JP3876026B2 - キートップの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話機、音響機器、テレビ、ビデオ、ファクシミリ、コピー機および車載用機器等の入力部に組み込まれるスイッチのキートップの製造法である。
【0002】
【従来の技術】
従来のキートップの製造法は、まずキートップの形状に成形し、この立体形状をした全表面を白塗装し、さらに表示パターン等のカラーを頂面に印刷し、その後に全表面を遮光用に黒塗装し、そして頂面をレーザーカットして所望のパターンを形成している。
【0003】
その他の製造法としては、表示部を予め金型内に入れておき成型するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製造法は、立体的に成型したキートップに対し、塗装および印刷を行なうものであるため、まず塗装において立体形状の頂面はもちろん、四側面および立体部間の隙間を塗装するためには、インキ噴射ノズルをあらゆる方向に振り回しながら行なわねばならず、そのための設備およびスペースが必要となる。また、立体の各面およびその隙間を均等に塗装することは困難であるか非常な時間を要するものとなる。
【0005】
そして作業スペースを広く要することは、ゴミの付着の危険性が多く不良品を多く排出してしまう。さらに塗装の均等化がなされていないと、厚みにバラツキが生じるため、後工程におけるレーザ加工でのカット不良が生じてしまう。
【0006】
また、立体形状に成形したのちに頂面に印刷を施すことは、各種高さの頂面に印刷せねばならず、均等な印刷が不可能であるか、何回も印刷を繰り返さねばならず時間を要してしまう。
【0007】
表示部を予め金型内に入れる方法は、その表示部フィルムを位置合わせするクランプが必要であり、それとても精度の点で問題があり、さらに成形時のフィルム歪が発生するおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、立体形状に成形する以前に、平面シートの状態で遮光印刷およびパターン印刷を行ない、立体形状にては、レーザカットによるパターン加工のみを行なうようにして、面倒な塗装を無くし、そして印刷精度を良くするとともに工程数を大幅に短縮した。
したがって平面シートの状態で印刷できるので、立体形状に成形したのちの印刷に比し、難易度が多いに相違し、印刷精度が高い。また成形後には不可能な各キー面間の溝9にも予め印刷しておくことが可能となる。
【0009】
さらに塗装でなく、印刷による処理が可能であるので、塗装する場合の大きいスペースの必要、ゴミ付着による不良、インキの飛散による公害等が無く、しかも側面および隙間まで均等な印刷が達成できる。そしてまた製造工程を大幅に短縮できるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、フッ素フィルム等の剥離シート1上に遮光性インキ2、例えばシリコーンインキにて黒ベタ印刷を行ない遮光膜を形成し、その上にデザイン上等の必要に応じ白ベタ印刷、あるいは表示部として所望のカラー印刷3をキートップに対応する所定位置に行ない印刷工程を終了する。この印刷時には周囲に枠4を接着しておく。
【0011】
次に剥離シート1を剥がし、遮光膜シート5を金型上に載せる。この際遮光膜シート5は枠4にて張設される。
【0012】
剥離シート1は、インキを硬化させる際に熱がかかることが予定されるために耐熱性が必要であり、また遮光膜が剥がれ易いシリコーン系、フッ素系、イミド系等が望ましい。遮光膜は伸長して吸引されることから通常300%以上伸長可能なシリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、その他合成ゴム系等の弾性膜であることが望ましく、その形成方法としては、印刷、塗装などがあるが、遮光膜の管理、作業スペースの点から印刷方法が好ましい。
また、剥離シート1上に遮光インキ2を弾性遮光膜として形成する前に必要に応じて膜強度向上のために透明インキにて補強膜を形成しても良い。この補強膜はキートップ付きキーシートを携帯電話などのキースイッチとして使用する際、実使用においてキートップコーナー部の摩耗により下部の光源からの光が漏れることで商品品位の低下をまねく恐れがあるためキーシート形成後、表面の摩耗耐久性向上を目的として設ける。表面の摩耗耐久性は補強膜の膜厚およびキートップ形状に依存するが、耐久性は、約1.5〜2.0倍向上する。
【0013】
金型6としては、一般に用いられている真空吸引金型を使用し、必要に応じて微細孔を施した材質のものを使用し、この金型を通して印刷したシート5を吸引する。例えばシリコーンインキで形成したシリコーンシート5は、前記したように通常300%以上伸張可能なので、金型の各定位置に無理なく伸張して吸引され予備成形される。
【0014】
その後印刷したシート5を金型6内に残したまま、シリコーン等の材料7を入れて成型し、しかるのちにキートップの頂面をレーザ加工して、文字、パターン8等の表示部を作成する。
【0015】
尚、黒、灰色、その他の濃色の遮光性インキに代え透光性インキを用いることにより、照光式キートップを製造できる。
【0016】
また、真空吸引成形に使用する金型としては、図1に示されるように、金型の各キャビティの底面のみならず側面に多数の微細孔を有するもの、あるいは金型の材質を多孔質のなものとして、この金型上においた印刷シート5を吸引して予備成形するようにしたもの。
【0017】
別の金型として、図2に示すように、キャビティの壁面より吸引する方式ではなく、各キャビティ9に通じる吸引路10を金型6の表面に形成し、これを吸引孔11に接続させたものがある。吸引を開始することにより各キャビティ9内は負圧となり、上部に載せた印刷シート5が金型の形状通りに吸着され予備成形される。
【0018】
尚、この際に気密性を確保するために、周囲の枠4の下部にパッキン12を配置するとよい。
【0019】
また、表示部のカラー印刷を施した部分の金型への位置決めをより精密に実行するために、図4に示すような金型のキャビティに進入するオス型状の凸部13を有する吸引式の押込み治具14を使用し、印刷シート5を吸着して保持させ、この押込み治具14を金型6内に整合し、金型6の吸引を開始すると同時に押込み治具14の吸着を開放することにより、金型6の所定位置に印刷シート5が精密に位置決めされて吸引できる。その後押込み治具14を外し、シリコーンゴム、天然ゴム、その他合成ゴム等の弾性材料を入れ一体成形する。
【0020】
さらに前記した発明によれば、立体成形後に文字、パターン等の表示部を作成しているが、剥離シート上に遮光性インキにて遮光膜を形成する際に、予め文字、パターン等の表示部を除いた部分を遮光膜印刷してしまい、立体成形後のレーザー加工による文字、パターン等の表示部に関する全加工が平面シート上で行なえることで作業を非常に容易とできる。
【0021】
さらにまた、印刷した遮光膜5を金型内に吸着させたのち、シリコーン等の材料を入れてキートップを成形する際に、図6に示すように金型6上に中金型15を入れて成形することにより、図7に示すようにキートップ16の上部のみが遮光された変化を有するキートップの作製が可能である。
【0022】
さらにまた図8に示すように、印刷した遮光膜5を金型6内に吸着させる前に、予め成型した耐熱性透明樹脂、例えば、インサートされる金型温度により劣化しないフッ素系、ポリスルホン系、ポリイミド系等の熱可塑性樹脂や、フェノール系、メラミン系、エポキシ系、ケイ素系、フタル酸ジアリル系等の熱硬化性樹脂からなるキートップ成形品17を挿入しておき、その後に遮光膜5を吸着させ、その後は他の実施例と同様に成形することにより、キートップ頂面は固く、ベース部は弾性を有し、かつ文字面がカバーされている文字消えのないキートップを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1 製造工程を示す図
図2 別の金型を示す断面図。
図3 図2の平面を示す図。
図4 押し込み治具を示す断面図。
図5 押し込み治具をセットした断面図。
図6 中金型を挿入した断面図。
図7 中金型を使用して成型したキートップ図。
図8 キートップ成形品を金型ないに挿入して成形する断面図。
【符号の説明】
1 剥離シート
2 遮光性インキ
3 カラー印刷
4 枠
5 遮光膜シート
6 金型
7 シリコーン
8 パターン
9 キャビティ
10 吸引路
11 平面シート
12 パッキン
13 凸部
14 治具
15 印刷シート
16 キートップ
17 成形品

Claims (7)

  1. 剥離シート上に、遮光性インキにて平面印刷して遮光膜を形成し、その上に表示部を所定位置に、かつ所望の色彩にてカラー印刷を行ない、その後剥離シートを剥がし、印刷した遮光膜シートを、多数の通気孔を施した金型上に載せ、真空吸引し、前記遮光膜シートを金型内壁面に吸着し、さらにこの金型内にシリコーン等の材料を入れ一体成形し、でき上がった立体形状のキートップ表面をレーザー加工にて、所望のパターンを形成してなるキートップの製造法。
  2. 剥離シート上に、遮光性インキにて表示文字、パターン部分を除いて平面印刷して遮光膜を形成し、その上に所望の色彩にてカラー印刷を行い、その後剥離シートを剥がし、印刷した遮光膜シートを、多数の通気孔を施した金型上に載せ、真空吸引し、前記遮光膜シートを金型内壁面に吸着し、さらにこの金型内にシリコーン等の材料を入れ一体成形してなるキートップの製造法。
  3. 表面に各キャビティに通じ吸引路が形成されてなる金型を使用して遮光膜シートの真空吸引を行なうことを特徴とする請求項1から3のうちの1に記載のキートップの製造法。
  4. 印刷した遮光膜を載せた金型上に中金型を入れて成形することにより、上部のみが遮光されるようにしたことを特徴とする請求項1から3のうちの1に記載のキートップの製造法。
  5. 遮光性インキに代え透明インキにて表面シートを形成してなる請求項1か ら3のうちの1に記載のキートップ製造法。
  6. 印刷した遮光膜シートをオス型と同一形状であり適宜間隔にて吸引孔が形成された押込み治具にて吸着保持させてメス型内に位置決めさせるようにした請求項1から5のうちの1に記載のキートップの製造法。
  7. 金型内に予め成形した耐熱性透明樹脂から成るキートップ成形品を挿入した後に、印刷した遮光膜を吸着させるようにしたことを特徴とする請求項1から6のうちの1に記載のキートップの製造法。
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