたかつ低温速硬化性を有する硬化性エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス分野の最近の著しい発展により、半導体素子の回路の集積度が急激に増大すると共に大量生産が可能となり、電子機器の小型・薄型化、高性能化が急速に進行している。また、これらの電子機器の普及に伴い、量産における作業性の向上およびコストダウンが重要な問題となってきている。また、これら電子機器用の接着剤として用いられてきたエポキシ樹脂においても、またエポキシ樹脂用潜在性硬化剤においても、種々の物性の高性能化がより一層求められている。エポキシ樹脂の用途は、もちろん、これに限られるものではない。
【0003】
エポキシ樹脂組成物には、主剤のエポキシ樹脂と硬化剤とを使用直前に混合する二液タイプと、主剤のエポキシ樹脂に硬化剤を予め配合した一液タイプのものとがあるが、配合ミスの防止、機械による自動化、ライン化が可能である等の理由から一液タイプのものが好まれている。一液タイプのエポキシ樹脂組成物には室温ではエポキシ樹脂化合物と反応しないが、加熱により反応を開始して硬化する性質を持つ硬化剤、いわゆる潜在性硬化剤が必要である。
【0004】
潜在性硬化剤として、これまでいくつか提案されており、その代表的なものとしてはジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、グアナミン類、メラミン、イミダゾール類などが挙げられる。しかし、ジシアンジアミド、メラミン、またはグアナミン類をエポキシ化合物と混合したエポキシ樹脂組成物は貯蔵安定性に優れているが、150℃以上の高温で長時間硬化を必要とする欠点がある。また、これらと硬化促進剤を併用して硬化時間を短縮することも広く行われているが、硬化促進剤の添加により硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化時間は短縮するがその貯蔵安定性が著しく損なわれるという欠点が生じてしまう。二塩基酸ジヒドラジドやイミダゾール類を潜在性硬化剤として配合したエポキシ樹脂組成物は、比較的低温で硬化はするが貯蔵安定性に乏しい。三フッ化ホウ素アミン錯塩は吸湿性が大きく、これを配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物の諸特性に悪影響を及ぼす。このような現状に鑑み、貯蔵安定性に優れ、かつ低温速硬化性を有するエポキシ樹脂組成物を与えるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤が強く望まれている。
【0005】
これらの点を改善するものとして、特開昭56-155222号公報、特開昭57-100127号公報等ではジアルキルアミンにエポキシ化合物を付加した硬化剤が、そして特開昭59-53526号公報ではアミノアルコールまたはアミノフェノールにエポキシ樹脂を付加した硬化剤が提案されている。また、米国特許第406625号明細書及び同第4268656号明細書では、イミダゾール化合物やN-メチルピペラジンの2級アミノ基にエポキシ化合物を付加した硬化剤が提案されている。
【0006】
しかしながら、上記の硬化剤は、これを配合したエポキシ樹脂組成物に貯蔵安定性と低温硬化性を十分に付与するものではなかった。特に比較的反応性の高いビスフェノールF型エポキシ化合物やモノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物などの反応性希釈剤を用いた組成物での貯蔵安定性は満足できるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、貯蔵安定性および低温速硬化性に優れるエポキシ樹脂組成物を与える潜在性硬化剤を提供し、延いてはこのものをエポキシ化合物と混合してなる硬化性エポキシ樹脂組成物であって、良好な貯蔵安定性を保持し、比較的低温、すなわち、80〜120℃で短時間に硬化可能な速硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記種々の問題に鑑み鋭意検討した結果、分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基、CONHNH2基などのエポキシ化合物と反応しうる官能基と3級アミノ基を兼有する化合物を水の存在下にエポキシ化合物と付加反応させる事により得られる付加反応物は、これとエポキシ化合物とを混合してなる硬化性エポキシ樹脂組成物が、貯蔵安定性および低温速硬化性に優れることを見いだし、このような知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、(B)分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物とを、すなわち、2種類の化合物を化合物(A)のエポキシ基1当量に対して0.05当量以上5.0当量以下の割合の水の存在下で反応させて得られる反応物からなるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤に関する。因みに、エポキシ基と水との当量関係については、エポキシ基1個に対し水1分子が相当するものであることを付言する。
【0010】
また、本発明は、(A)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、(B)分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物と、(C) 分子中にNH2基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基、もしくは分子中にOH基、SH基、NH基、 NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも2個の官能基を有する化合物(ただし、分子中にエポキシ基または3級アミノ基を有する化合物を除く)とを、すなわち、3種類の化合物を化合物(A)のエポキシ基1当量に対して0.05当量以上5.0当量以下の割合の水の存在下で反応させて得られる反応物からなるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤に関する。
【0011】
さらにまた、本発明は、(x)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と(y)前記のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を必須成分として、所望により(z)無機系充填剤をも含有することを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詳細について説明する。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤の合成反応の原料の一つである化合物(A)、すなわち、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、これに特別な制限はなく、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物であればいかなるものであっても良い。
【0014】
例えば、後記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物を挙げることができる。また、脂環式炭化水素環上にあるエポキシ基および/または脂環式炭化水素環を形成する炭素原子に直接結合したエポキシ基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物などが挙げられる。さらにまた、これらのエポキシ基の2種類以上を分子内に兼有し、その合計が平均1個より多いエポキシ化合物なども使用できる。
【0015】
【化1】
【0016】
(これは、Zが水素原子、メチル基またはエチル基である置換または非置換のグリシジルエーテル基である。)
【0017】
【化2】
【0018】
(これはZが水素原子、メチル基またはエチル基である置換または非置換のグリシジルエステル基である。)
【0019】
【化3】
【0020】
(これは、Zが水素原子、メチル基またはエチル基であるN置換の置換または非置換1,2-エポキシプロピル基である。)
【0021】
上記一般式(1)で表される、置換または非置換のグリシジルエーテル基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、カテコール、レゾルシノール、フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂などの多価フェノール化合物、またはグリセリン、ポリエチレングリコール、多価フェノール化合物と炭素原子数2〜4個のアルキレンオキサイドとの付加反応によって得られる化合物などの多価アルコール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる置換または非置換のグリシジルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0022】
上記一般式(2)で表される、置換または非置換のグリシジルエステル基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸などの脂肪族多価カルボン酸化合物またはフタル酸、テレフタル酸などの芳香族多価カルボン酸とエピハロヒドリンとを反応させて得られる置換または非置換のグリシジルエステル化合物を挙げることができる。
【0023】
そして、上記一般式(3)で表される、N置換の置換または非置換1,2-エポキシプロピル基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物としては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、アニリン、m−アミノフェノールなどとエピハロヒドリンとを反応させて得られる置換または非置換グリシジルアミン化合物を挙げることができる。
【0024】
また、脂環式炭化水素環上にあるエポキシ基および/または脂環式炭化水素環を形成する炭素原子に直接結合したエポキシ基を分子内に平均1個より多く有するエポキシ化合物としては、例えば、下記一般式(4)または(5)で表されるエポキシ化合物を挙げることができる。
【0025】
【化4】
【0026】
(Yは、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜8の単環、多環または有橋炭化水素環を示す)
【0027】
【化5】
【0028】
(Yは、上記一般式(4)におけると同じ。)
【0029】
なお、上記一般式(5)で示されるエポキシ化合物の具体例として下記式(5-1)〜(5−8)に示すものを例示する事ができる。
【0030】
【化6】
【0031】
また、これらのエポキシ基の2種類以上を分子内に兼有し、その合計が平均1個より多く有するエポキシ化合物としては、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸とエピハロヒドリンとを反応させて得られる置換または非置換のグリシジルエーテルエステル化合物や下記式(6)に示される化合物の様なグリシジルエーテル基と脂環式エポキシ基を分子内に有する化合物などを挙げることができる。
【0032】
【化7】
【0033】
また、これらのエポキシ化合物は、本発明の効果を阻害しない範囲でモノエポキシ化合物が含まれていてもよい。モノエポキシ化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどのモノエポキシ化合物を挙げることができる。
【0034】
また、ここに、エピハロヒドリンとは、例えば、下記一般式(7)で表され、例えばエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、1,2-エポキシ-2-メチル-3-クロルプロパン、1,2-エポキシ-2-エチル-3-クロルプロパンなどを挙げることができる。
【0035】
【化8】
【0036】
(Zは水素原子、メチル基またはエチル基を示し、そしてXはハロゲン原子を示す。)
【0037】
以上に述べた化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用して用いてもよい。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤の合成反応のもう一つの原料である化合物(B)、すなわち、分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物は、例えば、下記一般式(8)で示される。
【0039】
【化9】
【0040】
(式中、Wは、OH基、SH基、NH基、NH2 基、COOH基またはCONHNH2 基を示し、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、ベンジル基などのアラルキル基、または以上の各基の炭素鎖中の一部の炭素原子が他の原子、例えば酸素、と置換し、あるいは炭素鎖の水素原子がハロゲンや上記Wで示されるような官能基などで置換したもの(基)であり、R3は上記R1およびR2と同様の基の2価の残基である。また、R1とR2またはR1、R2およびR3が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0041】
また、化合物(B)としては、例えば、下記一般式(9)、(10)または(12)で示されるような3級アミノ基が複素環に含まれている化合物も有効なものとして挙げることができる。
【0042】
【化10】
【0043】
(ここに、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素原子、上記一般式(8)で示したR1およびR2と同様の各基、アルキル基もしくはアリール基で置換されていてもよいアリール基、または上記一般式(8)においてWで示される官能基であり、R7が水素原子である場合を除いてR4、R5、R6およびR7中少なくとも1つはWで示される官能基もしくはWで示される官能基を有する基である。また、R7が水素原子の場合においても、R4、R5およびR6がWで示される官能基またはWで示される官能基を有する基であっても良い。)
【0044】
【化11】
【0045】
(ここに、R8、R9およびR11は、それぞれ独立に、水素原子、上記一般式(8)で示したR1およびR2と同様の各基、またはアルキル基もしくはアリール基で置換されていてもよいアリール基であり、R10は上記一般式(8)中のR1およびR2と同様の基の2価の残基、またはアルキル基もしくはアリール基で置換されていてもよいアリーレン基、そしてX'は水素原子または下記式(11):
【0046】
【化12】
【0047】
(式中、R8およびR9は上記一般式(10)中におけると同じであり、そしてR12 は水素原子、上記一般式(8)で示したR1およびR2と同様の各基、またはアルキル基もしくはアリール基で置換されていてもよいアリール基である。)で示される基であり、そしてR11およびR12がともに水素原子でない場合は、R8、R9、R10、R11およびR12中の少なくとも1つはWで示される官能基またはWで示される官能基を有する基である。また、R11またはR12のどちらか一方、もしくは両方が水素原子の場合にも、R8、R9、R10、R11およびR12はWで示される官能基またはWで示される官能基を有する基であっても良い)。
【0048】
【化13】
【0049】
(ここに、R13はWで示される官能基あるいはWで示される官能基をその中に含むR1またはR2と同様の基である。)
【0050】
このような化合物(B)、すなわち、分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物の具体例としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン、2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ジメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等を挙げることができる。
【0051】
化合物(B)としては、OH基、NH基及びNH2 基から選ばれる少なくとも1個の官能基並びに3級アミノ基を有する化合物が好ましい。
【0052】
このような化合物としては、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン等の3級アミノ基含有アルコール化合物;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミノ基含有フェノール化合物;2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ジメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の1級または2級アミノ基含有3級アミン化合物が挙げられる。
【0053】
このうち特に好ましいのは3級アミノ基含有アルコール化合物、および1級または2級アミノ基含有3級アミン化合物である。
【0054】
上記の3級アミノ基含有アルコール化合物としてより好ましいのは、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン等の5員環または6員環の窒素含有複素環構造を持つものであり、特に、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール骨格を持つものが好ましい。
【0055】
また、上記の1級または2級アミノ基含有3級アミン化合物としてより好ましいのは、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、N−アミノエチルピペラジン、ジメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の5員環または6員環の窒素含有複素環構造を持つものであり、特に、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール骨格を持つものが好ましい。
【0056】
以上に述べた化合物(B)は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用して化合物(A)と反応させることができる。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤の合成反応の残余の原料である化合物(C)、すなわち、分子中にNH2基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基、もしくは分子中にOH基、SH基、NH基、 NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも2個の官能基を有する化合物(ただし、分子中にエポキシ基または3級アミノ基を有する化合物を除く)としては、例えば、ピペラジン、アニリン、シクロヘキシルアミンなどのアミン化合物;アジピン酸、フタル酸、3,9-ビス(2-カルボキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどの多塩基カルボン酸;1,2-ジメルカプトエタン、2-メルカプトエチルエーテルなどの多価チオール;フェニル酢酸ヒドラジドなどのヒドラジド化合物;アラニン、バリンなどのアミノ酸;2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-3-フェノキシ-2-プロパノール、メルカプト酢酸、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアニリン、N-メチル-o-アミノ安息香酸、アントラニル酸、サルコシン、ヒドロキシ安息香酸、乳酸などの2種類以上の官能基を有する化合物;ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの多価アルコール化合物;多価フェノール化合物;等を挙げることができる。
【0058】
化合物(C)としては、多価フェノール化合物が特に好ましく、これらの例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂などを挙げることができる。
【0059】
以上に述べた化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用して化合物(A)および(B)との反応に供する事ができる。
【0060】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を製造する際の各原料化合物の反応割合は、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤が化合物(A)および化合物(B)の2者を反応させて得られる場合で、化合物(B)が分子中にOH基、SH基、COOH基及びCONHNH2基のうちの少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物である場合は、その活性水素含有官能基(OH基、SH基、COOH基及びCONHNH2基)の活性水素1当量に対し、化合物(A)のエポキシ基0.8〜2.5当量好ましくは0.9〜1.5当量の割合である。エポキシ基が活性水素1当量に対し、0.8当量未満では得られるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤の軟化温度が低く、粉砕が困難であり、かつこれを潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際には十分な貯蔵安定性が得られず、一方、2.5当量以上では反応物の軟化温度が高くなってしまい潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な速硬化性が発揮されずかつ硬化物が不均一になってしまうからである。また、化合物(B)が分子中にNH基及びNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物である場合の反応割合は、その活性水素含有官能基(NH基およびNH2基)の活性水素1当量に対し、化合物(A)のエポキシ基0.4〜1.1当量の割合である。0.4当量未満では潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際には十分な貯蔵安定性が得られず、一方、1.1当量以上では付加反応中にゲル化してしまうからである。因みに、活性水素とエポキシ基の当量関係については、エポキシ基1個に対し活性水素1個が相当するものであることを付言する。
【0061】
また、化合物(A)、化合物(B)および化合物(C)の3者を用いてエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を製造する際の各原料化合物の反応割合は、化合物(B)が分子中にOH基、SH基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物である場合は、化合物(B)および化合物(C)の活性水素の当量の和に対し、化合物(A)のエポキシ基0.5〜2.5倍当量、好ましくは0.6〜1.5倍当量であり、かつ化合物(B)に対し化合物(C)を2倍モル以下使用するのが好ましい。化合物(A)のエポキシ基が0.5倍当量未満では潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な貯蔵安定性が得られず、一方、2.5倍当量以上では反応物の軟化温度が高くなってしまい、潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な速硬化性が発揮されずかつ硬化物が不均一になってしまう。また、化合物(B)に対し化合物(C)が2倍モルを超える場合は、硬化性が低下してしまうからである。また、化合物(A)、(B)および(C)の3者を用いてエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を製造する場合で、化合物(B)が分子中にNH基及びNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物である場合の反応割合は、化合物(B)および(C)の活性水素の当量の和に対し、化合物(A)のエポキシ基0.2〜1.1倍当量である。化合物(A)のエポキシ基が0.2当量未満では潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な貯蔵安定性が得られず、一方、1.1倍当量以上では反応物の軟化温度が高くなってしまい、潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な速硬化性が発揮されずかつ硬化物が不均一になってしまうからである。
【0062】
上記化合物(A)および(B)の2者、または化合物(A)、(B)およ(C)の3者を化合物(A)のエポキシ基1当量に対して0.05当量以上5.0当量以下、好ましくは0.1当量以上2.0当量以下の割合の水の存在下で反応させる事により本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤が得られる。通常、原料となる化合物(A)、(B)および(C)にもわずかに水は含まれているが、それだけでは本発明のような効果は得られない。本発明のように、更に水を添加し、化合物(A)のエポキシ基に対して0.05倍当量以上5.0倍当量以下の水分含量として反応を行う事により本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤が得られるのである。水が0.05倍当量未満では得られた反応物を潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際に十分な貯蔵安定性が得られず、一方、5.0倍当量以上では粉砕するために反応後に水を除く必要があり、それだけ余分な時間およびエネルギーがかかり実用的でない。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、化合物(A)、(B)および(C)の種類、混合割合や水の割合を変化させて反応させることにより任意の軟化温度を有する付加反応化合物を得ることができるが、60〜180℃の軟化温度を有するものである方が好ましい。軟化温度が60℃未満では潜在性硬化剤としてエポキシ化合物に配合した際、得られる樹脂組成物の室温での貯蔵安定性が悪く、一方、軟化温度が180℃を超える時は十分な硬化性が得られない。
【0064】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、例えば、化合物(A)、化合物(B)および水、または化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)および水の各成分を十分混合し、室温にてゲル化させ、その後80〜150℃の温度にて反応を完結させてから冷却し、固化し、そして粉砕する事により得ることができる。この際、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤中で反応を行い、脱溶媒し、固化し、そして粉砕しても良い。また、水は、化合物(A)および化合物(B)、または化合物(A)、化合物(B)、および化合物(C)、あるいはそれらに溶剤を加えたものに対して、完全に溶解していても、完全に溶解せずに分散していても良い。
【0065】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、公知の硬化剤、例えば酸無水物、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物、グアナミン類、メラミン類などと併用する事もできる。
【0066】
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、そのままで、または公知の硬化剤を加えて、流通に置くことができる。
【0067】
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、(x)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と(y)上に説明した本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を必須成分とする樹脂組成物である。
【0068】
ここに、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物(x)は、前記化合物(A)、すなわち分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と全く同じで、先に例示したと同様の、周知の種々の化合物を挙げることができる。本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤の、本発明の樹脂組成物における使用量(配合量)は、エポキシ化合物(x)100重量部に対して0.3〜50重量部が好ましい。0.3重量部未満では十分な硬化性が得られず、一方、50重量部を超えると硬化物の性能低下を招来する原因になる。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には必要に応じてまたは所望によりその他の添加物を添加することができる。このような添加物としては、例えば、(z)アルミナ、シリカ、アエロジル、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、ベントナイト、硫酸バリウムなどのフィラー(無機充填剤)や、アクリルオリゴマー、シリコーンなどの流動調整剤、表面調整剤や希釈剤、難燃剤などを挙げることができる。
【0069】
【実施例】
次に、製造例および実施例により、より具体的に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、製造例および実施例に用いた原料の略称は以下の通りである。
【0070】
(A)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物;
EP#828:「 エピコート#828」(商品名、油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194))、
EP#834:「エピコート#834」(商品名 油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量230〜270))、
EP#1001:「エピコート#1001」(商品名 油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量450〜500))、
EP#807:「エピコート#807」(商品名 油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜175))。
【0071】
(B)分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物;
DEAPA: ジエチルアミノプロピルアミン(水分含量 0.16wt%)、
DEAE-OH:ジエチルアミノエタノール(水分含量 0.18wt%)、
2PZL:2-フェニルイミダゾリン(水分含量 0.07wt%)、
2E4MZ:2-エチル-4-メチルイミダゾール(水分含量 0.30wt%)、
2MZ:2-メチルイミダゾール(水分含量 0.06wt%)、
PG-MZ:1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-メチルイミダゾール(水分含量 0.04wt%)、
PG-EMZ:1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール(水分含量 0.28wt%)、
PG-PZL:1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-フェニルイミダゾリン(水分含量 0.04wt%)、
DMP-10:2-(ジメチルアミノメチル)フェノール(水分含量 0.42wt%)、
DMP-30:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(水分含量 0.09wt %)、
SMZ:2-メルカプト-1-メチルイミダゾール(水分含量 0.18wt%)、
DMGH:N,N-ジメチルグリシンヒドラジド(水分含量 0.34wt%)、
NA:ニコチン酸(水分含量 0.31wt%)。
【0072】
(C)分子中にNH2基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基もしくは分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも2個の官能基を有する化合物(ただし、分子中にエポキシ基または3級アミノ基を有する化合物を除く);
BA:ビスフェノールA(水分含量 0.27wt%)
PNV:フェノールノボラック「ショウノールBRG-555」(昭和高分子(株)水酸基当量 103、水分含量 0.57wt%)、
PIP:無水ピペラジン(水分含量 0.39wt%)、
PAAH:フェニル酢酸ヒドラジド(水分含量 0.22wt%)、
AL:アニリン(水分含量 0.14wt%)、
HQ:ハイドロキノン(水分含量 0.25wt%)、
DEA:ジエタノールアミン(水分含量 0.09wt%)。
【0073】
製造例1(DEAE-OHとエピコート#828の付加反応物の製造)
「エピコート#828」、110.3g(0.584当量)とDEAE-OH、39.1g(0.334当量)と水、10.5g(0.583当量)とをビーカーに秤り取り、室温で良く撹拌しながら徐々に温度を上げていった。70℃近辺で発熱を伴って急激に反応が進行したので、反応混合物の温度が約110℃になる様に冷却もしくは加熱して1時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却して淡黄色の固体を得た。この付加反応物を、粗砕し、さらに微粉砕して平均粒径約10μmの粉体を得た。これをエポキシ樹脂用潜在性硬化剤サンプルNo.1と称する。
【0074】
製造例2(PG-MZ、DMP-30、BAと「エピコート#828」の付加反応物の製造)
還流冷却器および撹拌装置を備えた3,000mlの3つ口フラスコにPG-MZ、116.1g(0.5当量)とDMP-30、26.6g(0.1当量)とBA、57.1(0.5当量)と水、1.8g(0.1当量)と溶媒としてメチルエチルケトン500mlを秤り取り、これを加熱撹拌しながら、メチルエチルケトン300mlに溶解した「エピコート#828」、189g(1.0当量)を滴下した(約3時間)。滴下終了後、さらに撹拌下2時間加熱還流した。その後・減圧下溶媒であるメチルエチルケトンを留去し、残渣を室温に冷却して淡黄色の固体を得た。この付加反応物を、粗砕し、さらに微粉砕して平均粒径約10μmの粉体を得た。これをエポキシ樹脂用潜在性硬化剤サンプルNo.22と称する。
【0075】
下記第1表に製造例1または製造例2に準じて製造した本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤のサンプル番号とその原料組成を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
比較製造例1
水を添加しなかったことを除いては、製造例1と全く同様に反応を行い淡黄色の固体を得た。これを粗砕し、さらに微粉砕して平均粒径約10μmの粉体を得た。これを比較サンプルNo.1と称する。
【0079】
比較製造例2
還流冷却器および撹拌装置を備えた3,000mlの3つ口フラスコにPG-MZ、174.2g(0.75当量)とDMP-30、26.6g(0.1当量)とBA、85.7(0.75当量)と溶媒としてメチルエチルケトン500mlを秤り取り、これを加熱撹拌しながら、メチルエチルケトン300mlに溶解した「エピコート#828」、189g(1.0当量)を滴下した(約3時間)。滴下終了後、さらに撹拌下2時間加熱還流した。その後、減圧下溶媒であるメチルエチルケトンを留去し、残渣を室温に冷却して淡黄色の固体を得た。この付加反応物を、粗砕し、さらに微粉砕して平均粒径約10μmの粉体を得た。これを比較サンプルNo.4と称する。
【0080】
下記第2表に比較製造例1または比較製造例2に準じて製造した比較サンプルの番号とその原料組成を示す。
【0081】
【表3】
【0082】
実施例1〜34および比較例1〜5:
上記のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を下記第3表に示す割合でエポキシ化合物に添加し、混合して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物の硬化性(ゲルタイム)および貯蔵安定性を測定してその性能評価をした。
【0083】
【表4】
【0084】
硬化性エポキシ樹脂組成物の作製方法:
上記第3表の割合で各材料を真空らいかい機((株)石川工場製)により減圧下脱泡混合を30分行った。
【0085】
ゲルタイム:
安田式ゲルタイマー((株)安田精機製作所)で、約2.5gの硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて所定の温度で測定した。
【0086】
貯蔵安定性:
硬化性エポキシ樹脂組成物を密閉した容器に入れ、所定の温度(40℃)の恒温槽で貯蔵し、流動性のなくなるまでの日数を測定した。
【0087】
得られた結果を、実施例については下記第4表に、そして比較例については下記第5表に示す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
実施例35〜36および比較例6〜7:
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を、他の潜在性硬化剤と併用した場合の硬化促進剤としての性能を調べるため、下記第6表に示す割合で配合して硬化性エポキシ樹脂組成物を作製し、実施例1〜34と同様の方法でゲルタイムを測定した。また、貯蔵安定性は50℃の恒温槽で貯蔵し、流動性がなくなるまでの日数を測定した。
【0091】
【表7】
【0092】
得られた結果を下記第7表に示す。
【0093】
【表8】
【0094】
実施例37〜38、および比較例8〜9:
本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を、他の潜在性硬化剤と併用した場合の性能を調べるため、下記第8表に示す割合で配合して硬化性エポキシ樹脂組成物を作製し、実施例1〜34と同様の方法でゲルタイムおよび貯蔵安定性を測定した。
【0095】
【表9】
【0096】
得られた結果を下記第9表に示す。
【0097】
【表10】
【0098】
以上より、本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、これを配合したエポキシ樹脂組成物に対して非常に良好な貯蔵安定性および低温速硬化性を付与する事が分かる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば貯蔵安定性が非常に良好であり、低温速硬化性の硬化性エポキシ樹脂組成物を容易に得ることができる。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、低温速硬化性で、耐熱性、電気的信頼性等に優れ、半導体封止用樹脂、異方性導電接着フィルム、導電性樹脂等のエレクトロニクス用途に適する。
Claims (5)
- (A)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、(B)分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基と3級アミノ基を兼有する化合物と、(C)分子中にNH2基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも1個の官能基、もしくは分子中にOH基、SH基、NH基、NH2基、COOH基及びCONHNH2基から選ばれる少なくとも2個の官能基を有する化合物(ただし、分子中にエポキシ基または3級アミノ基を有する化合物を除く)とを、化合物(A)のエポキシ基1当量に対して0.05〜5.0当量の割合の水の存在下で反応させて得ることのできる反応物からなることを特徴とするエポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
- 化合物(C)が多価フェノール化合物であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
- 化合物(B)が3級アミノ基含有フェノール化合物または3級アミノ基含有アルコール化合物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
- (x)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシ化合物と(y)請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤とを必須成分として含有することを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 更に、(z)無機系充填剤をも含有することを特徴とする請求項4記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
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