JP3875307B2 - 振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法及び装置 - Google Patents

振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数を調節するための方法、並びにこの方法を実施するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
線状態様で操作する振動溶接装置と比較して、軌道を描く振動運動を発生する溶接装置は、明確に記された振動方向を示さない。振動装置の構造的条件のため、振動は振動面において生じる。製造許容及び非対称な質量分布によって、複数、通常は二つの、好ましい振動方向が生じる。異なる振動方向は異なる共振周波数に対応する。実際には、矩形の幾何学的デザインを溶接する場合には、二つの共振周波数が生じ、それにより振動ヘッドは、長手軸方向及び横軸方向に線状態様で振動する傾向がある。両共振周波数の間の範囲には、振動ヘッドが、線状横方向振動から線状長手方向振動へ運動方向を変化させる移行範囲がある、つまり振動ヘッドは楕円、又は別に円形の振動を行なう。
【0003】
振動運動する振動溶接装置の利点は、円形又は少くとも楕円振動を行なうことができることである。調和運動(振動ヘッドは、反転の際に停止せず、さらに実質的に一定の溶接速度を示す)により、可能な限り最良の溶接結果及び/又は最小溶接時間を得ることができる。調和運動によって、振動運動する振動溶接装置のエネルギー移行は、線形系によって提供されるものよりも、より高く、より均一である。
【0004】
しかしながら、運動の軌道の最も好ましい幾何学的形態の調節は、操作者がその装置について充分な知識を有し且つ慣れていることが必要であるので難しい。適当な測定手段を使用して振動の形状を詳細に監視することなしには、操作者は、通常共振周波数ではない適切な周波数から生じる適切な円形又は楕円形運動を決定、調節することはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な態様で、振動運動する振動溶接装置の最適操作周波数を調節する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この目的は、周波数を所定周波数範囲において変化させて、振動運動の軌道形態を測定し記録する工程と、最適な軌道形態の振動運動となる周波数を選択する工程と、前記周波数を駆動装置の操作周波数として調節する工程とを含むことを特徴とする、振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法によって解決される。
【0007】
本発明の方法は、振動運動する振動溶接機の工具を交換する場合、及び/又は異なる幾何学的形状を有する工作物を溶接しなければならない場合に必要とされる最適操作周波数を調節することができる。
【0008】
振動運動の調節は三段階で行なわれる。最初に、動力源を制御して、振動回路の絶対最小電流又は最小電力を調査するため、最低周波数から開始して、所定周波数範囲に渡って運転する。この最小値は、最も明確な共振周波数に対応するが、この共振周波数は円形運動に対応していない。
【0009】
次いで、この共振周波数から開始して、周波数をより高い周波数へ変化させ、その結果生じる振動運動の軌道形態を測定し記録する。最適化特性は、楕円形軌道の短半径軸と長半径軸との割合によって定義される。この割合が同一になると、溶接ヘッドが完全な円形で運動していることを意味する。しかしながら、測定手続を開始した後にこの割合が悪化すると、より高い周波数に向かって最適な円形運動が生じるとはもはや期待できないので、調査はより低い周波数に向かって継続される。従って、調査の結果、所定周波数範囲内の可能な限り最善の、つまり最適な円形運動が決定される。本明細書中において使用される定義によれば、楕円の長半径軸と短半径軸の振幅が、互いにできるだけ近接している場合に、円形軌道が最適となる。個々の適用及び量により、これは細長い楕円又は直線である場合もある。可能な限り最適な周波数は、次に装置によって調節される。
【0010】
第三段階では、装置は決定された周波数が安定な運動を生じるかどうか、あるいは運動が変化する(円形軌道の揺れ、半径の変化等)かどうかをチェックする。運動が安定していないと、最小電流の周波数が搬送され、操作周波数として記憶されてしまう。
【0011】
前述の同調処理は、無負荷状態の運動(つまりプラスチック工作物の溶接が行なわれていない時)と負荷状態の運動(溶接時)とが同一であるという事実に基づいている。多くの場合この条件に適合し、よって自動調節は終了する。
【0012】
多くのパラメーター(溶接時に高い結合圧力、溶接中の材料特性の大きな変化等)に応答して、装置が負荷状態にある場合、所定周波数がもはや振動運動の最適な軌道形態で生じないことがある。この場合は、負荷状態で同調処理を繰り返さなければならない。
【0013】
一方の軸方向の運動が制限される特定の幾何学的形状を有する工作物を溶接する場合、決定された可能な限り最良の円形運動が、適切な運動であるとは考えられないこともある。この場合、同調基準を変更し、つまり可能な限り最善の円形形状を調査する代わりに、適当であるが異なる形状(例えば細長い楕円又は線形運動)を有する運動を選択し、変更した調査基準を適用して無負荷状態又は負荷状態の同調処理を行なう。
【0014】
本発明によれば、最適操作周波数は、一般的に円形又は楕円形振動を用いて、各溶接の幾何学的形状について決定されるが、これは細長い楕円又は直線に変化させてもよい。
【0015】
他の目的は、添付図面を参照した以下の詳細な説明を参照して、より容易に明確となるであろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の構成及び実施態様を列挙する。
【0017】
1.振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法であって、該装置は工作物を受理する溶接ヘッドと、該ヘッドを載置する弾性手段と、工作物を溶接するための振動面に押しつけられる振動運動に付されるヘッドを駆動するための電磁手段とを備え、前記方法は、周波数を所定周波数範囲において変化させて、振動運動の軌道形態を測定し記録する工程と、最適な軌道形態の振動運動となる周波数を選択する工程と、前記周波数を駆動装置の操作周波数として調節する工程とを含むことを特徴とする、振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法。
【0018】
2.最小電流又は最小電力に対応する共振周波数が検出されるまで、電磁手段の操作周波数を所定周波数範囲において変化させる工程と、前記操作周波数を、前記共振周波数から開始して、より高い値及び/又は低い値へ変化させながら、振動運動の軌道形態を測定し記録して、操作周波数を振動運動の最適な軌道形態に対応させて調節する工程とをさらに含むことを特徴とする、上記1に記載の方法。
【0019】
3.安定振動が、選択調節された操作周波数の結果として生じるかどうかを検出する工程と、非安定振動について、共振周波数、つまり最小電流を生じる周波数を選択調節する工程とを含むことを特徴とする上記1又は2に記載の方法。
【0020】
4.前記振動運動の最適な軌道形態が、工作物の幾何学的形態に従って、円形形態又は楕円形形態によって、又は線形形態によって規定される、上記1に記載の方法。
【0021】
5.工作物を受理する溶接ヘッドと、該ヘッドを載置する弾性手段と、工作物を溶接するための振動面に押しつけられる振動運動に付されるヘッドを駆動するための電磁手段とを備える、上記1に記載の方法を実施するための装置において、検出した振動ヘッドの振動運動の軌道形態及び電磁駆動手段のコイル中の電流を供給するための入力を有するプロセッサーを備えることと、該プロセッサーが電磁駆動手段の周波数及び振幅を調節するために電圧信号を出力することを特徴とする、上記1に記載の方法を実施するための装置。
【0022】
6.前記プロセッサーが、振動溶接装置を制御する制御装置の入力及び出力に接続される、上記5に記載の装置。
【0023】
【実施例】
本発明の回路の好ましい実施態様を概略的線図に示す。マイクロコントローラ又はこれと同程度の容量のプロセッサー1によってインテリジェントユニットが構成される。電流センサー又は電力センサーの信号は増幅器2を通してプロセッサー1に送られる。センサー(図示せず)は、振動運動する振動溶接機(図示せず)の電磁駆動装置のコイルを通して流れる電流を測定する。この形式の振動溶接機の一実施態様は、ヨーロッパ特許公開第0 504 494 A2に開示され、この文献は参照により本明細書中に組み込まれる。この文献にはさらに、操作周波数を装置の共振周波数に同調させることが開示される。これを達成するためには、電磁駆動の電圧と電流との位相角を測定するが、この角度は共振条件ではゼロになる。
【0024】
最小電圧をできるだけ直接測定するためには、好ましくは、電流信号は電磁駆動手段の電気コイルにおいて直接検出する。
【0025】
振動運動の軌道形態は、運動の方向に関して感応性であり運動を記録する一つ又は複数のセンサーによって検出される。これは、例えば振動運動の軌道面において互いに90度の角度をなして載置される、一対の加速度センサーを用いることによって行なうことができる。両方の信号に基づいて、プロセッサーは振動装置の運動を計算する。円形運動については、二つの信号は同じ振幅を有し、位相が90度ずれている。線図において、これらの信号はアナログ入力3として示す。信号は入力フィルター4において処理され、プロセッサー1に供給される。
【0026】
プロセッサーは、選択された周波数帯域を通過するために必要なコマンドを送り、さらに振動振幅が使用されるように指令を出し、及び/又は調整後の測定された操作周波数を、出力5を通して、振動ヘッドの電磁駆動装置を駆動する周波数変換器(図示せず)へ送信する。従って、駆動装置にとって望ましい周波数は電圧信号として送信される。
【0027】
デジタル入力6及び出力7を通して、プロセッサー1は、振動溶接機を制御する制御装置と交信する。これにより振動溶接機を操作するユニットを通してパラメター(周波数範囲、調査手順等)を供給することができる。さらに、測定されたパラメターが制御装置へ供給され、この制御装置が振動溶接機を制御する。任意に、パラメターを読んで、さらに処理することもできる。さらに、サインオンメッセージ及びエラーに関するメッセージが制御装置に送信される。
【0028】
制御装置に対して別個に実行される同調装置によって、単に手動で又は制御装置を通して同調されていない振動溶接機を制御することができる。この場合、制御はデジタル入力を通して非活性化される。
【0029】
使用される一つ以上の方向感応性センサー、例えば加速度センサーを、同調及び溶接工程の間に振幅を制御するために使用することができる。振幅を制御するための別個のセンサー装置は、従って必要ない。
【0030】
図2は、コイル24、26、及び28を備える軌道駆動モーターを示す線図である。ステータ30は、電気モーターに使用される形式のスチール製積層体からなる磁石材料の単一体であり、固定リングにボルトによって載置されるスタック内に配置される。ステータ30の断面は一般に三角形である。ステータは、ポール38、40、及び42を備え、これらのポールの周囲にはコイル26、28、24がそれぞれ巻きつけられ、中心軸に向かって内方に突出する。三角形のアーマチャー50がポールの間に配置される。ポール面、アーマチャー面、及びその間の空気間隙は、中心軸に対して対称的に配置される。アーマチャー50はボルトによって、その下方に配置され振動溶接機の振動工作物支持体を規定する駆動板66に接続される。駆動板66は、ステータ30/アーマチャー50システムの外に載置される複数の可撓性ロッド90によって固定支持体(図示せず)に接続され、駆動板の振動を安定化させ、軌道面の軌道力を維持する。この可撓性ロッドは弾性手段と称する。アーマチャーとステータ及びコイルの組合せは電磁手段と称する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の回路の好ましい実施態様の概略的線図である。
【図2】 図2は、軌道駆動モーターの概略図である。

Claims (6)

  1. 振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法であって、該装置は工作物を受理する溶接ヘッドと、該ヘッドを載置する弾性手段と、工作物を溶接するための振動面に押しつけられる振動運動に付されるヘッドを駆動するための電磁手段とを備え、前記方法は、周波数を所定周波数範囲において変化させて、振動運動の軌道形態を測定し記録する工程と、最適な軌道形態の振動運動となる周波数を選択する工程と、前記周波数を駆動装置の操作周波数として調節する工程とを含むことを特徴とする、振動運動を発生する振動溶接装置の操作周波数の調節方法。
  2. 最小電流又は最小電力に対応する共振周波数が検出されるまで、電磁手段の操作周波数を所定周波数範囲において変化させる工程と、前記操作周波数を、前記共振周波数から開始して、より高い値及び/又は低い値へ変化させながら、振動運動の軌道形態を測定し記録して、操作周波数を振動運動の最適な軌道形態に対応させて調節する工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 安定振動が、選択調節された操作周波数の結果として生じるかどうかを検出する工程と、非安定振動について、共振周波数、つまり最小電流を生じる周波数を選択調節する工程とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記振動運動の最適な軌道形態が、工作物の幾何学的形態に従って、円形形態又は楕円形形態によって、又は線形形態によって規定される、請求項1に記載の方法。
  5. 工作物を受理する溶接ヘッドと、該ヘッドを載置する弾性手段と、工作物を溶接するための振動面に押しつけられる振動運動に付されるヘッドを駆動するための電磁手段とを備える、請求項1に記載の方法を実施するための装置において、
    検出した振動ヘッドの振動運動の軌道形態及び電磁駆動手段のコイル中の電流を供給するための入力を有するプロセッサーを備えることと、該プロセッサーが電磁駆動手段の周波数及び振幅を調節するために電圧信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載の方法を実施するための装置。
  6. 前記プロセッサーが、振動溶接装置を制御する制御装置の入力及び出力に接続される、請求項5に記載の装置。
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