JP3876915B1 - コンデンサマイクロホン及びコンデンサマイクロホンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 固定電極と通孔を有するプレートと、可動電極を有し音波によって振動するダイヤフラムと、前記プレートと前記ダイヤフラムとを絶縁しながら支持し、前記固定電極と前記可動電極の間に空隙を形成しているスペーサとを備え、前記プレート、前記ダイヤフラムの少なくとも一方は、前記スペーサに近い近端部の少なくとも一部の比抵抗が残部領域よりも高い単層半導体膜である、コンデンサマイクロホン。
【選択図】 図1
Description
通孔を有するプレート、音波によって振動するダイヤフラムの少なくとも一方のスペーサに近い近端部の少なくとも一部の比抵抗を残部よりも高くすることによって、コンデンサマイクロホンの感度が高くなる。比抵抗が領域によって異なる単層半導体膜でプレート又はダイヤフラムを構成することにより、コンデンサマイクロホンの構造が簡素になり、感度が高いコンデンサマイクロホンを低コストで製造することができる。
第一不純物が拡散している中央部の周囲に、電極を形成している不純物と逆導電型の半導体を形成するための第二不純物を拡散させることにより、第一不純物が拡散している領域の周囲の電気的障壁を大きくできるため、コンデンサマイクロホンの感度がさらに高くなる。
通孔を有するプレート、音波によって振動するダイヤフラムの少なくとも一方のスペーサに近い近端部の比抵抗を中央部よりも高くすることによって、コンデンサマイクロホンの感度が高くなる。半導体膜に不純物をドープすることにより比抵抗の低い領域を限定的に形成することにより、コンデンサマイクロホンの構造が簡素になり、プレート又はダイヤフラムのスペーサに近い縁部の比抵抗を残部よりも高くできるため、感度が高いコンデンサマイクロホンの製造コストを低減できる。
不純物をイオン注入により半導体膜にドープすることにより、正確に不純物の分布を制御でき、プロセス温度を低減できる。
半導体膜の第一不純物がドープされる中央部の周囲に、第一不純物と逆導電型の半導体を形成するための第二不純物をドープすることにより、第一不純物がドープされる領域の周囲の電気的障壁障壁を大きくできるため、コンデンサマイクロホンの感度がさらに高くなる。
(第一実施例)
図1は、第一実施例によるコンデンサマイクロホン1の構成を示す模式図である。コンデンサマイクロホン1は、図1(B)に断面図として描かれた感音部と図1(B)に回路図として描かれた検出部とを備えている。
バックプレート10の端部とダイヤフラム30の端部とはスペーサ44にそれぞれ固定されている。すなわち、バックプレート10とダイヤフラム30は、スペーサ44によって両者の間に圧力室46を形成した状態で互いに平行に支持されている。図1(A)はバックプレート10及びその周辺部と、バックプレート10のパッド部13のみを示している。バックプレート10とその周辺部の平面視における形状は、特に限定されず、図1(A)に示すように円形であってもよいし、他の形状であってもよい。またバックプレート10は、バックプレート10を貫通する通孔としての複数の音響ホール18を有する。音響ホール18の平面視における形状は特に限定されず、図1(A)に示すように円形であってもよいし、他の形状であってもよい。
ダイヤフラム30の端部はベース40に固定されている。バックプレート10の音響ホール18を通過した音波はダイヤフラム30を振動させる。ベース40は、ダイヤフラム30に対応する圧力緩衝室33を有し、ダイヤフラム30を構成している半導体膜32が固定される絶縁膜43と、絶縁膜43の反半導体膜32側に設けられ圧力緩衝室33の側壁面52を形成している基膜51とで構成されている。圧力緩衝室33の容積を大きくすることにより、圧力緩衝室33を封止した状態でダイヤフラム30に音波が伝搬したときに圧力緩衝室33の内圧によってダイヤフラム30の振動が抑制されにくくなる。
尚、ダイヤフラム30がバックプレート10よりも音源側に位置し、ダイヤフラム30に直接音波が伝搬するように構成してもよい。この場合、音響ホール18はバックプレート10とダイヤフラム30の間に形成されている圧力室46とその外部空間とを連通する空気通路として機能する。
ダイヤフラム30のパッド部31には、抵抗器100の一端に接続されるリード線104が接続されている。そしてバックプレート10のパッド部13には、コンデンサマイクロホン1が実装されている基板のグランドに接続されるリード線106が接続されている。抵抗器100の他端には、バイアス電源回路102の出力端に接続されるリード線108が接続されている。抵抗器100としては抵抗値が大きなものを使用する。具体的には、抵抗器100はGΩオーダーの電気抵抗を有するものが望ましい。プリアンプ110の入力端には、コンデンサ112の一端に接続されるリード線114が接続されている。そしてダイヤフラム30と抵抗器100を接続しているリード線104は、コンデンサ112の他端にも接続されている。
音波がバックプレート10の音響ホール18を通過してダイヤフラム30に伝搬すると、ダイヤフラム30は音波により振動する。ダイヤフラム30が振動すると、その振動によりバックプレート10とダイヤフラム30との間の距離が変化し、ダイヤフラム30とバックプレート10とにより構成されているコンデンサの静電容量が変化する。
ところで、一様な導電性を有する薄膜電極を備えたコンデンサマイクロホンの図2(A)に示す等価回路は、全く振動しないと考えられるダイヤフラムの近端部とバックプレートによって形成される容量Csとある振幅で平坦形状を維持して振動すると考えられるダイヤフラムの中央部で形成される容量Cbとが並列接続されたものである。ダイヤフラム30がある振幅で平坦形状を維持して振動する中央部と全く振動しない近端部とで構成されていると考えるとき、ダイヤフラム30の振動にともなって近端部と中央部との間で電荷の移動が起こると、バックプレート10の近端部に対するダイヤフラム30の近端部の電位が変動し、バックプレート10の中央部に対するダイヤフラムの中央部の電位変動幅が小さくなる。バックプレート10の近端部に対するダイヤフラム30の近端部の電位変動はコンデンサマイクロホン1の出力信号のノイズ成分であり、バックプレート10の中央部に対するダイヤフラムの中央部の電位変動はコンデンサマイクロホン1の出力信号の真の信号成分である。
図3から図5は、第一実施例によるコンデンサマイクロホン1の製造方法を示す断面図である。
はじめに図3(A)に示すように、基膜51及び絶縁膜43を形成する。具体的には例えば基膜51である単結晶シリコン基板の表面にCVD法によりSiO2を堆積させる。単結晶シリコン基板の熱酸化により絶縁膜43を形成しても良いが、後述するSiO2からなる絶縁膜45とSiO2からなる絶縁膜43とのエッチングレートを同一にするため、CVD法によりSiO2を堆積させることが好ましい。
次に図3(D)に示すように、スペーサ44を構成する絶縁膜45を半導体膜32上に形成する。具体的には例えばCVD法によりSiO2を半導体膜32上に堆積させる。
次に図4(B)に示すように、レジスト等からなる所定のパターンのマスク60を半導体膜22上にリソグラフィで形成する。マスク60は、イオン注入用のマスクであり、バックプレート10の中央部14及び接続部16並びにパッド部13に対応する開口部62を有する。不純物をイオン注入でドープすることにより、半導体膜22内での不純物の量、深さ、分布を正確に制御でき、低温でプロセスを進行できる。尚、拡散で不純物を半導体膜22にドープしてもよく、その場合、マスク60にはSi3N4等を用いる。
次に図5(A)に示すように、半導体膜22を所望の形状にパターニングし、半導体膜22に音響ホール18を形成する。具体的には、まずマスクを半導体膜22上にリソグラフィで形成した後、Cl2とO2の混合ガスによって半導体膜22をエッチングし、マスクを除去する。
次に図5(C)に示すように、基膜51の開口部66内に露出する部位をDeepRIEで除去することで基膜51に圧力緩衝室33の側壁面52を形成した後、マスク64を除去する。
以上説明したように、半導体膜22の一部に不純物を高濃度にドープするという半導体デバイスの汎用的な製造プロセスを用いることにより、感度の高いコンデンサマイクロホンを低コストで製造することができる。
バックプレート10の近端部20に、中央部14と逆の電導型の半導体を形成する第二の不純物を低濃度に拡散させてもよい(図1参照)。例えば上述の製造方法において、半導体膜22のバックプレート10の中央部14に対応する領域に第一の不純物を高濃度にイオン注入するためのマスク60を形成する(図4(B)参照)前に、中央部14と逆の電導型の半導体を形成する第二の不純物を半導体膜22の全面に低濃度でイオン注入によりドープする。これにより、図2(C)に示す等価回路のように、バックプレート10にpn接合ダイオードDを形成することになる。pn接合ダイオードDを逆バイアス状態にすることにより、中央部14と近端部20との間の電気的障壁を大きくすることができるため、感度をさらに増大することができる。尚、半導体膜22のバックプレート10の中央部14に対応する領域に第一の不純物をイオン注入した後に、半導体膜22のバックプレート10の近端部20に対応する領域に第二の不純物をイオン注入してもよい。
Claims (6)
- 固定電極と通孔とを有するプレートと、
可動電極を有し音波によって振動するダイヤフラムと、
前記プレートと前記ダイヤフラムとを絶縁しながら支持し、前記固定電極と前記可動電極の間に空隙を形成しているスペーサとを備え、
前記プレート、前記ダイヤフラムの少なくとも一方は、前記スペーサに近い近端部の少なくとも一部の比抵抗が残部よりも高い単層半導体膜である、
コンデンサマイクロホン。 - 前記単層半導体膜は、中央部に、ドナー又はアクセプタとなる不純物が、前記近端部の少なくとも一部よりも高濃度に拡散している、
請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。 - 前記単層半導体膜は、前記中央部の周囲に前記不純物である第一不純物と逆電導型の半導体を形成するための第二不純物が、前記第一不純物よりも低濃度に拡散している、
請求項2に記載のコンデンサマイクロホン。 - 固定電極と通孔とを有するプレートと、可動電極を有し音波によって振動するダイヤフラムと、前記プレートと前記ダイヤフラムとを絶縁しながら支持し、前記固定電極と前記可動電極の間に空隙を形成しているスペーサとを備えるコンデンサマイクロホンの製造方法であって、
前記プレート、前記ダイヤフラムの少なくとも一方を構成する半導体膜を形成し、
前記半導体膜の中央部に、ドナー又はアクセプタとなる不純物を、前記半導体膜の前記スペーサに近い近端部の少なくとも一部よりも高濃度にドープする、
ことを含むコンデンサマイクロホンの製造方法。 - 前記不純物を前記半導体膜にイオン注入し、
前記不純物がイオン注入された前記半導体膜をアニールする、
ことを含む請求項4に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法。 - 前記不純物である第一の不純物と逆電導型の半導体を形成するための第二不純物を前記半導体膜の前記中央部の周囲にドープする、
ことを含む請求項4又は5に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法。
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