JP3873606B2 - 遊技装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ台やアレンジボール等の遊技装置に関し、詳しくは、その遊技状況をグラフィック、音、光あるいは振動等によって表示することで、その遊技性を一層向上させる遊技装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技装置では、音声や光による表示を行なうことでその遊技性を高めているが、近年、音声に関してはFM音源やPCM等の利用により、一方表示に関しては液晶パネルやLEDパネルを用いることにより、表現の自由度か高まっている。例えば、スロットマシンを模倣し、数字や絵柄が描かれている3本のドラムがあたかも回転しているかのように液晶パネルあるいはLEDを駆動し、数字や絵柄の一致により大当たり等の特定の状況を作り出したり、大当たり時に独特の音楽を流すなどして、その遊技性をいっそう高めている。すなわち、遊技者への視覚あるいは聴覚に対する表示機能を高めることは、遊技装置の遊技性を高める上で看過できない点である。
【0003】
従って、この種の遊技装置においては、より現実味があり、かつ、多様な表示機能を搭載することが要求されており、遊技装置の遊技状況を検出する機能のみならず、表示能力も年々向上している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遊技装置の開発に当たって必要とされる他の要件として不正の防止があり、この面での要求から遊技装置の遊技状況を入力および監視している遊技制御部のデ−タ領域を無制限に大きくすることができず、限られたメモリ空間に表示部を駆動するための制御コードを格納しなければならないという制約が課されている。また、遊技制御部が外部から取り込み得るデータも制限されており、例えば表示部側から表示に関するデータを受け取って複雑な表示をするといったことも困難であった。
【0005】
このため、従来のこの種の遊技装置は、例え液晶パネル等の表示部が精緻な画素から構成されていても、複数ドットを1画素として表示単位を大きくし、単純な数字、記号のみを表示するのが通例である。また、単調な音楽を繰り返し、同一周期で単一色ランプを点滅させるなど、簡略化した表示に留まっており、遊技者を十分に満足させるに必要な表示機能を有する遊技装置は、未だ提供されていない。
【0006】
本発明の遊技装置は、こうした問題を解決し、不正防止からの要求仕様を満たしつつ、遊技者を十分に満足させることのできるリアルかつ多様な表示機能を備えることを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の遊技装置は、
遊技状況に応じた表示を行う表示装置を備えた遊技装置において、
該遊技装置に備えられた各種センサの検出信号および予め記憶されている遊技規則に従って該遊技装置の遊技状況を判定して該遊技装置の動作を制御し、前記表示装置を制御するための表示用コマンドを出力する遊技制御装置と、
前記表示装置に画像を表示するための複数の表示制御用データを記憶する表示用記憶手段を備え、前記表示用コマンドに応じて前記表示装置の制御を行う表示制御装置と、
各々別体の装置として構成された前記遊技制御装置と前記表示制御装置とを電気的に接続し、前記遊技制御装置から前記表示制御装置に前記表示用コマンドを伝達する信号線とを備え、
前記遊技制御装置は、
前記表示用コマンドを、前記遊技状況に応じた画像を特定するためのデータを含む所定数のデータによって構成し、
複数ビットのデータを一方向に出力する出力インターフェースであって、前記遊技制御装置の側から前記表示制御装置の側へのデータ出力のために前記信号線に接続した前記出力インターフェースと、
該出力インターフェースを介して、前記表示用コマンドを所定数のデータに分けて前記表示制御装置に出力する表示用コマンド出力手段とを備え、
前記分けて出力される所定数のデータのうち最初に出力されるデータには、該最初に出力されるデータが前記所定数のデータにおける先頭データであることを示すスタート情報を有し、
前記表示制御装置は、
前記遊技制御装置から、前記分けて出力されたデータを順次記憶するデータ記憶手段と、
前記スタート情報を有するデータを含む前記所定数のデータが前記データ記憶手段に記憶され、前記表示用コマンドが入力されたと判断された場合に、前記データ記憶手段に記憶された前記所定数のデータに基づいて前記表示用コマンドを特定し、該特定した表示用コマンドに応じた表示制御用データを前記表示用記憶手段から読み出し、該読み出した表示制御用データに基づいた画像を前記表示装置に表示する画像表示手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0008】
なお、遊技制御装置と表示制御装置とが別基板上に構成される場合には、その何れか一方の基板上に電源回路を搭載し、表示用コマンドおよび電力の供給を両基板間に架設されたケーブルにて行なう構成が好ましい。
また、本発明の効果をより大きく発揮するには、表示部がドットマトリックスによる表示が可能な液晶、LEDもしくはプラズマディスプレイであることがより好ましい。
【0009】
以上のように構成された本発明の遊技装置では、遊技制御装置により遊技装置の遊技状況の判定と遊技装置の動作制御がなされ、表示装置を制御するための表示用コマンドが表示制御装置へ出力される。一方、表示制御装置は、表示装置に画像を表示するための複数の表示用データを記憶する表示用記憶手段を備え、遊技制御装置からの表示用コマンドに応じて表示装置を制御する。
【0010】
すなわち、遊技制御装置は遊技装置の遊技状況の判定と遊技装置の動作制御の機能を、表示制御装置は遊技制御装置からの表示用コマンドに応じて表示装置を制御する機能を奏し、機能の分担により、限られた情報で多様な表示が可能となる。しかも、遊技制御装置が遊技状況の判定と遊技装置の動作制御の機能を果たすに当たっては、表示用コマンドを表示制御装置に出力する際には、遊技状況に応じた画像を特定するためのデータを含む所定数のデータで表示用コマンドを構成して、前記表示用コマンドを所定数のデータに分けて出力するに過ぎない。この場合、前記分けて出力される所定数のデータのうち最初に出力されるデータには、該最初に出力されるデータが前記所定数のデータにおける先頭データであることを示すスタート情報を有する。一方、表示制御装置が表示用コマンドに応じて表示装置を制御するに当たっては、表示制御装置は、遊技制御装置から、前記分けて出力されたデータをデータ記憶手段に順次記憶し、前記スタート情報を有するデータを含む前記所定数のデータが前記データ記憶手段に記憶され、前記表示用コマンドが入力されたと判断された場合に、前記データ記憶手段に記憶された前記所定数のデータに基づいて前記表示用コマンドを特定し、その特定した表示用コマンドに応じた表示用データを前記表示用記憶手段から読み出し、該読み出した表示用データに基づいた画像を前記表示装置に表示する。ここで、遊技制御装置と表示制御装置の機能分担は、両装置が信号線により電気的に接続されていることから、単に一つのマイクロプロセッサが時分割処理等により、両機能を異なるプログラムにより実現するというものではなく、各々独立したプロセッサにより、並列的に両機能を実現する構成を意味する。
【0011】
以上説明したように本発明の遊技装置では、遊技の判定と表示という機能が分担されると共に、この機能分担に当たっては、遊技制御装置は、遊技状況に応じた画像を特定するためのデータを含む所定数のデータで表示用コマンドを構成して、前記表示用コマンドを構成する前記所定数のデータを出力するに過ぎない。しかも、表示制御装置が表示用コマンドに応じて表示装置を制御するに当たっては、表示制御装置は、遊技制御装置から出力された前記所定数のデータに基づいて前記表示用コマンドを特定し、その特定した表示用コマンドに応じた表示用データを前記表示用記憶手段から読み出し、該読み出した表示用データに基づいた画像を前記表示装置に表示するに過ぎない。よって、遊技制御装置に要求される不正防止面からの制限と、多種多様な表示を可能とする要請とを両立させることができる。また、その表示制御装置のみを変更することで表示装置に全く異なった表示を実行させることもできるなど、表示の変更の要請にも柔軟に対処することができる。従って、不正防止のために課せられたメモリ空間の制限を十分に満足しつつ、しかも遊技装置に設けられた表示部にリアルで複雑な表示を実行させ、かつ多様な製品シリーズの展開を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。図1は本発明の一実施例としてのパチンコ遊技装置1の斜視図、図2はその遊技部DPを示す説明図、図3はパチンコ遊技装置の裏面図である。
図示するように、このパチンコ遊技装置1は、機枠2の前面に前面枠4を開閉自在に装着している。前面枠4の前面にはガラス扉枠6および前面板8が開閉自在に装着されている。また、前面枠4の裏面には、図示しない取付枠を介して遊技盤10が着脱自在に装着される。
【0013】
遊技盤10の表面には、発射位置を有するガイドレール11が設けられ、そのガイドレール11で囲まれる遊技部DPには、図2に示すように、複数の普通入賞口12,第一種始動口13,大入賞口14が設けられ、遊技盤10の下部には、アウト口15が設けられている。第一種始動口13には、パチンコ玉の入賞状況を検出する通常の入賞センサ13Aが設けられている。大入賞口14には、大当たりの条件が成立したとき可動片を開き、パチンコ球が入りやすくなる状態を作り出す大当たり駆動部14Bが備えられており、更にここにパチンコ球が入ったとき大当たりの状況(いわゆる、V入賞)を継続するための大入賞センサ14Cおよびここに10個のパチンコ球が入って大当たりの状況を停止する条件となったことを検出するテンカウントセンサ14Aが設けられている。
【0014】
遊技盤10の略中央部には、3インチのカラーTV用液晶ディスプレイを用いて構成される液晶表示パネル16が備えられている。すなわち、この液晶表示パネル16は、通常のTVディスプレイと同様に2:1の飛越し走査(interlaced scanning)が採用され、毎秒60フレームの画像信号を入力し、これを表示する機能を有している。即ち、本実施例の液晶表示パネル16は、通常の液晶テレビのユニットをそのまま利用したものである。従って、液晶表示パネル16に対して16.67msec以内に1フレーム分の信号を送信すれば、通常のTVと同等の鮮明なカラー画をダイナミックに表示することが可能となる。
【0015】
図4に示すように、本実施例の液晶表示パネル16の表示内容は通常の遊技状態において大きく3つの領域に区分されており、上部がメッセージライン16A、中央が特別図柄表示部16B、下部が保留数表示部16Cとなっている。上部のメッセージライン16Aには、現在の遊技状況に見合ったメッセージが流れるように表示される。また、中央の特別図柄表示部16Bには、3桁にわたって大当たりや外れ等の遊技状況を表す特別図柄が回転表示される。更に、下部の保留数表示部16Cには、第一種始動口13に入賞し未だ特別図柄表示部16Bの回転に供されていないパチンコ玉の個数、いわゆる保留個数が、矩形の表示エリアを左から順次反転表示することで最大4つまで表示される。
【0016】
なお、本実施例では液晶表示パネル16として3インチの液晶テレビのユニットを利用したが、この液晶表示パネル16に替えて、従来の3桁表示用の部品との共通化を図るために、16×16のドットマトリックス方式による表示部を3つ並べ、その上下に別途構成されたメッセージ表示部や保留数表示部を配置する構造としてもよい。
【0017】
パチンコ遊技装置1には、その他の表示装置として、大当たりを表示する大当たりランプ17Aおよび遊技中であることを表示する遊技動作中ランプ17Bが設けられている(図1参照)。
【0018】
前面板8の前面には、投入されたパチンコ球をガイドレール11の発射位置(不図示)に一個ずつ導くための打球供給皿19が取り付けられている。また、前面枠4の下部には、発射位置のパチンコ球を遊技部へ打ち出すための操作ハンドル20と、打球供給皿19の余剰景品球を溜める下部球受皿21が設けられている。操作ハンドル20は、打球用のモータ26による弾発力を制御するものである。
【0019】
図3に示すように、遊技盤10の裏面の中央部には遊技盤制御装置30が取付けられている。この遊技盤制御装置30は、パチンコ遊技装置1の遊技状況を全般的に統括管理する。すなわち、操作ハンドル20の操作状況、入賞センサ13A,テンカウントセンサ14Aの検出出力等からパチンコ遊技装置1の遊技状況を判断し、その判断結果に応じて大当たり駆動部14B,液晶表示パネル16,大当たりランプ17A,遊技動作中ランプ17B,打球用のモータ26,図示しないスピーカ等の動作を制御する。
【0020】
パチンコ遊技装置1には、これらの装置の他、入賞口12,14もしくは始動口13に入賞したパチンコ玉を一括して検出する普通入賞球検出装置、入賞球およびアウト玉を搬送する機構、遊技状況を報知するその他の各種ランプ,スピーカ、あるいは不正検出装置といった一般的な装備が設けられているが、これらの一般的な装置構成の詳細の説明は省略する。
【0021】
次に、遊技盤制御装置30の構成とその動作について説明する。遊技盤制御装置30は、図5に示すように算術論理演算部やROM,RAM等を内蔵した1チップマイクロコンピュータ(以下、MPUという)31を中心に、電源部33、入出力インタフェース35A,35Bおよび出力インタフェース35C等から構成されている。また、MPU31には水晶発振器Xtalが外付けされており、これにより高精度に経過時間を計測することが可能となっており、これを用いたインターバルタイマによる割込制御などが行なわれている。
【0022】
電源部33は、外部から24ボルトの交流を入力して3種類の電源VE,VD,VCCを生成する回路である。電源部33は、24ボルトの交流を全波整流して動力用電源VEを生成するダイオードスタック41、更にこれを平滑して直流高電圧電源VDを生成する電解コンデンサC1,C2およびダイオードD1、直流高電圧電源VDから安定化された5ボルトの安定化電源VCCを生成するレギュレータ43から構成されている。この電源部33により得られる各種の電圧源は、パチンコ遊技装置1の遊技盤の電装品の電力として利用される。
【0023】
入出力インタフェース35A,35Bおよび出力インタフェース35Cは、遊技盤制御装置30に配置されたMPU31と別に配置された各種電装品との信号の入出力を可能とするための通常のインターフェイス回路から構成される。従ってその電気回路は、MPU31と信号の入出力を実行する先の各種電装品の電気的特性に応じて決定され、公知のチャタリング防止回路、波形成形回路、レベルシフト回路、ホールド回路等を適宜組み合わせることで構成される。
【0024】
この様に構成される遊技盤制御装置30には、別に設けられた前記大当たりランプ17A,遊技動作ランプ17B等のランプを始めとし、大当たり駆動部14B,打球用モータ26等との接続を容易とするために、コネクタCN1が用意されている。
【0025】
MPU31の出力ポートの内の9ビット(P20ないし28)は、オープンコレクタタイプの出力インタフェース35CおよびコネクタCN2を介し、フラットケーブルFCにて表示ユニット50と接続され、液晶表示パネル16を制御するための表示コマンド出力用(データ8ビットおよびストローブ1ビット)として使用される。また、このコネクタCN2を介して表示ユニット50側へ電力を供給するため、コネクタCN2には電源部33にて作り出された直流高電圧電源VDおよび5ボルトの安定化電源VCCが接続され、前記フラットケーブルFCが電源線としても利用されている。
【0026】
表示ユニット50には、液晶表示パネル16を駆動するための通常の液晶パネルドライバ52に加え、サブCPU54および不揮発的に情報を記憶する表示用ROM56が配置されている。ここで、サブCPU54とは、表示用ROMの128Kバイトの領域に記憶された表示制御用プログラムおよび256Kバイトの領域に記憶された表示制御用データを適宜読み出しては実行するマイクロコンピュータであり、遊技盤制御装置30から入力される計7バイトを単位とする表示コマンドを表示用ROM56に記憶された表示制御用プログラムに基づいて解釈し、その解釈結果に基づき表示用ROM56から必要な表示制御用データを読み出しては液晶パネルドライバ52へ出力するものである。
【0027】
図6は、遊技盤制御装置30のMPU31からサブCPU54に送られる表示コマンドのデータ形式説明図である。図示するごとく、表示コマンドは計7バイトからなる遊技状況の情報である。その第1バイトは、表示コマンドのスタートを知らせるスタート情報STであり、以下に続く6バイトの情報にて使用をしない1バイト(8ビット)の情報、例えば8ビットが総て「1」であるビット列「11111111」からなる。
【0028】
第2バイトないし第4バイトは、図柄1情報Z1,図柄2情報Z2,図柄3情報Z3である。図4の説明で前述したごとく、本実施例では液晶表示パネル16の特別図柄表示部16Bに3列にわたって特別図柄(本実施例では0〜9までの数字10種類とその他の記号5種類の合計15種類)をあたかも回転するかのごとく表示する。これら3桁の特別図柄の組み合わせ情報は、大当たりの発生を決定する意味を有し、パチンコ遊技装置1の重要な遊技規則の1つとなる。そこで、遊技盤制御装置30のMPU31にその主たる管理を任せ、サブCPU54はMPU31からの指令に忠実な表示を実行するのみの構成を採用している。
【0029】
そこで、第2バイトから第4バイトまでの3バイトを使用し、その上位4ビットには特別図柄表示部16Bの各桁に表示すべき特別図柄の図柄情報を、その下位4ビットにおよびその特別図柄が回転するかのように見せ掛けるための表示位置のオフセット情報を送り出す。本実施例では、特別図柄として15種類、回転表示のためのオフセットとして16段階の表示が可能なように構成するため、上位4ビットは0〜14、下位4ビットは0〜15の情報を表現する。
【0030】
第5バイトは、大入賞情報C/Rを表現する情報である。本実施例では、パチンコ遊技装置1の遊技規則として、「大入賞時に大入賞口14に10個のパチンコ球が入ったときには大当たりの状況を停止する。しかし、その停止条件発生以前に所定のポイントをパチンコ玉が通過したとき(V入賞)はその大当たりの状況を最大16ラウンドまで継続させる。」と規定している。この様な条件を検出するために、前述のごとくテンカウントセンサ14Aおよび大入賞センサ14Cが備えられ、その検出信号はMPU31へ入力される。また、この種の遊技状況は遊技者にとって極めて大きな意義を有するものであるため、液晶表示パネル16に視覚的に表示することが好ましい。そこで、この第5バイトの上位4ビットを用いてテンカウントセンサの検出状況であるテンカウント情報0〜10を、下位4ビットを用いてラウンド数0〜15を送信する。
【0031】
第6バイトは、保留情報RZである。この保留情報RZは、遊技規則上0から4までの何れかの情報であり、その情報量が少なくてよい。そこで、上位4ビットは使用せず、下位4ビットを用いて保留数0〜4を送信する。
【0032】
最後の第7バイトはシーン情報SCであり、現在の遊技場面を表現する。上記説明から明らかなように、本実施例のパチンコ遊技装置1には大別して2つのシーン、すなわち通常の遊技場面と大当たり場面とが存在する。また、この各場面には、特別図柄の変動中であるとか、大当たりの継続が約束されたいわゆるV入賞中であるとかの更に細かなレベルでの遊技場面がある。パチンコ遊技装置1の遊技者は、この様な多種多様な各場面を楽しむことで遊技を堪能しているのであり、その各場面に応じた視覚的な表示がなされることが好ましい。そこで、MPU31は、各種センサの検出信号から判断される現在の遊技場面を表示コマンドの最終バイトとしてサブCPU54に向けて送信する。
【0033】
図7は、この第7バイトの情報として送信されるシーン情報SCの詳細を説明するシーン情報説明図である。図示するようにシーン情報SCの上位4ビットは、通常の遊技場面であるか大当たり場面であるかを表す情報であり、その最上位ビットは不使用とし、下位3ビットが「101」であるときは通常の遊技場面を、「010」であるときは大当たり場面を表している。
【0034】
下位4ビットは、上位4ビットにて大別された遊技場面の更に詳細な遊技場面を特定するための情報であり、総てが「0」であるときは特別図柄の回転表示が不要な待機状態を示している。最下位ビットのみが「1」であるときは、第一種始動口13にパチンコ玉の入賞が発生し、特別図柄を回転表示しなければならない図柄変動状態を示す。第2ビット目のみが「1」であるときは、特別図柄のうち2桁が同一の数値(例えば、「7」)となり大当たりの発生の可能性が生じた状態(以下、リーチ状態と呼ぶ)が生じた状態を示す。下位4ビットが「0011」であるときは、特別図柄の3桁が「7」となったか否かを判定する当たり判定中の状態を示している。
【0035】
この下位4ビットのうち、第3ビット目以上の上位ビットのいずれかが「1」であるときは、上位4ビットが「X010」である大当たり遊技場面を更に詳細に特定する情報として使用される。下位4ビットが「0100」であるときは、大当たりの発生直後で、図示しないスピーカからファンファーレが流れている状態を示す。下位4ビットが「0101」であるときは、大入賞開放が実行されている状態を示す。下位4ビットが「0110」であるときは、大当たりが継続して実行されるV入賞が発生した状態を示す。下位4ビットが「0111」であるときは、V入賞が発生したことを記憶し、次回の大入賞開放が予約された状態を示す。下位4ビットが「1000」であるときは、大入賞開放と次ラウンドの大入賞開放とのインターバル状態を示す。下位ビットが「1001」であるときは、大入賞開放の終わり状態で、特に総ての大入賞開放ラウンドが実行された状態、いわゆる正常終了(最終演出1と呼ぶ)を示す。下位4が「1010」であるときは、同じく大入賞開放の終わり状態であるが、総ての大入賞開放ラウンドが実行されなかった、いわゆるパンク終了(最終演出2と呼ぶ)を示す。
【0036】
なお、通常のコンピュータ間の通信には通信情報の終端を示すストップ情報(いわゆる、ストップビット)が設けられるが、本実施例ではスタート情報STとこれに続く第2バイト〜第7バイトの情報の表現するコード体系から明らかに表示コマンド情報の終端を判別することが可能であり、この様な特殊なストップ情報を割愛している。
【0037】
次に、以上のように構成されたパチンコ遊技装置1において、MPU31およびサブCPU54にて処理される遊技状況読み込みプログラム、表示コマンド送信プログラムおよび表示制御用プログラムについて説明する。
図8および図9は、MPU31にて実行される遊技状況読み込みプログラムおよび表示コマンド送信プログラムのフローチャートである。MPU31は、電力の供給が開始されると所定のハードチェック、後述する記憶エリアに予め定められた情報をセットするなどの初期設定を実行した後に、ここに説明する各種のプログラムの処理を開始する。
【0038】
まず図8に基づいて遊技状況読み込みプログラムについて説明する。このプログラムは1msec毎に繰り返しMPU31にて実行される割込みプログラムであり、このプログラムの処理にMPU31が入ると入賞センサ13Aや大入賞センサ14Cなどの各種センサの検出信号を読み込み、更には現在の大当たり状況などから現在の遊技状況PJを認識する(ステップ100)。そして、この遊技状況PJを内蔵するRAMの遊技状況記憶エリアに格納し(ステップ110)、本プログラムを終了する。このプログラムにより、内部RAMの遊技状況記憶エリアの記憶内容、すなわちパチンコ遊技装置1の最新の遊技状況PJは、表示ユニット50への一連のデータの送信に先だって、更新される。
【0039】
なお、MPU31の立ち上げ時にあっては、前述した初期設定処理により、内部RAMの遊技状況記憶エリアには入賞や大当たりなどの特別な変化のない待機状態である旨の遊技状況PJ0がセットされる。
【0040】
図9にフローチャートを示す表示コマンド送信プログラムは、図8に示した処理により内部RAMの遊技状況記憶エリアに記憶された遊技状況PJから前述した表示コマンドを作成し、これをサブCPU54へ送信するためのもので、MPU31により2msec毎に処理される。本プログラムの処理に入るとMPU31は、送信バイトカウンタCBをインクリメントし(ステップ200)、この送信バイトカウンタCBの値が7以下であるか否かを判断する(ステップ210)。これは、全7バイトからなる表示コマンドを2msec毎に1バイトずつ送信するためであり、このステップ210にて肯定判定されたときには、その送信バイトカウンタCBの内容により指示される表示コマンドの第CB番目の情報をサブCPU54へ送信して(ステップ220)、本プログラムを終了する。
【0041】
一方、ステップ210にて否定判定されたとき、すなわち既に全7バイトの表示コマンドの送信を終了していると判定されたときには、遊技状況記憶エリアへアクセスしてそこに格納されている最新の遊技状況PJを読み出し(ステップ240)、この遊技状況PJから図6および図7にて説明した規則に基づいて最新の表示コマンドを作成する(ステップ250)。そして、今回の表示コマンドの送信タイミングは、新たに作成した表示コマンドの第1回目の送信タイミングとなるため、表示コマンドの1バイト目の情報であるスタート情報STをサブCPU54へ出力し(ステップ260)、送信バイトカウンタCBの内容を「1」にセットして(ステップ270)、本プログラムを終了する。
【0042】
以上のようにして、MPU21からは2msec毎に表示コマンドが1バイト単位に送信される。送信された表示コマンドを入力するサブCPU54は、図10にフローチャートを示す表示制御用プログラムを実行することで、その表示コマンドにて把握されたパチンコ遊技装置1の遊技状況PJに応じた液晶表示パネル16の駆動制御を実行する。
【0043】
MPU31から1バイトずつに分割された表示コマンドが入力されると、サブCPU54はこの表示制御用プログラムの処理に入り、その受信した表示コマンドを記憶する(ステップ300)。そして、スタート情報STから始まる全7バイトの表示コマンドの総てが揃ったか否かを判断し(ステップ310)、未だに総ての表示コマンドの入力が完了していないときには本プログラムの処理を終了する。
【0044】
一方、スタート情報STを入力すれば全7バイトの表示コマンドを入力したと判断できるから、これによりステップ310にて全7バイトの表示コマンドの入力が完了したと判定されたときには、続いてその表示コマンドに応じた表示制御用データを表示用ROM56から読み込み(ステップ320)、その表示制御用データを液晶パネルドライバ52へ出力し(ステップ330)、記憶し続けてきた表示コマンドを消去して(ステップ340)本プログラムの処理を終了する。すなわち、サブCPU54は、表示コマンドにて特定される表示用ROM56の表示制御用データ格納エリアに記憶されている表示制御用データを読み出し、これを液晶パネルドライバ52へ出力するのであり、表示用ROM56を差し替えることで液晶表示パネル16に表示される内容を如何様にでも変更することが可能である。本実施例の表示用ROM56では、例えば表示コマンドが通常の待機状態である旨の遊技状況PJを表しているときには、メッセージライン16Aに「犬が"いらっしゃいませ"という文字列を引き歩く」表示制御用データが読みだされる。また、遊技が開始されたという遊技状況PJが表示コマンドによって指定されたときには、メッセージライン16Aに「犬が"ガンバッテネ"という文字列を引き歩く」表示制御用データが読みだされる。同様に、遊技状況PJがリーチであれば「犬が"ラッキーチャンス"という文字列を引き歩く」表示制御用データが読みだされる。
【0045】
以上の説明した本実施例のパチンコ遊技装置1によれば、MPU31から2msec毎に1バイトずつに分割した表示コマンドを出力するのみで、液晶表示パネル16に複雑なカラー動画を表示させることができる。すなわち、不正防止からの要求仕様であるMPU31のメモリ空間の制限を満足しつつ、遊技者を十分に満足させることのできるリアルかつ多様な表示を液晶表示パネル16上に展開することができる。液晶表示パネル16は、通常の液晶テレビと同一の仕様であり、テレビと同様のダイナミックな画面表示が可能である。テレビと同一の動画表示に必要とされる毎秒60フレームの画像情報を、遊技盤制御装置30から液晶表示パネル16に直接出力することは、不可能であるのに対して、画像情報を表示ユニット50により生成する本実施例の構成によれば、遊技盤制御装置30のメモリ空間の制限、遊技盤制御装置30と表示ユニット50との間のデータ受け渡しの制約を解消し、ダイナミックな画像表示が実現できるのである。
【0046】
しかも、本実施例のパチンコ遊技装置1では、遊技盤制御装置30から表示ユニット50には、データを出力するだけで、相互のやり取りを行なうことなく、多様な表示が可能となっている。また、遊技盤制御装置30から表示ユニット50に繰り返し表示用のデータを送信しているので、遊技盤制御装置30が認識している遊技状態と、表示ユニット50の表示が異なってしまうということもない。
【0047】
表示用ROM56に記憶される表示制御用データにより現実の表示図柄、移動や回転などの表示内容が決定される。従って、MPU31は複数種類のパチンコ遊技装置に共通して使用し、表示用ROM56のみを取り替えることで、液晶表示パネル16に全く異なるグラフィック表現を実行させることが可能となる。すなわち、流行性の強いユーザーインターフェイス的なグラフィック表示部分とパチンコ遊技装置として要求される基本的な機能部分との分離が容易に実現されるため、新たなパチンコ遊技装置の開発期間を短縮できるなどの効果をも奏することができる。
【0048】
更に、MPU31から単純な全7バイトの表示用コマンドを出力すると、その表示用コマンドに応じたグラフィック表示がサブCPU54および表示用ROM56により実行されるため、MPU31のグラフィック表示のための負荷が大幅に軽減される。従って、MPU31の多くの時間を他のプログラム処理に割り当てたり、あるいはMPU31として安価なマイクロコンピュ−タを採用することが可能となる。
【0049】
なお、本実施例では、液晶表示パネル16として、3インチの液晶テレビ用のユニットをそのまま使用している。従って、テレビ用チュナーを別に設け、表示ユニット50との接続と切り換える構成、あるいはテレビ用チュナーからの信号を一旦MPU54が入力した後、液晶パネルドライバ52を介して液晶表示パネル16に出力する構成をとれば、必要に応じて、液晶表示パネル16にテレビ番組を表示することも可能である。この場合において、第一種始動口13にパチンコ玉が入賞して、液晶表示パネル16の特別図柄表示部16Bの数字の表示を回転させる必要が生じたとき、▲1▼テレビ番組の表示を、回転する3桁の数字表示に切り換える構成、▲2▼テレビ番組に対して、回転する3桁の数字表示をスーパーインポーズの形態等で挿入する構成、▲3▼テレビ番組の表示を優先させ、回転する3桁の数字表示は行なわず当たりのみ表示する構成、など種々のバリエーションを考えることができる。テレビ用の液晶表示パネル16を用いることで、遊技用のダイナミックな動画表示と、テレビ番組の表示とを組み合わせることができ、遊技性と共に、例えばパチンコを楽しみながらナイター中継を見られるなど、その利便性も高めることができる。
【0050】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に限定されるものではなく、パチンコ遊技装置のみならずスロットマシンやその他のゲーム機器に応用したり、従来の3桁の数字と簡易な図柄の回転表示も併せ実行する構成をとると言ったことは勿論、その要旨を逸脱しない種々の態様により具現化することができるものである。
【0051】
例えば、上記実施例では、遊技装置に求められる各種の表示の一態様として遊技者に視覚的に訴えるグラフィック表示を取り上げて詳述したが、この他にも遊技装置には、各種ランプ、スピーカ等の視覚的あるいは聴覚的な表示装置が数多く組み込まれており、これらの表示装置の表示能力を高め、かつ、より緻密な表示を実行させるためには本発明の遊技装置は極めて有益である。その例としては、ランプを多色化したり輝度を変更可能として遊技装置の装飾効果を高めたり、スピーカを遊技装置の両側面に配置して遊技状況に応じた多様なファンファーレや音楽をステレオにて出力するなどが考えられる。また、その際には、何れか1つの表示装置についてのみ本発明を適用するばかりでなく、複数の表示装置について本発明を併せて適用するなど、設計の必要性に応じて自由に決定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である遊技装置の斜視図である。
【図2】同じくその遊技部DPの構成を示す説明図である。
【図3】同じくその背面図である。
【図4】液晶表示パネル16の表示例説明図である。
【図5】遊技盤制御装置30を中心とした遊技装置の電気回路図である。
【図6】表示コマンドのデータ形式説明図である。
【図7】そのシーン情報のコード体系説明図である。
【図8】MPU31が実行する遊技状況読み込みプログラムを示すフローチャートである。
【図9】MPU31が実行する表示コマンド送信プログラムを示すフローチャートである。
【図10】サブCPU54が実行する表示制御用プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
1…パチンコ遊技装置
10…遊技盤
12…普通入賞口
13…第一種始動口
14…大入賞口
13A…入賞センサ
14A…テンカウントセンサ
14B…大当たり駆動部
14C…大入賞センサ
16…液晶表示パネル
30…遊技盤制御装置
31…MPU
35A,35B…入出力インタフェース
35C…出力インタフェース
50…表示ユニット
52…液晶パネルドライバ
54…サブCPU
56…表示用ROM
Claims (1)
- 遊技状況に応じた表示を行う表示装置を備えた遊技装置において、
該遊技装置に備えられた各種センサの検出信号および予め記憶されている遊技規則に従って該遊技装置の遊技状況を判定して該遊技装置の動作を制御し、前記表示装置を制御するための表示用コマンドを出力する遊技制御装置と、
前記表示装置に画像を表示するための複数の表示制御用データを記憶する表示用記憶手段を備え、前記表示用コマンドに応じて前記表示装置の制御を行う表示制御装置と、
各々別体の装置として構成された前記遊技制御装置と前記表示制御装置とを電気的に接続し、前記遊技制御装置から前記表示制御装置に前記表示用コマンドを伝達する信号線とを備え、
前記遊技制御装置は、
前記表示用コマンドを、前記遊技状況に応じた画像を特定するためのデータを含む所定数のデータによって構成し、
複数ビットのデータを一方向に出力する出力インターフェースであって、前記遊技制御装置の側から前記表示制御装置の側へのデータ出力のために前記信号線に接続した前記出力インターフェースと、
該出力インターフェースを介して、前記表示用コマンドを所定数のデータに分けて前記表示制御装置に出力する表示用コマンド出力手段とを備え、
前記分けて出力される所定数のデータのうち最初に出力されるデータには、該最初に出力されるデータが前記所定数のデータにおける先頭データであることを示すスタート情報を有し、
前記表示制御装置は、
前記遊技制御装置から、前記分けて出力されたデータを順次記憶するデータ記憶手段と、
前記スタート情報を有するデータを含む前記所定数のデータが前記データ記憶手段に記憶され、前記表示用コマンドが入力されたと判断された場合に、前記データ記憶手段に記憶された前記所定数のデータに基づいて前記表示用コマンドを特定し、該特定した表示用コマンドに応じた表示制御用データを前記表示用記憶手段から読み出し、該読み出した表示制御用データに基づいた画像を前記表示装置に表示する画像表示手段とを備えた
ことを特徴とする遊技装置。
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