JP3876241B2 - 昇華防止冷却体の製造方法 - Google Patents
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Description
異常時に水蒸気が噴出充満する格納容器に設置されるアイスコンデンサにおいて、前記水蒸気を凝縮するために用いられる塊状のブロックアイスを製造するにあたり、
中心に向かって延びる短冊状の突片を有する成型筒の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入して、圧縮圧力で円柱状に成型し、硼砂を含んで凍結点が−5℃〜−10℃に設定され、その軸心方向に沿って半径方向の外方に延びて外周面で開口するスリットを有する昇華防止冷却体用ブロックアイス本体を製造し、次いで、該ブロックアイス本体の外面に水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする。
ここで外面とは外周面全域(外周、上下面)のみならずブロックアイス本体の少なくとも上下面、又はブロックアイス本体の側面全面または、ブロックアイス本体の側面周縁をさす。
そして、本発明は、前記水溶性高分子フィルムの貼着部がブロックアイス本体の側面全面または、ブロックアイス本体の側面周縁であることを特徴とし、好ましくは成型筒の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入した後、油圧プレス31によって約30〜40Kg/cm2の圧縮圧力で成型して、直径300mm、高さ300〜500mmの円柱形状としてなる昇華防止冷却体用ブロックアイス本体を製造し、次いで、該ブロックアイス本体の少なくとも上下面に水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする。
例えば前記ブロックアイス本体の側面の全面または、上下周縁部に、該本体部よりも凍結点が高く−3℃前後の温度域で溶融する表層を形成した後、該表層を介して水蒸気透過抑制機能を有するホウ素含有の水溶性高分子フィルムを貼着するのがよい。
中心に向かって延びる短冊状の突片を有する成型筒の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入して、圧縮圧力で円柱状に成型し、硼砂を含んで凍結点が−5℃〜−10℃に設定され、その軸心方向に沿って半径方向の外方に延びて外周面で開口するスリットを有するブロックアイス本体を製造し、次いで、該ブロックアイス本体の少なくとも上下面に水蒸気透過抑制機能を有する例えばホウ素含有の水溶性高分子フィルムを貼着するのが好ましい。
そしてその具体的な製造方法として、前記ブロックアイス本体の上下面に水溶性高分子剤の糊状体を塗布した後、該糊状体を介して水蒸気透過抑制機能を有する例えばホウ素含有の水溶性高分子フィルムを貼着するか、若しくは前記ブロックアイス本体の上下面に、該本体部よりも凍結点が高く−3℃前後の温度域で溶融する表層を形成した後、該表層を介して前記水溶性高分子フィルムを貼着するのがよい。
又本発明は前記請求項1乃至請求項6のいずれかの方法により製造されたブロックアイスをアイスバスケットに収納することを特徴とする原子炉用アイスコンデンサとしても特定される。
また本発明によれば、ブロックアイス内を循環空気が通過する際に硼砂を含む本体を備えたブロックアイスにて中性子が吸収され、外部への放出が阻止される。
また、該入口ドア27は鋼板コンクリートからなるクレーンウォール17の下方に引込んだ形態で位置していて、更に該入口ドア27の内側にショックアブソーバ29が設けられ、開閉度が調節可能にされた入口ドア27から流入する内部空気の衝撃を緩和するようになっている。
図3は本発明の第1実施形態にかかるブロックアイスを成型するための成型装置の概観斜視図、図4はブロックアイスの外観斜視図である。
該ブロックアイス32は、図3に示されるような油圧プレス31によって成型される。即ち図3において、該ブロックアイス32を成型するにあたっては、成型筒30の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入し、表面をならした後(あるいはならさずに)、油圧プレス31によって約30〜40Kg/cm2の圧縮圧力で成型する。成型筒30は、中心に向かって延びる短冊状の突片30aを有するため、成型されたブロックアイス32には、図4に示すように、そのほぼ中心から外周面まで延びる短冊状のスリット32aが形成される。
そして、該ブロックアイス32は、その本体32bが中性子の吸収を促進するため硼砂(Na2B4O7・10H2O)を含有する凍結体にて構成される。該ブロックアイス本体32bの外周に水溶性高分子ポリビニルアルコール(以下PVAと略称する)を貼着して、該ブロックアイス本体32bの昇華を阻止あるいは抑制している。
図5は前記ブロックアイス本体32bにPVAからなるフィルム33が貼着された形態例を示す。
図5(b)は、前記フィルム33を黒点群33aにて示すように、ブロックアイス本体32bの上下外周縁及びスリット32aに沿った軸方向縁にて溶着したもの、(c)は上記(b)に加えて本体32bの外周面の軸方向でも溶着したもの(33bにて示す)、(d)はブロックアイス本体32bの外周面全域(外周、上下面)を溶着(33cにて示す)したもの、(e)は前記(d)に加えてスリット32aにもフィルム33を押し込み、この部分でも溶着(33d)したもの、をそれぞれ示す。
このようにアイスコンデンサ10を構成すれば、通常の状態では、該アイスコンデンサ10の中を流れる循環空気が該ブロックアイス32に触れても、空気とブロックアイス本体32bとの直接接触は水溶性高分子フィルム33により阻止されることとなってブロックアイス本体32bの昇華が抑制される。これに対し異常時に大量の水蒸気を含む循環空気がブロックアイス32に触れると、該水蒸気により水溶性高分子フィルム33が溶解した後、所要の凝縮作用が行なわれる。
図6には、ブロックアイス本体32bの外面にPVAフィルム33を図5(a)〜(e)に示すような溶着態様(但し(a)は前記PVAフィルムを溶着せず)で貼着してなるブロックアイス32を−15℃(一定温度)の冷凍庫内に搬入し、下記(1)式に定義する氷昇華率の径時変化を計測した実験結果を示す。
氷昇華率=(氷の初期重量−氷の昇華後重量)/氷の初期重量 ・・・(1)
特に、前記PVAフィルム33を貼着したもののうち、全面溶着でなく、ブロックアイス本体32bとPVAフィルム33との間に若干空隙が形成される部分溶着の方が前記昇華の抑制効果が大きい。
前記PVA糊34は、原液の粘度500cst(10℃において)、原液と水との配合比は原液:水=1:2〜1:4程度が好適である。
図8において、(A)に示された硼砂を含有するブロックアイス本体32bの外周に、(B)に示すように塗布具36によりPVA糊の溶液(20〜100%)34を塗布しながら、(C)に示すようにPVAフィルム33を貼着する。
この場合、PVA糊34を塗布後、これが凍結しないうちにPVAフィルム33を貼着することを要する。
この例においては前記第1例と同様にブロックアイス本体32bの外周にPVA糊34を塗布し(図9(A))、その後一定期をおいて該PVA糊34の塗布層を凍結させる。
そして、同図(B)に示すように温風機37等の加温手段によりPVA糊34の塗布層を昇温させてこれを溶解せしめて、前記第1例と同様にPVAフィルム33を貼着する。
従って、PVA糊34の塗布後に時間をおいてPVAフィルム33を貼着することができ、工程に余裕ができる。
この例においては、図10(A)に示すように、ブロックアイス本体32bの上端部及び下端部の外周にPVA糊34を塗布し、同図(B)に示すようにPVAフィルム33で該ブロックアイス本体32bの外周面全体を包み、前記上下端部のPVA糊34塗布部にヒートシール38を施して該PVAフィルム33を貼着する。
この例においては、図11(A)に示すブロックアイス本体32bの外周に、同図(B)に示すように水スプレー器39によって水(要すれば純水)を一様に吹き付ける。水は硼砂入りのブロックアイス本体32bよりも凍結点が高いので、−3℃程度の作業環境においてブロックアイス本体32bの表面が溶解状態であっても、該水は0℃近傍で直ちに凍結して氷膜(凍結表層)40を形成する。そして上記によって氷膜(凍結表層)40が形成された直後にPVAフィルム33を貼着する。
この例においては、前記第4例におけるブロックアイス本体32bの表面への水スプレー器39による吹き付け(図12の(A))の後、該水を完全に凍結させて氷膜(凍結表層)40を形成した後、同図(B)に示すように、凍結した氷膜40の表面を温風機37等の加温手段によって昇温させて氷膜40を溶解させながらPVAフィルム33を貼着する。
この例においては、図13(A)のように、−3℃程度の作業環境下にてブロックアイス本体32bの外周全体あるいは上端部及び下端部に水スプレー器39による水の吹き付けを行なって氷膜40を形成し、次いで、同図(B)のようにPVAフィルム33で該ブロックアイス本体32bの外周面全体を包み、上、下端部にヒートシール38を施してPVAフィルム33を貼着する。
この場合は、該ブロックアイス32の外周には前記第1例〜第6例のような方法によってPVAフィルム33を貼着するが、各ブロックアイス32間の層部41については、該PVAフィルム33の貼着を必ずしも行なわなくてもよい。
この場合、前記層部41にPVAフィルム33を貼着すると、層部41の上下間において断熱効果をなし、ブロックアイス32表面の溶解が回避される。
図15において、58はPVA糊が収容されたPVAタンク、58aは該タンク58にPVA糊を注入するためのPVA糊注入孔、59はPVA糊供給用のポンプである。
54は架台で、該架台54には前記ブロックアイス32載置用のターンテーブル57aが取付けられている。57は該ターンテーブル57aを回転駆動するためのターンテーブル駆動部である。
一方、貼着用のPVAフィルム33は、テンションローラ56によって緊張されながら、フィルム押付機構部51に送られ、またPVA糊はPVA糊タンク58からポンプ59により配管60を通ってPVA糊貼付機構部53に送られている。
次いでPVAフィルム33を、テンションローラ56を介してフィルム押付機構部51に送り、ここでPVA糊が塗布されているブロックアイス32の外周面に、該PVAフィルム33をフィルム押付機構51によって押付け、貼着する。
そして、貼着後のPVAフィルム33の端部はフィルム切断用押付部52によって、所定の貼着長さになるように切断される。
11 支持格子
13 アイスバスケット
30 油圧プレス
32 ブロックアイス
32a スリット
32b ブロックアイス本体
33 PVAフィルム
34 PVA糊
36 塗布具
37 温風機
38 ヒートシール
39 水スプレー器
40 氷膜(凍結層)
51 フィルム押付機構部
52 フィルム切断用押付部
53 PVA糊貼付機構部
Claims (8)
- 異常時に水蒸気が噴出充満する格納容器に設置されるアイスコンデンサにおいて、前記水蒸気を凝縮するために用いられる塊状のブロックアイスを製造するにあたり、
中心に向かって延びる短冊状の突片を有する成型筒の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入して、圧縮圧力で円柱状に成型し、硼砂を含んで凍結点が−5℃〜−10℃に設定され、その軸心方向に沿って半径方向の外方に延びて外周面で開口するスリットを有する昇華防止冷却体用ブロックアイス本体を製造し、次いで、該ブロックアイス本体の外面に水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする昇華防止冷却体の製造方法。 - 異常時に水蒸気が噴出充満する格納容器に設置されるアイスコンデンサにおいて、前記水蒸気を凝縮するために用いられる塊状のブロックアイスを製造するにあたり、
中心に向かって延びる短冊状の突片を有する成型筒の中にかき氷状、砕氷状もしくはペレット状の氷粒もしくはフレークアイスを注入した後、油圧プレス31によって約30〜40Kg/cm2の圧縮圧力で成型して、直径300mm、高さ300〜500mmの円柱形状としてなる昇華防止冷却体用ブロックアイス本体を製造し、次いで、該ブロックアイス本体の少なくとも上下面に水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする昇華防止冷却体の製造方法。 - 前記ブロックアイス本体に水溶性高分子剤の糊状体を塗布した後、該糊状体を介して水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする請求項1又は2記載の昇華防止冷却体の製造方法。
- 前記ブロックアイス本体に、該本体部よりも凍結点が高く−3℃前後の温度域で溶融する表層を形成した後、該表層を介して水蒸気透過抑制機能を有する水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする請求項1又は2記載の昇華防止冷却体の製造方法。
- 前記水溶性高分子フィルムの貼着部がブロックアイス本体の側面全面または、ブロックアイス本体の側面周縁であることを特徴とする請求項1又は2記載の昇華防止冷却体の製造方法。
- 前記ブロックアイス本体の側面の全面または上下周縁部に水溶性高分子剤の糊状体を塗布した後、該糊状体を介して水蒸気透過抑制機能を有するホウ素含有の水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする請求項1又は2記載の昇華防止冷却体の製造方法。
- 前記ブロックアイス本体の側面の全面または、上下周縁部に、該本体部よりも凍結点が高く−3℃前後の温度域で溶融する表層を形成した後、該表層を介して水蒸気透過抑制機能を有するホウ素含有の水溶性高分子フィルムを貼着することを特徴とする請求項1又は2記載の昇華防止冷却体の製造方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかの方法により製造されたブロックアイスをアイスバスケットに収納することを特徴とする原子炉用アイスコンデンサ。
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