JP4424704B2 - 起振機の制御方法および制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は起振機の制御方法および制御装置に関する。さらに詳しくは、起振機を高効率で動作させることができる起振機の制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、起振機A´として、図8に示すように、円筒状の固定子a内に振動子bを上下方向に振動可能に配設し、この振動子bの上端に試料載置台cを形成してなるものが知られている。
【0003】
すなわち、この起振機A´においては、図8に示すように、固定子a内にその内面上端および下端に極性を逆にして所定強度の磁石d,eが配設されるとともに、振動子bがその起振部fを前記磁石d,eの中間に位置させて配設されている。また、この起振部fには、図8に示すように、電磁石gが形成されるとともに、その電磁石gに外部の交流電源装置hから交流電流が供給されるようにされている。そのため、電磁石gの極性が交互に変化して振動子bが上下に振動する。つまり、振動子bが起振される。そして、制御装置C´により交流電源装置hから電磁石gに供給されている交流電流の周波数を適宜調整することにより、振動子bまたは試料を所望振動数で起振させることができる。なお、図8において、符号sは振動子bまたは試料の振動数を検知するセンサーまたは加速度センサー(Gセンサー)である。
【0004】
しかして、かかる従来の起振機A´においては、固定子a側の磁石d,eの強度が一定とされ、かつその磁石d,eにより形成される磁界中において最低重量から最大重量のものまで起振されているため、磁石d,eの強度は試料載置台cに載置される最大重量に対応させて選定されている。そのため、最大重量のものを起振させる場合以外は、必要以上の磁界中で振動子bを起振することになり、エネルギーロスを生ずることとなっている。つまり、効率が悪いものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、起振機を高効率で稼動させることができる起振機の制御方法および制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の起振機の制御方法は、固定磁場と振動磁場の相互作用によって振動を発生させる起振機の制御方法であって、起振機の振動子を設定された振動数で振動させる手順と、固定磁場電流と振動磁場電流との相関関係を設定する手順と、設定された振動数と振動数検出値とを比較してその偏差を解消する補正指令値を生成する手順と、前記補正指令値により固定磁場電流および振動磁場電流を補正する手順と、前記補正手順を固定磁場電流および振動磁場電流が最適値に収斂するまで繰り返す手順とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の起振機の制御方法において、起振機の起動時に固定磁場電流を定格電流としておくと、より安定した制御とすることができる。
【0009】
一方、本発明の起振機の制御装置は、振動子の振動数を設定された振動数となるようにフィードバック制御している起振機の制御装置であって、
振動数設定手段と、前記振動数設定手段により設定された振動数と、センサーからの振動検出値とを比較してその偏差を解消する補正指令値を生成する振動状況判定手段と、固定磁場電流と振動磁場電流の相関関係を設定する電流相関関係目標設定手段と、前記電流相関関係目標設定手段からの目標値と固定磁場電流の測定値および振動磁場電流の測定値とに基づいて電流相関関係を判定して固定磁場電流値と振動磁場電流値との偏差を解消する補正値を生成する電流相関関係判定手段と、前記電流相関関係判定手段の判定に基づいて固定磁場電流を制御する固定磁場電流制御手段および振動磁場電流を制御する振動磁場電流制御手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明は前記の如く構成されているので、固定磁場電流と振動磁場電流との関係を最適値に制御することができるため、起振機を高効率で稼働させることができてエネルギーロスを少なくできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、固定子側の電源として交流電源を用い、振動子側の電源として直流電源を用いることもある。また、交流電源においてはその電流値として実効値が用いられる。
【0012】
実施形態1
本発明は従来の固定子の内面上端および下端に配設されていた磁石を電磁石とするとともに、その電磁石に供給する直流電流を制御して必要磁界を形成するようにしてなるものである。また、その制御原理は以下のとおりである。
【0013】
巻数Nのコイルに電流Iを流したときの磁界の強さHは下記式(1)により表されることが知られている。
【0014】
H=F(NxI) (1)
【0015】
また、この磁界Hの中に別のコイル(巻数n)を置いて電流iを流したとき、そのコイルの受ける力Xは下記式(2)により表されることが知られている。
【0016】
X=f(NxI)・g(nxi) (2)
ここに、
f(NxI):巻数Nのコイルによる寄与分
g(nxi):巻数nのコイルによる寄与分
【0017】
一方、特定の起振機においては、巻数は一定であるから、前記式2は下記式3のように変形できる。
【0018】
X=f1(I)・g1(i) (3)
【0019】
前記関係を実施形態1の起振機に適用すると、起振機を一定の振動数で振動させている場合において、固定子の電磁石(以下、固定子電磁石という)に供給する直流電流(以下、固定磁場電流という)を増加させると、振動子の電磁石(振動子電磁石という)に流れている交流電流(以下、振動磁場電流という)がそれに対応して減少する。その逆に、固定磁場電流を減少させると、振動磁場電流がそれに対応して増加する。
【0020】
そこで、起振機を高効率で稼動させることができる固定磁場電流と振動磁場電流との相関関係を予め設定しておけば、例えば図1に示すグラフのように設定しておけば、振動数は予め設定されているから固定磁場電流を変化させると、その変化に対応して振動磁場電流が変化するから、固定磁場電流と振動磁場電流とを目標値に収斂させることができる。例えば、固定磁場電流がA0で、振動磁場電流がB0であれば、図1により両者の相関関係が設定されたカーブ上にないので、固定磁場電流を減少させると、振動磁場電流がそれに対応して増加して両者を目標値C0(A00,B00)に収斂させることができる。その逆に、固定磁場電流がA1で、振動磁場電流がB0であれば、図1により両者の相関関係が設定されたカーブ上にないので、固定磁場電流を増加させると、振動磁場電流が減少して両者を目標値C1(A11,B11)に収斂させることができる。
【0021】
しかして、この実施形態1は、予め設定された固定磁場電流と振動磁場電流との相関関係を利用して固定磁場電流を制御することにより、自動的に固定磁場電流および振動磁場電流の両者を目標値に収斂させることを基本原理とするものである。もちろん、固定磁場電流と同時に振動磁場電流を先行制御すれば、より応答の速い制御が可能である。
【0022】
以下、実施形態1における制御内容を具体的に説明する。
【0023】
本発明の起振機Aの制御方法に適用されている制御装置Cを図2にブロック図で示す。この制御装置Cは、図2に示すように、固定子1内面に配設されている電磁石2、3に直流電流を供給する直流電源装置4を制御する直流電源制御手段11と、振動子5の起振部6に形成されている電磁石7に交流電流を供給する交流電源装置8を制御する交流電源制御手段12と、振動子5の振動数を設定する振動数設定手段13と、前記振動数設定手段13とセンサーSにより検出された振動数とを比較判定して前記交流電源制御手段12に操作信号を出力する振動状況判定手段14と、前記直流電源制御手段11および交流電源制御手段12からの電流の相関関係を設定する電流相関関係目標設定手段15と、前記電流相関関係目標設定手段15と前記直流電源装置4および交流電源装置8の電流値とを比較して両電流の相関関係を判定する電流相関関係判定手段16とを主要構成要素として備えてなる。
【0024】
振動数設定手段13は、振動子5の振動数を所定値に設定する機能を有するものとされる。
【0025】
振動状況判定手段14は、振動数設定手段13と、試料載置台5aおよび試料TにセットされたセンサーSからの振動検出値とを比較してその偏差を解消する補正指令値を生成する機能を有するものとされる。
【0026】
電流相関関係目標設定手段15は、振動子5を高効率で振動させることができる直流電流値(固定磁場電流値)と交流電流値(振動磁場電流値)を設定する機能を有するものとされる。この電流相関関係目標設定手段15においては、固定磁場電流と振動磁場電流の関係は、例えば関数の形態あるいはマップの形態で格納されている。図3に固定磁場電流と振動磁場電流の相関関係を示すグラフ例が示されている。これらのグラフは、起振機Aを高効率で稼動させることができるように、所定の直線、曲線I,IIあるいは階段状IIIとされる。この所定直線あるいは曲線などは、例えば目標とする特別な目的の振動試験または高効率の運転がなし得るように作成される。
【0027】
電流相関関係判定手段16は、電流相関関係目標設定手段15からの目標値と、直流電源装置4および交流電源装置8からの各電流値とを比較してその偏差を解消する補正値を出力する機能を有するものとする。
【0028】
直流電源制御手段11は、電流相関関係判定手段16からの補正値に応答して直流電源装置4からの出力電流を制御する電流指令値を生成する機能を有するものとする。
【0029】
交流電源制御手段12は、振動状況判定手段14および電流相関関係判定手段16からの補正値に応答して交流電源装置8からの出力電流を制御する電流指令値を生成する機能を有するものとする。この場合、振動状況判定手段14および電流相関関係判定手段16からの各補正値の交流電源制御手段12における処理は、例えば振動状況判定手段14からの補正値に対して電流相関関係判定手段16からの補正値を積算するというものである。そして、この演算処理により得られた値に基づいて電流指令値が生成される。なお、電流相関関係判定手段16による制御を直流電源装置4のみとして交流電源装置8の方は振動状況判定手段14による自動追従とする時は制御装置Cの構成がそれだけ単純となる。
【0030】
かかる各手段11…16を有する制御装置Cは、例えば図4に示すように、CPUを中心として、キーボードなどの入力手段、入出力インターフェース、ラム、ロム、A/D変換器、D/A変換器、クロックなどを備えてなるものに、前記各機能に対応させたプログラムを格納することにより実現することができる。
【0031】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、かかる構成とされている制御装置Cによる起振機Aの制御について説明する。
【0032】
(1)直流電源制御手段11により固定磁場電流を定格値に設定する。
【0033】
(2)入力手段から所望振動を入力して振動数設定手段13により起振機Aの振動数を所望振動数に設定する。
【0034】
(3)振動数設定手段13は所望振動数を振動状況判定手段14に送出する。
【0035】
(4)振動状況判定手段14は入力された所望振動数に対応した指令値を交流電源制御手段12に送出する。
【0036】
(5)交流電源制御手段12は入力された指令値に対応した電流指令値を生成して交流電源装置8に送出する。
【0037】
(6)交流電源装置8は電流指令値に応じた交流電流を振動子5の電磁石7に供給する。これにより、振動子5が振動する。
【0038】
(7)振動子5の振動数は試料載置台5aおよび試料TにセットされたセンサーSにより検出されて振動状況判定手段14に送出される。この振動状況判定手段14に入力されたセンサー8により検出信号は、振動状況判定手段14により常法により処理される。
【0039】
(8)振動状況判定手段14は、振動数設定手段13およびセンサーSからの検出信号を比較して補正指令値を生成して交流電源制御手段12に送出する。
【0040】
(9)交流電源制御手段12は入力された補正指令値に対応した補正電流指令値を生成して交流電源装置8に送出する。
【0041】
(10)交流電源装置8は入力された補正電流指令値に対応した補正交流電流を振動子5の電磁石7に供給する。これにより、振動子5の振動数が補正される。
【0042】
(11)電流相関関係目標設定手段15により、固定磁場電流と振動磁場電流の相関関係を設定する。
【0043】
(12)電流相関関係判定手段16は、電流相関関係目標設定手段15からの目標値と直流電源装置4および交流電源装置8からの電流値を比較して補正指令値を直流電源制御手段11および交流電源制御手段12に送出する。なお、この場合、直流電源制御手段11のみの制御により固定磁場電流のみを制御し、振動磁場電流を固定磁場電流に追従制御させるようにしてもよい。
【0044】
(13)直流電源制御手段11は、電流相関関係判定手段16から入力された補正指令値に対応した電流指令値を直流電源装置4に送出し、交流電源制御手段12は、電流相関関係判定手段16から入力された補正指令値を前述したように処理して生成した電流指令値を交流電源装置8に送出する。
【0045】
(14)直流電源装置4は入力された電流指令値に対応した直流電流(固定磁場電流)を固定子1の電磁石2、3に供給し、交流電源装置8は入力された電流指令値に対応した交流電流(振動磁場電流)を振動子5の電磁石7に供給する。
【0046】
(15)(12)〜(14)が直流電流および交流電流が最適値に収斂するまで繰り返される。これにより、起振機Aが高効率で稼動する。
【0047】
このように、この実施形態1においては、振動子5の振動数を常時フィードバックして振動子5の振動数を所望振動数とするとともに、電流相関関係目標設定手段15により、固定磁場電流と振動磁場電流とを起振機5が高効率となるように収斂させているので、エネルギーロスを少なくしながら所定の振動試験がなし得る。
【0048】
実施形態2
本発明の実施形態2の制御方法に適用される制御装置Cを図6にブロック図で示す。この実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、固定子21の電磁石22に交流電流を供給し、振動子25の電磁石27に直流電流を供給してなるものである。図中、符号25aは試料載置台、符号26は起振部を示す。なお、この実施形態2のその余の構成および作用・効果は、実施形態1と同様とされている。
【0049】
電流相関関係を設定するに当って、図7に示すように、定格点を定格0のように固定磁場電流と振動磁場電流を同一にするという考え方もあろうけれども、振動子を大きくすると余分な振動エネルギーを必要とするため、固定子側の電流を大きくした方が得策であるから、実施形態1のように固定子が固定磁場のときは定格1のように固定磁場電流を大きくとり、その逆に実施形態2のように振動子に固定磁場を与えるときは、固定磁場電流の定格を小さく定格2とした方がよい。また、図7において電流相関関係目標は直線、曲線等目的に合わせて自由に選択できるが、ひとつの考え方として電流の大きい方をできるだけ下げて、運転した方がよいとすれば、定格1のときは上方に向かって凸曲線に、定格2のときは凹曲線とすることになろう。
【0050】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば、実施形態では起動は定格電流としてなされているが、起動は必ずしも定格電流によりなされる必要はなく、任意の電流により起動させるようにしてもよい。また、実施形態では直流電流を自動制御して目標値に収斂させるようにされているが、制御装置に表示装置を設けておいて、その表示画面において手動により目標値に収斂させるようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、試験状況にマッチさせた電流を起振機に供給しているので、エネルギーロスを少なくしながら、所定の振動試験がなし得るという優れた効果が得られる。
【0052】
また、固定子の電磁石に供給される電流と、振動子の電磁石に供給される電流の相関関係を適宜設定することにより、種々の状況における振動試験がなし得るという優れた効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御原理の説明図である。
【図2】本発明の実施形態1の制御装置のブロック図である。
【図3】固定磁場電流と振動磁場電流との相関関係のグラフである。
【図4】本発明の実施形態1の制御装置の概略図である。
【図5】本発明の実施形態1の制御方法の一例のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2の制御装置のブロック図である。
【図7】固定磁場電流と振動磁場電流の基本パターンを示すグラフである。
【図8】従来の起振機のブロック図である。
【符号の説明】
1 固定子
2、3 電磁石
4 直流電源装置
5 振動子
6 起振部
7 電磁石
8 交流電源装置
11 直流電源制御手段
12 交流電源制御手段
13 振動数設定手段
14 振動状況判定手段
15 電流相関関係目標設定手段
16 電流相関関係判定手段
A 起振機
C 制御装置
S センサー

Claims (3)

  1. 固定磁場と振動磁場の相互作用によって振動を発生させる起振機の制御方法であって、
    起振機の振動子を設定された振動数で振動させる手順と、
    固定磁場電流と振動磁場電流との相関関係を設定する手順と、
    設定された振動数と振動数検出値とを比較してその偏差を解消する補正指令値を生成する手順と、
    前記補正指令値により固定磁場電流および振動磁場電流を補正する手順と、
    前記補正手順を固定磁場電流および振動磁場電流が最適値に収斂するまで繰り返す手順とを含むことを特徴とする起振機の制御方法。
  2. 起振機の起動を固定磁場電流を定格電流としてなすことを特徴とする請求項1記載の起振機の制御方法。
  3. 振動子の振動数を設定された振動数となるようにフィードバック制御している起振機の制御装置であって、
    振動数設定手段と、前記振動数設定手段により設定された振動数と、センサーからの振動検出値とを比較してその偏差を解消する補正指令値を生成する振動状況判定手段と、固定磁場電流と振動磁場電流の相関関係を設定する電流相関関係目標設定手段と、前記電流相関関係目標設定手段からの目標値と固定磁場電流の測定値および振動磁場電流の測定値とに基づいて電流相関関係を判定して固定磁場電流値と振動磁場電流値との偏差を解消する補正値を生成する電流相関関係判定手段と、前記電流相関関係判定手段の判定に基づいて固定磁場電流を制御する固定磁場電流制御手段および振動磁場電流を制御する振動磁場電流制御手段とを備えてなることを特徴とする起振機の制御装置。
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