JP3873780B2 - 磁性流体シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば防水性能等の遮蔽性能が求められる環境下で使用される磁性流体を用いた磁性流体シール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術による一般的な磁性流体シール装置は、図4に示すように、磁性体からなるシャフト102と非磁性材からなる回転機械のハウジング103との間に配置されている。
【0003】
磁性流体シール装置101は、これらシャフト102とハウジング103との間に形成される環状隙間を、シール体104と磁性流体105とによって密封する。
【0004】
シール体104は、ハウジング103に固定された環状のマグネット106と、このマグネット106の両端面に取り付けられた1対の環状のポールピース107,108と、によって構成されている。
【0005】
マグネット106は、厚み方向、即ち軸方向に着磁されている。また、一対のポールピース107,108の内周面は、シャフト102の外周面と所定の隙間を介して対向配置されている。
【0006】
このとき、シール体104とシャフト102との間には磁気回路Aが形成され、これによって磁性流体105がシール体104とシャフト102との隙間(図4ではポールピース107とシャフト102との隙間)に保持され、シール機能を発揮している。
【0007】
以上の構成の磁性流体シール装置101は、固体同士の接触がないため、オイルシールやメカニカルシールに比べて低トルクで長寿命であるという利点を有している。
【0008】
しかし、図4の構成の磁性流体シール装置101を屋外で使用する場合には、磁性流体105が外部(図4の左側が外部である)へ直接露出しているために、磁性流体105と外部から侵入した雨水等の液体との接触によって、磁性流体105が外部へ流出したり、希釈されたりして、シール機能が低下、あるいは失われるおそれがある。
【0009】
このような場合の対策として、図5に示すように、磁性流体105と外部の液体との接触を可及的に防止するための遮蔽板109をシール体104の軸方向外部側(図5の左側が外部である)に配置すると共に、磁性流体105の減少に備えて磁性流体105の充填量を多くする方法が一般に採られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5の構成の磁性流体シール装置101’でも、
(1)遮蔽板109の厚み分だけ装置全体の幅が増加する、
(2)磁性流体105のポールピース107からの側方へのはみ出し寸法が増加するので、その分だけ装置全体の幅が増加する、
(3)磁性流体105を充填するにはシール体104と遮蔽板109を別体に設けなければならず、装置の回転機械への取り付け及び取り外しが面倒になる、
といった問題点を有している。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決するものであり、その目的とするところは、磁性流体と外部から侵入した液体との接触を可及的に防止することが可能で、さらに取り扱いの容易な磁性流体シール装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
2部材のうちの一方に配置された磁性部材と、
2部材のうちの他方に前記磁性部材を挟むように取り付けられた1対の磁極片と、
該磁極片の間に配置される磁力発生手段と、
前記磁性部材と前記磁極片との間に保持される磁性流体と、
を有し、
前記磁性流体を、前記磁性部材と前記1対の磁極片のうち密封対象側の磁極片だけとの間に保持すると共に、
前記磁性部材と前記1対の磁極片のうち反密封対象側の磁極片との領域を、前記磁性流体を保護する遮蔽部として用いたことを特徴とする。
【0013】
したがって、磁性部材と1対の磁極片のうち他方との領域が遮蔽部として用いることができ、外部からの雨水等の侵入によるシール機能の低下を防止することができる。
【0014】
また、磁性流体は磁極片から側方へはみ出すことが無いため、装置の外側に遮蔽板を設置する必要が無い。
【0015】
さらに、磁性流体を保持した状態で装置の運搬及び取り扱いが可能であるため、回転機械等への取り付けが容易となる。
【0016】
前記磁性部材は、前記1対の磁極片のうち一方に向けて屈曲されており、
前記磁性流体を、屈曲した前記磁性部材の先端と前記1対の磁極片のうち一方との間に保持することが好適である。
【0017】
これにより、装置の耐圧を高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1を用いて第1の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【0022】
第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置は、図1に示すように、シャフト2と非磁性材からなる回転機械のハウジング3との間に配置されている。
【0023】
磁性流体シール装置1は、これらシャフト2とハウジング3との間に形成される環状隙間を、シール体4と磁性流体5とシャフト2に配置された磁性体からなるディスク6とによって密封する。
【0024】
シール体4は、ハウジング3に固定された環状のマグネット7と、このマグネット7の両端面に取り付けられたシャフト2に向けて垂直に延びる1対の環状のポールピース8,9と、によって構成されている。
【0025】
マグネット7は、厚み方向、即ち軸方向に着磁されている。また、一対のポールピース8,9の内周面は、シャフト2の外周面と所定の隙間を介して対向配置されている。
【0026】
ディスク6は、一対のポールピース8,9に挟まれるようにシャフト2から垂直に取り付けられており、途中で密封対象側(図1では右側)のポールピース9に向けて屈曲され、屈曲後の先端まではシャフト2と同様の軸方向に延びている。
【0027】
このとき、シール体4とディスク6との間には磁気回路Aが形成され、これによって磁性流体5がシール体4の密封対象側のポールピース9とディスク6先端との隙間に保持され、シール機能を発揮している。
【0028】
なお、シャフト2の材質は、磁性流体5を保持する隙間の磁場強度を高めるために、非磁性であることが好ましい。
【0029】
また、ディスク6と反密封対象側(図1では左側)である外部側のポールピース8には撥水撥油処理が施されている。撥水撥油処理は、少なくともディスク6と外部側のポールピース8との対向面に施されていればその機能を発揮することができる。
【0030】
以上のように構成された磁性流体シール装置1は、外部側のポールピース8がディスク6よりも軸方向外部側になるように回転機械へ取り付けて使用する。このとき、ディスク6と外部側のポールピース8との領域は、外部から侵入する雨水やオイル等の液体に対する障壁となる。特にディスク6と外部側のポールピース8との隙間は、ラビリンス効果を発揮する。また、ディスク6と外部側のポールピース8は、撥水撥油効果を発揮して、外部の雨水やオイル等の液体に対する侵入防止効果を一段と高めることができる。
【0031】
これによって、磁性流体5と液体との接触が回避され、シール機能の低下が防止される。
【0032】
また、保持された磁性流体5はポールピース9から側方へはみ出すことが無いため、従来の磁性流体シール装置のように遮蔽板をシール体4の外部側へ設置する必要が無い。
【0033】
さらに、磁性流体を保持した状態で磁性流体シール装置1の運搬及び取り扱いが可能であるため、回転機械への取り付けが容易になる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図2は第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置1’を示す半断面図である。第2の実施の形態では、ディスク6を屈曲させず、一対のポールピース8,9の先端をそれぞれディスク6に近づける構成である。
【0035】
その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0036】
1対のポールピース8,9は、シャフト2に近づく先端に向かう程、互いに近づくように延び、ディスク6に近づいている。
【0037】
また、ディスク6は、一対のポールピース8,9に挟まれるようにシャフト2から垂直に取り付けられて延びている。
【0038】
このとき、シール体4とディスク6との間には磁気回路Aが形成され、これによって磁性流体5がシール体4の密封対象側のポールピース9先端とディスク6側面との隙間に保持され、シール機能を発揮している。
【0039】
以上の構成でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
(第3の実施の形態)
図3は第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置1’’を示す半断面図である。第3の実施の形態では、ディスク6を屈曲させず、一対のポールピース8,9を途中までディスク6に近づけ、その後先端はディスク6から遠ざける構成である。
【0041】
その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0042】
1対のポールピース8,9は、シャフト2に近づく途中まで互いに近づくように延び、ディスク6に近づいている。しかし、1対のポールピース8,9は、途中の屈曲部で屈曲してシャフト2に最も近づく先端までは逆に互いに離れるように延び、ディスク6から遠ざかっている。
【0043】
また、ディスク6は、一対のポールピース8,9に挟まれるようにシャフト2から垂直に取り付けられて延びている。
【0044】
このとき、シール体4とディスク6との間には磁気回路Aが形成され、これによって磁性流体5がシール体4の密封対象側のポールピース9の途中の屈曲部とディスク6側面との隙間に保持され、シール機能を発揮している。
【0045】
以上の構成でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、上記実施の形態はハウジング3にシール体4を固定してシャフト2に設けられたディスク6との間に磁性流体5を保持する場合について説明したが、逆にシャフト2にシール体4を固定してハウジング3にディスク6を設けて磁性流体5を保持する場合にも本発明を適用できる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、磁性部材と1対の磁極片のうち他方との領域が遮蔽部として用いることができ、外部からの雨水等の侵入によるシール機能の低下を防止することができる。
【0048】
また、磁性流体は磁極片から側方へはみ出すことが無いため、装置の外側に遮蔽板を設置する必要が無い。
【0049】
さらに、磁性流体を保持した状態で装置の運搬及び取り扱いが可能であるため、回転機械等への取り付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図4】従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図5】従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【符号の説明】
1 磁性流体シール装置
2 シャフト
3 ハウジング
4 シール体
5 磁性流体
6 ディスク
7 マグネット
8,9 ポールピース
Claims (2)
- 2部材のうちの一方に配置された磁性部材と、
2部材のうちの他方に前記磁性部材を挟むように取り付けられた1対の磁極片と、
該磁極片の間に配置される磁力発生手段と、
前記磁性部材と前記磁極片との間に保持される磁性流体と、
を有し、
前記磁性流体を、前記磁性部材と前記1対の磁極片のうち密封対象側の磁極片だけとの間に保持すると共に、
前記磁性部材と前記1対の磁極片のうち反密封対象側の磁極片との領域を、前記磁性流体を保護する遮蔽部として用いたことを特徴とする磁性流体シール装置。 - 前記磁性部材は、前記1対の磁極片のうち一方に向けて屈曲されており、
前記磁性流体を、屈曲した前記磁性部材の先端と前記1対の磁極片のうち一方との間に保持することを特徴とする請求項1に記載の磁性流体シール装置。
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